- 転職市場から見るC#エンジニアの需要状況
- そもそもC#とは
- C#がよく使われている分野
- C#エンジニアとして転職する際に評価されるスキルと経験
- C#エンジニアとして転職するためのポイント
- 未経験でもC#エンジニアとして転職は可能
- C#エンジニアの求人例
- C#に関するよくある質問
- まとめ
転職市場から見るC#エンジニアの需要状況
C#エンジニアは、マイクロソフトの「.NET Framework」を活用した業務システムの開発案件において安定的な需要があります。企業におけるWindows OSのシェアは非常に高く、今後も業務システム開発での需要は継続的に続くと考えられます。
C#は開発元であるマイクロソフトから、.NETフレームワークなどの開発を支援する機能が提供されており、他のプログラミング言語とくらべても開発しやすいという特徴も持ちます。 そのため、新規でのスクラッチ開発はもちろん、既存のシステムやソフトウェアの保守や改修という面でもC#の需要はとても安定しており、将来性のある言語といえます。
ゲーム業界の市場成長
ゲーム(スマホアプリ含む)やVR/ARなどの市場成長に伴うC#エンジニアの需要拡大も見込まれます。特に、ゲーム業界の市場拡大スピードが著しく、ファミ通の調査(※)によると、2020年に20兆6417億円だった世界のゲーム市場は2021年には21兆8927億円と1年間で6%以上の成長を見せています。
このような背景から、C#エンジニアの将来性は明るいと言えるでしょう。
※参考:ファミ通『ファミ通ゲーム白書2022』
C#は転職に有利
C#のスキルや開発経験は転職時に有利に働きます。
C#が転職で有利な理由の一つとして、C#が多様な開発に利用できる言語ということが挙げられます。Webサービスや業務システムをはじめ、ゲームやスマホアプリにもC#で開発されているものが多くあります。
市販のソフトウェア開発や業務システム開発の現場で最も多く使われていた言語がC言語やC++です。C言語やC++より効率的に開発ができ、C言語やC++で開発したソフトウェアとの統合ができる言語として開発されたのがC#です。そのような経緯から多くの開発でC#が採用されています。
C#はWindowsの開発元であるマイクロソフトが開発した言語のため、Windowsと親和性が高いという特徴があります。特定のOSに依存していることは弱点になる可能性もありますが、業務システムについては簡単に環境を変えることはあまりないため、C#のスキルがあれば転職に有利だと言えます。
そもそもC#とは
C#は、C++とJavaを参考にして開発されたオブジェクト指向のプログラミング言語であり、Microsoft社によって開発され、2000年にリリースされました。
C#は多くのプラットフォームで活用できる柔軟性と、オブジェクト指向のメリットを持つ言語として、幅広い開発ニーズに応えています。
C#の特徴
C#の特徴としては、マルチプラットフォームに対応していることやC系言語の中では比較的習得しやすいと言うことが挙げられます。
ただし、「C#」という名前からC言語やC++と互換性があるように思えるかもしれませんが、実際にはC言語やC++とは異なり、同時に使用することはできません。
マルチプラットフォームで幅広い開発ができる
C#の最大の特徴は、マルチプラットフォームで幅広い開発に活用できることです。
C#を習得することで、Windowsをはじめ、MacOS、iOS / Androidアプリ、Webアプリケーションなどの開発が可能になります。
C#はオブジェクト指向を採用しているため、システム部品の再利用が容易であり、プログラムの修正や流用が容易であるというメリットがあります。
C系言語のなかでは比較的習得しやすい
C#はC系言語の中でも比較的習得しやすい言語と言われています。C#はCやC++から多くの構文や概念を引き継いでおり、C系言語の知識を持つ開発者にとってはスムーズな移行が期待できます。
C#は新しい言語ですが、C系から派生しており、C・C++・Javaと構文や文法が類似しています。特に条件分岐や繰り返しといった制御構文において、その類似性が見られます。
C#を学ぶ際には、CやC++の知識を活かすことができるでしょう。
C系言語との互換性はない
C#はC++やJavaを基に開発された言語であり、C言語やC++などのC系言語に分類されますが、互換性はありません。
C#とCやC++を同時に実行することはできません。C#は実行に仮想マシンを使用するため、実行速度が比較的高速なのもC#の特徴です。この点でもC言語とは異なる部分です。
Windows環境に強い
C#は、Windowsアプリケーションの開発に広く利用されています。マイクロソフトが開発したC#は、Windowsとの相性が非常に良いという特徴があります。
C#の開発によるWindowsアプリケーションは、マイクロソフトの開発環境やフレームワークとシームレスに統合されるため、効率的で高度な機能を提供できます。また、C#はWindows向けに最適化された機能やAPIを豊富に備えており、Windowsプラットフォームの特性を十分に活かすことができます。
C#がよく使われている分野
ここでは、C#が使われている分野の中でも、特に近年よく使われる領域について具体例を交えて紹介します。
Webサービス
C#は、口コミサイトや求人サイト、Eコマースサイトなど、Webサービスの開発に採用されています。具体的には、MSNポータルサイトや検索エンジンBing、Skypeの公式サイトなどが挙げられます。
業務システム
C#は、Windows OSに搭載されている「.NET Framework」というアプリケーションの実行環境上で動作するシステムの開発に強みを持っています。世界的に見てWindows OSのシェアが高いことから、経理システム、在庫管理システムなど、業務システムの開発言語として多くの企業で採用されています。
ゲーム
C#は、代表的なゲームエンジンであるUnity上で使用できる言語であることから、コンシューマーゲームなどの開発にも多く採用されています。UnityはVR/AR開発も可能であることから、UnityとC#を使ったVR/AR開発も盛んになってきています。
スマホアプリ
C#の代表的な開発環境であるVisual Studioはスマホアプリの開発にも対応しており、Androidを中心にスマホゲームなどさまざまなアプリが開発されています。
C#エンジニアとして転職する際に評価されるスキルと経験
ここでは、C#エンジニアとして転職する際に評価されるスキルと経験について解説します。
Windowsアプリケーションの開発経験
C#は、Windowsアプリケーションの開発に長らく使われてきました。そのため、「.NET Framework」を含め、マイクロソフトの開発環境での開発経験があるエンジニアは評価されやすいでしょう。Windowsアプリケーションの開発はVBが採用されることもあるため、VBでの開発経験もあれば合わせてアピールすると良いでしょう。
業務システムに関する知識
C#は業務システムの開発案件に用いられることが多いことため、CRM(顧客関係管理システム)・SFA(営業支援システム)、SCM(サプライチェーン管理)・ERP(統合基幹業務システム)といった業務システムの知識が求められる傾向があります。また、業務システムの開発は、その業界の業務知識を有するエンジニアでチームを作るケースが多いことから、小売業や製造業、金融業といった特定業界の業務知識も合わせて有しているとより評価が上がる傾向にあります。
さらに、今後はいずれの業務システムにおいてもビッグデータやIoT、人工知能といった先端技術を活用したシステムが主流となっていくため、これらの知識も身につけておくと良いでしょう。
Visual Studioの使用経験
C#での業務システムやスマホアプリの開発は、マイクロソフト社が提供するVisual Studioを使うケースが主流です。Visual Studioには、無料で使える「Visual Studio Community」や小規模開発を対象とした「Visual Studio Professional」、業務システムの開発など比較的大規模なシステム開発での利用を想定した「Visual Studio Enterprise」などの種類があります。企業で導入されるのは「Visual Studio Enterprise」がほとんどであるため、Enterpriseの実務経験があるとより高い評価につながります。
Unityの使用経験
ゲーム開発は、ゲームエンジンとしてシェアが高く、VRやARゲームの開発にも対応しているUnityを使うケースが一般的です。最近では、Unityを使ったVRゲームやARゲームの開発経験者の需要が特に高まっているため、ゲーム業界への転職を目指すのであれば身につけておきたいスキルの一つです。
モバイル開発の経験
モバイル端末は、OSによって挙動が変わることがあるほか、GPSといったパソコンにない機能を有しています。そのため、モバイル開発領域においては、モバイル向けのアプリケーション開発経験が重視される傾向にあります。また、操作性や見栄えが重要であることから、UI設計やUX設計に強みを持つエンジニアは高い評価を得られるでしょう。
C#エンジニアとして転職するためのポイント
それでは、C#エンジニアとして転職を成功させるためにどのようなことに気をつければ良いでしょうか。
何の開発を行うか明確にする
汎用性の高いC#はいろいろな業種・業界の多様な分野で採用されているため求められるスキルセットはそれぞれの分野ごとに異なります。まずは自分の得意な分野を見定めてその分野で活躍できるスキルを磨くと良いでしょう。その上でさまざまなニーズに対応できるように幅を広げて行けば、C#エンジニアとして引く手あまたになるでしょう。
複数の言語を習得する
幅を広げるという意味では、C#だけでなく他の言語を習得することも有効です。基本となるC#を押さえたうえで、他の言語も扱えるようになれば、飛躍的な年収アップも期待できます。
C#の次に習得する言語としておすすめなのはC#と言語仕様が似ていて案件も多い「Java」です。JavaはC#と同じオブジェクト指向言語なので比較的習得しやすいでしょう。
その他にも転職市場では、C#と同時に求められる言語スキルとして「C++」「JavaScript」「Ruby」「SQL」などが挙げられます。
転職サイトや転職エージェントを活用する
C#エンジニアの転職活動において、転職サイトの活用は非常に有効です。
転職サイトでは、多くの求人案件から自身の希望に合ったものを選んで応募することができます。
掲載されている求人は、採用企業が広告として掲載しているものです。
転職サイトのメリットは、まず多くの求人案件を閲覧できることです。自身の希望条件やスキルに合った案件を比較検討できるため、適切な選択がしやすくなります。
また、転職サイトのマイページ機能を活用することで、自身の転職活動の状況やスケジュールを管理することができます。これにより、応募先の管理や面接の予定などをスムーズに進めることができます。
さらに、転職サイトを利用することで、自身のペースで転職活動を進めることができます。好きな時期に自分の希望に合った求人を探し、マイペースで応募や面接を進めることができるので、ストレスなく転職活動に取り組むことができます。
未経験でもC#エンジニアとして転職は可能
C#はC系言語としては比較的習得しやすいため、他のプログラミング言語の実務経験を持つエンジニアであれば、C#未経験でも転職の可能性は十分にあります。
特に、C++やJavaの構文や文法に慣れているエンジニアであれば、C#への転職は難しくありません。
また、完全な未経験者の場合でも、第二新卒までのポテンシャル採用枠を利用すれば、C#エンジニアとしての転職が可能です。
C#エンジニアの求人例
ここでは、C#エンジニアの求人例を紹介します。
ITサービス及びソーシャルゲームの開発会社
【想定年収】420~1000万円
【業務内容】
・iPhone/Android向けゲームのサーバーサイド開発
・ゲームプランニング、開発、テスト
【必要なスキル・経験】
・B2CのWebサービス開発経験
・問題解決能力
SI企業
【想定年収】350~600万円
【業務内容】
・会計システムの開発・保守
・パッケージソフトウェアの開発保守
【必要なスキル・経験】
・C#(又はJava)の開発経験
・システムの開発工程についての知識(ウォーターフォール、アジャイル、テスト手法等)
・会計についての知識
・プロジェクトマネジメント経験
C#に関するよくある質問
C#エンジニアへの転職を考えているエンジニアからよくあるご質問を紹介します。
C#でできること、未経験からの転職、将来性などについての質問が多いです。自分自身が疑問に思っていることに近い質問があれば、ぜひ参考にしてみてください。
Q1. C#では何ができる?
C#は非常に多くの用途で活用されており、幅広い開発領域で使用されています。
例えば、Webシステムやアプリケーションの開発、モバイルアプリ・ゲーム開発などに使われています。
その他にも、Windowsデスクトップアプリケーションの開発やクライアントサーバーアプリケーション、データ処理や分析、自動化ツールの作成など多くの領域でC#が使用されています。
Q2. C#に将来はある?
C#は非常に汎用性の高い言語であり、多岐にわたる分野で幅広く活用されています。その柔軟性と多機能性から、C#はさまざまな開発プロジェクトでの選択肢として重要な位置を占めています。
特にゲーム開発においては、C#の人気が高まっています。VR/ARをはじめとした次世代のゲーム開発では、C#が一般的なスクリプト言語として採用されています。
このようにC#の将来性は高いと言えるでしょう。
Q3. 未経験からC#エンジニアとして転職できる?
未経験からC#エンジニアとして転職することは可能ですが、他の言語やIT業界の経験がない場合は難しいと言えます。
基本的なIT業界の知識やプログラミングのスキルを身につけることから始めましょう。
まとめ
C#は、Webアプリケーションやスマートフォンアプリなど、開発するアプリケーションの種類によって開発環境が変わります。そのため、C#エンジニアは目指す分野に応じて、関連技術を身につけていく必要があります。
より高い年収を得るためには、VR/ARなどの最新技術や、C#が広く採用されている業務用システムについて理解を深めておくべきでしょう。
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