Web業界(インターネット業界)は、インターネットが普及してから年々成長を続けている業界です。Webサイトを閲覧して知りたい情報を得たり、ネットショップを利用したりとWeb業界が提供するサービスの利用が当たり前となりました。
また、Web業界にはテレビで紹介されるようなベンチャー企業も多く、Web業界の仕事に興味を持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、Web業界といっても多くの職種があり、さまざまなキャリアパスが考えられます。この記事では、Web業界に興味がある方に向け、業界を構成する職種とその仕事内容について解説します。
Web業界とは
Web業界(インターネット業界と同一のものとして以下記載します)とは、インターネットの世界を介して法人や個人に向けてサービスを提供し、その対価を貰うことをビジネスとしている業界です。
身近なところで例を挙げると、最近流行している動画やスポーツ中継などをWebで閲覧できるサブスクリプションサービスやコンビニなどで使えるQRコード決済サービス、商品をオンライン上で購入できるECサイトなどは、Web業界のビジネスとして分類できます。
Web業界の魅力
人によって魅力的に映る部分は違うという前提のうえでの一般論ですが、Web業界で働くことの魅力としてよくいわれるのは「パソコンとインターネット環境で完結できる(ことが多い)」という点です。
オフライン(対面)の必要性が他業界よりも少ないことから、昨今増えつつあるリモートワークについても他業界より導入が進んでいます。もちろん企業のルールにもよりますが、在宅ワーカーやノマドワーカーのような働き方に憧れている方も多いのではないでしょうか。
また、後ほどご紹介するWeb業界の各職種については、フリーランスとして活躍している人も多く、ライフスタイルに合わせたキャリアプランを描きやすい点も魅力といえるでしょう。
Web業界の市場規模と今後の展望
総務省では上記のようなビジネスを「インターネット付随サービス業」と分類しており、年に1回のペースで「情報通信白書」という資料で国内生産額などをまとめています。
「情報通信白書 令和3年版」によると、2019年におけるインターネット付随サービス業の国内生産額は4.1兆円。情報通信産業という大きな分類の中における経済規模比率としてはまだ低いものの、2005年~2019年の年平均成長率は9.1%と他の部門と比べても高い成長率を誇っており、市場規模は年々増加傾向にあることが分かります。
内訳としては、ウェブコンテンツ配信業が全体の30%ほどの売上高を占めており、ショッピングサイト・オークションサイト運営業(約17%)、課金・決済代行業(約7%)がそれに続く形です。
2020年には新型コロナウイルスによる在宅時間が増えた影響を受け、これらインターネット付随サービス業の需要や売上は、2022年現在でさらに伸びていることが予想されます。アフターコロナ・ウィズコロナという言葉が広がっていることも追い風に、Web業界はさらなる市場成長が期待できる業界です。
Web業界とIT業界の違い - IT業界とは
ITに詳しくない方の中には、Web業界とIT業界の違いが分からない方もいらっしゃるかもしれません。ITとはInformation Technologyの略語であり、直訳すれば「情報技術」ということになります。
IT業界とは、システム開発やアプリケーションの開発、スマートフォンアプリやゲームなど、コンピュータに関係するほぼすべてのビジネスを包括的に指す言葉です。
Web業界もコンピュータを活用する業務という点ではIT業界といえるでしょう。IT業界という大きな枠組みの中に、Web業界という業種が含まれているイメージであり、その点においてWeb業界とIT業界は区別されることが多いです。
Web業界が扱う主なサービス
Web業界に属する企業が提供しているサービスは、主に以下の8つに分類されます。インターネットを日常的に使っている人にとって、馴染みのない言葉もあるでしょう。順番に一つずつ解説していきます。
Web広告
検索結果や各Webサイト、SNSなどWeb上に表示される広告は一括りにすると「Web広告」と呼ばれます。広告主ないしは広告主から委託された代理店などの第三者が運用しており、テキストや画像、動画などさまざまな形式の広告が存在します。
eコマース
「Amazon」「楽天市場」などに代表される、いわゆるインターネット通販(電子商取引)のサービスがeコマースと呼ばれます。最近では決済機能や顧客管理機能だけを提供するようなサービスも登場しており、個人規模のWebサイトでもインターネット通販のサービスを提供できるようになりました。
SNS
SNSはソーシャル・ネットワーキング・サービスの略で、インターネットを介し他者との交流ができるプラットフォーム(Webサービス)のことを指します。古くはmixi、現在でいうとTwitterやFacebook、Instagram、TikTokがSNSの代表例としてよく挙げられますが、広義で捉えると動画や配信を通じて交流ができるYouTubeもSNSの1種といえるでしょう。
ソーシャルゲーム
前述のSNSをプラットフォームとして提供されるゲームはソーシャルゲームと呼ばれます。SNSアカウントと連携することで、SNSで利用しているプロフィールをゲーム上でも利用することができ、多くのゲームにチャットやランキングなど、他者との交流ができる機能が付いているのが特徴です。
eラーニング
eラーニングとは、インターネットを介した学習サービス全般を指します。たとえば、Web業界の職種の一つであるWeb系エンジニアには、プログラミング言語のスキルが必要になりますが、eラーニングのサービスが発展したことで、分厚い本を読まずともPCやスマートフォンで学習ができるようになりました。
電子書籍
電子データ化されることで、PCやスマートフォンで読むことができる書籍を電子書籍と呼びます。Amazon Kindleや楽天Koboに代表されるように、eコマースを通じて書籍の電子データを購入することで、電子書籍リーダーを使って読むことができます。
ポータル
ポータルとはインターネットを利用する時の入口になるWebサービス全般を示す言葉です。ポータルには複数の種類があります。
総合ポータルサイト:Yahoo!JapanやMsn Japanのようにニュースや天気、ファイナンスなどのあらゆる情報を網羅的にまとめたサイトです。
検索ポータルサイト:Google、Yahoo!、Bingのような世界中の情報を検索することができる、検索エンジンが代表的なサービスです。
業種特化ポータルサイト:飲食店の「食べログ」美容室なら「ホットペッパー・ビューティー」など、特定のジャンルに絞って運営されているサイトのことを指します。
キュレーション
キュレーションサービスとは、ウェブ上のコンテンツを、ある特定のテーマや切り口で読みやすくまとめたものを指します。たとえば、男性向けであれば「MENDY」、女性向けであれば「MERY」、ニュース系の「Gunosy」、ビジネス系の「NewsPicks」、ライフスタイル系の「LOCARI」などがあります。
Web業界の代表的な企業
以下、Web業界を代表する企業をご紹介します。いずれも有名な会社として、多種多様なサービスを提供しています。
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・ヤフー株式会社
・楽天グループ株式会社
・株式会社サイバーエージェント
・GMOペイメントゲートウェイ株式会社
・株式会社Donuts
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、ポータルサイト「Yahoo!」を基軸に多様なサービスを提供するインターネット会社です。個人ユーザーをターゲットとしたサービスはもちろん、法人向けのサービスも提供しています。個人向けサービスは、「買う」「知る」「調べる」「楽しむ」「暮らす」など、人々の生活に密着したサービスを提供していることが特徴です。
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楽天グループ株式会社
楽天株式会社ではインターネットサービス、FinTech(金融)サービスなど、多岐にわたる分野でサービスを提供しています。これらのサービスを、楽天会員を中心としたメンバーシップを軸に有機的に結びつけることで、他にはない独自の「楽天エコシステム(経済圏)」を形成しています。
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株式会社サイバーエージェント
1万人以上の著名人が使用する「Ameba」、共通の趣味を軸とした恋活アプリ「タップル誕生」、音楽ライブ中継やスポーツなど多数のチャンネルを持つ映像配信プラットフォーム「FRESH!」などがあります。
ネット産業の変化に対応しつつ、形を変えながらメディアサービスやインターネット広告事業、ゲーム事業などを展開しています。また、オリジナルコンテンツや音楽、ニュースなどを無料閲覧できるネットTV局「AbemaTV」を2016年度から提供しており、成長分野への参入にも積極的です。
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GMOペイメントゲートウェイ株式会社
総合決済関連サービス及び金融関連サービスを提供する、東証プライム市場上場企業であり、ネットショップのほか、NHK、国税庁、東京都等の公的機関など、業界トップレベルのシェアを誇る会社です。インターネット上で何気なく使用しているオンライン決済やコンビニ収納、後払い決済、電子マネー等に使われている決済処理システムを提供しています。
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株式会社Donuts
株式会社Donutsは、ソーシャルゲーム事業・ウェブサービス事業・ASP事業を柱に、新たなビジネスチャンスを追求しています。特定のフィールドにとらわれることなく、世の中にインパクトを与えるようなサービスを提供していきたいという社風です。
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Web業界の代表的な職種
Web業界には様々な職種が存在しますが、ここでは代表的な6つの職種に関して解説します。
Webデザイナー
Webデザイナーの仕事内容
Webデザイナーは、WebサイトやWebサービスの制作において配色やサイトレイアウト、フォントの選定といったデザインを主に担当します。見た目だけでなく視認性や回遊性といったユーザビリティも含めてデザインを作成することが求められます。作成するサイトはコーポレートサイトやECサイトなど様々です。
グラフィックソフトで作成したデザインをサイトに反映するコーディングまで担当することもあります。クライアントニーズを満たすため、近年ではモバイルを含めたレスポンシブデザインが主流であることなど、常にトレンドの情報を追いかけることが重要です。
Webデザイナーに必要なスキル
Webデザイナーは、デザインに関する知識、Adobeなどのグラフィックソフト操作スキル、フロントエンドのコーディングスキル(HTML・CSS)、Adobeなどのグラフィックソフトの操作に精通していることは必須です。仕事によっては、仕様書やデザインデータの通りに正確にコーディングするスキルも求められるでしょう。
Webデザイナーの平均年収
レバテックキャリアが保有するWebデザイナー求人のデータから計算すると、Webデザイナーの平均年収は570万円ほどです。下限340万円から、上限は1500万円を超すような求人例もあります。
Webデザイナーの将来性
インターネット広告やホームページ制作などの現場で活躍することの多いWebデザイナーですが、電通が行った「2021年(令和3年)日本の広告費」によると、インターネット広告の市場はコロナ禍でも成長を続け、ついにマスコミ四媒体(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)の広告費を超えました。このことからも、Webデザイナーの需要はしばらく続くと考えられます。
Webマーケター
Webマーケターの仕事内容
Webマーケターとは、企業によって解釈が異なる場合がありますが、インターネットを活用したプロモーション活動に従事する職種のことをいいます。Webマーケティングのさまざまな技術やサービスを用いて商品の宣伝や販売を行い、集客やブランド認知向上、売上につなげることが役割です。
オフラインのマーケティングと違って、Webマーケティングは訪問者数や成約率、ページ滞在時間などのあらゆる状態を数字で計測できるため、検証や改善が容易である点がメリットです。代表的なWebマーケティングの施策としては、検索エンジンに上位表示する施策であるSEOや、検索連動型広告やディスプレイ広告などの、有料の出稿媒体を活用するインターネット広告があります。
ほかにも、TwitterやInstagramを活用したSNSマーケティング、Webアクセス解析からのデータ分析などの業務があります。また、CRMツールの代替として、LINEの公式アカウントを活用したリストマーケティングも取り入れられています。
3年前の技術が役に立たないといわれるほど変化の激しい分野であるため、常に新しい情報を仕入れて身につけることが重要です。
Webマーケターに必要なスキル
Webマーケターには、各種インターネットマーケティングに関する知識と技術、戦略設計力、分析力、ロジカルシンキングなどのスキルが必要です。Google AnalyticsやGoogle AdWordsといったマーケティング用ツール、レポーティングのためのExcelが使いこなせることが必須です。
Webマーケターの平均年収
レバテックキャリアが保有するマーケティング求人のデータからマーケターの平均年収を計算すると、下限平均は約410万円、上限平均は約640万円という結果でした。Webマーケターという職種で飛び抜けて高い年収を得ている方は稀ですが、下限平均が高く収入的には安定しやすい職種といえるでしょう。
Webマーケティング業界の将来性
Webデザイナーの項でインターネット広告市場の拡大について取り上げましたが、インターネット広告業界はWebマーケターとも密接な関連性があります。近年、SNSマーケティングや動画マーケティングが注目されているように、トレンドとなるプラットフォームの移り変わりは激しいですが、Webマーケティングという仕事がなくなることは考えづらく、Webマーケターも将来性のある職種といってよいでしょう。
Web系エンジニア
Web系エンジニアの仕事内容
Webエンジニアは、WebサイトやWebサービスに関連するシステムの開発・保守を主に行う仕事です。Webサービスとは、Google ChromeやFirefoxなどのブラウザを通じて、ユーザーにサービスを提供するシステムのことをいいます。身近なものにはECサイトのショッピングカート機能や、FacebookやTwitterなどのSNS、動画配信サービスなどが挙げられます。
Webエンジニアは、JavaScriptを用いたフロント開発、RubyやPHPを用いたサーバーサイドの開発などに携わります。担当する領域によって、フロントエンドエンジニアやサーバーサイドエンジニアのように職種が分けられるケースが多く、案件によってはHTMLやCSSを用いてデザインコーディングに携わるケースもあります。
Web系エンジニアに必要なスキル
Webエンジニアに必要なスキルは、Webサービス開発用の言語を用いたプログラミングスキル(PHP・Ruby・JavaScriptなど)です。案件によってはサーバー構築を任されるケースもあります。データベース連携するWebサービスがほとんどでありSQLなども求められます。
Web系エンジニアの平均年収
レバテックキャリアが保有するフロントエンドエンジニア求人とサーバーサイドエンジニア求人のデータからWeb系エンジニアの想定年収をそれぞれ計算すると、フロントエンドエンジニアは544万円~1260万円となり、サーバーサイドエンジニアは550万円~1500万円です。下限はほとんど変わりませんが、サーバーサイドの方が若干ながら年収上限のポテンシャルが高いことが伺えます。
Web系エンジニアの将来性
WebサイトやWebサービスを支えるWeb系エンジニアの需要は、現在既に高い状況ですが将来的にも有望です。自動化やAIの発達による将来性への懸念の声もありますが、保守や改修のようにそもそも自動化が難しい業務もあり、仕事内容が変化していく可能性はあるものの、エンジニアが不要になる将来は現状考えづらいといって良いでしょう。
Webディレクター
Webディレクターの仕事内容
WebディレクターはいわばWebサイト制作やWebサービス開発における現場監督のような存在です。クライアントからヒアリングしたニーズをもとに企画を立てて調整を行い、メンバー選定やスケジュールの仕様を決定してプロジェクトを立ち上げます。営業に代わって、現場目線で予算の交渉や契約を行う場合もあります。
プロジェクトが立ち上がったらスケジュールに従って、上記でご紹介したWebデザイナー、Webマーケター、Webエンジニアなどから構成されるチームを率いて、プロジェクト全体を進行・管理します。納品前には、クライアントから求められているニーズを満たせているか品質の最終チェックを行うのもWebディレクターの仕事です。
Webディレクターに必要なスキル
Webディレクターに必要なスキルは、Web全般の知識、コミュニケーションスキル、言語スキル(文章力)、ロジカルシンキング、統率力、企画力、提案力、交渉力、問題解決能力、財務の知識、著作権をはじめとしたWeb表記の法律知識、プロジェクトマネジメントスキルなど多岐にわたります。
デザインやプログラミングなどの実務スキルは必要ありませんが、プロジェクトを監督する立場上、Webに関する豊富な知識が必要です。一般的には、WebデザイナーやWebエンジニアが経験を積んでから目指すパターンの多い職種です。
Webディレクターの平均年収
レバテックキャリアが保有するWebディレクター求人のデータからWebディレクターの平均年収を計算すると、約600万円という結果になりました。Webディレクター兼プロジェクトマネージャーといった求人は高年収になりやすい傾向があります。
Webディレクターの将来性
Webサイト、Webサービスの進化スピードは目覚ましく、競合他社に遅れを取らないために(もしくは先んじて優位に立つために)は定期的に改修を行う必要があります。
実際に手を動かすのはデザイナーやエンジニアですが、各タスクを取りまとめる舵取り役であるWebディレクターは後述のWebプロデューサー、Webプランナーと同様に自動化やAIでは代用が難しい存在であり、今後も必要不可欠であるといえるでしょう。
Webプロデューサー
Webプロデューサーの仕事内容
WebプロデューサーはWebサイト制作やWebサービス開発のプロジェクトの責任者です。クライアントの要望をくみ取り、制作すべきWebサイトの企画を考えて顧客に提案します。Webディレクターの仕事とも重複する部分もあり、プロジェクトによっては、WebディレクターがWebプロデューサーの業務を兼任することもあります。
Webプロデューサーに必要なスキル
Webプロデューサーに必要なスキルは、Webディレクターとそれほど変わりません。しかし、WebプロデューサーはWebディレクターよりも上流工程を担当するため、広い視野が必要となるでしょう。
たとえば、プロジェクトの企画立案やクライアントとのコミュニケーション、プロジェクトの予算管理などを行えるスキルが必要です。それに加えて、顧客のビジネスを深く理解し、収益を上げるために必要な経営者視点が重要です。
Webプロデューサーの平均年収
レバテックキャリアが保有するWebプロデューサー求人のデータから平均年収を計算すると、約700万円という結果になりました。Webディレクターよりも上流工程を担当することから、より平均年収も高くなる傾向にあります。
Webプランナー
Webプランナーの仕事内容
Webプランナーは、クライアントの要望やイメージを元に、制作するWebサイトやWebサービスのプランを立てる職種です。立場的には、WebプロデューサーとWebディレクターの間に存在するイメージです。Webディレクターよりもクライアントよりの仕事といえるでしょう。
しかし、Webプランナーという職種で分けることは日本ではあまり少なく、会社やプロジェクト規模次第で上記業務を営業かWebディレクターが担当するケースが多いです。
Webプランナーに必要なスキル
WebプランナーはWebサイトやWebサービスをプランニングする職種ですので、Webサイト全般の知識が必要です。場合によってはクライアントの要望をヒアリングすることもあるので、それにふさわしいコミュニケーション能力も求められるでしょう。
Webプランナーの平均年収
レバテックキャリアが保有するWebプランナー求人のデータから平均年収を計算すると、約530万円という結果になりました。前述の通りWebプランナーという職種自体がそれほど認知されていなく、WebディレクターがWebプランナーの業務を兼務することも多いです。そのため、Webディレクターの平均年収とほぼ変わらないと考えて差し支えありません。
未経験からWeb業界の仕事へ転職するには
誰しもが最初は未経験での転職です。ただし、未経験でも転職しやすい職種もあれば、Web業界における一定以上の経験が求められやすい職種もあり、自分が望んだ職種に一発で転職できるとは限りません。その解説も含め、未経験からWeb業界の仕事に転職するためのポイントについてお伝えします。
未経験から転職しやすい職種
当記事でご紹介した職種の中でも、WebデザイナーやWeb系エンジニアは未経験者でも中途で転職しやすい職種です。転職に必要なスキルを身につけ、実績を作り、成果物として提出できるポートフォリオを準備しておきましょう。
未経験からの転職は難しい職種
WebディレクターやWebプロデューサーは、Webサイト制作やWebサービス開発に関する幅広いスキルや知識が求められるため、未経験可の中途求人は少ない傾向にあります。
これらの職種を希望している方は、Web業界の第一歩として、まずはWebデザイナーやインフラエンジニア、コーダーとして転職し、現場での実践を積んでから目指すことを検討すると良いでしょう。
志望動機の解像度を上げる
未経験の場合、経験者と比べると業務に直結するスキル面ではどうしても見劣りしてしまうため、志望動機でのアピールは重要なポイントになります。しかし、熱意ばかりが先行して志望動機が抽象的な内容になってしまうと、「自社への志望度がそこまで高くないのでは?」という印象を採用担当に与えてしまいがちです。
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・なぜその業界/職種で働きたいと思ったのか
・数あるWeb業界の会社の中で、なぜその会社を志望したのか
・現在のスキルや経験をどのように活かせるか
・将来、Web業界で自分がどうなりたいか(キャリアプラン)
の4つについて押さえつつ、具体的なエピソードも交えて志望動機を伝えられるようにすると、より好印象を与えやすくなります。
業界研究を入念に行う
志望動機の解像度を上げるためには、自分の意向やスキルを振り返ることも大事ですが、業界研究を入念に行うことも大事です。ここでいう「業界」はWeb業界という大きな枠組みではなく、ECやSaaS、インターネット広告など「志望する企業がビジネスを行っている業界」を指しています。
自分の志望する業界については、業界研究として
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・現在の市場規模
・業界の課題
・将来の展望
・最新ニュース
の4つを最低限押さえておき、志望動機を考えるというステップを踏むことをおすすめします。
参考 :
『情報通信白書』(総務省)
『電子商取引実態調査』(経済産業省)
『日本の広告費』(電通)
大手・有名企業が自分に合うとは限らない
実際に求人を探してみると分かるのですが、Web業界は比較的参入障壁が低く歴史も浅いこともありベンチャー企業が非常に多い業界です。
業界のトップシェアを争うような有名企業の求人には確かに人気が集まりやすいですが、Web業界は転職や独立などの選択肢も含め、スキル次第で自分が望むキャリアを築きやすいとされる業界です。
大手・有名企業は「経営的な安定度が高い」「社内の教育・研修制度が整っている」「大規模予算のプロジェクトに携われるチャンスが多い」などのメリットがありますが、人員の少ないスタートアップやベンチャー企業だからこその「マネジメント・ディレクションなどの上流工程に携われるチャンスが多い」「裁量や業務範囲が広く、マルチなスキルを身につけやすい」などのメリットがあります。
どちらがおすすめかという話ではないので、自分がどのようなキャリアパスを志望し、そのためにどのようなスキルを身につけたいかを考えた上で企業選びをするようにしましょう。
キャリアプランを明確にする
ここまでの話を踏まえた上で、志望動機の書き方やそもそもの会社選びにあたっては、キャリアプランを明確にしておく必要があります。Web業界は技術革新のスピードが目覚ましく、トレンドとなる分野やスキルも移り変わりが激しいため、描いたキャリアプラン通りに5年後、10年後と歩みを進められるとは限りません。
しかし、「将来のことは分からないからあまり考えないようにする」というのはおすすめできません。採用担当はキャリアプランの「実現可能性」よりも「一貫性・論理性」を重視して見ることが多いです。
そのため、将来的にキャリアプランが変わる可能性があることは当然として、現時点でのキャリアプランから逆算して「~であることから、まず●●の実務経験を積みたいと考えました」といった形に落とし込めると、その職種に就きたい理由として説得力がグンと増します。
Webデザイナーの志望動機の例
前職ではファッション販売に携わっていましたが、ファッション関係のブログを運営する中で、Webデザインについての興味が深まり独学でPhotoshopを学ぶようになりました。ファッション関係のWebサイト制作に実績のある貴社で、業界知識を活かしてユーザーにとって使い勝手のよいWebサイトを構築できるWebデザイナーを目指したい所存です。
関連記事:Webデザイナーの志望動機の書き方ポイントと例文を解説
Webマーケターの志望動機の例
趣味でブログを運営しており、アクセス数を伸ばすための方法を調べるうちにSEO含めたWebマーケティングという集客方法について強い興味を持つようになりました。Webマーケティングにおいては関係各所との調整業務も多くなるという認識でおり、前職で培ったコミュニケーション能力が活かせる部分かと考えています。将来的には、SEOだけでなく広告運用もできるWebマーケターを目指したい所存です。
Web系エンジニアの志望動機の例
これまで金融関連企業の事務職として働いてきましたが、そこでIT企業のインフラエンジニアとして働いている人と話すことがあり、トラブルに迅速に対応することにより、大きなトラブルになることなく私たちが安心してシステムを利用できているという事実にに感銘を受け、インフラエンジニアの仕事に興味を持ちました。
IT関連の仕事は未経験ではありますが、独学でプログラミングやデータベースの学習予定を組み、スキルアップを目指しています。前職で身につけた、丁寧に仕事を進めるスキルを活かしつつ、重要な社会インフラである金融システムのインフラエンジニアを目指したいと考えています。
関連記事:インフラエンジニアの志望動機の書き方を例文付きで解説【経験者・未経験者向け】
Webディレクターの志望動機の例
これまでの広告営業の業務でWebディレクターの方とコミュニケーションを取ってきた中で、Webディレクターは顧客や上司の要望を聞き出し、言語化するコミュニケーションスキルが重要であると思いました。
「営業経験のあるWebディレクター」は強みになると思い、また、自分自身もクリエイティブ系の職種に興味があったため、キャリアチェンジを志した次第です。
エンジニア全般に求められるテクニカルスキルや知識の習得については、自分自身で手を動かしながらWebアプリケーション開発を通じて行なっており、これからも継続していく所存です。
関連記事:Webディレクターの志望動機の書き方やポイントを徹底解説|例文あり
Webプロデューサーの志望動機の例
現在はWeb制作会社にてWebプロデューサーとして働いています。医薬品関連やクリニックなど、医療に関するクライアントをメインに、サイト・コンテンツのディレクション業務を行っています。また、今後は医療関係以外のフィールドにもチャレンジしたいと考え転職へと踏み切りました。
貴社が運営するサイトは以前から拝見しており、洗練されたUIや独自性のあるコンテンツがとても魅力的だと感じていました。また、私が携わってきた業界との関連性も高いため、これまでの経験を十分に活かすこともできると考えております。
入社後はWebプロデューサーとして、Web制作の根幹を担う存在となることを目指し、貴社の事業に貢献していきたいです。
Webプランナーの志望動機の例
前職ではWeb広告の営業をしておりました。近年、Webマーケティングの重要性が高まっている中、自動車業界の企業様に対するタイアップ企画に携わり、純広告の活用を知る中で、Web広告のスキルを高めていきたいと感じた次第です。
Webプランナーとして活躍するために、Web広告の営業で培った、企画力、提案力が活かせると考えています。また、Web制作に関する基本的な知識やスキルも習得しておりますので、社内のWebディレクターとの折衝業務やコミュニケーションも活かせると考えています。
コンペでのプレゼン力や営業力を活かし、Webプランナーとして適切なプランを提案し、貴社の事業に貢献していきたいと存じます。
※志望動機は要点のみの簡易的な文章例となります。
Web業界に関するQ&A
Web業界に関するよくあるQ&Aをご紹介します。
Q1.Web業界への転職は文系からでもできますか?
文系からの転職も可能です。Web業界は出身学部や年齢、性別による差はなく、未経験からも比較的転職しやすい業界といえます。
Q2.Web業界は残業が多いと聞きますが、実際はどうでしょうか?
働く業界や業種次第といえます。制作会社や代理店などはクライアント事情に合わせて動く必要がありますので、残業が多くなりやすい傾向にあると考えられます。
Q3.Web系の職種だと在宅で仕事ができますか?
Web系の職種は在宅によるリモートワークがしやすいといえます。一部のクライアントによっては対面での打合せを希望される企業もいるため、窓口に近い職種に関しては、出社の可能性もあります。
ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア職を専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通しており、現状は転職のご意思がない場合でも、ご相談いただければ客観的な市場価値や市場動向をお伝えし、あなたの「選択肢」を広げるお手伝いをいたします。
「将来に向けた漠然とした不安がある」「特定のエンジニア職に興味がある」など、ご自身のキャリアに何らかの悩みを抱えている方は、ぜひ無料のオンライン個別相談会にお申し込みください。業界知識が豊富なキャリアアドバイザーが、一対一でさまざまなご質問に対応させていただきます。
「個別相談会」に申し込む
転職支援サービスに申し込む
※転職活動を強制することはございません。
レバテックキャリアのサービスについて