人手不足が慢性化しつつあるIT業界では、他業種からの転職者を積極的に受け入れています。しかし、専門知識・スキルが必要なSEやプログラマーは、IT業界未経験者にとってやや敷居が高いといえるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、他業界での経験が評価されやすいヘルプデスクから、徐々にエンジニア職にステップアップを目指す方法です。この記事では、ヘルプデスクという職種を検討している方へ向け、仕事の種類や仕事内容、求められるスキル・経験、目指す際に役立つ資格、キャリアアップの選択肢などを解説します。
- 1. ヘルプデスクとは
- 2. なぜ未経験OKの求人が多いのか
- 3. 未経験可のヘルプデスク転職求人例
- 4. ヘルプデスクの仕事がきつい・やめとけと言われる理由
- 5. ヘルプデスクの種類と仕事内容
- 6. 他の職種との違い
- 7. 未経験からの転職が可能なヘルプデスクのポジション
- 8. 未経験からの転職が難しいヘルプデスクのポジション
- 9. ヘルプデスクに求められるスキル
- 10. 未経験からヘルプデスクを目指す際に役立つ資格
- 11. ヘルプデスクに向いている人と不向きな人の特徴
- 12. 未経験者向けヘルプデスク求人に応募する際のポイント
- 13. ヘルプデスクの将来性と今後の動向
- 14. ヘルプデスクの主なキャリアパス・キャリアアップの方向
- 15. まとめ
1. ヘルプデスクとは
ヘルプデスクとは、企業におけるITの活用をサポートする職種のことです。ITはさまざまな企業で活用されていますが、ユーザーの中には業務で使用しているアプリケーションの使い方が分からなかったり、システムに不具合が発生したときに対応できなかったりします。
そのようなとき、ヘルプデスクはユーザーに対してアプリケーションの使い方を教えたり、システムに発生した不具合を担当者に報告したりするなどのトラブル解決のサポートを行います。
関連記事:ヘルプデスクとは|仕事内容や必要なスキル・経験、役立つ資格も解説
2. なぜ未経験OKの求人が多いのか
ヘルプデスクの求人には、ほかのITの職種に比べると未経験OKの条件で募集されていることが多いことに気付きます。これはヘルプデスクの業務が比較的短期間の研修や学習により身につけられることが理由です。
IT関係の業務でも、ヘルプデスクはITに関する専門的な知識よりも、ユーザーへ分かりやすく指示ができるコミュニケーションスキルや、ユーザーの声を適切にヒアリングできるスキルの方が重視されます。また、ヘルプデスクの仕事は社内で稼働している業務システムに関することが多く、入社後に研修を受けることで初めて理解できるような技術であることが大半です。入社前にそれらの技術を身につけることはできないので、自ずと未経験OKの条件での求人となりやすい事情があります。
もちろんWindowsやWord、Excelの基本的な知識は必要です。それらはもはや、ほとんどの社会人にとって必須の知識となっているため、わざわざ求人の条件に加えていないというケースもあります。
未経験からヘルプデスクになるには
前述の通り、ヘルプデスクになるには特別な資格や高度な知識が求められることはほとんどありません。求人サイトや転職エージェントなどヘルプデスクの求人を扱っている媒体を活用して探せば、エントリーできそうな求人が見つかるでしょう。
とは言え中には未経験ではエントリーが難しい求人があるのも事実です。記事の後半で、未経験では難しいヘルプデスク求人の特徴や持っていると有利な資格などもご紹介します。
3. 未経験可のヘルプデスク転職求人例
以下では、レバテックキャリアが保有するヘルプデスクの求人データより、未経験可のヘルプデスク求人例をご紹介します。
【ヘルプデスク】部署内外の打合せ/PCキッティング作業など
【業務内容】
・社内問い合わせ対応
・PCキッティング作業
・他部署、自部署内の打合せ など
10名ほどで構成されたチームにおいて、主に社内ヘルプデスク・テクニカルサポート業務をしていただきます。
ご活躍いただき、ゆくゆくはITエンジニアとして挑戦することも可能です。
【応募要件】
<経験など>
・社会人経験1年以上
・ヘルプデスク業務に挑戦したい方
<仕事のマインド>
・活力に富んでおり、スピード感を持って業務に取り組める方
・高いコミュニケーション能力、協調性をお持ちの方
・同社の事業内容に関心をお持ちの方
【想定年収】
362~450万円
【ヘルプデスク】工場内EUC・ITサポート業務
【業務内容】
・アプリケーション基盤管理業務
・情報セキュリティー管理業務、クライアント端末管理業務、IT資産管理業務
・社内サーバー稼働管理業務、社内ネットワーク管理業務、プリンター管理業務
工場内EUC・ITサポート業務をお任せします。
【応募要件】
<経験など>
下記のいずれか
・ITパスポート+情報系学部卒
・基本情報の有資格者(実務未経験可)
・ヘルプデスクもしくはITサポートの実務経験者(1年以上)
<仕事のマインド>
・柔軟なコミュニケーションが取れる方
【想定年収】
315~400万円
【ヘルプデスク】基幹システムやネットワーク稼動状況の監視
【業務内容】
・基幹システムやネットワーク稼動状況の監視
・障害時インシデント対応
国内有数の電気メーカー内のデータセンターでの業務をお任せします。本人の希望に合わせて、キャリアチェンジをすることが可能です。また、現在大幅増員を行っている拡大フェーズのため、早い段階でリーダーを目指せます。
【応募要件】
<経験>
・IT基礎知識をスクールあるいは独学で勉強した経験
※これからIT業界を目指している方も歓迎です
<仕事へのマインド>
・コミュニケーションが円滑に取れる方
【想定年収】
299~585万円
4. ヘルプデスクの仕事がきつい・やめとけと言われる理由
未経験OKの求人の多いヘルプデスクの仕事ですが、きつい・やめとけという声も聞こえてくるのも事実です。その理由としては、以下のようなものが挙げられます。
専門知識が覚えられない
ヘルプデスクには社内システムを含めたITに関する幅広い専門知識が要求されます。これらの知識は毎日のようにアップデートされており、業務を行いながら身につけていかなければなりません。
状況によっては、ヘルプデスクに問い合わせてきたユーザーの方が、対象とする技術について詳しいということもあり、自分の力不足を痛感させられることも多く、ヘルプデスクの仕事の辛さにもつながっています。
クレーム対応へのストレス
ヘルプデスクの業務の多くは、ユーザーからのお問い合わせの対応です。特にシステムの不具合に関するお問い合わせでは、クレーマーのように厳しい言い方をしてくるユーザーへの対応が必要なときもあります。クレーム対応が1日に何度もあると、ストレスも溜まります。厳しいクレームをいつまでも気にしてしまうタイプの方にとっては、ヘルプデスクの仕事は辛いかもしれません。
関連記事:ヘルプデスクのストレスについて
ヘルプデスクは忙しい?
ヘルプデスクに寄せられたお問い合わせの中には、対応に時間が必要なケースも含まれます。またお問い合わせ数が多いときや、ほかのヘルプデスクが欠勤しているときなどは、対応しなければならないお問い合わせ数が多くなり、忙しくなってしまうこともあります。定時に出勤して定時に退勤できる日ばかりでないことは、覚悟しておいた方がよいでしょう。
ヘルプデスクのメリット・やりがい
ここまで紹介したように、ヘルプデスクの仕事にはきつさがあるのも事実です。しかし困っているユーザーを助けて感謝されたときは、ヘルプデスクの仕事に対して強いやりがいを感じるのではないでしょうか。
また日々の業務を通じてITについて詳しくなれるのも、今後のキャリアアップを目指す上でのヘルプデスクの大きなメリットです。時には解決が困難な問題に直面することもありますが、しっかりと対応できたときはとても強い達成感を得られるでしょう。
5. ヘルプデスクの種類と仕事内容
一口にヘルプデスクと言ってもさまざま種類があり、それぞれ仕事内容が異なります。まずはヘルプデスクの主な種類と仕事内容について解説していきましょう。
社外ヘルプデスク
社外ヘルプデスクは、自社製品・サービスに関する問い合わせを受け付け、調査・回答します。自社の外部に対してサポートを行うため、「社外」ヘルプデスクと呼ばれます。社内の関連部署と連携しながら、調査を進めることが多いでしょう。
社内ヘルプデスク
社内ヘルプデスクは、自社内からの問い合わせを受け付け、調査・回答する仕事です。主に社内の業務用サーバーやネットワーク、業務アプリケーションに関する問い合わせに対応します。企業によっては社内SEとよばれることもあります。
監視オペレーター
監視オペレーターは、稼働中のサーバーやネットワーク機器(スイッチやファイアウォールなど)を監視し、異常を検知したら社内・社外のユーザーに知らせる仕事です。一般のヘルプデスクとは異なり、オペレーターからユーザー側へ最初のコンタクトを行う点が大きな特徴です。
6. 他の職種との違い
ヘルプデスク以外にもIT系の職種はいくつかありますが、それらの職種との違いについてご説明します。
SEやプログラマーとの違い
SEやプログラマーとの違いについて解説します。ヘルプデスクはIT業界の職種としては入門的な位置づけで、SEやプログラマーとも違いがあります。
SEは、ITシステムの大枠を決定し、設計書を書き起こします。プログラマーは、SEが作成した設計書をもとにプログラミングによって実装を進め、テストによって不具合(バグ)をチェックし、修正していきます。どちらもヘルプデスクに比べると高度なITの専門知識(データベースやネットワーク、プログラミングの知識やテストシナリオ作成スキルなど)が必要です。
ヘルプデスクにも一定の知識が必要になりますが、その大半は特定の製品やサービスに特化したものであり、マニュアル化されています。そのためSEやプログラマーと比べると、IT業界未経験者でも業務内容は習得しやすいといえるでしょう。
社内SEとの違い
社内SEもヘルプデスクと同様に、ITを活用して業務を効率化させる仕事であることに違いがありません。しかしヘルプデスクは社内やお客様のITに関する質問やトラブル解決をメインとしており、社内SEは社内システムやIT機器の導入や開発をメインとしています。ヘルプデスクの方がよりユーザーに近い仕事であるといえるでしょう。
関連記事:社内SEとヘルプデスクの違い
テクニカルサポートとの違い
テクニカルサポートもヘルプデスクと同様に、ユーザーからのお問い合わせへの対応を主な業務としています。しかしテクニカルサポートはヘルプデスクよりも、さらにITに関する専門的な技術を対象としています。またヘルプデスクはメールやチャット、電話など非対面での対応が多いことに対し、テクニカルサポートは直接ユーザーの元に駆けつけて、現地で業務を行うこともあります。
関連記事:テクニカルサポートとは?ヘルプデスクとの違いは?
7. 未経験からの転職が可能なヘルプデスクのポジション
未経験から転職が可能なヘルプデスクのポジションとしては、端的にまとめると要求されるITスキルがそれほど高くないポジションが該当します。
たとえば社内システムへの対応が求められるヘルプデスクの場合、未経験で転職して後に、研修などで社内システムの基本的な仕様や機能、不具合発生時に確認するべき項目などを学び、マニュアル通りに対応できれば、最低限の仕事として成り立つことがあります。
このようなポジションの場合、ITスキルよりも、ユーザーからのお問い合わせを丁寧にヒアリングするスキルや、解決策を分かりやすく伝えるコミュニケーション能力があれば、ヘルプデスクの仕事として成り立つでしょう。
8. 未経験からの転職が難しいヘルプデスクのポジション
ヘルプデスクには、これから紹介するように未経験からの転職が難しいポジションもあります。
社内SEを兼任するポジション
企業内システムの運用、保守業務を担当する社内SEは、ヘルプデスクを兼任しているケースがあります。この場合、肩書はヘルプデスクであっても、実際には業務システムの運用・保守にまつわるさまざまな業務を担当するため、未経験からの転職は難しいでしょう。
社内SEは、基幹システムや人事給与システムなど、企業内の業務を支える重要なシステムの運用・保守を担当しています。また、こうしたシステムの仕様変更や不具合修正を指揮することもあるため、設計・開発・プログラミングといったスキルが必要になることも珍しくありません。
企業向けパッケージソリューションのヘルプデスク
ERPやCRM、統合型IT基盤ソリューションなどに関するヘルプデスクも、未経験者にはややハードルが高いといえます。こうしたパッケージソリューションは、販売元が公式サポートサービスを提供しているものの、カスタマイズや改修を加えた部分についてはサポートの対象外としているケースが大半です。
そのため、開発要員をヘルプデスクとして着任させたり、専門知識を有するパートナー企業に委託したりしながら、問い合わせ対応を行っています。
公式サポートではカバーされていない範囲(標準仕様ではない範囲)のサポートとなるため、その企業独自の仕様や開発に使われている言語への理解など、高度な専門知識が求められます。そのため未経験からの転職では、難しいポジションと言えます。
9. ヘルプデスクに求められるスキル
IT業界において未経験者や経験の浅いエンジニアが担うことの多いヘルプデスクですが、具体的にはどのようなスキルや知識、経験が求められるのでしょうか。今回はコミュニケーション能力に関するスキルとPC関連のテクニカルなスキルに分けて解説します。
コミュニケーション能力
ヘルプデスクの多くは、対面はもちろんのこと電話やメール、チャットなど、さまざま方法でユーザーとコミュニケーションを重ねることが基本となります。そのため、一般的なITエンジニアに求められるテクニカルな知識というよりは、以下のような顧客応対に関するスキルがより重視される傾向があります。
・接客、電話対応のスキル
・敬語のスキル(尊敬語や謙譲語など)
・質問やクレームの要点を掴む力
・文章力(インシデント管理システムに対応履歴を入力するため必要)
基本的な言葉遣いや分かりやすく伝える力ももちろん重要ですが、ヒアリング力も重視しなければなりません。ヒアリング力とは、ユーザーが伝えようとしている内容を的確に把握する力のことを指します。伝えたい内容が正確に伝わらないと、顧客はさらなる不満を抱き、二重、三重のクレームに発展する可能性もあるでしょう。
ユーザーが抱える問題を早期に解決に導くためには、コミュニケーション能力は極めて重要なスキルといえるのです。
ビジネスマナー
ヘルプデスクは社内や社外のユーザーとコミュニケーションする仕事ですので、ビジネスマナーは必要不可欠です。電話対応時の適切な言葉づかいや、メールやチャットで文章を入力する際に、正しい文法を使い、丁寧かつ分かりやすく伝えることは、ヘルプデスクに必要な基本的なスキルです。
パソコン操作やよくあるトラブルに関する知識
ヘルプデスクの多くの現場では、ユーザーからの問い合わせ内容をPCなどに入力し、インシデント管理を行っています。当然のことながら基本的なPC操作スキルは最低限求められ、必要なスキルを満たしていないと業務効率や生産性が大幅に低下してしまいます。
また、一部の募集ではテクニカルスキルが求められることもあります。例えば、「Linux系OSの基礎的な操作」が条件であれば、「ls(フォルダの内容をリスト形式で表示する )」や「cd(ディレクトリを移動する)」といった基本的なコマンドが使えると評価が高まるでしょう。さらに、「ipconfig」や「traceroute」などを使用して、ネットワークの状況を確認できるレベルになれば、即戦力として活躍できるかもしれません。
Officeソフトに関する操作スキル
WordやExcelといったOfficeソフトに関する操作スキルもヘルプデスクには必要です。これらはヘルプデスクを含めたIT系の仕事には必須ですので、積極的に身につけましょう。
タイピングスキル(ブラインドタッチ)
チャットやメールでの対応が多いヘルプデスクには速くかつ正確にタイピングするスキルも欠かせません。特に誤字脱字がある状態でユーザーに文章を送信してしまうと、誤解が発生してユーザーからの信頼も失われてしまうことにもなりかねません。
10. 未経験からヘルプデスクを目指す際に役立つ資格
未経験からヘルプデスクを目指す際に役立つ資格をご紹介します。これらはITに関する知識と技術を高められる資格であり、ヘルプデスクへの転職後に役立てることもできるでしょう。
ITパスポート
ITパスポートはIPA(情報処理推進機構)が運営する試験で、IT分野にかかわる初歩的な内容が多く出題されます。ITエンジニアというよりは、主にITを業務に活用するユーザーを対象にした試験で、一般的なビジネス分野の知識も試験範囲に含まれていることが特徴といえます。
令和3年度は年間応募者数が24万人を突破するなど近年の応募者数の増加率が著しく、ヘルプデスクに限らず幅広い業種・職種に求められる試験のひとつです。社会人の合格率はIT系・非IT系ともに50%を超え、比較的難易度は低い試験といえるでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、サイバー攻撃を防ぐためのセキュリティ技術に特化した資格です。技術面では情報処理安全確保支援士試験がありますが、情報セキュリティマネジメントは名前の通りマネジメントよりの資格です。基本的なセキュリティの知識を身につけ、サイバー攻撃への対応もできるヘルプデスクを目指したい方にとって、登竜門的な資格といえるでしょう。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験もITパスポートと同様、IPAが運営する試験です。出題範囲は、「ハードウェア」「ソフトウェア」「データベース」「ネットワーク」など、コンピュータシステムに関する基礎的な事柄が網羅されています。
ITエンジニアの登竜門としても位置づけられている試験のため、ヘルプデスクから他の職種へのステップアップを目指す場合には、取得しておいて損はない資格といえるでしょう。勉強方法は書籍や過去問での独学が中心ですが、スクールや研修セミナーを活用する方法もおすすめです。
PeopleCert/ITIL®ファンデーション試験
「ITIL®」は、英国の政府機関が、ITサービスマネジメントの成功事例をガイドラインとしてまとめたものです。「ITサービスのマネジメント」や「インシデント、問題、変更の管理」などについての考え方・手法を学ぶことができます。
PeopleCert/ITIL®ファンデーション試験は、ITIL資格の中で最もベーシックかつ入門的な資格であり、未経験者には特におすすめです。企業によっては、部署単位で取得を義務化しているケースもあります。ちなみに勉強は「黄本(参考書)」と「白本(問題集)」を往復しながら、独学で進めていく方法が一般的です。
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
MOSは、エクセルやワードなど、IT業界でも良く使用するオフィス系ソフトのスキルを証明する資格です。ヘルプデスクはWindowsがインストールされた端末を使うことも多いため、MOSを取得しておいて損はありません。
勉強方法としては、MOS公式サイトから対策教材を購入したり、対策講座を申し込んで受講したりといった方法があります。PC操作自体に不安がある場合は、対策講座を申し込んでいきましょう。対策講座は、一般のPCスクールや資格スクールなどで受講できます。
11. ヘルプデスクに向いている人と不向きな人の特徴
どのような職種にも適正があり、人によって向き・不向きがあるものです。ヘルプデスクの担当者として働きたいと考えたとき、どのような人が向いているのでしょうか。また、反対にヘルプデスクが不向きな人の特徴もあわせて紹介します。
向いている人
ヘルプデスクはユーザーとのコミュニケーションによって問題を解決に導くことが求められるため、人とのコミュニケーションが得意であることが大前提となります。初対面の人であってもスムーズなコミュニケーションができ、何を求めているのか正確にヒアリングできる人はヘルプデスクの仕事が最適といえるでしょう。
また、困っている人を助けるのが好きな人や、相手に感謝される仕事に対して大きな価値を感じる人などもヘルプデスクの仕事が適しています。これまでIT業界が未経験であったとしても、接客業や営業など、多くの人とのコミュニケーションをとってきた人におすすめの仕事といえます。
不向きな人
ヘルプデスクの業務には基本的なマニュアルが用意されていますが、現場では必ずしもマニュアル通りに進行するとは限りません。ときには、ユーザーからの質問に対してその場で臨機応変な対応が求められることもあるでしょう。
コミュニケーションが苦手で、初対面の人と会話すると内容が頭に入ってこないような人は、ヘルプデスクの業務に支障をきたすことも多く、決して向いているとはいえません。
12. 未経験者向けヘルプデスク求人に応募する際のポイント
ヘルプデスク業務は未経験者でも挑戦の機会が多いことから、自身のキャリアアップの足がかりに考えている人も多いのではないでしょうか。しかし、未経験者を対象とした求人案件に応募する際には、いくつか注意しておかなければならないポイントも存在します。
応募前に募集条件や仕事内容をよく確認する
ヘルプデスクの求人案件に限ったことではありませんが、応募前には必ず募集条件や仕事内容を細かく確認しておきましょう。上記で紹介した求人例のように、OSやサーバー、その他技術的な知識やスキルが条件として指定されているケースもあります。
また、一口にIT業界といってもさまざま分野が存在します。自身が今後どのような分野で活躍していきたいのか、得意な分野があればそれを活かせるような仕事内容を選択しましょう。
募集条件や仕事内容を確認しないまま応募してしまうと、採用後に「イメージしていた業務とは違った」「スキル不足で仕事についていけなかった」などの理由で早期退職を余儀なくされることも考えられます。
求められるスキル
未経験でも何かしらのスキルが求められることがあります。例えばWordやExcelに関する知識や、何らかのコミュニケーションが必要な職種の経験が必要となることがありますので、まずはどのようなスキルが必要なのか確認しておきましょう。
対応範囲
ヘルプデスクとして、どの程度の知識と技術を対応範囲としているのか確認しておきましょう。特に自社製品やサービスをメインとしているのか、一般に流通している製品やサービスを対応としているのかの確認は大切です。
研修やマニュアルの有無
未経験者を採用している会社では通常、研修やマニュアルが整っていることが多いのですが、念のために確認しておくことをおすすめします。
サポート対象者(社内 or 社外)
ヘルプデスクとしてサポートするべき対象者が社内にいるか社外にいるか確認しましょう。社内システムのサポートがメインのときは社内ユーザー、自社製品やサービスのサポートがメインのときは社外ユーザーが対象者であることが一般的です。
サポート方法
サポート方法としてメールやチャット、電話などの手段がありますので、それらの方法を確認しましょう。最近ではTwitterのDMやサポート専用LINEなどによるサポートを取り入れている会社もあります。
その他
そのほかにも労働条件やキャリア形成のロールモデルなど、ヘルプデスクとして働くうえで確認したいことがありましたら、面接時に確認しておきましょう。
ヘルプデスク未経験は志望動機の書き方が重要
未経験者歓迎の求人案件でも、実務経験がある応募者のほうが優位な選考につながることは明白です。単に「IT業界に興味があったから」という抽象的な志望動機を述べるよりは、「人に感謝されるやりがいのある仕事に魅力を感じたから」「困っている人を助けるのが好きだから」など、ヘルプデスクの業務を選んだ理由を具体的に挙げたほうが効果的です。
また、これまで営業や接客業の経験がある方は、どのような仕事をしてきて、どのような部分がヘルプデスク業務に活かせると思ったのか、具体的なエピソードも交えながらアピールすると良いでしょう。
13. ヘルプデスクの将来性と今後の動向
近年、ヘルプデスクの需要は増加傾向にあり、それにともない今後はヘルプデスクに求められるスキルレベル・知識も上昇していくと考えられます。ヘルプデスク業界は今後どのように変化していくのか、具体的な動向も含めて紹介しましょう。
ヘルプデスクの需要
近年、ビジネストレンドがサブスクリプション型へと移行するにつれ、ヘルプデスクの需要も増加しています。
サブスクリプション型ビジネスでは、顧客満足度の維持・向上が成果につながるため、多くの企業が「顧客接点の強化」に注力しています。ヘルプデスクは、重要な顧客接点のひとつです。不具合や仕様に関する質問に対し、いかに素早く・的確に対応できるかで、顧客満足度は大きく変化します。顧客満足度は企業の業績に直結するため、全ての製品・サービスに対してヘルプデスクを設置するケースが一般的になっています。
自動応答との棲み分け
最近ではチャットボットなどのAIを活用した自動応答を取り入れている企業もあります。ユーザーからのお問い合わせの種類ごとにトラブルを切り分けていき、ユーザーが求める解決策へと導いていきます。
現状では、ユーザーからのお問い合わせの全てが自動応答で解決できるようにはなっていません。ある程度のお問い合わせの切り分けができ、それでも直接的な解決策が見つけられなかった場合、ヘルプデスクへと対応をつなげるケースが大半です。
マニュアルなどで対応できるお問い合わせなら自動応答で済ませられるかもしれませんが、ある程度込み入ったお問い合わせでは、これからもヘルプデスクの力が必要となるでしょう。今後も自動応答とヘルプデスクの棲み分けは続くものと思われます。
14. ヘルプデスクの主なキャリアパス・キャリアアップの方向
ヘルプデスクから他のエンジニア職へのキャリアアップの選択肢を解説します。ヘルプデスクはIT業界の入門的な職種です。経済産業省が2017年に調査した「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、ヘルプデスクの平均年収は390万円となっており、他エンジニア職と比べると比較的低めの部類に入ります。
もしIT業界で腰を据えて働くならば、年収アップを目指したキャリアプランも考えておくと良いでしょう。ヘルプデスクからのステップアップ先としては、次のような職種があります。
社内SE
社内SEは社内システムの企画や開発、運用などを担当する職種です。プログラミング言語のスキルやシステム設計のスキルなどが求められます。社内ユーザーを対象としたヘルプデスクからのキャリアアップとしては、有力な候補となるでしょう。
インフラエンジニア
ネットワークやサーバーの構築、運用、保守を行う職種です。サーバーOSの設定やハードウェア、ネットワーク機器、ルーティング、負荷分散などの知識・スキルが必要です。
SE(システムエンジニア)
顧客からのヒアリングをもとにシステムの全体像を定め、必要なシステムの設計を行う仕事です。平均年収は593万円で、ヘルプデスクに比べると200万円以上の年収アップが期待できます。
サーバーサイドエンジニア
サーバーサイドエンジニアは、サーバーの中で行われる処理(データベースへのアクセス、ファイルへのアクセス、その他の処理)をプログラミングによって実装していきます。ヘルプデスクではほとんど要求されないプログラミングの知識・スキルが求められます。
ネットワークエンジニア
ネットワークの設計や構築、保守、運用などに興味がある方は、ネットワークエンジニアを目指すと良いでしょう。ネットワークはシステムを支える要となる技術であり、サポートするという面ではヘルプデスクと同じような職種と捉えることができます。
プログラマー
プログラミング言語を使ってシステムやソフトウェアの開発をしたい方は、プログラマーがおすすめです。プログラミング言語の知識に加えて、ロジカルシンキングなどのスキルや、バグが発生したときにトライアンドエラーを繰り返して解決させる粘り強さなどが必要な仕事です。
関連記事:ヘルプデスクのキャリアパス
15. まとめ
今回の記事では、ヘルプデスクの種類や仕事内容、求められるスキル・経験、目指す際に役立つ資格、キャリアアップの選択肢などを解説しました。ヘルプデスクは研修制度がある企業も多いため、未経験でも十分に転職できる職種です。
企業によってはヘルプデスクからのキャリアアッププランを提示していることもあります。学歴やスキル、経験不問の募集もありますので、興味がある方はまず募集してみると良いでしょう。
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レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア・クリエイターを専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通したキャリアアドバイザーが、年収・技術志向・今後のキャリアパス・ワークライフバランスなど、一人ひとりの希望に寄り添いながら転職活動をサポートします。一般公開されていない大手企業や優良企業の非公開求人も多数保有していますので、まずは一度カウンセリングにお越しください。
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