Webエンジニアとは
Webエンジニアとは、Webシステム、サービス、アプリケーションの開発や運営に携わるITエンジニアです。
Webは主にインターネットを用いてコンピュータ間で通信を行う仕組みで、業種や業界を問わずにWebの活用は広まっています。WebサイトといってもPC向け、モバイル向けやといった各種デバイスに向けたサイト、ECサイトやSNS、求人・転職のマッチングサイトなど種類は幅広いです。
WebエンジニアはこれらのWebサイトを設計、開発し、サービスとして提供するための運営、運用保守などを行います。また、Webサイトの企画、マーケティングやデザインまでも業務領域とするエンジニアもいるでしょう。
以降では、Webエンジニアの大きな分類と仕事内容を説明します。Webエンジニアは専門領域によって、フロントエンドエンジニアとサーバーサイドエンジニアの2つに分けられます。
関連記事:Webとは?仕組みや関連職種について初心者にもわかりやすく解説
フロントエンドエンジニアの仕事内容
フロントエンドエンジニアは、WebサイトやWebアプリケーションのユーザーインターフェースを開発するエンジニアです。Webでは一般的にユーザーインタフェースはブラウザ上に表示されるWeb画面です。フロントエンドエンジニアはWebの中でもユーザーが直接見える部分を担当します。
主にHTML、CSS、JavaScript、TypeScriptなどを使用して、Webページのデザインや動作を実装します。近年では、Vue.js、React、Angularなどのフロントエンド開発用のフレームワークを用いたWebサイトが増加しています。
関連記事:フロントエンドエンジニアとは?仕事内容、年収や必要なスキルも解説
サーバーサイドエンジニアの仕事内容
サーバーサイドエンジニアは、WebサイトやWebアプリケーションのバックエンド側の開発を担当するエンジニアです。ユーザーの操作するWebブラウザと通信する、サーバー上のアプリケーションを担当します。バックエンドエンジニアと呼ばれる場合もあります。
サーバーサイドの開発ではPHP、Ruby、Pythonなどのプログラミング言語や、データベース、Webサーバーなどを使用します。サーバーサイド開発向けのフレームワークを用いたWebアプリケーションの業務処理の構築などが主な業務です。
関連記事:
サーバーサイドエンジニアとは?仕事内容や資格、勉強方法などを紹介
Pythonは難しい?習得のコツやWebエンジニアへの転職法
Webエンジニアの転職市場
Webエンジニアの転職市場は好況です。IT企業はもとよりユーザー企業でも事業上Webを利用する機会が増えており、Webエンジニアが広く求められています。
Webエンジニアの転職市場が好調な要因は複数あげられます。代表的な要因は下記です。
-
・労働人口の減少などに起因するIT人材の不足
・Web技術の進歩に伴う技術者の不足
・あらゆる企業がDX推進、デジタル化を進めていることによる需要の増加
レバテックキャリアにて2024年9月13日時点でWebエンジニアに該当する求人・転職情報は1,124件が掲載されています。これは、職種「フロントエンドエンジニア」「サーバーサイドエンジニア」業界「Web・オープンシステム」「Web」サイトに該当する件数であり、Webを用いたシステム開発に条件を広げればさらに多くの求人・転職情報が存在しています。Webエンジニアの転職市場が好況なことを示す一つの例といえるでしょう。
Webエンジニアの年収
レバテックキャリアにて、2024年9月13日時点で業界「Web・オープンシステム」「Webサイト」、職種「フロントエンドエンジニア」「サーバーサイドエンジニア」で登録されている求人・転職情報から、Webエンジニアの平均年収を算出しました。各職種30件を抽出し、年収の上限と下限の中間値の平均を想定年収とすると、フロントエンドエンジニアの年収は約679万円、サーバーサイドエンジニアの平均年収は約579万円、両者を合わせるとWebエンジニアの年収は約629万円です。
国税庁の調査によると、令和4年の給与所得者の年間給与の平均は458万円であり、情報通信業全体の平均は577.2万円でした。Webエンジニアは比較的高い年収を望める職種といえるでしょう。
20代の年収
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagの職種「システムエンジニア(Webサイト開発)」のデータでは、20代のWebエンジニアの平均年収は20〜24歳で341.48万円、25〜29歳で453.91万円です。20代前半から20代後半で一気に年収が上がっていることがわかります。20代前半はまだ就職してから年数が浅いため、給与が伸びやすい時期と考えられます。
30代の年収
同じくjobtagのデータによると、Webエンジニアの30代の平均年収は、30代前半が512.63万円、30代後半が597.93万円となっています。20代と比べると上がり幅は下がっていますが、それでもWebエンジニアの平均年収はキャリアに応じて上がっています。
40代の年収
同じくjobtagのデータによると、Webエンジニアの40代の平均年収は、40代前半が646.9万円、40代後半が674.62万円となっています。年々上がり幅が狭くなっているものの、40代でもキャリアに応じて年収が伸びています。
Webエンジニアへの転職を成功させる準備6ステップ
Webエンジニアへの転職活動を始める際の、成功に向けた準備の6つのステップを紹介します。転職活動をされる際には、ご自身の転職活動の計画と照らし合わせて取り入れましょう。
また、各ステップで登場する準備のコツについても抜粋し、次項「Webエンジニアへの転職を成功させるポイントのまとめ」としてまとめていますので合わせてご確認ください。
STEP1. 転職活動の流れと準備にかける時間を把握する
はじめに転職活動の大きな流れを知り、準備にかかる時間を把握しておきます。
Webエンジニアの転職の流れについては、情報収集、成果物のまとめ、必要な書類の作成などの準備を行い、そこからはどういう手段で転職活動をするかによって異なります。この準備の期間は約2〜3週間が目安です。
求人サイトを利用する場合は、サイトへの登録、企業への応募、書類選考、面接と進みます。また、エージェントを利用する場合は、カウンセリングを受け、エージェントから案件の紹介を行い、紹介された求人へ応募、書類選考、面接の流れとなります。
求人は生き物なので、転職を希望するエンジニアの年齢やタイミングなどの要素もあいまって、時間が経つに連れどんどんチャンスが減少していきます。よって、思い立ったが吉日と考えて、勢いよくできるところまでを仕上げてしまうことがおすすめです。
STEP2. 転職目的・優先したいことを整理して志望動機を考える
転職の目的や優先したいことを整理して志望動機を考えるのが次のステップです。
うまくまとまらない場合には、先に職務経歴書を書きます。後でブラッシュアップ可能なため精度は気にせず、新卒から現在まで具体的に行ってきた仕事、環境、選択した技術とその理由などを書き出します。これにより、自分が『できること』が可視化され、整理できます。その後、『やりたいこと』を考えるとスムーズです。
『できること』『やりたいこと』が抽出できたら、両者のギャップと『やりたいこと』をするために不足しているものが割り出せます。これが転職の目的であり、転職先で成し遂げる最初の目標です。目的が分かれば、自然と転職理由や転職活動で大切にすべきこともまとまります。
時間軸での整理も有効です。例えば「1年以内、3年後、5年後の自分」など、自分のビジョンを時間軸に沿って細分化して書き出します。ここからも、転職の目的や理由が割り出せることがあります。
準備段階で転職目的と優先したいことを割り出して志望動機につなげている方は、内定のタイミングが早く、獲得率も高い傾向にあります。まずは、自身の転職の目的について、以下の観点でまとめてみましょう。
なぜWebエンジニアに転職したいのか
ITエンジニアと一言でいっても、システムエンジニアやプログラマー、ネットワークまたはデータベースなどのスペシャリストなど、多くの職種が存在します。その中で「Webエンジニア」に転職したい理由を明確化します。
例えば、IT未経験の人は、Webエンジニアに興味を持った理由や「自分がもっている〇〇という経験を活かしたいから」といった実体験に基づいた理由などをあげるとよいでしょう。
なぜその企業で働きたいのか
Webエンジニアという職種を選んだ理由が明確になったら、次に転職先である企業を選んだ理由も明確にしておきます。Webエンジニアを必要としている企業は非常に多いですが、その中でも「なぜこの企業を選んだのか」という理由を深掘りします。
例えば、その企業がもつ有名なWebサービスを手がけてみたい、といったその企業でなければならない特徴をあげるとよいでしょう。
これまでの経験をどう活かせるか
実際にWebエンジニアとしてその企業に転職したら、自身の経験をどう活かしていくかを考えておきます。ここでは、自身の経験から他者にはない強み・長所を整理しておきます。
これら3つの観点でまとめることで、転職理由が明確になり、転職後の目標もわかりやすく伝えることができます。
STEP3. 転職活動を行う方法を考える
Webエンジニアへの転職活動の方法は複数存在します。
メジャーな方法として、求人サイト、エージェントを使うことがあげられます。近年ではこれに加えて、ダイレクトリクルーティングサービスや社員紹介(リファラルリクルーティング)の制度を利用するケースも増加中です。
それぞれの転職方法には、メリット・デメリットがあるため把握して選択しましょう。
求人サイト
求人サイトを活用するメリットは、さまざまな求人を広告や記事の形態でチェックできることです。手軽に利用でき、比較がしやすい反面、良い情報ばかりが掲載されているため、実際の現場状況などを把握しづらいことが難点となります。
企業側としては、通期や複数名で採用したい場合などによく用いる方法なので、ピンポイントで「この企業のこの事業をやりたい」という要望に叶うWebエンジニアの求人は、比較的少ない傾向があります。
ダイレクトリクルーティングサービス
ダイレクトリクルーティング(ソーシャルリクルーティング)はエージェントなどを介さずに活動を行うため、「エージェントなどのフィルターがかからない」という意味で多くの企業からスカウトを受けやすいです。フラットに自分の市場価値を診断できることや、スカウト次第では自分が想定していなかったキャリアを発見するきっかけになることは、大きなメリットです。
デメリットとしては、面接の対策を立てづらいこと、条件交渉については基本的に転職者自身が行う必要があることがあげられます。これらのメリット・デメリット両方を踏まえると、自立志向性が強い方に向いているでしょう。
エージェント
エージェントの利用では、転職準備を手伝ってくれることが大きなメリットです。転職の目的や理由の明確化、志望企業の求人や面接の傾向、面接が苦手な方のアピールの仕方など、コーディネーターが相談に乗りってくれます。また、エージェントは非公開の求人も保有しているメリットもあります。
レバテックキャリアで行っている具体的な対策として、蓄積したノウハウや過去に転職した方の情報から、通りやすい人材の傾向や企業が面接で見ているポイント、過去の質問内容、面接担当者の層などを共有しています。また、各社の営業担当から転職希望者の方へ、その企業で働くやりがいなどプラスαの情報もお伝えします。他にも、面接での具体的なQ&A対策も実施中です。
エージェントの利用では、エージェントサイト選びが大切です。大前提として、まず「求人の数が多いこと」、そしてWebの業界にどれだけ豊富な知識を持っているか(≒どれだけ高い専門性を有しているか)が重要な判断基準となります。
レバテックは5,000社以上と取引実績があり、現場で稼働するエンジニアの方々から日々生の声が上ってくるので情報の鮮度が高く、これを活かしたアドバイスが強みです。
関連記事:転職エージェントとは?メリット・デメリットや利用の流れを解説
STEP4. キャリア・スキルや経験の棚卸しをする
キャリアやスキルの棚卸しも必ず行っておきます。
その理由の一つは、自分の技術的な強みやビジョンを事前にまとめておかなければ職務経歴書には書けないためです。また、面接でも手がけてきた仕事内容や役割は必ずあがるので、備えておくためにも必須です。システムの目的や全体像、その中で自分がどんな役割を担っていたのかなどを明確にするためにも棚卸しを行います。
棚卸しでは「どんなサービスやシステムについての仕事をしてきたのか」、それが誰を対象として何を成し遂げるためのものなのかまでを整理します。また、システムの全体像、システム構成や言語選択の理由などについても把握します。
自分が手がけてきた開発環境やフレームワーク、ミドルウェア、バージョン管理ツール、CircleCIやJenkinsのようなCIツール(継続的インテグレーションツール)などもリストアップし、職務経歴書に記載することが一般的です。
忘れられがちなポイントとして、自分の成果、果たした役割、評価があります。定量的なものに加えて、定性的な内容も忘れずに押さえましょう。周りから得られた評価も重要です。
関連記事:エンジニア面接の逆質問29選!パターン別の質問例と注意点を解説
STEP5. 応募する企業の情報収集をする
転職活動を成功させるうえで、情報収集は重要です。特に抑えるべきポイントとして以下が挙げられます。
・興味がある業界についての情報
-
・業界のトレンドやよく用いられている技術
・どういうエンジニアが向いているのか
・業界シェアなど
・応募企業についての情報
-
・同社で提供しているサービスの特徴
・類似サービス
・サービスの開発環境や運営体制
なお、技術環境については公開している企業も多いですが、実際の現場環境や労働時間などの内情は転職希望者個人ではキャッチしづらいです。その際には、エージェントを活用すると選考要素を含まないカジュアル面談などで情報収集が可能です。例えば、企業の文化や風土のようなソフト面をはじめ、実際にサービスへの取り組みや環境などを直接、企業の採用担当者に聞くことができます。
転職を考えている分野に関する勉強会に参加するのも非常に有意義です。勉強会なら、TECH PLAYやconnpassのようなサービスを使って、面白そうな集まりを見つけてみるのもよいでしょう。
関連記事:新卒エンジニア必見!IT・Web系の技術勉強会&探せるサービスまとめ
STEP6. 思い立ったら早めに行動に移す
転職を思い立ったら、早めに行動に移しましょう。
行動に移す際には、強い気持ちを持つことがとても大切です。100社受けても1社受けても、入社できるのは1社だけです。もしなかなか受からなくても、落ち込まずに継続的に活動しましょう。
また、知った気になる、思っているだけ、夢見ているだけ、という受け身の姿勢は転職ではNGです。まずはアクションを起こさなければ何も始まりません。
転職活動を行い、企業を訪ねて採用担当者と話をする、人事担当者からその企業についての情報を得る、自分の経歴やスキルについてのフィードバックをもらうといった経験はアクションを起こさなければ得られません。その場では転職にはいたらなかったとしても、必ず自分の糧になり、最終的な転職成功に繋がります。
Webエンジニアへの転職を成功させるポイントのまとめ
Webエンジニアとして転職を成功させるためのコツはいくつもあります。特に準備が大切でそこにコツが詰まっていることは前項で紹介した通りです。
本項では前項の転職準備の6つのステップをまとめ、その中でも特に大事だと考えられる4つのコツをピックアップして解説します。Webエンジニアへの転職を志している方は、自身の活動に取り入れてご活用ください。
転職を思い立ったら早めに行動する
1社応募して必ず転職できるとは限りません。100社応募しても入社できるのは1社だけです。なかなか採用されなくとも落ち込まず、とにかくアクションを起こし続けましょう。
転職の準備は短期間で集中し、まず転職目的や優先事項を整理
転職活動の準備は2~3週間で集中して行います。最初に転職の目的や優先事項を整理しましょう。転職の目的探しに困ったら、職務経歴書を書いて『できること』と『やりたいこと』とのギャップを割り出すとよいでしょう。目的探しには、『3年後、5年後に自分が何をやりたいのか』時間軸で考えることも有効です。
スキルや経験の棚卸は、職務経歴書に詳しく情報を落とし込む
複数の転職経験がある場合、スキルなどを棚卸しすることで、キャリアパスを裏付ける材料が見つかります。棚卸しするときは、これまで「どんなサービスやシステムについての仕事をしてきたのか」対象者や目的、自身の役割を記載しましょう。さらに、システムの全体像や構成、開発環境や使用したツールについても押さえておくと、自身の経験をより詳細にアピールできます。
詳しい情報を入手したいなら、転職エージェントを活用する
転職エージェントを使うと、実際の現場環境や労働時間など、Webでは入手できない情報をキャッチできます。また、経歴やスキルについてのフィードバックも得られます。転職自体に迷っていたら、カウンセリングだけでも受けてみるのもよいでしょう。
集めるべき情報は、興味がある業界のトレンドやよく使われている技術、業界シェアなどがあります。また、志望企業について、同社で提供するサービスの特徴や類似サービス、開発環境や運営体制などについての情報も重要です。エージェントの活用などにより効率的にこれらの情報を確認し、自身の経験を活かせる転職先を明確にすることが成功への道筋です。
関連記事:Web業界の仕事とは?代表的な職種と仕事内容、将来性なども解説
未経験からWebエンジニアへ転職するには
Webエンジニアに限らずITエンジニアは技術職であるため、一定のスキル・経験がないと業務をこなすのは非常に難しいです。そのため、未経験の人がWebエンジニアに転職するのはハードルが高いと感じるでしょう。
しかし、Webエンジニアになる前は誰もが未経験からスタートしています。必要な情報を入手し、求められるスキルを習得しておけば、Webエンジニアに転職することは可能です。
ここでは、未経験からWebエンジニアへ転職する方法について解説します。
関連記事:未経験からWeb業界へ転職する方法を職種別に解説
Webエンジニアへに求められるスキルを習得する
エンジニア経験者でも未経験でも、必ずスキルと知識は求められます。このため、まずはWebエンジニアに必要なスキルを習得しましょう。
フロントエンドエンジニア、サーバーサイドエンジニアそれぞれ、求められるスキルが異なります。どちらを目指すかを決めて、スキル習得に取り組みましょう。Webエンジニアとして転職後も活躍するためには、一人で業務を行えるだけのレベルが一つの目安です。
また可能であれば、フロントエンドエンジニアおよびサーバーサイドエンジニア両方のスキルをある程度習得しておくと、仕事の幅が広がります。
転職サイトやエージェントを利用する
IT業界全般のトレンドから企業がWebエンジニアに対して求めているスキルまで、情報を集めるには転職サイトや転職エージェントを活用しましょう。
転職サイトや転職エージェントは情報を提供してもらえるだけでなく、自分のスキル・経験にあう求人を紹介してくれます。これにより、転職できる可能性が大幅に高まります。無料で利用できるので、複数の転職サイトやエージェントを利用するのも有効です。
転職サイトやエージェントの選び方
転職サイトやエージェントを選ぶ際の大きな基準として、求人数があげられます。エンジニア求人の中で、未経験者を受け入れているのは一部だけです。したがって、多くの求人を扱っていなければ可能性のある転職先も見つけられないという事態も起こりえます。
また、転職先となるWebやIT業界に対する知見の量も重要なポイントです。過去の実績や事例を豊富に持つエージェントならば、適確なアドバイスや事例に基づいた情報が得られるでしょう。
Webエンジニアの転職で評価されるスキル
Webエンジニアの転職において、スキルは重要なポイントです。しかしながら、Webエンジニアの業務に関わるスキルや知識は多岐にわたります。
本項では、Webエンジニアへの転職において高く評価されるスキルを、フロントエンドとサーバーサイドという職種別および両職種共通に分類して紹介します。もちろん、多くのスキルを保有している場合には、より高い評価に繋がります。
関連記事:
SIerからWeb系企業への転職を成功させるには?難易度や成功例
フロントエンドエンジニアに必要なスキル!勉強法も一挙紹介
Webエンジニアに共通して必要なスキル
フロントエンドとサーバーサイドの両方で必要となるスキルを解説します。これらのスキルはWebエンジニアになるために必須といえるため、必ず身につけておくようにしましょう。
プログラミングスキル
フロントエンドエンジニア、サーバーサイドエンジニアどちらも、何らかのプログラミング言語を使用してプログラミングができなければいけません。そのため、それぞれに必要なプログラミング言語は扱えるようにしましょう。
複数のプログラミング言語の習得は難しいと考える人もいるかもしれませんが、プログラムを組むための考え方の根本はそれほど大きな違いがありません。いくつかのプログラミング言語を習得して、一人でプログラムを作成できるレベルを目指しましょう。
具体的な言語は、フロントエンドエンジニアではJavaScript、TypeScriptとHTML、CSSです。また、サーバーサイドはPHP、Ruby、Python、Javaなどが代表例です。
クラウドに関するスキル
インターネットを介してITインフラを構築できる「クラウドサービス」が普及し、Webサービスの開発もこのクラウドサービスを利用することが多くなりました。そのため、Webエンジニアにはクラウドサービスを扱うスキルが求められます。
日本国内でシェアの大きいクラウドサービスとしてAWS(Amazon Web Service)、Microsoft Azure、Google Cloudなどがあります。どのサービスも無料試用が可能なので、実際に使ってみて知識を深めるとよいでしょう。
なお、クラウドを扱うためには、サーバーやネットワークなどのITインフラに関する知識が必要です。それらについてあまり知識がない場合は、先にITインフラについての知識を深めておくことをおすすめします。
ネットワークやセキュリティに関するスキル
Webエンジニアが開発するWebサイトやWebサービスはネットワークを介して利用されます。ネットワーク越しにアクセスが可能な状態で提供するため、外部からの攻撃に常にさらされているともいえます。したがって、Webアプリケーションではセキュリティも重視されるため、Webエンジニアにはネットワークやセキュリティに関するスキルが必須です。これらの知識がなければ、開発したサイトが外部からの悪意のある攻撃を受け、サイトの改ざん、不正アクセスや情報漏洩などのインシデントを引き起こす可能性があります。
そのため、ファイアウォールやWAP(Web Application Firewall)、暗号化などのネットワークセキュリティに関する知識・スキルを身につけておきましょう。
フロントエンドエンジニアの場合
Webのユーザーに見える部分を構築するフロントエンドエンジニアの場合に、評価されるスキルとして下記があげられます。
関連記事:フロントエンドエンジニアの将来性と求められるスキル・資格を解説
マークアップスキル
WebサイトやWebアプリケーションを開発するための基本となるスキルが、HTMLやCSSなどのマークアップスキルです。マークアップスキルを使って、Webサイトをデザインし、ユーザーの目に見える形で実装します。このスキルがないとWebサイトがつくれないといっても過言ではなく、フロントエンドエンジニアとして最低限必要なスキルであるため、必ず習得しましょう。
JavaScriptを扱うスキル
WebのフロントエンドはHTMLとCSS、そしてJavaScriptによって構築されています。この3つのフロントエンドエンジニアにとっての必須言語の中でもスキルの幅が一番広いのがJavaScriptです。JavaScriptはWebページのブラウザ上の動きや見た目を制御し、マウスやスワイプでの操作に関わる機能やアニメーション、非同期通信などの実現にも欠かせません。
フロントエンドエンジニアの転職の場合、JavaScriptを使った実務経験があることは前提条件であり、評価を得るにはプラスアルファの要素が必要となります。拡張が続けられるJavaScriptの仕様を熟知し新旧の構文や端末、ブラウザの違いにも対応できる場合や、JQueryをはじめとしたライブラリやReact、Vue.js、AngularJSなどのフロントエンドフレームワークに習熟している場合には高い評価に繋がります。
UI/UX設計スキル
Webシステムにおけるフロントエンドは、ユーザが直接使う画面であり、UI(ユーザインタフェース)にあたります。見た目やデザインの良さ、操作性の高さなどを考慮した設計ができるスキルは評価の対象となります。
また、UIと関連してユーザにWebサイトを通して体験を提供するUX(ユーザエクスペリエンス)の設計・実装スキルは、フロントエンドエンジニアとしての評価を高めるものです。
CMS構築スキル
Webのフロントエンドの構築は、常にソースコードを一から書き起こして作成するとは限りません。近年では開発効率とコストを考慮して、CMS(コンテンツマネジメントシステム)と呼ばれるソフトウェアを利用してフロントエンドの大枠を形成し、フロントエンドエンジニアはデザイン部分やカスタマイズを担当するというケースも増えています。
CMSに関する知識を持ち、インストールや設定、カスタマイズに向けたスキルを持つことで、フロントエンドエンジニアとしての活躍の幅が広がるため、評価されます。
サーバーサイドエンジニアの場合
Webのサーバー処理の構築を主な業務とするサーバーサイドエンジニア(バックエンドエンジニア)の場合、Java、PHP、Python、Ruby、JavaScript(Node.js)などのサーバーサイド言語のスキル保有は前提となります。それに加えて、以下のスキルを保有している場合、高い評価につながる傾向があります。
関連記事:サーバーサイドエンジニアへの転職!必要スキル・経験・資格を紹介
フレームワーク、ライブラリを活用した開発スキル
サーバーサイドのプログラム構築においては、開発効率や生産性、品質の向上を目的としてフレームワークを利用することが一般的です。特に転職先で採用しているフレームワークやライブラリに関して、活用スキルを持っている場合には評価の対象となります。
Webフレームワークには言語ごとに多くの種類があり、トレンドが存在します。したがって、言語とセットでトレンドのフレームワークを身につけることが重要です。
データベースのスキル
サーバーサイドのプログラムでは、ほとんどの場合にデータの保存先としてデータベースを利用します。必然的にサーバーサイドエンジニアはデータベースへアクセスするプログラムの作成、データベースの構築、運用をするシーンが多く、データベースに関するスキルは評価に繋がります。
フロントエンドの開発スキル
Webシステムでは、サーバーサイドのプログラムはフロントエンドからの要求に答える役割を担っています。フロントエンドの開発に関するスキル・知見をもっていることで、サーバーサイドのプログラムの設計・構築においても効率や品質を向上させることが可能なため、評価されることがあります。
環境の構築や継続的インテグレーション(CI)に関するスキル
サーバーサイドエンジニアの場合、サーバーへの環境構築やアプリケーションのリリースが業務において頻繁に発生します。このため、サーバーOS(Linux他)の知識や操作スキル、クラウドサービスの操作スキル、仮想化環境・コンテナについての知識と利用スキル、CIツールに関しての知識などを持っていることで、開発と運用の業務をスムーズに繋げることが可能です。繰り返し改良を行うWebサービスの提供を行う企業への転職では評価されるスキルとなります。
Webエンジニアの転職に役立つ資格
エンジニアの転職において、資格の保有は一定のスキルを示すことができます。転職先で利用するスキルに関連した資格の保有は、選考上でも有利に働きます。また、資格の取得に向けた学習は業務で身につけた知識を整理してより明確に身につける上でも有用です。
本項ではWebエンジニアの転職で有利に働くことの多い資格について紹介します。
関連記事:
Webエンジニアに資格はいらない?おすすめの試験や対策方法
フロントエンドエンジニア向けおすすめ資格11選!難易度順でご紹介
HTML5プロフェッショナル認定試験
HTML5プロフェッショナル認定試験は、特定非営利活動法人LPI-JAPANによって実施されるHTML5、CSS3、JavaScriptなどWebの基礎となる技術と知識を認定する資格です。IPAが作成しているITスキル標準(ITSS)において、HTML5 L1はレベル2、HTML5 L2はレベル3に位置付けられているため、取得することで一定の評価を得ることができます。
フロントエンジニアの実務に向けたスキルの保有およびWebエンジニアとしての基礎知識を持つことを示せます。
Ruby技術者認定試験
Ruby技術者認定試験は、Rubyアソシエーションが実施するRubyに関するスキルを示せる資格試験です。Rubyベースのシステムを設計開発、運用するエンジニアやRubyでシステム提案を行うコンサルタント、Rubyを教える講師を対象としており、SilverとGoldの2つのランクがあります。
サーバーサイドエンジニアがRubyのスキルを示す際に有用な資格となります。
PHP技術者認定試験
PHP技術者認定試験は、PHPによる開発スキルを示すことのできる資格試験です。一般社団法人BOSS-CON JAPANにより運営されており、PHPのバージョンとレベルにより試験が分かれています。2024年09月13日時点では、PHP5技術者認定初級試験(ITSSレベル1準拠)、PHP5技術者認定上級・準上級試験(ITSSレベル2/3準拠)、PHP7技術者認定初級試験(ITSSレベル1準拠)、PHP8初級試験(ITSSレベル1準拠)、PHP8技術者認定上級・準上級試験(ITSSレベル2/3準拠)が提供されています。また、上級試験(PHP8 以降)でスコア1275点以上(正答率85%)以上を取得することでPHP技術者認定ウィザードの呼称とロゴマークの利用が可能です。
PHPを利用するサーバーサイドエンジニアの場合、転職に役立つ資格といえます。
Java™プログラミング能力認定試験
Java™プログラミング能力認定試験は、民間企業サーティファイが提供している試験です。3級、2級、1級の3つのレベルがあり、1級ではコードを実際に扱う記述式の試験が行われ実践的なスキルが問われます。
Javaはサーバーサイド言語として大規模プロジェクトなどで採用されるケースも多いため、Webエンジニアにとっても役立つ資格となっています。
CIW JavaScript Specialist
インターネットとWebに関するスキルを認定する国際資格に、米国Certification Partners社により運営されているCIW(Certified Internet Web Professional )があります。
その中でも「CIW JavaScript Specialist」はWeb開発におけるJavaScriptに特化した資格です。試験は英語で提供されているためハードルは高いものの、フロントエンドエンジニアにとって非常に重要なJavaScriptに関する知識・スキルを示すことができます。
年代別でのWebエンジニアへの転職活動のコツ
Webエンジニアへの転職活動のコツは年代によって異なります。言い換えれば、自分の年代に合ったアプローチが必要ということです。これは各年代のWebエンジニアに対して求められる経験やスキル、果たす役割が違うことに起因しています。
以下では、各年代の転職活動で意識しておきたいコツを解説します。あくまで一般論ですが、他の転職志望者と比較されるのにあたって、知っておくに越したことはありません。
20代での転職
20代でWebエンジニアに転職する場合、現状のスキルによってアプローチが異なります。未経験の場合、まずは自分がどの分野に興味を持っているのかを見極め、その分野に特化したスキルを身につけることが重要です。
また、求人情報や業界情報を積極的に収集することも大切です。さらには、仕事探しと並行して、ポートフォリオに書ける実績を作ってください。クラウドソーシングを利用した個人受託によるWeb開発などがおすすめです。
すでにスキルがある場合は、転職エージェントを活用し、自分に合った企業を紹介してもらうと良いです。
30代での転職
30代でWebエンジニアに転職する場合、キャリアの方向性をある程度決めておくことが重要です。IT業界では、一定の年齢になると技術追及指向の人とマネジメント指向の人に分かれてきます。
平均的にはマネジメント指向の方が年収が上がりやすいですが、技術力が高ければ技術特化で高収入を稼ぐことも可能です。どちらが良いかは結局のところ人によるでしょう。いずれにせよ、Webエンジニアに対する求人でも、どちらに比重をおいた人材を求めているかを見極めることで転職の成功率を高められるでしょう。
40代での転職
40代でWebエンジニアに転職する場合、経験やスキルを活かせる職場を見つけることが重要です。また、今後のキャリアアップに向けて、新しい分野にチャレンジする精神性もあるとより良いでしょう。
そのためには、新しい技術やトレンドにアンテナを張り、学習に励むことが必要です。40代でIT業界に在籍している人はマネジメント指向の人が多いはずですが、技術への関心も持ち続けることで差別化が図れます。
マネジメントスキルは重要ですが、マネジメントだけにならない方が若手エンジニアとのコミュニケーションなどでも技術のことが話せてより良いでしょう。
Webエンジニアの需要が高い理由
Webエンジニアは将来性があり、今後も需要が高まっていくでしょう。
インターネットの普及やモバイルの利用拡大、サブスクリプション型のWebサービスの台頭などを背景に、Webサイトやアプリの開発には当然需要があります。コロナ禍でオンラインビジネスが急速に拡大したことも、Webエンジニアの需要をさらに高める要因です。
また、技術の進歩に伴い新しいプログラミング言語やフレームワーク、ライブラリが次々と開発されています。これらの技術を習得することで、キャリアアップにつなげることができることも将来性のあるエンジニア職種といえる理由です。
関連記事:
Webエンジニアの将来性は?活躍し続けるためのスキルも解説
フロントエンドエンジニアの将来性と求められるスキル・資格を解説
オンラインビジネスの拡大
インターネットが普及して以降、Webサービスは増加し続けています。例えば、ECサイトやネットバンキング、オンラインゲーム、配信サービス、SNSなどがあげられます。加えて、今ではスマートフォンやタブレットが普及し、Wi-Fiもインフラとして定着してきたため、いつでもどこでもWebサービスが利用できる環境が整っています。これにより、オンラインビジネスが急速に拡大しました。
これらオンラインビジネスを支えるのがWebエンジニアです。今後もオンラインビジネスは拡大し続けることが予想され、その拡大に応じてWebエンジニアも求められるでしょう。
デジタル化の推進
企業ではキャッシュレス決済やペーパレス化、DXの推進などデジタル技術の活用が急務となっています。デジタル化を推進していくことで、速やかな情報共有や作業効率化を実現できます。
このようなデジタル化やDXでもインタフェースとしてはWebが利用されることが多いです。デジタル化やDXを推進していくために必要なWebサービスやWebアプリケーションを開発するため、Webエンジニアが必要とされています。
ITの発展
ITが急速に発展するとともに、Web関連の新しい技術が誕生し、高度なWebアプリケーション開発が可能になっています。例えば、クラウド基盤上へのWebサービスの構築、機械学習をつかったデータ分析やAIによる処理を組み込んだWebアプリケーションなどがあります。これらの新しい技術を使える専門的な知識をもったWebエンジニアは、今後ますます需要が高まるでしょう。
Webエンジニアに関するよくある質問
Webエンジニアに関するよくある質問とその回答を紹介します。
Webエンジニアへの転職では、準備が重要です。必要となるスキルと知識習得のフローや転職までの道筋をイメージし、あとは地道に思考錯誤しながら取り組みを継続させます。下記の質問と回答で疑問を解消し、Webエンジニアとなるための第一歩を踏み出しましょう。
Q1. Webエンジニアの平均年収を教えてください
2024年09月13日時点でレバテックキャリアに掲載されている求人・転職情報より、Webエンジニアの平均年収は約629万円と算出できます。
国税庁の令和4年度民間給与実態統計調査による民間企業の平均年収458万円、情報通信業の平均年収577.2万円を上回り、高い収入を期待できる職種です。
Q2. Webエンジニアになるには何から勉強すればいいですか?
Webエンジニアになるには、まずWebアプリケーション開発の基礎となるプログラミングの学習からはじめましょう。プログラミング言語によるWebアプリ開発は、オンライン講座や書籍、Webサイトなど自分に合う方法で学習できます。
Q3. Webエンジニアには何が必要ですか?
担当するポジションなどによっても変わってきますが、Webエンジニアには以下のようなスキル、知識が必要です。
-
・プログラミングスキル
・Web全般の知識
・データベースの知識、スキル
・フレームワークの知識
Q4. Webエンジニアに向いているのはどんな人ですか?
Webエンジニアには、技術の発展に対応し、チームでの開発に貢献すること、アプリケーション開発上で発生する問題の解決などが求められます。したがって、以下のような人が向いています。
-
・コミュニケーション能力がある人
・問題解決能力がある人
・好奇心が旺盛な人
まとめ
Webエンジニアは、Webシステム、サービスの開発や運営、運用保守などに携わる職種です。Webの利用拡大に伴い、Webエンジニアの需要は高く、今後も市場価値が高い状況が継続すると考えられるため将来性も高いです。
Webエンジニアは開発対象の領域によって、フロントエンドエンジニアとサーバーサイドエンジニアに分類されます。共通して必要となるスキルと各領域ごとに必要となるスキルがあるため、どちらのエンジニアを目指すかを定めて計画的に習得しましょう。
Webエンジニアへの転職では、特に準備が重要です。転職目的・優先したいことの整理、
キャリア・スキルの棚卸、転職先の企業や業界の情報収集は重要なポイントとなります。転職に向けた目的などの整理、情報収集、自分に適した企業探しなどはエージェントを活用して効率的に行うことがおすすめです。
ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア職を専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通しており、現状は転職のご意思がない場合でも、ご相談いただければ客観的な市場価値や市場動向をお伝えし、あなたの「選択肢」を広げるお手伝いをいたします。
「将来に向けた漠然とした不安がある」「特定のエンジニア職に興味がある」など、ご自身のキャリアに何らかの悩みを抱えている方は、ぜひ無料のオンライン個別相談会にお申し込みください。業界知識が豊富なキャリアアドバイザーが、一対一でさまざまなご質問に対応させていただきます。
「個別相談会」に申し込む
転職支援サービスに申し込む
※転職活動を強制することはございません。
レバテックキャリアのサービスについて