Perlエンジニア転職市場は?将来性や年収、必要なスキルも解説

最終更新日:2024年6月28日

Perlは1987年登場の長い歴史を持つプログラミング言語です。改良を加えた後発の言語に押され、需要は減少傾向にあると言われています。実際のPerlエンジニアの転職市場はどのような現状なのでしょうか。

本記事では、Webエンジニアへの転職を目指す方に向けてPerlエンジニアが転職で評価されるスキルや経験、需要や将来性を中心に、Perlエンジニアとして転職する場合に知っておきたいことを解説します。

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この記事のまとめ

  • Perlエンジニアの転職市場について、需要や将来性に加えて、仕事内容や必要なスキルについても解説
  • Perlエンジニアの仕事内容には、新規開発や保守開発、運用などがあります。比率としては既存のアプリケーションの保守・運用の案件が多い傾向にある
  • Perlエンジニアに必要なスキルとして、情報システム全般に関する知識や上流工程を担当するスキル、Webアプリケーションフレームワークを扱うスキルなどがある

Perlエンジニアの転職市場 / 求人情報

2022年1月12日時点で、レバテックキャリアにてプログラミング言語「Perl」の転職・求人情報を検索すると458件が該当します。一定のPerlエンジニアの需要が存在していると見ることが可能です。

しかし、この転職・求人情報をより深く読み込むと、別の事情も見えてきます。Perlで該当した転職・求人情報のほとんどは、他のプログラミング言語での開発ができるエンジニアにオプションとしてPerlもできるとよい、という扱いです。Perl専門のエンジニアの募集はより少ないものとなります。

Perlエンジニアの需要

Perlで開発されたシステムは現在も多数稼動しています。しかし、新しく開発されるシステムでは、PHPやRuby、Pythonといったより新しいプログラミング言語を優先して採用する傾向にあります。その理由は、これらの後発のプログラミング言語は開発効率が高められているためです。

たとえば、Pythonは同じ内容のプログラムを作成する場合には、誰が書いても似た記述になるように作られており、保守性が高いプログラミング言語です。また、Rubyはオブジェクト指向を採用しており、オブジェクト指向で書かれたプログラムは再利用がしやすく、こちらも開発効率の向上に役立っています。

一方、Perlは同じこと実現するためのプログラムの記述が複数存在します。また、Perlはもともとオブジェクト指向を前提としていないプログラミング言語です。このため、保守性や柔軟性の観点で後発の言語に先行を許し、次第に採用されることが減っていきました。

上記の背景があり、新規開発でPerlが採用される案件は減少傾向にあります。中長期的にはPerlエンジニアの需要は減少していくと考えられます。

Perlエンジニアの将来性

Perlが新たに採用される案件は減少傾向にあり、Perlエンジニアも減少していくと考えられます。

しかし、既存のPerlで作られたシステムの運用・保守にはPerlエンジニアが必要とされます。Perlエンジニアがすぐに全く不要になるとは考えにくいでしょう。
中長期的に需要が減少して、やがて0になる可能性を考慮して、ほかのプログラミング言語やスキルを習得しておくことが転職において重要になります。

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未経験でもPerlエンジニアへの転職は可能

未経験者でも問題なくPerlを学び、転職することができます。

Perlはコンパイル不要のインタプリタ型言語であり、C言語やC++よりも習得が容易です。
そのためレバテックキャリアを始めとする求人サイトには多くの未経験者歓迎のPerlエンジニア案件が存在しています。
ただし、PerlはJavaやPHPよりは学習・習得難易度がやや高いとされています。
書き方が独特な部分もあるため、他の言語に慣れている人は最初は戸惑う可能性があるでしょう。

Perlとはどのようなプログラミング言語か

本項では、Perlとはどのような特徴を持ち、どんな用途で利用されるプログラミング言語であるかを再確認します。

Perlの特徴

perlの特徴


PerlはC言語とシェルスクリプトを改良して開発されたプログラミング言語であり、実用性と多様性を重視した言語です。Webアプリケーションの作成などに利用されます。

Perlは1987年に登場した比較的長い歴史を持つ言語です。ライブラリやWebアプリケーションフレームワークも豊富に揃っています。しかし、現在、新規でシステムやアプリケーションを開発する場合にはPerlよりもPHPやRuby、Pythonなどのプログラミング言語が使われるのが主流となっています。

後方互換性が高い

一度書いたプログラムが言語のバージョンアップがあってもそのまま利用できることを、後方互換性と言います。Perlはこの後方互換性を重視しており、一度書いたプログラムを永続的にサポートすることを重視しています。これは長期間利用する仕組みを作る際に大きなメリットとなります。

可読性が高い

Perlはc言語とシェルをもとに開発されており、多くの開発者にとって馴染みやすく読みやすいプログラミング言語です。Unixに慣れ親しんだエンジニアには特に意識する必要なく理解がしやすいプログラムとなっています。

テキストの処理が高速

Perlの処理はテキスト処理に最適化されており、テキストを扱うプログラムを作成する場合には高速な動作をします。正規表現を言語に組み込むなどテキスト処理に特化しています。

コンパイルの必要がない

Perlはスクリプト言語です。スクリプト言語の特性として、コンパイルを経ずに実行できることがあります。トライアンドエラーを繰り返しながら開発できるため、エンジニアは効率よく開発ができるメリットがあります。

CPANモジュールが多数ある

Perlはモジュールを利用することにより機能を追加することができます。例えば通信や数学的計算などプログラム作成でよく利用される機能はモジュールを活用することで、毎回作成する必要が無くなります。このモジュールはCPANとしてインターネット上に公開されており、開発者はダウンロードして利用することが可能です。

Perlでできること

Perlの主な用途について紹介します。

Webアプリケーション開発

Perlは動的なWebサイトの構築に適したプログラミング言語です。CGIというWebの仕組みの構築によく利用されてきました。
長い歴史の中で作られてきたWebアプリケーションの部品やCPANモジュールなどを活用することで、生産性と効率の高い開発が実現可能です。

Webサービス開発

Webアプリケーションと同様に、Webサービスの開発においても、Perlの特徴をメリットとして生かすことができます。動画の配信サービスや検索エンジンといったWebサービスの一部の構築に利用されています。

管理ツール開発

PerlはUnix系のOSコマンドを利用するシェルスクリプトを起源の一つとしている言語です。サーバーの管理やシステム管理では、シェルスクリプトの延長としてツールが生まれることも多く、Perlを使って作られているツールも存在しています。Unix系のOS環境ではデフォルトでインストールされている言語であることも、管理ツール作成によく利用される理由の一つとなっています。

Perlについては、「Perlとは?経験別Perlエンジニアへの転職のポイントについても解説」の記事でも詳しく解説しています。

Perlエンジニアの仕事内容

Perlエンジニアの主なミッションは、Perlやその他のプログラミング言語を利用してシステムを構築・提供し、利用者に利便性をもたらすことです。その仕事内容について紹介します。

新規開発

Perlは近年ではシステム開発の中心言語として選ばれることは少なくなりました。しかし、Perlは後方互換性の高さや継続的なサポートによりプログラムが長く使えることがメリットを持ちます。このメリットを見込んで、システムの新規開発においても長期間利用する部分などでPerlが選択される場合があります。

保守開発

既存のPerlで作られたシステムの保守開発もPerlエンジニアの仕事です。機能の追加、改善や問題点の修正等を行います。

運用

Perlで構築したシステムを継続的に稼働させる運用業務も仕事の一つです。長い歴史を持つことから、Perlで作られたシステムは多く、現在も稼働しているシステムを長く利用するケースもあります。

Perlエンジニアへの転職時に評価される知識とスキル

Perlエンジニアとして転職する際に評価されるスキルと経験について解説します。
Perlの言語知識はもちろん必要ですが、その他の言語の知識や情報システム全体に関する知識、上流工程を担当するスキルなどがあれば仕事の幅が広がります。

情報システム全般に関する知識

Perlエンジニアの仕事は、システムやアプリケーションの運用や保守がメインです。既存のシステムやアプリケーションを対象とするため、システムの監視やバグ修正、運用を効率化するツールの開発、ハードウェアの老朽化対応など幅広い業務を一人で担当するケースもあります。

そのため、Perlのプログラミングスキルだけでなく、サーバーやネットワーク技術、データベース技術への理解、システム運用知識など、情報システム全般の知識が求められます。

Perl以外の言語の知識

近年、システムやアプリケーションを新規で開発する場合、Perlを用いることは比較的少なく、PHPやRuby、Pythonなどを用いるケースが多くなっています。メインで使える言語がPerlでありつつ、ほかの言語も扱えると転職の幅が広がります。

上流工程を担当するスキル

実装だけでなく、要件定義や基本設計などの上流工程もできるPerlエンジニアは転職で評価されるでしょう。上流工程では、情報システム全般に関する知識に加えてコミュニケーションスキルなどが求められます。上流工程の経験がなくても、これらの知識やスキルがあれば、転職で有利に働きます。

Webアプリケーションフレームワークを扱うスキル

PerlにはいくつかのWebアプリケーションフレームワークが開発されており、代表的なものとしてMojolicious、TripletailL、Dancer、Amon2、Catalystなどが挙げられます。Webアプリケーション開発においてはフレームワークを使うのが一般的であり、これらのフレームワークを扱えると、転職の際に評価されやすくなります。

クラウドサーバーの設定・運用スキル

システムやアプリケーションは、オンプレミス環境からクラウド環境へと移行していく流れにあります。それにしたがって、開発もクラウド環境で行うことが増えていくでしょう。Perlエンジニアに限ったことではありませんが、クラウドサーバーの設定・運用スキルがあると、転職で評価を高められます。

既存のコードを読解するスキル

前述の通り、新規開発よりも運用や保守業務が多くなるPerlエンジニアですが、そこで必要となるのが既存コードの読解スキルです。
システムやアプリケーションを構成するプログラムは設計書に沿って作られます。しかし、改修時に設計書の修正が行われなかったり、設計書が長期の稼働により失われてしまっている場合もあります。そのようなプログラムの修正や改修を行う場合には、稼働しているコード(プログラム)を正として処理内容を調べて対応することが求められるため、コードの読解力は重要なスキルの一つです。

公開済みのモジュールを組み合わせて開発するスキル

Perlは長い歴史の中で作られてきたプログラムの多くが、CPANモジュールなどの形で公開されています。Perlエンジニアはこの公開されたモジュールを活用することで、システムの開発を効率よく品質高くすることが可能です。特にPerlエンジニアとして転職する場合は、このスキルが求められるでしょう。

Perl初心者がスキルを身につけるのに有効な勉強方法

Perlを身に着ける場合の勉強方法について記載します。
Perlを習得するには、学習サイトを活用する、入門書を活用する、スクールに通う といった方法があります。
自分に合った学習方法を選択し、Perlの知識やスキルを着実に高めていきましょう。

Perlを扱っている学習サイトを利用する

Perlの持つ長い歴史から生まれるメリットの一つが情報の充実です。Perl初心者向けのオンライン学習サイト等が多数存在し、Perl環境のインストール、文法といった基礎レベルからの学習をサポートしています。動画形式の学習サイトを利用することで、より理解を深めることも可能です。

Perlの入門書を参照する

Perlは書籍も多く存在します。学習レベルとPerlで実現したい内容にあわせた書籍を選んで学習しましょう。

スクールに通う

学習のための情報が充実しているとはいえ、プログラミングの学習ではつまづくこともあり、自己解決が難しいケースもあります。そんな場合に課題を解決しやすいのが、スクールやプログラミング教室に通って学習する形態です。講師のサポートを利用することで効率的な学習が可能です。

Perlエンジニアとしての転職を成功させるポイント

まずはIT業界について知る

IT業界とは、「IT(情報技術)」を活用したサービスを提供する企業の総称です。
IT業界への転職を目指すには、IT業界の現状や将来性について把握しておくことが必要不可欠です。

将来的に、IT業界では人材不足が深刻化すると予測されています。
AIやIoTなどの新しい技術に対応できる人材がますます求められるでしょう。

Perlは歴史が古く枯れた技術と言われていますが、新しいIT技術に対応できるスキルを身につけることで
エンジニアとしての価値を高めることができます。

Web基礎スキルを身につける

Perlエンジニアとしての転職を成功させるには、Web基礎スキルの習得が重要です。

Perl言語を扱う上でWebサーバーやWebブラウザなどのWebシステムに関する知識や、Web通信の仕組み、データベースやWebセキュリティに関する基礎的な知識は非常に重要です。

Perl言語は柔軟性や拡張性に優れているため、Web開発にも幅広く活用されています。そのため、Web基礎スキルの習得はPerlエンジニアとしての市場価値を高めるのに役に立ちます。

プログラミングスキルを磨く

Perl言語を使った転職の成功率を向上させるためには、関連するプログラミング言語のスキルを積極的に身につけることが重要です。

具体的には、Webページの作成に必要な基本的な言語であるHTMLやCSS、さらにWebページに動的な要素を追加するためのJavaScriptなどが挙げられます。これらのWeb開発言語を習得することで、Perl言語だけでは実現できない、よりインタラクティブで魅力的なWebアプリケーションを構築できるようになります。

さらに、RubyやPHP、データベース操作に必要なSQLなどのスキルも習得しておくと、幅広いプロジェクトに対応できる柔軟性が身につきます。

成果物を作成し、ポートフォリオを完成させる

「ポートフォリオ」というのは、自己PRのための「作品集」のことです。
具体的には、自身が開発したシステムや成果物をひとまとめにした資料のことです。

実務未経験であっても、ポートフォリオがあれば一定の評価を受けることができます。
実際、ポートフォリオの品質の高さは、エンジニアとしての能力を測る重要な指標となります。

そのため、自身のポートフォリオを作成する際には、自分のスキルを効果的にアピールできるような形にすることが非常に重要です。

Perlに関するよくある質問

Perlエンジニアへの転職を考えているエンジニアからよくあるご質問を紹介します。
Perl言語の特徴、利点、年収などについての質問が多いです。自分自身が疑問に思っていることに近い質問があれば、ぜひ参考にしてみてください。

Q1. Perlの年収はいくら?

Perlエンジニアの平均年収は、約400万円から600万円程度であり、仕事内容によっては年収に差が生じることがあります。個人の経験やスキルによっても異なります。

Q2. Perlの難易度は?

Perlは、プログラミング初心者には難しいとされますが、C言語よりは簡単だと言われています。一方で、PHPやPythonよりはやや難易度が高いとされます。
Perlの特徴は、文字列操作や正規表現を得意とする点であり、Webアプリケーションの開発にも使用されます。Perlは多様な分野で使用されているため、エンジニアとして求められるスキルも幅広く、モジュールの使用やデバッグ技術、システム管理などの知識が必要です。

Q3. Perlの利点は?

Perlのメリットは、自然言語に近い記述を行うために読みやすいことです。 自然言語というのは日本語や英語のような人間が使う言語のことです。

さらに、バージョンが新しくなっても古いバージョンのコードをそのまま使える互換性の高さもメリットとして挙げられます。

Q4. Perl言語の特徴は?

Perlはシンプルで効率的な文法を持ち、コードの可読性が高いため、他の開発者が理解しやすく、共同作業がスムーズに行えます。

また、Perlはコンパイルが不要なスクリプト言語です。スクリプト言語の特徴として、ソースコードを直接実行するため、コンパイルの手間が省け、開発の効率化に繋がります。

さらに、Perlはテキスト処理に優れている点も重要な特徴です。テキスト処理を高速に行えるため、ログファイルの解析やデータの抽出など、大量のテキストデータを処理する際に効果を発揮します。

また、後方互換性が高いため、Perlで古いコードを書いた場合でも、新しいバージョンやアップデートに対応しやすいという利点があります。これにより、長期間にわたってメンテナンスを行いやすくなります。

さらに、Perlの魅力として、CPAN(Comprehensive Perl Archive Network)モジュールが利用できることが挙げられます。CPANには豊富なモジュールが提供されており、これらを活用することで効率的な開発が可能です。

まとめ

本記事では、Perlエンジニアの転職市場について、需要や将来性に加えて、仕事内容や必要なスキルについても解説しました。

Perlエンジニアの仕事内容には、新規開発や保守開発、運用などがあります。Perlエンジニアに必要なスキルとして、情報システム全般に関する知識や上流工程を担当するスキル、Webアプリケーションフレームワークを扱うスキル、クラウドサーバーの設定・運用スキル、既存のコードを読解するスキル、公開済みのモジュールを組み合わせて開発するスキルなどが挙げられます。

Perlエンジニアとして転職する場合の求人例や、Perl初心者がスキルを身につけるための勉強方法についても紹介しました。

Perlエンジニアは転職市場でまだまだ需要があります。一方で新しい技術やプログラミング言語が登場しているので、常に学習意欲を持ち、スキルアップを続けることが必要です。

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