プラントエンジニアリングとは?業界の将来性や仕事内容を紹介

最終更新日:2024年3月8日

プラントエンジニアリングとは、各種の原材料やエネルギーを生産するプラントの企画、設計、建設、施工管理、稼働時の運用設計、保守など複数の業務の総称を指します。プラントエンジニアは、さまざまな産業においてこれらのプラントエンジニアリングを実施するエンジニアです。
プラントエンジニアは高い専門性と幅広い知識・スキルが要求される職種で、国内外で一定のニーズがあります。一方で、近年では人材不足に陥っている職種です。
ここでは、プラントエンジニアへの転職を考えているエンジニアに向けて、プラントエンジニアの仕事内容や必要とされるスキル、現状と将来性について解説します。

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この記事のまとめ

  • プラントエンジニアリングは「工場内に設備を設置し、内部を制作物に合わせてシステム化すること」を指す
  • プラントエンジニアリング業界のエンジニアは国内外で需要が見られるが、特に海外で高い
  • 国内市場の成長率は鈍化しているが、業界は人員不足に陥っており今後も一定のニーズがある

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プラントエンジニアリングとは?

プラントエンジニアリングのプラントとは、各種原材料やエネルギーを生産する工場施設や設備を指し、これらプラントで働くエンジニアをプラントエンジニアと呼びます。プラントエンジニアが仕事をし工場設備が動くサイクルを総称してプラントエンジニアリングと呼びますが、これらの名称や正しい意味を今一度確認しておきましょう。
プラントエンジニアリングの定義、プラントとは何か、専門領域や業界での役割などを紹介します。

プラントエンジニアリングの定義

プラントエンジニアリングとは、プラント(製造設備を含む工場)の企画・設計・調達・建設・施工管理・保守等に関する仕事の総称です。また、端的にプラントエンジニアリングを表すなら、工場内に設備を設置し、内部を制作物に合わせてシステム化することとなるでしょう。

プラントエンジニアリングは業務規模が大きく、数年単位のプロジェクトが大半です。プラントエンジニアリングが行われる業界としては、石油・科学・発電・製鉄・環境などがあります。

プラントとは?

プラント(plant)とは英語で工場、生産設備を意味する言葉です。工場を表す英単語として有名なものにファクトリー(factory)がありますが、プラントとは生産対象が異なります。
プラントの場合、工場で生産するのは原料、原材料などの素材や資源です。石油プラントや化学プラントなどは、工業活動に向けた原料を作る工場のためのプラントにあたります。
一方、ファクトリーの場合には、自動車や衣料品など素材を組み合わせて製品を作るラインを持つ工場を意味します。
プラントという言葉には大規模という意味合いはなく、生産設備があれば規模は問われません。

プラントの種類

プラントの種類は大きく3つに分けられ、代表的なものでは、下記が挙げられます。
製品系

・石油プラント
・化学プラント
・製鉄プラント
・製薬、医薬品プラント
・食品プラント

エネルギー系

・発電プラント
・LNGプラント(ガス)

環境系

・環境プラント(廃棄物の処理、再利用、焼却による発電など)
・水処理プラント(上下水の処理など)

プラントエンジニアリングの役割

プラントの建設、運営は、多くの人々が関わり、多大なコストがかかる重要な仕事です。このため、プラントの設置にあたり、企画・設計・資材調達・建設工事・施工管理・設備構築・運用・保守に至るまで専門的なスキルと知識を持ったエンジニアにより実施されます。大規模な設備で長期的な稼働が期待されるため、プラントエンジニアリングという専門性の高い業務が生まれているのです。

また、プラントの建設とプラントで行われる業務運用には密接な関わりがあります。プラント稼働時の業務運用をシステム化し、効率的にするには、プラント建設前に綿密な検討を行い、それに合わせた生産設備を導入する必要があるためです。これらの業務運用に関する設計もプラントエンジニアの重要な役割となります。

プラントエンジニアの専門領域

プラントエンジニアの専門知識は、担当するプラントの分野に応じて異なります。それぞれの必要な専門領域を以下にまとめました。

プラントの分野 必要な専門領域
製品系 石油などプラントで扱う種類の科学知識
エネルギー系 電気・電子工学などの知識
環境系 土木工学や環境工学の知識

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プラントエンジニアの需要と今後の将来性

プラントエンジニアリング業界は国内外、産業分野によって異なる事業を展開しています。また、国内外でエンジニアの需要は異なり、過去と現在においても需要の方向性や業界内の課題は変化しているのが特徴です。
プラントエンジニアとして就職する際に、気になるのが今後の将来性です。ここからはプラントエンジニアの現状と将来性について解説します。

国内は停滞気味、国外は成長中

日本国内では、高度経済成長期からバブル期において旺盛なプラント需要が発生していました。そのため、プラントエンジニアが大量に育成されましたが、バブル崩壊で大規模プロジェクトは減少しています。バブル崩壊後は人材が育っておらず、プラントエンジニアの高齢化が進み、若手は希少といわれる業界です。特徴から見ると、参入障壁はそれほど高くないと考えられるでしょう。

一方で、国内のプラントエンジニアリング業界は成熟気味であり、将来的に大きな伸びは期待できない状況といえます。これに対して海外は将来性の高い地域が多く、特に中東や東南アジアは経済成長が続いています。プラントエンジニアとしての将来性を高めるには、国外にも目を向けることがおすすめです。

新分野でプラント需要が発生

近年は、石油以外のエネルギー分野でプラント需要が発生しています。太陽光発電や液化ガス、水処理プラント、環境プラントなどが該当し、今後も徐々に需要が伸びていくと予想されます。また、プラントエンジニアリング業界は、新技術が広まるタイミングで旺盛な需要が発生するという特徴があります。

過去にもLEDや液晶などの普及期にプラント需要が発生しているため、新しい技術分野の登場が、経験を積むチャンスといえそうです。

コロナ禍による経済影響

経済産業省、厚生労働省、文部科学省による「2023年版ものづくり白書」では、日本国内の設備投資額の傾向を読み取ることができます。プラントの建設や運用は設備投資の一環であるため、設備投資額の傾向からプラントエンジニアリングに対する影響を推定することができるでしょう。

日本国内の設備投資額は2019年第一四半期までは上昇傾向にありました。しかし、新型コロナ禍により日本国内の設備投資額はそれ以降2020年までは大きく下降しています。

一度落ち込んだ設備投資のその後は増加傾向が続いており、2022年には脱炭素関連やシステム・DX投資が伸びています。分野によってはプラントエンジニアリングへの設備投資も回復が見込まれ、プラント業界にも明るい兆しが見えそうです。

参考:2023年版ものづくり白書

国内のメインは既存プラントの改修、改造需要

プラントは数年~数十年単位で稼働させるため、改修・改造需要が一定間隔で発生します。したがって、新規プロジェクトは少ないものの、改修の技術的コンサルティングや、完成後のメンテナンスに対する需要は底堅く存在していると考えられます。

自動化・デジタル化に対応できれば将来性は十分

近年は自然災害などによる損失を回避するために、運転・保守の自動化やデジタル化を進める動きが活発になっています。さらに、プラント運転で得られたビッグデータをもとに最適な制御・メンテナンス・部品交換などを算出するサービスも開始されています。

こうしたサービスではITやAIなどデジタル関連技術が使われており、ITに強いプラントエンジニアであれば将来性は高いといえるでしょう。国内の需要が停滞しているプラントエンジニアリング業界ですが、伸びる分野を見極め活動の視野を広げることで、将来性の高さは十分考えられます。

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プラントエンジニアの仕事内容

プラントエンジニアの仕事内容は多岐にわたり、それぞれの分野で十分な専門知識が必要です。ただし、仕事内容の主な流れは一部共通しています。
プラントエンジニアへの理解を深めるために、仕事の流れや業務範囲を詳しく見ていきましょう。

プラントエンジニアリングの仕事の工程

プラントエンジニアリングの仕事内容は以下の工程に分類できます。


  • ・提案

    ・見積り

    ・設計

    ・調達

    ・工事


ここからは、各工程の仕事内容について確認していきます。

提案

最初に、顧客の要望やニーズに応じてプラントの建設や既存プラントの改修案を提案します。顧客の言語化できていない希望や目的を理解し、技術的・予算的に達成できる案の提案が大切です。提案工程で顧客の目的やプロジェクトの概要を固めることで後の工程が楽になるため、細部まですり合わせることが重要になります。

見積

提案の合意に並行して、提案の実現に掛かる予算を算出していきます。見積もりでは、必要な資材や機器のコストだけでなく、人的リソースや必要工数を踏まえなければなりません。見積費用を見誤ると、会社が損したり契約を取れないなど、業績に直接影響があるため適切に算出する必要があります。

設計

提案や見積の最終案に基づいて、具体的なプロントの設計を行います。設計工程で機器の配置や配管・配線の設計方法や、安全対策から大規模プラントによっては制御システムの設計まで含まれるでしょう。
これらを設計する際に技術的な要件だけでなく、品質基準や建築法の厳守、環境保護などさまざまな基準を意識して設計していきます。

調達

プロジェクトに必要な資材や設備機器の選定・発注を行います。設計に基づいて必要な仕様の部品、設備を適切な数量を調達します。また、設備機器の大半は既製品ではなく、設計に合わせた「特注品」です。したがって、納期をしっかりと確認し、調整していかなくてはなりません。調達工程、設備機器を現場に搬入する際には、受入検査も担当します。

工事

工場の建設工事を行ったのちに、設計した機器の設置と各種工事を行います。設計通りに機能するよう施工し、管理・保全も担当する分野です。工事では危険物を扱うこともあり、高度な技術が求められます。
工程によっては資格が必須となることもあり、所有する資格は重要です。記事後半ではプラントエンジニアに関する試験資格をまとめているため、参考にしてください。

プラントエンジニアが担当する業務範囲

プラントエンジニアは、上記のうち設計フェーズにおいて、次のような作業を担当することが多いでしょう。


  • ・プロセス設計

    ・土木・建築設計

    ・配管設計

    ・電気・計装設計

    ・防消火関連の設計

    ・機器設計


それぞれを紹介します。

プロセス設計

プロセス設計では、プラント全体の作業の流れを設計します。火力発電所であれば、水を沸騰させて水蒸気を作り、水蒸気がタービンを回して電気を生み出す、といった具合に一連の作業が行われます。

このとき、温度圧力や水頭計算などを用いて細かいパラメータを考慮し、物理的に無理・矛盾のないプラント内の流れを作るのが、プロセス設計です。プロセス設計では、「流れ図」や「プロセスデータ」などを作成します。

土木・建築設計

工場を建設する予定の敷地に対して基礎の設計を行い、基礎図や建築図を作成します。このとき、建築物や機器をおいても問題のない基礎となるように設計を行います。

配管設計

プロセス設計で得られたデータをもとに、配管・機器設計を行う工程です。配管の形状や流体に応じた材質の選定も必要となります。配管形状はプラントの外観上、最も印象に残りやすい部分であることから、見た目も重要な要素です。

電気・計装設計

電気設計では、プラント全体の電気の配分、電灯・通信装置などを設計します。また、計装設計は、プラントの計測機器や制御システムを設計する工程です。電気設計では「単線結線図」を、計装設計では「システム構成図」などを作成するのが一般的です。

防消火関連の設計

防火・消火のための設備設計を行います。具体的には、散水設備やガス検知器などが該当します。

機器設計

プラント内に設置する静機器・回転機・コンベヤなど、産業機械を設計する工程です。プラントそのものを作るプロジェクトでは、全体の設計からメンテナンスまでを担当することもあるでしょう。

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プラントエンジニアに求められるスキル

プラントエンジニアには、担当する分野の専門知識からテクニカルスキル、チームプレイを円滑に行うマネジメントスキルなどさまざまな要素が必要です。高い専門性を持つエンジニアだからこそ、向き不向きを考えるために求められる各スキルについて詳しく知っておきましょう。
一般的にプラントエンジニアに求められるスキルを以下にまとめました。

プラントに関する専門知識

機械、化学、電気、建築・土木など、各プラントに特化した専門知識が必要です。そのため、対象のプラントによって必要な専門知識は異なります。専門知識のレベルとしては、理工学部の学士以上のレベルが求められます。

大学の理工学部を卒業し、大学院に進学したのちにプラントエンジニアになるケースが多いです。

テクニカルスキル

プラントエンジニアの基礎スキルともいえるのが「テクニカルスキル」です。テクニカルスキルとしては、土木・化学・電気・機械など産業ごとの専門知識がベースとなります。大学の工学部レベルの知識が求められるため、理系学部出身の人材が有利です。また、設計スキルも備えておく必要があります。

マネジメントスキル

プラントエンジニアは現場作業員や職人と適切にコミュニケーションをとりつつ、現場の施工管理を進めます。現場監督のような役割を担うこともあるため、マネジメントスキルは必須といえるかもしれません。
各工程のプロジェクトの規模が大きい分、現場で起こるミスや開発の遅れが大きな損害を生み出してしまいがちです。納期と品質を遵守するためには、現場スタッフとの連携・コミュニケーションが重要になります。

英語をはじめとする語学力

プラントエンジニアリング業界では、海外でのプロジェクトに参画することも珍しくありません。したがって、一定の語学力が求められることがあります。特に英語力があると、参画できるプロジェクトの幅が広がるでしょう。

関連記事:組み込みエンジニアが英語を使えることで得られるメリット

コミュニケーションスキル

プラントエンジニアは機械メーカー、クライアント企業の担当者、社内の各部署などとたびたびコミュニケーションを取る必要があります。連係ミスが業務非効率化につながることはもちろん、損害につながってしまうこともあるでしょう。

そのためコミュニケーションスキルはプロジェクトを円滑に進めるうえで欠かせません。プロジェクトには多くの人がかかわるので、いろいろなタイプの人と臨機応変にやり取りする適応力も同時に必要になります。

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プラントエンジニアリング業界の魅力

どの業界にもいえますが、プラントエンジニアリング業界にも特徴から受ける魅力があります。プラントエンジニアリングの実情が知りたい人に向けて、なぜこの業界が注目されているのか、どのような働き方なのかを紹介します。

年収が高い傾向がある

厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtagによると、プラント設計技術者の属する主な職業分類「機械開発技術者」の平均年収は606.2万円です(出典:令和4年賃金構造基本統計調査)。
建設業界は全職種の平均と比較すると年収は高めですが、プラントエンジニアリングにはさらに専門的な知識や高いスキルが要求されるため年収も高水準です。
今後、活躍が予想されるデジタル化、IoT化に関した知識とスキルを持つ場合には、より高い年収も望めます。

安定した需要があり転職しやすい

プラントは日本国内にも世界中にも多数存在しており、耐用年数があるため一定周期での立て直しが必要です。このため、安定した需要が見込まれるのも魅力の1つといえます。さらに、海外での成長性や新分野のプラント、デジタル化やIoTなどの技術に対応している人材の場合には高い需要が見込めます。
この安定した需要により、プラントエンジニアとしてのスキルを持っている場合は、条件の良い企業への転職も望みやすいです。スキルを向上させることで、就業地域など自分の働き方を求めやすい仕事といえるでしょう。

社会貢献度が高い

社会を支えるインフラである石油・ガス・電気を生産するためには、エネルギープラントは必要不可欠です。廃棄物や排水処理でも、プラントは欠かせません。
このように社会基盤の根底となる設備に携われる業務は、エンジニアにとって社会貢献度の大きさを実感しやすいでしょう。やりがいを感じる場面も多く、モチベーション維持に繋がるのも魅力の1つです。

グローバルに働ける

紹介したように、国内のプラントエンジニアリング企業の主流は「海外でのプラント建設」です。海外の売上比率が高い企業も多く、実際に海外赴任や海外出張が多い業界といえます。
グローバルなビジネスに関わりたい、海外で働くチャンスを掴みたいと思うエンジニアにとっては良い環境です。語学を活かした仕事をしたいエンジニアにも、プラントエンジニアリング業界は人気があります。

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未経験からプラントエンジニアに転職するには

魅力も多いプラントエンジニアですが、一方で特殊な技術と知識が求められ、参入の難易度が高いといえるでしょう。これを踏まえた上で、未経験からプラントエンジニアに転職する方法やプラントそのものに関わる手段を紹介します。

未経験可の転職求人に応募する

プラントエンジニアは高いスキルが求められる傾向にありますが、現在は高齢化の影響で未経験者に対して門戸を開く企業もあります。そのため、未経験可の転職求人を探して応募するのが1つの方法です。仮に待遇があまり良くなかったとしても、業務経験を積む目的で就職する人もいます。
エンジニアそのものの経験不足を感じている場合は、まずは一度働いてみるのも1つの手段です。経験があれば今後のキャリアパスも形成しやすいため、次の転職がしやすくなるメリットもあります。

技術者派遣から正社員を目指す

技術者派遣とは、派遣会社に登録し、派遣会社から紹介を受けてプロジェクトに参画する働き方のことです。一定期間プロジェクトに参画した後、再度別の派遣先を紹介されるのが一般的です。技術者派遣なら正社員よりも採用のハードルが低いので、まずは技術者派遣から始められます。

実績を積むことでプロジェクトからの引き抜きを狙う、実績をもとに再転職をする、といったことが可能になります。

資格の取得を通してスキルを磨く

資格取得はスキルアップに役立つだけでなく、就職の際に客観的なスキル証明ができる点でも役立ちます。担当分野によって必要な資格は異なりますが、プラントエンジニアにおすすめの資格をピックアップして紹介します。1つずつ見ていきましょう。

管工事施工管理技術士

管工事施工管理技士とは、管工事の施工管理における専門的な国家資格です。管工事施工管理技士には2級と1級がありますが、合格するためにはいずれも受験資格が必要であり、実務経験や学校で勉強した経験が求められます。

管工事施工管理技士は受験資格を満たしている人であれば取得すると有利というものなので、逆にいえば受験資格を持たない方は別の資格を検討しても良いでしょう。プラントエンジニアを目指すうえで必須というわけではないので、受験資格がない場合も気にする必要はありません。

機械設計技術者試験

機械設計技術者試験は一般社団法人日本機械設計工業会が実施する民間資格です。3級から1級まであり、3級は誰でも受験できます。2級と1級は実務経験が必要になります。プラントエンジニアを目指しているがまだ実務経験がない方は、3級がターゲットになるでしょう。3級の試験内容は、機械力学、制御工学、工業材料、材料力学などです。

CAD利用技術者試験

CADとは設計や製図のツールのことです。プラントエンジニアはCADを使って設計することがほとんどであり、CADを扱うスキルや知識・認識などは欠かせません。CAD利用技術者試験は2次元CADと3次元CADに分かれています。そして2次元CADには2級と1級、3次元CADには2級、準1級、1級があります。

電気工事施工管理技術検定

電気系のプラントエンジニアにおいて、主な役割にはプラントへの電力供給が挙げられます。そのため、電気工学もしくはそれに付随する知識があると業務に役立つでしょう。
電気工事施工管理技術検定とは、施工管理技士国家資格のうちの1つです。資格は1級と2級があり、それぞれ携わる工事の規模が異なります。令和6年度からは受験資格が変更され、より広く門戸が開かれるようになっています。

土木施工管理技術検定

土木施工管理技術検定とは、ライフラインの基盤を整備するために重要な資格です。ほかの施工管理技士と同じく国家資格であり、1級と2級に分けられています。
それぞれ合格すると、1級は「監理技術者」2級は作業工程ごとの責任者である「主任技術者」として履歴書などに記載が可能です。また、1級と2級では受験資格が異なるため、実務経験年数などを確認しておく必要があるでしょう。

配管技能士

配管技能士とは、配管工の仕事関連の専門知識を証明する資格です。配管の技術を認定する国家資格であり、資格区分は一般住宅に係る「建設配管作業」と工場設備全般に関わる「プラント配管作業」の2つがあります。プラントエンジニアとして取得する場合は、プラント配管作業の合格を目指しましょう。
それぞれ1級~3級までのグレードに分かれており、受験資格が実務経験によって異なります。

TOEIC

プラントエンジニアは海外からの需要も大きく、海外で働くためには語学力も必要になります。どの言語が使用されるかは国によって異なりますが、他国のプラントエンジニアも国際的に働いている人材であれば英語を扱える可能性が高いです。

英語が共通語になっているので、TOEICで点数を取っておくと役立ちます。転職の際のアピール材料にもなるでしょう。

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プラントエンジニアのキャリアパス

プラントエンジニアはエンジニアとして現場で作業経験を積んだのち、マネジメント側に昇進していくキャリアパスが一般的です。また他には類似する分野である、再生可能エネルギーの分野に転職するケースもあります。

マネジメントスキルについては共通しているため、エンジニアとしてIT関係のプロジェクトマネジメント分野も目指せます。

いずれにしても、スペシャリストとして技術を極めるよりも、マネジメント側でキャリアアップした方が待遇が良くなる可能性が高いでしょう。

関連記事:プロジェクトマネージャーに役立つおすすめの資格と難易度を解説

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プラントエンジニアリング業界の今後の見通し

プラントエンジニアリング業界の課題、今後どのようになっていくのかを解説します。海外での展望が期待できる一方で、国内では需要の衰退と人材不足が同時に起きており、将来的にどうなるのか疑問視する声もゼロではありません。現在の業界の取り組みや、課題について見ていきましょう。

エネルギープラント以外への進出

特に国内のプラント業界で起きているのが、従来のエネルギープラントの建設に大きく依存した業態の脱却を目指した取り組みです。

日本国内の従来のエネルギープラントについて需要は一定の状態に達しており、今後の成長はあまり望めないと考えられます。また、海外でもエネルギープラントは大きな領域ですが、他国企業との価格競争が発生しているため利益の確保が難しいと考えられています。

そこで起きているのが、水素サプライチェーンの構築や再生エネルギー施設への事業投資、プラントの運営・メンテナンス事業への進出といった新たな分野や業態への挑戦です。これらの今後の成長はプラントエンジニアリング業界の未来を左右する重要な要素といえます。

デジタル化に備えたIT人材の確保が必要

プラントエンジニアリングでも重要視されているのがデジタル化の推進です。プラントの効率的な建設、運用に向けてITの活用は必須であり、ITに関するスキルを持った人材の確保が重要課題となっています。

デジタル化の具体的な内容としては、IoTを利用した次世代スマート工場が一つの例となります。また、プラントの稼働データを蓄積しビッグデータ化、ビッグデータをAIにより解析し、プラントの稼働の最適化を図るといった利用方法も有望です。

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プラントエンジニアリングに関するよくある質問

プラントエンジニアリングについて、よく聞かれる質問である市場動向や今後の課題、適性についてをまとめました。本記事を振り返る意味でもチェックしていきましょう。

Q1. プラントエンジニアリングの市場動向は?

プラントエンジニアリングの市場動向は国内と国外で異なります。国内市場は長年横ばいであり、年度によっては微増しているのが実情です。
一方国外市場は大幅に成長しています。2022年には大幅成長が見られ、今後も注目されると考えられるでしょう。

また、国内は脱炭素社会に向けた再生可能エネルギー市場が成長しているのに対して、国外ではエネルギー需要やエネルギー安全保障を背景に投資額が増額しています。

Q2. プラントエンジニアリング業界の課題は?

プラントエンジニアリング業界の課題は人員不足です。プラントエンジニアリングは高品質を維持するために必要な技術が多く、人材育成に時間が掛かります。また、成長率が鈍化していることもあり、若手人材の確保にしているため、人員不足が課題です。

Q3. プラントエンジニアリング業界に向いているのはどのような人ですか?

1つのプラントが立ち上がるまでは、長期間かかります。また、プラントエンジニアリング業界にはさまざまですが、特にエネルギープラントは社会を支える重要なインフラです。
そのため、高い技術や複雑な専門知識を要求されても、必要なことを吸収できるほど「現場でのものづくりが好き」というエンジニアはプラントエンジニアリング業界向きです。大規模なプロジェクトも多く、大型の建築物や設備を手がけたいという志向のある人にも向いているといえるでしょう。

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まとめ

プラントエンジニアは、さまざまな産業でプラントの企画、設計、建設、施工管理、保守など複数の業務に携わるエンジニアです。専門性が高く、国内外で一定のニーズがあります。
国内のプラントエンジニアリング業界は成熟気味で改修・改造需要が中心である一方、海外には将来性の高い地域が多いです。国外にも目を向けることができれば、将来性は決して低くないといえます。本記事を参考にプラントエンジニアについて理解を深め、今後のキャリアに活かしてみましょう。

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