ネットワークエンジニアのキャリアパス!キャリアアップの要点も解説

最終更新日:2024年7月10日

ネットワークエンジニアは、ITインフラの一つであるネットワークの設計、構築、運用・保守を担うエンジニアです。

経験の浅いネットワークエンジニアは運用・保守フェーズから担当し、その後に設計・構築といった上流工程にステップアップしていくケースが一般的です。さらにその先に考えられるキャリアパスとしては、より高いスキルを持つスペシャリスト、チームを統括するプロジェクトマネージャーといった選択肢があります。

この記事では、今後のキャリアを検討しているネットワークエンジニアに向け、ネットワークエンジニアのキャリアパスや実現のために必要なスキル、役立つ資格などについて紹介します。

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この記事のまとめ

  • ネットワークエンジニアは、キャリアアップを目的とした転職が一般化している
  • 目指せるキャリアパスは、上流工程や大規模プロジェクトを担うエンジニア、プロジェクトマネージャー、コンサルタントなど
  • 理想のキャリアパスの実現には、キャリアプランに合わせたスキルの習得や資格の取得が推奨される

ネットワークエンジニアがキャリアパスを考えるべき理由

ネットワークエンジニアはキャリアパスを考え、スキルの習得などによりキャリアの向上を図る必要性があります。新技術に対応可能な技術者が求められていることや、社内の評価基準とされていること、転職活動を成功させるために重要であることなどがその理由です。以下、各理由についてより詳細に説明します。

関連記事:ネットワークエンジニアへの転職方法|ポイントやキャリアパスも紹介

最新技術に対応できるエンジニアが求められる

多くの場合、エンジニアには最新技術に対応するスキルを持つことが求められます。よって、エンジニアとして活躍する上で、最新技術に対応してスキル向上を図ることが必要です。

ネットワークエンジニアを取り巻く技術について、近年大きな変化が訪れました。それはクラウドによる基盤の提供が一般的になったことです。企業や組織のネットワークには、自社でサーバーを所有し開発・保守・運用を行う「オンプレミス」と、外部事業者が提供するクラウド基盤を利用して開発・運用を行う「クラウド」の2種類があります。

かつてはサーバーを購入して自社で運用するオンプレミスが一般的でしたが、近年では業務効率化やコスト削減、BCP対策などの観点からクラウドを利用する企業が増加傾向です。結果的に、ネットワークエンジニアはクラウドに対応するスキルも求められるようになってきています。

オンプレミスとクラウドの両方の深い知識や、さまざまな開発環境に対応できるスキルが求められており、選択肢が広がっています。ネットワークエンジニアは自分のスキル向上を計画的に行い、キャリアを築くことを考えなければなりません。

明確な目標が必要

ネットワークエンジニアのスキルの高さは、企業の経営に直結します。社内のインフラ環境の良し悪しが、ほかの社員の作業進捗に関わってくるからです。ユーザーにサービスを提供している場合には、使用感を通じてサービス品質や企業が評価されるケースもあるでしょう。

このことから、企業はスキルの高いネットワークエンジニアを1人でも多く育成したいと考えています。スキルが高いネットワークエンジニアには、資格取得に対する報奨金を出したり、給与の引き上げを行なったり、プロジェクトでより重要な役割を任せたりする企業が多いです。将来的なネットワークエンジニアとしての活躍を考慮に入れて、キャリアパスを考えながら業務に臨むことで、高い評価を獲得しやすくなるでしょう。

キャリアアップ目的の転職が当たり前になってきている

近年では終身雇用制が揺らぎ、転職が当たり前の時代となりつつあります。転職によりキャリアアップし生涯収入の向上を図る考え方は、多くのエンジニアに浸透しているものです。

ネットワークエンジニアも、どのタイミングで転職の機会が訪れるか分からない状況にあるため、社内外問わず活躍できるキャリアパスを築いていくことが重要です。

ネットワークエンジニアのキャリアパス

ネットワークエンジニアのキャリアパス


ネットワークエンジニアとして経験を積んでいった場合、将来的にはどのようなキャリアを築けるのでしょうか。将来のビジョンを明確にし、必要なスキルを身につけられるようにするためにも知っておきたい内容です。どのようなキャリアパスがあるのか、どのようなスキルが求められるのかなどについて解説していきます。

上流工程を担当するネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアは、運用・保守といった下流工程からスタートし、要件定義、設計、構築といった上流工程を担当するネットワークエンジニアへとキャリアアップしていくのが一般的です。

利用者数が多い大規模なネットワークの設計、構築に携わることも、上流工程の担当とともにネットワークエンジニアとしてのキャリアアップといえます。大規模なネットワークは、パフォーマンスや可用性、セキュリティなど高い性能が求められるため、高いスキルを持ったエンジニアが担当する業務です。

関連記事:ネットワークエンジニアの残業時間や休日事情について

上流工程を担当するために必要なスキル

上流工程を担当するために必要となるのは、ネットワークの要件定義・設計・構築スキルです。現在、運用・保守業務を主に担当しているネットワークエンジニアであれば、まずは設計スキルを書籍や資格試験を活用して身につけることが第一歩です。

また、空いているネットワーク機器やネットワークシュミレーターを使って、構築のためのスキルを磨くことも重要です。実務を任せてもらえるようになれば、上流工程を担当するネットワークエンジニアへのキャリアアップ、転職が現実的になってきます。

関連記事:
ネットワークエンジニアの運用・保守とは?必要なスキルも解説
ネットワークエンジニアの監視業務とは?仕事内容や役立つ資格を紹介

平均年収

上流工程を担当するネットワークエンジニアの平均年収について、実際の求人・転職情報をもとに調査を行いました。レバテックキャリアの職種「ネットワークエンジニア」で取得したデータから、業務内容が上流工程や大規模プロジェクトを担当するエンジニアに該当する30件を抽出し、年収の上限、下限の中間値の平均を取って平均年収を算出しました。(2024年4月12日時点)

この算出方法では上流工程や大規模プロジェクトを担当するネットワークエンジニアの平均年収は約680万円となりました。運用・保守フェーズが対象のネットワークエンジニアよりも上限、下限のいずれも高い傾向が見られます。また、上流工程かつ大規模ネットワークの構築に携わる案件では、上限1,000万円を超える情報も多数存在しています。

ネットワークエンジニアの求人・転職情報>

関連記事:
ネットワークエンジニアになるには?必要なスキルや資格も紹介
ネットワークエンジニアとは|役割や仕事内容、未経験から目指す方法
ネットワークエンジニアの年収相場は?仕事内容・年齢別に解説

ネットワーク専門のコンサルタント

コンサルタントは、企業のネットワークを診断して改善策の提案や、提案したネットワーク案件プロジェクトのプロジェクトマネジメントなどを行う職種です。上流工程を担当するネットワークエンジニアやスペシャリストとしての経験を積んでから、コンサルタントにキャリアアップするケースが多いでしょう。

ネットワーク専門のコンサルタントになるために必要なスキル

ネットワークの要件定義、設計、開発、運用保守、ベンダー製品などの幅広い知識・スキルは基本です。そのほか、進捗管理や課題管理、予算管理といったプロジェクトマネジメントスキル、ネットワーク診断スキルが求められます。

また、事業に貢献することを目的としたネットワーク活用を考える必要があり、ITビジネス戦略や最新の技術的トレンド、事例にも精通する必要があります。たとえば、ローカル5Gを活用した事業などにも知見が求められます。

上位レベルの資格取得をとおして必要なスキルを身につけると良いでしょう。

平均年収

ネットワーク専門のコンサルタントと近似するエンジニアの平均年収について、実際の求人・転職情報より調査を行いました。レバテックキャリアの職種「ネットワークエンジニア」について検索を行い取得されたデータから、業務内容がネットワークのコンサルティングおよびネットワークの企画・提案を含む案件を30件抽出し、年収の上限、下限の中間値の平均を取って平均年収を算出しました。(2024年4月12日時点)

上記の算出方法ではネットワーク専門のコンサルタントの平均年収は約750万円となりました。非常に高い年収が期待できる一方、下限と上限の幅も大きく、スキルが重視される職種といえます。

ネットワークエンジニアの求人・転職情報>

フリーランスのネットワークエンジニアとして独立

フリーランスのネットワークエンジニアとして独立するキャリアパスも考えられます。フリーランスとは、特定の組織に所属しないで、個人でクライアントと契約を交わす働き方です。どのような業務を行うのかは、自分で案件を探す際に決められます。ネットワーク専門で請け負うことも可能ですし、別の業務もプラスで引き受けることもできます。

フリーランスのネットワークエンジニアに必要なスキル

ネットワークエンジニアが独立するためには、自分の力だけで求められた仕事をこなす高い経験値とスキルが必要です。独立を目指すのであれば、特定分野のスペシャリストになれるスキルを身につけると良いでしょう。

たとえば、「クラウド基盤の知識が豊富で、AzureやAWSなど幅広く対応できる」「セキュリティ製品の開発・運用に長年携わっていた」など、クライアントにアピールできる実績があれば案件を獲得しやすくなります。

また、フリーランスの場合でも、ネットワークエンジニアとしての高い実力を示すためには資格を取得するのが有効手段です。

フリーランスは、スキルやクライアントとの交渉力次第で会社員よりも高い報酬を得られる可能性があります。一方で、安定的に仕事を任せてもらうためにはネットワークエンジニアとしての豊富な知識やスキルだけでなく、クライアントとの信頼関係を築くためのコミュニケーション能力や、仕事を計画的に進めるためのスケジューリング能力などが求められます。

平均年収

レバテックフリーランスを参考にすると、月の平均単価は67万円でした。最高単価は195万円、最低単価は10万円です。これらを年収換算すると、単純計算で平均年収は804万円、最高単価を安定して1年間得られると2,340万円もの収入になります。

最低単価では120万円と生活するのには厳しい収入ですが、この数値には副業なども含まれています。フリーランス一本で稼いでいくのであれば、これより高い年収を得られると考えて良いでしょう。

ネットワークエンジニアの経験が活かせるキャリアパス

ネットワークエンジニアとして業務に従事した経験・スキルを活かし、ほかのエンジニア職となるキャリアパスも選択肢の一つです。ネットワークエンジニアの業務領域を拡張したゼネラリスト系、ネットワークエンジニアの業務領域の一部に特化したスペシャリスト系に分類しています。職種の概要を把握し、適した内容がありそうか考え進む道を決めておくと良いでしょう。

マネジメント・ゼネラリスト系

ネットワークエンジニアとしての経験・スキルに加え、ほかのエンジニア職領域のスキルを習得することで、より広い範囲を担当するエンジニアへのキャリアパスが見込めます。IT領域の幅広い知識やマネジメント・管理スキルなどさまざまな要素が求められますが、それだけにやりがいがある仕事が多いです。責任ある立場でクライアントやチームメンバーを支えたい方におすすめといえます。

ITコンサルタント

ITコンサルタントとは、IT技術を活用してクライアントの課題を解決し、課題の解決や利益追求を図る仕事です。開発現場のエンジニアに比べると経営層に近い立ち位置であり、ビジネス上の経営課題を正確に理解する能力や、その課題をIT技術と結びつけて解決に導くための発想力が必要になります。

ITコンサルタントを目指すのであれば、ネットワークの知識に加えて経営知識を身につけたり、クライアントの事業理解を深めたりすることも重要です

プロジェクトマネージャー

ネットワークエンジニアとしてシステム開発プロジェクトに従事した経験を活かし、プロジェクトの責任者となるプロジェクトマネージャ―を目指すキャリアパスも選択肢となります。

プロジェクトマネジメントスキルやシステム開発手法・ITシステム全般に対しての知見が必要となってきます。

スペシャリスト系

ネットワークエンジニアの業務領域は、セキュリティ上で重要な意味を持っています。このセキュリティ領域により特化したエンジニアとしてセキュリティエンジニアがあり、ネットワークエンジニアのスキル・経験を活かすことのできる職種です。クラウド環境へのインフラ構築を専門とするクラウドエンジニア、技術のスペシャリストとしてネットワークも含めて対応するフルスタックエンジニアなども選択肢となります。

フルスタックエンジニア

フルスタックエンジニアはインフラからアプリまで、ITシステムを構成するすべての範囲を担当するエンジニアです。サービス開始後のDevOpsプロジェクトやベンチャー企業など、エンジニアが少人数の場合にも、一人で広範囲の作業工程に対応できるため業務を支えられる点で需要が高まっています。担当範囲が分かれている場合に発生するコミュニケーションロスが防げることもメリットとなります。

フルスタックエンジニアを目指す場合には、ネットワークのスキルに加えて、サーバーなどのインフラやアプリ構築のスキルも必要となります。

セキュリティエンジニア

ネットワーク設計で重視される内容にセキュリティの確保があります。外部からの攻撃を防ぐことを考えた場合、ネットワークとセキュリティは切り離せない領域です。このため、セキュリティエンジニアはネットワークエンジニアのスキル・経験を活かすことのできる業務があり、ネットワークエンジニアのキャリアパスの一つに考えることができます。

具体的には、ネットワーク領域のセキュリティ診断、分析、ペネトレーションテストなどを専門としたセキュリティエンジニアを目指すと良いでしょう。

クラウドエンジニア(AWSエンジニア)

インフラエンジニアの中でもクラウド環境の構築を担当するエンジニアをクラウドエンジニアと呼称することがあります。また、その中でも特にAWSを担当するエンジニアをAWSエンジニアと呼ぶことがあります。いずれも明確な定義や境目はありませんが、インフラエンジニアの一種です。

クラウドエンジニアはネットワーク、サーバーなどのインフラをクラウド環境に構築するスキルが必要です。AWSエンジニアは、AWSを用いてインフラ環境を構築するスキルが求められます。具体的にはネットワーク仮想化の知識などが必要となり、ネットワークエンジニアの中でも関連知識、スキルを持つ場合にはキャリアパスの選択肢の一つとなる職種です。

今後はクラウド移行、AWS移行が進んでいくと予測されるので、より市場価値の高い存在になっていくと予測されます。

インフラエンジニア

ネットワークに限らず、サーバーの構築、ミドルウェアのインストール、設定などもトータルに行えるインフラエンジニアを目指すのも、ネットワークエンジニアのキャリアパスの一つです。OSのコマンドなど共通する範囲が多いため、新規のスキル習得というよりは、スキルの向上、拡張となり習得しやすい場合もあります。

テクニカルサポート

ネットワーク機器の提供事業者やネットワークと関連深いWebサービス提供事業者のテクニカルサポートも、キャリアパスとして考えることができます。製品のネットワークに関連したトラブル解決に向けては、ネットワークエンジニアとして培ったスキルと知識が役立ちます

メーカーやサービス提供者といった専門性の高い転職先となるため募集は多くありませんが、スキルを活かしワークライフバランスなども考慮できるキャリアパスといえます。

スペシャリスト系・ゼネラリスト系の選び方

スペシャリスト系とゼネラリスト系はどちらが正解というわけではなく、人それぞれ目標、性格、好みなどによって変わってきます。たとえば、技術を探求したいのであればスペシャリスト系、マネジメント側でプロジェクトに上流工程から幅広く携わりたいのであればゼネラリスト系が合っているでしょう。

ネガティブな側面で比較すると、プロジェクトメンバーやクライアントとのコミュニケーションを最低限にしたいならスペシャリスト系、技術への探求意欲が低いならゼネラリスト系、といった区分もできます。

積極的な選び方と消極的な選び方がありますが、いずれにしても得手不得手やスキルの優先順位、今後どうなりたいかなどを考えてキャリアプランを検討してください。

ネットワークエンジニアとしてキャリアアップするためのポイント

ネットワークエンジニアとしてキャリアアップするためには、やみくもに学ぼうとするのではなく、自身の現在地を見つめ直した上で身につける知識やスキルの方向性を定めていくことが大切です。たとえば、マネジメント系の道に進みたいのに技術力を高め、ヒューマンスキルの向上を疎かにしていてはいつまでもビジョンを叶えられません。そこで、ネットワークエンジニアとしてキャリアアップするためのポイントについて紹介します。

業務経歴や保有スキルを棚卸しする

キャリアアップを目指す前に、まずは自身の業務経歴や保有スキルを棚卸ししてみましょう。棚卸しによって自分がどのようなスキルを身につけているのかが明らかになり、今後どのような分野で活躍していけそうか、不足している知識やスキルは何かを把握できます。

知識やスキルの内容が不明瞭なままだと、今後のキャリアアップの方向性が見えにくくなるため、必ず取り組んでおくことをおすすめします。

自分の目指したい方向性から必要なスキルを考える

キャリアアップを計画するときは、自分が将来的にどのような姿になりたいのかを思い描いて、目指したい方向性から必要なスキルを逆算することが大切です。

たとえばクラウドエンジニアとして活躍したいと考えているなら、クラウドの基本的な知識はもちろん、AzureやAWSなどの開発・運用スキルなども必要になるでしょう。自分が目指す将来像にたどり着くためのスキルを明らかにした上で、一つひとつ身につけていくことが求められます。

業界のトレンドや動向にアンテナを張る

IT技術は発展し続けるものであり、業界のトレンドは常に移り変わり続けます。そのため、業界のトレンドや動向にアンテナを張り、常に最新の市場動向をキャッチすることが重要です。

総務省の令和5年版情報通信白書によると、クラウドインフラの市場シェアはAmazon(AWS)がトップを走っていますが、MicrosoftのAzureが猛追し、Google Cloud Platform(GCP)が続いている状況です。複数の競合が互いに技術力を高めながら独自のサービスを提供しています。

「今、市場で求められているものは何か」を的確に理解する力を身につけることが、ネットワークエンジニアとしてのキャリアアップにもつながります。

下流工程で保守・運用の経験を積む

ネットワークエンジニアとしてのキャリアのスタートは、下流工程での保守・運用であることが多いです。下流工程から経験を積み、徐々に上流工程にステップアップしていきます。下流工程は比較的単純作業に近い業務ですが、上流工程、構築業務は全体を把握していないとできないからです。

上流工程で設計・構築を経験する

上流工程で設計・構築を経験することで、より高度なスキルを保有しているとされキャリアアップにつながりやすいです。ネットワークエンジニアに限らず、IT関連プロジェクトの現場では上流工程の経験が評価されやすい傾向があります。

下流工程に特化して実務スキルを高める選択肢もありますが、スペシャリスト志向の人も設計や構築も経験することをおすすめします。

資格を取得する

技術にはトレンドが存在し最新技術は次々と現れますが、基礎となる理論部分の知識に関しては大きくは変わりません。基礎理論の知識とネットワーク特有の機器などの情報を得る学習方法として、資格取得をターゲットとするのも効果的です。

資格の取得に向けた学習で体系的な知識を得るとともに、資格を保有することで一定のスキルを示すことができます。

理想のキャリアパス実現のために必要なスキル

いずれのキャリアパスを選ぶとしても、スキルの習得が必要なこと、ネットワークエンジニアとして経験を積み設計・構築のステージを経なければならないことは共通しています。まずはネットワークエンジニアとして活躍することが前提となっており、そのためのスキルを習得することが先決となります。どういったスキルを磨いていけば良いのか、具体例を紹介します。

設計、構築、運用までの一連のネットワークスキル

ネットワークエンジニアとして活躍するための大前提として、設計、構築、運用までの一連のネットワークスキルを身につけておく必要があります。

ネットワークを構築するためには、あらかじめ判明している要件を網羅するようなネットワーク設計を行い、作成した設計書どおりにネットワークを構築しなければなりません。ネットワークの構築にはプログラム開発だけでなく、機器設置や配線、サーバー設定などの作業も含まれるため、ネットワーク機器全般や配線などの知識も求められます。

構築完了後はテストを実施し、要件どおりに動作するかどうかを確かめますが、構築が完了したからといってネットワークエンジニアの手を離れるわけではありません。運用開始後もネットワークの運用にトラブルがあれば対応し、改善が必要な箇所の再構成を行うなどの保守作業が必要です。

関連記事:ネットワークエンジニアの構築業務|流れや必要なスキル・資格を解説

プロジェクトマネジメントスキル

ネットワークエンジニアとしての業務をこなせるようになった後に、さらに多くの成果を出すことを考えると、より大規模なプロジェクトで大きな範囲を担当する必要が出てきます。自分一人でできる作業範囲には限りがあり、チームを率いてより大きな責任範囲を持つことが大きな成果に繋がっているためです。

チームを率いて成果を出すためには、メンバーの進捗、設計や構築、テストにおける品質、接続する機器やサーバーの担当者との連携などプロジェクトマネジメントスキルが必要となります。

プログラミングスキル

従来、プログラミングスキルはネットワークエンジニアにとって重視されるポイントではなかったのですが、近年ではその重要性が高まっています。その理由が、SDN、IaCへの対応や作業効率の向上です。

SDNとはSoftware Defined Networkの略で、ソフトウェアによるネットワーク仮想化を示しています。OpenFlowという制御技術を利用し、ソフトウェアによりスイッチ・ルーター・ファイアウォール・ロードバランサーなどのネットワークを実現する機能を実現することが可能です。このOpenFlowへはプログラムによる制御を行うため、プログラミングスキルがネットワークエンジニアに必要とされる理由の一つとなっています。

クラウドの普及とともにインフラ領域に広がっているのが、IaC(Infrastracture as Code)という考え方です。インフラの設定をコード(プログラム)によって記述することで、自動化の実現や再現性、作業効率の向上、属人化の排除などができるメリットがあります。今後の業務で活用する機会が増えるため、IaCに対応するためにもプログラミングスキルが必要となります。

また、プログラムを用いてネットワークエンジニアの業務の作業効率を図ることが可能です。プログラムによりサーバー上のコマンドをまとめて実行する、繰り返し実行する、スケジューリングすることができれば、既存の業務でも作業効率の向上が望めます。

関連記事:ネットワークエンジニアが習得すべきプログラミングスキルは?おすすめ言語や学習法も解説

オフィスソフトの利用スキル

ネットワークエンジニアに限らずITエンジニアの業務では、各種設計書、スケジュール、管理資料、プレゼンテーション資料などを作成します。その際に利用されるのが、オフィスソフトです。特にExcelやWord、PowerPointなどのMicrosoftオフィス製品は、事実上のデファクトスタンダードであり、利用スキルを高めることが求められます。

コミュニケーションスキル

ネットワークに関する業務では関係者が多数に渡ることも珍しくありません。クライアントの情報部門担当者、利用部門、エンドユーザーとの関わりは必須です。インフラエンジニアやアプリケーションエンジニアといったプロジェクト内のメンバーなどとも情報共有しながら業務を進めます。対話やメール、チャットツールなどのチャネルを駆使し、良好な関係を築きながらコミュニケーションするスキルが重要です。

クラウドに関するスキル

サーバー環境構築の第一の選択肢は、オンプレミスからクラウドに変わりつつあります。クラウドファーストやクラウドネイティブといった考え方が今後のインフラの前提となってくるでしょう。

ネットワークエンジニアもこのクラウド環境を利用し、クラウドの設計、構築、運用・保守ができるスキルが必要となってきます。また、クラウドサービスの利用において最適化されたネットワーク設定、セキュリティリスクへの対処なども合わせて習得しておきたいスキルです。

さらにはネットワークの構築にも仮想化の適用が進んでおり、こちらもクラウド上にソフトウェアでネットワークを構築する技術といえます。

セキュリティに関するスキル

ネットワークを構築し、利用することで、コンピュータや拠点を接続し、通信を行うことが可能となります。ネットワークの構築・活用は大きなメリットを生むものですが、常時接続されているということは外部からの攻撃を受ける可能性があるというリスクも生み出します。

ハードウェア、OS、ソフトウェアのベンダーはセキュリティ対策を講じてはいます。しかし、サイバー犯罪者は常に隙を探し攻撃を繰り返すため、いたちごっこが繰り返される状況です。ネットワークはその攻撃の最前線に位置しており、ネットワークエンジニアは最新のセキュリティ対策に注目し取り入れ続ける必要があります

理想のキャリアパス実現のために役立つ資格

ネットワークエンジニアのスキルを示すことができる試験、資格として、ベンダーの提供する認定資格と、国家資格試験などが存在しています。ここでは、知名度が高く、取得後失効期限のない国家資格試験と非常に認知度の高いベンダー資格について紹介します。資格取得に向けた学習は、知識の定着にも有用です。ぜひチャレンジしてみましょう。

関連記事:ネットワークエンジニアに必要な勉強内容とその学習方法

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営し、経済産業省が認定する情報処理技術者試験のなかでもネットワークの専門家に向けた資格試験です。ネットワーク領域を専門とするインフラエンジニア向けの国家資格で、ネットワークに関して企画、要件定義、設計・構築、運用・保守までを可能とする高いスキルが問われます。

ネットワークスペシャリスト試験は専門的な知識および技能が要求される「高度試験」に位置づけられており、ネットワークエンジニアとしての実務経験を持つエンジニア向けの試験です。

基本情報技術者試験

情報処理技術者試験のなかでも、ITエンジニア向けのエントリレベルにあたるのが基本情報技術者試験です。ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、プログラミング、プロジェクト管理など幅広い知識が問われ、エンジニアの基礎を示すことができる資格です。

基本情報技術者試験に合格していても必ずしも高度なネットワークの知識を有しているとは限りませんが、ITエンジニアとして最低限のITスキルや知識を持っていることが証明できます。

応用情報技術者

応用情報技術者試験は基本情報技術者試験の上位にあたる国家資格試験です。応用情報技術者はシステム設計や構築の応用力を問う問題が多く出題されます。こちらもITエンジニアとして幅広く応用レベルのスキル・知識を所有することを示せる資格です。

電気通信主任技術者試験

電気通信主任技術者は、ネットワーク工事や維持を担う現場の監督責任者向けの資格です。一般財団法人日本データ通信協会の電気通信国家試験センターによって試験運営が行われており、資格証は総務省より交付されます。電気通信主任技術者になるためには伝送交換主任技術者試験または線路主任技術者試験に合格する必要があり、それぞれ範囲が異なります。

伝送交換主任技術者試験はネットワークシステムの伝送交換設備に関する問題、線路主任技術者試験では線路設備に関する問題が出題されます。それぞれの科目ごとに法規や設備管理、専門的能力、電気通信システムといった内容が出題され、合格することでネットワーク工事のスペシャリストとして認定されます。

Cisco認定資格:CCNP

ネットワークベンダー大手のCiscoが運営する資格制度Cisco認定資格は、多くの企業や組織でネットワーク技術者向けのベンダー資格として認知されています。エントリ、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパートの4段階でレベル分けされ、段階的なスキルアップを図る上でも有用です。試験内容ではネットワークにおける一般的な知識およびスキルとCisco社製品に関する知識が対象となります。

CCNPはCisco認定資格の中でもプロフェッショナルレベルにあたり、専門領域によって下記に分かれています。

  • ・CCNP Collaboration

    ・CCNP Data Center

    ・CCNP Enterprise

    ・CCNP Security

    ・CCNP Service Provider

AWS Certified Cloud Practitioner 認定

AWS Certified Cloud Practitioner 認定はAWSやクラウドサービスに関する用語や仕組みの理解度を問う資格試験です。特にAWSを使用している企業やプロジェクトからは評価されやすい資格といえます。システムのクラウド移行の際には、なんらかの外部サービスを利用するのが一般的です。

そして、AWSはクラウド開発を行っているプロジェクトでも定番のクラウド環境・ツールです。つまり資格によってAWSのスキル証明ができれば、多くの企業、プロジェクトから評価されやすいということです。

情報処理安全確保支援士試験

情報処理安全確保支援士試験はIPA主催の国家資格の一つです。国家資格なので汎用性が高く、またセキュリティの重要性が年々増しているためセキュリティ関連の資格を保有しているエンジニアへの評価は高い傾向があります。ネットワークエンジニアの仕事はセキュリティに直結するため、情報処理安全確保支援士試験は取得価値が高いです。

ネットワークエンジニアの将来性

転職サイトなどの求人情報を参照すると、「ネットワークエンジニア」という枠組みでの求人が少なく見えることもあるでしょう。しかし、これはネットワークを専門に扱うエンジニアが市場で求められなくなったわけではなく、「ネットワーク以外の分野にも精通した人材が広く求められるようになった」という背景によるものです。

つまり、単にネットワークを設計・構築・運用できる人材ではなく、クラウドやインフラをはじめとした「より踏み込んだ専門性を持った人材」が求められるようになっています。ネットワークエンジニアの将来性はあり、とりわけクラウドやセキュリティなどに携われる人材の需要は高くなってきているということです。

IT技術は革新を続けており、特に「先端分野」とも呼ばれる5GやIoTなどの分野は著しい発展を遂げています。これに伴い、市場におけるエンジニアの需要も高まっている状況にあるといえるでしょう。今後は先端分野に対応可能なエンジニアを中心に、次々と移り変わっていく最新のIT技術に対して高い技術や豊富な知識を持つ人材であり続けるためのキャリアパスを描いていくことが重要です。

関連記事:ネットワークエンジニアの将来性|仕事内容やスキルも解説

ネットワークエンジニアが求人を探す方法

ネットワークエンジニアが求人を探す方法には、大きく分けて転職サイトと転職エージェントがあります。ほかにもSNSや知人の紹介なども考えられますが、これらは一定のスキルやパイプがある状態でないと難しいです。知人からの紹介の場合には、不採用となったり退職することになったりした際に人間関係に影響を及ぼすこともあります。そこで、万人に使える転職サイトと転職エージェントについて紹介します。

転職サイト

転職サイトを利用すれば、自分で求人を探して応募することが可能です。ネットワークエンジニアに限らず、どのような職種であっても一般的な求人探しの方法でしょう。自分のペースで転職を進められて利便性が高く、どのような求人が自分に合っているのか明確になっている人には向いている方法です。ただし逆にいえばどのような求人が良いのか定まっていない場合は失敗するリスクも高い方法です。

転職エージェント

転職エージェントはエージェントがサポートして求人を紹介してくれます。自分で求人を探すよりも、転職のプロであるエージェントが自分に合った求人を紹介してくれるメリットがあります。また単に求人を紹介するだけでなく、日程調整や資料作成・面接のサポートなども行うのが一般的です。ネットワークエンジニアを含むIT関連職種向けの転職エージェントサービスは豊富にあるので、サービス内容や口コミなどを参考に選ぶと良いでしょう。

ネットワークエンジニアに関するよくある質問

ネットワークエンジニアに関するよくある質問と回答をご紹介します。よくある質問内容としては、キャリアパスに関する内容が多いです。自分のキャリアを検討する際の参考になるでしょう。ネットワークエンジニアのキャリアパスについて把握しておくことで、どのようなスキル習得、求人探しが適切か判断できます。

Q1. ネットワークエンジニアのキャリアパスには何がありますか?

ネットワークエンジニアのキャリアパスには以下があります。

  • ・上流工程や大規模プロジェクトを担当するネットワークエンジニア

    ・ネットワーク専門のコンサルタント

    ・フリーランスのネットワークエンジニア

    ・ネットワークエンジニアのスキルを活かせる他IT職

Q2. ネットワークエンジニアのキャリアアップは難しいですか?

ネットワークエンジニアのキャリアアップには確立された方法があります。簡単というわけではありませんが、着実に取り組めばキャリアアップが可能です。自身のキャリアアップに対する方針を定め、それに沿ったスキルの習得を行うことが重要です。

Q3. ネットワークエンジニアからAWSエンジニアになれますか?

AWSのサービスの業務上の利用やAWSの提供するトレーニングなどを活用してスキルを磨くことでAWSエンジニアを目指すことができます。AWSの需要は今後伸びていくでしょう。そのため、AWSのスキルを身につけることはネットワークエンジニアにとって有効な手段です。

Q4. ネットワークエンジニアの年収はいくらですか?

厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、ネットワークエンジニアの属するシステムエンジニア(基盤システム)の平均年収は660.4万円です。

レバテックキャリア内の求人・転職情報をもととした場合、上流工程を担当するネットワークエンジニアの平均年収は約680万円と算出されました。

Q5. ネットワークエンジニアに向いている人の特徴を教えてください

ネットワークに関する技術は進歩を続けており、継続して技術の習得、スキルの向上が図れる人はネットワークエンジニアに向いているといえます。また、多くの関係者と仕事をするため、コミュニケーションスキルが高い人も適しています。

まとめ

ネットワークエンジニアの一般的なキャリアパスとしては、運用・保守担当のエンジニアからスタートして、要件定義・設計・構築といった上流工程を担当できるポジションにつきます。より上流の工程に携わりたいのであれば、大規模プロジェクトの担当、プロジェクトマネージャー、コンサルタントを目指すパスがあります。

また、ネットワークエンジニアとしての経験・スキルに加え、ほかのスキルを取得することで関連のある領域のエンジニア職を目指すことも可能です。

運用・保守担当のネットワークエンジニアは、ネットワークエンジニアとしてのスキルを向上させ、上流工程を担当できるプロジェクトリーダーなどのポジションを目指すことがまずは必要です。今後、ネットワークエンジニアとして活躍するにはクラウド、プロジェクトマネジメント、セキュリティに関するスキルも重要視されます。

関連記事:
ネットワークエンジニアの夜勤について|手当や辛いところを紹介
ネットワークエンジニアの志望動機の書き方は?例文も交えて解説

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