SE(システムエンジニア)は、システムの開発工程全般に携わり、顧客の要望をまとめたり、設計書を作成してプログラマーに指示を出したりするなど、幅広い役割を担っています。
SEになるには、まずはプログラマーとして経験を積み、徐々に設計などのスキルを身につけてキャリアアップするのが一般的です。そのため、未経験の状態から始めるのであれば、まずは書籍や学習サイト、資格の勉強などを活用してシステム開発の基礎スキルを習得する必要があります。この記事では、SEの目指し方を中心に、求められるスキルや独学の方法、役立つ資格などを解説します。
1. SEになるには?
システム開発の中心的な役割を担うSE(システムエンジニア)ですが、SEになるためにはどのような方法があるのでしょうか。
まずはPG(プログラマー)を目指す
SEはプログラマーの上級職に位置付けられており、プログラマー経験を経て目指すのが一般的です。そのため、プログラマー未経験者がいきなりSEとして採用され、要件定義などの上流工程を任せられることはほとんどありません。
これからSEを目指すのであれば、まずはプログラマーとして就職し、経験を積んでからSEにキャリアアップする方法を選ぶのがよいでしょう。
研修が充実している未経験OKのSE求人を探す
転職サイトを覗いてみると、「未経験可」のITエンジニアを募集している案件も数多くヒットします。未経験者を受け入れている企業は研修のカリキュラムも用意されているため、一から独学でスキルを磨くよりも短時間で効率的に身につきやすいです。
ただし注意が必要なのは、未経験から参入する場合、テスト、運用、保守を中心として下流工程を担当するケースも少なくありません。求人に応募する前には必ず業務内容を確認しておくようにしましょう。
プログラミング力、ITに関する知識、論理的思考力を備えておく
上記2つのルートを紹介しましたが、どちらにしても、プログラミングスキルやITに関する基本的な知識、論理的思考力を備えておく必要があります。
これらを体系的に学習していくことは決して簡単なことではありませんが、まずは「基本情報技術者」などの資格を勉強しながらSEに求められるスキルを磨いていきましょう。具体的にSEに必要な資格は後節でさらに具体的に紹介します。
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2. SEになるために必要な基本スキル
SEとして活躍していくためには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。ここでは、最低限身につけておきたい基本スキルについて紹介します。
情報処理推進機構(IPA)は、IT関連サービスの提供に必要なスキル・知識を体系化した「ITSS(ITスキル標準)」という指標を策定しています。この指標には、各エンジニア職種に必要なスキルが詳細に記述されており、SEに求められるスキルも定義されています。SEに求められるスキルは、大きく以下の3つに分類することができます。(※1)
※1 情報処理推進機構「ITSS(ITスキル標準)V3」(2020年10月26日アクセス)
開発スキル
開発スキルとは、要件定義から設計、開発テスト、運用・保守までの幅広い知識とスキルを指します。各工程別に必要なスキルは主に以下のとおりです。
要件定義
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・アルゴリズムの知識
・システム開発手法の知識
設計・開発テスト
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・プログラミングスキル
・システム構成要素の知識(ハードウェア、ミドルウェア、ソフトウェアの関係など)
・OSやミドルウェア、開発ツール、オープンソースの知識
・ハードウェアの知識(ストレージ、メモリ、CPUなど)
運用・保守
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・ネットワークの知識(ネットワークの仕組みや設計方法、運用方法など)
・データベースの知識(データベースの仕組みや設計方法、運用方法など)
管理
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・ソフトウェア開発管理技術の知識(ソースの管理方法やリリース方法など)
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは、ステークホルダーと良好な関係を築き、円滑に交渉や提案を進めるために必要なスキルのことを指しています。SEには、要件定義や基本設計など多くの工程で顧客への提案や交渉、ヒアリングなどが発生します。順調に仕事を進めるにも、高いコミュニケーションスキルを備えておく必要があります。
マネジメントスキル
マネジメントスキルとは、システム開発における進捗管理や品質管理、リソース管理などのスキルを指しています。
SEは、プログラマーチームを率いて開発を進めるため、チームの進捗や成果物の品質管理、リソース管理といったマネジメント業務が発生します。そして、チームの進捗や品質状況は、SEからプロジェクトマネージャーへ報告します。SEの場合、プロジェクトマネージャーほど広範なスキルは求められませんが、開発を円滑に進めるためのマネジメントスキルが必要とする場合があります。
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3. 独学でSEに必要な開発スキルを身につける方法
ここでは、独学で開発スキルを身につける方法を解説します。
書籍を活用する
書籍は情報が体系的にまとめられているため、知識の補填をするのに最適な方法です。
スキルの習得(プログラミングスキルなど)において、疑問が生じた際に一人で解決しづらいという難点はありますが、知識習得においては有用でしょう。
ここでは、開発に関する知識を身につけるのに役に立つ書籍を3冊紹介します。
『SEの基本』(山田隆太著、日本実業出版社)
SEに必要な基本スキルであるテクニカルスキル、マネジメントスキル、ヒューマンスキルについて解説している書籍です。SEとしての心構えについても書かれているため、SEを目指したい人が最初に読む本としても最適です。
『ずっと受けたかったソフトウェアエンジニアリングの新人研修 第3版』(飯村 結香子・大森 久美子・西原 琢夫著、川添雄彦監修、翔泳社 )
NTTの新人研修に採用された書籍で、初心者向けにシステム開発の各工程の役割などを丁寧に解説しています。システム開発の全体像を押さえることができます。
『ピープルウェア第3版』( トム デマルコ・ティモシー リスター 著、 松原友夫・山浦 恒央・長尾 高弘訳、日経BP)
この書籍では、SEが押さえておくべきヒューマンスキルを解説しています。情報共有方法やリーダーシップ方法、チームメンバーへの業務指示方法など、チーム開発を進める上で必要なコミュニケーション方法について学ぶことができます。
学習サイトを活用する
学習サイトは、動画など視覚的なコンテンツが多く、気軽に学習できる点で近年注目されている学習手段です。PCはもちろんですが、スマートフォンやタブレット端末でも学習できるため、通勤時間や就寝前の時間などをうまく活用して効率的に学習できます。書籍と併用することで、知識やスキルをより身につけやすくなるでしょう。
今回は代表的なプログラミング学習サイトを2つ紹介します。
Udemy
Udemyはオンラインの教育プラットフォームで、プログラミングやデータベース、ネットワークなどさまざまな技術について動画で学ぶことができます。
SEに不可欠なシステム開発のスキルを学ぶのであれば、JavaやC#など人気のプログラミング言語のほか、近年注目されているPythonのコースもおすすめです。ほとんどのコンテンツが1,000円〜2,000円台で販売されており、書籍を購入するのと比べてもコストパフォーマンスは高いといえるでしょう。
ドットインストール
プログラミングを学ぶことができる学習サイトです。各レッスンは3分程度の動画で構成されています。また、プレミアムプランに入る事で動画の不明点を質問することが可能です。
ドットインストールで公開されているプログラミング言語は、CやJavaScript、Rubyなどジャンルも豊富。さらにはGoを始めとした比較的新しい言語も網羅されており、これらのコンテンツが無料で受講できるということもあり人気を集めています。
SEとして基本的なプログラミングスキルを身につけておきたい方は、興味のあるプログラミング言語のコンテンツを受講してみてはいかがでしょうか。
手を動かして開発をする
開発スキルを身につける一番の近道は、実際に自分でシステムを開発してみることです。
近年ではAWSやGCPなどのクラウドサービスにより、サーバーや開発ツール、ミドルウェアなどを個人でも容易に入手できるようになりました。
初めはこれらのクラウドサービスを活用しながら、開発環境を構築してプログラミング部分を自分で手がけてみるのがおすすめです。
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4. SEのスキル習得に役立つ資格
SEを目指す上で資格は必須ではありませんが、資格取得を通して知識やスキルを身につけることができ、自身のスキル証明にも繋げることができます。
各資格詳細とともに、当資格・技術関連の求人情報も掲載していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
未経験者におすすめの資格
プログラマーやSEとしてシステム開発の経験がなく、未経験から目指す場合におすすめの資格を紹介しましょう。
基本情報技術者試験
情報処理推進機構(IPA)が運営する国家試験です。システムの仕組みやテスト技法など、ITエンジニアに求められる基礎的な知識を身に付けることができます。合格率は20~30%程度です。
さらなるステップアップを目指すなら
基本情報技術者試験に合格し、IT関連の基本的な知識が身についたらステップアップを目指すために上位資格にチャレンジしてみましょう。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験のワンランク上にあたる試験です。開発プロジェクトの中心的なメンバーとして活躍できるスキルが備わっていることを証明でき、中級レベルの技術力をもっているエンジニアにおすすめの資格試験です。
プログラマーとしてのスキルを一通り身につけた後は、応用情報技術者試験を取得して上流工程を目指す道も模索してみましょう。
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5. SEに向いている人の特徴
これからSEへの転職を検討している方の中には、自分はSEとしての資質があるのか、SEという仕事に向いているのか不安に感じている方も多いのではないでしょうか。そこで、具体的にどのような人がSEに適しているのか、4つのポイントを中心に解説します。
勉强熱心な人
IT業界にはさまざまな職種があり、SEになったからといってIT業界の仕事が網羅できるわけではありません。システム開発に従事していく中では、解決方法が分からず壁に直面することもあるでしょう。そのようなとき、勉強を苦と考えるのではなく、自身のスキルアップにつながるとポジティブに考えられる人材が理想的です。
コツコツした作業やものづくりが好きな人
大規模なシステム開発になればなるほど、途方もない作業をコツコツを積み重ねていく必要があります。派手な作業ではなく、着実に積み重ねていく仕事が好きな人にとってはSEは最適な職種といえるでしょう。
物事を正しく理解し、他人に伝えられる力がある人
要件定義の段階ではユーザーとコミュニケーションをとりながら仕様を決めていく必要があります。しかし、必ずしも相手方がコミュニケーションが得意とは限らず、何を伝えたいのか分かりづらいこともあります。コミュニケーションが不足したままプロジェクト開発に移行してしまうと、ユーザーが求めていた仕様とは異なるものが完成してしまい、トラブルに発展することも考えられます。
相手が伝えようとしていることを汲み取る力と、自分の考えや伝えたいことを簡潔に分かりやすく伝えられる方もSEに適しています。
市場変化に柔軟に対応できる人
これはSEに限ったことではありませんが、IT業界は極めて変化が激しい世界です。そのため、仮にSEとして身につけたスキルがあったとしても、それが未来永劫通用する可能性は極めて低いのです。
「◯◯の資格を取得したから大丈夫」「SEとして上流工程に携わった経験があるから大丈夫」と考えるのではなく、将来的に到来する変化にうまく対応していける能力こそがSEにとって極めて重要な適性といえるでしょう。
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6. SEになるには学歴が求められる?
SEになるためには特定の資格は必要ありませんが、転職活動において学歴は重視されるのでしょうか。また、文系・理系どちらが有利なのかについても紹介します。
大学卒以外でもSEになれる!
SEになるために学歴が重視されることはなく、大学卒以外の方でもSEとして活躍することは十分可能です。SEをはじめとしたITエンジニアにとって重要なのは技術力やスキルであり、仮に一切の学歴がなくても高い技術力さえあれば迎え入れてくれる企業は多くあります。
さまざまな事情で大学への進学を諦めざるを得なかった方も、技術力さえ磨けば学歴に関係なく同じスタートラインに立って転職活動を行うことができます。ただし、一部の大手企業などはSEなどの職種に関係なく、全社一律で学歴条件が設定されているケースもあるため、応募前には必ず確認しておきましょう。
文系・理系で差ができる?
最後に、SEに求められる学歴について解説します。IPAが発行した「IT人材白書2018」によると、IT企業が重点的に採用した学生の専攻を調査した結果、「情報系」28%、「理系」12%、「こだわらない」58%となっています。情報系を重視した企業が多いものの、半数以上の企業が学部にはこだわらないと回答しており、スキルを証明することができれば文系でもSEを目指すことは十分に可能です。(※2)
※2 情報処理推進機構「IT人材白書2018」p110。(2020年10月26日アクセス)
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7. SEの求人例をチェック
最後に、実際の求人例を見てみましょう。
【業界】
・IT・通信 ・インターネット
・ソフトウェア ・サービス
【業務内容】
クライアントの要望に応じたWebアプリケーションの開発 企画提案から設計、実装、保守、運用まで携わっていただきます。 担当するプロジェクトは、状況や個々のスキルによって決定。使用する言語・開発ツールはプロジェクトによって変わります。
<具体的な業務内容>
・ハンドメイド通販アプリケーション
・オンライン英会話学習アプリケーション
・店舗状況管理アプリケーション
リリース済みアプリケーションの改修を担当 カスタマーサポートに寄せられた意見などをもとに、既存アプリケーションの改修を行います。長期的な保守・運用を視野に入れ、継続的なサポートも行っていいただきます。
【求められるスキル・経験】
・コミュニケーションスキルがある方
・新しい技術や物事への関心が高い方
・自発的に行動できる方
・Ruby、PHP、Golangのいずれかを用いた開発経験
・Javascript、Vue.jsなどでの開発経験
・Linux、FreeBSD上で動くWebアプリケーションの開発経験
【想定年収】
350~900万円
【福利厚生】
健康保険 / 厚生年金 / 雇用保険 / 労災保険 / 通勤手当 / 住宅手当 / 家族手当 / 残業手当 / 慶弔休暇 / 年末年始 / 夏季休暇 / 有給休暇/資格取得支援制度/書籍購入費負担
【勤務地】
福岡県
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8. まとめ
この記事では、SEの目指し方をはじめ、求められるスキルや独学の方法、役立つ資格などを解説しました。SEを目指すのであれば、まずはプログラマーとしての技術力を身につけることが大切です。SEには設計などの上流工程のスキルが求められますので、経験を積む中で徐々にスキルアップを目指していきましょう。
9. SEに関するQ&Aはこちら
Q1. SEになる方法を教えて下さい。
SEはプログラマーの上位職として位置づけられています。プログラマーとして就職し、経験を積んでからSEにキャリアアップする方法を選ぶのがよいでしょう。
Q2. SEに求められるスキルは何ですか?
ステークホルダーと円滑に交渉・提案を進めるヒューマンスキル、開発チームを束ねるマネジメントスキル、プログラミングなどの開発スキルの大きく3つに分けられます。
Q3. 独学で開発スキルを身につける方法はありますか?
書籍や学習サイトの活用によって独学で知識・スキルを身につける事が可能です。詳細は「独学でSEを目指す方法」も参照してみてください。
Q4. SEに学歴(文系/理系)は求められるのでしょうか?
半数以上の企業が学部にはこだわらないと回答しており、スキルを証明することができれば文系でもSEを目指すことは十分に可能です。
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