外資系SIerの企業例9選!年収、メリットやデメリットも解説

最終更新日:2023年11月17日

外資系SIerは海外に本拠を持つ日本法人であり、日本市場向けに大規模なシステム開発を展開してきました。多様な職場環境で成果に報いる文化を好む人には、適した転職先と言えるでしょう。外資系SIerは企業の成り立ちによっていくつかの種類に分けられます。

それぞれ特徴や仕事内容が異なるため、違いをよく理解した上で転職活動を行うべきでしょう。これまでのスキルを生かして実力主義の企業で自分を試したい、年収が高い企業に行きたい。このように考えている現役エンジニアの方に向けて、外資系SIerの種類や働く上でのメリットとデメリット、転職する際の対策などについて紹介します。

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この記事のまとめ

  • 外資系SIerは海外のIT企業が日本法人を設立し、日本市場向けにシステム開発などのサービスを展開する企業を指す
  • 外資系SIerでの勤務は、成果に見合った報酬が期待できる上に、多様なプロジェクトを通じて汎用性の高い技術を磨けるメリットがある
  • 外資系SIerのデメリットは、成果を出さないと契約打ち切りや報酬が下がるケースが往々にして起こりえるため、安定性に欠けること
  • 高額な報酬や自己成長を求める方にとって、外資系SIerは、国内のSIerよりもマッチした環境であると考えられる

外資系SIerとは?

最初にSIer(System Integrator、エスアイヤー)について簡単に解説します。SIerは一般的に中規模〜大規模のシステム開発案件を受注し、顧客企業に対して業務分析・要件定義・設計・開発・運用などのサービスを提供します。官公庁から金融業・製造業まで、これまであらゆる業界でSIerがIT化を支援してきました。
外資系SIerは、海外の企業が日本法人を設立し、日本市場向けにシステム開発などのサービスを担います。本章では、SIer企業の分類や業務領域について解説します。

SIer企業の5つの分類

SIerは主に5つの企業形態に分類することができます。SIer企業の5つの分類としては「外資系SIer企業」「メーカー系SIer企業「ユーザー系SIer企業」「独立系SIer企業」「コンサル系SIer企業」があります。転職活動する際には必ず押さえておきたいポイントですので、それぞれの特徴や強みの部分について解説していきます。

関連記事:SIerの志望動機の書き方と例文|書く時のポイントと注意点も解説

外資系SIer企業

外資系SIerは海外のIT企業が日本法人を設立し、日本市場向けにSI(System Integration)のサービスを展開する企業を指します。日本企業の海外進出を支援したり、逆に海外の技術を日本企業へ導入したりするシステム開発案件が多く見られることが特徴です。国内のSIerに比べると世界規模に標準化された技術やプロセス、あるいは本社に影響された企業文化などの点で違いがあります。外資系SIerはその企業の成り立ちによって、企業文化や強みが異なるでしょう。

海外で開発されたソフトウェアを日本企業へ導入したり、海外にいる人員を活用してオフショア開発を支援したりと、さまざまなサービスが提供されています。

メーカー系SIer企業

メーカー系SIerはPCを始めとするハードウェアを製造する企業のシステム部が、独立や分社化などで誕生した企業のことです。親会社の事業であるハードウェアを活かしたソリューションの提案やシステム開発が得意とされています。大企業の系列でもあることから、体制や教育などが充実していることも想像できます。
このように親会社からの影響を受けやすいポジションでもあるので、どのような事業のSIerであるかを見極めることが重要でしょう。

関連記事:メーカー系SIerは高待遇?メリット・デメリットを解説!

ユーザー系SIer企業

ユーザー系SIerとは商社や金融、製造系などの大手企業が親会社のSIerを指します。親会社だけでなく系列企業といった特定のソリューションやシステム開発が軸となることが特徴です。クライアントが特定の業界に特化しているため、業界自体の業績や方針に左右されることが多いでしょう。

業務内容としてはプログラミングを数年経験した後に、協力会社などの外注管理するポジションを任されます。エンジニアの技術力を活かして転職を考えるなら、自主的に学ぶ姿勢も大切です。とはいえ親会社が大企業であれば、教育体制などが整っていることが期待できます。

独立系SIer企業

独立系SIerは親会社を持たずに、独自の経営でシステム開発をおこなう企業です。ハードウェアメーカー・商社・金融のシステム部門に所属していた社員が独立、起業して誕生した企業が数多く存在します。クライアントの業種や企業はさまざまなので、特定のメーカーやベンダーに依存しないシステムの提案ができるのも特徴です。

また企業風土もフレックスタイムやフリーアドレスなど、堅苦しさがない自由な社風の企業が多く見受けられます。競争もメーカー系やユーザー系に比べると少なく、昇進はしやすい体制でしょう。その一方で収益の安定性や待遇面で保証されていないこともあるので、事前にしっかりと企業分析することが重要です。

コンサル系SIer企業

コンサル系SIerは、コンサルティング企業がSIerに進出したりSIerがコンサルティングに進出したりするなどの経緯から誕生した企業です。近年よく叫ばれる事業のDX化にともない、コンサルティングを武器にするSIerが増えてきました。これまでビジネスをサポートしてきたコンサル企業がIT事業にも幅を広げてきた影響で、IT事業を展開する既存のSIerは対抗するためコンサル事業にも乗り出してきています。

クライアントの立場からもシステム開発だけでなく事業内容から戦略的に提案してくれるので、ワンストップサービスとして依頼できるメリットがあります。転職先としては事業の企画から携われるチャンスがあるので、将来ITコンサルティングのキャリアを視野に入れたい方にとってはメリットがあるでしょう。

SIerの4つの業務領域

SIer企業は5つの分類に分かれていますが、その主要な業務は4つの業務領域に集約されます。これらのSIer企業は、特定の技術やサービスに長けている一方で、苦手とする分野も存在します。そのため、プロジェクトの性質に応じて、それぞれの企業が担当する役割やポジションが変わります。転職先として重要な判断材料となるため、主な業務領域の4つについても解説します。

企画

外資系およびユーザー系SIerにとって、企画業務は得意分野と言えます。企画業務は、経営戦略の策定や顧客の抱える問題の解決に必要なシステムの特定に集中する領域です。
企画業務は開発に伴うコストや投資対効果を精査し、クライアント企業の担当者と密接に協力しながら、最適なソリューションの策定に努めます。企画業務は、SIerの専門知識を活かし、クライアントのビジネス価値を最大化するための戦略を考えます。

要件定義

要件定義はメーカー系SIerとユーザー系SIerが得意とする領域です。企画されたシステムの実現化に向けて、実装に必要な機能や性能を決めていきます。現場で業務を運用している担当者と一緒に検討しながら、費用の規模感や大枠の仕様などが決まる重要なフェーズとなります。企画から要件定義については経験値が求められるため、新人が担当することはまずないでしょう。

設計・開発

設計・開発はメーカー系と独立系SIerのフィールドです。要件定義で定義した機能をプログラミングできるように設計し、開発からテストまで進めます。このフェーズではまだユーザーが参加することはありません。SIerが主体となって担当することになるので、SIerに転職すれば比較的に参加しやすいといえるでしょう。

維持・保守

維持・保守はメーカー系とユーザー系のSIerが該当します。主にシステムをリリースした後の工程が担当となるため、ユーザーからの問合せ対応から機能改修までのサポートがメイン業務となるでしょう。リリース直後や改修が発生したタイミングが、このフェーズの繁忙期となることが予測されます。小規模なシステム改修であれば、プログラミング業務にも参加することは可能です。

外資系SIerの種類

外資系SIerは企業の成り立ちによって、企業文化や強みが異なります。海外で開発されたソフトウェアを日本企業へ導入したり、海外にいる人員を活用してオフショア開発を支援したりと、さまざまなサービスを提供するのが特徴です。

外資系SIerの種類は、コンサルティング系やソフトウェア系、ハードウェア系があります。本章では、これらの外資系SIerの代表的な種類について説明します。

コンサルティング系

コンサルティングファームがSI部門を設置したり、逆にIT企業がコンサルティング企業を買収したりしてできたSlerで、経営戦略やIT戦略の立案に強みを持ちます。システム開発は経営や業務にまつわる課題を解決するために、システムを構築する前にコンサルティングを実施するケースが多く見られるでしょう。コンサルティングの結果を踏まえてシステムのあるべき姿を描き、それを実現するよう開発を進めていきます。

ソフトウェア系

ソフトウェア系は、企業が法人向けのソフトウェアを導入する際や、それに伴うシステムの開発を進めます。具体的な例として、ERP(統合基幹業務システム)の導入が挙げられます。ERPの導入プロセスは、単にソフトウェアをインストールするだけでは完了しません。

まずは業務の流れや特性を深く理解し、その上で要件定義を行います。次に、その要件に基づいてソフトウェアのカスタマイズが行われます。

ハードウェア系

ハードウェア系は、大手のIT機器メーカーが強みとするサーバー製品やネットワーク製品の強みを活かしています。ハードウェア系の外資系SIerは、現場で稼働するソフトウェアの提供やシステム開発のサービスを行います。また提供するIT機器に関連して、インフラの運用管理や定期的な保守といったサービスも手掛けます。

外資系SIerで働くメリットとデメリット

外資系SIer企業に対しては、成果を重んじる文化や高収入のチャンスがあるといったイメージを、多くの人が抱いているかもしれません。このような企業文化を心地よいと感じる人もいれば、そうでない人もいるでしょう。転職後のミスマッチを防ぐためにも、外資系SIerで働くメリットとデメリットを理解しておきましょう。

メリット

外資系SIerで働くメリットは、先進的な技術力の習得と、高い技術力と標準化されたプロセスに触れられることや国際的なプロジェクトに参加する充実感です。さらに、実績に基づく評価システムのおかげで、高収入を得るチャンスも魅力です。

そして、汎用性の高いスキルを磨けることも外資系SIerで働くメリットと言えます。本項では、外資系SIerで働くメリットについて解説します。

関連記事:SIerから転職したい理由とは?おすすめのタイミングと成功の条件

高い技術力と標準化されたプロセス

外資系SIerでは、グローバルに標準化されたソリューションやプロセスに触れることができます。深い業界知識に基づいたベストプラクティスが含まれているので、これらを理解すれば自身のスキル向上にもつながります。

世界規模のプロジェクトに携われる可能性もあるでしょう。日本企業の海外進出を支援したり、海外の技術を日本企業へ導入したりする案件に興味がある人に向いています。

国際プロジェクトに携われるというやりがい

外資系企業のプロジェクトは国際規模です。予算規模も大きいため、やりがいを感じられる方もいるでしょう。また国際プロジェクトでは多国籍の人材が参画しています。多国籍の人種とのかかわりで価値観が広がり、世界規模で動ける人材に成長できるといったメリットにもつながります。

特にIT業界は技術や働き方が最先端であることも多いですが、国内のIT企業だとあくまでも国内の最先端にしか触れられません。外資系SIerなら世界の最先端情報が入ってきやすいため、技術や働き方、国際的な価値観などに興味のある方にとって楽しい環境になるでしょう。

成果に応じた評価が得られ、高収入を狙いやすい

外資系SIerでは年功序列よりも、実績によって評価される制度が多く見られます。意欲を持って積極的に仕事へ取り組めば、年齢・性別に関わらず活躍できる舞台が用意されているでしょう。世界規模で標準化された人事制度によって、年収や福利厚生・研修の機会が優れているのもメリットです。

成果に応じた制度であるため、成果次第では高収入も狙えます。このような制度は、年功序列の日本企業と大きな違いがあります。

汎用性の高いスキルを磨ける

外資系SIerなら開発から運用保守まで幅広い業務を担っています。大規模プロジェクトの案件数も多く、プロジェクトの進捗管理やプレゼンテーションから、資料作成やマネジメントなどプログラミングスキル以外も幅広く習得できるでしょう。SIer企業だけでなく普遍的かつ価値の高いスキルなので、異業種においても市場価値を高められます。

デメリット

外資系SIerでの仕事には、多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも無視できません。権限が海外の本社に偏在するため、日本国内のオフィスでは意思決定に限界があるケースがあります。
加えて、「安定したポジション」を期待するのは難しく、業績や組織再編によっては契約解除の可能性も否定できません。さらに、企業によっては最新技術の習得機会が限られている場合があり、新しい技術が身につきづらいこともあります。本項では、外資系SIerで働くデメリットについて解説します。

関連記事:SIer・SESや未経験からWeb系企業への転職を成功させるには

海外本社に権限が集中しがち

日本市場へ事業を展開する目的で設立された日本法人は、一般的に海外本社の指示に従わざるを得ません。海外本社に権限が集中しているため、日本法人だけで経営方針を決めることができないからです。
日本市場の状況に関わらず部門ごと他社へ売却されてしまったり、分社化されたりするケースも見受けられます。希望する部署や役職があったとしても、海外本社の意向によってはキャリアパスが叶わない恐れもあるでしょう。

「安定したポジション」は存在しない

日本企業でも年功序列や終身雇用がなくなりつつありますが、外資系企業にはもともとそういった概念はありません。上下関係よりも成果主義の色が強く、在籍期間が長くなれば成果を上げなくても在籍できるといった保証もないのです。

成果に応じて報酬が上がりやすい反面、成果を出さないと契約打ち切りや報酬が下がるといったことが往々にして起こりえます。一長一短ではありますが、安定を望む方には外資系企業はミスマッチともいえるでしょう。

会社の都合で契約を切られる恐れがある

外資系SIerで働くデメリットは、従業員の契約解除が会社の経営方針に応じて突然行われることがあります。これは、外資系企業が日本の年功序列や終身雇用のシステムを採用していないことに起因します。結果として、個々の成果が直接的に評価され、目標を達成できない場合、契約の更新が困難になったり、報酬が減少することがあります。

会社の都合で契約を切られる可能性の存在は、安定した職場環境を求める方や長期的な雇用を希望する方にとって、大きな不安要素となり得ます。

新しい技術が身につきづらい

世界的な大規模プロジェクトであればあるほど、分業制で進められることが多く担当業務が細分化されています。担当業務がセキュリティシステムだけ、プロジェクトの進捗管理だけなど幅の狭い業務範囲になってしまいがちです。

特定の業務だけを掘り下げてスキルを身につけるなら最適かもしれませんが、最新技術に触れる機会がないため新しい技術を身につけにくい環境といえるでしょう。

外資系SIerの年収相場

外資系SIerの年収レンジは400万円〜1500万円ほど、「SE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装)」の平均年収が約600万円と言われています。この数字を見ると外資系SIerの年収は幅が広いですが、平均的に見ると高いといえるでしょう。

成果を出した場合の年収は高く、1000万円を超えることもあります。もし成果を出さなかったら生活できないほどの給与になるのかというと、決してそんなことはありません。成果を出していない場合でも、日本企業と同等またはそれに近い程度の報酬は得られるでしょう。ただし契約を更新できない可能性があるので、外資系企業に在籍する限りは高収入を望まなくても成果を出し続ける必要があります。

外資系SIerに転職する際に必要なスキルと対策方法

外資系SIerは多様な職場環境や好待遇から、転職先として魅力を感じる人も多いでしょう。しかし、転職は単なる決断以上のものであり、成功への道は十分な準備と戦略が必要です。本章では、外資系SIerへ転職する際に実施するべき対策や、身につけておきたいスキルについて説明します。外資系SIerへの転職の参考に活用してください。

システム開発経験

外資系SIerへ技術職として転職する際には、これまでのシステム開発の経験が評価されます。特に大手の外資系SIerは業務分析や要件定義といった上流工程を担当する場合が多いので、上流工程を担当した経験があると望ましいでしょう。コンサルティング系の外資系SIerでは、開発を担当する業界での業務知識が重宝される場合もあります。

プロジェクト参画経験

外資系SIerでは大規模プロジェクトを統括する役割を担うケースが多く見られるため、大規模案件に参加した経験があれば評価につながります。チームで開発工程を進めていく中で、発揮した進捗管理や課題解決のスキルは大規模プロジェクトでは欠かせません。小規模のチームであっても、プロジェクト管理を担当した経験は評価されやすいでしょう。

TOEICで800点以上を目指す

外資系SIerへの転職を考える際、必須なのが語学力、特に英語スキルです。多くの外資系企業では英語が業務上の主要なコミュニケーション手段となっています。グローバルなプロジェクトでは、様々な国籍のエンジニアと連携して作業を進めることが一般的です。

英語での円滑なコミュニケーションはプロジェクトの成功に直結するため、TOEICで800点以上を目指すようにしましょう。採用においても、TOEICのスコアが一定の基準として設定されているケースも多くあります。

企業分析と自己分析

単純に外資系Slerと言っても、企業によって文化は異なります。例えば米国本社の企業はより成果主義の傾向が強く、欧州本社の企業は個人主義の色合いが強いと言われます。外資系企業への適性を見極めるためにも、転職を検討する際には自己分析をしっかりと行いましょう。転職エージェントから各企業の情報を収集することも有効です。

なるべく早期に行動するのがおすすめ

外資系SIerに転職するために大事なことは、なるべく早期に行動することです。外資系企業の採用は、日本の一般的な就活スケジュールより前倒しされています。そのため、3月には大半の企業が内定を出しており、遅れをとってしまうとチャンスを逃す可能性が高まります。したがって、外資SIer系に興味がある場合は、早期に行動することを心掛けるようにしましょう。

外資系SIerの企業例9選

日本国内における外資系SIerの企業は、その数だけでなく、業績においても注目される存在です。外資系SIerの企業がどのような実績を上げているのかを把握するために、まずは売上および年収ランキングを紹介します。本章では、これらのランキングで上位に位置する外資系SIer企業や、業界内で目を引く9つの外資系SIer企業を紹介していきます。

外資系SIer企業の売上ランキング

外資系SIer企業各社のIR資料から売上ランキングを作成しました。売上ランキングでは、日本アイ・ビー・エムが大幅に他社よりリードしているのがわかります。また、コンサルティング系も多くランクインしています。

順位 会社名 売上
1位 日本アイ・ビー・エム 7,837億円
2位 デロイト・トーマツ・コンサルティング 2,738億円
3位 日本ヒューレット・パッカード 2,274億円
4位 日本オラクル 2,146億円
5位 SAPジャパン 1,770億円
6位 PwCコンサルティング 1,647億円
7位 KPMGコンサルティング 1,387億円
8位 EYストラテジー・アンド・コンサルティング 800億円

外資系SIer企業の年収ランキング

外資系SIer企業のIR資料をベースとした年収ランキングによると、外資系SIer企業各社の平均年収は800〜1,000万円台となっています。対照的に、厚生労働省のデータによれば、日本全体の年間平均給与は311.8万円です。この結果から、ランキングに名を連ねる外資系SIer企業の平均年収は、日本の全体平均よりも高額であることが明らかとなっています。

順位 会社名 平均年収
1位 日本オラクル 1,069万円
2位 SAPジャパン 1,028万円
3位 デロイト・トーマツ・コンサルティング 935万円
4位 PwCコンサルティング 930万円
5位 日本アイ・ビー・エム 912万円
6位 KPMGコンサルティング 902万円
7位 EYストラテジー・アンド・コンサルティング 899万円
8位 アクセンチュア 871万円
9位 日本ヒューレット・パッカード 821万円

外資系SIerの企業例

外資系SIerへの転職を考えている方々にとって、各企業の具体的な情報は転職活動の大きな参考となります。各社の特色を理解することは、転職の成功に繋がるヒントとなります。
本項では、国内で著名な外資系SIerの企業例を9社ピックアップして紹介します。外資系SIerへ転職を検討している方にとって、これらの企業例は外資系SIerの企業イメージの理解に役立つでしょう。

1. アクセンチュア株式会社

アクセンチュアは外資系SIerの中では知名度が高く、IT関連のプロジェクト全般に事業の幅を広げています。世界120ヵ国以上に対してサービス展開をしており、社員数は50万人を超えています。どのプロジェクトにおいても実作業に着手するよりは、上流工程でコンサル業務を行うことが多いです。そのためアクセンチュアを外資系コンサル会社と考えている方も多いはずです。

アクセンチュアのイメージとして、スピード感がある、仕事熱心、問題解決能力の高い社員が多いといったイメージを持たれている方が多くいますが、その一方では社員同士が蹴落としあっている、競争が激しい、という印象を持たれるかもしれません。しかし実際にはアクセンチュアには助け合う風土があるといえるでしょう。

2. 日本オラクル

1985年に米国オラクル・コーポレーションの子会社として設立された「日本オラクル」は、国内での情報システム構築を手掛けています。事業としては、ソフトウェア、ハードウェアの製品供給、ソリューション提案、専門的なコンサルティング、サポート、そして教育サービスが含まれます。

平均年収が1,000万円を超えるなど、報酬面でも外資系SIerの中でトップクラスです。また、同社はフレキシブルな働き方を推奨しており、従業員は上司の承認のもと、週に一度の出社を除いてテレワークが可能です。さらに、労働時間は1日7時間と規定されていますが、実際の勤務時間は自己管理による部分が大きいです。

3. 日本アイ・ビー・エム

日本アイ・ビー・エムは、ビジネスコンサルティングからITのシステム導入、運用管理、そしてアウトソーシングまで、多岐にわたるサービスを提供しており、高い売上を持つ安定した企業として知られています。

特に女性のキャリア形成に注力し、成果に応じた公正な評価システムにより、女性も活躍し昇進する道がしっかりと用意されています。その一方で、男性と同様の仕事量や成果が求められることも意味しています。また一部では、残業や休日出勤が多いイメージがあると言われています。

4. SAPジャパン

SAPジャパンは、多種多様な企業に対応するエンタープライズソフトウェア市場でのリーダー的存在です。社内の公用語は英語で、研修や通知も英語で行われ、業務での英語使用頻度が高いため、語学力が必須です。
労働時間に関してはフレックスタイム制を採用しており、就業時間は比較的自由度が高いです。そのため、従業員に柔軟な働き方を提供し、プライベートとの両立をサポートしています。

5. 日本ヒューレット・パッカード

日本ヒューレット・パッカードは、サーバーやネットワーク機器などのエンタープライズ製品の製造・販売及びソリューションサービスを提供するコンピュータ業界のリーダー的存在です。上司とも話しやすい社風で、風通しの良い職場環境を築いています。

社員一人ひとりの健康と安全を重視し、フレックスタイム制度をはじめとする各個人に適した多様な働き方をサポートしています。

6. KPMGコンサルティング

KPMGコンサルティング株式会社は、グローバルに展開するビジネス変革や経営改善を手掛けるコンサルティングファームです。事業内容として、事業の戦略立案や運用の効率化、収益力向上、ガバナンスの確立、リスク対策、ITの戦略構築や実装サポート、そして組織や人材の変革サポートなどが挙げられます。

また、KPMGコンサルティングは、女性のキャリア推進に注力している企業としても知られています。

7. デロイト・トーマツ・コンサルティング

デロイト・トーマツ・コンサルティングは、戦略の策定から実行支援に至るまで、一貫したサービスを提供するコンサルティングファームです。若手からでも優れた実力を持つコンサルタントには、多くのチャンスが提供される風土が根付いています。

クライアントの大半が大手企業であるため、大規模プロジェクトへの参加が多く、その結果、手応えのある業務に従事することが可能です。さらに、半年ごとの昇進チャンスが設けられており、早い段階でキャリアアップを目指すことができる環境が整っています。

8. PwCコンサルティング

PwCコンサルティングは、世界4大会計事務所PwCグループに属するSIerです。グローバルネットワークを駆使し、事業改革から組織、コスト構造の見直しに至るまでの戦略支援を行っています。また、クライアントの国内外での競争力を向上させるサービスも提供しています。

9. EYストラテジー・アンド・コンサルティング

EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、テクノロジーから医療、社会インフラ分野まで多岐にわたる専門家がグローバルに協力し、経営の難題に対応する幅広いコンサルティングを行っています。

外資系SIerの求人例

外資系SIerへの転職を検討している方にとって、外資系SIerの具体的な求人情報は重要です。本章では、レバテックキャリアに掲載されている求人情報から、「セールスエンジニア」と「インフラ系コンサルタント」の実例を取り上げて紹介いたします。これらの具体的な求人内容を知ることで、外資系SIerへの転職活動の方向性や準備に役立つことでしょう。

【セールスエンジニア】

想定年収:400~1500万円
雇用形態:正社員

<具体的な業務内容>
お客さまのリクエストの要件や整理
提案に必要となる情報収集と、これに基づく提案戦略インプットの作成(例えば、製品やサービスの機能比較、方法論の比較、TCOの整理など)
要件に応じた最適なソリューション選定と提案

【仕事の特色】
<ポジションの魅力>
最終キャリアパス
Globalレベルでの戦略的協業の策定や立案を行うリード
身につけられるスキルや知識
エコシステムパートナーの製品・サービスの知識、交渉力、マーケティング力、会計やプロジェクトリーダーに関する知識

【応募要件】
<キャリア志向>
アプリケーションからサービスまで幅広い技術分野に興味を持ち、エコシステムパートナーと新たな市場を作っていきたい方
総合的な製品技術やスキルを身につけたいと考えている方
クライアントの思いや考えを読み、論理的/技術的に製品やその技術を売り込むスキルを身につけたい方

<言語>
日本語:ネイティブレベル
英語:中上級程度

<スキル/経験>
Cloud、RPA/IoT、DevOps、Analytics、Security&Resilience、などのいずれかのアプリケーション経験(知識、実務経験がある方)
Presales or Alliance経験
英語力(最低限のビズネスコミュニケーションができると望ましい)

<仕事のマインド>
新しいもの好き、勉強好きな方
論理的、技術的な思考が好きな方
内外とのコミュニケーションが得意な方
オーナーシップを持って、積極的に取り組んでくれる方

【インフラ系コンサルタント 】

想定年収:400~1500万円
雇用形態:正社員

<具体的な業務内容>
オフショアを活用した運用業務引き継ぎの計画・推進・管理、サービス管理プロセスの設計とサービス管理ツール(ServiceNow)導入や、フィリピン・中国など国内外のデリバリセンターとのネットワーク構築やセキュリティ設計などの作業環境構築など、担当作業範囲は多岐にわたります。

【応募要件】
<スキルなど>
ビジネスレベルの英語能力(TOEIC 600以上相当)
プロジェクト管理、チーム管理、サービス管理経験
オフショア活用経験

<仕事のマインド>
コミュニケーション能力が高い方
タスク管理力/自己管理力がある方
チャレンジすることを楽しめる方
多文化環境での活動が得意な方

外資系SIerに関するよくある質問

外資系SIerへの転職を目指す方には、業界の特徴やキャリアパスに関する疑問が多いものです。例えば、外資系SIerの概要やSIerとITコンサルの違い、SIerとSEの違いといった基本的な質問などがあります。また「外資系SIerの今後の業界の展望はどうなるのか?」といった将来性に関する質問も多くあります。本章では、外資系SIerに関するよくある質問について回答します。

Q1. 外資系SIerとは何ですか?

外資系SIerとは、海外IT大手が設立した日本法人で、システム統合サービスを提供する企業です。外資系SIerは、日本の企業が海外に展開する際のサポートや、海外の先進技術を日本のビジネスへ取り入れるプロジェクトに多く携わります。

Q2. SIerとITコンサルの違いはなんですか?

SIerは提案依頼書に応じて、システム要件の定義から参加します。ITコンサルタントは、業務要件など上流工程を担います。ITコンサルタントは、経営課題の解決のために、ヒアリングやマーケティング、データ分析を実施します。

Q3. SIerとSEの違いはなんですか?

SIerはITを駆使して、企業などの業務システムを築き上げる企業で、様々なサービスを展開しています。SEは、SIerや他のIT企業で勤務するエンジニアのことです。主に業務システムの構築や運営を担います。

関連記事:SESへの転職を考える|客先常駐のメリット・デメリットやSIerとの違い

Q4. 外資系SIerの将来性は?

生活とビジネスのさらなるデジタル化により、ITシステムへの依存が高まっています。この傾向は、IT技術を提供する外資系SIerにとって、市場の需要が拡大し続けることを意味します。そのため、外資系SIerの将来性は明るいと言えるでしょう。

関連記事:SIerの将来性は?今後なくなると言われる理由と市場価値

まとめ

外資系SIerは実力主義で国際的、成果を出せば高い報酬を得られるといった特徴があります。仕事へのモチベーションが高く、チャレンジ精神のある方には合っているでしょう。ただし安定性があるわけではなく、成果主義での評価は避けられないといった特徴もあります。

日々忙しい中でモチベーションを維持するのは大変な面もありますが、高い報酬や自己成長を求める方は国内SIerよりもマッチした環境といえるでしょう。外資系SIerでのキャリアに興味がある方は、本記事を活用して、外資系SIerへの転職の検討をされてはいかがでしょうか。

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