日本経済新聞が、SaaS業界に強いスポットライトを当てました。
『日本は「SaaS元年」、スタートアップが引っ張る』
これは、2018年10月29日の日本経済新聞の記事の見出しです。国内市場でもにぎわいを見せるSaaS業界は、エンジニアの転職先としても人気が上がってきています。
しかし、SaaS(Software as a Service)とはそもそも何なのでしょうか。なぜ、近年注目されるようになってきているのでしょうか。SaaS業界のエンジニアは、どのようなキャリアを歩んでいるのでしょうか。
この記事では、SaaS業界において多くの転職支援実績を持つレバテックの知見と、実際にSaaSを提供し、エンジニアを積極採用している株式会社ラクス、freee株式会社、弁護士ドットコム株式会社の3社に実施した取材内容をもとに、一見分かりにくいSaaS業界の中のリアルな実情とその未来をお伝えします。
株式会社ラクス
「IT技術で中小企業を強くします」というミッションを掲げるSaaS企業。メール共有・管理システムや経費精算システムなど、中小企業で必要なシステムをワンストップで提供。
freee株式会社
「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げるSaaS企業。クラウド型会計ソフトを皮切りに、人事労務や会社設立支援と、スモールビジネスのバックオフィス業務を効率化するサービスをワンストップで提供。
弁護士ドットコム株式会社
「専門家をもっと身近に」というミッションを掲げ、「弁護士ドットコム」「税理士ドットコム」等のポータルサイトを運営。「LegalTech」領域の新規事業としてWeb完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」というSaaSプロダクトを提供。
1. まずは1分でSaaSを理解しよう
Slack、Dropbox、Salesforce...一見何の共通性も見出せませんが、これらは全てSaaSに含まれます。
さまざまな機能を提供するサービスがあるので、SaaSとは何なのか分かりにくいと感じる方も多いでしょう。
しかし、実はたった2つのポイントを押さえればすんなりと理解することができます。早速見ていきましょう。
ポイント①SaaSとは「クラウドサービス」の一種である
クラウドサービスとは、ベンダー(サービス提供者)側のコンピュータでソフトウェアを動かして提供されるサービスを指します。それと対極にあるのがオンプレミス型のサービスで、こちらはユーザー側のコンピュータでソフトウェアを動かしてサービスを利用します。
SaaSとよく比較されるパッケージソフトは、自分のコンピュータ上で動かすものなのでオンプレミスに分類されます。
ポイント②SaaSとは「顧客に提供されるアプリケーション」である
SaaSと似た言葉で、IaaSやPaaSを聞いたことがある人も多いかもしれません。
どちらもクラウド上で提供されるという点ではSaaSと同じですが、SaaSは顧客がそのまま利用できるアプリケーションを提供するのに対して、IaaSはネットワーク層からOS層まで、PaaSはアプリケーションを開発するためのミドルウェア層までしか提供しません。
SaaSでは、顧客サイドで何かを開発する必要はなく、完成された状態のサービスを利用することができるのです。すなわちSaaSとは、「クラウド上で顧客に提供されるアプリケーション」のことを指しているのです。
▼IaaS、PaaS、SaaSのカバーするレイヤーは下図のようになっています
2. SaaSの成長を支える本質的な価値とは
SaaS企業の成長は目を見張るものがあります。
たとえば、今回インタビューさせていただたラクス社・弁護士ドットコム社の時価総額は、3年前と比べて約5倍となっており、日本市場全体と比較すると一際大きな成長を遂げているといえます。
【3年前との時価総額の比較】
※単位:億円
※各時価総額は四季報オンライン(https://shikiho.jp/)の株式データより算出
また、未上場のfreee社についても、累計で約161億円の資金調達を行っており、SaaS事業への期待は非常に高まっているといえるでしょう。
SaaSが顧客の支持を受ける理由
日本国内では、IT/非ITを問わず多くの企業がSaaSを利用するようになっており、SaaSは顧客からの支持を受けて継続的に発展しているといえるでしょう。顧客であるユーザー企業がSaaSを利用する利点は、大きく4つにまとめられます。
①初期費用を抑えられる
SaaSは基本的にサブスクリプション型の料金支払いになっており、低コストでサービスの利用を開始することができます。
②更新性が高くサービスが継続的に改善される
SaaSはベンダー側のコンピュータでアプリケーションを動かしているため、ベンダーがシステムの更新をすれば、すぐさまユーザーは更新された状態のサービスを利用できます。
詳しくは後述しますが、ベンダー側はサービスの改善に熱心なので、サービスは利用しているうちにどんどん便利になっていきます。
③時間・場所を問わずに利用ができる
オンプレミス型のパッケージソフトは、それをインストールしたPCでしか利用ができません。一方、SaaSはインターネット環境さえあれば時間や場所にとらわれずにサービスを利用をすることが可能です。
④ハイレベルなセキュリティ対策が講じられている
情報セキュリティが心配だという意見は、SaaSが黎明期の頃によく出てきた懸念の1つです。しかし、現在は多くのプロバイダーのセキュリティ対策レベルは高まってきており、今やパッケージ製品や自社開発システムより強固なセキュリティを持っているSaaSも増えてきています。このような利点があり、SaaSは多くのユーザー企業からの支持を勝ち取っています。
もちろん、SaaSを提供するベンダー企業はサポート体制も整えているため、顧客は安心してサービスを利用することができるのです。
続いて、SaaS業界で働くメリットをレバテック独自の切り口で解説します。
3. SaaS業界で働くエンジニアの3つのメリット
SaaSはその性質上、顧客が毎月サービス料を支払うストックビジネスの特徴を持っています。
ストックビジネスでは、顧客が抱える課題を継続的に解決しながら、安定的に売上を得ることができます。
「売上は全てを癒す」という有名な言葉がありますが、SaaSビジネスで生まれる安定的な売上は、企業のあらゆる面にポジティブな影響をもたらすのです。資金繰りが良ければ、経営の選択肢は増え、前向きにチャレンジをする社風が生まれます。
顧客の課題を解決して得た売上なので、社員も仕事の意義を感じやすくなります。実際にSaaS事業で成功を収めている企業は、言葉の上だけでなく、本当に前向きでエネルギッシュなカルチャーを持っているところが多いのです。
SaaSには上記のようなビジネスの特徴があることから、SaaS企業で働くエンジニアは以下の3つのメリットを得ることができます。
メリット①: 技術力を伸ばしやすい
SaaSはチームで継続的にサービスを改善していく必要があります。
中長期的な開発コストの最適化を実現するため、開発フェーズではコードの可読性や保守性の高さが求められますし、それらを担保できるようコードレビューの体制を整えている企業も多いのです。
また、財務的な余裕があるので、技術書籍の購入支援や勉強会への参加支援など、エンジニアの学習への投資がしやすいのもSaaS企業の特徴です。
メリット②: データドリブンな開発ができる
SaaSでは、ユーザーの主要な行動ログを自社内でモニタリングすることができます。その数値を用いることで、データドリブンなプロダクト改善を行うことが可能です。
自分の仕事がどんな数値にどう影響するのかを肌で感じられるため、ユーザーの利便性に貢献しているという充実感を得られやすくなります。自分が開発した機能に対するユーザーの声を聞けば、課題解決のための学びを得ることもできるでしょう。
メリット③: 居心地がよく働きやすい
上述のように、SaaS企業では本質的なプログラミングスキルや課題解決能力を求められます。
会社としてそのようなエンジニアを育てていく必要があるため、エンジニアが開発しやすい環境を提供するのはもちろん、スキルを適切に評価する報酬体系や充実した福利厚生を設けている企業が多い傾向にあります。開発環境や社風は企業ごとに違いがありますし、上記がSaaS企業の特長を網羅しているわけでもありません。
しかしながら、実際に採用支援に携わらせていただいている企業の特徴を出してみると、SaaS業界はエンジニアにとって魅力的な業界の1つといえるでしょう。
4. まとめ
この記事では、SaaS企業の採用支援を行ってきたレバテックと、実際にエンジニア採用を行っている企業の視点から、SaaS業界の概要と、そこでエンジニアとして働くメリットを説明させていただきました。
この後にラクス社、freee社、弁護士ドットコム社のエンジニア採用にまつわる対談記事も公開予定となっています。各社のリアルな採用事情に迫っていきますので、ぜひ併せてお読みください。
求人情報
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執筆:戸枝 良太