ネットワークエンジニアが習得すべきプログラミングスキルは?おすすめ言語や学習法も解説

最終更新日:2023年10月5日

これまで、ネットワークエンジニアにプログラミングスキルが求められることは稀でした。しかし、SDN(仮想的なネットワークをプログラミングで構築すること)の台頭により、プログラミングスキル習得の必要性が高まってきています。

またインフラ全般においても、クラウド環境への構築が一般化し、その設定はスクリプトによって実施する方法の普及が進んでいます。さらにはIaC(Infrastructure as Code)という考え方がインフラ構築において浸透しており、これらもネットワークエンジニアにプログラミングスキルが必要となる背景の一つとなっています。

本記事では、ネットワークエンジニアにプログラミングが求められるようになった背景や、仕事に役立つプログラミング言語とその学習方法を解説します。プログラミングを本格的に学ぼうか悩んでいるネットワークエンジニアの方の参考になれば幸いです。

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この記事のまとめ

  • ネットワークエンジニアがプログラミングスキルを身に付けることで、業務効率化や業務の幅を広げるのに役立つ
  • プログラミングスキルを身に付けることで、スキルのないネットワークエンジニアと差別化できる
  • サーバーサイド、フロントエンド両方のスキルを身に付けることで、インフラからアプリケーションまで対応できるフルスタックエンジニアになれる

ネットワークエンジニアにプログラミングスキルが求められる理由

ネットワークエンジニアはコンピュータネットワークの設計・構築・運用を行うインフラエンジニアの一種です。元々、インフラ系のエンジニアにはプログラミングスキルを求められることが少なかったのですが、近年ではネットワークエンジニアにもプログラミングスキルが必要となってきています。本項ではその理由について解説します。

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ネットワーク仮想化の対応に必要なため

ネットワークエンジニアの主な仕事内容は、ネットワークの設計・構築・運用保守です。具体的には、ネットワーク構成をもとにルータやスイッチなどの機器やファイアウォールを配置し、コンピュータネットワークを構成します。また、DMZ(非武装地帯=外部ネットワークと内部ネットワークの中間)を設けて、サイバー攻撃によるリスクを低減させることもあります。

こういったネットワーク構築の仕事の大半は、プログラミングスキルを必要としませんでした。しかし近年、ネットワークエンジニアにもプログラミングスキルを求める企業が増えてきています。

その理由として「ネットワーク仮想化(SDN=Software Defined Network)」の台頭が挙げられます。ネットワーク仮想化は、仮想的なネットワークをソフトウェアによって構築する技術です。

従来のネットワークは、物理的なサーバーとネットワーク機器を配置し、ケーブルを接続して構築していました。必要に応じてファームウェアやアプリケーションの設定の変更なども行っていました。一方、SDNではネットワークをソフトウェアを利用して構築することで物理的な作業を省略しつつ、迅速かつ柔軟なネットワーク構築が可能になります。

特にネットワークエンジニアの仕事として重要となるのが、SDNを支えるソフトウェアによるネットワークの制御技術「Open Flow」です。Open Flowは、「Open Flowコントローラ(経路制御)」と「Open Flowスイッチ(データ転送)」の2つで構成されます。ベンダーに依存しない「OpenFlowプロトコル」を採用しており、スイッチ・ルーター・ファイアウォール・ロードバランサーなどをプログラミングによって制御できることが特徴です。

SDNは「仮想化」の側面が強調されがちですが、本来はネットワーク構築をプログラミングで制御できる点が強みです。今後、SDNが広まることにより、OpenFlowに対応できるネットワークエンジニア(プログラミングスキルを持ったネットワークエンジニア)の価値は高まっていくでしょう。

クラウドの普及に伴いクラウドサーバーの管理が必要なため

オンプレミスからクラウドへ、インフラ環境の主流は大きく変遷を見せています。もちろん状況によってはオンプレミスを利用すべき場合もあるのですが、クラウドが第一の選択肢として考えられる程度には普及が進んでいるのです。

クラウドサーバーを利用するに伴い、ネットワーク環境もクラウド上へ構築する機会が増えました。クラウド上での環境設定では、ソフトウェア上の設定を行うことになります。GUIでの設定は効率的ではないため、スクリプトを利用した設定が主流です。各種の設定をスクリプト(プログラム)で効率的に実施するスキルが、ネットワークエンジニアにも求められます。

インフラに浸透しつつあるIaCへ対応するため

先にあげたクラウド環境への設定とも関連して、IaC(Infrastracture as Code)という考え方がインフラ設定において普及しつつあります。IaCではインフラの設定・構築をコード(プログラム)にまとめて自動化することにより、再現性や作業効率の向上、属人化の排除といったメリットを持ちます。

IaCでは既存のプログラミング言語などをもちいてインフラを構成するため、ネットワークエンジニアなどのインフラエンジニアにもプログラミングスキルの重要性が高まっているのです。

ネットワークエンジニアが対応する業務が広範囲化しているため

ネットワークエンジニアを含め、エンジニアの業務範囲は広範囲化しています。フルスタックエンジニアと呼ばれる、なんでもできるエンジニアが求められる傾向があります。エンジニアの業務が広範囲化している理由としては、学習のためのツールが充実していることや、技術の進歩により技術を扱うハードルが下がっていることなどが挙げられます。ネットワークエンジニアがプログラミングを扱えることで、ネットワーク構築に役立ち、またアプリケーションの開発も可能になります。

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自身の市場価値の向上のため

ネットワークエンジニアがプログラミングスキルを身に付けることで対応できる業務が増えるので、市場価値の向上につながります。ネットワーク関連の業務でも役立ちますが、プログラミング案件の獲得も可能です。

今後はインフラ側もソフトウェア側もツールが充実し、対応のハードルが低くなるでしょう。言い換えれば、一人のエンジニアが幅広く対応できるようになるということです。特定の分野しか対応できないエンジニアは淘汰される可能性があるので、スキルの幅を広げて市場価値を高めることは重要です。

ネットワークエンジニアの業務にも役立つ

ネットワークエンジニアの業務には単純作業や手作業では間に合わないようなものもあります。また手動で行うことも可能だが、自動化すると効率的、といった業務も多いでしょう。こういった場合にプログラミングによって自動化できると便利です。

逆に言えば、自動化できずに非効率なやり方を続けていると、あまり評価は上がりにくいかもしれません。本格的なアプリケーションを開発する必要はありませんが、ちょっとした作業をプログラミングで自動化できるスキルなどは業務に直接的に役立つ可能性が高いでしょう。

ネットワークエンジニアの仕事に役立つプログラミング言語

ネットワークエンジニアが仕事で利用する機会が多いプログラミング言語を紹介します。特にSDNにおけるOpenFlowコントローラの実装やIaCで利用される言語をピックアップしました。

これらのプログラミング言語は、SDNやOpen Flow以外の用途でも需要が高いため、いずれかひとつを身に付けるだけでエンジニアとして評価されやすい傾向にあります。ネットワークに関するスキルとプログラミングスキルに長けているエンジニアはまだ少ないので、これらを身につけることで市場価値の高いエンジニアを目指すことができるでしょう。

Ruby

RubyはWebシステムのバックエンド処理の開発などに利用されているプログラミング言語です。Rubyを使ってSDNを実装するメリットは、Tremaというオープンソースフレームワークを利用して効率的に実装が可能なことです。TremaはOpenFlowコントローラとOpenFlowスイッチの両方をシミュレーションできることが特徴で、日本国内で多く活用されています。

Java

JavaはWebシステムのバックエンド処理の開発からスマホアプリ、業務システムなど、幅広い領域で利用される汎用性の高いプログラミング言語です。利用者が多く、開発に必要な情報を得やすいこともメリットとなります。

Javaを使ってSDNを実装する場合、OpenDaylight、Brocade Vyatta Controller、Floodlight Open SDN Controller、ONOS等のフレームワークが利用可能です。どのフレームワークを使うかは、システムアーキテクトの方針などによりプロジェクト次第で変わってきます。

Python

Pythonは近年需要が高まっている汎用的なプログラミング言語です。Webシステムのバックエンド処理やビックデータ解析、機械学習を含むAIなどの開発に利用されます。

Pythonを使ってSDNを開発する際は、Ryu SDN Framework、POX SDN Controller といったフレームワークが利用できます。さらに、Pythonは各種のIaCツールで採用されているケースが多く、この点でもネットワークエンジニアにおすすめできるプログラミング言語です。

PHP

PHPはサーバーサイドの開発に使われることの多いプログラミング言語です。Web開発では幅広く使われる言語ですが、たとえばWordPressのようなCMSでも使用されることが多いです。比較的小規模な開発でも使いやすい言語で、汎用性の高さが魅力です。

C言語

SDN構築に利用できるオープンフレームワークのTremaはC言語にも対応しています。C言語はプログラミング言語としてベーシックで、C言語をマスターすることで他の言語にも取り組みやすくなるメリットを持ちます。ネットワークエンジニアにとっても今後の業務範囲を広げるプログラミング言語となるでしょう。

JavaScript

JavaScriptはWebページのフロントエンド開発で主に使用される言語です。ネットワークエンジニアはサーバーの方が近いので業務との関連性は薄いですが、業務範囲を拡大するという意味では習得メリットがあります。サーバーサイドの言語と合わせて習得すれば、ネットワークエンジニアでありながらアプリケーション側の処理も実装できることになります。

ネットワークエンジニアにおすすめのプログラミング学習方法

ネットワークエンジニアがプログラミングを学ぶ場合、どのような学習方法が効率的なのでしょうか。本項では、初めてプログラミングスキルを習得する場合の、プログラミング学習方法を紹介します。

書籍を使って学習する

書籍を使った学習は、仕事と並行しながらの独学が容易で、通勤や休憩時間といったスキマ時間を活用した基礎知識の習得がしやすいというメリットがあります。以下、言語別のおすすめ書籍です。

Rubyの学習する際におすすめの書籍

『3ステップでしっかり学ぶ Ruby入門』(竹馬 力、技術評論社)
プログラミング初学者を対象にしており、プログラミングのポイントを文法の基本から学ぶことができます。Rubyに限らず、プログラミング自体の入門書として活用できます。

Javaを学習する際におすすめの書籍

『スッキリわかるJava入門 第3版 (スッキリシリーズ)』(中山 清喬・国本 大悟、インプレス)
オブジェクト指向とJavaの基礎を学べる書籍です。読者特典として、ブラウザ上で動作する仮想開発環境「dokojava」が付属しているため、実際にプログラミングをしながら学習することができます。

Pythonを学習する際におすすめの書籍

『スラスラわかるPython 第2版』(岩崎 圭・北川 慎治・寺田 学、翔泳社)
プログラミング初学者を対象とした書籍で、開発環境の構築方法と基礎文法を丁寧に解説しています。

PHPを学習する際におすすめの書籍

『スラスラわかるPHP 第2版』(志田 仁美、アシアル株式会社)
スラスラわかるシリーズのPHP版です。プログラミング初心者からでも学習しやすいということで人気の書籍です。

C言語を学習する際におすすめの書籍

『Cの絵本 第2版 C言語が好きになる新しい9つの扉』(株式会社アンク著、翔泳社)
取りつきづらい印象を持たれがちなC言語ですが、入門書として親しまれているのがCの絵本です。イラストによる解説はイメージが付きやすく、プログラミング初心者にもおすすめです。

JavaScriptを学習する際におすすめの書籍

『確かな力が身につくJavaScript「超」入門 第2版』(狩野 祐東著、SBクリエイティブ)
プログラミング初心者向けにJavaScriptの基礎から解説した書籍で、王道と言えるでしょう。簡単なサンプルから手を動かして学んでいくことで、最終的にはJavaScriptで基本的なコードを書けるレベルになります。

スクールで学習する

独学にありがちな「開発環境の構築時点でのつまずき」や「応用スキルの習得」をスムーズに習得するには、スクール活用がおすすめです。スクールは、講師が不明点を回答してくれるため、効率的にスキルアップすることができるでしょう。スクールによっては転職支援までを対象とする場合もあり、転職まで視野に入れてスクールで学習する人が増えています。

tech boost

tech boostはオンラインと通学の両方が選べるスクールです。先に紹介した言語のうち、Ruby、Javaを言語として選択できます。現役エンジニアがメンターとしてサポートしてくれる点もメリットとなります。

TechAcademy

TechAcademyはプログラミング言語別のコースだけでなく、アプリ開発やWebデザインなど用途別など様々なコースが提供されているスクールです。Ruby、Java、Pythonの言語スキルが学習可能です。初心者向けから転職サポート付きまで、自分に合ったコース選択が可能です。

WEBCAMP PRO

WEBCAMP PROには、短期集中コース、専門技術コース、就業両方コースがあります。短期間でプログラミングスキルを身に付けたい方は3ヶ月でスキルが身に付く短期集中コースが合っています。専門技術コースは、AIやクラウドなどの専門技術を学べるコースです。就業両方コースは就職までを希望している人向けのコースなので、すでにエンジニアとして働いている人のニーズとは異なる場合が多いでしょう。

Webサイトを参考に実際に手を動かしてみる

プログラミング学習用のWebサイトの活用も、有効な学習手段の一つです。コストを抑えてプログラミングスキルを習得できることが大きなメリットとなります。

注意点として、Webサイトや書籍を使った学習の場合は、プログラムを読んだだけで学習ができたという錯覚に陥りやすい点があります。インプットだけでなくアウトプットを行わなければプログラミングスキルは身につきません。サイトや書籍はあくまで参考として、実際にプログラムを作成しながら学習することが重要です。

また、SDNを学習できるサイトとして「TremaでOpenFlowプログラミング」があります。図や例えが豊富で、SDNの初心者から学習可能です。書籍版もあるため、組み合わせることでより効率的に学習できます。

ネットワークエンジニアがプログラミングスキルを磨く際の注意点

ネットワークエンジニアがプログラミングスキルを磨くにあたって、事前に注意しておくべきポイントがあります。具体的には以下です。


  • ・無理に丸暗記しようとしない

    ・手を動かしながらわからないことがあれば都度調べるくせをつける

    ・独学以外の方法も視野に入れておくようにする

無理に丸暗記しようとしない

基本的に、プログラミングは丸暗記するものではありません。一つの言語であっても情報量は膨大で、一生使わない部分も多いでしょう。そのため、自分が使いたいコードや機能を理解していれば問題ありません。

また、自分が使いたいコードや機能についても、覚える必要はないです。調べながらコードを書くことができるので、覚えるのではなく使い方を理解しておけば使えます。繰り返し使用するコードは暗記しなくても勝手に覚えるでしょう。

暗記する労力と時間は無駄が多いと言えるので、その労力と時間は自分にとって必要なコードや機能を理解することに使った方が有意義です。

手を動かしながらわからないことがあれば都度調べるくせをつける

プログラミングはモノづくりのための道具です。読んで理解するだけでなく、自分で考えて実際に手を動かすことが重要になります。実際にコードを書いて実行してみると、自分が思っていた動きと違ったり、バグが生じたりといったことがあります。

その都度、トラブルに対処していくことでもスキルが身に付いていきます。全体のロジックをきれいに考えることも重要ですが、細かい部分に地道に対処していくこともプログラミングにおいては重要です。手を動かして調べてという試行錯誤の繰り返しです。

独学以外の方法も視野に入れておくようにする

プログラミングは独学でも習得可能ですが、スクールなどを利用するとより効率的に学習できます。今は完全オンラインで学習できるスクールも多いので、独学同様自宅で学習できます。スクール学習はカリキュラムが優れているというメリットもありますが、講師がサポートしてくれるというメリットも大きいです。

特に実際に手を動かして作業をすると、自分では解消できない不具合が発生することが多いです。すべて自力で調べながら解決するのは時間も労力もかかり、挫折する原因にもなりがちです。そのため、プログラミング学習の第一歩はスクール講師の力を借りるというのも一つの選択肢になります。

ネットワークエンジニアとして市場価値を上げるには

プログラミングスキルの習得以外の方法でもネットワークエンジニアとしての市場価値を高めることは可能です。本項では、プログラミングスキル習得以外のネットワークエンジニアとしての価値を向上させる方法について紹介します。

関連記事:
ネットワークエンジニアのキャリアパス|キャリアアップするためのポイントも解説
ネットワークエンジニアに必要な勉強内容とその学習方法

資格を取得する

資格を取得し、対外的にスキルを示すのも市場価値を高める方法の一つです。ネットワークエンジニアに役立つ資格を紹介します。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって運用される、ITエンジニアとしてのエントリレベルのスキルを示せる資格試験です。ハードウェア、ソフトウェアやネットワークからシステム開発プロジェクト手法など幅広く出題されるため、エンジニアとしての実務レベルのスキル保有を認定してくれます。

ネットワークエンジニアにとっても、ベースとなるITスキルが示せ、一定のプログラミングスキルの習得にも役立ちます。

ITパスポート試験

ITパスポート試験は、IT資格の中でも特に難易度の低い資格試験と言えるでしょう。ITに関する基礎中の基礎の内容を幅広く問う内容になっています。試験内容としては基本情報技術者試験とある程度類似していますが、ITパスポートの方が難易度が低いです。

基本情報技術者試験の前段階として、ITパスポート試験を受けるのは有効です。もしくは、ITパスポート自体は受験せず、基本情報技術者試験のための前段階として勉強してみるのも良いです。

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって運用される、ネットワークエンジニアとしてスペシャリストレベルのスキルを保有することを認定してくれる国家資格です。ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格では、ITスペシャリストのネットワーク分野のレベル4相当とされており、国内でのネットワークエンジニアとしてのスキルを示す資格試験の中でも最も知名度の高い資格です。

Cisco技術者認定

シスコ技術者認定はネットワーク製品大手のシスコシステムズの認定する資格です。ネットワークに関する知識やシスコ製品を扱うスキルを証明できます。エントリー、アソシエイト、スペシャリスト、プロフェッショナル、エキスパートの5つのレベルに分かれており、プロフェッショナル以上の試験では技術領域別にさらに詳細化された試験が存在しています(2023年9月17日時点)。ネットワークエンジニアにとっては大手ベンダーの資格試験であり、スキル証明として有用です。

プログラミング以外にもスキルを身につける

プログラミング以外の実務スキルを高めることも、ネットワークエンジニアとしての価値向上につながります。

システム運用スキル

ネットワーク構築後の運用・保守のスキルも評価の対象となります。継続的なネットワークの提供を行い、トラブル発生時の対処なども実務を通して習得したいスキルです。

セキュリティに関するスキル

ネットワークは直接的に外部との接続窓口となります。このため情報セキュリティが重要視される領域です。ネットワーク構築におけるセキュリティ確保はネットワークエンジニアとしても高く評価されるスキルとなります。

クラウドサービスに関する知識

インフラの構築対象の主流がオンプレミスからクラウドに移る中、ネットワークエンジニアもクラウド環境への対応が必要となります。クラウドの概念からクラウド環境上の仮想化された機器を使ったネットワーク構築、各種ベンダーの提供するクラウドサービスごとの特徴や設定方法など、今後必須となるスキルです。

ネットワーク仮想化の知識・スキル

クラウドとも関連していますが、ネットワークも物理的な構築から仮想環境への構築へ主流が移り変わっていきます。物理的なネットワーク構築の知識やスキルが不要になるわけではないのですが、SDNも含めたネットワーク仮想化への対応スキルを高めることがエンジニアとしての価値向上につながっています。

IaCやCI/CD関連ツールの利用スキル

ネットワークをはじめとしたインフラ領域で浸透してきている考え方とツールとしてIaC(Infrastructure as Code)およびCI/CD(Continuous Integration/Continuous Delivery)があります。IaCはインフラストラクチャの構成をコードで記載し自動化します。また、CI/CDはソフトウェア開発から生まれてきた考え方で、継続的インテグレーション/デリバリーを意味しており、テスト環境から本番環境への反映の自動化などを実現するものです。

いずれもツールを用いて実現するため、考え方の理解とツールへの習熟によってネットワークエンジニアとしての価値向上につながります。

マネジメントスキル

あらゆるITエンジニア職に共通する課題として、一人のエンジニアのこなせる仕事量には限りがあるということがあります。一定以上の作業効率化を行った先に、エンジニアとしてより多くの成果を出すことを考えると、チームを率いて複数のエンジニアのマネジメントをする立場となる必要が出てくるのです。

ネットワークエンジニアにとってもより多くの仕事をこなし、成果を出すためにマネジメントスキルが必要となっていきます。

論理的思考力

ネットワークは論理的なもので、少しでも不具合があると動きません。ニュアンスで汲み取るといったことはなく、即エラーにつながります。そのため、ネットワークを相手にするには論理的思考力が必須です。

また、コミュニケーションにおいても論理的思考力は重要です。ネットワークエンジニアはプロジェクト内で随時コミュニケーションを取る必要があるので、その点でも論理的思考力は必要になります。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションにおいて論理的思考力が重要とご説明しましたが、コミュニケーションスキルそのものも重要です。業務上コミュニケーションが必要なだけでなく、プロジェクト内でメンバー間の人間関係を円滑にするためにもコミュニケーションは欠かせません。

エンジニアは黙々と作業する職種と思われる場合がありますが、そういった場面も多々あります。しかし、ずっと一人で作業するだけというわけではなく、メンバー間や、クライアントとコミュニケーションを取ることもあります。

要件定義スキル

要件定義とは、システム全体に求められるものや設計の大枠を考え、クライアントへの提案を行う業務です。プロジェクトの最上流工程になります。ネットワークエンジニアとして経験が浅いうちは要件定義を担当することは少ないですが、キャリアを積み重ねると要件定義の工程も担当するようになります。早い段階から要件定義のスキルを意識的に身に付けるのがおすすめです。下流工程を担当しているときも、視野を広げて要件がどのようになっているのか資料などを積極的に確認すると良いでしょう。

ネットワークエンジニアの将来性

クラウドが主流化することで仕事内容の変容はあるものの、ネットワークエンジニアへの需要は継続的に存在しています。ITインフラにおいてネットワークは今後も欠かせない要素であり、ネットワークエンジニアは将来的にも一定の需要のあるエンジニア職種といえそうです。

2023年9月17日時点でレバテックキャリアの求人・転職情報から職種「ネットワークエンジニア」の求人・転職情報を参照すると448件が該当しました。同じインフラ系のエンジニアの「サーバーエンジニア」は576件と同等程度の求人・転職情報が存在しています。

また、サーバーやネットワークといったインフラをトータルで扱う「インフラエンジニア」では2,595件の求人・転職情報があり、ネットワークも含めた幅広いスキルを持ったインフラエンジニアが特に将来性が高いといえます。

ネットワークエンジニアの求人・転職情報

ネットワークエンジニアに関するよくある質問

ネットワークエンジニアに関するよくある質問と回答を紹介します。

Q1.ネットワークエンジニアになるために必要なことは?

ネットワークエンジニアには、ネットワークに関するスキルはもちろん土台となるスキルが重要です。具体的には、論理的思考力、情報収集力、問題解決力などが挙げられます。これらの能力があれば必要に応じて業務に必要なスキルを身に付けられるので、ネットワークエンジニアとして成長していけるでしょう。

Q2.ネットワークエンジニアにおすすめのプログラミング言語は?

ネットワークエンジニアにおすすめのプログラミング言語は複数ありますが、あえて挙げるなら1番にPython、2番にJavaScriptです。まずPythonはCisco機器、ネットワーク仮想化、AWSなどネットワークエンジニアの使用頻度の高い環境で動作できます。JavaScriptはフロントエンドまで対応可能範囲を広げるためにおすすめです。

Q3.ネットワークエンジニアとシステムエンジニアの違いは?

ネットワークエンジニアはネットワークを対象としていますが、システムエンジニアはシステムを対象としています。つまり開発現場では、ネットワークエンジニアが構築した土台の上に、システムエンジニアがシステムを作るということです。ただしネットワークエンジニアの活躍の場はシステム開発現場だけではありません。

まとめ

本記事では、ネットワークエンジニアとプログラミングの関係について、SDNやIaCといったインフラを取り巻く考え方の変化とあわせて解説してきました。ネットワークエンジニアは今後、ベンダー製品固有の知識、スキルだけでなく汎用的なスキル(SDNやOpenFlow)が求められる時代となっていきます。SDNやクラウド、IaCと本記事で解説したプログラミング言語を習得し、ネットワークエンジニアとしての市場価値を高めましょう。

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