インフラエンジニアのキャリアパスは?将来性や役立つスキルと資格も解説

最終更新日:2024年4月15日

ネットワークやサーバーといったインフラの構築や運用、保守を専門に担当するインフラエンジニア。専門的な知識やスキルを活かせるキャリアパスを考えたとき、インフラエンジニアが生き残っていく道としてどのような職種が想定されるのでしょうか。

この記事では、インフラエンジニアの具体的なキャリアパスをいくつか紹介するとともに、そのために有効な資格やスキルアップ方法、将来性についても詳しく解説します。インフラエンジニアを目指す方、インフラエンジニアからさらなるステップアップを考えている方は、参考にしてください。

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この記事のまとめ

  • インフラエンジニアのキャリアパスや将来性、キャリアパス形成にに活かせるスキルや資格などについて解説
  • インフラエンジニアからの代表的なキャリアパスとしては、ITスペシャリスト、プロジェクトマネージャー、ITコンサルタントなどがある
  • インフラエンジニアのキャリアパスに活かせるスキルには、プログラミングの知識、クラウドの知識とスキル、コミュニケーションスキルが挙げられる

インフラエンジニアからの代表的なキャリアパス

インフラエンジニアのキャリアパス

インフラエンジニアのキャリアパスは大きく分けて「スペシャリスト系」「マネージャー系」「ゼネラリストコンサル系」の3つに分けられます。具体的には、ITスペシャリストやITアーキテクト、セキュリティエンジニア、ITコンサルタントなどが代表的だと言われています。しかし、それぞれの職種にどのような違いがあるのか分からない方も多いはず。そこで、それぞれの基本的な仕事内容に加え、そのキャリアパスを辿るのに、インフラエンジニアとして培ってきたどのようなスキルが活かせるのかを、年収相場も含めて解説します。

ITスペシャリスト

ITスペシャリストとは、ハードウェアやソフトウェアの専門技術を活用して最適なシステム基盤の設計および構築、導入を担当するエンジニアです。ITインフラ全般を担当するインフラエンジニアの上位職種にあたり、特定の専門技術に特化して深い知識と経験をもったエンジニアのことです。

プラットフォームやネットワーク、データベース、アプリケーション共通基盤、システム管理、セキュリティなど幅広い領域を扱いますが、必ずしもすべての領域のスペシャリストである必要はありません。多くのITスペシャリストは自身の経験を活かし、特定領域に強みを持っているケースがほとんどです。

インフラエンジニアからITスペシャリストを目指すのであれば、サーバーやネットワーク、セキュリティ領域と親和性が高いため、これまで培ってきたスキルや経験を存分に活かせることでしょう。

また、経済産業省のデータに照らし合わせると、ITスペシャリストに相当する「IT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))」の平均年収は758.2万円と非常に高い水準にあります。

仕事内容

インフラエンジニアとして、深い知識と高度なスキルを追求する人には、スペシャリストとしての道が一つの選択肢として輝いています。インフラエンジニアのスペシャリストとして重要なのは、何よりも「技術の向上」です。

一般的なインフラエンジニアには及ばない、より高度な技術力が求められる場面があります。仮想化技術などのハイレベルなスキルを磨くことで、複雑な課題に対処し、革新的なソリューションを提供できるようになります。

やりがい

インフラ部門のスペシャリストとして技術と知識を向上させる過程で、その成長を実感することができます。
自身のスキルが次第に深まり、難解な課題に取り組む自信がついてくることで、達成感を得ることができるでしょう。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーとはその名の通り、システム開発プロジェクトの現場で全体を統括し、納期や品質管理、プロジェクトの進行を担う責任者です。インフラエンジニアは技術的なスキルをもったプロフェッショナルですが、キャリアアップの道として上流のプロジェクトマネージャーを目指す方も多いです。

プロジェクトマネージャーはインフラエンジニアとは異なり、実際に現場で手を動かして作業をするケースは稀です。プロジェクト全体のマネジメントが主な業務となりますが、だからこそエンジニアに信頼されるような経験やスキルが求められます。周囲の面倒見が良かったり、グループや部署の調整役として活躍してきたインフラエンジニアにはプロジェクトマネージャーとしての素質があるといえるでしょう。

経済産業省のデータでは、プロジェクトマネージャーの平均年収は891.5万円。IT業界の専門職の中でもコンサルタントに次いで高い水準となっています。プロジェクトマネージャーが参画するプロジェクトは、インフラ開発の現場もあればソフトウェア開発の現場もあります。

基本的には、自分が作業者としてのスキルも有しているプロジェクトに参画します。つまり、インフラエンジニアのバックグラウンドがある人はインフラ開発の案件に参画し、ソフトウェアエンジニアのバックグラウンドがある人はソフトウェア開発のプロジェクトに参画するということです。

プロジェクトマネージャーについてより詳しく知りたい方は、ぜひ下記記事も合わせてご参照ください!

関連記事:プロジェクトマネージャーとは?役割・仕事内容・必須スキルを解説

仕事内容

プロジェクトマネージャーはプロジェクトチーム全体を統率し、開発計画の策定から開発チームの編成、プロジェクト全体の推進および進捗管理を行います。ITインフラを設計・構築するインフラエンジニアだけでなくシステムやアプリケーションを開発するシステムエンジニア・プログラマーとも連携をとり、品質・コスト・納期を管理してプロジェクト全体をまとめます。

やりがい

プロジェクトマネージャーは、チームを率いるリーダーシップの責任が伴い、多くの課題を乗り越えなければなりません。そのため、クライアントおよびプロジェクトメンバー全体と緊密にコミュニケーションをとり、課題を乗り越えていくことに大きなやりがいを感じる人も多いです。また、プロジェクトメンバーを指導し、成長する姿が見られるのもやりがいの1つです。

ゼネラリスト

ゼネラリストはスペシャリストの対極に位置します。スペシャリストが特定の技術に特化してスキルアップしているのに対し、ゼネラリストは幅広い知識、スキルを身に付ける方向にスキルアップします。

またスペシャリストは技術力を武器に実作業を中心に行いますが、ゼネラリストはマネジメント業務を中心に行う傾向があります。そのため、上でご紹介したプロジェクトマネージャーもゼネラリストに分類されます。

ただし、ゼネラリストはコミュニケーション業務のみというわけではありません。プロジェクトマネージャーのような振る舞いができることは重要ですが、技術力があり、自分でも実作業ができることは強みになります。

技術力のように特定の分野に特化したスキルと、コミュニケーションスキルなど汎用性の高いスキルの両方があるとより市場価値の高いゼネラリストになれます。

仕事内容

IT分野でゼネラリストとは、「マネージャー業務を遂行する人」と同時に、「多岐にわたる分野で幅広い知識やスキルを備えた人」のことを意味します。

具体的な仕事内容としては、プロジェクトマネージャーなどのコミュニケーションスキルを活かした業務を行う場合が多いです。

同時に、ITゼネラリストは必要に応じて実作業を行うこともできます。状況に応じて自身で手を動かし、実際の技術的課題に取り組むことでプロジェクトの成功に貢献します。

やりがい

ゼネラリストは、そのコミュニケーション能力を活かしてプロジェクトのまとめ役として活躍することに強いやりがいを感じるでしょう。

また、ゼネラリストは幅広い業務をカバーできるという魅力もあります。
多様な技術領域にまたがる知識とスキルを持つことで、異なるプロジェクトや課題に対応し、柔軟なアプローチを提供できます。

セキュリティエンジニア

セキュリティエンジニアは、セキュリティコンサルタントと呼ばれることもあります。通常はエンジニアとコンサルタントは別物ですが、セキュリティ業界では技術を活かした実作業とクライアントへのコンサルティングを同じ人が行う場合が多いため、このように呼ばれることもあります。

セキュリティエンジニアは、セキュリティを専門に扱うエンジニアです。企業のセキュリティ対策状況の診断や立案、構築などを担当します。立案に際してクライアントとコミュニケーションを取るため、コンサルティングの面も大きいということです。

インフラエンジニアもセキュリティを扱いますが、セキュリティエンジニアはセキュリティに関してはさらに高度な知識とスキルが求められます。情報セキュリティ対策が求められる範囲は、サーバーやネットワーク、OSなど幅広いため、まずは特定の分野に絞って段階的にスキルを身につけていくと良いでしょう。

経済産業省のデータによる平均年収は、「IT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))」で758.2万円です。

セキュリティエンジニアについてより詳しく知りたい方は、ぜひ下記記事も合わせてご参照ください!

関連記事:未経験からセキュリティエンジニアに転職する方法

仕事内容

セキュリティエンジニアは、セキュリティに特化した専門家であり、企業のセキュリティ対策を担当するエンジニアです。
このコンサルティング的な側面もセキュリティエンジニアの重要な要素です。セキュリティエンジニアは単なる技術の専門家に留まらず、
ビジネスニーズやリスクマネジメントの観点からセキュリティ戦略を提案し、クライアントのニーズに適したソリューションを提供します。

やりがい

セキュリティエンジニアは、その専門的な知識とスキルで企業の貴重な情報資産を守り、クライアントの期待に応えることに誇りとやりがいを感じます。
企業や個人の機密情報を守ることは、社会的な重要性をもっています。そのため、セキュリティエンジニアは、自身の仕事に対して高いプライドと使命感を抱いているのです。

ITコンサルタント

ITコンサルタントは、企業の経営戦略の立案やITプロジェクトの推進、IT組織の立ち上げなどを行う職種です。

ITコンサルタントになると、サーバー構築やネットワーク運用など自身が手を動かすような技術的な仕事はなくなります。直接的に技術的な作業は伴わないものの、経営戦略や経営課題に対してIT戦略を策定する際に、インフラ構築や運用に関わる深い知見と幅広い経験が求められます。ITコンサルタントはシステム開発全般における高いスキルを活用し、提案や助言を行います。

また、ITコンサルタントといっても人によって得意分野は異なります。インフラエンジニアからキャリアアップする場合は、サーバーやネットワーク、セキュリティなど自分の強みを活かすと良いでしょう。

経済産業省のデータによる平均年収は、「コンサルタント」で928.5万円とIT関連産業の職種でもっとも高い年収です。

ITコンサルタントについてより詳しく知りたい方は、ぜひ下記記事も合わせてご参照ください!

関連記事:未経験からITコンサルタントになるには?書類選考・面接対策も解説

仕事内容

ITコンサルタントは、顧客のニーズや課題に的確に対応するため、ITインフラや経営戦略のアドバイスを提供します。

ITコンサルタントの使命は、顧客のビジョンと目標を理解し、それに合わせて最適なIT戦略を提案することです。そのためには、単に技術の知識だけでなく、ビジネスの視点も重要です。経営戦略の立案を効果的に支援するために、現在の経済情勢や市場の動向、競合状況など、幅広いビジネス関連の知識を継続的に学び続けることが重要です。

やりがい

様々な企業や業界からのオファーに応じることで、自身がITインフラの支えとなっている実感を強く得ることができます。
ITコンサルタントは、多種多様なプロジェクトに関わり、多くの組織の課題や目標に対する解決策を提供する役割を担います。
これによって、企業が円滑な運営や成長を遂げるためのキーパーソンとしての誇りを感じることができるのです。

ITアーキテクト

ITアーキテクトは、サーバーなどのインフラアーキテクチャ設計のみならず、顧客の経営戦略などに基づいてITシステム全体のグランドデザイン策定・企画・推進、アプリケーションアーキテクチャ設計といった仕事を担当する職種です。ITアーキテクトもインフラエンジニアと共通する領域が多く、キャリアチェンジとしても選択しやすい職種です。

経済産業省のデータでは、平均年収は「高度SE・ITエンジニア(基盤設計担当・ITアーキテクト)」で778.2万円と非常に高額です。

仕事内容

ITアーキテクトは、サーバーやネットワークなどのインフラ設計だけではなく、ユーザーの業務要件に基づいてシステム全体の設計やアプリケーションアーキテクチャの設計を行います。これには、顧客志向の視点とシステム全体への深い理解が不可欠です。

やりがい

ITアーキテクトの魅力は、自らの創造性を存分に発揮しながら、システムの設計に指導的な役割を果たせることです。

ITアーキテクトは単なる技術専門家の枠を超えて、ビジョンを持ち、戦略的かつ実用的なシステムをデザインするためのリーダーシップを担当します。これには、専門知識だけでなく、クリエイティブな発想とユーザー中心の設計思考も欠かせません。

クラウドエンジニア

クラウドエンジニアとは、クラウドサービスを利用したシステムを設計、構築、運用する専門家です。クラウドとは、インターネットを介してシステムの資源やサービスを提供・利用する考え方であり、物理的なサーバーやネットワークを自社で保有する必要がありません。計算資源やストレージはクラウドプロバイダーが提供します。

仕事内容

クラウドエンジニアはクラウド環境を最適化し、ビジネスの要求に合わせた効率的で柔軟なITインフラを構築する役割を果たします。仕事内容はインフラエンジニアと似ていますが、構築するITインフラの構成が異なります。自社内やデータセンターで物理的にサーバーやネットワークをつかって構築する(オンプレミス形態)インフラエンジニアに対し、インターネット上のサービスをつかってITインフラを構築する(クラウド形態)のがクラウドエンジニアです。

やりがい

クラウドエンジニアの魅力は、まず、最先端の技術に触れる機会が豊富であることです。
クラウドサービスは未だ進化の過程にあり、成長途上の業界です。
そのため、クラウドエンジニアは常に最新の技術にアクセスしすることができます。

さらに、クラウドエンジニアにとって、ITの幅広い知識は不可欠です。
これまでのエンジニアリング経験を通じて磨いてきたスキルを、クラウド環境で活かすことが可能です。クラウド環境での経験がなくても、インフラエンジニアとしてのシステム構築、運用、保守のスキルを活用することができます。

レバテックキャリアの求人情報によると、クラウドエンジニアの想定年収は500万円~1,000万円と幅が広いです。サービスをつかってITインフラを構築するだけでなく、コストや可用性を考慮したソリューションの設計をできるスキルがあると年収が高くなる傾向にあります。

以上でインフラエンジニアから目指せるキャリアパスを見てきましたが、下記記事ではインフラエンジニアとして転職する際の注意点について詳しく解説しております。インフラエンジニアの転職事情について気になる方はぜひ合わせてご参照ください。

インフラエンジニアの将来性

「インフラエンジニアの存在意義はなくなる」「将来性はない」といった声を耳にすることがあります。2020年の新型コロナウイルスの感染拡大で一躍話題となったリモートワークの動きにより、オフィス需要が減少していることが一因として考えられます。

結論を先に述べさせていただくと、インフラエンジニアの仕事がなくなる可能性は低いと考えられます。現在、IT業界ではクラウドやAI、IoTなど新しい技術が次々と登場しています。たしかに、これらのテクノロジーはリモートワークの時代になくてはならない存在です。同時に、従来型の社内ネットワークやサーバーは主流ではなくなっていくでしょう。

しかし、クラウドやIoTといった新しい技術の根本を担っているのもインフラであることに変わりはありません。クラウドもAIもIoTも、サーバーやネットワーク、セキュリティシステムがなければ動きません。つまり、求められる技術は変わっても、インフラエンジニアそのものの需要がなくなる可能性は非常に低いのです。

もちろん、これまで培ってきたスキルや知識があるからといって、過去のやり方にこだわっていると時代に取り残されてしまいます。インフラエンジニアとして、求められるスキルを常にアップデートしつづけることができれば、将来性は明るいと言えるでしょう。

関連記事:インフラエンジニアの年収は?|転職でキャリアアップするために知っておくべきこと

インフラエンジニアのキャリアパスに活かせるスキル

インフラエンジニアは、ITインフラに関する技術だけをもっていればよいというわけではありません。ご紹介したキャリアパスを考慮し、システム開発に関するスキルやマネジメントに必要なスキルもあるとよいでしょう。今後もインフラエンジニアとして活躍するために必要なスキルについて解説します。

プログラミングの知識

プログラミングはプログラマーだけが求められるスキルではありません。プログラミングの知識をもつと、サーバーの構築や設定をプログラムによって自動化でき、作業効率を飛躍的に向上させることが可能です。

例えば、夜間にデータのバックアップを取得したい場合は、時間指定でプログラムをセットすれば自動で取得できます。同じパラメータを設定した仮想環境を複数起動したい場合でも、プログラムを作成しておけばボタン1つで大量の仮想環境を自動で構築することも可能です。

大規模システムのインフラ運用を行う場合では、多くの作業をプログラムによって自動化していくことが求められます。そのため、プログラミングができるインフラエンジニアは重宝されます。

関連記事:インフラエンジニアもプログラミングスキルが必要な理由を解説

クラウドの知識とスキル

近年では自社でサーバーを構築して運用するオンプレだけでなく、インターネット経由でクラウド上に構築された仮想環境を使ってシステムを構築するケースが急速に増加しています。インフラエンジニアはクラウドの知識とスキルを身につけ、オンプレとクラウドの違いを理解して構築していくことが求められます。

クラウドはAmazonのAWS、Microsoft Azure、Google Cloudが特に有名です。少なくともこの3つのいずれかの知識、スキルは身につけておくとよいでしょう。

下記記事ではクラウドの中でも最もシェアが高いAWSを扱うのに必要なスキルについて詳しく解説しております。クラウドを扱うのに必要なスキルが気になる方はぜひ合わせてご参照ください。

関連記事:インフラエンジニアにAWSスキルが求められる理由

英語力

インフラエンジニアが扱う機器やソフトウェアは海外製品の場合が多く、マニュアルやドキュメント、メーカーサポートとのやりとりで英語が必要とされるケースがよくあります。日本語マニュアルや日本語で話せる担当者がいれば安心ですが、そうでない場合は対応が難しくなります。

特に機器故障やソフトウェアエラーなどトラブルが発生した場合では、英語マニュアルを読んだり海外エンジニアと英語で会話したりすることで迅速に解決できるケースも少なくありません。

また、新しい技術も海外から情報が得られる場合が多いため、英語が使えるとスキルアップにも役立ちます。

下記記事ではインフラエンジニアで英語が使えることで得られるメリットについて詳しく解説しております。英語が使えることのメリットが気になる方はぜひ合わせてご参照ください。

関連記事:
インフラエンジニアに英語を使えることで得られるメリット
インフラエンジニアに必要なスキルは?知識、資格まで徹底解説

コミュニケーションスキル

インフラエンジニアが構築するITインフラはシステム全体を支える屋台骨であるため、プロジェクト全体に影響を及ぼします。そのためプロジェクトマネージャーをはじめ、システムエンジニア・プログラマーと緊密に連携してプロジェクトを進める必要があります。正確かつ迅速に情報共有を行うために、高いコミュニケーションスキルが求められます。

インフラエンジニアのキャリアパス形成に役立つ資格

インフラエンジニアのキャリアアップ、キャリアチェンジにはさまざまな道があることが分かりましたが、スキルの証明として資格を取得しておきたいと考える方も多いことでしょう。しかし、一口に資格といってもさまざまな種類があり、レベルや難易度によっても求められる資格は異なるもの。

そこでここでは、インフラエンジニアのキャリア形成に役立てるために最低限取得しておきたい資格をいくつか紹介します。

ITパスポート

ITパスポートは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施している情報処理技術者試験の試験区分の1つです。情報技術に関する基礎知識を習得していることを認定する資格です。

エンジニアに限らずシステムを利用する社会人向けのエントリー試験であるため、IT未経験の方が最初に目指す資格としておすすめです。

AWS認定ソリューションアーキテクト

AWS認定ソリューションアーキテクトは、アマゾンのAWSに関する試験で、コンピューティング、ネットワーキング、ストレージ、データベースに関する知識を問われます。試験のレベルはアソシエイトとプロフェッショナルがあります。

AWSの資格試験は複数ありますが、AWS認定ソリューションアーキテクトは全体設計に関する内容になっているので、設計スキルと同時に幅広い知識を身に付けることができます。

CCNA

CCNAは、米国のネットワーク機器メーカーであるシスコシステムズが認定している資格です。ネットワークの基礎知識はもちろんですが、ルーティングやスイッチングの知識が問われます。

シスコシステムズが認定している試験にはCCNA以外にもエントリー向けの「CCENT」、プロフェッショナル向けの「CCNP」、エキスパート向けの「CCIE」のグレードがあり、CCNAはエントリーとプロフェッショナルの間のアソシエイトに位置しています。

CCNAはネットワークエンジニアの実務的なスキルや知識を図る資格という側面もあり、毎年多くの方が受験しています。インフラエンジニアとして活躍している方の中にもCCNAを保有している方は多いと思いますが、まだの方はぜひ取得しておきましょう。

CCIE

CCIEは、CCNAと同じくシスコシステムズが認定している資格です。エキスパート向けの資格であり、CCNA、CCNPの上位資格に相当します。試験難易度は高いですが価値も非常に高いため、ネットワークのエキスパートを目指す方は、ぜひ取得しておきたい資格です。

CCIEはコースが6種類あり、どれか1つのコースで合格すればCCIEに認定されます。

  • ・CCIE Enterprise Infrastructure

    ・CCIE Enterprise Wireless

    ・CCIE Data Center

    ・CCIE Security

    ・CCIE Service Provider

    ・CCIE Collaboration

ORACLE MASTER(オラクルマスター)

ORACLE MASTER(オラクルマスター)はデータベースのスキルを証明する資格で、日本オラクルが認定しています。Bronze、Silver、Gold、Platinumと4つのレベルが存在し、データベース運用やアプリケーション開発、アプリケーション・サーバ運用などの分野ごとに複数の試験が実施されています。

日本国内のベンダーが実施している試験ではありますが、Silver以上の認定を取得すると世界各国で活躍できる能力が認められます。

サーバーの管理・運用においてデータベースのスキルは欠かせないものであるほか、現在注目を集めているAIやビッグデータの領域とも関連性が深いです。オラクルマスターを取得することで、インフラエンジニア以外のキャリアパスも見えてくるといえるでしょう。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験は、情報処理推進機構(IPA)が運営している国家資格です。IT関連の国家資格は複数ありますが、プロジェクトマネージャ試験は上位資格です。基本情報技術者や応用情報技術者の上位に位置するので、これらの資格を取得してから受験するのが一般的です。

また、応用情報技術者試験に合格していると、プロジェクトマネージャ試験の午前試験が免除になります。プロジェクトマネージメントに特化した午後試験だけで良くなるので、基本情報技術者試験はジャンプしても良いですが応用情報技術者試験は先に合格しておくのがおすすめです。

ITストラテジスト

ITストラテジストは、プロジェクトマネージャ試験同様に情報処理推進機構(IPA)が運営している国家資格です。応用情報技術者試験の上位に位置すること、応用情報技術者試験に合格することで午前試験が免除になることも同じです。

試験レベルとしては、プロジェクトマネージャ試験とITストラテジスが並んでいます。同じレベルで、それぞれ分野が異なる問題が出題されるということです。午後試験はそれぞれ異なりますが、午前試験が免除になっていない場合、午前試験は共通しています。

Linux関連の資格

Linux関連の資格として、LPICおよびLinuCがあります。LPICは世界中で実施されている国際資格であり、LinuCは日本国内向けに最適化された、日本国内でのみ実施されている資格です。どちらもレベル1~3が存在し、最も難易度が高いレベル3は各分野ごとに科目が用意されています。

LPICはLinuxに特化した資格であるのに対し、LinuCはクラウドも踏まえた問題が出題されます。どちらを取得してもLinuxのスキルの証明に繋がりますが、海外で仕事をする人はLPIC、日本国内を中心に働く人はLinuCを取得するとよいでしょう。

未経験からインフラエンジニアになる場合のキャリアパス例

ここまで、インフラエンジニアとして活躍している方の今後のキャリアパスについて紹介してきました。しかし、これからインフラエンジニアとして活躍していきたいと考えている方は、どのようなキャリアパスが考えられるのでしょうか。ここでは代表的なルートを一つご紹介します。

1.ITインフラの監視業務

インフラエンジニアにとって初歩的な業務としては、監視業務があります。これはその名の通り、ネットワークインフラで異常が起こっていないか、不正アクセスの可能性がないかを監視する業務です。

主に死活監視や遅延監視、経路監視などの業務があり、万が一異常が起きた際にはトラブルシューティングを行うスキルも求められます。インフラエンジニア未経験者や、経験の浅い担当者の多くは監視業務からスタートすることがほとんどです。

2.ヘルプデスクでのサポート業務

社内インフラを運用する場合、ユーザーである従業員からの問い合わせに対応するのがヘルプデスクの役割です。「ネットワークにつながらない」「通信速度が遅い」といった問い合わせに対し、特定ユーザーのみの症状なのか、全社的に発生しているかなどの簡単なトラブルシューティングを行います。

相手の伝えたいことを汲み取ったり、わかりやすく簡潔に説明できるコミュニケーション力も要求されます。

3.ITインフラの運用・保守

運用・保守業務は主にユーザーアカウントの管理やアップデートの管理などを行います。インフラ構築が完了した後に行う業務で、万が一障害が発生した際にはトラブルシューティングを行い、原因を突き止めたうえで正式に報告を上げなければなりません。

運用・保守は経験の浅い担当者が担うといったイメージもありますが、インフラにおける幅広い知識が求められるため、必ずしも新人担当者だけが担う業務とは限りません。

4.ITインフラの設計・構築

インフラエンジニアの花形ともいえるのが設計・構築業務です。顧客が求める機能や仕様に沿って要件定義を行い、それを実際に形にしていきます。IT業界のエンジニアは終始PCに向かって作業をしているイメージを抱いている方も多いと思いますが、実際の現場では顧客とのコミュニケーションはもちろん、担当者同士でも連携を図りながらシステム構築を進めています。

また、はじめは要件定義に沿って構築を進めていきますが、インフラエンジニアとしての経験を積んでいくと設計や要件定義といった上流工程に関わる場面も増えていきます。

インフラエンジニアのキャリアパスについてのFAQ

インフラエンジニアのキャリアパスに関するよくある質問とその回答をご紹介します。

Q1. セキュリティエンジニアを目指すにはどんなスキルが必要ですか?

サーバーやネットワーク、OSなどをはじめとした幅広い知識を吸収しながらセキュリティ関連の知識も身につけていく必要があります。一度に全ての知識を網羅しようとするのではなく、まずは特定の分野に特化して段階的に知識とスキルを身につけていくのがおすすめです。

Q2. 活躍し続けるために取ったほうが良い資格は何ですか?

ネットワークの基礎とルーターやスイッチなどの機器に関連するスキルを身につけるためには「CCNA」、サーバー用OSであるLinuxの知識とスキルを身につけるためには「LPIC」、データベース関連のスキルを証明する資格として「ORACLE MASTER」などがおすすめです。

下記記事では、インフラエンジニアに役立つ資格について詳しく解説しております。インフラエンジニアに役立つ資格について気になる方は、合わせてご参照ください。

関連記事:インフラエンジニアに役立つ資格11選!各難易度と概要も紹介

Q3. 未経験から目指すためのキャリアパス例を教えてください

まずはインフラの監視やヘルプデスクでのサポート業務からスタートし、その後インフラの運用・保守、やがては設計・構築に携わって経験を積んでいくのが一般的です。未経験者がいきなり第一線で設計や構築に携わることはないため、下流工程から基礎を身につけていきましょう。

Q4. 女性インフラエンジニアの場合キャリアパスは変わりますか?

ITエンジニアは男性が多い傾向にありますが、スキルがあれば性別に関係なく評価されるため、女性でも男性と同じキャリアパスです。

インフラエンジニアは出産や育児で産休・育休に入っても、一般職と比べると復職は比較的容易です。なぜなら、インフラエンジニアの業務はスキルに応じて決まるため、業務内容が大きく変わることがないからです。そのため、スキルがあれば女性でも働きやすい環境といえます。

まとめ

この記事では、インフラエンジニアのキャリアパスや将来性などについて解説しました。インフラエンジニアに限ったことではありませんが、キャリアを考える上で重要となるのは「業界の変化を見極めて柔軟にスキルをアップデートしつづけること」です。今回この記事内で紹介した職種も、数年後にはどのようなスキルが求められるようになっているかは分かりません。

ぜひ、最新の技術動向などを見極めてスキルをアップデートすることを心がけてみてください。その先に新しいキャリアが待っています。

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この記事の監修

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