Perlは1987年登場の長い歴史を持つプログラミング言語です。改良を加えた後発の言語に押され、需要は減少傾向にあると言われています。実際のPerlエンジニアの転職市場はどのような現状なのでしょうか。
本記事では、Perlエンジニアが転職で評価されるスキルや経験、需要や将来性を中心に、Perlエンジニアとして転職する場合に知っておきたいことを解説します。
- 1. Perlエンジニアの転職市場
- 2. Perlとはどのようなプログラミング言語か
- 3. Perlエンジニアの仕事内容
- 4. Perlエンジニアへの転職時に評価される知識とスキル
- 5. Perl初心者がスキルを身につけるのに有効な勉強方法
- 6. Perlエンジニアとして転職する場合の求人例
1. Perlエンジニアの転職市場
2022年1月12日時点で、レバテックキャリアにてプログラミング言語「Perl」の転職・求人情報を検索すると458件が該当します。一定のPerlエンジニアの需要が存在していると見ることが可能です。
しかし、この転職・求人情報をより深く読み込むと、別の事情も見えてきます。Perlで該当した転職・求人情報のほとんどは、他のプログラミング言語での開発ができるエンジニアにオプションとしてPerlもできるとよい、という扱いです。Perl専門のエンジニアの募集はより少ないものとなります。
Perlエンジニアの需要
Perlで開発されたシステムは現在も多数稼動しています。しかし、新しく開発されるシステムでは、PHPやRuby、Pythonといったより新しいプログラミング言語を優先して採用する傾向にあります。その理由は、これらの後発のプログラミング言語は開発効率が高められているためです。
たとえば、Pythonは同じ内容のプログラムを作成する場合には、誰が書いても似た記述になるように作られており、保守性が高いプログラミング言語です。また、Rubyはオブジェクト指向を採用しており、オブジェクト指向で書かれたプログラムは再利用がしやすく、こちらも開発効率の向上に役立っています。
一方、Perlは同じこと実現するためのプログラムの記述が複数存在します。また、Perlはもともとオブジェクト指向を前提としていないプログラミング言語です。このため、保守性や柔軟性の観点で後発の言語に先行を許し、次第に採用されることが減っていきました。
上記の背景があり、新規開発でPerlが採用される案件は減少傾向にあります。中長期的にはPerlエンジニアの需要は減少していくと考えられます。
Perlエンジニアの将来性
Perlが新たに採用される案件は減少傾向にあり、Perlエンジニアも減少していくと考えられます。
しかし、既存のPerlで作られたシステムの運用・保守にはPerlエンジニアが必要とされます。Perlエンジニアがすぐに全く不要になるとは考えにくいでしょう。
中長期的に需要が減少して、やがて0になる可能性を考慮して、ほかのプログラミング言語やスキルを習得しておくことが転職において重要になります。
2. Perlとはどのようなプログラミング言語か
本項では、Perlとはどのような特徴を持ち、どんな用途で利用されるプログラミング言語であるかを再確認します。
Perlの特徴
PerlはC言語とシェルスクリプトを改良して開発されたプログラミング言語であり、実用性と多様性を重視した言語です。Webアプリケーションの作成などに利用されます。
Perlは1987年に登場した比較的長い歴史を持つ言語です。ライブラリやWebアプリケーションフレームワークも豊富に揃っています。しかし、現在、新規でシステムやアプリケーションを開発する場合にはPerlよりもPHPやRuby、Pythonなどのプログラミング言語が使われるのが主流となっています。
後方互換性が高い
一度書いたプログラムが言語のバージョンアップがあってもそのまま利用できることを、後方互換性と言います。Perlはこの後方互換性を重視しており、一度書いたプログラムを永続的にサポートすることを重視しています。これは長期間利用する仕組みを作る際に大きなメリットとなります。
可読性が高い
Perlはc言語とシェルをもとに開発されており、多くの開発者にとって馴染みやすく読みやすいプログラミング言語です。Unixに慣れ親しんだエンジニアには特に意識する必要なく理解がしやすいプログラムとなっています。
テキストの処理が高速
Perlの処理はテキスト処理に最適化されており、テキストを扱うプログラムを作成する場合には高速な動作をします。正規表現を言語に組み込むなどテキスト処理に特化しています。
コンパイルの必要がない
Perlはスクリプト言語です。スクリプト言語の特性として、コンパイルを経ずに実行できることがあります。トライアンドエラーを繰り返しながら開発できるため、エンジニアは効率よく開発ができるメリットがあります。
CPANモジュールが多数ある
Perlはモジュールを利用することにより機能を追加することができます。例えば通信や数学的計算などプログラム作成でよく利用される機能はモジュールを活用することで、毎回作成する必要が無くなります。このモジュールはCPANとしてインターネット上に公開されており、開発者はダウンロードして利用することが可能です。
Perlでできること
Perlの主な用途について紹介します。
Webアプリケーション開発
Perlは動的なWebサイトの構築に適したプログラミング言語です。CGIというWebの仕組みの構築によく利用されてきました。
長い歴史の中で作られてきたWebアプリケーションの部品やCPANモジュールなどを活用することで、生産性と効率の高い開発が実現可能です。
Webサービス開発
Webアプリケーションと同様に、Webサービスの開発においても、Perlの特徴をメリットとして生かすことができます。動画の配信サービスや検索エンジンといったWebサービスの一部の構築に利用されています。
管理ツール開発
PerlはUnix系のOSコマンドを利用するシェルスクリプトを起源の一つとしている言語です。サーバーの管理やシステム管理では、シェルスクリプトの延長としてツールが生まれることも多く、Perlを使って作られているツールも存在しています。Unix系のOS環境ではデフォルトでインストールされている言語であることも、管理ツール作成によく利用される理由の一つとなっています。
3. Perlエンジニアの仕事内容
Perlエンジニアの主なミッションは、Perlやその他のプログラミング言語を利用してシステムを構築・提供し、利用者に利便性をもたらすことです。その仕事内容について紹介します。
新規開発
Perlは近年ではシステム開発の中心言語として選ばれることは少なくなりました。しかし、Perlは後方互換性の高さや継続的なサポートによりプログラムが長く使えることがメリットを持ちます。このメリットを見込んで、システムの新規開発においても長期間利用する部分などでPerlが選択される場合があります。
保守開発
既存のPerlで作られたシステムの保守開発もPerlエンジニアの仕事です。機能の追加、改善や問題点の修正等を行います。
運用
Perlで構築したシステムを継続的に稼働させる運用業務も仕事の一つです。長い歴史を持つことから、Perlで作られたシステムは多く、現在も稼働しているシステムを長く利用するケースもあります。
4. Perlエンジニアへの転職時に評価される知識とスキル
Perlエンジニアとして転職する際に評価されるスキルと経験について解説します。
情報システム全般に関する知識
Perlエンジニアの仕事は、システムやアプリケーションの運用や保守がメインです。既存のシステムやアプリケーションを対象とするため、システムの監視やバグ修正、運用を効率化するツールの開発、ハードウェアの老朽化対応など幅広い業務を一人で担当するケースもあります。
そのため、Perlのプログラミングスキルだけでなく、サーバーやネットワーク技術、データベース技術への理解、システム運用知識など、情報システム全般の知識が求められます。
Perl以外の言語の知識
近年、システムやアプリケーションを新規で開発する場合、Perlを用いることは比較的少なく、PHPやRuby、Pythonなどを用いるケースが多くなっています。メインで使える言語がPerlでありつつ、ほかの言語も扱えると転職の幅が広がります。
上流工程を担当するスキル
実装だけでなく、要件定義や基本設計などの上流工程もできるPerlエンジニアは転職で評価されるでしょう。上流工程では、情報システム全般に関する知識に加えてコミュニケーションスキルなどが求められます。上流工程の経験がなくても、これらの知識やスキルがあれば、転職で有利に働きます。
Webアプリケーションフレームワークを扱うスキル
PerlにはいくつかのWebアプリケーションフレームワークが開発されており、代表的なものとしてMojolicious、TripletailL、Dancer、Amon2、Catalystなどが挙げられます。Webアプリケーション開発においてはフレームワークを使うのが一般的であり、これらのフレームワークを扱えると、転職の際に評価されやすくなります。
クラウドサーバーの設定・運用スキル
システムやアプリケーションは、オンプレミス環境からクラウド環境へと移行していく流れにあります。それにしたがって、開発もクラウド環境で行うことが増えていくでしょう。Perlエンジニアに限ったことではありませんが、クラウドサーバーの設定・運用スキルがあると、転職で評価を高められます。
既存のコードを読解するスキル
前述の通り、新規開発よりも運用や保守業務が多くなるPerlエンジニアですが、そこで必要となるのが既存コードの読解スキルです。
システムやアプリケーションを構成するプログラムは設計書に沿って作られます。しかし、改修時に設計書の修正が行われなかったり、設計書が長期の稼働により失われてしまっている場合もあります。そのようなプログラムの修正や改修を行う場合には、稼働しているコード(プログラム)を正として処理内容を調べて対応することが求められるため、コードの読解力は重要なスキルの一つです。
公開済みのモジュールを組み合わせて開発するスキル
Perlは長い歴史の中で作られてきたプログラムの多くが、CPANモジュールなどの形で公開されています。Perlエンジニアはこの公開されたモジュールを活用することで、システムの開発を効率よく品質高くすることが可能です。特にPerlエンジニアとして転職する場合は、このスキルが求められるでしょう。
5. Perl初心者がスキルを身につけるのに有効な勉強方法
Perlを身に着ける場合の勉強方法について記載します。
Perlを扱っている学習サイトを利用する
Perlの持つ長い歴史から生まれるメリットの一つが情報の充実です。Perl初心者向けのオンライン学習サイト等が多数存在し、Perl環境のインストール、文法といった基礎レベルからの学習をサポートしています。動画形式の学習サイトを利用することで、より理解を深めることも可能です。
Perlの入門書を参照する
Perlは書籍も多く存在します。学習レベルとPerlで実現したい内容にあわせた書籍を選んで学習しましょう。
スクールに通う
学習のための情報が充実しているとはいえ、プログラミングの学習ではつまづくこともあり、自己解決が難しいケースもあります。そんな場合に課題を解決しやすいのが、スクールやプログラミング教室に通って学習する形態です。講師のサポートを利用することで効率的な学習が可能です。
6. Perlエンジニアとして転職する場合の求人例
◆IT・通信
自社サービスの開発
【業務内容】
◆動画配信などのWebサービスの開発・保守・運用
・既存サービスの継続稼働を支える運用業務
・新機能やサービス、業務改善に伴うシステム提案
【求められるスキル・経験】
・Perl開発経験1年以上
・LUMP環境の利用・構築
【想定年収】
400~600万円
【勤務地】
東京都
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