IT業界に挑戦したいと思ってはいるものの、専門性が高く、特別な資格の所有や実務経験が無いと採用されづらいのではないかと不安に思っている方も多いと思います。しかし、企業の事業内容や職種を理解し、しっかりと転職するための対策を行えば、未経験でも転職することが可能なのがIT業界です。
本記事では、未経験でIT業界へ転職するためにはどう行動すべきなのかをお伝えします。是非とも転職活動の参考にしていただけますと幸いです。
1. 未経験からIT業界への転職にあたって
まず初めに、本項の主題である「未経験からのIT業界への転職」について記載します。
未経験からでも転職は可能
結論から言えば、経験がなくともIT業界への転職は可能です。比較的、未経験からの転職を受け入れている業界であり、未経験者に向けた求人・転職情報も存在します。
その背景にあるのは、IT業の人材不足にあります。2019年3月に経済産業省より「- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書」が発表されています。この文書のP.19、20では、2018年時点でIT人材は22万人不足しており、最も極端な場合には2030年には79万人のIT人材不足が発生すると予測されています。根底にあるのは日本の労働人口の減少とIT業の人材には教育コスト、期間がかかるという事情でしょう。
また、2021年には同じく経済産業省より「我が国におけるIT人材の動向」が発表されました。DXの推進に向けたIT人材の不足、IT関連企業に人材が偏りユーザー企業のIT人材不足の発生、特に先端IT人材とよばれるスキルを持った人材の不足について触れられており、人材不足の需給については引き続く状況と見られます。
特別な資格を必要としない職種がほとんど
IT業界にも様々な仕事の種類がありますが、ほとんどの職種で必須となる資格、免許などはありません。その代わりに、必要となるのがスキルと知識です。
しかしながら、IT業界に就職、転職する際にはスキルと知識が不足していないケースは少ないでしょう。先にも記載したとおり、人材が不足している業界のため、スキルや知識については教育制度により補うなど、後からの取得をするための仕組みが取られています。
転職に役立つ資格
必須の資格はありませんが、資格の取得はスキル・知識の証明となります。転職活動においても、一定の能力や学習をしたことを伝えることができ、有意に働くものも多数あります。
特に独立行政法人情報処理推進機構によって運営され、経済産業省によって認定される情報技術者試験は日本のIT業では知名度が高い資格です。基本情報技術者試験や応用情報技術者試験のように汎用的にITエンジニアとしてのスキルを示せる資格やネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリストのように専門的な分野でのスキルを示す資格があります。
安定性よりも成長する意欲が大切
IT業界は歴史が浅く、未だ技術的な成長が進んでいます。転職することがゴールではなく、継続的に成長を続ける意欲が活躍には必要となります。
2. IT業界への転職難易度(年代別)
未経験者がIT業界へ転職できる可能性について解説します。未経験者であってもIT業界への転職は十分に可能です。ただし、20代の前半、後半と30代では転職活動で注力すべき点が異なるため注意が必要です。
20代新卒~第二新卒世代で未経験の場合
20代の場合は、IT業界での実務経験がない、もしくは1年前後と短い場合でも他業界での社会人経験があれば「ポテンシャル採用」で転職できる可能性があります。ただし、大手企業は新卒・第二新卒採用に限定する傾向があるため、中堅・中小企業を中心に転職活動を行いましょう。
20代後半で未経験の場合
20代後半でIT業界未経験の場合、20代前半よりも自身の市場価値を高める必要があります。
一つの指針となるのが、DX対応人材を目指すことです。日本企業の多くがDX対応型人材を求めています。ここでいうDX対応型人材とは「AI、IoT、マイクロサービスなどの先端技術を駆使し、クラウドベースのアプリケーション開発やビジネス構築に対応できる人材」です。20代後半の場合、DXに対応できる人材への成長が、自身の市場価値を高めることに繋がるでしょう。
例えばクラウド環境をベースとしたアジャイル開発(実装とテストを繰り返しながら短いサイクルで開発を進める手法)では、開発環境の立ち上げからサービス開発、テスト、サービスの公開までを数人で行うことも珍しくありません。こういった小規模な開発体制では、従来のオンプレミス環境でのウォーターフォール型開発(開発工程を細かく分け、各工程を完了させてから次に進む開発手法)とは異なり、個人の役割が明確に決まっておらず、臨機応変に設計、開発、テストなどを担当します。
このような開発現場では、PythonやRubyといったインタプリタ言語のスキルや、自主的なスキル習得力、事業戦略スキルやマーケティングスキルなどが評価される傾向にあります。DX対応人材は、従来のシステムの開発や運用のみを担当するのではなく、IT知識とスキルを活かしてビジネス構築(サービス設計やマーケティング活動)にも携わります。
30代以降で未経験の場合
一方、30代でIT業界未経験の人材は、20代に比べると転職のハードルが高くなります。大手・中堅企業の大半が30代未経験者の採用を行っていないため、中小企業に的を絞って転職活動を行うことをおすすめします。
30代後半でIT業界未経験からの転職を目指す場合には、企画・折衝・課題解決など何らかのプロジェクトの参画経験が重要です。IT業界の30代の人材は管理者としての能力を求められる傾向があり、企画スキル、折衝スキル、課題解決スキル、マネジメントスキルなどのヒューマンスキルを磨くことも必要となります。また、特定の業界に対する専門的な業務知識(金融、ロジスティクスなど)や、ユーザー側企業としてのシステム開発プロジェクト参加経験(業務設計など)があれば評価に繋がります。
30代でIT業界への転職を目指す場合は、目指す職種にもよりますが、転職する前にこれらの経験を積みつつ技術力を習得していく必要があります。
30代の未経験者が転職しやすい職種としては、サーバーやネットワークの監視・運用を担当するインフラエンジニアやテクニカルサポートなどがあります。これらの職種の場合は、ITスクールなどでサーバーやネットワークの監視・運用に関する基礎的なスキルを身につけていれば、実務経験がなくても十分転職することが可能です。
また、会計や特定の業務領域に対する深い専門知識やマネジメント経験、課題解決経験、システム開発プロジェクトの参画経験があれば、プロジェクトマネージャーやITコンサルタント候補として採用される可能性もあります。
30代未経験の女性がIT業界に転職するケースも
IT業は肉体労働のように男女の体力差などが影響しづらい業種です。このため、女性でも男性と同様の仕事をこなすことが可能です。30代IT業界未経験の女性が、IT業にチャレンジするケースも珍しくはありません。
3. IT業界の分類
未経験でIT業界へ挑戦する前に、そもそもIT業界にはどのような企業があるのかを知っておかなければなりません。本項ではIT業界の分類について解説します。
IT業界と聞くと、システム開発会社をイメージしがちですが、消費者向けサービスを提供する企業や、受託開発を手掛ける企業など、さまざまな種類の企業が存在します。IT業界への転職を目指す際は、あらかじめどのような分類の業界で働きたいか整理しておくと良いでしょう。
情報通信業界
電話、ケーブルテレビなどのインフラや、放送業、放送番組作成業、プロバイダーなどのインターネット基盤関連の事業者を情報通信業界と呼びます。IT技術とは切っても切れない関係であり、インフラ構築や事業運営上のシステムやサービス構築などでIT技術者が活躍しています。
情報処理サービス(システムインテグレーション)業界
情報処理サービス業界、いわゆるSIerと呼ばれる業界では、顧客企業の社内で使用する情報システムの開発・運用を請け負います。経済産業省「我が国におけるIT人材の動向」によると、情報サービス業の売上のうちSIサービスが41.7%を占めており、最も多くの売上を持っています。
具体的な業務としては課題や要望のヒアリングや、その内容に基づく要件定義、設計、開発、テスト、保守・運用などが挙げられます。
ユーザーの業務を理解し、効率化・改善するための提案を行うことも多く、コンサルティング業務が含まれる場合もあります。セキュリティーの観点から、顧客のオフィスに常駐して開発するケースも多いです。
ソフトウェア業界
ソフトウェア業界では、コンピュータに導入して使用するパッケージ製品の開発・販売を行います。ソフトウェアの主な例としては、文書作成ソフト、表計算ソフト、ウィルス対策ソフト、会計ソフトなどがあります。この業界に所属するエンジニアは、自社製品の開発に従事する点が特徴です。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、サーバーや複合機、パソコン、周辺機器、スマート家電などの幅広いハードウェアを開発・販売する業界です。ハードウェア業界の企業に所属するエンジニアは、ハードウェアを制御する「組み込みソフトウェア」の開発を主に担っており、C言語やC++を使用してプログラミングすることが多いのが特徴です。
近年は、スマート家電などのIoT製品の需要が拡大しており、ハードウェア業界で働くエンジニアの需要が高まっています。
インターネット・Web業界
Web業界は、Webメディアやホームページ、通販サイトなど、インターネット上で提供されるサイトやサービスを開発・提供する業界です。
情報サービス業界と同じく、要件定義・設計・開発・テストという工程を踏むこととなりますが、顧客の要望に沿ってWebサービスを開発するだけでなく、自社サービスとして社内開発することもあります。
集客向上を目的としてWebメディアやホームページを開発することも多く、Webマーケティングの知識があると評価が高まります。
事業会社(情報システム部門)
自社が保有する情報システムの開発・運用を行うため、事業会社の情報システム部門もIT人材を募集しています。
具体的には、ERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客関係管理システム)を含む業務システムの管理などを担当します。内製している企業ではプログラマーの採用がありますが、開発を委託している場合は、ベンダーマネジメントやIT企画などが主な業務です。
4. IT業界の職種
前項では業界の分類についてお伝えしましたが、IT業界未経験の方は、具体的にどのような職種があり、どのような業務を担当しているのかを知っておくことも重要です。そこで、IT業界の職種をエンジニア系、Web系、その他に分けて解説します。
なお、各職種については明確な基準があるわけではなく、企業などにより職務範囲が変わるため、それぞれが重複することもあります。
エンジニア系の職種
IT業界の中でも技術職となるのがエンジニア系の職種です。
プログラマー
プログラミング言語を用いて、仕様に基づきプログラミングする職種です。出来上がったプログラムのテストや、エラーの修正なども行います。
IT業界で働く場合の多くは、まずはプログラマーとして技術を習得し、その後のステップとしてシステムエンジニアを目指すこととなります。
関連ページ: プログラマーの仕事内容|具体的な業務と必要なスキルを紹介
システムエンジニア(SE)
要件定義、設計を主に担当する職種です。システムエンジニアとプログラマーは同じであると思われがちで、実際に案件によってはシステムエンジニアであってもプログラミングをすることはありますが、基本的にはプログラミングよりも前の工程で活躍することが多いのがシステムエンジニアです。
クライアントと打合せを行い、開発するシステムの要件を明確にして仕様書を作成します。クライアントと仕様を合意した後は、プログラマーから構成されるチームを率いて開発を進めてゆきます。
関連ページ: システムエンジニア(SE)とは?仕事内容や年収、キャリアパスまで徹底解説
社内SE
主にユーザー企業(非IT業)に所属するシステムエンジニアを社内SEと呼びます。社内SEは企業の持つシステムの企画、構築、運営等やデジタル機器の管理等が主な業務です。
新規システムの構築やシステムの改修においては、内製化を行う企業では社内で設計やプログラムの構築までを行い、社外にシステム開発を依頼する場合はシステムベンダーの管理を行う立場となります。
関連ページ: 社内SEとは|仕事内容や必要なスキル、役立つ資格も解説
フロントエンドエンジニア
Webシステムの構築において、ブラウザ表示や画面などのユーザーに見える部分をフロントエンド、クライアントサイドと呼びます。このフロントエンドを設計・構築するのがフロントエンジニアです。直接ユーザーに見える部分のため、デザインや使い勝手といった部分の考慮が必要となります。
関連ページ: フロントエンドエンジニアとは?スキルや年収、求人例も徹底解説
サーバーサイドエンジニア
Webシステムにおいて、ユーザに見えないサーバー側で行う処理をサーバーサイド、バックエンド等と呼びます。この処理を設計・構築するのがサーバーサイドエンジニアです。顧客業務の処理内容をプログラムとして実現し、データベース格納やファイル出力などの処理も担います。
関連ページ: サーバーサイドエンジニアの転職に必要なスキルや経験、役立つ資格とは?
アプリケーションエンジニア
各種のプログラム、アプリケーションを設計・構築するエンジニアです。Windowsアプリやスマホアプリ、業務系システムのバッチ処理や前記のWebシステムもアプリケーションに含まれるため、ソフトウェア側のITエンジニアの総称という意味合いもあります。
関連ページ: 未経験からアプリケーションエンジニアを目指す方法
セキュリティエンジニア
名前の通りITインフラ、ITシステム、アプリケーションのセキュリティ確保を行う職種です。インフラでは各種のセキュリティ対策の導入、設定、監視を行い、ソフトウェアに対してはセキュアプログラミングを実現します。また、企業や組織におけるセキュリティルールの策定、教育なども業務範囲とする場合があります。
関連ページ: セキュリティエンジニアの仕事内容とは?分野別に必要なスキルや資格も解説
データベースエンジニア
ITシステムのバックエンドに存在し、処理結果の格納先となるデータベースに関する設計、構築、運用を専門とするエンジニアです。データベースはITシステムの根幹を支える技術であり、大規模プロジェクトでは影響範囲が大きくなることから専門のエンジニアがおかれることがあります。
関連ページ: データベースエンジニアとは?仕事内容や必要なスキルについて
テストエンジニア
各種のアプリケーションやインフラのテスト(試験)を行うエンジニアです。必要とされるスキルが比較的低く、未経験から挑戦しやすいエンジニア職種といえます。
関連ページ: テストエンジニアとは?仕事内容や求められるスキルを紹介
組込・制御エンジニア
各種の電化製品、車載器などに搭載される小型コンピュータ向けのプログラムや、工場などの大型設備向けの制御プログラムを設計・構築するエンジニアです。利用環境が厳しく、制限などもあるため、限られたリソースを利用して最適なプログラムを作成するスキルが必要です。
関連ページ: 組み込みエンジニアとは?仕事内容などを解説します
セールスエンジニア
営業担当者とエンジニアの間を繋ぎ、顧客に技術的な説明を行う、エンジニアに顧客要望を伝えるといった業務を行います。企業によってエンジニア、営業のどちらに寄っているかが大きく変わる職種です。
関連ページ: セールスエンジニアの仕事内容は?営業との違いや必要なスキルを解説
マークアップエンジニア
Webサイト・システムの画面のコーディング(作成)を行うエンジニアです。必要とされる技術水準は高くないため、ほかのエンジニアへのステップとして未経験から挑戦しやすい職種です。
関連ページ: 未経験からマークアップエンジニアになるには
サーバーエンジニア
IT基盤となる大型のコンピューター(サーバー)の設計、構築、運用等を行うエンジニアです。ソフトウェアを支える基盤を構築するインフラエンジニアの一種にあたります。インフラエンジニアには、ネットワークエンジニア、クラウドエンジニアなどの職種もあります。
関連ページ: サーバーエンジニアの仕事内容とは?必要な知識とスキル、平均年収も解説
QAエンジニア
システム開発においては、要件定義から始まり、設計、開発、テストと工程が進んでいきますが、最近はこのテスト工程に特化したQAエンジニアと呼ばれる職種もあります。QAエンジニアは品質管理のプロであり、システムリリース後の障害発生を防ぐために、事前にリスクとなりそうな箇所を洗い出し、対策を講じていくことをミッションとしています。
関連ページ: QAエンジニアとは?仕事内容や将来性を解説
ITコンサルタント
システムエンジニアはお客様の要望を実現するためのシステムを開発することを主軸とするのに対して、ITコンサルタントは企業の経営課題や業務課題に対し、どのようなシステムを導入することでそれが解決できるのかを提案する職種です。
ゼロベースからのシステム化の提案をすることになり、高い技術力と顧客折衝力が求められるために、未経験で挑戦することは難しく、システムエンジニアとしての経験を積んでから転職するのが一般的です。
関連ページ: ITコンサルタントの仕事内容とは?周辺職種との違いも解説
PM・PL
PM(プロジェクトマネージャー)、PL(プロジェクトリーダー)は職種というよりは役割、立場を示す名称です。PMはシステム開発プロジェクト全体を統率、管理するポジション、PLはPMの下でプロジェクト内のチームをまとめ上げるポジションのエンジニアです。
各種の自社サービスやソフトウェア開発の場合は、プロダクトマネージャーというポジションもあり、こちらもPMと略されます。
関連ページ: プロジェクトマネージャーとは?仕事内容や必要なスキルを解説
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Web系の職種
インターネット上のWebの制作や運営に関する職種をWeb系の職種としてまとめています。
Web広告営業
Webサイトの大きな役割として、広告媒体としての機能があります。Webサイトの運営上の収益源としている場合も多く、この広告の運営を行うのがWeb広告営業です。広告主を募り、掲載条件を定め、Web広告の制作にも携わります。
Webデザイナー
Webサイトのデザインを専門的に担当する職業です。配色やレイアウトなどの設計を行うのはもちろんですが、ユーザーが情報を得やすいように工夫したり、サイト内を回遊しやすくしたりするためのユーザビリティまで考えてデザインすることが求められます。Webサイトへの実装を兼任する場合もあります。
関連ページ: Webデザイナーとは|仕事内容や需要、将来性もご紹介
Webマーケター
Webマーケターはインターネットを活用して企業の集客や売り上げ拡大につながる施策を担当する職業です。具体的には、広報用のメディアを立ち上げてユーザーに役立つ情報を提供して集客したり(コンテンツマーケティング)、WEB広告媒体を運用して自社サイトへの集客や販売、問い合わせ誘発に繋げたりする業務を担当します。
Webディレクター
Webディレクターは、Webサイト制作における総監督ともいえる職種です。
デザイナーやエンジニアなどから構成されるチームを統率して、プロジェクトの立ち上げから管理進行、品質管理、納品まで担当します。Webに関する幅広い知識や概念、高いコミュニケーション能力、マネジメント能力が求められるため、一般的には他のWeb系職種を経てから就業することが多い職種です。
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その他の職種
エンジニア系、Web系以外のIT業界の職種について紹介します。
ヘルプデスク・テクニカルサポート
企業の提供するソフトウェア、ハードウェア、サービスなどのIT製品に関して、ユーザのサポートを行う職種です。利用方法に関する問い合わせやトラブル、不具合などについて連絡を受け付け、ユーザの課題を解決します。ヘルプデスク、テクニカルサポートに明確な定義は無く、組織によって様々です。
一般的にはヘルプデスクは問い合わせの受付窓口となり、内容にあわせて関係各所と連絡をとり解決に導きます。また、テクニカルサポートは製品に対して直接的な調査を行うため、技術的な知識やスキルも必要となります。
関連ページ: テクニカルサポートとは?ヘルプデスクとの違いは?
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データサイエンティスト
AIの活用が普及を見せる中で、高度なデータ分析やビッグデータ処理を行うデータサイエンティストが各社で活躍しています。自然言語処理や機械学習など高度な数学・統計知識を駆使して企業の経営的な判断に有益な知見をもたらす職種です。
関連ページ: データサイエンティストとは?仕事内容や将来性を解説
UI・UXデザイナー
UI・UXデザイナーはユーザの利用する画面・機器などのデザイン、使いやすさを実現する仕事です。直接ユーザの利用するユーザインタフェース(UI)と、利用したユーザの受ける体験(ユーザエクスペリエンス)のデザインでは、プロダクトの種類により重複していたり不可分である場合もあるため、両者をまとめてUI・UXデザイナーと呼んでいます。狭義では、Webサイトの利用しやすいデザインと統一された利用感を作り上げるデザイナーを指すこともあります。
5. IT業界未経験の人でも転職しやすい職種
IT業界は、未経験の方にも比較的広く門戸が開かれている職種と、時間をかけて蓄積したスキルや経験がないと採用が難しい職種があります。この章では、IT業界未経験の方でも転職しやすい代表的な職種をご紹介します。
テクニカルサポート・ヘルプデスク
製品に対する問い合わせ窓口となるヘルプデスク、テクニカルサポートは必要とされる技術的なスキルは高くないため、未経験でも比較的転職しやすい職種です。ユーザと直接相対する仕事のため、ホスピタリティが必要となります。コールセンター等の職歴は業種が似ているため役立ちます。
Web広告営業
Web広告営業は扱う商品がWebの広告枠の営業職です。Webサイト運営のためのツール利用などはできる必要はありますが、一般的なITスキルレベルで利用できることがほとんどです。営業やWebマーケティングなどで培ったビジネススキルを生かせる仕事です。
Webマーケター
Webマーケターは一見すると転職が難しそうなイメージがありますが、他業界でマーケティングに携わった人は比較的転職しやすい職種です。広告ツールやBIツールと呼ばれるデータ集計ソフトなどを扱いますが、これらの習得はそれほど難しくありません。ソフトウェアのスキルよりも、ロジカルシンキングや発想力などを重視する企業が多いようです。
プログラマー
プログラマーへの転職は難易度が高く、未経験では難しいと思われがちではありますが、未経験からの転職を成功させている人も多くいます。
その背景としては、世の中では慢性的なエンジニア不足となっており、新卒採用や即戦力の中途採用だけでは人材確保ができないという企業も多く、実務未経験であっても、自社で育てて戦力にしていこうという動きがあります。プログラミングに触れたこともないという状態では難しいですが、ITスクールなどで基礎を学ぶことで転職できる可能性が高まります。
IT業界未経験の人だと厳しい職種
IT業界未経験の場合、転職が難しい職種もあるため注意が必要です。以下、具体的な例をあげています。例にあがっている職種に就きたい場合には、他のIT職種で経験を積み、スキルを身に着けてから挑むとよいです。
IT業界での経験が求められる職種
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・PM
・PL
・ITコンサルタント
高度な専門スキルが必要
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・データサイエンティスト
・UI/UXデザイナー
・QAエンジニア
・組込・制御エンジニア
・セキュリティエンジニア
・データベースエンジニア
6. 未経験から希望の職種に就くための方法
本項では、これまでにご紹介した職種へ未経験から就職するための方法を解説します。いずれも未経験から就職可能ですが、スキルがまったくない状態では現実的には難しいでしょう。就職を円滑に進めるために身につけておくべきスキルを中心にご紹介します。
営業職
応募する企業が扱うIT商材の知識、IT業界の知識が必要となります。
採用されてから身につける方法もありますが、IT業界へ転職することを決めているのなら、これらを勉強しておいたほうが円滑に転職活動を進められます。「ITパスポート」などの入門資格を事前に取得しておくと良いでしょう。営業経験がない方は、営業士検定などの営業職向けの資格制度を活用して学んでおきましょう。
運用オペレーター
どのようなポジションの運用オペレーターを目指すかで事前に準備すべきことが変わります。ECサイトの問合せや受注、返品などを対応するオペレーターであればブラウザやメール、Officeアプリケーションなどの基礎的なスキルがあれば問題ないでしょう。
一方、サーバーやネットワークの監視などのポジションを目指すのであればITスクールでの学習や「LPIC」、「CCNA」などの資格を取得することで評価を上げることができます。
Webマーケター
Webマーケターに求められる要件は、Webマーケティングやビジネス戦略に関する知識、フェイスブック広告やGoogle AdWordsなどの広告媒体のスキル、ロジカルシンキング、BIツールスキル、データ集計スキルなどです。
Webマーケティングは、「マーケティング・ビジネス実務検定」、「ネットマーケティング検定」「ウェブ解析士」など資格制度が揃っているので未経験でも知識・スキルを身につけることができます。
また、Googleは広告認定資格制度を提供していますので、広告媒体のスキルも事前に身につけることができます。このような資格制度を活用することで、企業にスキルとやる気をアピールすることが重要です。
Webデザイナー
Webデザイナーは、実務経験がなくても就職可能ですが、HTMLやCSS、Adobeなどのデザインソフトの基礎スキルが必要となります。そのため、これらをITスクールなどで学んで身に付けておくことが前提となります。
ITスクールではWebデザイナーコースが用意されていますので、初めての人でも学びやすいでしょう。ただし、エンジニアと違ってクリエイティブな要素が強いことから、実際にどれほどのデザインスキルがあるのかを見るためにポートフォリオが選考時に必要となることが多く、特に未経験採用であれば必須と思っておいたほうが良いです。
応募時にはポートフォリオを作成して、スキルやセンスを採用担当者にPRできるようにすることが大切です。
プログラマー
プログラマーとして転職する場合は、プログラミングスキルがほぼ必須となります。プログラミングは未経験者にはハードルが高いため、ITスクールで基礎から学ぶ方法を選んだほうが身につきやすい傾向にあります。JavaやPHPは半年程度から、Rubyは1~2ヶ月程度の期間で学べるスクールが主流です。卒業後に就職までサポートしてくれるスクールもありますので、未経験者は活用を検討しても良いでしょう。
また、基本情報技術者資格まで取得をしておくと、エンジニアになりたいという本気度のアピールにも繋がるのでおすすめです。なお、エンジニアとして働くのであれば、ITパスポートだけでは知識としては弱いために、基本情報技術者の取得を目指したほうが良いでしょう。
7. IT業界で活かせるスキルと資質
本項では、前項までに紹介した多くの職種に共通して求められるスキルについて紹介します。
未経験でIT業界に転職する際には、過去に培ったスキルをIT業界で求められるものに結び付けてアピールすると、採用時に高い評価を得られる可能性が高まります。
基本的なPC操作
IT業界では当然ながら業務においてPCを使い、OA用のソフトウェアやWebアプリケーションを活用します。一般的な業務で必要となるPC操作は必須となります。
コミュニケーションスキル
IT業界では営業や開発など、異なる役割を持った人たちが協力して作業を進めます。日々チームで作業を進めるため、円滑な情報共有や意思疎通が求められます。そのため、コミュニケーションスキルが高い人材は評価につながります。
現職で顧客折衝をした経験や、チームワークを発揮することができた業務経験があれば、IT業界でもその経験は活かせます。
特にシステムエンジニアを目指すのであれば、将来的にお客様との折衝を伴う仕事を任されることもあるため、コミュニケーションスキルが高いことは大きなアピールポイントとなります。
接客・営業経験はプラス要素
IT業でも必ず顧客や一緒に仕事をするチームメンバーがおり、相手を慮ったコミュニケーションはスムーズな業務の進行を成り立たせるのに必要です。接客や営業でのコミュニケーションスキルを高める経験は、IT業界への転職でもプラスの要素となります。
論理的思考力(ロジカルシンキング)
ソフトウェアの仕組みを理解したり、顧客の問題・要求を整理したりするために論理的思考力が求められます。
プログラマーであれば、どんな状況でもソフトウェアが意図したとおりに動くよう論理を構築することが重要ですし、システムエンジニアであれば、お客様の要望に対してどうシステムで実現していくのかを、これまでの経験や知識などを活用して提案しなければなりません。
また、営業やマーケティングでも、数字に基づいて論理的な意思決定が求められる場面が多いでしょう。
IT業界に向いている人
ITはあらゆるところで活用されており、非常に身近な存在となっています。そんなIT技術を活用するIT業界で働くことに向いているのはどのような人なのでしょうか。
IT知識に対する探究心がある
IT業界は変化が激しく、常に新しい技術やサービスが生まれていきます。IT知識に対する探究心をもって学習を続けていなければ、顧客からの期待に応えられず、効率的・効果的な仕事ができなくなってしまいます。
未経験でIT業界へ転職する場合は、なおさら、最新の技術動向やサービスへ積極的に関わる意欲を持っている点を示す必要があるでしょう。
8. IT業界へ転職するための選択肢
未経験からIT業界へ転職する際に利用できる選択肢について説明します。
ハローワークや求人情報誌
ハローワークや求人情報誌でも、IT業界の求人を探すことができます。求人情報を並べてみて、比較しやすいこと、ハローワークの場合は職員に質問できることなどがメリットです。
転職サイト
IT業界の求人は転職サイトでも探すことが可能です。転職サイトはサイトによって得意とする分野が違います。IT業界の求人情報が集まる転職サイトを利用することで、多くかつ条件の良い求人・転職情報に繋がります。
転職エージェント
転職エージェントを利用して転職先を探すのも一つの選択肢です。IT業界とパイプがある転職エージェントを利用することで、より自分の望む条件にあった求人・転職情報を探しやすくなります。
9. IT業界の転職事情
2022年現在も人材の高い需要が続いているIT業界ですが、今後も2030年、その先に至るまで慢性的な人材不足が続くとの見通しが強まっています。その背景には、多くの企業でレガシーシステム(オンプレミスなどの古いシステム)の改修が必要なことや、DX対策(データとデジタル技術を活用したビジネスモデル変革と競争優位性の確保)が企業成長に不可欠なことなどが挙げられ、これらに対応できる人材の育成・確保が急がれています。次世代を担うDX対応型のIT人材を確保するため、他業界の人材も対象にした採用が進むことは確実といえるでしょう。
また、根底には日本の労働人口の減少という問題も存在しており、IT人材が不足する傾向は簡単には変わりません。
20~30代前半の転職が活況
レバテックキャリアが行った調査「【2021年12月】ITエンジニア動向レポート-レバテックのデータで分かるIT人材市場-」の正社員版では、20代の転職サービス登録者が全体の過半数を占め、30代を含めると全体の8割に達します。
売り手市場が続くIT業界の中でも、第二新卒世代(20代前半)、20代中盤~30代前半までの若手の転職が非常に活発であることがわかります。リモートワークによりキャリアと向き合う時間が取れたことがその一因と考えられます。
一方、30代のエンジニアの転職は微減傾向にあり、保守傾向がうかがわれます。
Java・PHP・Pythonの求人が多い
2022年2月17日時点で、レバテックキャリアにて言語別で求人・転職情報を参照すると、サーバーサイド言語ではJava、PHP、Pythonの順に求人・転職情報の数が多くありました。これから転職することを考える場合には、習得したい言語となります。
C言語やJavaScriptのエンジニアが増加傾向
また、前述の「【2021年12月】ITエンジニア動向レポート-レバテックのデータで分かるIT人材市場-」では、C言語やJavaScriptをメインスキルとするエンジニアが前年比で増加傾向を見せています。今後も有力となる言語として注目が集まります。
10. IT業界未経験者が転職活動をする際のポイント
ここまででIT業界へ未経験で行くためにはどのような知識が必要であるかを説明しました。では実際に転職活動を始める上で、具体的にどのような行動をすべきなのかをお伝えします。
どの職種に就きたいかを明確にする
IT業界への転職といっても、前記のように多くの職種があり、業務内容はそれぞれ大きく異なります。まずは、IT業界へ転職したい理由を鑑みて、どの職種に着きたいかを明確にして転職活動に取り組みましょう。
あらかじめ専門用語を調べて理解を深めておく
先ほどIT業界で働く場合に、「IT知識に対する探究心」を活かせるとお伝えしましたが、入社してから勉強すれば良いというわけではありません。転職面接においては、面接官は本気でIT業界に行きたいと思っているのかを確認したいと考えており、どれほどIT業界のことを勉強しているのかを聞く場合があります。
OSやデータベース、ネットワークといった基本的用語はもちろんですが、受ける企業次第ではその企業が強みとしている領域の専門用語(SCM、ERP、CRMなど)を知っておく必要があります。したがって、まずは求人票やホームページに出てくる専門用語については可能な限り意味を調べておくようにしましょう。
時間に余裕があれば、基本情報技術者の資格勉強を行うことで、基本的なIT用語を網羅して覚えることができますし、資格を取得すること自体もアピールになるのでお勧めです。
プログラミングの基礎を学んでおく
プログラマーやシステムエンジニアを未経験で目指すのであれば、プログラミングスキルは必須と思って良いでしょう。未経験採用においては、求人票にプログラミング経験は不問と書かれているケースが多いですが、企業としては少しでも早く戦力になって欲しいと思っているので、プログラミングの基礎を身につけている人の採用を優先します。
もし時間と金銭面にある程度の余裕があるのであれば、ITスクールに通って学ぶことをお勧めします。そこまでの余裕がない場合であっても、少なくとも自宅でネットや本を活用して実際に手を動かしてプログラミングの学習を進めておきましょう。
未経験からIT業界への転職を志望した際の志望動機の例文
求人に応募する際には、応募書類や面接で志望動機が問われます。志望動機をどのように考えるかは、多くの人が悩むところではないでしょうか。未経験からIT業界へ応募する場合、なぜそのIT業界に移りたいか、なぜその企業に関心を抱いたかを明確に伝えられると評価につながります。
例えば、システムエンジニアであれば「技術を通して顧客の問題を解決したい」、プログラマーであれば「専門性を磨いて高度なプロジェクトに貢献したい」といったキャリアビジョンを示すと良いでしょう。応募する企業の商品やサービスを理解した上で、自分だったらどのような貢献ができるのか、自分が採用されたらどんな仕事をしたいかを想像すると、具体的な志望動機が書けるようになります。
面接官は、未経験者を採用する際は、スキルだけでなくIT業界への適性があるかも判断します。したがって、興味があると言うだけではなく、プログラミングスクールに通うなど、実際に、具体的な行動実績が求められます。
新卒~第二新卒の場合
新卒~第二新卒の場合、なぜ未経験でもIT業界へ就きたいのかを示せると、それぞれの個人の志望動機となります。「コンピュータ、デジタルデバイスに興味があり、それに触れられる仕事に就きたい」、「IT業界の成長傾向を見て、活躍したいと考えた」など、IT業界への前向きな興味を伝えられるとよいです。
それ以外の場合
これまでの職歴をどのように活かすかを志望動機内に加えると、ポジティブな志望動機を作りやすいです。「営業職で培ったノウハウをWeb広告営業で活かしたい」、「前職で得た業務知識で御社のサービスの運営に貢献したい」といった例が考えられます。過去の経験をネガティブに捉えた志望動機では、良い印象を与えられず、IT業界での活躍を望みづらくなってしまいます。
11. IT業界の現状について
IT業界へ未経験で転職するために努力を積み重ねることで内定を得ることができたものの、いざ入社をしてみると想像していた仕事とは違った、というミスマッチは起こさないようにしたいものです。
そこで最後に、IT業界への転職を考える前に知っておきたい、労働環境と今のトレンドや将来性について説明します。
IT業界の労働環境
以前は、IT業界は残業が多く、過酷な労働環境の企業が多いというのが通説でした。実際にインターネットでIT業界の労働環境を検索してみると、その頃の名残から「ブラック業界である」という内容を目にすることは今でもあります。
しかし、その後の働き方改革の取り組みや行政による労働環境の是正指示などもあり、多くの企業でワークライフバランスが整った労働環境が提供されています。深夜残業をしたり、休日出勤をしたりする企業はかなり少なくなりました。
どうしてもお客様ありきの仕事であるために、納期前などに稼働が高まり残業が発生する可能性はあるものの、過度に労働環境を懸念する必要はないでしょう。
12. まとめ
本記事では、IT業界の職種・業界の概要や未経験から転職しやすい職種、未経験からの目指し方、将来性などについて記載しました。未経験でも異業種からIT業界への転職は十分に可能です。しかし、いずれの職種でもスキルは求められますので、事前にスキルの習得を行うことが重要です。
ITスクールや資格制度が整えられており、これらを活用することでスムーズにスキル習得できます。この機会にIT業界への転職を検討してみてはいかがでしょうか。
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