社内SEとは、自社システムの構築・開発・運用・保守をするシステムエンジニアのことです。
社内SEは、自社システム開発の企画や要件定義などの上流工程から、プロジェクト管理、運用保守まで、携わる業務領域が広いです。
本記事では、社内SEへの転職を検討しているエンジニアの方や、未経験、もしくは第二新卒から社内SEを目指すなどさまざまなシチュエーションの方に向け、社内SEの業務内容やスキル、志望動機のポイントや例文について解説します。
- 1. 社内SEとは
- 2. 社内SEの業務内容とは
- 3. 社内SEに求められる適性・スキルとは
- 4. 社内SEへの転職について
- 5. 社内SEの志望動機のポイント
- 6. 社内SEの志望動機の書き方と例文
1. 社内SEとは
まずは、社内SEがどのような業務に携わる職種なのか、役割や需要、システムエンジニアとの違いについて解説していきます。
社内SEとは
社内SEとは、主に自社内の課題を解決するために、ITシステム構築や開発、運用保守に携わるシステムエンジニアを指します。その業務範囲は広く、要件定義や設計、プログラミング、運用、保守などのシステム開発工程に携わります。また、社内のヘルプデスクの役割を担うことも多いです。業務を限定せずに、さまざまな経験を積みたい方にとっては、やりがいを感じる職種だと言えます。
関連記事:社内SEとは|仕事内容や必要なスキル、役立つ資格も解説
システムエンジニアとの違い
まず、大きな違いとして挙げられるのが、業務領域の違いです。
一般的なシステムエンジニアは、クライアントの要求を満たすシステム開発を行うのに対して、社内SEは、システム開発の上流工程から下流工程まで幅広く携わります。
社内SEの需要について
主に、自社ITシステムの課題解決や内製化、DX推進を行いたい企業において、社内SEの需要は高いです。IPAが発表した「DX白書2021」 の調査では、DX領域で採用や育成を強化すべき人材像として、「DXを主導するリーダー(58.5%)」や、「業務プロセス改革を牽引できるビジネスパーソン(48.4%)」の2つの需要が他の項目を抑えて圧倒的に多いことがわかります。
そして、これらの人物像に必要なスキルは、社内システムのドメイン知識を理解していることや、プロジェクトマネジメント能力であり、社内SEはその両方を備えています。また、同じく「DX白書2021」では、日米で企業変革を推進する人材の充足感についての調査結果として、日本企業では量と質の両面での人材不足が課題であることが述べられており、その観点からも社内SEの需要は高いと言えます。
社内SEのメリット・デメリット
社内SEのメリットとしては、上流工程から下流工程まで業務領域が幅広いため、システム開発工程を一通り経験することができる点や、それぞれの工程に求められるスキルが身につく点が挙げられます。
一方で、ステークホルダーが多いことによる折衝や調整業務が増えるなど、さまざまなスキルが求められるため、広く浅くスキルを習得することになります。技術力を重点的に伸ばしていきたいエンジニアにとっては、業務を通じた各スキルの掘り下げがしにくい点がデメリットと言えます。
2. 社内SEの業務内容とは
ここでは、社内SEの業務内容について掘り下げていきます。社内システムの企画、開発、運用保守だけでなく、社内のヘルプデスク、セキュリティ対策などその業務内容は多岐に渡ります。
社内システムの企画
自社の経営戦略やIT戦略に基づいて、経営課題を解決する社内システムの企画を行います。
自社の業務分析や、システム開発の範囲検討、スケジュールの検討、システム開発を行う上での予算管理などが含まれます。
社内システムの開発
社内システムの開発では、要件定義や設計などのシステム開発の上流工程に加えて、プログラミングなどの開発やテストを進めていく下流工程も含まれます。下流工程部分については、システムエンジニアの役割と重複する部分があります。
社内システムの運用・保守
自社システムが、正常に稼働している状態を保つように運用を行います。サーバーやネットワークの監視、問題が起きた場合の対応、および再発防止などの対応も含まれます。また、社内からの要望に合わせて、運用している社内システムの改善を行うなどの、システム保守も行います。
ヘルプデスク
社内システムに対する問い合わせ業務を行います。ヘルプデスク業務には、社内システムのみならず、業務で使用する業務PCのセットアップやOSインストール、複合機などの機器に関する問い合わせ対応が含まれることもあります。
セキュリティ対策
社内システムでは、個人情報などの重要情報を取り扱うことも多いため、セキュリティ対策が必須です。日々進化し続けるセキュリティ攻撃の対応だけでなく、社員に対するセキュリティ意識向上の呼びかけなども行います。
3. 社内SEに求められる適性・スキルとは
社内SEの業務内容に続いて、求められる適性・スキルについて解説していきます。
システムエンジニアに求められるスキル全般
社内SEの業務内容で触れた通り、社内SEの業務範囲は、システム開発の上流工程から下流工程までと幅広いです。各工程で求められるスキルは、システムエンジニアに求められるスキルと重複する範囲が大きいです。たとえば、システム企画の段階では、自社の経営課題を解決するためのシステム開発を検討するスキルや、システム開発を行う上での予算管理やスケジュール管理が求められます。
また、システム開発の段階では、要件定義やシステム設計、プログラミングスキルが必要です。システム運用保守の段階では、システムの稼働状況を把握するためのネットワークやデータベースの知識、システム監視スキルはもちろん、システムの稼働状況に問題がある場合のトラブルシューティング能力も必要になるでしょう。
コミュニケーション能力
社内SEの業務では、ステークホルダーは社内のさまざまな部署や関係者になります。そのため、各関係者とのコミュニケーションを円滑に行うことが必須です。また、システム開発部分を外部ベンダーに依頼する場合には、その外部ベンダーに自社のシステム開発をスムーズに進めてもらえるよう、高いコミュニケーションスキルが求められます。
社内SEのスキルアップについて
先述の通り、社内SEは、システムの企画、設計、プロジェクトの管理などのプロジェクトマネジメント能力や、プログラミングや、インフラの設計・構築、監視などのテクニカルスキルが必要とされるため、それらのスキルアップに繋がります。これらのスキルは、多くの企業でエンジニアやプロジェクトマネージャーとして求められるスキルです。
プロジェクトマネージャーは、社内SEを経験したのちに目指すケースが多く見られます。また、自身のテクニカルスキルや、経験のある業務領域に合わせた技術に特化したエンジニアもキャリアパスとして考えられます。
関連記事:社内SE転職の難しさと、目指したい人が身につけるべきスキル
4. 社内SEへの転職について
社内SEは人気職種であり、さまざまなバックグラウンドを持つ人が志望しています。どのような人がどのような理由で社内SEへの転職を志すのか、いくつかのパターンに分けて解説します。
SIerや社外SEから社内SEへの転職
SIerから社内SEへの転職は、クライアントの業務把握、システム設計や開発など、それまでの業務経験を活かしやすいと言えるでしょう。また、それまで社外であったクライアントが、社内の関係者に変わることや、自社の経営課題を解決するために社内システム開発を行う点など、これまでとは視点を変えたシステム開発経験を積むことができます。
システムエンジニア(ここでは便宜上社外SEと表現します)から社内SEへの転職の場合にも、それまでのシステム開発経験を活かせるでしょう。また、システム開発の上流工程へ携わることで、スキルアップを図ることもできます。
エンジニア未経験から社内SEへの転職
社内SEの採用に関して、エンジニア未経験者をポテンシャル採用するケースもあります。エンジニア未経験の場合は、それまでの業務経験をどのように社内SEの仕事に活かせるのかを明確にしておく必要があります。また、社内SEになったあと、将来どうなりたいかについても明確なビジョンを持っておきましょう。
関連記事:未経験から社内SEは目指せる?求人例や向いているタイプを解説
社内SEへの転職理由
社内SEへの転職理由として挙げられるのは、業務範囲を広げることでしょう。システムエンジニアであれば、プログラミングやテストなどの下流工程の経験は積みやすいですが、システム企画などの上流工程の経験は積みにくい場合があります。
上流工程の経験を積んでスキルアップを図りたいエンジニアにとって、社内SEへの転職は選択肢の一つとして検討できるでしょう。
社内SEの退職理由
社内SEの退職理由として挙げられるのは、その業務範囲の広さによる専門スキルの掘り下げ不足です。また、社内の多くのステークホルダーとコミュニケーションを取る必要があったり、折衝能力や調整能力が求められたりする場面も多いです。
エンジニアとしてシステム開発を行うための技術力やスキルの掘り下げを行いたい場合には、社内SEの業務内では目的を達成しにくいと感じる可能性があるでしょう。
社内SEへの転職方法
転職活動を進める際には、各種転職エージェントサービスのサポートを受けることも有効です。たとえば、レバテックキャリアでは、IT領域に特化したアドバイザーとの無料カウンセリングにより、求職者自身のスキルの棚卸しやキャリアプランの整理を行っており、求職者にとっての適職や求人の提案を受けることができます。
関連記事:社内SEになるにはどうしたら良い?求められるスキルや資格を解説
5. 社内SEの志望動機のポイント
社内SEの志望動機の中で採用担当者が特に注視することが多いのは、「なぜ自社の社内SEを希望するのか」「これまでの経験をどう業務に活かせるのか」の2点です。これらのポイントは社内SEに限らない話ですが、倍率が比較的高い職種であるからこそ必ず押さえておくべきです。
なぜその企業の社内SEなのかを明確にする
世の中に存在する多数の企業の中で、どうしてその企業を志望するのか、どうして社内SEという職種なのかという理由を明確にすることが大切です。どの企業にも当てはまるような汎用的な理由は避けましょう。また、社内SEという職種の志望動機については、システムエンジニアなどの他職種ではない理由を明確にするべきです。
これまでの業務経験を社内SE業務にどのように活かすか
SIerやシステムエンジニアでの業務経験がある場合には、システム開発スキルを社内SEの業務でも活かせます。また、未経験や、エンジニアスキルなしの状態であれば、これまでどのようなアプローチで問題解決を図ってきたのか、考え方や実践した内容を、社内SEに求められるコミュニケーション能力や、未経験の業務内容に活かすことができるでしょう。
併せて、「社内SEになってから将来どうなりたいのか」というキャリアパスについて、1年・3年・5年・10年単位で答えられるようにしておくと、本気度も伝えることができます。
6. 社内SEの志望動機の書き方と例文
SIerから社内SEへの転職の場合
SIerからの転職の場合、システム開発経験や、クライアントとの折衝・調整業務などを、社内SEの業務に活かせること、そして経験不足のスキルをどのように補おうと考えているかを表現することが大切です。
志望動機の例文
私は、これまでSIerでのシステム開発経験があり、特にクライアントとの折衝や調整業務を得意としています。これらの経験を踏まえて、SIerから社内SEへの転職で、プロジェクトマネジメント部分で強みを発揮できる自信があります。また、上流工程(要件定義・システム設計)での業務経験はそれほど豊富ではありませんが、これまでの業務経験の中で、特にクライアントとの折衝業務を行う過程で、クライアントの要望を引き出し、システム開発に反映してきた経験を上流工程での業務に活かしたいです。社内SEの業務を通じて、上流工程・下流工程ともに活躍出来る人材になり、御社が推進しようとしている自社システムの内製化に貢献し、3年後には、プロジェクトマネージャーとして案件を引っ張っていく人材になりたいと考えております。
社外SEから社内SEへの転職の場合
社外SE(システムエンジニア)からの転職の場合、システム開発経験をどのように社内SEの業務に活かすのか、そして、システム開発の上流工程の経験不足をどのように補おうと考えているのかを表現することが大切です。
志望動機の例文
私は、これまでシステムエンジニアとしての業務経験があり、特にバックエンドのシステム開発に強みがあります。これらの経験を踏まえて、社内SE業務の中で、上流工程(要件定義・システム設計)を行う際に、円滑な開発や、運用保守の負担を軽減させるための観点を組み込むなど、システム開発の全体工程を最適化することに貢献できると考えております。システム開発者の観点を組み込むことで、上流工程での業務経験不足を補っていきます。社内SEの業務を通じて、上流工程・下流工程ともに活躍出来る人材になり、御社が推進しようとしている自社システムの内製化に貢献いたします。そして3年後には、プロジェクトマネージャーやテックリードとして、拡張性・保守性の高いシステム開発を担う中心人物になりたいと考えております。
未経験から社内SEへの転職の場合
未経験からの転職の場合は、システム開発のテクニカルスキルなしの状態から、どのように自己研鑽しているのかを表現することが大切です。また、これまでの他業種での業務経験の中から、社内SEの業務に活かせることを考えましょう。たとえば、プロジェクトマネジメント経験や、リーダーシップを発揮した場面、他部署との調整業務などです。また、自身のキャリアパスを達成するために行なっている自己研鑽について伝えるのも有効です。
志望動機の例文
私は、社内SEとしての業務経験はありませんが、これまで携わった関係部署との折衝業務などを通じて、プロジェクトマネジメントスキルを身につけました。また、各案件を推進する上で、リーダーシップを発揮してきた経験を社内SEの業務に活かせると考えています。社内SEとしてだけではなく、エンジニア全般に求められるテクニカルスキルや業務経験が不足しておりますが、日頃から、業務外にも自分自身で手を動かしてWebアプリケーションのシステム開発を行なっております。その中で、プログラミングスキルや、システム構築に必要となる知識(データベース、ネットワーク、ユーザー認証など)の習得を継続的に行なっており、これからも継続していくつもりです。社内SEの業務を通じて、システム開発の上流工程から下流工程まで満遍なくスキルを習得し、3〜5年後には、プロジェクトマネージャーとして活躍したいと考えております。
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