IT業界に将来性はある?この先も求められるスキルも紹介

最終更新日:2024年3月12日

IT業界は市場拡大のスピードが早く、需要が高い業界と言われています。その背景には、あらゆる産業分野でのIT活用があります。今後は、先端IT技術の活用が必須になることで、さらなる需要増が見込まれています。もし、今後IT業界での転職でキャリアを向上させたいのならば、業界・分野・技術トレンドなどを常に注視し、スキルを磨いていくべきでしょう。この記事では、IT業界の将来性や備えておくべきスキルを把握しておきたい若手エンジニアに向けて、IT業界の将来性や課題、身につけるべきスキル、需要の高い職種、年収相場などについて解説します。

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この記事のまとめ

  • IT業界の現状は、年々市場規模が拡大しており、IT需要の拡大に伴うIT人材の人手不足が深刻化している
  • IT業界の将来性は、ITはインフラとして欠かせない存在となっており、将来性は高くITエンジニアの需要も増加している
  • IT業界の課題は、労働時間の長さと働き方改革への対応や技術要求水準の高まり、レガシーシステムからの移行問題などがある

IT業界の現状と将来性を徹底分析

IT業界の現状としては、市場規模は拡大していく見込みであると言われています。また、需要拡大に伴いIT人材の不足が深刻化しています。IT業界の将来性に関しては、ITインフラとして欠かせないため、ITエンジニアの需要の増加も続くと予測されています。以下では、IT業界の現状と将来性について詳しく解説していきます。

IT業界の市場規模は拡大していく見込み

IT専門調査会社IDC Japanが2023年1月19日に発表した調査(※1)によると、2022年の日本国内のIT業界の市場規模は20兆2137億円(前年比4.6%増)と予測されています。また、2026年には市場規模が23兆9843億円に達する見込みとしています。

国内IT市場は、リモートワーク(ノートPCやWeb会議システムなど)の定着や業務システムのクラウド化、サブスクリプションの導入など、経済状況の変化に影響しにくいビジネスモデルに変化しつつあります。

サイバーセキュリティ分野やサプライチェーンへの投資も進んでおり、IT投資を阻害する要因も少ないことも理由です。この流れは今後少なくとも2〜3年は続くと予測されており、システム導入を支えるIT関連職種の需要へと反映されるでしょう。

※1 引用元:『新型コロナウイルス感染症/ロシア・ウクライナ戦争の2022年9月末時点での影響を考慮した国内IT市場予測を発表』IDC Japan

市場規模拡大の要因

IT業界の市場規模が拡大する要因としては、あらゆる業界でITの需要が拡大していることや企業のデジタル化が進んでいること、レガシーシステムからの移行需要の高まり、コロナ禍以降のオンラインシフトなどが挙げられます。以下では、これらのIT業界の市場規模拡大の要因について詳しく解説していきます。

あらゆる業界でのIT需要拡大

数年前から、「xxテック」という言葉が頻繁に使われるようになりました。例えば「エドテック(教育業界)」「ヘルステック(医療業界)」「フィンテック(金融業界)」という具合にです。xxの部分は業界を表す部分であり、あらゆる業界の業務がITと融合し始めていることを意味しています。

ちなみに米ガートナー社からは(※2)、2023年までほぼすべての業界でIT投資が増加するとの予測が示されています。下記は、2018年から2023年までの業種別IT支出の増加率(予測値)です。


  • ・金融…2.4%増

    ・通信、放送、サービス…2.2%増

    ・教育…1.4%増

    ・医療、福祉…2.0%増

    ・運輸…2.2%増


どの業種においてもIT支出は増加していくと見られており、IT業界の将来性の高さを裏付ける内容となっています。

※2 引用元:『2023年まで日本のIT支出は年平均1.9%増で推移し 29兆円に達すると予測』Gartner

企業のデジタル化が急進

近年、トレンドワードとなっている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、どの企業も避けては通れない課題です。DXは単なる「ツール導入」ではありません。すべての業務にデジタル化が浸透し、デジタル化を前提とした業務プロセスの構築が必須になることを示しています。

具体的には、CRM(顧客管理)、MA(マーケティング自動化)、SFA(営業活動自動化)、ERP(基幹システム)といった企業向けITソリューションがクラウド化し、より使いやすくなることでアナログ業務を代替していくでしょう。クラウド化されたパッケージソリューションの活用は、経営の効率化に直結するため、多くの企業がIT投資を本格化させていくと予想されます。

特に中堅・中小企業への普及はこれからが本番です。企業向けITソリューションは導入コストが高いため、大企業や官公庁を中心に導入が進められてきました。しかし、クラウド化によって導入コストは低減しつつあり、追加開発の工数も最低限で済むようになっています。これにより、中堅・中小企業でも導入が進んでいくと予想されます。

レガシーシステムからの移行需要の高まり

経済産業省が示した「2025年の崖」(※3)にもあるように、日本企業が競争力を維持するためにはレガシーシステムからの脱却が必須です。今後数年で大手パッケージベンダーのサポート期限などが到来し、レガシーシステムからの移行を進める企業が増えると予測されます。つまり、「マイグレーション需要(移行需要)」が発生するわけです。スクラッチ開発を重ねていたり、古いバージョンのパッケージを使っていたりする企業の多くが、クラウドベースの新しいシステムへと移行していくことでしょう。

大規模なシステム移行には、古い仕組みを知る人材と、新しい仕組みを知る人材の両方が必要です。特に先端ITに精通した人材は現状でも不足気味ですから、スキルさえあれば引く手あまたの状況になっても不思議ではありません。

※3 引用元:『DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~』経済産業省 p.31より

コロナ禍以降のオンラインシフト

経済産業省 通商政策局が公表する「2020年版通商白書」(※4)では、コロナ禍が終息したあとも「テレワーク」「EC」などのオンライン需要は一部固定化されるとの見方が示されています。
コロナ禍は「フェイス・トゥ・フェイス」のコミュニケーションを著しく制限することから、オンラインシフトが一層加速することはほぼ確実です。また、デジタル経済の拡大からデータ流通量が増加し、IT企業の時価総額・売上・利益が増加するとも見られています。BtoB、BtoCを問わずデジタル経済は日に日に拡大しているため、それを支えるプラットフォーマーの存在感が大きくなるとのことです。実際に米国では、プラットフォーマーの純利益が10年で約5倍にまで拡大しています。日本国内でも同様の流れが予想されており、デジタル化を支えるIT業界への期待が高まることは、当然の流れなのかもしれません。

※4 引用元:『2020年版通商白書』経済産業省 通商政策局 p.45より

需要拡大に伴うIT人材の不足が深刻化

IT業界は慢性的な人手不足でしたが、みずほ情報総研株式会社が発表した「IT人材需給に関する調査」(※5)によると、今後は一層「エンジニア不足」が深刻になりそうです。


  • ・IT需要の伸びが1%の場合(低位シナリオ)…IT人材は最大16.4万人不足

    ・IT需要の伸びが2~5%程度の場合(中位シナリオ)…最大44.9万人不足

    ・IT需要の伸びが3~9%程度の場合(高位シナリオ)…最大78.7万人不足


2030年の断面で見ると、最も需要の伸びが小さい低位シナリオの場合でも、最大16万人強のIT人材が不足するとの予測です。

※5 引用元:『IT 人材需給に関する調査』みずほ情報総研株式会社 p.17より

ITインフラとして欠かせないためなくなることはない

ITが社会に広まった現代では、IT業界がITインフラを支える役割を担っています。オンラインショッピングや旅行の予約、目的地までのナビゲーション、オンライン学習など、ITが社会生活の根幹を支えています。電気やガス、水道のようにITがインフラとして機能し続けるには、IT業界の存在が欠かせません。そのため、IT業界がなくなることはないと考えていいでしょう。

IT業界の将来性は高く、エンジニア需要増が続く

コロナ禍の一時的な需要減はあったにせよ、今後もIT業界の継続的な成長は予想できます。そのため、 IT業界の将来性は高く、エンジニア需要増が続くと言えるでしょう。ただし、技術トレンドや業種別の需要を踏まえてスキルを磨かなければ、大きな需要の波に乗り遅れる可能性もあります。特にAI・機械学習・IoTなどの先端IT分野や、これらを支える仮想化・自動化ソリューションに関しては、どの分野のITエンジニアもスキルを磨いておきたいところです。

IT業界の課題とエンジニアの将来像

IT業界は市場規模拡大が続き、将来性が高い業界と言われていますが、IT業界の課題とエンジニアの将来像はどのようになっているのでしょうか。IT業界は、IT業界はIT需要の拡大に伴いIT人材の不足が深刻化しています。そのため、IT人材の不足解消は重要な解決すべき課題とされています。以下では、IT業界の課題とエンジニアの将来像について具体的に解説していきます。

IT業界の課題

IT業界の課題としては、労働時間の長さや働き方改革対応、高まる技術要求水準への対応、「2025年の崖」に代表される旧システムの移行問題、AIで業務が代替えできてしまう可能性などが挙げられます。以下では、これらのIT業界の課題について解説します。

労働時間の長さと働き方改革対応

IT業界は伝統的に労働時間が長い業界であり、残業が半ば常態化しています。厚生労働省が公表している「働き方改革支援ハンドブック」(※6)によれば、情報通信業の年間総労働時間は1933時間です。全産業の平均労働時間は1724時間となっており、平均と比較して年間200時間強も労働時間が長いことがわかります。
ただし、今後は働き方改革の影響から労働時間を短縮させるために「効率化」「自動化」が進んでいくでしょう。すでにDevOpsやテスト自動化の活用で、以前よりも少ない工数での開発が可能になっています。したがって、ITエンジニアにもこうした技術への理解が求められる時代です。クラウド、自動化に関するスキルは開発・運用保守に関わらず、積極的に身に着けていくようにしましょう。

※6 引用元:『働き方改革ハンドブック』厚生労働省 p.4より

技術要求水準の高まり

クラウドファースト、クラウドネイティブの一般化で、今後はITエンジニアにも当然のようにクラウド対応が求められるでしょう。また、先端ITと呼ばれるAI・機械学習・データサイエンスなどの知見も必須になるかもしれません。

これまでは、一部のITエンジニアのみが先端ITに関する知見を持っていました。しかし今後は、その範囲が拡大されていくことになります。例えば、「インフラエンジニアなのでコーディングスキル、自動化スキルはあまり求められない」といったケースは減っていくと予想されます。つまり、ITエンジニアへの技術要求水準が上がるのです。

一方、要求を満たしさえすれば、比較的安定したキャリア構築が可能になるとも考えられます。働きながらスキルを磨くことはなかなか大変ですが、いかに自己研鑽を重ねていけるかが、IT業界で生き残っていくためのキーポイントになるかもしれません。

「2025年の崖」に代表される旧システムの移行問題

「2025年の崖」に代表されるレガシーシステムの老朽化が大きな経済損失をもたらすと言われています。今後は大手企業を中心に、数年単位で基幹システム・業務システムが新システムへ移行していくことでしょう。

システムの移行プロジェクトでは、旧システムに蓄積された情報資産を、新しいシステムへと移植する作業が発生します。このとき、旧システムと新システム両方の知見がなければ、正確な移植はできません。しかし、新旧2つのシステムに関して知見を持つ人材は稀であり、こうした「橋渡し」を行える人材の不足が予想されます。

もし、レガシーシステムについてスキル・知見をもっているのであれば、積極的に先端IT分野について学ぶことをおすすめします。

AIで代替えできてしまう可能性

AIで代替えできてしまう可能性があることも、IT業界の課題と言われています。AIの技術は急速に発展しており、これまで人が担っていた業務をAIが行うケースも増えてきました。オックスフォード大学と野村総合研究所の研究では「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になる」と試算されています。そのため、IT業界でもエンジニアの仕事がAIで代替えできてしまう可能性があります。

しかし、AIで代替えできてしまう仕事がある反面、新しい仕事が生まれることも考えられます。例えば、AIの活用や管理に関する仕事などが予想されます。将来的にも活躍できるエンジニアになるためにも、求められるスキルを身に着けることが重要になります。

転職を目指すITエンジニアが身に着けるべきスキル

IT業界は深刻な人材不足と言われていますが、一部では「ITエンジニアが余る」という事態も危惧されています。これまでのIT業界で一般的だった「受託開発」「保守・運用アウトソーシング」に従事する「従来型IT人材」がその対象です。実際に2019年4月23日に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」(※7)では、次のように従来型IT人材が余る可能性が示されています。


  • ・IT需要の伸びが1%の場合…先端IT人材が38万人不足、従来型IT人材が22万人余剰

    ・IT需要の伸びが2~5%程度の場合…先端IT人材が55万人不足、従来型IT人材が10万人余剰

    ・IT需要の伸びが3~9%程度の場合…先端IT人材が74万人不足、従来型IT人材が5万人余剰


これは生産性上昇率が0.7%の場合であり、生産性が高くなれば従来型IT人材の余剰幅も拡大することになります。また、従来型IT人材が先端IT人材へと移行する「人材の転換率(Reスキル率)」は1%と仮定しています。上記の試算結果だけを見ても、最大22万人、最小で5万人の「IT人材余り」が予想されることから、今後は積極的に先端IT人材への転換を目指すべきかもしれません。以下は、先端IT人材への転換に必要なスキルの目安です。

※7 引用元:『IT人材需給に関する調査』経済産業省 p.37~より

ITエンジニアに必須のスキル

Itエンジニアに求められるスキル


ITエンジニアに必須のスキルとしては、問題解決などの考え方の基盤となる論理的思考力やチーム内での円滑なコミュニケーションを保つためのコミュニケーション能力が必要です。さらに、最新の技術トレンドをキャッチアップするための情報収集能力も欠かせません。以下では、これらのITエンジニアに必須のスキルについて具体的に解説します。

関連記事:IT業界は未経験から転職可能?転職しやすい職種・転職しにくい職種

論理的思考力

ITエンジニアには、論理的思考力はIT業界で活躍するために必須のスキルとなります。例えば、需要の高いデータ活用・分析などの業務では、情報を効果的に解析し、それを実際の解決策に変える能力が求められます。論理的に考えることができる人は、情報を明確に整理し、他者にわかりやすく伝えることができます。そのため、プロジェクトの進行がスムーズになります。

また、論理的思考力があれば顧客のニーズや問題点を的確に理解し、価値ある提案も可能となります。価値ある提案ができれば、結果として顧客からの信頼を得ることもできるでしょう。

コミュニケーション能力

ITエンジニアの仕事は、プロジェクトチームで働くケースが多くあります。プロジェクトを成功させるためには、プロジェクトメンバー間のコミュニケーションが重要です。仮にプログラミングなど技術的なスキルが高くても、コミュニケーション能力が不足していると、自分自身の能力を最大限に活かすことは容易ではありません。そのため、プロジェクトメンバーとの関係を良好に保ち、効果的なコミュニケーションをとる能力は、ITエンジニアに必須のスキルです。

情報収集能力

IT業界は、AIやデータサイエンス、クラウドなど最先端の技術が次々と登場する分野です。急速な変化に対応するためには、新しい技術や情報を迅速に取り入れる情報収集能力が必要です。ただ技術を知っているだけでは不十分であり、新しい技術や情報を活用する能力が求められます。ITエンジニアとして活躍するためには、最新のトレンドをしっかりと分析し、それをもとに社会の要求や期待を正確に読み取ることが重要になります。

今後のITエンジニアが身に着けるべきスキル

今後のITエンジニアが身に着けるべきスキルとしては、自動化や仮想化対応スキル、IoT関連のスキル、UI・UX対応スキル、AI・機械学習に関するスキルなどが挙げられます。以下では、今後のITエンジニアが身に着けるべきスキルについて解説します。

自動化、仮想化対応スキル

インフラエンジニア(サーバーエンジニア、ネットワークエンジニア)などが特に意識したいスキルです。Kubernetes(クーベルネイテス)などに代表される運用管理自動化ソリューションでは、これまで手動で行っていたネットワーク・セキュリティ設定、ネットワーク機器のコンフィグ作業、その他管理業務をコーディングによって自動化します。

また、SDNなどを用いて仮想ネットワークの生成・削除・構成変更・監視を自動化するスキルも磨いておきたいところです。

IoT関連のスキル

組み込みエンジニアであればIoTエンジニアへの転身が、先端IT人材への転換につながりそうです。ベースとなるスキルに大差はありませんが、「センシング対応」や「無線通信機能の実装」など、既存の組み込みエンジニアにはあまり求められなかったスキルを身に着けておく必要があります。

UI・UX対応スキル

コロナ禍をきっかけとしたオンラインシフトにより、Web関連の開発案件が増えると予想されます。Web関連のスキルで特に注目すべきは「UI」「UX」です。UI(=ユーザーインターフェース)はユーザーが直接見て、触れることのできる部分(接触面)を表します。また、UXはユーザーの「体験・経験」に寄与する部分です。

両社は似て非なる概念であり、UIが「ユーザービリティ」を重視するのに対し、UX(=ユーザーエクスペリエンス)は「サービスを利用する一連の行動を通してユーザーが感じたこと」を重視します。特にUXに関連するスキルはこれまでのITエンジニアにはあまり求められていませんでした。「安定性」や「処理速度」といった作り手側の視点から、「使いやすく快適なサービスは何か」という視点への転換が必要になると言えるでしょう。

AI、機械学習に関するスキル

AIと機械学習は、急速に実用化段階に移行しています。どの業種でもAIを用いた予測、自動化を導入しはじめており、「少ない人手で低コストに、良質なサービスを提供する」ためには必須のテクノロジーです。したがって、AI・機械学習に関するスキルは積極的に身に着けておきたいところです。AI・機械学習に関するスキルとしては、次のようなものが挙げられます。


  • ・Python、R、Juliaなどによるコーディングスキル

    ・AIを動作させるための環境構築スキル

    ・AIに投入するデータのクレンジングスキル(データプレパレーションスキル)

    ・統計学の基礎知識

IT業界で需要が高い職種

IT業界は急速に進化しており、求められる職種は時代やトレンドによって変わります。自身の市場価値を向上させるためには、どのような職種が現在需要が高いのか把握することが重要です。IT業界で需要が高い職種としては、セキュリティエンジニアやデータサイエンティスト、クラウドエンジニアなどがあります。以下では、これらのIT業界で需要が高い職種について解説します。

関連記事:IT業界を5つに分類して解説!将来性や職種も紹介します

セキュリティエンジニア

セキュリティエンジニアは、サイバー攻撃などの脅威からシステムを守る専門家です。システムの構築から運用、保守に至るまでの全工程で、セキュリティの側面から携わります。サイバー攻撃でシステムが停止すると、ユーザーや企業、社会に大きな影響を及ぼします。IT化が進む現代社会では、セキュリティエンジニアの役割は不可欠となり、その需要は今後も増加することが予想されます。

関連記事:Web業界の仕事とは?IT業界との違いも解説します

データサイエンティスト

データサイエンティストは、企業が保有する大量のデータを分析し、AI技術を活用して企業の課題解決に導く専門家です。データサイエンティストには、ITの知識だけでなく、ビジネスの背景や市場の動きにも精通している必要があります。インターネット上のデータは、スマートフォンの普及などで急増しています。この膨大なデータを新しいビジネスや企業課題の解決策に変えるのが、データサイエンティストの役割です。データサイエンティストの役割はAIの進化により、ますます重要になるでしょう。

クラウドエンジニア

クラウドエンジニアは、クラウドサービスを活用したシステムの構築や保守を行うエンジニアです。従来は多くの企業が自社にサーバーやネットワークを設置し、システムを構築していました。しかし、クラウドコンピューティングの普及に伴い、クラウドサービスを採用する企業が増加しています。しかし、クラウド技術を熟知したエンジニアはまだ少ないのが実情です。そのため、このクラウドサービスの利用拡大に伴い、クラウドエンジニアの需要が増加しています。

IT業界のトレンド

IT業界は、新しい技術の登場などトレンドが目まぐるしく変わります。最近のIT業界のトレンドは、何があるのでしょうか。IT業界のトレンドとしては、AI・ビックデータやAR・VR、ECショップ、5G(第5世代移動通信システム)、X-Tech(クロステック)などが代表的です。以下では、これらのトレンドについて具体的に解説していきます。

AI・ビックデータ

ビッグデータとは、通常のデータベースでは管理・解析が困難な大量のデータを指します。情報化が進む現代では、多種多様なデータが収集され、ビックデータの活用によりビジネスの向上が期待されています。ビッグデータとAIは深く関連しており、AIの進化によって、これまでの方法では扱いきれなかったデータも効果的に分析・整理できるようになりました。AIとビッグデータの組み合わせにより、前例のないデータの管理と解析が実現しています。

AR・VR

AR(Augmented Reality)・VR(Virtual Reality)も注目されているIT業界の分野です。ARとは、現実の景色や物体にデジタル情報を追加して、仮想的に拡張する技術を意味します。具体的には、スマートフォンのカメラで捉えた実際の映像にCGを重ねて表示して、まるでCGが現実に存在しているかのように見せることができます。また、VRとはコンピュータが作り出す3Dの空間を、視覚や他の感覚を使って体験できる技術を意味します。

AR・VRの分野は、GoogleやAppleなど大手IT企業が巨額な投資をしており今後の発展が期待されています。

ECショップ

国内のEC(Electirc Commerce)業界は、楽天、Amazon、Yahoo!などの大手企業が注目されています。また、中国ではアリババが大きな存在感を放っています。eコマースの市場は急成長を続けており、その拡大が今後も続くと見られています。日本政府も2027年までにキャッシュレス取引の割合を40%にするという目標を掲げており、キャッシュレス化の進展もEC業界の売上増加につながると予測されています。

5G(第5世代移動通信システム)

5G(第5世代移動通信システム)は、特徴として「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」の3つが挙げられます。日本では2020年3月から5Gの商用サービスが開始され、大手通信事業者や総務省が5Gの普及や技術研究に注力しています。5Gの導入は多くの産業で業務の効率化や新しい価値の創出を期待させています。特に、農業や建設、モビリティ分野などで新しいモデルの開発が進められています。

X-Tech(クロステック)

X-Tech(クロステック)は、従来の業界のビジネスと先進技術(AIやビッグデータ、IoTなど)を組み合わせて生み出される新しい製品やサービスのことです。X-Techの普及と発展の背景には、全世界でのDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性の高まりや、ITやICTの技術が様々な業界や業種で導入されたことが影響しています。これにより、多岐にわたる分野での新しい取り組みやイノベーションが生まれています。

先端IT人材の年収相場

先端技術を取り扱うITエンジニアの年収相場は、どのくらいの金額になっているのでしょうか。以下では、AIエンジニアやIoTエンジニア、クラウドエンジニアといった先端IT人材の年収相場を紹介していきます。また、年収レンジはレバテックキャリアの求人を分析した結果となります。先端技術を取り扱うITエンジニアへの転職を目指す方は、是非とも参考にしてみてください。

AIエンジニア

・年収レンジ…400~1500万円
・ボリュームゾーン…600~800万円
・求められるスキル、経験…コーディングスキル、人工知能や探索アルゴリズム、最適化アルゴリズムの実装経験、機械学習など人工知能関連の研究経験など
・高年収を目指すためのポイント
AIエンジニアの求人は、自社製品・サービスの開発に関するものが多いです。先端ITを駆使して他社よりも優れた製品を作ろう、という気概を持っているため、自然と技術者への要求レベルも上がります。従来のITエンジニアのように「マネジメントができれば高収入」とは言い難く、技術的なバックグラウンド・実績が重視される印象です。特に深層学習や画像解析、音声解析などを用いたソリューションを設計できるレベルであれば、高年収を提示されやすいと考えられます。

IoTエンジニア

・年収レンジ…400~800万円
・ボリュームゾーン…400~700万円
・求められるスキル、経験…C、C#、C++、Javaなど組込み系で用いられる言語でのコーディングスキルなど
・高年収を目指すためのポイント
こちらはAIエンジニアとは異なり、「マネジメント経験」「リーダーとしての資質・能力」が年収に結び付きやすい印象です。「プレイングマネージャー」として活躍できる人材を欲しており、実務・管理両面のスキルを磨くことで高年収を提示される可能性が高まります。

クラウドエンジニア

・年収レンジ…400~1000万円
・ボリュームゾーン…400~600万円
・求められるスキル、経験…パブリック、プライベート、ハイブリットクラウド環境の構築・運用経験、OSの理解、仮想化技術の知見、データベース関連スキル、運用ツールの知識(JPI、Zabbixなど)
・高年収を目指すためのポイント
クラウドプラットフォームを扱った経験や、コンテナ技術(Kubernetes、OpenShift、Dockerなど)、自動化技術のスキルがあれば、800万円超の高年収を提示されやすい印象です。また、インフラチームでプレイングマネージャーポジションを担う能力があれば、高年収を狙いやすくなります。

IT業界の将来性に関するよくある質問

IT業界の将来性が気になる若手エンジニアにとって、IT業界の将来性に関する疑問や質問は多いでしょう。IT業界の将来性に関するよくある質問としては、IT業界の今後や将来性についてがあります。以下では、IT業界の今後やIT業界の将来性といった質問に対して回答します。IT業界の将来性が気になる方は、是非とも参考にしてください。

Q1. IT業界は今後どうなる?

IT業界は絶えず進化し、市場の拡大と新技術の登場が期待されています。今後、ITエンジニアの需要は増加し続け、人材の不足が懸念されています。そのため、ITの知識が浅いエンジニアは、関連するスキルや知識を強化することが重要となります。IT業界の変化に対応するためには、継続的な知識やスキルの習得が欠かせません。

Q2. IT業界に将来性はある?

IT業界は、新しい企業が次々と誕生してトップレベルの成長を続けています。また、ITは多くの業界の発展をサポートし、多数の国々がその将来的な成長を期待しています。未来の動向を完全に予測することは難しいですが、IT業界の将来性は非常に高いと言えます。理由としては、ITは社会の要となる技術であり、多くの人々にとって価値ある分野だからです。

まとめ

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レバテックキャリアのサービスについて

本記事では、IT業界の将来性や備えておくべきスキルを把握しておきたい若手エンジニアに向けて、IT業界の将来性や課題、身につけるべきスキル、需要の高い職種、年収相場などについて解説しました。

この十数年の間に、あらゆる産業分野でのITの活用が進んだことにより、IT業界は大きく成長し、ITエンジニアの需要も高まり続けています。今後は、特に先端IT技術の活用がビジネス上必須になり、それらの技術に長けた「先端IT人材」のさらなる需要増が見込まれます。もし、今後IT業界での転職でキャリアを向上させたいのならば、業界・分野・技術トレンドなどを常に注視し、市場で求められるスキルを磨いていくことがポイントになるでしょう。

この記事の監修

レバテックキャリア編集部

レバテックキャリアは、IT/Web業界のエンジニア・クリエイター向けに特化した転職エージェントです。当メディアでは、エンジニア・クリエイターの転職に役立つノウハウから、日々のスキルアップや業務に活かせる情報まで、幅広いコンテンツを発信しています。

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