- ネットワークエンジニアの「監視」「運用」「保守」の違いとは?
- ネットワーク運用/保守の働き方のリアル
- ネットワーク運用/保守の「つらさ」と「やりがい」
- 【フェーズ別】ネットワークエンジニアの監視/運用/保守業務に必要なスキル
- ネットワーク運用/保守の将来性
- ネットワークエンジニアの年収相場
- ネットワーク運用/保守からのキャリアパス
- ネットワークエンジニアの運用/保守に関するよくある質問
- まとめ
ネットワークエンジニアの「監視」「運用」「保守」の違いとは?

ネットワークエンジニアの下流工程は、主に「監視」「運用」「保守」の3つに分類されます。
これらの業務は密接に関連していますが、それぞれで役割と責任が異なります。企業によっては「運用保守」として一括りにされたり、定義が多少異なったりする場合もありますが、本記事では一般的な役割分担に基づいて解説します。
監視業務
監視業務は、ネットワークシステムの状態を24時間365日体制で監視し、異常や障害を早期に発見する業務です。監視業務の主な内容には、以下のような作業があります。
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・監視ツール(Zabbixなど)が発するアラートの検知
・内容確認
・手順書に基づく運用担当者へのエスカレーション
この業務により、システムの安定稼働を維持し、ユーザーへの影響を最小限に抑えることができます。なお、監視業務は手順書に沿って動くことが多いため、ネットワークエンジニアになる場合、監視業務から始まるケースがほとんどです。
また、日々の監視を通じて異常の兆候やパターンを読み取る経験が積めるため、今後の運用業務や構築業務で早期発見ができたり、効率的な業務が可能になります。
運用業務
運用業務は、ネットワークシステムを日常的に管理し、安定した稼働を維持するために実機の目視確認やログ取得などを行う業務です。運用業務の主な内容には、以下の作業があります。
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・ネットワーク機器へのログインによる状態確認(ログ取得、CPU/メモリ使用率確認など)
・ソフトウェアアップデートや設定変更の反映(軽微な更新レベルまで)
・ネットワーク障害の一次切り分け(ケーブル断線/ポート障害/機器停止などの判断)
・問題の内容に応じた、保守担当/ベンダー/上位エンジニアへのエスカレーション
・障害や作業履歴の記録、報告書の作成
ネットワークエンジニアの運用業務の目的は、企業のネットワークを 安全・安定・最適な状態で稼働させ続けること にあります。ネットワークは企業活動の基盤であり、一度でも停止すれば業務全体に大きな影響を与えます。
そのため運用業務では、機器や回線を常に監視し、異常を早期に発見して障害を未然に防ぐなど、ネットワークの安定稼働を維持することが最優先です。
また、運用業務の特徴は、監視で得られる状況把握に加えて、実際にネットワーク機器へアクセスしながら原因調査や改善対応を行う機会が増えることです。問題の切り分けや設定の確認など、より上流工程に近い作業を通じて、ネットワーク全体の仕組みを深く理解できるようになります。
保守業務
保守業務は、ネットワークシステムに発生した障害の対応や、機器のメンテナンス作業を行う業務です。保守業務には、以下のような作業が含まれます。
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・ネットワーク機器の定期点検・ヘルスチェック
・メーカー推奨に基づくソフトウェアアップデート・セキュリティパッチの適用
・ハードウェア故障時の交換対応 や、必要に応じた メーカー修理依頼
・老朽化や故障リスクを見据えた機器リプレースの提案・計画
・サービス品質維持のための 構成最適化・改善提案
システムの機能回復(障害対応)と予防保全(故障予防・品質維持)を通じて、ネットワークの可用性を継続的に保つことが保守業務の役割です。
定期点検やアップデート適用、故障時の交換対応など、実際にネットワーク機器に触れる機会が多いため、インフラの仕組みや特徴を短期間で深く理解できるのが特徴です。
さらに、ハードウェア修理の手配や保守契約の調整など、メーカーやベンダーとのコミュニケーションも発生します。そのため、技術力に加えて、折衝力・調整力・協力体制を築くスキルが求められるポジションといえます。
関連記事:ネットワークエンジニアとは?役割や仕事内容、未経験から目指す方法
ネットワーク運用/保守の働き方のリアル
ここからは、ネットワーク運用/保守エンジニアの一日の流れや、残業・休日出勤の実態について解説します。
それぞれ見ていきましょう。
運用/保守を担うネットワークエンジニアの一日の流れ
運用/保守を担うネットワークエンジニアの一日は、シフト勤務による監視・対応が基本となります。2交代制と3交代制の2つに大別され、常にシステムの安定稼働を維持する体制が構築されています。
日勤シフトの場合の一般的な流れは、以下のとおりです。
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・8:30~9:00 夜勤者からの申し送り、システム状況確認
・9:00~12:00 定期メンテナンス作業、設定変更作業
・12:00~13:00 昼休憩
・13:00~16:00 障害対対応(随時)、作業記録や再発防止のためのドキュメント作成
・16:00~17:30 夜勤者への申し送り準備、作業報告書作成
夜勤シフトでは、主に監視業務と緊急対応が中心です。たとえば、アラート対応や障害発生時の初期対応、定期的なシステムチェックなどを行います。また、深夜帯にメンテナンス作業を実施することも多く、ユーザーへの影響を最小限に抑えた運用が求められます。
ネットワーク運用/保守の残業・休日出勤
ネットワーク運用/保守の残業や休日出勤は、システム障害の発生状況や定期メンテナンスのスケジュールによって大きく左右されます。ネットワークエンジニアはシフト制で勤務することが多く、通常は残業や休日出勤が発生することは少ないのが特徴です。しかし、以下のようなケースでは、予定外の対応として残業や休日出勤が発生することがあります。
残業が発生する主なケースは以下のとおりです。
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・重大な障害発生時の復旧作業
・定期メンテナンス作業の延長
・システムアップグレード作業
・セキュリティインシデント対応
・ベンダー対応や会議の延長
休日出勤については、多くの企業でオンコール体制を採用しています。通常は監視システムや自動化ツールによって障害の検知・一次対応が行われますが、運用/保守業務に関連して、人的対応が必要になるケースもあります。
たとえば、突発的なネットワーク障害の復旧対応、機器故障や回線障害による緊急交換作業、重要システムの定期メンテナンスやアップデート作業で、予定外に対応が必要になった場合が挙げられます。
近年では自動化や監視の高度化により、人的対応の頻度は減少傾向にありますが、完全にゼロにはならず、必要に応じて対応できる体制が求められる点は把握しておきましょう。
ネットワーク運用/保守の「つらさ」と「やりがい」
ここでは、ネットワーク運用/保守の「つらさ」や「やりがい」について解説します。
それぞれ解説するので、転職を検討している方は参考にしてください。
運用/保守のつらさ
運用/保守エンジニアが直面する主なつらさは、以下のとおりです。
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・夜勤や休日出勤による生活リズムの乱れ
・突発的な障害対応によるプライベート時間の削減
・重大な障害発生時のプレッシャー
・単調な業務による精神的な疲労
・技術の進歩に追いつくための継続的な学習負担
・キャリアが停滞する不安
たとえば、深夜に重大な障害が発生した場合、復旧まで対応を続けなければなりません。この間、多くのユーザーに影響が出るため、常にプレッシャーを感じながら作業を進める必要があります。また、シフト勤務により家族や友人との時間が合わず、プライベートな関係の維持が困難になることもあります。
運用/保守のやりがい
運用/保守にはさまざまなつらさがある一方で、以下のようなやりがいがあります。
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・安定したシステム稼働への貢献実感
・障害復旧時の達成感
・技術力向上による自己成長の実感
・チームワークによる問題解決の充実感
・ユーザーからの感謝の言葉
たとえば、重大な障害を短時間で復旧できた際には、チーム全体で大きな達成感を共有できます。また、技術面では、さまざまな障害対応を通じてトラブルシューティング能力が向上し、ネットワーク技術への理解を深めることが可能です。
この経験は、将来的にネットワーク設計や構築へキャリアアップした際に活かせます。
【フェーズ別】ネットワークエンジニアの監視/運用/保守業務に必要なスキル
ネットワークエンジニアの監視・運用/保守業務に必要なスキルを、以下のフェーズ別に解説します。
それぞれ見ていきましょう。
フェーズ1:監視
監視フェーズは、ネットワーク全体の状態を常に把握し、異常や障害を早期に検知することが目的です。このフェーズでは、監視ツールやログ解析を活用してシステム状況を確認し、異常を発見した場合には迅速に一次対応を行います。
必要なスキルとしては、ネットワーク機器やサーバーの基本的な動作理解、監視ツールの操作能力、ログ解析力、そして異常発生時に適切に報告・エスカレーションできるコミュニケーション力が求められます。
監視フェーズで培った経験は、運用や保守、さらには構築・設計フェーズに進む際の基礎となる重要なスキルセットです。
フェーズ2:運用
「自分で考えて判断する力」「手順に沿って正確に作業する慎重さ」「関係者へ分かりやすく報告する力」が求められます。また、TCP/IP基礎知識、Cisco機器の基本コマンド(CLI操作)、障害切り分けの論理的思考(ping, tracerouteの理解)などの知識・スキルが必要です。
さらに、チーム内で円滑に業務を遂行するためには、ドキュメント作成や更新能力、ベンダーとの調整能力も欠かせません。
フェーズ3:保守
保守フェーズでは、原因分析やパフォーマンス改善、冗長化設計などのスキルが求められます。同時に、業務の自動化(Python、 Ansible)やクラウド(AWS、 Azure)のネットワーク知識も必要です。
ビジネススキルでは、顧客対応・説明能力も求められ、技術的な内容を非エンジニアにも分かりやすく伝えるスキルが必要です。
ネットワーク運用/保守の将来性
ネットワーク運用/保守は、クラウドやIoTの普及により今後も需要があると見込まれています。企業ではオンプレだけでなくクラウド上のネットワーク管理やセキュリティ対応、障害対応が重要になっており、これらに対応できるエンジニアの価値は上がっています。
実際に、総務省の「情報通信白書(令和6年版)」によれば、2023年時点でクラウドサービスを導入している企業は全体の77.7%に達している状況です。

引用元:総務省「情報通信白書(令和6年版)」(2024年7月5日)
ただし、単純な監視をはじめとする定型作業だけのポジションは、自動化やAIで置き換えが進む可能性が高いです。将来性のある人材になるには、クラウドを扱えること、PythonやAnsibleなどで自動化できること、セキュリティに強いことが必要です。
特にAWSやAzureを代表するクラウド環境では、物理的な故障対応がなくなる代わりに、「通信がつながらない」「アクセス権限がおかしい」といった論理的なトラブルシューティング能力がより一層求められます。 物理的な機器管理から、クラウド環境全体の設計・運用を担うスペシャリストへと役割を広げることで、市場価値はさらに高まるでしょう。
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データで見るネットワークエンジニアに将来性・需要と今後必要なスキル
ネットワークエンジニアの転職!ポイントやキャリアパスも紹介
ネットワークエンジニアの年収相場
レバテックのネットワークエンジニアの平均年収・給料の統計によると、ネットワークエンジニアの平均年収は、437万円です。中央値は450万円、月収は27万円が相場です。なお、エンジニア全体の平均年収が504万円であるため、67万円の差があります。
とはいえ、年収は企業規模や個人のスキル・経験、担当工程で大きく変わるため、あくまで参考として認識しておきましょう。詳しくは、以下の記事や求人をご覧ください。
ネットワークエンジニアの求人・転職情報>
関連記事:ネットワークエンジニアの平均年収・給料の統計
ネットワーク運用/保守からのキャリアパス
ネットワーク運用/保守で経験を積んだ先には、いくつものキャリアパスがあります。まず、現場に精通した「運用保守のスペシャリスト」として成長する道があります。障害対応や改善提案、自動化による効率化など、より高度な運用/保守を担当する立場です。
次に、設計や要件定義などの「上流工程」に進み、ネットワーク構築を担うエンジニアとしてステップアップする道です。
さらに、ネットワークの知識をベースに、サーバーやクラウド、セキュリティなど別分野にシフトするキャリアも広がっています。
自身がどの方向へ進みたいかを意識し、実務や学習を通じて積み上げることが重要です。
ネットワークエンジニアの運用/保守に関するよくある質問
最後に、ネットワークエンジニアの運用/保守に関するよくある質問を紹介します。
それぞれ紹介します。
Q1. 運用保守は未経験でも挑戦できる?
ネットワーク運用/保守は、未経験からでも挑戦しやすいIT職種の一つです。IT業界は慢性的な人材不足が続いており、DXや企業のデジタル化が進む今、ネットワーク人材の需要は高まり続けています。また、ネットワークエンジニアには未経験者向けの監視作業があり、挑戦もしやすいです。
ただし、将来的に活躍し続けるためにはクラウドやセキュリティ、ネットワークなど、この記事で紹介したようなスキルを学び成長していくことが必要です。
関連記事:未経験からネットワークエンジニアに転職できる?必要なスキルとは
Q2. ネットワークの運用保守に必要な資格は?
ネットワーク運用/保守を始めるうえで、資格は必須ではありませんが、基礎知識を証明するものとして大きな評価につながります。初心者であれば、IT全体の基礎を学べる「基本情報技術者」や、ネットワーク知識を体系的に学べる「CCNA」がおすすめです。
それぞれの資格の詳細は、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:ネットワークエンジニアになるには?必要なスキルや資格も紹介
まとめ
ネットワークエンジニアの仕事は「監視」「運用」「保守」などに分かれます。
監視はアラート検知や状態確認など、異常を早期に発見する業務です。運用はネットワーク機器にログインし、ログ取得やアップデートの適用、軽微な設定変更など日常運用を担当し、障害切り分けも行います。保守は故障対応やパッチ適用、機器交換、改善提案など、システムを安定稼働させる中心業務です。
シフト勤務で夜勤があるなど大変さもありますが、障害復旧の達成感や技術成長などのやりがいも大きく、クラウドの普及により将来性も高い職種です。
ネットワークの運用/保守が気になっている方は、この記事で紹介した業務内容やつらさ、やりがいなどを参考に、転職を検討してみてください。
※本記事は2025年11月時点の情報を基に執筆しております