Webデザイナーは将来性がない?後悔しないために知るべきこと

最終更新日:2024年1月26日

Webデザイナーとは、グラフィックツールを使った画像加工やコーディングにより、WebページやWeb広告などを制作する職種です。「デザイナー」というとクリエイティブなイメージがあり、人気職業のひとつでしょう。

一方で、

・初心者でも扱えるWebツールやテンプレート、AIに取って代わる仕事では?
・Webサイト制作においてWebデザインは本当に必要?
・Webデザイナーは激務で将来性がない

など不安視する声も見られます。

今回は将来性に不安を感じているWebデザイナーに向けて、Webデザイナーの将来性や需要、やめとけとされる理由、プラスアルファで習得すべきスキル、キャリアパスなどについて解説します。

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この記事のまとめ

  • Webデザイナーはデジタルコンテンツの需要拡大でWebデザイン関連市場も成長しており、将来性が期待されている
  • 高年収、かつ生き残るWebデザイナーになるには、最新情報やトレンドの情報収集を欠かさず、人脈を強化して、差別化要素を作るとよい
  • Webデザイナーのキャリアパスは、WebディレクターやUI/UXデザイナー、フロントエンドエンジニア、フリーランスなどがある

Webデザイナー市場需要と将来性は高い

結論から言うと、Webデザイナーの市場需要自体は高まっています。

理由のひとつとしてデジタル市場の高まりが挙げられ、経済産業省が行った「令和4年度電子商取引に関する市場調査」(※1)によると、令和4年度のBtoC(消費者向け電子商取引)の市場規模は22.7兆円(前年比9.91%増)、BtoB(企業間電子商取引)の市場規模は420.2兆円(前年比12.8%増)となっています。

インターネット上での取引は今後も増加していくと予想でき、同時にWebデザインの仕事やWebデザイナーの活躍の場は広がるといえるでしょう。

もう一つの理由がデジタル広告の市場拡大で、電通が2023年2月に発表した「2022年 日本の広告費」(※2)では、2022年度の広告費は過去最高を記録しています。インターネット広告費は、デジタル化が社会に拡大することで大きく成長しており、それに関連するWebデザインの需要は今後も継続すると考えられます。そのため、Webデザイナーの将来性は、高いといえるでしょう。

※1 引用:『電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました 』METI / 経済産業省
※2 引用:『2022年 日本の広告費 』電通ウェブサイト

海外におけるWebデザイナーの需要

アメリカのITメディアサイトDigitalizepediaの記事「Web Design Job Outlook to 2023」(※3)によると、Webデザイナーの需要の見通しは良好であるとされています。モバイルデバイスの普及とeコマースの成長により需要が支えられており、日本と同様に需要は高いようです。

※3 引用:『Web Design Job Outlook to 2023』Digitalizepedia

それでもWebデザイナーの将来性がないといわれる理由

Webデザイナーの市場需要は、今後も需要が高まると予測されています。その反面、将来性を危惧する声もあり、Webデザイナーはやめとけといわれることもあります。特に、ただ単純にWebサイトのデザインができるだけのWebデザイナーは要注意です。

なぜデジタル市場が広がりを見せるなか、Webデザイナーの将来性が不安視されるのでしょうか。将来性がないといわれる理由をチェックしてみましょう。

Webデザイナーが多すぎて競争が激化

Webデザイナーが増加したことにより、Webデザイナー間での競争が激化しています。需要と供給により価格は決まるため、スキルの高いWebデザイナーが増えると仕事の減少、報酬の低下が起きることが想定されます。

副業Webデザイナーの増加

オンラインでの仕事の受発注が活発化し、年々副業のハードルが低くなっています。在宅ワークの増加により、本業と副業の境目が低くなり、副業として選びやすい職種であるWebデザイナーも増加しています。

本業がWebデザイナーの方が副業でWebデザイン案件を受託することもあれば、別の職種の方が副業としてWebデザインの案件を受託することもあります。そのため、今後も副業Webデザイナーは増加していき、競争が激化することが予想できます。

ノーコードなど制作・デザインツールの進化

ノーコードやローコードによるWeb制作・デザインツールが進化しています。これらは、Webデザインやプログラミング、コーディングのスキルがなくても利用できる初心者向けのツールです。利用すると便利ではあるツールの普及が、専門職としてのWebデザイナーの価値低下につながるとの見方もあります。

AIによるWebデザイン制作

現状は、AIによってWebデザイン制作業務が代替されることは見られませんが、デザインツールが便利になりプログラミングの必要性は減っています。とはいえ、より目的に合わせた自由度の高いWebデザインを作成するには、人間がコードを書く必要があります。

しかし進化を続けるAI技術では、指示を与えるだけでデザインを完成させるツールの制作も進んでいます。これらのAIツールの影響で、Webデザイナーの仕事が減少する可能性も考えられるでしょう。

きつい・年収が低い・離職率が高いといったイメージ

Webデザイナーの仕事には「きつい・年収が低い・離職率が高い」といったイメージがあります。ただしどの職業にもいえますが仕事がきつい・年収が低いに関しては、スキルに依存したものと考えられるでしょう。高いスキルを持っていれば、職場、仕事を選ぶことが可能なため、「きつい・年収が低い」仕事を避けて効率のよい働き方を目指せます。

Webデザイナーの離職率は、Web業界の高負荷な働き方が影響していると考えられます。現在では注目を集めるWeb制作業界だからこそ企業側でも見直しや改善が進んでおり、以前より状況はよくなりつつあるといえるでしょう。

Webサイト需要の低下

TwitterやTikTok、InstagramなどのSNSが普及するにつれて、PR活動などの情報発信をSNSだけで行う企業も見られます。また、さまざまなジャンルの予約専用サイトが増えたことで、自社Webサイトの必要性が低下しているのも実情です。

Webサイト制作が行われなければ、必然的にWebデザインの需要も下がると予測できます。

Webデザイン制作ツールで低予算で簡単にWebデザインが可能になった

Webデザイン制作ツールは、以前と比べて格段に身近になりました。20年ほど前は、Webデザインを作成するためのソフトは高価で、専門知識が必要でした。今では、無料のソフトやサービスが多く、簡単にデザインが可能です。そのため、個人事業主や小規模の店舗でも、Webデザイナーに依頼せずに自作するケースが増えています。

Webデザイナーの現実

実際には、Webデザイナーとして活躍の場はあるのでしょうか。デジタル市場が拡大を見せるため、Webデザインの需要がなくなるかというとそうではありません。

ただし、考えたいのはWebデザイナーができることと仕事内容です。エンジニアがシステムの全体を構築するのに対し、WebデザイナーはWebサイトの表面を主に制作します。デザイン面ではない技術的なスキルは、一定レベルになると頭打ちになる可能性があります。

そのため、Webデザイナーのスキルを身につけたうえで、他の職種にも視野を向けてキャリアパスの選択肢を広げていくとよいでしょう。

関連記事:Webデザイナーとは?仕事内容や他職種との違い、未経験からの目指し方も紹介

時代によって求められるスキルが変化する

これまでにはなかった便利なツールが開発されたことで、プログラミングやコーディングの知識がなくても簡単にサイト制作ができるようになりました。しかし、最終的に視覚やターゲット層に訴求するWebデザインの需要がなくなるわけではありません。ツールでは画一的なデザインしか作れず、細かな調整はデザイナー自身が行う必要があるからです。

時代によってトレンドが移り変わるように、求められるスキルは変化します。Webデザインそのもののスキルも磨きつつユーザーニーズを汲み取るセンスを育めば、将来的にもWebデザイナーとして活躍できるでしょう。

他職種との比較から見るWebデザイナーの将来性

Webデザイナーとの関連職種として、プログラマーやグラフィックデザイナー、Webディレクター、UI/UXデザイナーがあげられます。Webデザイナーの将来性について、これらの職種と比較してみましょう。

プログラマーとの比較

Webアプリケーションやソフトウェアの開発を担う職業がプログラマーです。IoTやAIの進化に伴い、これらを開発するプログラマーの需要は、これからも増加するでしょう。

経済産業省の「- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書」(※4)によると、2018年を起点とし、今後のITの需要の伸び率に応じて、2030年には約16万人から約79万人のIT人材が不足すると試算されています。この調査からわかるように、今後もIT人材としてのプログラマーの需要が続くと考えられます。

またWebアプリケーションの開発者は、Webデザイナーと同様にHTMLやCSSの知識が必要でありWebサイト制作には欠かせない職種です。このようにWebデザイナーとプログラマーは、仕事内容に明確な違いがありますが、どちらも需要があるため将来性は高いと考えてよいでしょう。

※4 引用:『- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書』経済産業省

グラフィックデザイナーとの比較

Webデザイナーと関連のある職種として、グラフィックデザイナーがあげられます。WebデザイナーがWebサイトのデザインをする職種に対して、グラフィックデザイナーはチラシやパンフレットなど、紙媒体のデザインを主に扱う職種です。

公益社団法人 全国出版協会 出版科学研究所の「日本の出版販売額」(※5)によると、書籍、月刊誌、週刊誌のこれら全ての推定販売金額は1996年をピークに下落が続いており、印刷物の需要の低下がうかがえます。グラフィックデザイナーの中には、Webデザインのスキルを身につけて、Webデザイナーの仕事との兼務を始める方もいるようです。

逆にWebデザイナーの中でも、クライアントの要望に応じて、クライアントの名刺や営業で使うパンフレットのデザインなどを手掛ける方もいます。このようにグラフィックデザイナーの将来性は安泰とは言えないものの、今後も紙媒体が完全になくなるとは考えにくく、加えてWebデザイナーの仕事を補完する役割として需要もあると考えられます。

※5 引用:『日本の出版販売額』公益社団法人 全国出版協会 出版科学研究所

Webディレクターとの比較

同じくWeb界隈で働くWebディレクターについては、今後も需要が見込まれます。インターネットに関する統計を行う「Internet Live Stats」(※6)によると、2023年12月14日時点でインターネット上のWebサイトの数は19億9829万を超えるとされています。統計を開始した2000年より2018年を除き、Webサイトの数は上昇傾向にあります。今後もWebサイトそのものの必要性は下がることなく、Webサイト、コンテンツの制作にあたるWebディレクターの将来性があるといえる理由のひとつです。

ただし、Webディレクターの仕事も平穏ではありません。Webサイトの作成は、従来のようにデザインを含めて一から作ることは減り、CMSの活用が普及してきています。Webディレクターはこれに対応して、Webの仕組みとコンテンツをその時々で最適になる形で生み出せるようにスキルセットを変えていく必要があります。

Webデザイナーも、必要とされるスキルセットや業務領域の変化は避けられません。Webを軸に仕事そのものは存在するため、それに合わせて変化していけるWebデザイナーが必要とされます。例えば、CMS上のデザインを設定するスキルを身に着けることで、次の仕事につながっていきます

※6 引用:『Internet Live Stats』Internet Usage & Social Media Statistics

UI/UXデザイナーとの比較

Web業界のUI/UXデザイナーは、比較的近年登場してきた職種です。ユーザーが直接的に利用するユーザーインタフェースや、利用のための導線などWebサイトによるユーザーエクスペリエンスをデザインします。

UI/UXデザイナーの仕事は、従来のWebデザイナーの仕事を、ユーザーの利用しやすさ、分かりやすさといった方向に専門性を高めたものです。より高いスキルや経験が必要とされる領域であり、その分ツールやCMSで簡単に代替できない仕事となります。また、UI/UXはWebに限らず全てのデザインに存在しており、業務領域が広いという特徴もあります。専門的で高いスキルを持つことにより、将来性が高くなるといえるでしょう。

Webデザイナーはやめとけといわれる理由

Webデザイナーは人気の職種ですが、中には「やめとけ」といった声もあります。Webデザイナーに限らずWeb業界全体は労働時間が長く厳しい世界というイメージがあり「専門職であるために難しい仕事」といわれがちだからです。

Webデザイナーの持つデメリットをいくつか紹介します。

トレンドの移り変わりに対応する必要がある

Webデザインの環境は「受け入れやすいデザイン」を常に求めているため、リアルなユーザーの人気と声を追い続ける必要があります。ルーティン化された仕事を続けたい人や自分の好きなデザインを磨きたい人はいくら技術・知識があってもついていけません。

どの職業にもいえますが、特にクリエイティブ職であるため意欲的に情報のブラッシュアップが求められます。これを苦に思わない人はWebデザイナーに向いていますが、新しいものを取り入れられない人にとってはWeb業界は厳しいです。

クライアントに振り回されやすいから

Webデザイナーは常に指示されたことだけをするのではなく、自ら考えて提案・修正することを求められます。クライアントとのやり取りの中で汲み取れない情報があると、膨大な修正が発生したりこれまでの作業が無駄になったりするケースも少なくありません。

ある程度の技術と経験があるWebデザイナーであれば、自分の力量とやりたいことを見定め仕事を選べますが、始めたばかりだとクライアントに振り回される辛い仕事というイメージを抱きがちです。

適性を見極める必要がある

センスがあっておしゃれ、華やかな世界というイメージがあるWebデザイナーですが、意外とデザインスキルやセンス以外のヒューマンスキルや営業力・企画力なども必要です。それでもWebデザインへの興味が失われず、クライアントの要望に答えられる人こそWebデザイナーに向いています。

結論としてWebデザイナーには適性があり、憧れの前に「自分に合っているか」を見極める必要があるでしょう。人を選ぶ仕事ですが将来的にも活かせるスキルが身につくため、Webデザイナーの仕事内容と本質を十分理解したうえで目指すのがおすすめです。

高年収、かつ生き残るWebデザイナーになるために

Webデザイナーを取り巻く環境は日々変化が大きく、市場のニーズに合わせてスキルを磨かなくてはなりません。そこでWebデザイナーとして高い年収を得ながら、今後も長く活躍をするために必要となる取り組みについて紹介します。

最新情報やトレンドの情報収集を欠かさない

Webデザイナーは、Web業界全体での最新情報やトレンドに関した情報収集を欠かさないことが大切です。そのためには、自分の仕事にどのように取り込むかを考える必要があります。顧客は新しく、見た目のよい、クライアントにとってかっこよく見えるものを求めます。

その実現のためには、常に最新情報をチェックし続けることが最も定番の取り組みです。

SNSでの交流・人脈強化

同じWebデザイナーおよび周辺のSNS、コミュニティで交流を図り、人脈を作っておきましょう。人脈強化を図ることで、いざというとき助けてくれたり、仕事に誘ってくれるコネクションができます。その結果、Webデザイナーとしての幅が広がり、生活の安定、さらなるチャレンジの機会となります。

他Webデザイナーとの差別化要素を作る

他のWebデザイナーと同じことしかできないWebデザイナーは、得られる収入は似たものになります。自分にとって得意な専門領域を作る、他社より1営業日速い納期に対応できる、サイト全体に対して共通したデザインへの修正ができるなど、付加的な価値を提供できると高年収で今後も活躍することが可能です。

プラスアルファのスキルを身につける

企業がWebデザイナーに求めるのは、美しいデザインだけでなく、ビジネスを加速させる力です。AIが単純な作業を代替する中、Webデザイナーは依然として重要です。そのためには、トレンドやユーザーニーズをキャッチし、それをデザインに反映するスキルが必要です。

今後、Webデザイナーは見た目の美しさと共に、企業価値や売上の向上に寄与するデザインを考える能力が求められます。プラスアルファのスキルを身につければ、将来的にも活躍できるでしょう。

Webデザイナーがプラスアルファで習得すべきスキル

Webデザイナーとしてスキルアップするために、具体的にどのような能力・技術を身に付ければよいかをまとめました。「思い通りのデザインを素早く作成する」に加えて、クライアントとのやり取りを円滑にするスキルやハード面の知識、デザインに付加価値を与えるスキルをチェックしていきましょう。

関連記事:Webデザイナーに必要なスキル・スキルマップとは

ディレクションスキル

ディレクションとは、企画や編集、制作などWebサイトに関わる業務を円滑に進めるため、スケジュール管理や顧客との調整、チームのマネジメントなどを行うことを指します。ディレクションスキルを磨くことで、プロデューサーやディレクターなどのマネジメント職を目指すことも可能です。

ディレクションスキルがあれば、Webサイト制作の全工程を俯瞰する力やほかのクリエイターと意思疎通するためのコミュニケーション能力も身につきます。

UI/UXに関するスキル

単にデザイン(見た目)の良いWebサイトを制作するだけでなく、ユーザーとの接点であるUI(ユーザーインターフェイス)を使いやすいものにし、UX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させるサイトを設計するスキルも求められています。

そのため、ユーザーの行動を分析するスキルや、よりよい価値体験を設計するスキルを身に付けることで、デザイナーとしての付加価値を高めることができます。Webデザイナーにとって、最も身近で重要なスキルです。

Webマーケティングスキル

Webマーケティングに関するスキルがあれば、Webデザインにマーケターの視点を持ち、どのようなコンテンツを配置したいか理解できるようになります。また、マーケティング情報を読み解くスキルがあれば、マーケティングの結果を反映したWebデザインも可能となります。

フロントエンドのスキル

Webデザインとフロントエンドの技術は密接に関係しています。フロントエンドとは、Webサイトの見た目の部分を指しますが、デザインよりも機能に近い概念です。

例えば、スライド画像を次々と表示する「カルーセル」のデザインは、JavaScriptによって実現されています。デザインスキルに加えてフロントエンドのスキルがあれば、フロントエンドエンジニアの業務にも携われます。HTMLやCSSのコーディングが得意なWebデザイナーにとっては、身につけておきたいスキルといえるでしょう。

ブランディングに関するスキル

Webサイト上で、企業や製品の高い価値を体感できるようにすることをブランディングといいます。ブランド力を高め、顧客に指名してサービス・プロダクトを購入してもらうための戦略がブランディングです。このブランディングの考え方を理解し、Webデザインに取り込むことで、作成するWebサイトにブランディングという価値を付加することが可能となります。

プログラミングスキル

Webデザインのみを行うのであればプログラミングは必ずしも取得すべきことではありません。プログラミングを扱う部分はコーダーが受け持つ場合がほとんどだからです。

しかし最近はプログラミングとデザイン両方ができるWebデザイナーも重宝されており、今後も求められるWebデザイナーになりたいならプログラミングを身につけることをおすすめします。プログラミング知識があれば、コーダーとプロジェクトを進める際にもスムーズです。

Webライティングスキル

WebデザインとWebライティングは相性のよい性質を持ちます。例えば広告バナーを作成する場合、ライティングのスキルもあればコピーライティングとデザインを同時に行えるでしょう。広告を目的としたWebサイトであるLP(ランディングページ)であれば、ライティングとデザインで報酬のアップも望めます。

言葉とデザイン両方の訴求ができるWebデザイナーはまだ少ないため、周りとの差別化や付加価値を上げるためにもライティングを勉強しておくのはおすすめです。

動画編集スキル

最近のWebサイトには、コンテンツとして動画が組み込まれているケースが多くなりました。Web上の動画広告は、年々増加しておりインターネット広告企業のサイバーエージェントが発表した「サイバーエージェント、2020年国内動画広告の市場調査を発表」(※7)によると、2024年には動画広告市場は6856億円に到達する規模になると予測されています。

インターネット広告の需要増加により、動画制作を依頼されるケースも増えると思われます。そのため、動画編集スキルも習得しておくとWebデザイナーとして長く活躍できるでしょう。

※7 引用:『サイバーエージェント、2020年国内動画広告の市場調査を発表』サイバーエージェント

SEOの知識

SEO(検索エンジン最適化)とは、検索エンジンで上位表示させるための手法です。Webサイトの閲覧者を増やし、成果につなげるためには、SEOの知識が重要になります。画像の軽量化や見やすいレイアウトは、訪問者の離脱を防ぎ、SEOに良い影響を与えます。SEOの考え方を理解すれば、Webデザインにも活かせます。

情報収集スキル

Web業界は常に変化するため、情報感度と情報収集スキルは重要です。デザインのトレンドや最新技術、ビジネスにおけるデザインのあり方など、Webに関わる最新情報は定期的にチェックしましょう。また、著名デザイナーのSNSや関連書籍、セミナーへの参加も有効です。幅広く情報収集をすることで、Webデザイナーとしてより多角的な視点を持つことができます。

デザイン思考スキル

デジタルツールの進化で、ユーザーのニーズが細かくわかるようになりました。そのニーズをくみ取り、最新かつニーズにマッチしたものを提供するには、デザイン思考スキルが必要です。デザイン思考スキルは、ユーザーの潜在的なニーズを探求し、仮説を立てて実践する能力です。Webデザイナーとして活躍し続けるためにも、現状に満足せず、常に次の手を考える習慣を身につけましょう。

調整力・提案力

Webデザイナーは、クライアントの利益につながるWebサイトをデザインすることが求められます。そのためには、利益につながるデザインを追求しつつ、柔軟に調整しながら求めるデザインに着地させる調整力が必要です。さらに、全体を見渡し、課題解決のために複数のデザイン案を提案する力も大切です。調整力や提案力は、クライアントとの関係性を築くためにも大切なスキルと言えるでしょう。

数値分析スキル

デザインがいくらセンスがいいとしても、成果に結びつかなければビジネスとして成功とは言えません。Webデザイナーは、作成したデザインが成果にどれほど寄与しているかを把握することが大切です。感性だけでなく、データ分析にもとづいたデザインを心がけましょう。具体的には、Webサイトを訪れたユーザーの行動を数値で分析し、離脱率やコンバージョン率を把握します。そのため、Webデザイナーとして成功するには、数値分析スキルも求められます。

未経験からWebデザイナーを目指す方法

Webデザイナーは知識と技術があれば未経験からでも目指せます。副業としてWebデザイナーをする人も多く、比較的踏み込みやすい職業といえるでしょう。

ただし専門職であり専門知識を身につけ、使用ツールをビジネスレベルで扱えるようになる必要があります。いくつかWebデザインの知識を勉強する方法はありますが、そのメリットとデメリットを知った上で自分に合う方法を選びましょう。

スクール

未経験がWebデザイナーを目指す場合、Webデザイナー向けの集合型やオンライン・Webスクールを利用して、Webデザイナーとして必要なスキルを習得することもひとつの方法です。兼業向けのカリキュラムを用意するスクールもあるため、仕事しながらスキルを磨くこともできます。

メリット

スクールのメリットは、わからないことがある場合に講師のサポートや他の受講生からのアドバイスを得られることです。IT技術の学習で起きたつまづきに対して、問題が発生した際に解決方法が見つからないケースはよくあります。そのような事態を、避けることができるのは大きなメリットです。

デメリット

デメリットはスクールの開講時間に合わせて時間を作る必要があり、場合によっては通学をしなくてはなりません。柔軟に通学時間が作れない人や隙間時間で学習を進めたい人にとっては不向きです。

ほとんどのスクールではパソコンの扱い方といった初心者向けの学習から始まるため、すでに知っている知識と重なると費用がかかるのもデメリット。講義内容はしっかりチェックし、自分に合うスクールを選ぶ必要があります。

独学

Webデザイナーに必要なスキルは、PCとインターネット、ソフトウェアがあれば独学で身に着けることも可能です。書籍や技術情報を発信するWebサイトを活用し、実際にWebサイトなどの成果物を作ってスキルを高めるようにしましょう。ポイントとなるのは、完成するまでやり遂げることです。一人でも最後までやり切り、モノを作り上げることでスキルは向上します。

メリット

スクールやオンライン講座での学習と違い、自分のペースで好きな時間に始められます。また基礎知識がある人は応用的な部分から学べるため、一から学ぶスクールと比較すると費用が抑えられるでしょう。

デメリット

Webデザインに限らずIT分野では専門用語や複雑な概念が多く、初心者や業界未経験者は不明点が出やすいです。疑問に思ったことを質問できる環境が独学では整っていないため、大きなデメリットになります。

一人学習だとモチベーションの維持も難しく、意欲と根気が特に必要です。

ポートフォリオを作成する

未経験でも知識と技術があると証明するためには、作品をまとめたポートフォリオの作成をしましょう。ポートフォリオとはWebデザイナーの履歴書・作例集であり、現在制作できる自分のクオリティを表しています。

これまでに実際に手掛けた作品があればまとめてもよいですし、業務として携わっていなくても自身のWebサイトをまとめる人も多いです。未経験でもポートフォリオがあれば十分業界への興味・意欲と技術のアピールになるので、まずは作ってみることをおすすめします。

副業にチャレンジする

Webデザインは副業やフリーランス向けの求人も多く、未経験でも技術と知識が満たしていれば始めることができます。転職・就職する前に、副業として案件を獲得してみるのもひとつの方法です。
副業で仕事を受注するためには先ほど説明したポートフォリオが役立ちます。副業が安定するとフリーランスとしてWebデザイナーに転身することもできるでしょう。

取得しておくと役に立つ資格

Webデザイナーになるために、必須の資格はありません。しかし、資格の取得のための学習は体系的な知識、スキルを得る良い機会となります。また、転職活動においても一定のスキルを示すメリットがあります。

ここでは、Webデザイナーの仕事に役に立つ資格を紹介します。

ウェブデザイン技能検定

ウェブデザイン技能検定は、日本の国家検定制度である技能検定制度の一つです。厚生労働省指定の特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会により実施されています。

実技および学科試験により、ウェブデザインに関する知識・技能、実務能力等が問われるため、Webデザイナーにとってスキルを示せる有用な資格です。3級から1級までのレベルに分かれており、上位の級に挑むことでスキルアップを図れます。

Webクリエイター能力認定試験

Webクリエイター能力認定試験は、WWWで利用される技術の世界的な標準化を図るW3Cに完全準拠した、マークアップスキルを測定する認定試験です。サーティファイによって運営されています。
Web標準に完全準拠したスキルを測定するもので、Webデザイナーに必須となるHTML、CSSのコーディングに関するスキルが証明できます。

アドビ認定プロフェッショナル

アドビ認定プロフェッショナル(Adobe Certified Professional)は、デザイン用のソフトウェアを提供するAdobe社によって認定された国際資格です。Photoshop、Illustrator、Premiere Proのそれぞれのソフトウェアに向けた試験が存在します。

Webに限らずデジタル技術を利用したデザインでは、アドビ社のソフトウェアがデファクトスタンダードといえるほどに普及しています。そのため、Webデザイナーとしても有効なスキルを示せる資格となります。

Webデザイナーのキャリアパス

Webデザイナーとして活躍後、キャリアパスによって収入を増やしたり活躍の場を広げたりできます。主なWebデザイナーのキャリアパスとしては、WebディレクターやUI/UXデザイナー、フロントエンドエンジニアなどがあります。また、フリーランスとして活躍する方も多くいます。本章では、Webデザイナーのキャリアパスについて解説します。長くWebデザイナーとして仕事ができるよう、キャリアパスについても知っておきましょう。

関連記事:Webデザイナーのキャリアパス9選!必要なスキルも紹介します

Webディレクター

Webディレクターとは、デザイナーやコーダー、プログラマー、ライターなど制作に関わるスタッフをまとめ、スケジュール管理や品質管理を行う職種です。チーム内の連携や調整を担う仕事であるため、技術力に加えてコミュニケーション能力が重要になります。

Webディレクターを目指すには、PMPなどの資格制度を活用して、プロジェクトマネジメントスキルを身につけると良いでしょう。レバテックキャリアの求人情報を見てみると、年収は350万〜1,000万円と非常に幅があります。Webサービスのディレクションや解析、改善施策の提案といったスキルがあると高い年収となる傾向です。

UI/UXデザイナー

UI/UXデザインとは、ユーザーにとって使いやすい画面をデザインし、より高い価値を提供するためのサイト設計を行う職種です。ユーザー分析やサイト解析、マーケティング分析などを行い、ユーザー体験を高めるサイトを制作します。

年収は350万円〜800万円と、こちらもWebディレクター同様に幅があります。近年は、UI/UXに特化したスクールがあり、Webデザイナーとして培った知識・経験やスクールを活用すると効率的にスキルと知識を身につけることができます。

フロントエンドエンジニア

HTML/CSS、JavaScriptなどを用いて、Webサイトのフロント部分(ユーザーの目に見える部分)を実装するエンジニアです。近年、サーバーに集中していた処理をフロントに持たせる流れが加速しているため、フロントエンドエンジニアの需要が増加しています。

デザインまでできるエンジニアは少ないため、両方ができるとエンジニアとしての価値が高まります。また、フロントエンドエンジニアの年収は、350万円〜900万円程度と幅があります。フロントエンドスキルは、スクールやUdemyなどのWebサービスを活用して習得するといいでしょう。

関連記事:フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの違いは?必要なスキルや仕事内容

フリーランスWebデザイナー

Webデザイナーとして十分な経験があれば、フリーランスとして働くことも可能です。フリーランスWebデザイナーとは企業に所属せず自ら案件を受注し専業として働くことで、自分の采配で仕事ができるメリットがあります。複数のプロジェクトを同時並行で進めたり、仕事量を抑えたい人は自由な時間を増やすこともできるでしょう。

しかし、案件が途絶えると収入もなくなるため、収入が不安定になりやすい側面もあります。フリーランス向けの企業とのマッチングサービスやプラットフォームなどを活用することで、リスクを抑えて仕事を探すことができます。

Webデザイナーなって後悔しない方法

「Webデザイナーはやめとけ」「将来性がない」といったネガティブな印象もあるWebデザイナーですが、実際にはWebデザイナーとして成功し自分のペースで働く人も多いです。Webデザイナーは専門的な仕事であるからこそ、後悔しない方法をあらかじめ知っておき、転職する場合は適した企業を慎重に選ぶようにしましょう。

押さえておきたい2つのポイントを紹介します。

働きやすい会社を選ぶ

どの職業でもいえますが、自分と合う働きやすい会社を選ぶ必要があります。Webデザインは納期があるため、納期前には残業が発生する可能性があり、業務はルーティン化できないので案件それぞれに合わせて異なるスキルを発揮しなくてはなりません。こだわればこだわるほど作業は長引くため、ある程度のライフワークバランスを保つ必要があります。

企業の福利厚生の充実度や家庭と仕事が両立できる環境かは、必ずチェックしておくことがおすすめです。自分に必要な手当を取り入れているかどうかも確認するとミスマッチを防げます。

自社サービスを持っている会社を選ぶ

Web制作の請負のみの企業と自社サービスの運営を行う企業であれば、自社サービスを持っている方がおすすめです。なぜなら、

・Webデザイナーのスキルをプロモーションに利用できる

・自分のこだわりをデザインの仕事に反映できる

・自社サービスの展開から他関連業務に携わることもできる


といった理由が挙げられるからです。

Webデザイナーに関するよくある質問

Webデザイナーに関するよくある質問をまとめ、本記事を総括します。Webデザイナーに関するよくある質問としては、Webデザイナーの将来性や年収に関する質問があります。また、Webデザイナーの離職率についても興味がある方が多いです。本章では、Webデザイナーに関するよくある質問について、それぞれ回答していきます。3つのよくある質問をチェックし、疑問を解消しましょう。

Q1. Webデザイナーに将来性はある?

デジタル市場が拡大傾向にあり、広告手段もWebサイトだけでなくSNSや動画を使用するなど多角的な展開を見せています。そのためWebデザイナーの活躍の場は広がると考えられ、特にスキルの高いWebデザイナーの将来性は十分高いといえるでしょう。

Webデザイナーは長く続けられる仕事であり、その後のキャリアパスも多数考えられます。企業に所属するWebデザイナーだけでなく独立も可能で、柔軟な働き方ができるのも将来性の高さに影響しています。

Q2. Webデザイナーの年収はいくら?

Webデザイン関連業の全国平均はおよそ480万とされており、全職業から見ると平均的な年収です。ただし企業に所属するWebデザイナーとフリーランスでも違いがあり、レバテッククリエイターの求人をみても案件によって差があります。

Q3. Webデザイナーの離職率は高い?

「令和4年雇用動向調査結果の概況」(※8)によるとWebデザイナーを含む情報通信業の離職率は11.9%です。他業種と比べて高いわけではなく、この中には完全離職ではなく企業から独立したフリーランスWebデザイナーも存在するため決して離職率が高い職業ではありません。

※8 引用:『令和4年雇用動向調査結果の概況』厚生労働省

まとめ

Webデザイナーはさまざまな働き方ができる職業であり、キャリアパスも多様に考えられます。従って将来性は十分期待でき、長く続けられる仕事であると考えておきましょう。

需要の高まるWeb市場で長く活躍できるWebデザイナーになるには、デザインのスキルに加えてプログラミングやライティング、マーケティングといったスキルも必要です。常に学ぶ姿勢と意欲を持ち続け、唯一無二のWebデザイナーを目指しましょう。

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