大手SIerの特徴とは?売上高&平均年収ランキング一覧も紹介

最終更新日:2023年4月17日

大手SIerは、大規模なシステム開発プロジェクトを統括する役割を持ち、確立された方法論に従って開発を行うのが特徴です。経営が安定し、福利厚生も充実している傾向にあるため、転職を希望する人も多く見られます。一方で、新しい技術を活用する機会が限られているといった特徴もあるので、自身の適性に合っているか十分に検討するべきです。本記事では、大手SIerの仕事内容やメリット・デメリットを紹介した上で、転職を検討する際のポイントを解説します。

この記事のまとめ

  • 大手Slerとは、大規模システムの開発を統括する企業
  • 大手Slerの売上は数兆円にものぼり、これは世界で見ても高い売上を誇っている
  • 大手Slerで働くメリットやデメリットははっきりしているため、転職を検討する際はポイントをおさえる

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大手SIerとは?

SIer(System Integrator、エスアイヤー)は中〜大規模なITシステム開発案件を一括受注し、顧客要望に沿ったシステムを独自に開発する企業を指します。大手のSIerと中小のSIerを明確に区別する基準はありませんが、売り上げや従業員数でおおまかな分類が可能です。また、取り扱うシステム開発案件の観点で見ると、大手SIerは数千万〜数億円に達する大規模プロジェクトを担当するケースが多いです。

大規模プロジェクトを推進するため、大手SIerはプロジェクトを統括する役割を担い、開発などの個別作業はパートナー企業へ委託します。大手SIerの技術者には、技術的なスキルだけではなく、プロジェクト管理のスキルが求められるでしょう。大手SIerには、大手電機メーカー系列のIT企業や外資系IT企業などが含まれます。

SIerの市場規模と将来性

ここからはSlerの市場規模と将来性について解説します。総務省の調査によるとSlerの市場規模は2020年時点で18兆7,928円となります。また、Slerの主な業務である「受託開発ソフトウェア業」は8兆7,763円となっており、非常に大きな市場であることが分かります。

この市場はAI技術やDX化などの追い風を受けて今後も拡大されることが予想されています。市場価値の拡大から、今後もSlerの将来性はあると言えるでしょう。

SIerの種類

Slerの種類は大きく分けて5種類です。


  • ・ユーザー系Sler

    ・メーカー系Sler

    ・独立系Sler

    ・外資系Sler

    ・コンサル系Sler


ユーザー系Slerとは、大手企業が情報システム部門を子会社として独立させた業態です。代表的な企業にNTTデータや伊藤忠テクノソリューションズが挙げられます。

メーカー系Slerとは、ハードウェアの開発を中心に行う企業メーカーがシステム部門を子会社として独立させた業態です。代表的な企業に富士通や日立ソリューションズが挙げられます。

独立系Slerとは、親会社を持たずに経営が独立した企業です。代表的な企業は大塚商会やネットワンシステムズが挙げられます。

外資系Slerとは、グローバルなIT企業が日本法人を設立しシステム開発事業を展開している業態です。代表的な企業に日本ヒューレット・パッカードやアクセンチュアが挙げられます。

コンサル系Slerとは、業務分析を含めた上流工程に焦点を当てた業態です。代表的な企業に野村総合研究所や三菱総合研究所が挙げられます。

大手SIer企業の売上高ランキング一覧

ここからは大手Sler企業の2021-2022年における売上高ランキングを確認してきましょう。ここでは上位10企業をご紹介します。
※上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載

順位 企業名 売上高
1 富士通 30,354億円
2 NEC 30,140億円
3 NTTデータ 25,519億円
4 日立製作所 19,883億円
5 野村総合研究所 5,688億円
6 大塚商会 5,236億円
7 伊藤忠テクノソリューションズ 5,223億円
8 TIS 4,825億円
9 SCSK 4,141億円
10 BIPROGY(旧日本ユニシス) 3,167億円

上位4社は1兆円を超える非常に大規模な企業です。また、富士通の売上はITサービス市場で世界5位を誇っています。上位企業は世界に通用するレベルの大企業であると言えるでしょう。

大手SIerの平均年収ランキング一覧

大手Slerの売上を確認したところで、ここからは平均年収ランキングを確認していきましょう。ここでは2021-2022年の上位10企業をご紹介します。
※上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載

順位 企業名 売上高
1 野村総合研究所 1,232万円
2 三菱総合研究所 1,111万円
3 SRAホールディングス 1,080万円
4 電通国際情報サービス 1,057万円
5 Alinside 1,013万円
6 Kudan 969万円
7 オービック 959万円
8 GMOペイメントゲートウェイ 955万円
9 伊藤忠テクノソリューションズ 941万円
10 CAC Holdings 938万円

ご覧の通り、上位10社全てが平均年収900万円を大きく超えています。2022年の平均年収は403万円です。大手Sler企業は非常に高給であることが分かります。

大手SIerの仕事内容

大手SIerと中小のSIerを比較すると、企業規模だけではなく仕事内容でも違いが見られます。大手SIerは大規模システムを受注し、プロジェクト管理を主に行う一方、中小SIerは開発・テストといった特定の局面に携わる傾向にあります。以下では、具体的な大手SIerの仕事内容を解説します。

担当する案件

大手SIerは大企業や官公庁といった組織を顧客に抱えます。開発するシステムも多岐にわたり、可用性や信頼性に厳しい要件を持つ統合基幹システムや金融システムといった大規模なプロジェクトが含まれます。顧客企業の要望に従ってカスタマイズ開発を行った後で、保守・運用の作業を長期間委託される場合もあるでしょう。また、特定の技術や業界ごとにパッケージ化したソリューションを用意し、効率的な開発を行えるよう、似た要件を持つ企業へ横展開していく案件も見られます。

開発プロセスにおいて担当する局面

大規模システムにおける開発プロセスは、一般的に業務分析・要件定義・設計・開発・テスト・運用の順で実施されます。大手SIerの場合、顧客企業と直接契約し、業務分析や要件定義といった上流工程を担当する場面が多く見られます。元請けとなる大手SIerはプロジェクト全体を統括する一方、開発やテストといった詳細な作業は中小SIerへ再委託される傾向にあります。

求められるスキル

顧客企業と直接やり取りし、大規模のチームで作業を遂行するため、大手SIerのSE(システムエンジニア)は高いコミュニケーション能力が必須です。開発チームを統括するプロジェクト管理スキルがあると、人材として高い評価を受けられるでしょう。また、より技術的なキャリアパスを志向する場合、システム全体を設計するスキルを磨き、アーキテクトとして活躍する方法もあります。

大手SIerで働くメリットとデメリット

大手SIerは、大規模プロジェクトに携わりたい人に適した環境です。しかし、大手ならではの難しさもあるため、人によっては働きにくさを感じる可能性もあります。以下では、転職を考慮する際に理解しておくべき、大手SIerで働くメリットとデメリットを解説します。

メリット1:安定した経営と、優れた福利厚生

大手SIerは長期間契約が続く大規模プロジェクトや、それに付随する運用・保守の作業を受託するため、安定した売り上げが見込めます。比較的収入が高く、多様な人材が働けるよう福利厚生が充実した、いわゆる「ホワイト企業」も見受けられます。また、高いスキルを持った人が集まってくるので、優秀な人材とともに働ける楽しさを感じられるでしょう。

メリット2:社会のインフラを支える

多くのユーザーが利用し、社会のさまざまな場面に影響を与える大企業や官公庁の情報インフラを担当することに、やりがいを感じられる人も多いのではないでしょうか。提供するソリューションや、プロジェクト管理の手法にも高い要求が課されますが、その要求に応える中で自身のスキルを向上できるのも利点です。また、世界的に展開するグローバルなプロジェクトへ参加できるのも大手SIerならではのメリットと言えます。

デメリット:新しい技術へ挑戦するのは難しい場合がある

SIerでは、会社の指示に従って特定のプロジェクトへ参加することになりますが、必ずしも希望の案件に配属されるとは限りません。例えば、ある技術を扱うシステム開発に携わりたいと思っても、該当する案件で人員が募集されなければ、参加は難しいでしょう。既に確立された技術を横展開したり、古いシステムを保守したりする案件も多く見られます。SIerは顧客の希望に従って設計・開発を行うので、個人の意見で新しい技術を採用するのが難しいケースもあります。新しい技術へ常に挑戦したいという意欲を持ったエンジニアにとっては物足りなく感じるかもしれません。

大手SIerの中途採用においてアピールできるスキル

比較的収入が高く福利厚生が優れた大手SIerは、転職を希望する人も多いため、応募する際は十分に準備して臨むべきです。中途採用でSIerに応募するときには、以下のようなスキルをアピールできると効果的でしょう。

ITスキル

これまでシステム開発に携わっていた経験があれば、そこで発揮したスキルをアピールできます。大手SIerは上流工程を担当するケースが多いため、要件定義や設計に関する経験は評価されやすいでしょう。他には、大手ベンダーの製品に関する資格を取得するのもITスキルをアピールする方法の一つです。

業務知識

特定の業界や業務に精通している人材が重宝されます。例えば、製造業のIT部門に在籍していた人は、SIerへ転職後、製造業向けソリューションを担当するキャリアパスが考えられます。前職で得られた業務知識やベストプラクティスを、他の企業へ横展開するのに活用できるからです。

ソフトスキル

大手SIerはプロジェクトを統括する役割を担うケースが多いので、ITスキルだけではなく、プロジェクト管理などのスキルも必要です。顧客企業と直接やり取りしたり、大規模チームの中で利害関係者と協業したりする際に、コミュニケーションや交渉といったソフトスキルが求められます。

業界分析や自己分析

上記のようなスキルを洗い出すには、転職準備の際に自己分析を行う必要があります。また、大手SIerの特徴や求められる人材について理解し、それに合致した経験やスキルを得るよう対策を練るべきです。大手SIerにおける転職事情について分析するため、転職エージェントから情報収集する方法もあります。

Slerを目指す方が抱きやすい質問

最後にSlerを目指す方が抱きやすい質問に回答していきます。

Q1.大手SIerとは何なのか、定義を教えてください。

Slerに大手と中小を区別する明確な基準はありませんが、一般的に大手Slerは従業員が数千人以上や売上高が数百億など規模の大きなSler企業を指します。また、ITシステム開発を一括で請け負える、一次受けとして国や官公庁から仕事を受けられる企業も大手Slerと言えるでしょう。

Q2.大手SIerの強みは何でしょうか。

大手Slerの主な強みは以下の2点です。


  • ・安定した経営と優れた福利厚生

    ・社会のインフラを支えている


大規模プロジェクトやそれに付随する運用・保守業務があるため安定した経営の基、優れた福利厚生の企業が多いです。また、平均年収も高いため、充実した私生活を送れるでしょう。

さらに大手Slerは社会のインフラを支える大規模プロジェクトに参加できるためやりがいも大きく、高い要求にこたえることで自身の成長にも繋がります。グローバルなプロジェクトも一般企業と比べると多いため、自身の成長を考えてる方にとっても大きな強みとなるでしょう。

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