フロントエンドエンジニアは、HTML/CSSやJavaScriptなどを用いてWebサイトやアプリケーションのユーザーインターフェイス(UI)を実装するエンジニアです。業務範囲は企業にもよりますが、デザインのみならずユーザービリティやユーザー体験を考慮した開発を行います。Webサイトやアプリケーション開発市場が年々拡大していることから需要の高い職種ですが、今後AI等の技術の進展により将来的な需要は影響を受ける可能性があります。この記事では、フロントエンドエンジニアの将来性について考察します。
※この記事は、2019年11月時点の情報をもとに作成しています。
1. フロントエンドエンジニアの将来性
まず、フロントエンドエンジニアの将来性を考察します。
短期的(3年程度)な将来性は明るい
フロントエンドエンジニアの将来性は、以下の理由から短期的(3年程度)には明るいと考えられます。
Webサイトの数が増加し続けている
開発者、研究者などで組織された国際的なチームが運営する「Internet Live Stats」のデータ(※)によると、インターネット上のWebサイトは2000年の黎明期から現在に至るまで増え続けています。Webサイトの数が増加していることから、WebサイトやアプリケーションのUIを開発するフロントエンドエンジニアの需要も増加していくと考えられます。
※参考:Internet Live Stats「The Total Number of Websites」
JavaScriptは最も使用されている言語で7年連続1位
stack overflowの調査(※)において、JavaScriptは最も使用されているプログラミング言語として7年連続1位となっています。第2位はHTML/CSSとなっており、Webのフロントエンドに関する言語が最も使用されていることが分かります。よって、JavaScriptとHTML/CSSを主に扱うフロントエンドエンジニアに高い需要があることが推測できます。
※参考:stack overflow「Most Popular Technology」
長期的(5年以上)な将来性は未知数
上記の理由から、フロントエンドエンジニアの需要は今後も続くと予想できますが、長期的(5年以上)な将来性はまだわからない職種でもあります。理由は以下のとおりです。
AIや自動化による影響
AIや自動化などの技術の進展により、需要が変化していく可能性があります。例えば、AIにフロントエンド開発を学習させて自動でコードを生成する「FRONT-END.AI」(※)というサービスがすでに提供されています。まだまだ利用されるケースは少ないですが、このようなサービスが浸透していくことでフロントエンドエンジニアの需要が減っていく可能性はあるでしょう。
※参考:FRONT-END.AI
2. フロントエンドエンジニアに必要なスキル
次に、フロントエンドエンジニアとして活躍する上で必要なスキルについて解説します。
HTML/CSS
HTML/CSSはWebサイトの構造や装飾を記述する言語で、フロントエンドエンジニアにとって最も基礎的なスキルです。文法がシンプルで比較的習得しやすい言語のため、初心者の場合、まずはHTML/CSSから学習を始めると良いでしょう。
JavaScript
JavaScriptはブラウザ上で動作するプログラミング言語です。画像・動画を取り扱う、アニメーションを加える、データ通信を行うといった処理を実装することができます。近年のWebサイトでは、ユーザー体験を向上させるためにJavaScriptの利用が不可欠となっており、フロントエンドエンジニアに求められる重要なスキルの1つといえます。
ライブラリを扱うスキル
ライブラリは、開発する処理の実装を簡略化するためのものです。Ajax通信、画像処理、グラフ作成、PDFの表示など多種多様なライブラリがあり、ライブラリを活用することでプログラミングを効率化することができます。
フレームワークを扱うスキル
フレームワークとは、アプリケーションの構築に必要な機能(検索機能や問合せフォームなど)をまとめたものです。フレームワークを使うことで、一から機能を開発する必要がなく、効率的にアプリケーションを開発することができます。現在主流なフレームワークとしてReact、Vue、Angularがあり、いずれかに習熟している必要があります。
3. 将来に備えて身に付けておきたいスキル
ここでは、フロントエンドエンジニアとして将来的な需要を高めるために身につけておくべきスキルを解説します。
SPA(Single Page Application)の構築スキル
SPAは単一のページで構成されるWebアプリケーションです。ページのリロードを行うことなくデータの更新ができるため、ユーザーはより快適にWebアプリケーションを操作することができます。代表的なSPAにはGoogleMapやFacebookがあります。
上記で紹介したReactなどのフレームワークを使用することで、SPAを構築することができます。
PWA(Progressive Web App)に関する技術
PWAはGoogleが推進している技術で、ネイティブアプリのような快適な操作をWebアプリケーションで実現するものです。PWAではJavaScriptの実行環境であるService Workerという技術が使用されており、Service Workerについても理解を深めることが重要です。
BaaS(Backend as a Service)を扱うスキル
BaaSはWebアプリケーションやスマートフォンアプリのサーバーサイドの機能を提供するサービスです。認証、通知、データベースなどの機能をサービスとして利用することができます。有名なBaaSサービスとしてGoogleのFireBaseがあります。BaaSを利用することでエンジニアはフロントエンドの開発に集中することができ、開発コストの短縮につながります。
WebAssembly を扱うスキル
WebAssemblyはブラウザで実行可能な言語で、C言語やC++、Rustなどの言語で書いたコードをコンパイルして実行することができます。WebAssemblyで実装した機能は高速に動作することが特徴で、WebAssemblyを取り入れることでブラウザ上であってもスムーズな操作環境を提供することが可能となります。また、JavaScriptと並行して動作するように設計されており、今後さらに普及していくことが期待されています。
プロジェクトマネジメントスキル
プロジェクトマネジメントスキルを身につけることで、リーダー職やプロジェクトマネージャーを目指すことができるようになります。プロジェクトマネジメントスキルはAIなどの技術に代替されにくいスキルと言われており、今後も高い需要が続くと言われています。
4. フロントエンドエンジニアの年収
ここでは、フロントエンドエンジニアの年収について解説します。
レバテックキャリアに掲載されている求人情報を見てみると、フロントエンドエンジニアの年収帯は400万円〜700万円程度となっています。求人件数は多くないですが、クラウドスキルなどのサーバーサイドスキルも有していると、年収がより高くなる傾向にあります。大規模システム開発の求人の場合、年収が1,000万円以上となることもあります。
5. まとめ
この記事では、フロントエンドエンジニアの将来性をはじめ、フロントエンドエンジニアに必要なスキル、将来に備えて身につけておくべきスキルなどを解説しました。WebサイトやWebアプリケーションの開発は年々増加しており、フロントエンドエンジニアの需要は今後も続くことが予想されます。
一方で、AIを活用した開発サービスも登場し始めているため、将来的に需要が減少していく、あるいは求められるスキルが変容していく可能性もあります。短期的にはトレンド技術や新しい技術を身につけつつ、中長期的にはAIなどの新しい技術に代替されにくいスキルを身につけていく必要があるでしょう。
ITエンジニア・Webクリエイターの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア・クリエイターを専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通したキャリアアドバイザーが、年収・技術志向・今後のキャリアパス・ワークライフバランスなど、一人ひとりの希望に寄り添いながら転職活動をサポートします。一般公開されていない大手企業や優良企業の非公開求人も多数保有していますので、まずは一度カウンセリングにお越しください。
転職支援サービスに申し込む
また、「初めての転職で、何から始めていいかわからない」「まだ転職するかどうか迷っている」など、転職活動に何らかの不安を抱えている方には、無料の個別相談会も実施しています。キャリアアドバイザーが一対一で、これからのあなたのキャリアを一緒に考えます。お気軽にご相談ください。
「個別相談会」に申し込む