未経験から社内SEになるための6つのポイントとは

最終更新日:2024年1月15日

社内SEという職種に対し「外販企業のエンジニアよりも腰を据えて働きやすい」とイメージしているエンジニアは多いのではないでしょうか。実際のところ、SIerや開発会社から社内SEへの転職を希望するエンジニアは、増加傾向にあります。

それでは、社内SEは未経験からでも転職することが可能なのでしょうか。未経験から社内SEになるには、何をすべきなのでしょうか。

この記事では、未経験から社内SEを目指したいと考えているエンジニアに向けて、必要とされるスキルと知識や向いている人の傾向、おすすめの資格や本、社内SE求人の探し方などについて解説します。

この記事のまとめ

  • 未経験から社内SEになるためのポイントは、企業情報・募集要項の確認、並行して複数の業務経験、業務知識のアピールなどがあります
  • 未経験から社内SEを目指すために必要なスキルと知識には、プログラミングの基礎的な知識などのITスキルとコミュニケーションスキルなどのヒューマンスキルがあげられます
  • 未経験可の社内SE求人の探し方は、転職サービスやエージェント、ハローワークの活用、紹介予定派遣から正社員を目指す方法などが選択肢です

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社内SEとは

社内SEは、所属する企業の社内システムの企画・開発・運用・保守などを担う職種です。ITシステムやITデバイスの活用を支え、企業の事業運営に貢献し利益をもたらすことが期待されます。

業務上、IT業界での開発経験やエンジニア経験は、ほぼ必須と考えてよいでしょう。具体的には、「何らかの言語を用いた開発経験」「プログラミングの基礎的な知識」「業務システムや基幹システムの運用・保守経験」の有無が求められます。

また、SIerや開発会社に勤務する場合と比べると、外部業者との交渉や他部署との調整などの発生が多いです。このため、上流工程での業務経験が有利になる傾向があります。

社内SEに明確な定義はなく、企業によりその業務範囲や責務は様々です。PCやITシステムの管理、キッティング、ヘルプデスク業務が含まれる場合もあります。また、内製化ができる企業では、開発を専門的に行う社内SEも存在します。

関連記事:社内SEとは?仕事内容、必要なスキル、役立つ資格も解説

社内SEは未経験からでも転職できる?

社内SEの転職では「未経験」という言葉の概念に注意が必要です。「未経験からでも転職可能」と求人情報で記載されていても、この「未経験」とは「社内SE未経験可」という意味であり、「エンジニア未経験」や「IT業界未経験」ではないケースがほとんどです。

IT未経験から社内SEは難しい

社内SEは技術職であり、なおかつ企業のITシステムの稼働に責任を持つ立場です。稼働中のシステムトラブルは、企業の事業に大きな影響が出るため、社内SEの責任が重大になることも多くあります。

開発担当のエンジニアと比較すると、稼働中のシステムを扱う社内SEの仕事は事業に直接的に影響を与えるものです。このため、確実かつ慎重な業務が求められます。特に、転職によって求められるのは即戦力となる人材です。このような事情からエンジニア未経験、IT業界未経験からは社内SEへの転職は、ハードルが高いといえるでしょう。

ただし、新卒や第二新卒であれば、社内SEでもポテンシャル採用で転職できる可能性があります。また、企業が社内の開発チーム形成やDX推進のために、IT人材を必要としている状況も追い風になります。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「DX白書2023」では、IT人材の「質」「量」の両方に不足感がある企業が増加しているという調査結果でした。この調査結果も、企業が社内SEを求めている裏付けの一つです。

応募者側にとってもIT未経験者には向かない要因もある

まったくのIT未経験者からしても、社内SEは最初に目指すには向かない要因があります。

一つの理由として、社内SEには即戦力が求められ「ひとり情シス」が基本の企業も多いことです。リソースに余裕がなく、周囲の助力が期待できないケースもあり得ます。社内SEは自分で問題を解決する必要があり、IT未経験では難しい問題が発生するケースもあるでしょう。

もう一つの理由として、社内SEの場合は業務上で触れる技術が限定的になり、新技術の習得機会が少ない点が挙げられます。ITエンジニアは技術を研鑽し、スキルを高めることがキャリア向上に繋がっていますが、未経験から社内SEで幅広く技術に触れられないことは将来的な仕事の幅が狭まることにも繋がってしまいます。

マネジメントやリーダー経験者は業界未経験でも可能性が高まる

IT人材は、社会のIT推進による需要の高まりに対して、供給が追いついていない状況が続いています。経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」では、IT人材が2030年に最大79万人不足すると推測されています。少子高齢化の影響で、20代のIT人材が減少していることも要因です。

IT人材不足の結果、社内SEを自社で育成しようと考える企業も増えています。社内SEの育成に力を入れている企業では、未経験者を採用して育成するケースも多くなりました。

社内SE未経験者の採用では、主に20代が転職の中心となっています。30代の場合は、何らかのリーダー経験やマネジメントの基礎的なスキルが求められます。そのため、マネジメントやリーダー経験者であれば、採用される可能性もあるでしょう。

関連記事:社内SEの将来性は?仕事内容や平均年収とキャリアパスも紹介

エンジニア経験のある社内SE未経験者は転職しやすい

エンジニアやIT業未経験の場合は、社内SEへの転職が難しいということを記載しました。しかし、反対に考えると、エンジニア経験のある社内SE未経験者は、社内SEへの転職に門戸が開かれているといえます。

特に求められる要件は、システムの要件定義から設計、開発、テスト、運用にいたるまでの幅広い工程の経験があるエンジニアです。これらの経験は、社内SEとしての業務にも活用することができます。

エンジニアとしての経験が十分にあり、技術も身に付け、広い知見を持つ、即戦力の社内SEとして需要が大きい年齢は30代半ばあたりです。それ以上の年齢では管理職としてのポジションとなり、求められるスキルは高く募集は少なくなる傾向にあります。

未経験から社内SEを目指すために必要なスキルと知識

IT業、エンジニア経験のある社内SE未経験者から社内SEを希望する場合、どのようなスキルと知識が求められるのでしょうか。本項では、未経験から社内SEを目指すために必要とされる技術スキルと知識をご紹介します。

関連記事:社内SEになるには?求められるスキルや資格を解説

プログラミングの基礎的な知識

社内SEには、プログラミングの基礎的な知識が必要です。業務で使用するシステムやソフトウェアが自社開発の場合もあり、社内SEはその開発に携わることがあります。

プログラミング言語には、さまざまな言語があります。そのため、開発に使用されるプログラミング言語の基礎的な知識は必要不可欠です。また外部にプログラミングを発注するとしても、その管理を行うためには基礎的な知識が必要になります。

業務システムや基幹システムの運用・保守知識

業務システムや基幹システムの運用・保守知識も、社内SEには必要な知識です。社内SE自身が開発していないシステムであっても、運用や保守は社内SEの役割となります。システムの不具合発生時に対応できる知識や、ほかの社員からシステムについての問い合わせ時に対応できる程度の知識は、社内SEにとって欠かせない知識です。

システム開発に関する知識

社内SEとしてシステム開発やその管理を担当する場合は、システム開発に関する知識が必要です。システム開発に関する知識は、技術的な知識からシステム開発者のマネジメントなど幅広い知識が求められます。開発自体を外注している場合は、上流工程を担当することもあります。そのため、システム開発に必要とされる知識の内容は、勤務先の会社の業種や規模により異なります。

ネットワークとセキュリティに関する知識

システムを円滑に動作させるためには、社内のネットワークを整備し、安全に運用するためのセキュリティに関する知識も必要です。仕事中に何らかの理由でインターネットが接続できなくなったときに、対応するのも社内SEの業務となります。また社員に不審なメールが送信されたときや、悪意のあるWebサイトからマルウェアをダウンロードしてしまったときに、適切な対応できる程度のセキュリティに関する知識も重要です。

ネットワークやセキュリティに精通するには、高度な知識が必要となります。ですが高度な知識がなくても、ツールなどを駆使することにより、ネットワークやセキュリティの対応を行うことは可能です。例えば、業務で使われているパソコンやスマートフォンにセキュリティ対策ソフトを導入して管理したり、OSやソフトウェアに最新のバージョンがリリースされたときにはバージョンアップのための環境を整えるなど、ツールを使いこなしてこれらの問題に対応できるレベルのスキルが求められます。

ヒューマンスキル

社内SEは業務の相手として同じ企業内の人に向けて仕事をする必要があります。対人で仕事をすることが必須であり、技術的なスキルに加えて、以下で紹介するヒューマンスキルも必要です。

関連記事:社内SEに必要なスキル|SEとの違いや役立つ資格も解説

マネジメントスキル

マネジメントスキルも社内SEには必要です。例えば、社内システムの開発には、自社やベンダー企業のエンジニアやプログラマーをマネジメントして、開発プロジェクトを成功させなければなりません。全くの未経験から社内SEになった方でも、過去に何らかの業務のマネジメントの経験を持つ方であれば、社内SEとしてマネジメントスキルを発揮できるでしょう。

コミュニケーションスキル

社内SEは、システムやパソコンだけを相手にする仕事ではありません。ほかの社員や社内SEとのコミュニケーションスキルも重要です。

社内SE自身はITに詳しくても、ほかの社員がITに詳しいとは限りません。ほかの社員にとって、社内SEはITのスキルや知識に長けた存在だと思われがちです。だからこそ専門的な内容を分かりやすく伝えたり、トラブル発生時に状況を的確にヒアリングしたりするためのコミュニケーションスキルは欠かせません。

関連記事:社内SEとヘルプデスクの違い

問題解決力

社内SEには、問題解決力も必要です。例えば、システムの不具合発生時に、不具合の原因を見つけて修正することが社内SEには求められます。IT企業でもない限り、社内SEよりITに詳しい社員がいることはまれでしょう。

そのためシステムのトラブル発生時は、社内SEの問題解決力が切り札となります。当然、社内のシステムに関する知識は、身につけておかなければなりません。もちろん、エンジニアとしてITを学ぶ習慣も必要です。どうしても自分だけでは解決できない場合は、外部の専門家からの協力要請することも、問題解決力といえるでしょう。

社内SEに向いている人の傾向

社内SEとして活躍できるエンジニアにはどのような適性があるのでしょうか。本項では、社内SEに向いている人の傾向を紹介します。

幅広い経験をしたいと考えている

SEの仕事は、一般的にはシステム開発やコンピュータを相手にした仕事がメインです。社内SEは、システムやコンピュータを相手にした仕事だけでなく、幅広い経験が積める仕事といえます。

社内システムの開発や導入に加えて、ほかの社員からのITに関する問い合わせの対応や、社内ネットワークの整備やパソコンのメンテナンスなど、社内SEの業務は非常に多岐にわたります。そのため、幅広い経験をしたいと考えている方には向いているといえます。

関連記事:社内SE(情シス)とSEの違い

コミュニケーション力が高い

社内SEは、勤務している会社の社員へのサポート業務もあるため、コミュニケーション力が求められる仕事です。社内SEはITに詳しくても、社内にはITに詳しくない社員も大勢います。そのような社員からのITに関する問い合わせに対して、かみ砕いて丁寧に教えるスキルは重要です。

パソコンの使い方に困っている社員は、自分の状況を相手に適切に伝えることができないケースもあります。そのような社員から、トラブルの状況を適切に聞き取り、解決に導くスキルも求められます。どのような相手に対しても、円滑にコミュニケーションできる方は、社内SEに向いているでしょう。

優先順位を考えて業務を行える

社内SEには、優先順位を考えて業務する能力も必要です。例えば、システムのトラブル発生時に影響を受ける部署と、それほど影響を受けない部署とを切り分けて、対応順位を判断する力が社内SEには必要です。

また、同時に複数の社員から問い合わせされるケースも考えられます。このようなマルチタスクが求められる状況でも、優先順位を考えて適切に対応できる方は社内SEに向いています。

未経験から社内SEへの転職を成功させるためのポイント

社内SEには、開発者としてのエンジニアとは異なるスキルや視点が求められます。社内SEの転職では、このスキルや視点を保有していることをアピールできるかが大切になります。

ここでは、未経験から社内SEへの転職を成功させるためのポイントについて解説します。

関連記事:社内SEへの転職は難しい?仕事内容や求められるスキルを解説

企業情報・募集要項を入念に確認する

社内SEの求人で、未経験者も含めて募集している企業は多くあります。慌てずに、まずは企業情報・募集要項を入念に確認することが重要です。

企業情報は、インターネットやSNSで確認できます。ここで確認しておきたい情報は、研修制度など人材育成に関することです。人材育成に力を入れている企業ならば、未経験者であっても働きやすい環境です。

また、募集要項もしっかり確認しておきましょう。どのような業務をするかを知ることで、企業が求めているスキルが把握できます。募集要項を理解することで、資格を取得するなどの対策も可能です。

並行業務経験をアピールする

社内SEは、SIerや開発会社のSEのように「新しいものを創り出すこと」だけではなく、「すでに存在するもの」をいかに活用するかも問われます。 新規案件の対応や既存のシステムを有効活用するため、複数案件で常にPDCAサイクルを回し、課題抽出と改善を重ねていきます。

複数のシステムやITデバイスなどに関わる業務となりますので、マルチタスクで仕事を進めることが多いです。並行して複数の業務を実施した経験は、社内SEとして活躍できる素地としてアピールできます。

リーダー・マネジメント経験があれば伝える

社内システムの開発や運用保守業務などは、アウトソースを行うケースもあります。また、社内での開発などであっても、大規模な業務ではチームを組んで業務にあたるケースもあります。

アウトソースやチームでの開発では、社内SEにはマネジメント業務を行うことが求められます。リーダーや管理者としての業務経験があれば、社内SEとしてもマネジメント業務ができることを示すことが可能です。

業界・業務知識をアピールする

社内SEは、社内のさまざまな部署からの要求を吸い上げ、システムに反映させていくことも仕事のひとつです。そのためには、企業が属する業界知識や社内対象部署への業務知識も必要になります。

転職を有利にするためにも、システムの専門性と併せて業界・業務知識があることをアピールしましょう。転職先に関連する業界・業務についての知識も役立ちます。

志望動機に「なぜSEでなく社内SEなのか」を含める

社内SEへの転職を目指す場合には、志望動機にも注意が必要です。履歴書や面接で志望動機を伝える際に、なぜSEでなく社内SEなのか理由を必ず記載しましょう。

「クライアントが社内のため気が楽なこと」「残業が少ないこと」などは厳禁です。そのような理由は、転職先企業にとってはメリットとはなく、評価が高くなることはありません。

転職先の企業や製品の魅力、転職先の働き方、組織などを研究し、その企業のSEになりたいということを志望動機にまとめましょう。

未経験から社内SEに転職するに考えられる志望動機例

他の職種から社内SEに転職する人の多くは、ワークライフバランスや比較的楽な仕事を求めています。しかし、そのまま志望動機に書くわけにはいきません。そのようなときにおすすめの方法は、前職と志望している社内SEの業界を結びつけることです。

前職と志望先の企業の業界に接点がある方は、転職の際にアピールがしやすいといえます。具体的には、たとえばベンダー企業で金融系の開発プロジェクトに所属していた場合、金融業界の社内SEだと志望動機を作りやすいでしょう。

「前職で身に付けた業務知識を活かせると考えた」「IT技術にも関心があるが業務の方への関心が強いため、業界に所属する社内SEとなってより業務知識を身に付けたいと考えた」といった志望動機であれば説得力が生まれます。

関連記事:社内SEの志望動機の書き方は?ポイントと例文も紹介

面接時にキャリアプランを明瞭に答える

面接時には、社内SEとしてのキャリアプランも明瞭に答えるようにしておきましょう。

社内SEの転職は、転職先の企業に入ることがゴールではありません。転職して社内SEとして働くことで、転職先企業と本人の双方がメリットを得られるキャリアプランを提示しましょう。転職した後のキャリアプランが描けていなければ、企業が採用で評価することはないでしょう。

関連記事:社内SEのキャリアパス・キャリアプラン例について

社内SEを目指す人におすすめの資格

社内SEにおすすめの資格

社内SEにとって資格は必須ではありません。しかし、スキルと知識の取得に役立ち、転職活動においても役立つことから、資格の取得は社内SEへの一つのステップとして利用可能です。

本項では、社内SEを目指す人におすすめの資格を紹介します。

関連記事:社内SEの仕事・転職に役立つおすすめ資格16選

基本的なおすすめ資格

社内SEを含めたITエンジニア職種において、実務レベルのスキルと知識の幅広さを示せる資格が国家試験である情報処理技術者試験です。特に社内SEでは、即戦力として活躍できるレベルのスキルを示すために基本情報技術者試験やそれ以上の資格がおすすめです。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によるITエンジニアを目指す方向けの国家試験です。試験では、ITに関する基本的な知識やスキルが問われます。基本情報技術者試験は、知名度と総合的なスキルを示せることから、どこの企業に向けても有効な資格となります。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。基本情報技術者試験の上位にあたる試験で、ITスキル標準(ITSS)のスキルレベル3に該当し、ITに関する幅広い知識に加えて、応用力も問われます。試験に合格することで、社内SEの業務に役立つ知識が身につきます。

システムアーキテクト

システムアーキテクト試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験で、ITスキル標準(ITSS)のスキルレベル4に該当する難関試験です。システム開発の上流工程を担うITエンジニア向けの試験で、社内システムの上流工程を担う社内SEへの転職に有利になります。

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験も、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験で、ITスキル標準(ITSS)のスキルレベル4に該当します。試験は、ネットワークの構築や管理をするための知識やスキルが問われます。社内ネットワークを管理する業務が多い社内SEを目指す方には、おすすめの資格です。

情報セキュリティマネジメント試験

情報セキュリティマネジメント試験とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する、組織をセキュリティリスクから守るための知識やスキルを認定するための試験です。ITスキル標準(ITSS)のスキルレベル2に該当します。社内SEは、所属する企業のセキュリティを担当する職種でもあり、合格すると転職に有利に働く可能性があります。

情報処理安全確保支援士試験

情報処理安全確保支援士試験は、ITスキル標準(ITSS)のスキルレベル4に該当する難関資格で、情報セキュリティの専門家として高度な情報セキュリティ管理のスキルがあることを認定する資格です。セキュリティ関連の難関資格であるため、資格を取得すると社内SEへの転職でも評価が高まります。

ITサービスマネージャ試験

ITサービスマネージャ試験は、システムの運用管理や保守を担う方向けの国家試験です。ITスキル標準(ITSS)のスキルレベル4に該当する難関資格であり、ITの幅広い知識からシステム運用のマネジメントまでさまざまな問題が出題されます。社内SEとして企業の持つシステム、サービスを運用するためのスキルを示すうえで有用な資格といえます。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験で、ITスキル標準(ITSS)のスキルレベル4に該当します。プロジェクトマネージャー向けの試験であり、社内システム開発のプロジェクトで、プロジェクトマネージャー的な立場になる社内SEを目指すのであれば、取得にチャレンジするといいでしょう。

他者との差別化がしやすくなる資格

社内SEを目指す場合、IT技術に関するスキルや知識以外に、他者との差別化をはかれる資格もあります。企業の事業運営に役立つ資格として、下記は幅広く通用する資格といえるでしょう。

MBA

MBAは経営学修士課程の修了を証明する学位です。経営学を修め、一定以上の知識を持つことを示せます。

社内SEは企業のITシステムの企画・立案を担う立場ですが、IT技術面での知識に加え経営に関する知識を持つことで積極的に業務を改善する企画を提案することが可能となります。また、他者の行うシステム開発に対しても知見を発揮することで、多面的に企業に貢献できます。

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家に向けた国家資格です。特に中小企業の社内SEとなる場合には直接的に事業に役立てることのできる資格となります。社内へのシステム導入や改善に向けた対応への、力強い裏付けとなるでしょう。

簿記

簿記は事業運営に欠かせないお金の出入りを記録するための方法です。社内SEの業務においても、会計システムをはじめ社内のお金に関するシステムを扱う機会も多く、活躍することの多いスキルといえます。

資格としては、日商簿記をはじめ複数の種類があり、その中でもレベル分けがされています。業務上で役立つレベルを見極めて取得する必要があります。

社内SEを目指す人におすすめの本

これから社内SEになりたいエンジニアに向けて、広く社内SEの仕事を知ることのできる本を紹介します。

「基礎からのIT担当者リテラシー」(技術評論社、吉田航、横山健太)

IT担当者、社内SEとして働く上で、業務に登場するインフラやデジタル機器からシステムの企画、開発と管理といった業務までが記載されています。エンジニアから社内SEへ転職する場合、この本に記載されている基礎部分については必須レベルの知識です。

しかしながら、エンジニア業務において社内SEに必要なITについてのすべての知識に触れる機会はなく、偏りがあります。まずは基礎レベルを網羅し、自分に不足する知識や深めたい分野を探すのにも役立つ書籍です。

「読めばわかる!情シス入門 情報システムの基礎知識」(翔泳社、富士通ラーニングメディア講師陣)

社内SE(情報システム部門担当者)が扱う情報システムと関連した業務について、幅広く基礎知識を学べる一冊です。ITシステムの構成を知り、ITシステムの企画や要件定義からプロジェクト推進、ベンダー管理、システム導入の評価など業務を流れに沿って解説しています。さらには、セキュリティに関する内容やIT戦略などについても言及しており、社内SEとしての基礎を身に着けるために役立ちます。

社内SEになるメリット・デメリット

社内SEは目指すエンジニアも多い職種ですが、多くのメリットとともにデメリットも存在しています。社内SEとなる場合には両者に目を向けることが重要です。本項では、社内SEになるメリット・デメリットについて解説します。

関連記事:社内SEのメリット・デメリット - 院内SEも含めて解説

社内SEになるメリット

社内SEは、社内システムの開発から問い合わせ対応まで幅広い業務があります。幅の広い業務は、多くのメリットにもつながっています。社内SEになるメリットは、以下のようなものがあります。

関連記事:社内SEが「人気・勝ち組の職種」と呼ばれる7つの理由

納期を設けているところは少なくスケジュールにゆとりがある

クライアントが自社社員であるため、納期を設けているところは少なく、スケジュールにゆとりがあることもメリットのひとつです。そのため、残業なども少なく長時間労働になりにくく、ワークライフバランスを重視する方にはメリットが大きいでしょう。

関連記事:社内SEが「楽な職種」と言われる5つの理由

システム開発において全工程担当できることもある

社内システムの開発では、設計などの上流工程から運用・保守までを担うことができるため、システム開発のすべての工程を習得できます。開発系のエンジニアでは若いうちにはなかなか触れることのできない、上流工程の経験ができることもメリットといえます。

CIOやCTOも目指しやすい

社内SEは、社内システム開発などで外部のベンダーなど多くの人と関わり、プロジェクトマネージャー的な立ち位置を経験できます。そのため、将来的にCIOやCTOを目指す方には、足がかりとなるメリットがある職種です。

関連記事:社内SEが簿記を取得するメリットは?勉強方法なども紹介

社内SEになるデメリット

社内SEの仕事には、メリットがある反面、デメリットもあります。ここでは、社内SEになるデメリットを紹介します。

マネジメントやコミュニケーションスキルが求められる

本記事内でも度々触れた通り、社内SEは多くの人々と関わる職種です。

社内システム開発プロジェクトでは、社内の関係者や外部ベンダーなどとのマネジメントが必要になります。また、プロジェクトメンバーや問い合わせをする社員などと良好なコミュニケーションができなくてはいけません。

これらの業務上の特性から、社内SEにはマネジメントやコミュニケーションスキルが求められます。

携わる技術や事業・サービスに関する学習が必要

社内SEに限らず、あらゆるITエンジニア職は、携わる技術や事業・サービスに関する学習を日々継続する必要があります。

IT業界では、トレンドや新技術が次々と生まれており、学習を続けなければ新技術に対処できなくなってしまいます。休日や仕事が終わったあとも、社内SEに関する知識や技術を学ばなくてはいけないため、学習が好きではない方にとってデメリットと感じるかもしれません。

業務上で携われる技術に限りがある

社内SEは名前の通り、社内のシステムやITに関わる仕事です。業務の範囲で利用するITには限りがあり、常に望んだ技術を業務上で扱えるわけではないことにも注意が必要です。

最新の技術に興味をもち、業務上で活用したいと考えていても、すぐには仕事と結びつかない点は社内SEのジレンマともいえます。また、技術の習得の妨げとなりえることはエンジニアとしてのスキル向上の機会を失うともいえるでしょう。

業務内容は幅広く、望む業務ができるとは限らない

社内SEの業務範囲は広く、想定している通りの業務ができるとは限らないことにも注意が必要です。

ITシステムの企画、実現からシステム運用、デバイス管理、ヘルプデスク業務など企業や募集によって業務範囲は大きく異なります。社内SE希望者は、自分の望む仕事ができる企業か、マッチングを確認することが重要です。場合によっては、激務の場合や業務上の責務が重いことも知っておきましょう。

未経験可の社内SE求人の探し方

社内SEの求人も、並べて見てみると業務の範囲は様々です。PCやデバイスのキッティングがメインの仕事やヘルプデスク、サポート対応がメインの仕事、情報システム部門などのIT企画・構築・運用を行う仕事、社内向けシステムの構築の仕事など、いずれも社内SEに含まれます。自分が社内SEとなって行いたい仕事とマッチしているのか、業務内容に注目して探しましょう。

また、業務の量に関しても注意が必要です。落ち着いた環境で安定した作業量の仕事を求めているのであれば、職場環境や働き方についての記載も確認しておきましょう。

社内SEとして転職する場合でも、スキルマッチングは重要なポイントとなります。これまでエンジニアとして培ってきたスキルが生かせる企業、現場なのかも注目して求人を探してください。

転職サービスやエージェントを効果的に利用する

社内SEは、人気がある職種のひとつです。また、離職率も低く、少数で充足するポジションであることから、希望条件を満たす求人に応募するにはスピードも大切になってきます。さらに、社内SEの求人はIT業界以外の企業からも出されることが多い傾向にあります。

慣れ親しんだIT業界の情報だけに頼らず、多方面から求人情報が出されるため、複数の転職サービスやエージェントから情報を集めていくことが大切です。そのため担当者のサポートが、しっかりとしている転職サービスやエージェントを選ぶようにしましょう。

ハローワークを活用する

社内SE求人の探し方としては、ハローワークを活用するのもひとつの方法です。ハローワークは在職中でも利用でき、気に入った求人を担当者に相談できます。ハローワークの求人票は、定められた書式のため、比較しやすいメリットもあります。

紹介予定派遣から正社員を目指す

紹介予定派遣とは、一定の期間は派遣社員として働いて、その後に正社員として採用される派遣方法。もちろん、企業が求めるレベルに達していない場合は、正社員として採用されることはありません。一般的な派遣方法とは異なるため、紹介予定派遣を利用する場合は詳細を確認しておきましょう。

未経験OKの社内SEの求人例

実際に社内SE未経験でも応募可能な求人の実例を、レバテックキャリアが保有している求人情報をもとに紹介します。

未経験OKの社内SEの求人・転職情報

社内向け基幹システムの開発担当

【業種】
販売、EC

【業務内容】
主な業務は、各種業務システムの運用・保守、連携やこれに伴う開発・設計です。
基幹システム運用上の定常作業、お問合せ、トラブル発生時の緊急対応、復旧作業、原因究明、切り分けなど、さまざまな保守作業の状況管理、作業者への指示や結果報告を行っていただきます。

【求められるスキル・経験】
・未経験可
・新しい技術に対して挑戦するマインドのある方

【想定年収】
310~425万円

【勤務地】
大阪府

ユーザー企業の情報システム部門支援

【業種】
IT・通信

【業務内容】
顧客先企業の社内SEとして、情報システム部門の業務を支援します。
・IT環境、インフラ構築
・ITシステムの導入支援
・ITデバイスの選定、管理
・ユーザーサポート
・ベンダーコントロール

【求められるスキル・経験】
<経験>
・社内SEもしくはインフラ技術関連業務の実務経験

<マインド>
・責任感を持って仕事ができる方
・主体性を持って業務に取り組める方
・社内外問わず、円滑にコミュニケーションを取れる方

【想定年収】
450~600万円

【勤務地】
東京都

まとめ

この記事では、社内SEへの転職を検討しているエンジニアに向けて、未経験から社内SEを目指すために必要なスキルと知識、向いている人の傾向、おすすめの資格や本、社内SE求人の探し方などについて解説しました。

社内SEには、ITの知識がないユーザーに寄り添いながら、効率よく、使いやすいシステムを提供するための視点が求められます。さらに、企画や交渉、調整、マネジメントといった技術以外の業務も多く発生します。

未経験から社内SEになるためのポイントは、企業情報・募集要項の確認や並行業務経験や業務知識のアピール、明確な志望動機やキャリアプランを伝えることなどが重要です。社内SEの仕事に興味がある方は、この記事を参考に社内SEへの転職を目指してみてはいかがでしょうか。

社内SEに関するよくあるご質問

社内SEに関してよくあるご質問と回答をまとめました。これから社内SEを目指す方の参考になれば幸いです。

Q1.社内SEの業務である運用保守対応とはどういう意味ですか?

企業内で利用しているITシステムやITインフラを継続的に提供し続けるための対応です。

ITシステムであれば、定常運用業務、障害発生時の対応、業務改善に向けたシステムの改修などが具体的な業務です。インフラの場合には、状態監視やソフトウェア、ハードウェアのメンテナンス、セキュリティアップデートの適用などが該当します。

Q2.社内SEとはどのような職種ですか?

自社内で利用するITに関して、選定、導入、開発、運用保守などを行うITエンジニア職種です。企業によって異なりますが、社内で利用するITインフラや機器などの導入、管理、ITシステム導入による業務の効率化などを行います。

Q3.システム企画開発とはどのような仕事ですか?

自社の行う事業やサービスの運営において、最適なシステムを検討し、導入や開発を行います。ITシステムにより、業務の効率化、事業の拡大、サービスの拡充などを実現する仕事です。

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