ネットワークエンジニアとは?
ネットワークエンジニアの主な仕事内容は、ネットワークインフラの企画や設計、運用、保守などです。ネットワークとは、データの通信をするためにパソコンなどの機器とサーバー間を接続する通信設備を指します。安定した通信ができるように設計・接続し、不具合が起きた際の修繕作業もネットワークエンジニアの仕事内容に含まれます。
ITエンジニアと聞くと、アプリケーション開発を主な仕事とするアプリケーションエンジニアを連想する人も多いです。しかし、ネットワークエンジニアはシステム開発ではなくインフラ部分を担う仕事のため、両者は根本的に異なる職種です。
近年、多様で柔軟な働き方の実現を目指す「働き方改革」や、新型コロナウイルス流行をうけた「新しい生活様式」の実践をするため、テレワークを積極的に導入する会社が増えています。社外での業務にも対応できる、セキュリティの高いネットワーク環境を構築・運用できるネットワークエンジニアが求められています。
他職種との違い
ネットワークエンジニアの仕事内容はほかの職種と似ている点があるため、混同されがちです。その中でもシステムエンジニアやサーバーエンジニアとの違いが分からないという声が多くあります。転職を検討する際には、まず職種への理解を深めることが先決です。ネットワークエンジニアの仕事内容を再確認するとともに、他職種との違いを明確にしておきましょう。
以下では、ネットワークエンジニアの仕事内容を、2つの職種と比較しながらその違いを解説します。
システムエンジニアとネットワークエンジニアの違い
ネットワークエンジニアとシステムエンジニアが混同されやすいのは、どちらもシステムを構築する点が共通しているためです。もとはといえば、システムエンジニアの仕事内容を業務別に分けたうちの1つがネットワークエンジニアです。つまり、広義の意味では「システムエンジニア=ネットワークエンジニア」ともいえます。
違いは「どのようなシステムを構築するか」という視点で考えると分かりやすいでしょう。
ネットワークエンジニアはパソコンやスマートフォンなどをサーバーと接続する「ネットワークシステム」を構築します。一方でシステムエンジニアは会計管理システムや在庫管理システムなどの「コンピュータ上で扱うシステム」を構築します。
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの違い
サーバーエンジニアも同様にシステムエンジニアを業種別に分けたうちの1つです。
サーバーエンジニアの仕事内容は、主にサーバーの構築・保守です。その種類はクラウドサーバーやファイルサーバー、メールサーバーなどさまざまです。そのため、サーバーに特化した知識やスキルが求められます。
対して、それらのサーバーをパソコンやスマートフォンなどの機器とつなぐのがネットワークエンジニアの仕事内容になります。
ネットワークエンジニアの需要
ネットワークエンジニアは需要が増加傾向にあります。その背景にはIT技術の進歩が考えられるでしょう。具体的には、クラウド化、IoTを求める社会動向にともない、ネットワーク環境が多様化しています。また、車両や産業機械といったモノがほかの機器やサーバーなどと直接通信しデータをやり取りするM2M(Machine to Machine)も多くの分野で発展が期待されています。
このような通信環境の変化に対応していくには、先端技術に関するネットワークの知見が欠かせません。そのため、ネットワークエンジニアの活躍の場も広がってきています。また、IT業界はまだまだ人材不足の状況が続いているため、今後数年でネットワークエンジニアの需要が減少するといったことは考えられないでしょう。
ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークエンジニアの仕事内容としては、ネットワークの設計、構築、運用・保守といった、ネットワーク全般に関わる業務を行います。ネットワークとは、データの通信をするためにパソコンなどの機器とサーバー間を接続する通信設備を指します。安定した通信ができるように設計・接続し、不具合が起きた際の修繕作業もネットワークエンジニアの仕事です。
従来は、サーバーとネットワーク機器をケーブルで接続し、相互に通信ができる環境を構築する、いわばオンプレ環境での構築が一般的でした。
しかし昨今ではWi‐Fiなど無線を用いたネットワークや、クラウド上での仮想ネットワークの構築も仕事内容に含まれます。そのため、利用するネットワーク技術に対応したスキルが必要です。
ここからは、ネットワーク業務の各工程について詳しく解説していきます。
ネットワークの要件定義
上流工程にあたる要件定義は、特に重要視される部分です。顧客からの要望を正確にヒアリングし、現行のネットワーク状況を分析した上で行います。
主な仕事内容は、設計するネットワークシステムの範囲や拡張性、信頼性、性能などの定義、運用管理にかかるバックアップ、障害対応を含めた仕様の決定です。
ネットワークアドレスの管理や機器選定、ネットワークセキュリティなどさまざまな知識も求められます。そのため、主にPM(プロジェクトマネージャー)クラスの人材が要件定義を担当するケースが多いです。
最近では、Wi-Fi環境でのネットワーク構築が求められるケースが多く、IoTを用いたネットワークシステムも見受けられます。このような需要の高まりによって、BluetoothやZigBeeなどに代表される無線技術の知識も要求されます。
ネットワークの設計
設計段階では、要件定義書の内容をもとに、ネットワークシステムを構成する技術や製品の特性、導入事例などを参考にし、ネットワークを形にするための設計を行います。導入に適している製品や技術であるのかを事前にテストするケースもあるでしょう。
新規ネットワークシステムの設計に加え、既存のネットワークシステムからのリプレイス業務も担当します。その場合、業務に支障が及ばないよう事前に業務内容をよく確認した上で、移行計画を決定します。
具体的な作業例としては、以下が挙げられます。
・ネットワーク機器やケーブルの選定
・ネットワーク構成の策定
・プロトコルやIPアドレスおよびポートの割り振り
・サーバーやネットワーク機器への細かな設定
また、これらの内容をネットワーク設計書としてとりまとめ、管理しなければいけません。
ネットワークに導入する技術や製品などの要件が決まったら作業計画を立案し、ネットワークシステムの利用者やソフトウェアベンダなどの関係者および責任者へ設計レビューとして提案します。万が一ネットワークシステムに不具合が生じた場合、復旧作業についてもあわせて提案が必要です。
ネットワークの構築
ネットワーク構築では、スケジュールの検討・作業内容の計画からスタートします。その上で、ネットワーク機器の設置・配線を行います。あわせてソフトウェアのインストール作業なども必要です。
一連の構築作業を終えた後は、通信・ネットワークの負荷状況、セキュリティ面などを検証するためにテスト作業に移行します。テスト結果を文書としてまとめたものを顧客へ提示し、不具合がある場合はその箇所の修正作業が必要です。
ネットワークの運用・保守
ネットワーク構築が完了したら、保守・運用の工程となります。ユーザーからの問い合わせに対応したりトラブル時に原因を突き止め対処したりするのが主な業務です。
問い合わせは通信トラブルに関する内容が多いです。そのほか、専門知識を必要とするIPアドレスに関わる問い合わせやファイアウォールのポートについての依頼などもあります。
また、ネットワーク機器の運用・保守作業では、必要に応じて破損機器の交換、ルーターなどの各種設定の変更、ソフトウェアの更新などを行います。作業内容によっては、ネットワーク環境に支障をきたす場合があります。そのため、システムが稼働しない休日や夜間などの時間帯に作業するケースもあります。
運用・保守はネットワークエンジニアの初歩的な仕事内容ですが、専門知識や技術面でのスキルが求められ、ITインフラを支えるには欠かせません。
ネットワークエンジニアは楽しい?やりがいと大変さについて
ネットワークエンジニアの仕事内容を知っただけでは職種の魅力がイマイチ分からず、向いているかどうかの判断がつかない方も多いでしょう。ネットワークエンジニアは大変なこともあれば、楽しさややりがいを感じられる職種でもあります。転職を考える際には、良い面も悪い面もどちらも理解した上で自分が納得できる選択をすることが大切です。
では、ネットワークエンジニアの仕事内容において、どのような部分がやりがい・大変さにつながっているのでしょうか。以下で解説していきます。
ネットワークエンジニアのやりがい
ネットワークエンジニアの仕事は、その難しさゆえに達成感ややりがいにつながる場面が多いです。
仕事内容が大規模になればなるほど、作業が複雑で難しくなります。そのため、目の前の1つ1つの作業を確実にこなしていくには専門性の高い知識とスキルが要求されます。
たとえば、WAN、クラウド、オンプレなど接続範囲が広範囲になることがあります。その場合、それぞれの知見がなければネットワーク構築はできません。要件定義から構築までは1年以上の長期にわたる場合があります。すべての機器が接続でき、正常に動作したときの達成感は非常に高いです。
設計どおり従系のネットワークを使用して通信できることの達成感
大規模ネットワークだと、回線が1つ接続不可になっても通信が継続できる冗長構成をとるケースが多いです。冗長構成の設計、構築は非常に複雑で高度なスキルが要求されます。テストフェーズでは意図的に主系の回線を断ち、従系のネットワークでも通信可能かどうかを検証します。
設計どおりの動作が確認できたときは、長期にわたる苦労も忘れるような喜びがあります。
生活に必要な仕事で人の役に立っている実感が得られる
ネットワークエンジニアはITインフラを良好に保つためには欠かせない職種です。たとえば、ネットワーク環境が不安定だったり不具合があったりすると、さまざまな業務に支障をきたします。逆に、良好なネットワーク環境を提供できれば多くの人の業務を支えることにつながります。
水道や電気といったライフラインと同様に、安定したネットワーク環境も当たり前と思われがちです。しかし、それはネットワークエンジニアの細かな設計・構築・保守によって実現しています。経験を重ねていけば感謝の声をもらえる機会も多くあり、そのようなときには特に人の役に立っていると実感できます。
トラブルの原因を特定し解決するうちに自分の成長が感じられる
ネットワークエンジニアの仕事内容には、ネットワークシステムの不具合やトラブルがあった際の対応も含まれます。そのときによってパターンも原因もさまざまでしょう。そのため、1つの問題と向き合うたびに新たな発見があったりフィードバックをもらえたりと学べる機会が多いです。
次第に作業の精度やスキルが磨かれていき、自身でもスキルアップの過程を体感できます。現場での経験は、座学では得られない実践的なスキルの向上につながります。できなかった作業ができるようになるといった成長体験は、誰もが喜びを感じられるでしょう。
ネットワークエンジニアがきついといわれるわけ
ネットワークエンジニアがきついといわれる理由は、大きく3つあります。「技術を追いかけるのが大変」「勤務時間が不規則になりがち」「急なトラブル対応」です。
ネットワークエンジニアが取り扱う機器は多種多様です。たとえばファイアウォールをはじめとして、いろいろなベンダがたくさんの製品を世にリリースしています。基本的なネットワークの知識は変わらないですが、機器ごとに機能、設計内容、設定方法が異なります。つまり、1つの機器を覚えれば終わりというわけではありません。つねに最新機器の技術を追いかける必要があります。
また、勤務時間が不規則になりがちです。たとえばネットワーク切替や機器故障による交換は、システムを利用しない休日や夜間に作業する場合があります。そうなると日によって勤務時間が変わるため生活リズムが乱れやすいです。
さらに、重大なトラブルが発生した場合、昼夜問わず電話などで呼び出しがかかり、緊急で対応しなければなりません。ネットワークが停止するとシステム全体に影響をおよぼすため、短時間での復旧が求められます。
以上のことから、ネットワークエンジニアの仕事はきついといわれることも、少なくありません。
ネットワークエンジニアの将来性
ネットワークエンジニアの将来性について、転職を考える人にとっては気になる点の1つでしょう。
実際には、AWS、GCP、Azureなどの普及により、クラウド上にシステムを構築するケースが増えています。このようなクラウドの普及によって物理的な機器を取り扱うことが少なくなったため、将来性を危惧する声があります。
クラウドが存在しなかった時代は、物理的なファイアウォールやルータ、スイッチなどの物理機器を結線し、それぞれの機器に設定を入れ込んでネットワークを構築する仕事が主流でした。
しかし、クラウド上にも仮想的なファイアウォールやルータが存在し、ネットワークやセキュリティの高度な知識が要求されます。物理的な機器を扱う機会が減っている一方で、仮想的な機器に設定を入れるといった仕事内容が増えてきています。
また、すべてクラウドに移行するわけではなく、オンプレで運用、保守するシステムが必ず残ります。ここには、物理的なネットワーク機器が存在するので、ネットワークエンジニアの仕事がなくなることはありません。
ネットワークエンジニアに向いている人
ネットワークエンジニアに自分が向いているのかどうか考える人も多いでしょう。転職を考えるとき、向いていない仕事を選択するのは、その後のキャリアにも関わるため理想的ではありません。ネットワークエンジニアの仕事内容や求められるスキルなどをよく理解し、それらを考慮した上で判断するのが良いでしょう。
ここではネットワークエンジニアに向いているのがどのような人なのか解説します。自分が向いているかを検討する参考にしてください。
新しいものが好きな人
新しいものへの関心が強い好奇心旺盛な人は向いているでしょう。たとえば、スマートフォンの新しい機種が発売されると、いち早く手にし、検証するような人です。そのような資質は、先端技術に敏感でなくてはならないネットワークエンジニアとの親和性があります。新しいトレンドや技術を追いかけるのが好きな人に向いています。
細かい作業が得意
ネットワークエンジニアは、大量にある機器に正確に設定を入れていく必要があります。その作業は非常に細かく、設定が1つ違えばうまく動作しません。設計した内容を間違いなく設定していく緻密さが要求されます。複雑な作業でも夢中で進められる人はネットワークエンジニアに向いているでしょう。
慎重な人
ネットワーク環境は小さな問題といえどもその影響は大きなものになりかねません。そのため、慎重に作業できる几帳面さを備えている人が適しています。
また、本番で動作している機器を取り扱うことがあります。その場合、本番で動作している機器に誤った設定を入れてしまうと取り返しのつかない障害になります。ネットワークエンジニアには慎重に作業をすることが要求されます。
トレンドをキャッチしながら新しい技術を吸収できる人
トレンドに敏感であることは重要です。IT業界の動向の変化は激しく、トレンドや先端技術に追いつく姿勢がなければ、すぐにほかのエンジニアに追い抜かれてしまうでしょう。
ネットワークエンジニアに望まれる仕事内容も、クラウドやIoT技術の進歩によって変化してきています。従来求められていたものだけでは今後も活躍し続けるのは難しいといえます。
ネットワークエンジニアとして市場価値を高めていくためにも、最新情報をこまめにチェックする習慣があると望ましいです。また、学習を継続し、知識や技術を吸収できる人が向いています。
どのようなときも冷静で忍耐力がある人
ネットワークエンジニアの仕事内容は専門性が高く、複雑で難易度の高い作業もあります。難解で逃げたくなるような壁に直面する場面もあるでしょう。そのような時でも落ち着いて考え、目の前の問題に向き合える強さが大切です。
冷静さを欠いてしまうと誤った判断や行動につながりやすく、周囲に迷惑をかけてしまう事態にもなりかねません。どのようなときも冷静に判断し、仕事をやり遂げようとする忍耐力を持っている人が向いているでしょう。
コミュニケーション能力が高い人
ネットワークエンジニアはコミュニケーション能力も求められます。仕事のあらゆる場面で、サーバーを構築するサーバーエンジニアをはじめとするほかのエンジニアや社内の人、同じ作業に関わるメンバーとの協力が欠かせません。
その際、言葉足らずであったり雑な伝え方をしてしまったりすると、相手の誤解を招き、結果として仕事のミスにつながる可能性があります。このような事態とならないためにも、分かりやすくスムーズに意思疎通できる高いコミュニケーション能力が必要です。コミュニケーション能力に自信がある人はネットワークエンジニアに向いています。
ネットワークエンジニアの年収相場
ネットワークエンジニアを目指す上で気になるのが年収相場です。2024年2月5日時点でレバテックキャリアに掲載されている求人から、ネットワークエンジニアの年収を算出してみました。その結果、ネットワークエンジニアの平均年収は約438万円〜825万円でした。ネットワークエンジニアの求人は実務経験が重視され、スケールが大きな仕事内容ほど年収が高くなる傾向が見受けられます。
年収1000万円以上クラスの案件を見てみると、ネットワークエンジニアとしての経験以外にもプラスαの経験やスキルが必要です。たとえば、Linux系OS、Windowsを扱うサーバーエンジニアの経験や、データベースエンジニア、クラウドシステムの運用経験など、多岐に渡る実務経験が求められることが多いようです。
未経験または実務経験が浅い場合は、資格を持っていたとしても運用や保守業務からスタートするのが一般的です。未経験の場合は年収300万円前後を提示している企業が多いようです。年収は低めと感じるかもしれませんが、充実した研修が受けられる点は未経験者にとってはメリットでしょう。
ネットワークエンジニアの求人例
ネットワークエンジニアの平均的な年収相場を知るためにも、実際にレバテックキャリアに掲載されている求人情報を見てみましょう。求人例を見ると、年収以外にも自分に足りない経験やスキル、詳細な仕事内容が分かるため、転職を考える上で参考になるはずです。
【想定年収】
450~850万円
【業務内容】
大手企業におけるネットワークの設計・構築・運用、検証に関わる業務(フルフレックス、一部リモートワーク可)
【求められるスキル・経験】
・ルーター、ファイアウォール、VPNのいずれかの構築経験(Cisco、FortiGate)
・ルーター、ファイアウォール、VPNのいずれかの設計作業経験
・試験項目作成、試験対応経験
・コミュニケーションをしっかり取れる方
・サイバーセキュリティ分野において新しい知識の習得が好きな方/積極的に行える方
【今後のキャリアパス例】
・セキュリティを含めた技術力を向上させ、スペシャリストとして成長できる
・案件をリードするプロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを目指せる
・メンバーの育成などマネジメント業務に関わるポジションを担当する
未経験からネットワークエンジニアになるには
ネットワークエンジニアに関心があっても目指し方が分からず、最初の1歩がなかなか踏み出せない人もいるのではないでしょうか。未経験からの転職というケースであれば、なおさら迷いや疑問も多いものです。
未経験からネットワークエンジニアとしてのキャリアをスタートする場合、はじめは運用・保守の業務を担当するケースがほとんどです。運用・保守の業務で経験を積んでから上流工程の担当者を目指します。
つまり、最初の仕事内容は運用・保守業務が多いため、それに関わる知識の定着は必須といえます。未経験からの転職を後押しするマインドやスキル・資格としては以下が挙げられます。すべてネットワークエンジニアに求められるものなので知っておくと良いでしょう。
求められるマインド・スキル
ここでは、ネットワークエンジニアとしてのスタートラインに立つために、身につけるべきマインドセットとスキルを紹介します。マインドは目に見えるものではありませんが、仕事と向き合う心構え
として必要なものです。求められるマインドを知り意識する習慣がつけば、転職後にネットワークエンジニアとしてとるべき行動が自ずと身についていきます。あわせて、知識やスキルの定着を目指しましょう。
技術への探究心
ネットワークエンジニアに限らず、ITエンジニアに共通して求められるマインドとして重要なのが、「技術への探究心」です。
IT業界は変化が目まぐるしく、数年前の技術や製品が古いものとして認識されていたり、トレンドとは大きくかけ離れた存在になっていたりする現状があります。ネットワークにまつわる技術に興味をもち、つねに疑問を抱いて自ら解決していく姿勢こそがネットワークエンジニアとして成長する肝といえるでしょう。
好奇心
組織を支えるシステムの構築者として、ネットワークエンジニアは自分の専門領域に対する強い探究心が求められます。さらに、広くアンテナを張り、自身の仕事に役立つヒントを積極的に拾い上げるマインドセットも必要です。他領域についての知識の貯蓄は他者理解につながるため、仕事を円滑に進める上でも役立ちます。
基本的なネットワークエンジニアリング技術
技術的な知識として最低限身につけておきたいものとしては、ネットワーク階層やネットワークプロトコル、アドレス体系、符号化、データ伝送の仕組みなどの基本的なネットワークの知識です。CCNAなどネットワーク関連の資格試験では必ずといっていいほど登場する内容なので、事前に勉強しておきましょう。
最新のIT動向に関する知識
クラウドコンピューティングやエッジコンピューティングに関する知識、およびIoTやビッグデータ、AIなど最新のIT動向に関する知識も取り入れておいたほうが良いでしょう。実際の現場ではこれらのワードが頻繁に飛び交うことも多く、ネットワークの基礎知識だけではカバーできない領域でもあります。
コミュニケーション能力
ネットワークエンジニアは要件ヒアリングや結果フィードバックを頻繁に行うため、コミュニケーション力が重要視される職種です。そのため、顧客の要望を適切に汲み取る能力や、難しい言葉を使用せずとも意図を明確かつ簡潔に伝えられるスキルがあると望ましいです。コミュニケーション能力は、ネットワークエンジニアを目指す上で意識的に鍛えるべき能力の1つといえるでしょう。
役立つ資格
体系的に広くネットワークに関する知識とスキルを習得するには、資格取得が有効です。未経験からネットワークエンジニアに転職する場合、経験者に比べ、アピールできる点が少ないことが懸念されます。
アピールポイントを増やし、ほかのライバルとの差別化を図るためにも資格取得はおすすめです。また、仕事内容を理解するのにも資格学習が役立ちます。未経験の場合は実務経験がないためハードルが高いですが、難しい資格ほど評価されやすい傾向があります。
以下のような資格を取得すればスキルの証明になる上、スキルアップにもつながります。
シスコ技術者認定資格
「シスコ技術者認定資格」は、シスコシステムズ合同会社が実施する資格です。技術レベルに応じて「CCST」、「CCNA」、「CCNP」、「CCIE」と複数のグレードに分かれており、自分のレベルに合わせて受験できるため、未経験者におすすめです。
難易度が低いのはエントリーレベルの「CCST」ですが、ネットワークの知識がある程度備わっていることを証明するのであれば「CCNA」まで取得するのがおすすめです。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は、IPAが実施するネットワーク分野における国家資格です。ITスキルでいうとレベル4に該当し、ネットワークのスペシャリストであることが証明できます。試験に合格するにはネットワーク分野における幅広い領域の知識が必要です。設計から仕様書の作成、論理・物理設計、ネットワーク構築など専門性の高い内容が問われます。
令和5年度春期試験の合格率は14.3%と低く、非常に難しい資格といわれています。挑戦する場合、実務経験を5年程度積んでから受験するのが望ましいでしょう。
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士は「登録セキスペ」とも呼ばれます。セキュリティ分野において高度な専門知識があることを証明できる国家資格です。主にセキュリティ全般に関わる問題が出題されます。また、セキュリティマネジメントやインシデントの適切な管理など、ネットワークエンジニアの仕事に役立つ内容も広く学べます。
令和5年度春期試験は合格率が19.7%と比較的難易度が高いです。適切な情報管理は多くの企業でも重要視されているため、ネットワークセキュリティに携わる人材には必須の資格といっても過言ではありません。
ITパスポート試験
ITパスポート試験はIT知識の基礎に関わる問題が出題されます。ネットワークエンジニアの仕事に役立つネットワークの知識やプロジェクトマネジメントなども学べます。ネットワークエンジニアとして今後より高度な資格に挑戦するためにも、まずはITパスポート試験で腕試しをするのも良いでしょう。
また、ITパスポートはIT業界に限らず、さまざまな業界で資格取得者が増えています。IT機器に関わる人の共通知識として、パソコンを使用するバックオフィス担当者に取得を推奨する企業が多く見られます。ネットワークエンジニアのように現場で活躍する職種であれば、なおさら必須資格ともいえるでしょう。合格率は50%前後となっており、比較的挑戦しやすい資格です。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITパスポートの取得後に挑戦する方が多いです。エンジニアであればこの資格を知らない人はいないでしょう。そういえるほどエンジニアにとって共通かつ基礎となる知識が問われます。また、システム開発やソフトウェア設計といった現場で活用できる実践的な知識も幅広く学べる内容です。また、国家資格でもあるため、合格すれば一定スキルのアピール材料として有効です。
基本情報技術者試験は随時開催されているため、効率よく学習できれば短い期間で取得できるでしょう。また、ITパスポートと比べると難易度はやや高いです。令和5年度12月の合格率は41.7%でした。
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ネットワークエンジニアに必要な勉強内容とその学習方法
ネットワークエンジニアのキャリアパス
ネットワークエンジニアは専門性が高いため、経験を積んでスキルを極めれば活躍の場を大きく広げられる可能性があります。その分、任せられる仕事内容のプレッシャーや責任の重さも大きくなりますが、キャリアアップにつれ年収アップも期待できるでしょう。
ここでは、ネットワークエンジニアとして充分な経験を積んだ後、どのようなキャリアパスがあるのか解説します。
まずは上流工程の担当者を目指す
はじめのうちは保守・運用に多く携わるネットワークエンジニアですが、直近の目標としては構築作業に携われるように努力してみましょう。そのためには上位資格の取得にチャレンジするのがおすすめです。また、サーバーやセキュリティ関係のものなど、付随する資格の勉強をしてみるのも良いでしょう。
客観的にスキルが把握できる資格を持っておけば、上流工程にステップアップするチャンスも得やすくなるでしょう。たとえばシスコ技術者認定資格の「CCNA」が挙げられます。ほかのエンジニアとの差別化を図りたいのであれば、さらに上位の「CCNP」以上の資格がスキルの証明として有効です。
スペシャリストを目指す
スペシャリストとは特定分野における専門家を指し、経験や実績が豊富なプロフェッショナルの人材です。ネットワークエンジニアとして上流工程に携われるようになったら、さまざまなネットワーク構築案件に携わり、多くの経験を積んでスペシャリストを目指しましょう。
仕事内容は中小規模のネットワーク構築案件が多いですが、要件定義からネットワーク設計、構築までを一貫して対応できるようになると、プロジェクトマネージャーへの道が見えてきます。
スペシャリストは技術的なスキルを極めた現場のプロであり、プロジェクトマネージャーは現場を統括するマネジメントの役割を担う人材です。まずは現場を知る意味でもスペシャリストを目指し、その上でプロジェクトマネージャーの道に進めるか判断するのがおすすめです。
スペシャリストとしての十分なスキルを証明するための資格である、「ネットワークスペシャリスト試験」に挑戦してみると良いでしょう。上位資格を持っていれば、次なるステップへの足がかりになる可能性もあります。
ゼネラリストを目指す
ネットワークエンジニアとして十分な経験とキャリアを積んだあとは、ゼネラリストとしての道に進むのもおすすめです。ゼネラリストとは「幅広い知識や知見を有する人材」という意味をもち、専門家を意味するスペシャリストの次のステップともいえる存在です。
たとえば、ネットワークエンジニアとしての実務経験を活かしたコンサルティング業務がゼネラリストの仕事内容の1つに挙げられます。単に顧客のリクエストや要望を形にするのではなく、顧客の本質的な課題を解決するためにプラスαの提案を行います。そのためにはネットワークシステムとの関連性が高いクラウドやIoTなどの知識も求められるでしょう。
フリーランスとして独立する
経験を重ねて実績が認められるレベルになれば、フリーランスとして独立する道も現実的なものになります。会社員は与えられたポジションや仕事に従事する必要があります。一方で、フリーランスとして独立すれば、ネットワークエンジニアの経験を活かして自分で仕事を選べるようになり、働き方も自在にコントロールできます。
また、十分なスキルを身につけた上でフリーランスになると、それまでの会社員としての年収より大幅な収入アップが期待できます。
関連記事: ネットワークエンジニアへの転職方法|ポイントやキャリアパスも紹介
ネットワークエンジニアに関するよくある質問
ネットワークエンジニアのような専門性が求められる技術者に憧れや関心を持つ人は多いです。将来性や年収を考慮しても懸念点が少ないため、転職やキャリアアップを考えるときの候補とされる傾向も見られます。
ただし、仕事内容が似ているシステムエンジニアやサーバーエンジニアといった職種と混同されがちです。また、仕事内容は企業によって異なる場合があるため、職種への理解とともに候補先の求人内容をよくチェックしなければいけません。
以下のよくある質問では、職種への理解に役立つだけでなく、人によっては新しい発見もあるでしょう。また、ネットワークエンジニアに関する知っておいて損はない点が多く含まれるので、ぜひ参考にしてください。
Q1. ネットワーク構築業務とは何ですか?
スケジュールや設計した内容に基づき、ネットワークを構築する作業です。具体的には、ネットワーク機器を設置・設定し、ケーブルを配線してサーバーやネットワーク機器同士を接続します。その後、通信の動作確認を行います。大規模ネットワークを構築する場合は、数ヶ月~数年の長いスパンで計画されることもあるでしょう。
Q2. ネットワークエンジニアはどこで働きますか?
自社内のネットワーク構築の場合は自社ですが、派遣や業務委託の場合は客先常駐もあります。システムを構成するサーバーやネットワーク機器がデータセンターに設置されている場合は、ネットワークの構築およびメンテナンスをデータセンターで行います。とはいえ、ほとんどが自社または常駐先などのオフィス勤務です。
Q3. ネットワークエンジニアはやめとけといわれる理由は何ですか?
「やめとけ」といわれるのは、夜間や時間外の仕事が発生するため勤務時間が不規則になりやすいからです。ネットワーク構築や機器の交換作業、重大な問題などが発生すると休日夜間問わず呼び出され、対応しなければなりません。また、スピーディーかつ正確さが求められ、プレッシャーをかけられることも少なくありません。
まとめ
この記事では、ネットワークエンジニアの仕事内容ややりがい、将来性、年収、役立つ資格、キャリアパスなどを解説しました。あらゆる業界の仕事においてネットワークシステムといったITインフラは必要不可欠です。そして、ネットワークシステムは、ネットワークエンジニアなくして成立しないものといえます。
未経験からネットワークエンジニアになるには、幅広いスキルと知識を身につける必要があります。そのため、短期間で上流工程を担当するネットワークエンジニアになるのは少々難易度が高めです。まずはネットワークの基礎知識を身につけ、運用・監視業務を確実にこなすことがファーストステップです。運用・監視業務を通して実務経験を積み、資格取得で不足スキルを補填しながら高みを目指しましょう。
関連記事: ネットワークエンジニアの志望動機の書き方は?例文も交えて解説
ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア職を専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通しており、現状は転職のご意思がない場合でも、ご相談いただければ客観的な市場価値や市場動向をお伝えし、あなたの「選択肢」を広げるお手伝いをいたします。
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