ネットワークエンジニアのキャリアパス|キャリアアップの要点も解説

最終更新日:2023年10月12日

ネットワークエンジニアは、ITインフラの1つであるネットワークの設計、構築、運用・保守を担うエンジニアです。

経験の浅いネットワークエンジニアは運用・保守フェーズから担当し、その後に設計・構築といった上流工程にステップアップしていくケースが一般的です。さらにその先に考えられるキャリアパスとしては、より高いスキルを持つスペシャリスト、チームを統括するプロジェクトマネージャーといった選択肢があります。

この記事では、今後のキャリアを検討しているネットワークエンジニアに向け、ネットワークエンジニアのキャリアパスや実現のために必要なスキル、役立つ資格などについて紹介します。

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この記事のまとめ

  • ネットワークエンジニアは、キャリアアップを目的とした転職が一般化している
  • 目指せるキャリアパスは、上流工程や大規模プロジェクトを担うエンジニア、プロジェクトマネージャー、コンサルタントなど
  • 理想のキャリアパス実現にはキャリアプランに合わせたスキルの習得や資格の取得が推奨される

ネットワークエンジニアがキャリアパスを考えるべき理由

ネットワークエンジニアはキャリアパスを考え、スキルの習得などによりキャリアの向上を図る必要性があります。新技術に対応可能な技術者が求められていることや、社内の評価基準として重要な意味をもつこと、転職活動を成功させるために重要であることなどがその理由です。

以下、各理由についてより詳細に説明します。

関連記事:ネットワークエンジニアに転職するには?キャリアパスも紹介

最新技術に対応できるエンジニアが求められる

多くの場合、エンジニアには最新技術に対応するスキルを持つことが高い価値を提供することにつながります。よって、エンジニアとして活躍する上で、最新技術に対応してスキル向上を図ることが必要です。

ネットワークエンジニアを取り巻く技術について、近年大きな変化が訪れました。それはクラウドによる基盤の提供が一般的になったことです。

企業や組織のネットワークには、自社でサーバーを所有し開発・保守・運用を行う「オンプレミス」と、外部事業者が提供するクラウド基盤を利用して開発・運用を行う「クラウド」の2種類があります。かつてはサーバーを購入して自社で運用するオンプレミスが一般的でしたが、近年では業務効率化やコスト削減、BCP対策などの観点からクラウドを利用する企業が増加傾向にあります。結果的に、ネットワークエンジニアはクラウドに対応するスキルも求められるようになってきています。

オンプレミスとクラウドの双方の深い知識や、さまざまな開発環境に対応できるスキルが求められており、選択肢が広がっています。ネットワークエンジニアは自分のスキル向上を計画的に行い、キャリアを築くことを考えなければなりません。

明確な目標が必要

企業にとってネットワークエンジニアの開発スキルの高低は売上に直結するものです。このことから、企業はキャリアパスを通じてスキルの高いネットワークエンジニアを1人でも多く育成したいと考えています。

スキルが高いネットワークエンジニアには、資格取得に対する報奨金を出したり、給与の引き上げを行ったり、プロジェクトでより重要な役割を任せたりする企業が多いです。将来的なネットワークエンジニアとしての活躍を考慮に入れて、キャリアパスを考えながら業務に臨むことで、高い評価を獲得しやすくなるでしょう。

キャリアアップ目的の転職が当たり前になってきている

近年では終身雇用制が揺らぎ、転職が当たり前の時代となりつつあります。転職によりキャリアアップし生涯収入の向上を図りたいという考え方は、多くのエンジニアに浸透しているものです。

ネットワークエンジニアにとってもどのタイミングで転職の機会が訪れるか分からない状況にあるため、社内外問わず活躍できるキャリアパスを築いていくことが重要です。

ネットワークエンジニアのキャリアパス

ネットワークエンジニアの一般的なキャリアパスは以下の3種類があります。


  • ・上流工程や大規模プロジェクトを担当するネットワークエンジニア

    ・ネットワーク専門のコンサルタント

    ・フリーランスのネットワークエンジニア


それぞれどのようなキャリアパスなのか、どのようなスキルが求められるのかなどについて解説していきます。

上流工程や大規模プロジェクトを担当するネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアは、運用・保守といった下流工程からスタートし、設計、構築といった上流工程を担当するネットワークエンジニアへとキャリアアップしていくのが一般的です。また、さらに上流工程の要件定義から参加し、ネットワークに必要とされる要求を明らかにして、具体的な環境構築案に落とし込む仕事へと業務範囲を広げていきます。

利用者数が多い大規模なネットワークの設計、構築に携わることも、上流工程の担当とともにネットワークエンジニアとしてのキャリアアップといえます。大規模なネットワークでは、パフォーマンスや可用性、セキュリティなど高い性能が求められるため、高いスキルを持ったエンジニアが担当する業務なのです。

関連記事:ネットワークエンジニアの残業時間や休日事情について

上流工程を担当するために必要なスキル

上流工程を担当するために必要となるのは、ネットワークの設計・構築スキルと実務経験です。さらには要件定義スキルも可能であれば習得しておきたいスキルです。

現在、運用・保守業務を主に担当しているネットワークエンジニアであれば、まずは設計や構築の業務に積極的に携わり、設計スキルを書籍や資格試験を活用して身につけることが第一歩です。それに加えて、資格試験を受けることでスキルを向上させるとよいでしょう。情報技術者試験の基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、ネットワークスペシャリスト試験といった国家資格やシスコの技術者認定試験などのベンダー資格に挑みスキル・知識の習得を目指しましょう。

また、空いているネットワーク機器やネットワークシュミレーターを使って構築のためのスキルを磨くことも重要です。実務を任せてもらえるようになれば、上流工程を担当するネットワークエンジニアへのキャリアアップ、転職が現実的になってきます。

関連記事:
ネットワークエンジニアの運用・保守業務とは?必要なスキルも解説
ネットワークエンジニアの監視業務とは?仕事内容や役立つ資格を紹介

平均年収

上流工程を担当するネットワークエンジニアの平均年収について、実際の求人・転職情報より調査を行いました。レバテックキャリアの職種「ネットワークエンジニア」について検索を行い取得されたデータから、業務内容が上流工程や大規模プロジェクトを担当するエンジニアに該当する30件を抽出し、年収の上限、下限の中間値の平均を取って平均年収を算出しました。(2023年9月10日時点)

この算出方法では上流工程や大規模プロジェクトを担当するネットワークエンジニアの平均年収は約676万円となりました。運用・保守フェーズが対象のネットワークエンジニアよりも上限、下限のいずれも高い傾向が見られます。また、上流工程かつ大規模ネットワークの構築に携わる案件では、上限1,000万円を超える情報も多数存在しています。

ネットワークエンジニアの求人・転職情報>

関連記事:
ネットワークエンジニアになるには?必要なスキルや資格も紹介
ネットワークエンジニアとは|役割や仕事内容、未経験から目指す方法
ネットワークエンジニアの年収相場は?クラウド時代に起こる変化

ネットワーク専門のコンサルタント

コンサルタントは、企業のネットワークを診断して改善策の提案や、提案したネットワーク案件プロジェクトのプロジェクトマネジメントなどを行う職種です。上流工程を担当するネットワークエンジニアやスペシャリストとしての経験を積んでから、コンサルタントにキャリアアップするケースが多いでしょう。

ネットワーク専門のコンサルタントになるために必要なスキル

ネットワークの要件定義、設計、開発、運用保守、ベンダー製品などの幅広い知識・スキルだけでなく、進捗管理や課題管理、予算管理といったプロジェクトマネジメントスキル、ネットワーク診断スキルが求められます。

また、事業に貢献することを目的としたネットワーク活用を考える必要があり、ITビジネス戦略や最新の技術的トレンド、事例にも精通する必要があります。例えば、ローカル5Gを活用した事業などにも知見が求められます。

ネットワークスペシャリストやシスコの技術者認定の上位レベルの資格に加えて、プロジェクトマネージャー試験やPMP、ITストラテジスト試験、ITコーディネーター試験などで必要なスキルを身につけると良いでしょう。

平均年収

ネットワーク専門のコンサルタントと近似するエンジニアの平均年収について、実際の求人・転職情報より調査を行いました。レバテックキャリアの職種「ネットワークエンジニア」について検索を行い取得されたデータから、業務内容がネットワークのコンサルティングおよびネットワークの企画・提案を含む案件を19件抽出することができました。このデータから年収の上限、下限の中間値の平均を取って平均年収を算出しました。(2023年9月10日時点)

サンプルが少なく、参考レベルのデータですが、この算出方法ではネットワーク専門のコンサルタントの平均年収は約749万円となりました。非常に高い年収が期待できる一方、下限と上限の幅も大きく、スキルが重視される職種といえます。

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フリーランスのネットワークエンジニアとして独立

ほかにも、フリーランスのネットワークエンジニアとして独立するというキャリアパスが考えられます。ネットワークエンジニアが独立するためには自分の力だけで求められた仕事をこなす高い経験値とスキルが必要です。独立を目指すのであれば、「ある分野のスペシャリスト」になれるようなスキルを身につけると良いでしょう。

例えば、「クラウド基盤の知識が豊富で、AzureやAWSなど幅広く対応できる」「セキュリティ製品の開発・運用に長年携わっていた」など、クライアントにアピールできる実績があれば案件を獲得しやすくなります。

また、ネットワークエンジニアとしての高い実力を示すためには、CCNPやCCIEなどの資格を取得するのも方法のひとつです。

フリーランスは、スキルやクライアントとの交渉力次第で会社員よりも高い報酬を得られる可能性があります。一方で、安定的に仕事を任せてもらうためにはネットワークエンジニアとしての豊富な知識やスキルだけでなく、クライアントとの信頼関係を築くためのコミュニケーション能力や、仕事を計画的に進めるためのスケジューリング能力などが求められます。

ネットワークエンジニアの経験が活かせるキャリアパス

ネットワークエンジニアとして業務に従事した経験・スキルを活かし、他のエンジニア職となるキャリアパスも選択肢の一つです。ネットワークエンジニアの業務領域を拡張したゼネラリスト系、ネットワークエンジニアの業務領域の一部に特化したスペシャリスト系に分類しています。

マネジメント・ゼネラリスト系

ネットワークエンジニアとしての経験・スキルに加え、他のエンジニア職領域のスキルを習得することで、より広い範囲を担当するエンジニアへのキャリアパスが見込めます。

ITコンサルタント

ITコンサルタントとは、IT技術を活用してクライアントの課題を解決し、課題の解決や利益追求をはかる仕事です。開発現場のエンジニアに比べると経営層に近い立ち位置であり、ビジネス上の経営課題を正確に理解する能力や、その課題をIT技術と結びつけて解決に導くための発想力も必要になります。

ITコンサルタントを目指すのであれば、ネットワークの知識に加えて経営知識を身につけたり、クライアントの事業理解を深めたりすることも重要です。

プロジェクトマネージャー

ネットワークエンジニアとしてシステム開発プロジェクトに従事した経験を活かし、プロジェクトの責任者となるプロジェクトマネージャ―を目指すキャリアパスも選択肢となります。

プロジェクトマネジメントスキルやヒューマンスキル、システム開発手法・ITシステム全般に対しての知見が必要となってきます。ただし、プロジェクトマネージャ―となる場合にこれらのスキル、知識が必要となるのは他領域のエンジニアと同様です。

スペシャリスト系

ネットワークエンジニアの業務領域はセキュリティ上でも重要な意味を持っています。このセキュリティ領域により特化したエンジニアとしてセキュリティエンジニアがあり、ネットワークエンジニアのスキル・経験を活かすことのできる職種です。クラウド環境へのインフラ構築を専門とするクラウドエンジニア、技術のスペシャリストとしてネットワークも含めて対応するフルスタックエンジニアなども選択肢となります。

フルスタックエンジニア

フルスタックエンジニアはインフラからアプリまで、ITシステムを構成するすべての範囲を担当するエンジニアです。サービス開始後のDevOpsプロジェクトやベンチャー企業など、エンジニアが少人数の場合にも、業務を支えられる点で需要が高まっています。担当範囲が分かれている場合に発生するコミュニケーションロスが防げることもメリットとなります。

フルスタックエンジニアを目指す場合には、ネットワークのスキルに加えて、サーバー等のインフラやアプリ構築のスキルも必要となります。

セキュリティエンジニア

ネットワーク設計で重視される内容にセキュリティの確保があります。外部からの攻撃を防ぐ事を考えた場合、ネットワークとセキュリティは切り離せない領域です。このため、セキュリティエンジニアはネットワークエンジニアのスキル・経験を活かすことのできる業務があり、ネットワークエンジニアのキャリアパスの一つに考えることができます。

より具体的には、ネットワーク領域のセキュリティ診断、分析、ペネトレーションテストなどを専門としたセキュリティエンジニアを目指すとよいでしょう。

クラウドエンジニア(AWSエンジニア)

インフラエンジニアの中でもクラウド環境の構築を担当するエンジニアをクラウドエンジニアと呼称することがあります。また、その中でも特にAWSを担当するエンジニアをAWSエンジニアと呼ぶことがあります。いずれも明確な定義や境目はありませんが、インフラエンジニアの一種といえるでしょう。

クラウドエンジニアはネットワーク、サーバーなどのインフラをクラウド環境に構築するスキルが必要です。AWSエンジニアは、AWSを用いてインフラ環境を構築するスキルが求められます。具体的にはネットワーク仮想化の知識などが必要となり、ネットワークエンジニアの中でも関連知識、スキルを持つ場合にはキャリアパスの選択肢の一つとなる職種です。

今後はクラウド移行、AWS移行が進んでいくと予測されるので、より市場価値の高いスキルになっていくと予測されます。

インフラエンジニア

ネットワークに限らず、サーバーの構築、ミドルウェアのインストール、設定などもトータルに行えるインフラエンジニアを目指すのも、ネットワークエンジニアのキャリアパスの一つです。OSのコマンドなど共通する範囲が多いため、新規のスキル習得というよりは、スキルの向上、拡張となり習得しやすい場合もあります。

テクニカルサポート

ネットワーク機器の提供事業者やネットワークと関連深いWebサービス提供事業者のテクニカルサポートも、キャリアパスとして考えることができます。製品のネットワークに関連したトラブル解決に向けては、ネットワークエンジニアとして培ったスキルと知識が役立ちます

メーカーやサービス提供者といった専門性の高い転職先となるため募集は多くありませんが、スキルを活かしワークライフバランスなども考慮できるキャリアパスといえます。

ネットワークエンジニアとしてキャリアアップするためのポイント

ネットワークエンジニアとしてキャリアアップするためには、やみくもに学ぼうとするのではなく、自身の現在地を見つめ直した上で身につける知識やスキルの方向性を定めていくことが大切です。そこで、ネットワークエンジニアとしてキャリアアップするためのポイントについて紹介します。

業務経歴や保有スキルを棚卸しする

キャリアアップを目指す前に、まずは自身の業務経歴や保有スキルを棚卸ししてみましょう。棚卸しによって自分がどのようなスキルを身につけているのかが明らかになり、今後どのような分野で活躍していけそうなのか、不足している知識やスキルはどのようなものなのかを把握できます。

知識やスキルの内容が不明瞭なままだと、今後のキャリアアップの方向性が見えにくくなるため、必ず取り組んでおくことをおすすめします。

自分の目指したい方向性から必要なスキルを考える

キャリアアップを計画するときは、自分が将来的にどのような姿になりたいのかを思い描いて、目指したい方向性から必要なスキルを逆算することが大切です。

例えばクラウドエンジニアとして活躍したいと考えているなら、クラウドの基本的な知識はもちろん、AzureやAWSなどの開発・運用スキルなども必要になるでしょう。自分が目指す将来像にたどり着くためのスキルを明らかにした上で、一つひとつ身につけていけるようなキャリアパスを描くことが求められます。

業界のトレンドや動向にアンテナを張る

IT技術は発展し続けるものであり、業界のトレンドは常に移り変わり続けます。そのため、業界のトレンドや動向にアンテナを張り、常に最新の市場動向をキャッチすることが重要です。

クラウドインフラにおいては、市場のシェアとしてはAmazon(AWS)がトップを走っていますが、MicrosoftのAzureがこの数年で猛追している状況です。GoogleCloudやAlibabaも成長を続けており、複数の競合が互いに技術力を高めながら独自のサービスを提供しています。

「今、市場で求められているものは何か」を的確に理解する力を身につけることが、ネットワークエンジニアとしてのキャリアアップにもつながります。

下流工程で保守・運用の経験を積む

ネットワークエンジニアとしてのキャリアのスタートは、下流工程での保守・運用であることが多いです。下流工程から経験を積み、徐々に上流工程にステップアップしていきます。下流工程は比較的単純作業に近い業務ですが、上流工程、構築業務は全体を把握していないとできないからです。

資格を取得する

技術にはトレンドが存在し最新技術は次々と現れますが、基礎となる理論部分の知識に関しては大きくは変わりません。基礎理論の知識とネットワーク特有の機器などの情報を得る学習方法として、資格取得をターゲットとするのも効果的です。

資格の取得に向けた学習で体系的な知識を得るとともに、資格を保有することで一定のスキルを示すことができます。国家資格のネットワークスペシャリスト試験やベンダー試験のシスコ認定など、キャリアパスを考慮して試験を選定しましょう。

理想のキャリアパス実現ために必要なスキル

ネットワークエンジニアとして活躍するいずれのキャリアパスを選ぶとしても、スキルの習得が必要なこと、ネットワークエンジニアとして経験を積み設計・構築のステージを経なければならないことは共通しています。まずはネットワークエンジニアとして活躍することが前提となっており、そのためのスキルを習得することが先決となります。

設計、構築、運用までの一連のネットワークスキル

ネットワークエンジニアとして活躍するための大前提として、設計、構築、運用までの一連のネットワークスキルを身につけておく必要があります。

ネットワークを構築するためには、あらかじめ判明している要件を網羅するようなネットワーク設計を行い、作成した設計書どおりにネットワークを構築しなければなりません。ネットワークの構築にはプログラム開発だけでなく、機器設置や配線、サーバー設定などの作業も含まれるため、ネットワーク機器全般や配線などの知識も求められます。

構築完了後はテストを実施し、要件どおりに動作するかどうかを確かめますが、構築が完了したからといってネットワークエンジニアの手を離れるわけではありません。運用開始後もネットワークの運用にトラブルがあれば対応し、改善が必要な箇所の再構成を行うなどの保守作業が必要です。

関連記事:ネットワークエンジニアの構築業務とは?流れや必要スキル・資格を解説

プロジェクトマネジメントスキル

設計・構築ができるようになりネットワークエンジニアとしての業務をこなせるようになった後に、さらに多くの成果を出すことを考えると、より大規模なプロジェクトで大きな範囲を担当する必要が出てきます。自分一人でできる作業範囲には限りがあり、チームを率いてより大きな責任範囲を持つことが大きな成果に繋がっているためです。

チームを率いて成果を出すためには、メンバーの進捗、設計や構築、テストにおける品質、接続する機器やサーバーの担当者との連携などプロジェクトマネジメントスキルが必要となります。

プログラミングスキル

従来、プログラミングスキルはネットワークエンジニアにとって重視されるポイントではなかったのですが、近年ではその重要性が高まっています。その理由が、SDN、IaCへの対応や作業効率の向上です。

SDNとはSoftware Defined Networkの略で、ソフトウェアによるネットワーク仮想化を示しています。OpenFlowという制御技術を利用し、ソフトウェアによりスイッチ・ルーター・ファイアウォール・ロードバランサーなどのネットワークを実現する機能を実現することが可能です。このOpenFlowへはプログラムによる制御を行うため、プログラミングスキルがネットワークエンジニアに必要とされる理由の一つとなっています。

クラウドの普及とともにインフラ領域に広がっているのが、IaC(Infrastracture as Code)という考え方です。インフラの設定をコード(プログラム)によって記述することで、自動化の実現や再現性、作業効率の向上、属人化の排除などができるメリットがあります。今後の業務で活用する機会が増えるため、IaCに対応するためにもプログラミングスキルが必要となります。

また、プログラムを用いてネットワークエンジニアの業務の作業効率を図ることが可能です。プログラムによりサーバー上のコマンドをまとめて実行する、繰り返し実行する、スケジューリングすることができれば、既存の業務でも作業効率の向上が望めます。

関連記事:ネットワークエンジニアが習得すべきプログラミングスキルは?おすすめ言語や学習法も解説

オフィスソフトの利用スキル

ネットワークエンジニアに限らずITエンジニアの業務では、各種の設計書、スケジュール、管理資料、プレゼンテーション資料などの作成が多くの割合を占めます。その際に利用されるのが、オフィスソフトです。特にExcelやWord、PowerPointなどのMicrosoftオフィス製品は、事実上のデファクトスタンダードであり、利用スキルを高めることが求められます。

コミュニケーションスキル

ネットワークに関する業務では関係者が多数に渡ることも珍しくありません。クライアントの情報部門担当者、利用部門、エンドユーザー、インフラエンジニアやアプリケーションエンジニアといったプロジェクト内のメンバーなど、様々な立場の関係者と情報を共有、交換しながら業務を進める必要があります。対話やメール、チャットツールなどのチャネルを駆使し、良好な関係を築きながらコミュニケーションするスキルも重要です。

クラウドに関するスキル

クラウドはオンプレミスに変わりサーバー環境構築の第一の選択肢となりつつあります。クラウドファーストやクラウドネイティブといった考え方が今後のインフラの前提となってくるでしょう。

ネットワークエンジニアもこのクラウド環境を利用し、クラウドに向けた設計、構築、運用・保守ができるスキルが必要となってきます。また、クラウドサービスの利用において最適化されたネットワーク設定、セキュリティリスクへの対処なども合わせて習得しておきたいスキルです。

さらにはネットワークの構築にも仮想化の適用が進んでおり、こちらもクラウド上にソフトウェアでネットワークを構築する技術といえます。

セキュリティに関するスキル

ネットワークを構築し、利用することで、コンピュータや拠点を接続し、通信を行うことが可能となります。ネットワークの構築・活用は大きなメリットを生むものですが、常時接続されているということは外部からの攻撃を受ける可能性があるというリスクも生み出します。

ハードウェア、OS、ソフトウェアのベンダーはセキュリティ対策を講じてはいます。しかし、サイバー犯罪者は常に隙を探し攻撃を繰り返すため、いたちごっこが繰り返される状況です。ネットワークはその攻撃の最前線に位置しており、ネットワークエンジニアは最新のセキュリティ対策に注目し取り入れ続ける必要があります。

理想のキャリアパス実現のために役立つ資格

ネットワークエンジニアのスキルを示すことができる試験、資格として、ベンダーの提供する認定資格と、国家資格試験、その他の団体が運営するベンダーニュートラルな資格などが存在しています。

本項では、知名度が高く、取得後失効期限のない国家資格試験と非常に認知度の高いベンダー資格シスコ認定について紹介します。

関連記事:ネットワークエンジニアに必要な勉強内容とその学習方法

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は独立行政法人情報処理推進機構が運営し、経済産業省が認定する情報処理技術者試験のなかでもネットワークの専門家に向けた資格試験です。ネットワーク領域を専門とするインフラエンジニア向けの国家資格で、ネットワークに関して企画、要件定義、設計・構築、運用・保守までを可能とする高いスキルが問われます。

ネットワークスペシャリスト試験は専門的な知識および技能が要求される「高度試験」に位置づけられており、ネットワークエンジニアとしての実務経験を持つエンジニア向けの試験です。統計情報でも2009年~2023年度の間で、受験者の合格率は13.6%~17.4%と難関の試験となっています。

基本情報技術者試験

情報処理技術者試験のなかでも、ITエンジニア向けのエントリレベルにあたるのが基本情報技術者試験です。基本と名前には付くものの、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、プログラミング、プロジェクト管理まで幅広い知識が問われ、エンジニアの基礎を示すことができる資格です。

基本情報技術者試験に合格していても必ずしも高度なネットワークの知識を有しているとは限りませんが、ITエンジニアとして最低限のITスキルや知識を持っていることが証明できます。

応用情報技術者

応用情報技術者試験は基本情報技術者試験の上位にあたる国家資格試験です。応用情報技術者はシステム設計や構築の応用力を問う問題が多く出題されます。

こちらもITエンジニアとして幅広く応用レベルのスキル・知識を所有することを示せる資格です。

電気通信主任技術者試験

電気通信主任技術者は、ネットワーク工事や維持を担う現場の監督責任者向けの資格です。一般財団法人日本データ通信協会の電気通信国家試験センターによって試験運営が行われており、資格証は総務省より交付されます。電気通信主任技術者になるためには伝送交換主任技術者試験または線路主任技術者試験に合格する必要があり、それぞれ範囲が異なります。

伝送交換主任技術者試験はネットワークシステムの伝送交換設備に関する問題、線路主任技術者試験では線路設備に関する問題が出題されます。それぞれの科目ごとに法規や設備管理、専門的能力、電気通信システムといった内容が出題され、合格することでネットワーク工事のスペシャリストとして認定されます。

Cisco認定資格:CCNP

ネットワークベンダー大手のCiscoが運営する資格制度Cisco認定資格は、多くの企業や組織でネットワーク技術者向けのベンダー資格として認知されています。エントリ、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパートの4段階でレベル分けされ、段階的なスキルアップを図る上でも有用です。試験内容ではネットワークにおける一般的な知識およびスキルとCisco社製品に関する知識が対象となります。

CCNPはCisco認定資格の中でもプロフェッショナルレベルにあたり、専門領域によって下記に分かれています。


  • ・CCNP Collaboration

    ・CCNP Data Center

    ・CCNP Enterprise

    ・CCNP Security

    ・CCNP Service Provider

ネットワークエンジニアの将来性

転職サイトなどの求人情報を参照すると、「ネットワークエンジニア」という枠組みでの求人は減少しているように見えることもあるでしょう。しかし、これはネットワークを専門に扱うエンジニアが市場で求められなくなったというわけではなく、「ネットワーク以外の分野にも精通した人材が広く求められるようになった」という背景によるものです。

つまり、単にネットワークを設計・構築・運用できる人材ではなく、クラウドやインフラをはじめとした「より踏み込んだ専門性を持った人材」が求められるようになっています。

IT技術は革新を続けており、特に「先端分野」とも呼ばれる5GやIoTなどの分野は著しい発展を遂げています。これに伴い、市場におけるエンジニアの需要も高まっている状況にあるといえるでしょう。今後は先端分野に対応可能なエンジニアを中心に、次々と移り変わっていく最新のIT技術に対して高い技術や豊富な知識を持つ人材であり続けるためのキャリアパスを描いていくことが重要です。

関連記事:ネットワークエンジニアの将来性|仕事内容やスキルも解説

ネットワークエンジニアに関するよくある質問

ネットワークエンジニアに関するよくある質問と回答をご紹介します。キャリアパス検討の参考としてください。

Q1.ネットワークエンジニアのキャリアパスには何がありますか?

ネットワークエンジニアのキャリアパスには以下があります。


  • ・上流工程や大規模プロジェクトを担当するネットワークエンジニア

    ・ネットワーク専門のコンサルタント

    ・フリーランスのネットワークエンジニア

Q2.ネットワークエンジニアのキャリアアップは難しいですか?

ネットワークエンジニアのキャリアアップには確立された方法があります。簡単というわけではありませんが、着実に取り組めばキャリアアップが可能です。

自身のキャリアアップに対する方針を定め、それに沿ったスキルの習得を行うことが重要です。

Q3.ネットワークエンジニアからAWSエンジニアになれますか?

AWSの需要は今後伸びていくでしょう。そのため、AWSのスキルを身に付けることはネットワークエンジニアにとって有効な手段です。

AWSのサービスの業務上の利用やAWSの提供するトレーニングなどを活用してスキルを磨くことでAWSエンジニアを目指すことができます。

Q4.ネットワークエンジニアの年収はいくらですか?

厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、ネットワークエンジニアの属するシステムエンジニア(基盤システム)は、令和4年賃金構造基本統計調査では主な職業分類ITシステム設計技術者
に相当し、その平均年収は660.4万円です。

本記事内ではレバテックキャリア内の求人・転職情報より上流工程を担当するネットワークエンジニアの平均年収を約676万円と算出しています。

Q5.ネットワークエンジニアに向いている人の特徴を教えてください

ネットワークに関する技術は進歩を続けており、継続して技術の習得、スキルの向上が図れる人はネットワークエンジニアに向いているといえます。また、多くの関係者と仕事をするため、コミュニケーションスキルが高い人も適しています。

まとめ

ネットワークエンジニアの一般的なキャリアパスとしては、運用・保守担当のエンジニアからスタートして、設計・構築担当のエンジニアを経て、上流工程や大規模プロジェクトの担当、プロジェクトマネージャ、コンサルタントを目指すパスがあります。また、ネットワークエンジニアとしての経験・スキルに加え、他のスキルを取得することで関連のある領域のエンジニア職を目指すことも可能です。

運用・保守担当のネットワークエンジニアの場合は、ネットワークエンジニアとしてのスキルを向上させ、上流工程を担当できるプロジェクトリーダーなどのポジションを目指すことがまずは必要です。今後、ネットワークエンジニアとして活躍するにはクラウド、プロジェクトマネジメント、セキュリティに関するスキルも重要視されます。

関連記事:
ネットワークエンジニアの夜勤について|手当や辛いところを紹介
ネットワークエンジニアの志望動機の書き方は?例文も交えて解説

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