自社開発とは?メリットやデメリット、受託開発との違いを解説

最終更新日:2023年12月12日

ITエンジニアのなかには、新しい環境でさまざまな経験を積みたいと、転職を考えている人も多いでしょう。ただし、ITシステムの開発には、自社開発や受託開発などいくつかの形態があるため、違いをきちんと把握した上で転職活動を行う必要があります。

この記事では、自社開発の概要、受託開発との違い、メリット・デメリット、転職するために必要なことについて解説します。

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この記事のまとめ

  • 自社開発とは、自社が提供するサービスやソフトウェアを開発することを指す
  • 受託開発と違い、開発の決定権は自社にあるため「納期の融通が利きやすい」「意見交換や相談がしやすい」などのメリットがある
  • 自社開発では「スキルが偏りやすい」「人脈ができにくい」などのデメリットがある

自社開発とは

自社開発とは、企業がシステムやアプリケーションなどを自社内で開発することを指します。そして、自社開発には自社で活用するシステムやアプリケーションなどを開発するケースと、他社や消費者に利用してもらうサービスやソフトウェアを開発するケースに分けられます。

自社で使用するシステムの開発

自社で使うシステムやソフトウェアの企画・設計から開発・運用まで、すべてを自社内で行うケースです。企画から参加し、開発した後も随時システムを改修するなどシステムメンテナンスを継続する点が特徴です。

自社以外のユーザー向けのサービス・ソフトウェア開発

企業や一般向けのサービス・ソフトウェアを開発し売り込むケースです。開発したサービス・ソフトウェアが多くの人に活用されヒットすれば、直接企業の売上につながることになります。

自社開発と受託開発の違い

自社開発と受託開発の最も大きな違いは、システム開発の依頼元です。自社開発は自社で利用するサービスやユーザー向けサービスなどを開発するのに対し、受託開発ではクライアントが依頼するシステム開発内容を受託し、クライアントの意向に沿って開発します。また、仕事の進め方にも違いがあるのでさらに詳しく見ていきましょう。

自社開発の進め方

自社開発では、一般的には自社内のITシステム部門で自社の課題を確認しながら、サービス提供部門などの関連部門と連携してシステムを企画・開発します。自社内の関係者と仕事を進めていけるので、納期や修正・変更などにおいて業務上のコミュニケーションが取りやすいといえるでしょう。

受託開発の進め方

受託開発では、基本的にクライアントの意向を尊重しながら対応可能な範囲で調整します。システムのデザインや機能・レスポンスなどに関して決定権は常にクライアント側にあり、受託側が提案した場合でも決定に時間を要します。自社開発と比べると、大幅な変更や調整があった場合は対応に時間がかかってしまうことも多いでしょう。

以下の記事では、自社開発・受託開発それぞれで役に立つ記事がまとめられています。こちらもぜひ参考にしてみてください。

関連記事:受託・自社サービスの企業で働くときに役立つ記事まとめ

自社開発のメリット

自社開発はクライアントが存在しないため、自社の意向に沿ってシステムやサービスを開発できることが大きな特徴といえるでしょう。自社開発の特徴や魅力はほかにもたくさんあるので、受託開発と比較しながら具体的に解説していきます。

納期の融通がきく

納期に融通がきく点はメリットの1つといえるでしょう。特に社内向けシステムの開発では、万が一納期が延伸したとしても、影響は社内のみであるため、スケジュール調整が難航するといったトラブルが発生することも少ないです。

一方で受託開発の場合は、納期が遅れるとクライアントの計画に影響を及ぼすため、トラブルに発展する可能性があります。また、タイトなスケジュールを組まれる傾向があるため、残業が増えることが懸念されます。

スケジュールに余裕を持って開発できることは、自社開発の強みともいえるでしょう。

コミュニケーションがとりやすい

自社開発では、開発の依頼元が営業や総務部門・マーケティング部門といった自社内の部門なので、コミュニケーションがとりやすく、急に確認したいことが発生しても躊躇なく聞くことができます。

受託開発の場合は、クライアントとの打ち合わせが必要でスピーディーなコミュニケーションがとりにくいでしょう。また、案件の依頼元と受託側とのパワーバランスによって、思うように意見交換ができないことも予想されます。

自社開発は、分からないことがあっても自社内ですぐに確認や相談ができるので、システム開発に専念しやすいといえるでしょう。

新しい技術にチャレンジできる機会が多い

自社システムの開発では、企画段階から意見やアイディアを出し合って進めていくため、新しい技術の導入を検討したり、エンジニア目線での提案をしたりしやすいです。また、受託開発に比べると予算の融通が利きやすく、自社の判断によっては多少のリスクも容認できるため、積極的に最新の技術を導入できる可能性があります。

一方で受託開発は、クライアントの要望に沿ったシステムを確実に稼働させることが最優先されるため、既存の技術で開発することが多く、最新技術に触れる機会が少ないです。

新しい技術に挑戦したいエンジニアには、自社開発は向いているといえます。ただし、最新技術に触れるためには相応のスキルや開発実績が必要となるでしょう。

客先常駐がない

自社開発での仕事は自社内で完結するため、クライアント先に常駐することは基本的にはありません。客先常駐ではクライアントの仕事環境に合わせる必要があり「自社内よりも集中しにくい場合もある」「裁量権が制限される」といったデメリットがあります。

自社開発は、客先常駐よりも裁量性のある働き方ができるので、その分システム開発に集中できます。モチベーションを保ちやすい点や自社の上司からの正当な評価が得られやすい点からも、自社開発を希望する人は多いでしょう。

関連記事:SESへの転職を考える|客先常駐のメリット・デメリットやSIerとの違い

環境の変化が少ない

自社開発では、基本的に自社内のメンバーで開発するため、複数のベンダーと関わるようなところでなければ、環境の変化を感じることは少ないです。クライアント先に常駐する場合では、クライアントによっては環境の変化が激しい場合があります。特に多くのベンダーが関わる案件規模が大きい場合では、メンバーの入れ替わりが激しいと感じるでしょう。また、外部からの要求により、業務の変化も起こりやすいです。

評価につながりやすい

自社で実績を上げることができれば、成果が同僚や上司に評価されやすいです。自社のサービスやソフトウェアが多くのユーザーに使われるようになると、そのまま自社の売上につながります。また、社内システムであればシステムの利用者からの評価が得られ、昇給・昇格にもつながりやすいといえるでしょう。

企画から携われる

開発だけではなく、企画段階から運用までチーム一丸となってプロダクトを築いていけることにやりがいを感じる人も多いでしょう。また、自分が携わったサービスや製品が売れれば評価にもつながる可能性があります。また、作り上げたあとの達成感が得られる利点もあるので、企画段階から携わりたいエンジニアにとってはとても良い仕事環境といえます。

ユーザーから直接評価が受けられる

自分が携わったサービスや製品にユーザーの声を反映させられる点は強みでしょう。また、評価されることは仕事へのモチベーションアップにもつながります。受託開発の場合は、ユーザーからの意見はクライアント側に寄せられるため、ユーザーの意見を確認しにくい傾向があります。自社開発であれば、自分が携わったサービスや製品に対して直に評価が得られるので、修正を繰り返しながらさらに良いサービス・製品へと改善していくことができるでしょう。

自社開発のデメリット

自社開発のメリットに魅力を感じている人は多いかもしれませんが、逆にデメリットもあるので見てみましょう。メリットだけではなく、デメリットも知ることで理解がより深まります。また、転職を考える場合は、自社開発の仕事が自分に合うかどうかを判断することが大事なポイントです。

ある程度のスキルが求められる

自社開発を行っている企業に転職するには、十分なスキルが求められるでしょう。基本的なITスキルはもちろん、企画や設計、提案を行っていく発想力・想像力や、メンバーを統率するリーダーシップ、マネジメントスキルなども必要です。

また、ユーザーのニーズをいち早くキャッチする情報収集力、それをすぐに実装する行動力も大切です。

ただITエンジニアとして自社サービスやシステムを開発するだけでなく、サービスを改善し、いかにユーザーに受け入れられるか、という上流工程の考え方が必要でしょう。

スキルが偏る場合がある

自社開発では、自社サービスのシステム開発を行うため、受託開発よりもシステムの内容が固定化しがちです。自社システムの開発で使われるデータベースや言語などは統一されている場合もあり、長期にわたって同じ技術を使って開発を行うことも考えられます。

とはいえ、企画段階からアイディアを出したり、新しい技術の導入を提案したりできる機会も多いため、向上心を持って積極的に意見を出していけば経験できるスキルの幅も広げられるでしょう。

人脈ができにくい

自社開発では、基本的にコミュニケーションを行うのは社内のみなので、外部との人脈が広がりにくいといえるでしょう。一方で、受託開発の場合は、クライアントとの打ち合わせなどを頻繁に行うため、クライアントが変わるたびに新たな人との繋がりができ、人脈も拡がります。業務上で社外問わず多くの人と関わりを持ちたい人にとっては、自社開発のデメリットに感じてしまうでしょう。

利益貢献を求められる

自社サービスがヒットすれば利益や評価につながりやすいだけに、自社への利益貢献を求められます。企画を発案したり開発したりする際にも利益を意識する必要があるため、プレッシャーを感じてしまう人もいるでしょう。また、試験的な開発を行う場合は、最終的にヒットしなければその分の工数が無駄になってしまうことも懸念されます。

自社開発エンジニアに必要なスキル

自社開発では、基本的なITスキルのみならず、自社サービス・製品の成功のための企画力や提案力など、さまざまなスキルを持っているとより活躍しやすいでしょう。転職を検討する人にとっても、必要なスキルを知っておくことで転職活動をよりスムーズに進められます。

迅速な対応力

受託開発に比べるとスケジュール調整がしやすいものの、何か問題が発生した場合の対応が遅れればチームの足を引っ張ることになり、自社のサービスや製品のリリースにも悪影響を及ぼします。多くのライバル企業に引けを取らないために、常に迅速な対応が求められるでしょう。

ITに関する知識と技術

基本的なITスキルに加えて、IT技術の進歩に合わせた知識や技術のインプットが必要です。業務上で使用する技術もさまざまですが、知識が乏しければ技術を上手く活かしきれません。エンジニアとして活躍したいのであれば、業務時間以外の自己学習も必要でしょう。

ニーズを捉える情報収集力と分析力

より多くの人々に応えるサービス・製品を創り出すには、時代のニーズを正確に把握することが大切です。そのためには、いかにトレンドを押さえた情報収集ができるかが重要になってきます。常に最新情報や業界の動向を意識し、世の中のニーズを分析しましょう。自社開発はチームで開発することが一般的ですが、普段から分析力を養っておけば問題対処においても的確にチームを導けるようになるでしょう。

自社開発企業に転職するためには?

「自社開発企業に転職するにはどうすればよいのか。」そのような疑問を解消できるよう、以下で解説していきます。自社開発企業への転職をイメージできれば、その後の企業研究や自己分析の際にも効果的です。

どのような仕事もスキルとして身につける姿勢で

自社開発は責任範囲が広い場合が多く、一人が横断的に動くことが求められます。そのため、仕事内容を問わず積極的に柔軟性を持って対応する人が重宝されるでしょう。さまざまな知識とスキルを身につけ「この人に聞けば分かる」という存在になれれば、昇給や昇進を望みやすくなります。

求められる役割を理解する

自社開発への転職を考えるのであれば、自社開発企業が求める人物像を意識するとよいでしょう。自社開発は自社社員や自社の売上を意識した働き方であるのに対し、受託開発はクライアントの指示のもと要望に応える働き方といったようにまったく異なります。希望する転職先の自社開発企業を分析し、企業が必要とするスキルや技術をアピールできると効果的でしょう。

開発しているプロダクト・サービスへの興味の度合いを確認する

希望する転職先での開発内容に興味があるかどうかも大きなポイントです。自社開発では、開発しているプロダクト・サービスに長く付き合っていくことになるため、興味がなければ高いモチベーションを維持できません。

自社開発のプロダクト・サービスに採用できる技術がないか、業界の技術動向の情報収集をしたり最新技術を学んだりする姿勢で働けるかなどを自身に問うとよいでしょう。何よりもまず、プロダクト・サービスへ関心を持ち、熱意を持って取り組めるかどうかが大切です。

自身のキャリアプランと照らし合わせる

自社開発にはメリット・デメリットがあるため、自身のキャリアプランと照らし合わせ、最適な道かどうか検討することが重要です。コミュニケーションがとりやすく環境の変化も少ない、というメリットを得たいなら自社開発は最適でしょう。しかし、幅広いスキルや人脈を得たいと考えているのであれば、自社開発は自分に合わないと感じる可能性があります。

また、企業によって働き方や開発メンバー数、キャリアパスなども異なるため、複数の要素を十分踏まえた上で転職先を検討しましょう。

自社開発に関するよくある質問

自社開発に関心がある人のなかでも、特に「受託開発と比較した場合にどちらがよいのか」という疑問を持っている人が多いようです。間違った認識をしないためにも、自社開発と受託開発のどちらについてもよく理解しておくとよいでしょう。

ここでは自社開発について寄せられる質問の中でも、特に多いものについて回答していきます。

Q1.自社開発とは何ですか?

企業がシステムやアプリケーション開発などを自社内で開発することを指します。企画から開発、運用までのすべてを担うので、業務の幅も広くさまざまなスキルを必要とするでしょう。自社内で開発するため客先常駐はなく、基本的には社内のチームと協力しながら開発します。

Q2.自社開発にはどのような種類がありますか?

自社開発は大きく2つの種類に分けられます。自社で利用するサービス・ソフトウェアを開発するケースと、自社外の企業や一般向けのサービス・ソフトウェアを開発するケースです。ともに自社内で開発する点においては共通しているといえるでしょう。

Q3.自社開発と受託開発はどちらが良いですか?

どちらが良いかどうかは、自分の求める仕事内容や労働環境によって大きく変わります。自社開発と受託開発のメリット・デメリットをよく理解し、自分のキャリアパスも想定した上で、どちらが自分に適しているか判断すると良いでしょう。特に自社開発の場合は、企業が手掛けているサービス・製品への関心が持てるかどうかも大切です。

まとめ

自社開発についての特徴を理解し、自分のキャリアパスを想像できたでしょうか。自社開発が向いていると感じる人がいれば、向いていないと感じる人もいるでしょう。自社開発の大きな特徴は、サービス・製品の企画段階から携わり、開発・運用まですべてを手掛けられることです。その分、業務が幅広く求められるスキルも多いですが、やりがいを感じられます。自分の理想のキャリアを築いていくためにも慎重に適性を判断しましょう。

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