フロントエンドエンジニアとは、Webサービスやアプリケーションのフロントエンド(ユーザーの目に見える画面部分)の開発を担当するエンジニアを指します。
フロントエンドエンジニアの業務範囲は幅広く、画面デザインやUI・UX設計だけでなく、SEO対策の検討なども担当範囲です。この記事では、フロントエンドエンジニアに興味がありスキルアップしたい方に向けて、フロントエンジニアの仕事内容をはじめ、必要なスキルとその勉強法、キャリアパス、混同しがちな職種について詳しく解説します。
- 1. フロントエンドエンジニアに必須のスキルセット
- 2. フロントエンドエンジニアとしての市場価値を上げるスキル
- 3. フロントエンドエンジニアのスキルアップのための勉強法
- 4. フロントエンドエンジニアになるのに資格は必要?
- 5. フロントエンドエンジニアのキャリアパスと必要なスキル
- 6. フロントエンドエンジニアと混同しがちな職種
- 7. まとめ
1. フロントエンドエンジニアに必須のスキルセット
フロントエンドエンジニアの仕事には、具体的にはどのようなスキルが求められるのでしょうか。以下で紹介するスキルは、スクールや書籍、学習サイトなどを活用して学習できます。
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未経験からフロントエンドエンジニアを目指す方法
HTML・CSSを扱うスキル
HTML・CSSはWebページを作る際に必ず使用します。それぞれHTML5、CSS3が現在標準となっているため、これらのバージョンをしっかり習得することが大切です。現場によっては、レガシーブラウザに対応するために過去のバージョン知識が必要となる場合もあります。
HTMLやCSSは一般的なプログラミング言語に比べて比較的簡単であるため、プログラミング初心者にとっても習得しやすいといえるでしょう。ただし、単にHTMLやCSSのスキルがあるだけではなく、見やすいページにするためのデザインスキルも求められます。
デザインフレームワークの知識・スキル
CSSではBootstrapやBulmaなどのフレームワークを活用した開発が一般的です。求人例を見てみると、これらのフレームワークが必須スキルとなっていることも珍しくありません。HTMLとCSSを学ぶ際に合わせて習得すると良いでしょう。
JavaScriptを扱うスキル
JavaScriptは、フロントエンドエンジニアに必要なスキルの中でもコアとなる技術です。ブラウザ上で動的な表現を可能にする技術であり、現在多くのWebサイトで利用されています。
現在は、非同期通信によるノーリロードでの情報の更新表示ができるようになり、APIを利用したGoogle Mapのようなリッチコンテンツの開発が盛んになっています。
プログラミング言語としてJavaScriptの基本を習得することはもちろん重要ですが、それに加えてjQueryやReactなどのライブラリ、AngularJS、Vue.jsなどのフレームワークについても知識を深めておくと開発効率を高められるでしょう。
さらに、JavaScriptの静的型付け版言語であるTypeScriptも合わせて習得しておくと、JavaScriptだけでは対応しきれない大規模な開発にも携われる用になるので、転職においては大きなアピールポイントとなります。
2. フロントエンドエンジニアとしての市場価値を上げるスキル
フロントエンドエンジニアとして市場価値を上げるには、上記で紹介した必須スキルとは別にさらに以下で紹介するようなプラスアルファのスキルがあると良いでしょう。
関連記事:フロントエンドエンジニアの将来性と、今後求められるスキル
CMS構築スキル
フロントエンドエンジニアは、HTMLやCSSを駆使して一からWebサイトを構築するものだと思われがちですが、実際の現場ではCMS(コンテンツマネジメントシステム)を使って構築するケースが非常に多いです。
CMSとはHTMLやCSSの知識がなくても自在にWebサイトが構築できるシステムで、企業のサイトはもちろん、個人がブログを開設する際にも利用されることがあります。
一般的にフロントエンドエンジニアが依頼者からWebサイトの制作を相談された場合、トップページやサイト全体の枠組みの構築を行うケースがほとんどです。その後、企業がCMSを操作して、Webサイト上のコンテンツを自由に追加していくパターンが多いです。
UI・UXに関する知識
WebサイトにおけるUI(ユーザーインターフェース)とは、ページ上にあるコンテンツはもちろん、ボタンやメニューに表示されるアイコンなどのことを指します。そして、UIの使いやすさを表す指標として用いられるのがUX(ユーザーエクスペリエンス)です。
たとえばデザインにこだわるあまり、メニューがどこに表示されているのか分からないWebサイトは本来の役割を果たしているとはいえません。たしかに洗練されたデザインは魅力的ですが、あくまでもユーザー目線に立って使いやすいページであることが大前提となるのです。
UIやUXに関する知識を身につけ、実用的で使いやすいWebサイトを構築するスキルがフロントエンドエンジニアには求められるのです。
SEOに関する知識
SEOとは検索エンジン最適化ともよばれ、検索サイトから特定の文言で検索したときに上位ランクを獲得できるようにする対策法です。
検索上位を獲得するためには、特定の文言を繰り返し使ったり、タイトルに文言を入れるだけでは難しいものです。質の高いコンテンツを用意することは大前提となりますが、それ以外にもh1、h2といったタグやメタディスクリプション、内部リンク、被リンクなどさまざまな要素があります。
フロントエンドエンジニアにとってSEO対策は極めて重要であり、Webサイトを構築する際には常に頭の片隅にSEO対策を考慮しておかなければなりません。
サーバーサイド言語の知識
サーバーサイド言語とは、PHPやPerl、RubyなどWebサーバー上で動作するプログラミング言語のことです。WebアプリケーションによってはMySQLなどのデータベースと連携することもあります。フロントエンド言語であるJavaScriptなどとあわせて、サーバーサイド言語の知識を身につけることで、Webアプリケーション開発の仕事の幅を広げることができるでしょう。
マネジメントの知識
フロントエンドエンジニアとして経験を積むと、プロジェクトチームのリーダーとしてマネジメントを担当することもあります。開発チームのスタッフの配置やプロジェクトのスケジュール管理を行う仕事であり、それらにはマネジメントの知識が欠かせません。このような上流工程へのキャリアアップを目指しているのであれば、積極的にマネジメントの知識を身につけましょう。
3. フロントエンドエンジニアのスキルアップのための勉強法
フロントエンドエンジニアとしてスキルアップを目指すためには、具体的にどのような勉強が必要なのでしょうか。今回はフロントエンドエンジニアとして成長していくために有効な資格や、その勉強法も含めて紹介します。
独学でスキル・知識を深める
フロントエンドエンジニアに求められるHTMLやCSS、JavaScriptなどのプログラミング言語は、独学で習得することも可能です。また、見やすいWebサイトを構築するためには、実際に手を動かして試行錯誤しながら取り組んでいく必要があります。その場合、独自でレンタルサーバーを借りてWebサイトを構築する方法もあります。
プログラミングスクールに通って勉強する
フロントエンドエンジニアに役立つ資格は、いずれも参考書や問題集などで試験対策ができるため、独学で合格を目指すことも十分可能です。しかし、仕事が忙しく効率的に勉強ができなかったり、勉強を怠けてしまい途中で挫折してしまった、という経験がある方も少なくありません。
そのような方には、プログラミングスクールに通う方法もおすすめです。独学に比べてコストはかかってしまいますが、確実に勉強の時間が確保でき、短時間で効率的に受験対策できます。
4. フロントエンドエンジニアになるのに資格は必要?
フロントエンドエンジニアにはHTMLやCSS、JavaScriptのスキルが必要ですが、これは独学でも取得できます。それらのスキルとは別に必要となる資格があるのでしょうか?
関連記事:フロントエンドエンジニアに役立つ資格
フロントエンドエンジニアになるのに資格は必須ではない
結論から言うと、フロントエンドエンジニアになるのに資格は必須ではありません。最低限、HTMLやCSS、JavaScriptのスキルがあれば仕事ができるため、資格を持っているかどうかを気にする現場は少ないでしょう。
しかしWeb制作が未経験でフロントエンドエンジニアへの転職を目指している場合、資格を取得してスキルを身につけたり、やる気をアピールすることは効果的です。具体的には以下で紹介するような資格取得がおすすめです。
HTML5プロフェッショナル認定試験
HTML5プロフェッショナル認定試験とは、HTML5、CSS3、JavaScriptといった内容が網羅されており、Webサイトを構築するうえで一定のスキルを有していることを証明できる資格です。HTMLやCSSなど基本的なスキルが出題されるレベル1と、JavaScriptの深い理解が求められるレベル2の試験が実施されています。
CIW JavaScript Specialist
CIW JavaScript Specialistとは、Webデザインやセキュリティといった実務的な内容が多く出題される資格です。国際資格であるため、出題は全て英語となります。
5. フロントエンドエンジニアのキャリアパスと必要なスキル
ここでは、フロントエンドエンジニアのキャリアパスに必要なスキルや年収、将来性と共に解説します。
関連記事:フロントエンドエンジニアのキャリアパスとそれに役立つスキルを一挙紹介!
フロントエンドエンジニアとしてキャリアアップ転職をする
より高い年収やスキルアップできる環境を求めて、職種を変えずフロントエンドエンジニアとして転職する方法が、もっとも一般的なキャリアパスです。
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・CVRや利用回数、滞在時間などのKPI達成を考慮したUI/UXデザインスキル
・プロジェクトマネジメントスキル
・フレームワークスキル
ただし、転職の際は実務経験が重視されますので、これらのスキルを身につけた上で現在の職場で実績を作っていくことが重要です。特に、リーダー以上を目指すのであれば技術力だけでなくサービスのKPI・KGIの達成実績や提案実績、改善実績、チームのマネジメント実績を積むことが大切です。
また、マネジメントスキルだけではなく技術的なスキルを積極的に習得する姿勢も問われます。特にWeb業界は変化の波が激しく、数年単位でトレンドが入れ替わることも珍しくありません。つねに最新の技術や知見を取り入れ、実践に活かしていく心構えが必要です。
身につけるべきスキル・知識
HTML、CSS、JavaScript、SEOの知識、UI/UXデザインスキル、AngularJS、Vue.jsなどのフレームワークスキル、プロジェクトマネジメントスキル、システム開発の知識、Webサービスの仕組みに関する知識、セキュリティの知識など
年収相場
約350万円~800万円程度。マネジメント経験、UI/UXデザイン経験があると評価が上がる傾向にあります。
Webデザイナーに転職する
フロントエンドエンジニアはHTMLやCSS、JavaScriptを使った実装が主な仕事になります。そのため、コーディングよりデザインに強みのある人は、Webデザイナーとして転職することが可能です。収入はやや下がることもありますが、デザイン業務に興味のある方にとっては、やりがいの多い仕事でしょう。
優秀なWebデザイナーのなかには会社を辞めてフリーランスとして独立する方も多く、会社員として働いていたときよりも年収が大幅に増えることもあります。ただし、その一方で収入も変動しやすくリスクのある働き方であることも覚えておかなくてはなりません。
身につけるべきスキル・知識
HTML、CSS、デザインスキル、グラフィックソフトを扱うスキル など
年収相場
300万円〜800万円程度。Webデザインだけでなく、UI/UX設計スキルがあると評価が上がる傾向にあります。
サーバーサイドエンジニアに転職する
サーバーサイドエンジニアは、主にRubyやPHP、Pythonなどの言語を使いデータベース操作などのバックエンド処理を実装する職種です。近年、スタートアップ企業やベンチャー企業で、フロントエンドスキルを持つサーバーサイドエンジニアの需要が高まってきています。そのため、プログラミング言語スキルを身につけてサーバーサイドエンジニアに転職するというキャリアパスも選択肢となるでしょう。
サーバーサイドエンジニアに求められる知識やスキルは、フロントエンドエンジニアとは大きく異なるため、一から勉強を始めなければなりません。しかし、フロントエンド、サーバーサイドの両方に対応できるフルスタックエンジニアともなれば、Webサービスを扱う企業からの需要は極めて大きく、年収アップにつながる可能性が高いといえるでしょう。
身につけるべきスキル・知識
言語スキル(企業によって異なるものの、RubyやPHP、Java、Pythonなどが多い)、SQL、データベースに関するスキル、サーバー操作スキルなど
年収相場
300万円〜800万円程度。フロントエンドスキルやプログラム構造の設計スキル、プロジェクトマネジメントスキル、リーダー経験などがあると評価が上がる傾向にあります。
6. フロントエンドエンジニアと混同しがちな職種
フロントエンドエンジニアと混同しがちな職種として、コーダー・マークアップエンジニア・Webデザイナーの3つがあります。これらとフロントエンドエンジニアとの違いについて解説します。
フロントエンドエンジニアとコーダーの違い
コーダーとは、Webデザイナーが制作したデザインに基づいてHTMLやCSSをコーディングする職種のことです。Web制作の現場では最も基本的な仕事を担う職種であり、フロントエンジニアを目指す場合、まずはコーダーからスタートすることになります。
フロントエンドエンジニアとマークアップエンジニアの違い
マークアップエンジニアとは、コーダーと同様にHTMLやCSSをコーディングする職種ですが、単にコーディングするだけでなく、SEOやアクセシビリティも考慮します。コーダーからのステップアップ先となりますが、企業によってはコーダーと全く同じ職種を表していることもあります。
フロントエンドエンジニアがJavaScriptなどのプログラミング言語を扱うことに対し、マークアップエンジニアはHTMLやCSSなどのマークアップ言語の使用に留まることが多いです。
フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの違い
Webデザイナーとは、Photoshop®やIllustrator®などのグラフィックソフトを使ってWebサイトのデザインデータを制作する職種です。企業によってはWebデザイナーが、コーダーやマークアップエンジニアようにHTMLやCSSを記述することもありますし、場合によってはちょっとしたJavaScriptの実装を担うこともあります。
7. まとめ
フロントエンドエンジニアとして長く活躍するには、HTML・CSS・JavaScriptを使ったコーディングやプログラミングスキルを身につけなければなりません。それに加えて、プロジェクトマネジメントスキルやビジネス設計スキルなどを身につけていくことが重要です。
さらなるキャリアアップを目指すためにも、実務で経験をつみながら、自主的に情報収集し、常にキャリアパスを意識しながら、学習を続ける必要があるでしょう。
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