- SESを辞めたいと考える6つの理由
- SESをトラブルなく退職・辞めるときの手順
- SESをやめる前にやるべきこと
- SESを辞めた後の転職先
- SESから転職するための4ステップ
- SESに関するよくある質問
SESを辞めたいと考える6つの理由
SESを辞めたいと考える人もいますが、理由は人によって異なります。ただし多くの人に共通する理由もあるので、以下に紹介していきます。
1. 希望するスキルを身につけにくい
どのような技術を扱うかは、依頼される案件次第で決まります。そのため、自分の好みだけで決めるのは難しいのが現実です。毎回異なるスキルを求められることも多く、習熟度が上がらずにスキル不足を感じることがあります。また、特定のスキルしか求められず新たな技術が獲得できないことで、不安を抱くケースも見受けられます。
加えて、SESの案件では実装やテストといった特定の技術サービスを扱うのが一般的なため、要件定義を含めた上流工程に興味があっても、携わる機会が少なめです。開発よりも文書管理を含めた雑務を任される場合もあります。
2. 待遇が悪い、改善の見込みが薄い
SESの案件はSIerからの下請けになる場合がある、顧客はできる限り低い単価で人材を獲得したいなどさまざまな理由から、給与が上がりにくいといわれています。個人が成果を挙げても、こうした業界・事業の特徴から待遇の改善につながらないケースが多いです。
また、特定のスキルが身につかなければエンジニアとしてのキャリアアップも難しく、給与も低いままです。特定の技術サービスが中心となるSESでは、プロジェクト管理を担当する場面が少ないため、プロジェクトマネージャーなどへのキャリアパスへ進むのに時間を要する場合もあります。
3. 自社からの支援が得にくい
SESでは顧客企業の職場で作業を実施する、客先常駐の案件が多く見られます。客先常駐では、所属元の上司や同僚と会う機会が少なくなるため、支援を受けにくくなってしまう場合があります。案件によっては、一人で客先に向かう場合もあり、上位者から技術的な指導やキャリアに関するメンタリングを受ける機会が得られません。
4. 職場環境が安定しない
客先常駐では、人間関係や職場のルール・IT環境を含めて、職場環境は常駐先に依存します。個人の裁量で決められる余地が少なく、割り当てられた案件によっては、職場環境に対する満足度が下がってしまう恐れがあります。数ヶ月ごとに案件が変わる場合もあり、常駐先へなじむのに労力を感じる人もいます。
5. 年齢が不利だと感じやすい
SESを辞めたい理由として、年齢が不利だと感じやすいことがあります。年齢の高いベテランは経験の豊富さから給与が高めに設定されるケースが一般的です。そのため、同じ業務内容でも若手の方が安価なため、多くの企業が若手の人材を選好します。案件の取得が難しくなり、SESの退職を考えるようです。
関連記事:30代で転職3回は多い?年齢別の平均回数と転職活動のコツ
6. 仕事の自由度が低くやりがいを感じにくい
SESはやりがいを見いだしにくいといわれています。その背景には、仕事の自由度の低さが挙げられます。多くの業務は、二次受けや三次受けの業務、または企業内のルーチンワークが中心となります。
大きなプロジェクトの核心部分や、プロセス改革の提案などは、主要なベンダーや専門家が担当することが一般的です。その結果、実際の作業内容が単調になり、やりがいを感じるのが難しくなります。
SESをトラブルなく退職・辞めるときの手順
SESをトラブルなく退職するには、以下のような手順を踏んでください。
就業規則で退職に関する内容を確認する
SESをトラブルなく退職するために、まずは就業規則で退職に関する内容を確認してください。退職希望を出してから退職できるまでの期間や、退職連絡のフローが決まっている場合があるからです。たとえば退職日から3か月前までには退職希望を出す、といった就業規則がある場合、基本的には従った方が円満退職につながるでしょう。就業規則に法的拘束力はないものの、トラブルなく退職するためには確認し従うのがおすすめです。
キャリアの棚卸しとキャリアプランの構築をする
SESをトラブルなく退職するには、キャリアの棚卸しとキャリアプランの構築も重要です。今後の目標ややるべきことが明確になっていることで、退職時の交渉や時期の調整がうまくいきやすいからです。たとえば退職の引き留めや退職時期の先送りを提案されても、キャリアプランが明確になっていれば自分の意志を伝えやすいでしょう。事前にキャリアの棚卸とキャリアプランの構築を行い、退職の交渉をスムーズに進めてください。
求人応募や面接など転職活動をする
転職活動の方向性が決まったら、退職の旨を会社に伝える前に求人応募や面接を進めていくのがおすすめです。転職先が決まっていない状態で退職の意向を伝えてしまうと、なかなか転職先が決まらない場合など焦りが生まれてしまい、転職活動を妥協してしまいがちです。
また、たとえば数か月以内に確実に転職することが決まっていた方が、退職の話し合いはスムーズに進むでしょう。退職の意志が固まったら、会社に伝える前に求人応募や面接を進めてください。
関連記事:20代エンジニアが転職を成功させる方法!転職状況やメリットも解説
退職を直属上司に伝える
退職の旨を伝える際、まずは直属の上司に伝えてください。先に別の人に伝えてしまうと、人間関係のトラブルになってしまう可能性があるからです。たとえばいきなり経営者に退職届を出してしまうと、直属の上司は背信行為と捉えるかもしれません。上司が経営者から部下の管理不届きとみなされてしまうことも考えられます。人間関係のトラブルにならないために、まずは直属の上司に退職の旨を伝えてください。
引き継ぎと退職手続きを行う
退職についての調整が進んだら、引き継ぎと退職手続きを行ってください。引き継ぎや退職手続きを余裕を持ってきちんと進めることで、円満退職につながるからです。たとえば早めに引き継ぎを進めることで、引き継ぎを受けた人は実際に業務をやってみて質問することができます。このように、周囲のことも考えて引き継ぎや退職手続きは早めに進めてください。
SESをやめる前にやるべきこと
SESをやめる前にやるべきこととして以下が挙げられます。
ITスキルを身につける
SESではさまざまな技術に触れられるメリットがあるため、各案件で着実にスキルとして身につけるようにしましょう。特定の業界・業務・技術に対する実務経験は、転職の際にも高く評価されます。定期的に過去のプロジェクトを振り返り、自社以外にも説明できるよう準備を進めます。また、PHPやPythonといった需要のある技術に興味がある人は、関連した案件に配属されるよう、所属元の上司と相談する方法もあります。
新卒や未経験からSES企業へ入社し、スキル不足を感じている場合は、業務以外にも自主的に学習するのが望ましいでしょう。資格取得やオンラインコースの受講を通して、最新のITスキルを獲得できます。転職する・しないに関わらず、身につけたITスキルは将来のキャリアアップに役立ちます。
ポータブルスキルを身につける
エンジニアとして転職する場合も、ITスキルだけでなくポータブルスキルも身につけるべきです。ポータブルスキルとは職種における専門的なスキル以外の「職種や職場が変わっても活用できるスキル」を指します。
たとえばコミュニケーションスキルがあれば仕事が円滑に進み、また転職活動もうまくいきやすいでしょう。またエンジニアは業務を効率的に進めることが求められるため、論理的思考力も欠かせません。ポータブルスキルは具体的な基準がないので明確なスキルアップが難しいですが、普段の業務から意識的に習得していくのがおすすめです。
異なる業態から情報収集する
同じIT業界でも、業態が異なれば働き方も変わってきます。自身のキャリアプランを考える上でも、他業態について深く理解できれば、自分にあった環境が見つかるでしょう。SES企業から配属される案件では、SIerで働くエンジニアや、顧客企業に所属する社内SEと触れる機会もあるでしょう。
その仕事ぶりを観察したり、話を聞いたりして、異なる業態での仕事の進め方について理解を深めます。現在のSES企業との違いを理解した上で、転職する・しないを決断すると良いでしょう。
キャリアプランを明確にする
現在の労働環境のどこに不満があるかを明確にして、それを解決する次のステップを選択しましょう。たとえば、案件の内容が毎回異なっていて、扱う技術や職場環境が変わってしまうのが不満であれば、社内SEを目指すキャリアが考えられます。
あるいは、上流工程に携わりたいのであれば、SIerが合っている可能性が高いです。転職活動でも聞かれる内容のため、情報収集を続けるなかで、キャリアプランを明確にしましょう。
転職エージェントに相談する
SESを辞めたいと感じたときには、転職エージェントに相談すると良いでしょう。転職エージェントは、今後のキャリアをサポートしてくれる専門家です。たとえば、SESの経験を活かせる企業や、自分の希望に合う企業を紹介するのが転職エージェントの仕事です。そのため、退職を検討する前に、転職エージェントに相談することをおすすめします。
関連記事:
転職エージェントとは?メリット・デメリットや利用の流れを解説
転職エージェントに提出する履歴書に志望動機は必要?例文や書き方も紹介
SESを辞めた後の転職先
SESを辞めた後の転職先としては、以下が挙げられます。
SIer
要件定義を含めた上流工程に携わりたい人には、SIerが適しているでしょう。顧客企業の情報システム開発プロジェクトに入るため、異なる業界・業務・技術を経験できます。また、案件全体を統括するプロジェクトマネージャーに進みやすいなど、キャリアの可能性が広がる点もメリットです。
ただし、中小規模のSIerでは、大手SIerから一部の開発作業を受託する下請け構造にあるため、SES企業と似た状況に陥る懸念もあります。
関連記事:
SIerの志望動機の例文と書き方!未経験も転職で使えるポイントを解説
外資系SIerの企業例9選!年収、メリットやデメリットも解説
Web系企業
エンジニアとして身につけた技術力を活かしたいのであれば、自社サービスを開発・運用するWeb系企業が推奨されます。その会社が運用するECサイトや各種Webサービスに興味を抱き、ユーザーの使い勝手やビジネスの成長に貢献したいと考える人に向いた環境です。
サーバーサイドエンジニアやフロントエンドエンジニアといった職種に進み、実務経験を通じてスキルを高めていけるでしょう。
関連記事:SIerからWeb系企業への転職のコツを解説!成功例も紹介
IT業界以外の企業における社内SE
IT以外の業種で、社内システムの企画や開発・運用を手掛ける社内SEのキャリアパスもあります。社内SEの仕事には、自社のIT環境の運用や、開発を委託する会社の管理、社内ヘルプデスクなど、さまざまなものが含まれます。
特定の業界で専門性を磨き、安定した環境で仕事に取り組みたい人に適しているでしょう。一方で、プログラミングを含めた技術力を活かしたい人にとっては、力を発揮する場面が少なくなる恐れもあります。
関連記事:社内SEとは?仕事内容や年収・将来性を未経験者にもわかりやすく解説
ほかのSES企業
ほかのSES企業であっても、現在抱えている不満を解消し、キャリアプランを実現できる場合もあるでしょう。転職先としては、興味深い案件を抱え、エンジニアに対する支援が手厚いSES企業が望ましいです。配属された案件で成果を上げていけば、SES企業のなかでもキャリアアップしていくことは可能です。
関連記事:SESの客先常駐はどんな仕事?メリット・デメリットやSIerとの違い
SESから転職するための4ステップ
SESからの転職をスムーズに進めるためには、適切なステップを踏むことが効果的です。具体的には以下のステップです。
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1. スキル・経験の棚卸し
2. キャリアプランの見直し
3. 求人の調査と応募
4. 内定と退職手続き
1. スキル・経験の棚卸し
これまで参加した案件を振り返り、開発プロジェクトで携わった業界・業務ごとに発揮したスキルをまとめます。プログラミングに関連した技術にとどまらず、コミュニケーション能力のようなソフトスキルも含みます。経歴や成長を振り返る意味で、参画した順番に書き出していくと良いでしょう。履歴書・職務経歴書の作成や、面接といった今後の転職活動に必須のステップです。
2. キャリアプランの見直し
現状のSES企業における不満や、これまでに身につけたスキル、これからやりたいことを踏まえ、キャリアプランを明確にします。どのような業態で、何の職種につきたいのかを具体的に検討しましょう。そして、保有するスキルや経験と、目標とする職種にギャップがないかを確認します。スキル不足であれば、それを習得できるよう、現実的な目標を立てる必要があります。
3. 求人の調査と応募
転職情報サイトなどを活用し、キャリアプランに合致した求人を探します。転職活動経験が少ない方や自信がない方は、転職エージェントを利用し、職務経歴書やキャリアプランについてフィードバックを受けながら、転職の戦略を見直していく方法がおすすめです。無料で適性・希望に合う求人を紹介してもらえます。また、書類作成や面接対策を受けられ、アドバイスをもらえるのもメリットです。
関連記事:社内SEの志望動機の例文と書き方!未経験も転職で使えるポイントを解説
4. 内定と退職手続き
転職先から内定を得たら、現在の企業での退職手続きをします。辞めたあとには、所属元のSES企業と常駐先の企業で調整が必要となるため、トラブルを避けるためにも、急に辞めるのではなく適切な手続きをとって進めなければなりません。1ヶ月前に退職の意思を告げるなど、定められている就業規則を事前に確認しましょう。
SESに関するよくある質問
SESを退職したいと考えていても、転職の経験がなく不安を感じている方は多いでしょう。不安のなかには、顧客企業の案件参画中に退職を希望する場合の手続きや、ほかのSESエンジニアが退職を選ぶ主な理由、最適な退職タイミングなどがあるでしょう。ここでは、こうした不安を解消するため、SESの転職に関するよくある質問に対する回答を紹介します。
Q1. SESでの案件契約中に辞めたい場合どうすれば良いですか?
SESでの退職を希望する場合、まず就業規則を確認し、通常1ヶ月前に上司に退職意向を伝えます。その後、自分の担当業務の引き継ぎを行います。そして、全ての業務がスムーズに移行した後、必要な退職手続きを進めて完了となります。
Q2. SESエンジニアが離職する理由は何ですか?
SESエンジニアが退職を考える背景には、将来性への不安が強く影響しています。特に、経験を積んできたエンジニアは、年齢と共に適応できる案件が減少すると感じることが多いです。また、給与が上がりにくい、数ヶ月~数年単位で職場が変わるため環境になじみにくいといった点が理由になる人もいます。
Q3. SESを辞めるタイミングはいつが良いですか?
特に決まりはないものの、参画している案件の終了後だと周囲に迷惑がかからないでしょう。ただし、SESの退職時期は自分で決定できますが、所属しているSESの内部規則の確認は欠かせません。ほとんどの企業では、「退職を希望する際は1ヶ月前に通知する」といった規定が設けられています。詳しくは以下をご確認ください。
関連記事:SESを辞めたい時の対処法と転職するタイミング!1ヶ月前で辞められる?