ゲーム業界の転職市場と職種別に求められる経験・スキルを解説

最終更新日:2024年3月12日

国内外でゲーム市場の拡大が続いており、ゲーム業界は慢性的に人手不足が続いています。ゲーム開発に携わる企業は、人材を確保するために待遇を厚くするなどの対応を行っています。このような背景からゲーム市場の各種職種の求人も多く、2023年現在は比較的転職しやすい状況といえます。

この記事では、ゲーム業界への転職を検討している人向けに、ゲーム業界の市場状況や職種、年収、職種別に求められる経験・スキルを解説します。

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この記事のまとめ

  • コロナ渦による巣ごもり需要の増加で、ゲーム市場の売り上げは上がり、ゲーム業界への転職がしやすくなった
  • 専門知識を身に着けることで、高い将来性を期待できる
  • ゲーム業界と一言でまとめているが、さまざまな職種がある

ゲーム業界の転職市場状況と業界内の分類

まず、ゲーム業界の転職市場状況やゲーム業界内の分類、トレンド技術について解説します。

ゲーム業界内の分類

ゲーム業界内の分類


一言にゲーム業界といっても、その中で「コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム)」、「ソーシャルゲーム」、「遊技機ゲーム」の大きく3つに分類できます。

コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム)

コンシューマーゲームとは、市販されているゲーム機用のゲームソフトのことをいいます。代表的なゲーム機は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが販売している「プレイステーション」や、任天堂が販売している「Nintendo Switch」などがあり、各社のゲーム機の仕様に合わせてソフトを開発します。

ソーシャルゲーム

ソーシャルゲームとは、SNSサービス上で展開されているゲームを指します。代表的なものに、「LINE QUICK GAME」や「モバゲー」、「GREE」などがあります。ソーシャルゲームは、SNS上で動作するものですので、各SNSの仕様に合わせた開発が必要となります。

遊技機ゲーム

遊技機ゲームとは、パチスロやゲームセンターにあるようなハードウェアで動作するゲームソフトのことをいいます。遊技機ゲーム開発は、コンシューマーゲームやソーシャルゲームとやや異なり、ハードウェア自体の制御など組込み系に近い開発も行います。

希望の領域で必要なスキルは異なる

このように、ゲーム業界の中でも3つに領域が分かれています。ゲームプランナーやゲームデザイナー、ゲームプロデューサーやゲームディレクターなどの仕事内容は共通ですが、開発面では求められるスキルが異なる場合がありますので、エンジニア志望の方は求められるスキルも調べておくと良いでしょう。

トレンド技術

ゲーム開発におけるトレンド技術の移り変わりは激しいですが、トレンド技術を持ったエンジニアの市場価値は上がります。ここからは最近のトレンド技術を4つご紹介します。これからゲーム業界のエンジニア転職を検討している方は必ずチェックしておきましょう。

Play-to-earn

Play-to-earn(P2E)とは、オンラインゲームをプレイして仮想通貨を稼ぐことです。ブロックチェーン技術を活用したゲーム上でユーザーが稼ぐことで仮想通貨が支払われ、ゲーム内アイテムの交換だけでなく、実際のお金への換金が可能になります。従来のゲームは課金するとそのゲーム内だけでしか価値がありませんでしたが、P2Eモデルのゲームに課金するとゲームをやめる際に全て換金できる可能性を残しています。

前述の通り、P2Eモデルのゲームはブロックチェーンの技術で成り立ちます。そのため、ゲーム業界に転職する場合もブロックチェーン技術を持つ人の市場価値は上がっていくでしょう。

ストアエコシステム

Appleとアメリカのゲーム開発・販売企業「Epic Games」の裁判により、アプリ販売の民営化が進んでいます。ストアエコシステムとは、ゲーム販売所(App storeやGoogle Play Store)のエコシステム(経済的な依存関係)が従来と異なり、販売プラットフォームが分散することです。今後は決まったストアからの販売に限定されず、新たな配信モデルも誕生するでしょう。

メタバース

メタバースとは、インターネット上に構築した仮想空間を指します。身近なゲームタイトルでは「Minecraft(マインクラフト)」や「どうぶつの森」などもメタバースに該当します。最近のメタバースタイトルでは仮想通貨を獲得できるP2Eゲームが主流となっており、ソフトバンクやスクエア・エニックスが出資した「The Sandbox」が良い例です。今後はThe Sandboxのようにゲーム上の土地を仮想通貨で購入できるゲームが増え、ゲーム内に広告を出すなどこれまでと違った立ち位置になっていくでしょう。

AR

AR(Augmented Reality)とは、拡張現実技術を用いて現実世界に仮想空間やアイテムなどを表示する技術です。スマホやスマートグラスを通して見ると3DCGが表示され、そこに存在するかのように描写します。一世を風靡したPokemon Goなどが該当します。今後はスマートデバイスが増え、よりARタイトルが増えていくでしょう。

ゲーム業界の職種と転職時に求められる経験・スキル

ゲーム業界には様々な職種が存在しており、それぞれで求められるスキルが異なります。転職を検討している方は自身のスキルセットに合う職種を見極め、足りない部分を補っていくことで転職が上手くいくでしょう。

まずは一覧表を確認し、それぞれの詳細をご確認ください。

職種 求められる経験・スキル
ゲームプランナー ・ゲーム開発経験
・顧客折衝
・企画力や発案力
ゲームデザイナー ・アート制作スキル
・2D、3DCG作成スキル
・Photoshopなどのグラフィックツール
ゲームプロデューサー/ゲームディレクター ・プロジェクトマネジメントスキル
・予算管理や人員管理スキル
・品質管理スキル
ゲームプログラマー ・Unityなどのゲーム開発エンジン
・C言語などのプログラミングスキル
・ゲーム開発経験
QAエンジニア ・ゲーム業界での品質管理経験
・テスト設計経験
・プログラミングスキル
デバッカー ・コミュニケーションスキル
・プログラミングスキル
・集中力

ゲームプランナー

ゲームのストーリーや世界観、キャラクター構成といった土台部分の企画や、リリース後もイベントの発案などを担当する職種です。企業によっては、ユーザー獲得のためのマーケティングまで担うこともあります。レバテックキャリアで掲載している求人情報では、年収は300万〜800万円が相場です。求められる経験とスキルは以下のとおりです。

求められる経験

何らかのゲーム開発経験や、企画書作成経験、仕様書作成経験など募集によっては1年以上の実務経験など一定年数以上の実務経験が必須となっているものもあります。

求められるスキル

市場分析や顧客設計、ゲームストーリーやキャラクターなどの企画力や発案力などのスキル、企画書・仕様書といった文書作成スキル、各種施策のKPI分析スキル、円滑なチームコミュニケーション力などが求められます。

関連記事:ゲームプランナーの仕事内容とは?将来性を解説

ゲームデザイナー

ゲーム開発において、デザインを担当する職種です。背景やキャラクターのデザインはもちろん、武器などのアイテム、炎や光といったエフェクトなどのデザインまで行います。募集における年収は300万円〜800万円程度となるでしょう。

求められる経験

コンセプトアート制作経験、2Dや3DのCG制作経験、エフェクト制作経験など

求められるスキル

企業により異なりますが、PhotoshopやIllustrator、SoftimageやMayaなど何らかのグラフィックツールのスキルは必須です。スキル重視の求人が多く、即戦力となる実務経験や能力が求められる傾向にあります。企業によっては、3Dデザイナーと2Dデザイナーで職種を分けている場合もあります。

ゲームプロデューサー/ゲームディレクター

プロジェクト全体の統括やステークホルダーとの折衝、制作実務全体のディレクションを担当する職種です。ゲームのプランニングを担当するケースもあり、業務範囲は企業によって異なります。年収は300万〜1000万円程度と幅があります。

求められる経験

プロジェクトマネジメント経験やゲームプランニング経験、外注管理経験、品質管理経験、プロモーション経験など
多くの募集でディレクター経験が必須となっています。

求められるスキル

予算管理や人員管理、進捗管理などのプロジェクトマネジメントスキルが求められます。企画からリリースまで全工程に関わりますので、各工程における作業内容や開発手法、ゲームソフトを広く認知してもらうためのマーケティングなど幅広い知識とスキルが必要です。

ゲームプログラマー

プログラミング技術を用いてゲームを実装する職種です。ゲーム機やスマートフォン、遊技機上で動作するプログラムを開発する「クライアントプログラマー」と目に見えないサーバー側のプログラムを開発する「サーバーサイドプログラマー」に分かれています。

使用するのはC、C++、C#、Javaなど業務系システム開発でも利用されるものですので、他業界からでもゲームプログラマーを目指すことができます。年収は300万〜1200万円と幅がありますが、AIやVRなどの先端技術や幅広い技術を扱えるほど高年収になる傾向があります。

求められる経験

Unityを使ったゲーム開発やC言語などゲーム開発で使われる言語を使ったシステム開発経験など

ゲーム開発経験は案件によって必須であるケース、歓迎要件であるケースがあります。
未経験可としている募集や第二新卒可としている募集の多くは、ゲーム開発経験は歓迎要件となっている傾向があります。

求められるスキル

C、C++、Objective-C、C#、Java、JavaScriptなどのプログラミングスキルが必須となります。使用言語は開発するゲームによって異なります。また、多くの場合Unityなどのゲーム開発プラットフォームを用いて開発しますので、これらを扱うスキルも求められる傾向にあります。サーバーサイドを担当するのであれば、サーバーやネットワークの知識やスキルも求められるでしょう。

関連記事:
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ゲームプログラマーになるには?仕事内容や求められるスキルとは
未経験からゲームプログラマー・ゲームエンジニアになる!業界別転職ノウハウ解説

QAエンジニア(品質管理)

QAエンジニアは、テストや品質管理を主に担当する職種です。テスト設計や障害管理、テストなどを担当します。ソーシャルゲームやオンラインゲームは、同時に多くの人がプレイするため、障害の発生でユーザーの離脱や売上の低下を防ぐため、ゲーム業界では品質管理にも力を入れています。QAエンジニアの年収は300万〜600万円となっており、品質管理計画の立案スキルやテスト設計スキル、システムアーキテクチャに関する深い知識、品質管理チームのマネジメント経験などがあるほど年収は高くなる傾向にあります。

求められる経験

ゲーム業界での品質管理経験、テスト設計経験、テスト実務経験など

求められるスキル

単体テストや結合テストも担当しますので、プログラミングスキルは必須です。また、テスト設計スキル、障害管理スキルなど、進捗管理スキルなどが求められます。

デバッガー

デバッガーはゲーム開発においてテストや品質管理を担当する職種です。主な仕事内容はQAエンジニアの設計したテストケースを実施しゲームのバグや不具合を特定、解析や修正案の提示などです。デバッガーが潜在的なバグを見つけることで、ユーザーのゲーム体験が向上します。

求められる経験

ゲーム開発の一連の流れやゲームエンジンの使用経験

求められるスキル

問題解決力と論理的思考が必要です。また、バグの原因を適切に説明するコミュニケーション能力も要求されます。

求められるスキルは変わっていく

このように、ゲーム業界にはさまざまな職種があります。ゲームデザイナーやゲームプログラマーは、未経験者でも応募可能な募集があり、比較的転職しやすい職種です。このような募集では、スキルよりもゲームへの熱い思いや人間性などが重視されます。もちろん前述したスキルがある方が評価は上がります。

一方で、ゲームプランナーやゲームプロデューサー、ゲームディレクターは業界としては即戦力として、ゲームプロデューサーやゲームディレクター経験、ゲーム業界の他の職種の経験を求める傾向にあります。ゲームプロデューサーやゲームディレクターを目指すのであれば、まずはゲーム業界の他の職種で経験を積んでからキャリアアップを目指しましょう。

また、ゲームプランナーなどはコアとなるスキルを突き詰めることが大切です。開発環境や言語を突き詰めることで、新たな技術の吸収が早くなります。

ゲーム業界への転職に成功するためのポイント

ゲーム業界への転職に成功するためのポイントはIT業界経験者か否かで異なります。ここからは転職を成功させるためのポイントをそれぞれ確認しましょう。

IT業界経験者の場合

IT業界経験者の場合は以下のポイントをおさえましょう。


  • ・ゲーム業界特有の文化やビジネスモデルを理解する

    ・ゲームエンジンやプログラミングスキルを伸ばす

    ・ポートフォリオを構築する

    ・最新技術を身につけ、メタバースやAIを活用したプロジェクトにも参加できるようになる


既にIT業界の経験者でしたら、プログラミングスキルなど技術スキルを伸ばすと良いでしょう。特に最近ではAIやIoT、メタバース等の最新技術を使用したゲームが人気です。最新技術を身につけて市場価値を上げることで、目的を達成する転職ができます。

IT業界未経験の場合

IT業界未経験の方は、以下のポイントをおさえましょう。


  • ・自身の経験した業界で得たスキルを活かせるポイントを探す

    ・ゲーム業界の構造や職種を理解する

    ・簡単なポートフォリオを作成する


IT未経験者がゲーム業界に転職するのは難しいです。そのため、簡単なポートフォリオを作成できるレベルでないと、転職先は見つからないでしょう。

まずはUnityをはじめとしたゲームエンジンに触れ、簡単なゲームをつくるところから始めてみましょう。

ゲーム業界の年収相場

厚生労働省の発表している令和4年度賃金構造基本統計調査によると、ゲーム業界を含む情報通信業の平均月給は378,800円、平均年収は5,671,600円とされています。これは全平均年収と比較して100万円ほど高く、給与水準が高いことがわかります。

また、平均給与を比較すると大企業>中小企業となっており、会社規模が大きければ大きいほど平均年収が上がっています。他の業界より会社規模の影響が大きいです。

参考:令和4年度賃金構造基本統計調査

ゲーム業界の求人例をチェック

実際に募集されているゲーム業界の求人を確認することで、どんな業務を行うのか、どれくらいの報酬を受け取れるのか、どんなスキルが必要なのかといった情報がイメージしやすくなります。

レバテックキャリアに掲載されていた求人を例に見ていきましょう。

求人例

【想定年収】
600〜1,200万円

【業務内容】
・クラウドIaaSでの社内基幹系インフラ設計、構築、運用(主にAWS)
・社内基幹系オンプレミス環境の運用(主にVMWare)
・オフィス内ネットワーク環境の運用(主にCisco)
・オンプレミス環境からクラウド環境への移行(主にAWS)
・AzureAD等、認証関連の移行、運用(Azure)

【求められるスキル】
・10年以上のITインフラ(主にシステム管理)経験
・2年以上のクラウド(IaaS)でのサーバーおよびデータベースのインフラ基盤構築、運用経験
・3年以上かつ10名以上のプロジェクトマネジメント経験

ゲーム業界の転職に関するよくある質問

最後にゲーム業界の転職に関するよくある質問に回答します。

Q1. ゲームクリエイターの年収はいくらですか?

ゲーム業界を含む情報通信業の平均月給は378,800円、平均年収は5,671,600円とされています。これは全平均年収と比較して100万円ほど高く、給与水準が高いことがわかります。

また、平均給与を比較すると大企業>中小企業となっており、会社規模が大きければ大きいほど平均年収が上がっています。他の業界より会社規模の影響が大きいです。

Q2. ゲーム関係の仕事に就くには?

ゲーム関係の仕事に就きたい方はまず業界構造を確認しましょう。ゲーム業界特有の文化やビジネスモデルを理解することで、職種や必要なスキルが分かります。業界構造を理解してからは、自身のスキルセットに合わせた職種を目指し、足りないスキルを身に着けるといいでしょう。

まとめ

この記事では、ゲーム業界の市場状況や職種と年収の目安、職種ごとに求められる経験やスキルについて解説しました。職種ごとにさまざまなスキルを求められますが、社会人を対象としたゲームプランナーやゲームプログラマーコースを提供している専門学校やスクールもありますので、比較的スキルを身につけやすい状況です。また、ゲーム業界は市場拡大が続いていますので将来性が高い業界とも言えるでしょう。ゲーム業界への転職を検討している方は、記事の内容を参考にしながらアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。

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