C++は汎用的なプログラミング言語であり、軽量、高速な動作から幅広い領域で利用されています。プログラム言語人気ランキングサイトTIOBE(※1)において、2002年以前からC++は人気があり、C++はアプリケーション開発において今後も長期的に継続した需要が見込めます。この記事では、C++エンジニアへの転職を検討している方に向けてC++エンジニアの需要の高い分野と今後の需要が期待できる分野について記載します。
- C++エンジニアの転職で知っておきたいこと:需要状況
- C++エンジニアの転職で知っておきたいこと:年収事情
- C++エンジニアの転職で評価されるスキル・知識
- C++エンジニアの転職で知っておきたいこと:具体的な求人例
- 未経験からC++エンジニアに転職するには
- C++エンジニアの転職に関するQ&A
- まとめ
C++エンジニアの転職で知っておきたいこと:需要状況
C++エンジニアの市場需要
現状でC++がよく利用されている分野について解説します。
組み込み・制御アプリ
C++は高級言語でありながらハードウェア寄りの記述が可能な特徴をC言語から引き継いでいます。この特徴を活かして、組み込みソフトウェアの開発や制御ソフトウェアの開発分野においてC++エンジニアには需要が存在しています。この分野では、C言語のコード資産が多く、その有効利用を行う意味でもC++およびC言語の開発者が求められています。
具体的な開発対象は、自動車や家電のマイコン、車載器やネットワーク機器などの組み込みソフトウェアおよび設備やロボットの制御プログラムです。
一般アプリケーション
C++は汎用言語でもあるため、一般的なアプリケーションにも利用されます。自由度が高く、高度な要件も実現させることが可能な言語仕様から各種のアプリケーション開発にも利用されます。C++の高速な処理速度、利用リソース量を抑えることができる特徴が活用される仕事です。
ゲーム開発
C++はゲーム開発への利用も盛んです。ゲームエンジンUnrealEngineを利用する場合は、開発言語がC++言語となります。
ゲーム開発におけるプログラミングでは、メモリ利用量の制約やリアルタイム性が重視される処理があり、C++の言語特性とマッチしています。
また、ゲームエンジンUnityではC#でプログラムを作成しますが、外部ライブラリとしてC++でDLLを作成して利用するケースもあります。
C++エンジニアの将来性
C++は汎用性が高く、C言語と同様にハードウェア寄りの記述が可能です。少ないリソース量で高速な動作をするプログラムを作成することができます。この利点を利用し、今後C++エンジニアの需要が伸びていく分野を紹介します。
IoT基盤開発言語としてのC++
C言語から引き継いだハードウェア寄りの記述が可能な特徴を活かすことができるのが、IoT分野でのプログラム開発です。IoTを利用したアプリケーション、システムの開発そのものの需要が高く、C++のプログラムもその需要に含まれます。C++の使用リソースを抑えることができる特徴もあり、IoT向けのプログラムと相性が良いです。
AI分野でのC++利用について
AIの分野では高速な処理を行うプログラムが必要とされます。このため、AIの分野でも高速な処理を求める高度な部品の作成にはC++の利用が行われており、C++エンジニアの需要に繋がっています。事例として、Googleの機械学習ライブラリTensorFlowもC/C++により実装されています。
関連記事:C++の将来は?ソフトウェア開発での需要はどのくらいある?
C++エンジニアの転職で知っておきたいこと:年収事情
レバテックキャリアのC++言語のエンジニアの転職・求人情報から30件を抽出し、求人条件の年収の最低値と最高値の中間値を用いて平均年収を算出すると、約645万円となります(2021/07/16時点)。他の言語のエンジニアと比較しても高い年収です。例えば、PHPのエンジニアで同一条件(2021/07/16の求人30件抽出、最低値と最高値の中間値の平均)で年収を算出してみると約549万円となります。これは、C++がプログラミング言語として難易度が高く、また開発対象案件の難易度が高いことに由来していると考えられます。
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C++エンジニアとしての転職で年収アップを図るには?
C++エンジニアとしての転職を考える際に年収アップを目指すための方向性は2種類考えられます。
一つ目はプロジェクトマネジメントスキルを習得し、チームを率いるエンジニアとなることです。プロジェクトマネジメントスキルを習得し、C++開発のチームを率いるポジションにつくことで年収アップが図れます。一人の開発者としてよりもチームを率いることで責任範囲が増え、年収アップにも結び付いています。
二つ目は技術の向上を目指すことです。IoT、AIといった新規技術を習得し、難易度の高い要件の仕事をすることで年収アップを図れます。難易度の高い要件の仕事ほど需給ギャップから、高い年収の仕事に結びついています。
C++エンジニアの転職で評価されるスキル・知識
C++エンジニアが転職を行う場合、持っていると評価されるスキル、知識を紹介します。
C++エンジニアの仕事全般で評価されるスキル
プログラミング言語によって変わることのない構造やアルゴリズムといった一般的なプログラミングスキルは、C++エンジニアとしても習得しているに越したことはありません。
また、C++エンジニアとして転職を行う場合は、C言語の開発スキルも問われます。C++が採用される組み込み・制御分野の開発現場では、ハードウェア寄りのドライバなどのプログラムを作成することが多く、C言語も開発言語として選択されます。C言語は歴史が長く、既存ソースコードの有効活用という面からも、今後も同様にC言語のスキルは評価されるでしょう。
組み込み系の仕事で評価されるスキル
マイコンや車載器、ネットワーク機器などの組み込み開発の経験があると、評価に繋がります。特にIoT関連ならば、現在需要が高く、ネットワークに接続した処理の記述もできると高い評価を得ることが出来ます。
また、組み込み系の実行プラットフォームとなるハードウェアに関する知識、スキル、組み込み系アプリケーションが動作する環境であるTRONやLinuxといったOSの操作スキルもあれば評価できるポイントとなります。
アプリケーション開発で評価されるスキル
C++ではオブジェクト指向をサポートしており、この点がC言語との大きな違いです。オブジェクト指向開発のスキルを所持していることで、設計・開発での生産性を向上させることが可能です。C言語のみのスキルを持つエンジニアと大きな差をつけることができます。
また、C++では英語の文献から情報を得ることも多いため、英語のリーディングスキルも役に立ちます。
さらには、C++の特徴である高速、軽量な処理を活かすために、言語仕様やハードウェアに関して深い理解度を持っているとプラスの評価に繋がります。
C++エンジニアの転職で知っておきたいこと:具体的な求人例
ここでは、開発領域別にC++の求人例をご紹介します。
組み込み開発・SI系組み込みエンジニア
【業務概要】
・カーナビ・車載器、工業用機械、電子機器向けのドライバ、ファームウェア開発
・工場設備の制御などのプログラム開発
【具体的な仕事内容】
要件定義からハードウェア/ソフトウェアの構成と設計、プログラミング、テストを担当していただきます。
【年収】
400~600万円
【求められるスキル・経験】
・C言語、C++言語での開発従事経験1年以上
・インフラ、ハードウェアについての知識
・チームでの開発成果を出すためのコミュニケーション能力
アプリケーション開発・エンターテイメント領域
【業務概要】
マルチプラットフォーム向けの画像系アプリケーション開発
【年収】
300~700万円
【求められるスキル・経験】
・C++およびゲームエンジンを利用した開発従事経験1年以上
・継続した技術の習得とクリエイティブな精神
コンシューマーゲーム開発
【業界】
・ソーシャルゲーム/コンシューマーゲーム
・メディア・エンターテイメント
【業務内容】
・ゲームプログラミング
主にコンシューマーゲームのプログラミングを担当していただきます。プロジェクト内容によっては、人気タイトルに携われる可能性もあります。
<具体的な業務内容>
・C++を用いたプログラミング
・ゲーム作成ツール開発
・追加プラグイン開発
・コーディング
・デバッグ
【求められるスキル・経験】
・C、C++によるゲームプログラミング経験
・コンシューマーゲームの開発経験
・ゲーム全体を設計するスキル
・コミュニケーション力
・最新技術への好奇心
・世界市場を意識する姿勢
【想定年収】
350~700万円
【福利厚生】
健康保険 / 厚生年金 / 雇用保険 / 労災保険 / 通勤手当 / 住宅手当 / 家族手当 / 残業手当 / 年末年始 / 夏季休暇 / 有給休暇
【勤務地】
東京都
未経験からC++エンジニアに転職するには
未経験からC++エンジニアに転職できる可能性ついて、またその方法について解説します。
IT業界での開発経験がない場合
IT業界の開発経験がなく、プログラミング経験がない状態からいきなりC++エンジニアになるのはかなり難しいでしょう。C++は言語としての難易度が高く、未経験者にとっては覚えなければならないことが膨大にあります。
まずは、プログラミングスクールなどでプログラミングのスキルを身に付けるか、難易度の低い案件に応募して開発経験を積むことを優先しましょう。
スクールなどに通って学ぶ
プログラミングスキルを習得するにはプログラミングスクールに通って学ぶのが最も確実な方法です。プログラミングスクールの場合、分からないことがあればいつでも講師に質問してすぐに解決することができます。未経験からC++エンジニアを目指す場合、基礎から実践的な開発スキルまで習得できるプログラミングスクールを選ぶことが重要です。
また、就職・転職支援が充実しているかどうかもスクール選びの重要なポイントです。企業紹介や転職できない場合の全額返金保証を就職・転職支援サービスとして行っているスクールがおすすめです。
未経験歓迎で研修の充実している会社に応募
未経験歓迎の会社に応募するのも一つの方法です。企業によってはポテンシャル採用として社会人としての経験を重視する場合があります。このような企業では自社に必要な人材を一から育てたいという思いがあります。このような企業には、研修制度やサポート体制が充実していることが多いので未経験者でもスキルを身に付けやすい環境があると言えるでしょう。
現在のIT業界は人材不足のため、未経験者の採用を積極的に行っています。未経験者を多く採用しているIT企業では時間をかけて研修を行い、エンジニアとしての基礎を身に付けてから現場に送り出すというスタンスをとっています。
難易度の低い案件で開発経験を積んでC++案件に応募
JavaScriptやPHPなどの比較的難易度の低い案件の場合、未経験者でも採用される可能性があります。このような案件で実務経験を積むことでシステム開発スキルやプログラミングを磨くことができます。
ある程度の開発経験があれば、応募可能なC++案件も出てきます。
C++以外の開発経験がある場合
C++未経験でも他の言語での開発経験があればC++の習得の足掛かりになりますし、応募できる案件も増えてくるでしょう。
書籍などでC++言語の知識を身に付ける
他の言語での開発経験がある場合、書籍などでC++言語の知識を身に付けることでスキルの補完ができます。C++はC言語の拡張版なので、C言語の知識が前提となる場合が多いです。書籍にもよりますが、一旦C言語の勉強をしてからC++の学習を始めることをおすすめします。
C++未経験でも開発経験があれば応募できる案件を探す
他の言語での開発経験があればC++は未経験でも応募可能な案件というものがまれあります。
そのひとつは複数の言語を必要とするプロジェクトでその中にC++も含まれているといったパターンです。この場合他の言語のスキルが評価されてプロジェクトに参画し、その中でC++の開発にも挑戦するというケースになります。
他にはエンジニアとしての基礎能力があればOKで、C++の知識は研修や現場で身に付けてもらうというスタンスの場合があります。
関連記事:
C言語とC++の特徴・技術的な違い、C#との関連性を解説
C++とはどんなプログラミング言語なのか|転職希望者向けに解説
C++エンジニアの転職に関するQ&A
最後に、C++エンジニアの転職に関するQ&Aをいくつか紹介します。
Q1.C++エンジニアの転職で求められるスキルは?
制御構造やアルゴリズムといったプログラミングの基礎はどの言語でも必要とされます。
C++エンジニアとして転職する場合はC言語の知識もあった方が良いでしょう。組込み・制御系の開発現場ではハードウェアに近い部分の開発も多く、C言語が開発言語として採用されることも多いです。また、C++はオブジェクト指向をサポートしています。オブジェクト指向を理解していることで、設計開発の生産性を向上させることができます。
Q2.未経験でもC++エンジニアへの転職は可能ですか?
IT業界未経験の場合は、すぐにC++エンジニアに転職するのは難しいです。まずはプログラミングのスキルを身に付けるか、他の言語での開発経験を積んだ方が良いでしょう。他の言語での開発経験がある場合は、C言語やC++を学ぶことでC++エンジニアへの転職が可能です。
Q3.C++エンジニアの将来性は?
C++は汎用性が高く、ハードウェア寄りの記述も可能な言語です。IoT基盤開発やAIでの高速処理の実装など、今後も多くの分野で利用されていくでしょう。そのため、C++エンジニアの需要も高まっていくと考えられます。
Q4.C++エンジニアの年収はいくらぐらい?
C++エンジニアの想定年収は300万円〜700万円程度です。経験年数やリーダー経験・マネジメント経験によって年収がアップします。
また、IoT、AIといった最新技術を習得し、難易度の高い要件の仕事をすることで年収アップを図れます。
まとめ
C++は汎用性が高く、幅広い領域で使用されているプログラミング言語です。具体的には、組み込み系をはじめスマートフォンアプリやAI、IoTなどの先端分野で利用されています。転職にあたっては、自分のC++のスキルをどの領域での適性があるか分析をするとよいです。
スキルマッチングに加え、各領域の将来性、自己のキャリアプランを見据えて転職に臨みましょう。また、領域によって望む人材像が変わってくるため、求人企業の特徴を把握して、自己のアピールポイントを整理しましょう。
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