ITエンジニアは多様なキャリアパスを選択することが可能です。豊富な選択肢から自分の長所、適性を活かせる職種を目指すことができます。
そして、選択肢が多い仕事だからこそ、目指すべきキャリアプランを早いうちから立てておき、逆算して今やるべきことを決めていく必要があります。キャリアプランにより積むべき経験や身につけるスキルは変わってくるからです。
本記事では、転職によるキャリアチェンジを検討しているエンジニアを対象に、職種別の代表的なキャリアパスの紹介と今からすぐにでもキャリアプランを考える重要性をお伝えします。特にキャリアパスを考える前段階として、自己分析が必要です。エンジニアの自己分析につながるキャリアの棚卸し方法についても詳しく解説します。
- エンジニアが転職を成功させるには自己分析が重要
- エンジニアの転職を成功させる自己分析のやり方
- 自己分析はフレームワークを使うと便利
- エンジニアのキャリアパスの例
- エンジニアとしての転職を成功させるポイント
- 自己分析に役立つ書籍やツール、フレームワーク
- まとめ
エンジニアが転職を成功させるには自己分析が重要
ITエンジニアにとって転職はそこまでハードルの高いものではありません。活躍の場を求めるエンジニアが所属する会社や職種を変えることにより、好待遇を得たり、QOLを向上させる話はよく耳にします。
ITエンジニアが転職しやすい理由は2つあります。
一つはITエンジニアはITスキルを持っていれば会社を移っても活躍しやすい技術職であることです。スキルを持ち、それを示すことができれば、所属する会社や環境が替わっても働きやすい職種なのです。
そして、もう一つの理由は、日本国内の慢性的なITエンジニアの人材不足です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2021 第3部デジタル時代の人材 図表31-5デジタル事業に対応する人材の「量」の確保状況」によると、日本企業では先端技術エンジニア、エンジニア/プログラマーのいずれにおいても「人材が不足している」という回答が約50%を占め、「過不足ない/過剰である」の20%弱を大幅に上回っています。
それでは、エンジニアは転職しやすいので待遇の良い求人さえあれば簡単に転職しても良いのでしょうか?待遇だけをみて転職することはあまりおすすめできません。転職そのものは可能ではありますが、その後のキャリア形成が難しくなる可能性が高くなるからです。
エンジニアの転職では、将来を見据えて、スキル習得や経験を考慮し、キャリアプランに沿って転職先を選ぶべきです。自分のキャリアプランを考えるには、まず自己分析を行い、目指すエンジニア像や適性を知ることからスタートします。
自己分析とは
自己分析とは自分の行動履歴、実績を振り返り、特徴や長所/短所、適性などをあらためて確認することです。エンジニアの場合は、仕事履歴を振り返ることが自己分析につながります。携わってきたプロジェクト、業務範囲、担当工程および実績などから、自分を客観視することが重要です。
新卒の就活と転職活動で求められる自己分析内容の違い
新卒の就活では学生時代の経験をもとに自己分析を行いますが、転職活動では主に前職の経験をもとに自己分析を行います。転職活動の場合は、より具体的なスキルを棚卸し、実務にどのように役立つかをアピールしていく必要があります。
新卒の場合はモチベーションや熱意など比較的抽象的なアピールになりますが、転職活動の場合は具体的な実践スキルを分析するということです。ただし、自分の長所や気持ちをエピソードを使って伝えることの重要性などは就活でも転職活動でも同じです。
転職の際に自己分析が重要となる理由
転職はエンジニアとして、社会人として大きな節目です。これまでの仕事を見直し、これからの自分にとって最善の選択をする機会となります。
この選択の積み重ねがキャリアとなります。エンジニアは豊富なキャリアの選択肢がありますが、意図的に選択できる機会はそう多いわけではないのが実情です。
転職してしまった後に見直しをできる機会は限られます。転職活動は無限に繰り返せるわけではなく、その前後では引継ぎや新たな仕事に慣れるためのオーバーヘッドなど必ずロスが発生するためです。有限の時間を最大限有意義に使うため、自己分析からよりよい選択につなげる必要があります。
自分の強みを把握できる
自己分析が転職において役立つ理由の一つとして、過去の実績から自分のストロングポイントを探せる点があります。転職においては自分の長所を売り込むこととなります。特にエンジニアの場合はスキルをアピールし、転職先にどの様に貢献できるかを示す必要があるため、自己分析が重要となるのです。
自分の適職に気づける
エンジニアのキャリアパスの選択肢は豊富です。様々なエンジニア職があり、必要とされるスキル、技術や適性は職種ごとに変わってきます。自己分析から適性や長所を明らかにすることで、エンジニア職種の中でも自分に適した職種を探すことができます。
転職後のミスマッチ防止につながる
転職後に職種や職場が自分には合わないというミスマッチが発生するのを防げるのも、自己分析のメリットの一つです。せっかく転職により環境を変えても、マイナスの影響しかなければ意味が無く、後戻りもできません。自己分析を行うことで、慎重に自分の望む転職先を探せるため、ミスマッチを防ぎやすくなります。
関連記事:採用面接で問われるITエンジニアの転職理由とは|転職理由の例文なども解説
エンジニアの転職を成功させる自己分析のやり方
転職活動では、自分がこれまで培ってきた経験や身につけたスキルをアピールする必要があります。しかし、具体的に自分がどんな経験やスキルを持っているのか、他人に伝わるよう言語化するのは難しいものです。
そこで、「キャリアの棚卸し」という自己分析の方法をご紹介します。「キャリアの棚卸し」は見落としている自分の良さを見つけたり、気づいていなかった有用な経験・スキルを見つけたりすることに効果的で、転職活動でのアピールポイント発掘に活用できます。
今すぐ転職活動をしない場合でも「キャリアの棚卸し」を通して自己分析をしておくと、将来の目標設定やキャリアプランの設定に活用が可能です。
キャリアの棚卸しをする
「棚卸し」の本来の意味は、決算日などに商品や製品、原材料の在庫の数量を数える業務です。キャリアを商品や製品に見立てて、自己分析を行うのが「キャリアの棚卸し」になります。
これまでの職歴や実績、体験などから、現時点で自分がどんな経験・スキルを持っているのかを自己分析します。キャリアを遡って再確認することで、自分の強み・得意なこと・やりたい仕事を知り、反対に苦手なこと・不足しているスキルなど、現状を把握することができます。
「キャリアの棚卸し」をすることにより、職務経歴書や面接でアピールできるポイントが見えてきます。転職を考えていない方にも、「キャリアの棚卸し」は将来設計やキャリアプランの作成に役立ちます。今の自分を知ることでキャリアアップの計画が立てやすくなり、不足しているスキルの具体的な習得方法や、仕事の幅を広げるために新たに身に着けるべきスキルを考えるきっかけとなります。
これまでの職歴
最初にこれまで勤務した会社名、部署名、職務歴を書き出します。
異動、昇進で役職が途中で変わったり、転職で別の職種に変わった場合など、現在の職種に関わらず全ての職歴を書き出します。
具体的な職務内容
これまで経験した具体的な職務経歴を書き出します。具体的に担当した職務内容をあげましょう。
エンジニアでしたら、プロジェクトの進捗管理、基本設計、詳細設計、プログラミングなど、具体的に担当した職務内容を洗い出してみましょう。
使用したプログラミング言語、OS、フレームワークなどの開発環境や担当した機能の規模も併せて書き出します。職務経歴書を作成する要領で、後で見返しやすいよう時系列に沿ってまとめます。プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーといったポジションを経験しているのであれば、役職だけでなく、プロジェクト規模とマネジメント人数まで記載しておきます。
実績とその評価
これまで経験した職務において、どんな実績を残してきたのか書き出します。
売上高、開発規模と開発生産性、コンバージョン率、目標達成率など、具体的に達成した数字を記しておくとアピールしやすいです。具体的に示せる数値がない場合は、社内、およびチーム内でどんな役割を果たしたのかを明確にしておきます。
たとえば、「プロジェクトが遅延していたため、作業効率化を提案して納期に間に合わせた」「サブリーダーとして進捗管理をする傍ら、新人教育を担当した」など、ひとつひとつの職務を思い返しながら、自分が果たした役割を記載します。その際はチームの人数や開発体制についても触れておくと、採用担当者がイメージを持ちやすくなります。
実績を書き出したら、実績に対する客観的な評価、および自己評価を書いていきます。
自己評価をする場合、5段階評価で記していくとわかりやすいです。「5」が一番評価が高く、「1」が一番評価が低いなど、自分なりにルールを決めて各実績を評価してみましょう。
上司にはあまり褒められなかったけど自分としてはとても満足できた仕事、上司からの評価が高かったけど納得できていない部分がある仕事など、素直に評価します。その評価に対する理由も併せて書き出しましょう。
自分で自分の仕事に点数をつける機会はあまり多くはありません。自己評価をしてみると、自分の仕事に対する考え方やスタンスが客観視できます。
トラブルを乗り切ったときのエピソード
仕事でトラブルに遭遇した際、どう乗り切ったのか、自分の行動と結果を書き出します。
「サーバーの障害が発生したが、冷静に対応して障害の原因を速やかに特定し、短時間で復旧させた」「顧客からクレームが入ったが、丁寧に説明したことが評価された」など、トラブルを乗り切った時のエピソードを思い返します。トラブルに対応したエピソードは緊急時の対応力・判断力を示すものとして転職活動の際のアピール材料にすることが可能です。
身に付けたスキル・経験
職務経歴やトラブルの経験を元に、これまでの仕事で身につけたスキルと経験を書き出します。
「チームリーダーを任されマネジメントの経験をした」「新しいシステムの提案をした」「企画提案が採用された」など、職務を通して経験したことを書き出していきましょう。
経験はスキルにつながっていますので、経験を思い返すことはとても大切です。自分では特に意識していなかったことでも、振り返ってみるとスキル向上につながっている経験もよくあるものです。
チームリーダーやサブリーダーを任されたならコミュニケーションスキルの向上、提案を多数したなら資料作成やプレゼンテーション能力の向上につながっています。「キャリアの棚卸し」は、見過ごしてしまっている経験に気づくことも大きな目的なのです。
仕事でやりがいに感じたこと
これまで経験した職務の中で、自分がどういった仕事にやりがいを感じたのか思い返してみましょう。
開発したシステムが問題なく稼働したこと、作業効率化が実現できたこと、新しい技術をチームで初めて取り入れたこと、顧客が抱える問題を解決できたことなど、ユーザからの感謝の言葉、なんでも構いません。
また、なぜそれをやりがいに感じることができたのかを言語化しておきましょう。やりがいの言語化は、キャリアパスを考える上では非常に重要であり、時間をかけて振り返ることをお勧めします。
辛かった仕事・失敗した仕事
やりがいを感じたこととは反対に、辛かった仕事も書き出してみます。
特にこの仕事は自分には合っていなかったな、と感じるものを中心に書き出してみると、志望企業や職種を決める際の参考になります。どんな仕事も楽しいことばかりではありませんが、辛いことばかりではさすがに疲弊してしまい継続的に働くことはできません。自分が耐えられない辛さがどんなものなのかを見つめ直します。
失敗した仕事を書き出すのも自分を知る上で大切なことです。失敗は忘れたいものですが、なぜ失敗したのか、その理由を分析することで今後の失敗を避けるのに役立ちます。もし、転職自体が失敗だったと感じているなら、今後の転職で後悔しないために、どうして失敗したのかじっくり考えてみましょう。
関連記事:採用面接に活かせるプログラマーの志望動機|スキル、経験別の例文について解説
将来のビジョンを明確にする
キャリアの棚卸しと並行して行っておく必要があるのが、将来のビジョンを持つことです。1年後や10年後、自分はどんなエンジニアになっていたいか、どんな仕事をしていたいか。キャリアの棚卸しとは逆に未来を想定します。
関連記事:ITエンジニアになるには?採用面接のポイントについても解説
やりたい仕事
「仕事でやりがいを感じたこと」「辛かった仕事」をふまえ、自分がやりたいと思う仕事を考えてみましょう。
これまで経験した職務の中で一番やりがいを感じた仕事、挑戦してみたい仕事など、やりたい仕事を明確にしておくと転職活動の軸になります。やってみたい仕事があるけれど、現時点でスキルと経験が不足しているならば、スキルと経験を磨くにはどうすればいいのか考えることができます。
ただし、軽い興味や関心だけで将来の仕事を選択するのは危険です。AIに興味があるからAIをやってみたい、医療業界が面白そうだから医療業界の仕事をやりたいなど、明確な意思と覚悟がない選択は避けるべきです。
確たる意思が無く軽い興味、関心だけで入社してしまうと、「思っていた仕事と違った」というミスマッチが起きてしまうリスクが高まり、短期離職に繋がってしまいます。あくまでも、やりたい仕事を考える場合には、先ほど言語化したやりがいに沿った仕事を選ぶべきです。
関連記事:ITエンジニア向け志望動機の書き方を例文付きでご紹介!
自分に合っていると思う仕事
「身につけたスキル・経験」「やりたい仕事」などこれまで書き出した項目をふまえ、自分に合っていると思う仕事、職種とその理由を考えてみましょう。
自分が持っているスキルだけでなく、性格や適性も関係してきます。自分を客観視し、仕事の向き・不向きを考えます。自分がどんな仕事をやりたいのかわからず悩んでいる場合は、この項目は特に時間をかけて考えましょう。
将来の目標
「多人数を率いる責任あるポジションにつきたい」「フリーランスとして独立起業したい」「会社を立ち上げたい」「今までにない新しいWEBサービスを立ち上げたい」「仕事の幅を広げるために異業種に挑戦してみたい」など、将来の目標や将来の理想像を書き出してみましょう。
「昔から会社を立ち上げるのが夢だった」という場合には「将来性が高い仕事だから」など、なぜその目標を掲げたのか、理由も併せて記載します。目標と理由をセットに書き出してみると、自分が考えていることを客観的に知ることが可能です。
キャリアプラン
現在の職場でキャリアアップを目指すのか、それとも別のIT企業に転職してキャリアアップを目指すのか、転職とともに職種を変えるキャリアチェンジや独立起業してフリーランスとしてのキャリアを築いていくのかなど、将来のキャリアプランを具体的にたててみましょう。
ステップアップするには、今の職場で働き続けるべきか、転職すべきか、ここで「キャリアの棚卸し」を総括します。独立起業もキャリアプランの選択肢のひとつです。キャリアプランは転職活動のベースとなりますので、じっくり考えてみましょう。
自己分析はフレームワークを使うと便利
自己分析の方法は人それぞれですが、既存のフレームワークを使うと便利です。具体的なフレームワークは複数あるので、ご紹介していきます。
モチベーショングラフで人生曲線を描く
モチベーショングラフといって、人生の時期ごとのモチベーションをグラフ化する方法があります。横軸に時間軸を取り、縦軸はモチベーションです。これを波線でつないでいくことで、モチベーショングラフになります。
モチベーショングラフを作るもっとも大きな理由は、自分がどんなときにモチベーションが上がるのかを知ることです。モチベーションが高い状態の方が自分にとっても会社にとっても良い状態なので、自分がどうすればモチベーションが上がるかを知る必要があります。職業選択の参考にもなるでしょう。
Will/Can/Mustの「3つの輪」で整理する
Will、Can、Mustはそれぞれ「やりたいこと・できること・やらなければならないこと」です。これらをそれぞれ輪にし、重なっている部分を探す目的があります。3つの輪が重なる部分は、自分の強みであり、なおかつ即戦力になれる部分です。
ただし、絶対に輪が重なっている部分のみが正解というわけではありません。たとえば、Willには該当するがCanには該当しない、だからMustでギャップを埋めるための努力をする、といった考え方もあります。
やりたいこと、できること、やらなければならないことをまとめることで、自分の今後の方向性を現実的に見定めることが可能です。
マインドマップで考えを整理する
マインドマップとは、中心に自分自身やアイデアを置き、そこから枝葉になる形でいろいろな要素を配置していくことです。カテゴリーは仕事に限定する必要はなく、趣味や好みなども含みます。マインドマップはぱっと見散らかった形になることが多いですが、それでも問題ありません。
自分という人間を軸にしたときに、どのような要素があるのかを網羅していくものだからです。マインドマップは直接的に職業選択に役立てるというよりは、自分の人生観を振り返るきっかけにするものと言えるでしょう。
SWOT分析で自分の強みと弱み把握する
SWOT分析とは、以下4項目の頭文字を取った用語です。
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・Strength(強み)・Weakness(弱み)
・Opportunity(機会)
・Threat(脅威)
自分の強み、弱みは何か、自分がその企業に就職することでどのような機会を得られるのか、逆にどのような脅威があるのか、といったことを分析します。対象は企業ではなく、業界そのものや、自分自身が今後やりたいことであっても良いです。
たとえば今後自分自身が技術力を高めたいと考えているのであれば、現状の強み、弱み、技術の勉強に取り組むことによるメリット、デメリット、などでも良いです。メリット、デメリットは機会と脅威なので、外部要因を視点に入れることが重要です。
技術力を高めることでエンジニアとしての需要が高まる一方で、コンサルタントなど上流工程に必要なコミュニケーションスキルを磨く時間やチャレンジする機会が減る、といったことです。
エンジニアのキャリアパスの例
本項ではITエンジニアの職種別に、具体的にどのようなキャリアパスを選択できるのかを紹介します。なお記載しているのは代表的な例であり、列挙された職種以外にも多くの選択肢があります。
開発系
プログラミング言語を操りシステムやアプリケーションを作成する開発系のITエンジニアの目指せる職種として、SE、アプリケーションエンジニア、組み込みエンジニアがあります。
SE
SEはシステム開発全般に携わるエンジニアの総称です。狭義では顧客の要望をITを利用して解決するSIerを指すことも多く、この場合は上流工程からソフトウェアやインフラの構築までを幅広く扱うエンジニア職となります。
アプリケーションエンジニア
アプリケーションエンジニアはアプリケーションの開発を専門とするITエンジニアです。パッケージ製品の開発やカスタマイズなどのプロダクト作成、業務システム構築の中でもアプリケーション領域を専門とします。
組み込みエンジニア
組み込みエンジニアはマイコンや車載器などの小型のコンピュータ上で動作するソフトウェアを開発するエンジニアです。限られたリソースで動作し、高い品質を求められるソフトウェアの開発に従事します。
Web系
Webアプリケーションの開発を主業務とするWeb系のITエンジニアの代表的なキャリアパスとして、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア(サーバーサイドエンジニア)があげられます。
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは、Webシステムの中でもユーザに見えるブラウザ上で動作するソフトウェア開発を行うエンジニアです。案件や現場によっても変わってきますが、UI/UXのデザインに関わる場合もあります。
バックエンドエンジニア
バックエンドエンジニアは、Webシステムの中でもユーザに見えないバックエンドの処理を構築するエンジニアです。ブラウザ(フロントエンド)からの通信を受け取り、サーバー上で動作するプログラムを作成します。サーバーサイドエンジニアとも呼ばれます。
組み込みエンジニア
組み込みエンジニアはマイコンや車載器などの小型のコンピュータ上で動作するソフトウェアを開発するエンジニアです。限られたリソースで動作し、高い品質を求められるソフトウェアの開発に従事します。
インフラ系
システム、プログラム、ソフトウェアを稼働させるサーバーやネットワーク等の環境を整えるインフラ系のITエンジニアの選択肢となる職種には下記のものがあります。
サーバーエンジニア
サーバーエンジニアはインフラエンジニアの中でもサーバー構築を専門とするエンジニアです。近年では仮想サーバーやクラウド環境の構築を手掛けることも多くなっています。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアはインフラエンジニアの一つで、コンピュータネットワークを専門とするエンジニアです。サーバー以外にもネットワーク機器の構成設計/設定も手掛けます。
データベースエンジニア
データベースエンジニアはインフラ領域に含まれるミドルウェアのうち、データベースを専門とするエンジニアです。データベースの設計/設定/運用などが主な業務となります。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは組織の情報セキュリティを確保するエンジニアです。ITインフラの設定、組織のセキュリティルールの策定などが業務の対象です。
クラウドエンジニア
クラウドエンジニアはインフラエンジニアの中でもクラウドサービスを活用したインフラ構築を専門とするエンジニアです。クラウドベンダーのサービスを活用して、効率的なインフラ環境を提供します。
スペシャリスト
エンジニアとしてのキャリアパスを考えた際、それぞれのエンジニア職種に就いた後のキャリアも考える必要があります。希望するエンジニア職に就いた後、どの様に働き続けるのかということです。別のエンジニア職種を目指す場合もありますが、同じエンジニア職種を継続する場合もあります。
一つの基準となるのが、一つの技術に精通した「スペシャリスト」となるか、幅広く総合的に対応できる「ゼネラリスト」となるかということです。また、エンジニアを束ねてより大きな成果を出す立場である「マネージャー(管理者)」を目指す場合もあるでしょう。
スペシャリストは名前の通り一つの技術に深い見識を持った専門家のエンジニアです。特定の職種やポジションを示すわけではありませんが、技術的にプロジェクトやチームを牽引するテックリードなどが高度なスペシャリストに与えられるポジションとなります。
ゼネラリスト
ゼネラリストはITシステムに対する知見や開発手法、プロジェクト推進などのITエンジニアの業務で必要となる知識、スキルを総合的に高いレベルで持ったエンジニアです。こちらも特定の職種、ポジションを示すものではありませんが、現場で必要となる多様な役割を果たせるため活躍範囲は広がります。
マネージャー
プロジェクトチームの現場の責任者、管理者にあたるのがマネージャーです。開発業務そのものからは少し離れることが多くなりますが、複数のメンバーの仕事を管理する立場はエンジニアとして責任範囲を広げ、より多くの成果につなげることが可能です。
所属する企業や部署によりシステム開発案件の場合、サービスプロダクト運営の場合などがあり、名称および業務内容は変わってきます。また、IT業以外の一般的な企業の管理職と同様の職種もマネージャーと呼称する場合もあります。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、多くのシステムエンジニアが目指す王道のキャリアパスです。基本的には上流工程に携わることが多く、自分で実装することはほとんどありません。
しかし、最近では技術にも触れ続けたいと考えるプロジェクトマネージャーも増えていることから、プロジェクト管理をしながら、自分自身も開発現場で実装するプレイングマネージャーの道も用意されていることがあります。
関連記事:プロジェクトマネージャーの仕事内容|業務上の役割と平均年収、年齢も解説
プロダクトマネージャー
プロダクトマネージャーは、自社サービスを成長させる役割を担うため、開発業務を管理するだけでなく、サービスの売り上げに対しても責任を負います。
プロジェクトマネージャーとの大きな違いは、サービスを完成させることが目的ではないところであり、サービス完成後も常に市場に求められるプロダクトにしていかなければなりません。
したがって、プロダクトマネージャーを目指す場合は、技術スキルを磨くだけでなく、マーケティング知識や経営視点などが必要となります。
エンジニアとしての転職を成功させるポイント
エンジニアの転職において、成功させるために重要となるポイントを紹介します。
転職の目的を明らかにする
自分に対しても、転職先に対しても、転職の目的は明確化しておきましょう。なぜ転職するのか、なぜ転職先企業を選んだのかを明確に言語化しておきます。
自分にとっての転職の目的の再確認は、転職先の選択基準を定めるものであり、転職へのモチベーション形成にも重要です。また、転職の目的を突き詰めると、転職先に対しては志望動機となります。自分がなぜ転職先の企業を選んだか、という理由となるはずです。
企業研究・業界研究を行う
転職先の企業の主なサービスやプロダクトは事前の情報収集で調べておきましょう。競合他社との差別化や企業の特色を調べることで、志望動機の明確化にもつながります。企業風土やトレンドへの対応状況等を調べておくことで、アンマッチを防ぐ意味でも重要です。
転職のスケジュール感を把握する
転職を成功させるためには、具体的なスケジュールを設定する必要があります。相場としては、退職可能日の3ヶ月~3ヶ月半ほど前から転職活動を開始するのが一般的です。内訳としては、1ヶ月目で応募を開始し、2ヶ月目で内定をもらい、3ヶ月目で退職の引継ぎなどを行います。
つまり、上でご紹介した自己分析などは事前に済ませておくか、1ヶ月目に自己分析をしながら応募していく必要があります。具体的な行動を開始してから3ヶ月~3ヶ月半ということなので、転職希望日の3ヶ月前になってから急いで転職の方向性を考え始めるのではやや遅いでしょう。
自分に適した転職活動の方法を選ぶ
転職活動の方法は一つではありません。求人サイトから自分で探す方法もあれば、転職エージェントを利用する方法、友人などから転職先を紹介してもらう方法などがあります。どれが良いというわけではなく、人それぞれ適した方法があります。
一般的にはエージェントなどに相談した方が良いのですが、これはあくまでも自分の中に迷いがあったり、自分の知識を補足したい場合などに該当します。自分自身が非常に業界に精通している場合やツテがある場合は話が別なので、ケースバイケースということです。
関連記事:転職エージェントを利用したITエンジニアの志望動機の書き方や例文|添削ポイントも解説
希望する業界・職種で必要なスキルを身につけておく
エンジニアの転職の場合、スキルが評価の最も大きな比率を占めます。転職先の企業もスキルのある人材がほしいのですから、転職活動内で必要とされるスキルの習得も積極的に行いましょう。
関連記事:IT技術者(ITエンジニア)に必要なスキルとは?
SE
SEはシステム開発における設計・構築・テストといった各工程を理解している必要があります。特に設計はSEの主業務なので、設計スキルが重要です。また、SEはチームでのプロジェクト推進にもあたるため、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルも評価されます。
サーバーサイドエンジニア
サーバーサイドエンジニアの基礎となるのはWeb技術です。その中でも、サーバーサイド言語と呼ばれるプログラミング言語(PHP、Python、Java、Rubyなど)とそのフレームワークに習熟することが重要となります。また、サーバーサイドの処理ではデータベースとの連携が必須となるため、データベースに関する知識とスキルも必要となります。
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアもWeb技術がベースとなるスキルです。特にフロントエンドに関連するHTML/CSSとJavaScriptが必須となります。JavaScriptに関しては、ライブラリ、フレームワークへの習熟も評価の対象となります。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアはインフラの知識があることが前提となります。その上で、ネットワーク設計・構築スキルおよびネットワーク構成機器への知見が必要です。近年ではSDN、ネットワーク仮想化に関するスキルも重要性が高まっています。
Webエンジニア
Webエンジニアとは、Webサイト、Webアプリケーションを開発するエンジニアです。WebエンジニアはWeb全般に携わるエンジニアを指しているので、Webエンジニアの中でもフロントエンドを主に担当しているエンジニアもいれば、サーバーサイドを中心に担当しているエンジニアもいます。
最近は特にフルスタックエンジニアといって、全般的に担当できるエンジニアが重宝されています。Webエンジニアの場合、フロントエンドもサーバーサイドも担当できて、また上流工程も下流工程も担当できるとより評価がアップするということです。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアに必要となるのが、ITシステム上のセキュリティを診断し脆弱性などを発見し、対処(設計・構築・テスト)するためのスキルです。幅広いITに関する知見とセキュリティ分野の情報収集が欠かせません。また、セキュリティマネジメントに関するスキル、見識も評価されます。
自己分析に役立つ書籍やツール、フレームワーク
自己分析はネット上の情報を頼りに自分で進めても良いですが、この機会に自己分析のノウハウそのものを掘り下げたい方もいるでしょう。自己分析は転職をしなくても、人生の充実度を上げるなどの目的でも役立つ可能性があります。
つまり、自己分析について掘り下げておくと、今後の人生において役立つ可能性が高いということです。そこで、自己分析のノウハウを掘り下げるための書籍や、実績のあるツールをご紹介します。
書籍
『SWOT分析で攻略する就活面接試験―人事が考えていること、自分のとるべき行動がわかる 』
SWOT分析は、自己分析だけでなく企業の分析などにも用いられる概念です。こちらの書籍では、就活のためのノウハウに特化してご紹介しています。もちろんこちらの書籍で紹介している内容は他のことへのSWOT分析にも活用できます。人事の思考を知ることもできるので、適切なアピールにつながりやすいでしょう。
『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』
こちらの書籍は自分の特性を深く知ることのできる書籍です。書籍の中にはシリアルコードが記載されていて、コードからWebサイトにアクセスすると性格診断テストを受けることができます。性格診断テストを受けることで、自分の強みや弱みがわかります。
ツール
自己分析のためにおすすめのツールは、エニアグラムです。エニアグラムは就活はもちろん、自己分析の王道ツールと言えます。心理学などが好きな方は、使用した経験があるかもしれません。自分のことを知って楽しむツールとしても使われます。
エニアグラムは人の性格を9タイプに分類するので、診断を行うと9タイプのいずれかが表示されます。エニアグラムの診断方法は、質問に対して用意されているチェックボックスにチェックを入れていくだけです。当てはまる内容にチェックを入れていき、最終的にタイプが診断されます。
まとめ
本記事では、エンジニアの自己分析におけるキャリアの棚卸しの重要性と、職種別の具体的なキャリアパス例についてご紹介しました。
キャリアプランを考えるためには、現在と未来のことだけを考えるのではなく、過去のことを時間をかけて振り返ることも重要です。今すぐにでも転職したいという場合であっても、まずは一度立ち止まり、これまで歩んできたキャリアを振り返りましょう。
自分が仕事の中でやりがいに感じられたことは何だったのか、なぜそれをやりがいに感じたのかを言語化して客観視しましょう。言語化したやりがいと現状のスキルセットから、将来の希望と現実性を兼ね備えたキャリアプランを考えることができます。
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ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア職を専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通しており、現状は転職のご意思がない場合でも、ご相談いただければ客観的な市場価値や市場動向をお伝えし、あなたの「選択肢」を広げるお手伝いをいたします。
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