「ポテンシャル採用」で内定を得るために大切な3つのこと
企業の求人ページなどで「ポテンシャル採用」という言葉を見かけたことはありませんか。ポテンシャル採用とは、実務経験や現状のスキルの高さよりも、将来性を重視した人材の採用方法を指しています。
この記事では実際の転職成功事例を交えながら、レバテックキャリアのキャリアアドバイザー・山田諒が、ITエンジニアのポテンシャル採用の実態について解説します。
山田 諒(やまだ りょう)
人材育成会社を経て、2012年にレバレジーズ(現在はレバテック㈱へ異動)入社。現在はレバテックキャリアのキャリアアドバイザー兼事業責任者として、ITエンジニアやWebクリエイターの転職支援を行う。常に求職者の可能性を追求し、適材適所のマッチングを実現させることを心がけている。
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まずは、ポテンシャル採用の概要についてご紹介します。
冒頭でお伝えしたように、ポテンシャル採用とは実務経験や現状のスキルよりも将来性を見込んで人材を採用する方法を指しています。
通常の中途採用では、これまでの経験やスキルから入社後に即戦力として活躍できる人材かどうかを判断し、合否を決定します。一方のポテンシャル採用は、将来性を重視する点で新卒採用の採用基準に近いといえるでしょう。
「ポテンシャル採用で内定を獲得するエンジニアの多くは20代です。社会人1~2年目で、現在の仕事では自分のやりたいことが実現できないと感じている人や将来に不安を感じている人にとって、ポテンシャル採用は思い切った方向転換をするチャンスとなります。
ポテンシャル採用は実務経験が全くなくとも採用されるケースもあり、いわば若手のみに与えられた特別採用枠といえます。社会に出て働きはじめてから自分の進みたい方向性が見えてきた人はもちろん、なんとなくIT業界に興味があるといった段階の人でも、ポテンシャル採用枠での転職を検討する価値があります」(山田)
また、エンジニアの場合はスキルチェンジをしての転職もポテンシャル採用のひとつとして捉えられています。
「たとえば、現職がSIerで上流工程を主に担当しているエンジニアが『もっと自分で手を動かしながら働きたい』と考えて開発エンジニアとして転職する場合や、早い段階でマネジメント業務を担当するようになったエンジニアが『このままマネジメントだけをやっていてもいいのかな』と悩んで別のスキルを身につけられる企業に転職する場合も、ポテンシャル採用となります。
30歳以上になると実務未経験でのスキルチェンジ転職は厳しいですし、たとえ内定を得られたとしても年収は現職より下がる場合がほとんどなので、チャレンジするハードルがぐっと高くなってしまいます」(山田)
現在、ポテンシャル採用はIT業界全体で活発に行われています。その理由として、主に2つの点が挙げられます。
「ここ数年、IT業界では慢性的にエンジニアが不足しており、企業はエンジニアの採用に苦戦しています。さらには『IT人材白書2018』(※)によると、IT企業におけるIT人材の“量”に対する過不足感について、「大幅に不足している」と回答した割合は、2017年度が過去5年の調査の中で最も高かったという結果も出ています。
そういった状況から、中途採用で即戦力となる経験豊富なエンジニアを求めるだけでなく、今後活躍できそうな若手エンジニアを社内で育てていこうという動きを積極的にとるようになりました。近年はプログラミングスクールやオンラインプログラミング学習サービスも多く登場していることからも、ポテンシャル人材への期待は年々高まっているといえるでしょう」(山田)
※参考:独立行政法人情報処理推進機構発行『IT人材白書2018』P.99より
「また、ポテンシャル採用により積極的なのは規模の大きな企業です。大企業のほうが教育リソースを十分に確保することができ、短期間で即戦力に育て上げる体制が整っているからです。自社で研修センターを運営している企業もあり、入社後に1~3ヶ月程度の研修期間を設けるなどして人材育成を行っています。
一方、少人数で開発を進めているスタートアップ企業の場合、一人ひとりの生産性が事業の売上げに直接影響してしまうので、十分な教育コストをかけることができません。最近はインターンとして経験の浅いエンジニアを受け入れ、今後の活躍が見込めるようであればそのまま社員として採用する企業も出てきていますが、ポテンシャル採用そのものはそれほど多くありません」(山田)
それでは、ポテンシャル採用で内定を獲得するにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、書類選考や面接で必ず確認される3つのポイントをご紹介します。
「エンジニアになるために"自主的に勉強しているかどうか”、これが1番大切なポイントです。例えばWebエンジニアになりたいという人であれば、自分でサービスを作り、それを成果物として企業に提示できる状態までもっていけるのがベストですね。
プライベートで勉強をしていてそれを証明できる成果物があると、企業側もそのエンジニアが今後活躍するイメージを持つことができます。たとえ現時点で成果物のクオリティが低かったとしても、ポテンシャル採用では主体的に学ぼうという姿勢が評価ポイントになりますし、実際にそういった人の方が伸びしろがあることを企業側も理解しています。
一方で、実際に手を動かしていない人は要注意です。若手の方で多いのが『◯◯がどうしてもやりたいんです』と熱意を持って話されるものの、それを叶えるために具体的に何をしているのかを尋ねると『今はまだ何もやっていません』『これから勉強するつもりです』と、行動を起こしていないパターンです。熱意だけでは説得力に欠けるので、企業としても内定を出すことができません」(山田)
「IT業界はトレンドの変化も速いので、どれだけ最新情報をキャッチアップしているか、関心を持っているかは、エンジニアになりたいという意欲を測るためのひとつの基準になります。
トレンドのキャッチアップといっても難しく考える必要はなく、TwitterなどのSNSで著名なエンジニアをフォローして、最新の技術情報や勉強会情報を入手することから始めてみましょう。情報は発信する人のもとに集まりますから、勉強会で学んだことをブログやQiitaなどでアウトプットしていけば新しい情報をより入手しやすくなり、好循環が生まれると思います」(山田)
「採用担当者の中には、『ポテンシャル採用の決め手は人としての魅力があるかどうか』と話す方もいらっしゃいます。
レバテックキャリアで多くのエンジニア採用支援を行ってきてわかったのは、“魅力のある人とは目的意識のある人”だということです。目的意識を持って人生の選択をしている人の話には説得力があり、その説得力が人としての魅力につながっているのです。
なんとなくPHPを勉強するよりも、なぜ今PHPなのか、学んだ後どんなものを作って、世の中にどんな価値を提供したいのかを説明できる人の方が聞いている側も納得できますよね。企業はそこを見ています。
自分のキャリアを俯瞰して見て、この先自分はどうなりたくて、何をやりたいのか、そのために今はなにをやっているのか、といったことを論理的に説明できることが重要です」(山田)
ここでは、実際にポテンシャル採用でエンジニアへの転職に成功されたAさん(当時23歳・男性)の事例をご紹介します。
※ご本人に了承を得て掲載しています
「Aさんはユニークな経歴の持ち主で、もともとは作曲家を目指していたそうです。作曲に専念するために高校を1年で中退して音楽専門学校に入学、しかしその学校も1年ほどで退学してしまい、その後は介護職のアルバイトをしていました。
経験を積んだ後、Aさんは勤務先の介護施設で正社員になりました。3年ほど介護の仕事を続けていたものの、ずっと胸の奥では『手に職をつけたい』という想いを抱えていたそうです。
そんな折、たまたまプログラミングに関する記事を読んだことをきっかけに、Aさんはプログラミングスクールに通いはじめます。自分を変えるチャンスだと考えたのです。
いざ勉強をはじめてみると、プログラミングと作曲には共通点があることに気づき、どんどんプログラミングでのモノづくりにのめり込んでいきました」(山田)
「その結果、Aさんは介護の仕事を続けながら、プライベートでオリジナルのRSSサービスやTwitter関連のアプリ、そしてURL短縮サービスとは正反対のURL“延長”サービスというネタ系サービスの3サービスをリリースしました。
これらのリリースを経て、Aさんは真剣にエンジニアとしてキャリアを考えるようになり、そのタイミングでレバテックキャリアに転職のご相談をいただきました。
Aさんからのご相談を受けて、私からはあるWeb系ベンチャー企業を提案しました。その企業は『学歴より、サービスを作ることができる人が強い』と考える文化を持っていたため、Aさんにぴったりだと考えたのです。
面接ではこれまで学習してきた内容とその成果を伝え、人生において一度は挫折しながらも目的意識を持って行動したAさんの熱意が評価され、採用に至りました。期間にして相談を受けてから約2週間で内定獲得という、非常にスピーディーな決定となりました。
もちろん、実務経験や知識、学歴は持っているに越したことはありません。しかし、特にポテンシャル採用においては『今、何をしていて、どれだけ熱意を持っているか』の方が重要であることを再確認できたケースでした」(山田)
繰り返しになりますが、ポテンシャル採用とは将来性を見込んだ採用方法です。そのため、もし未経験や異職種からのエンジニアへの転職を検討しているなら、すぐにでも動き出した方がいいでしょう。
「ご相談にお越しになる方のなかには『エンジニアに興味があるんですが、今からでは遅いですよね…』と半ばあきらめている方もいらっしゃいます。でも、もし本当にエンジニアとしてのキャリアをスタートさせたいのであれば、勉強をはじめたりスクールに通ったりして、今すぐに行動に移しましょう。なぜなら年齢が上がるにつれて、中途採用では実務経験やスキルが重視されるようになるからです。
レバテックキャリアでは、一緒に長期的なキャリアプランを考えながらの転職支援も行っています。エンジニアに転職するかどうか迷われている方は、ぜひ一度ご相談にお越しください」(山田)
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア・クリエイターを専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通したキャリアアドバイザーが、年収・技術志向・今後のキャリアパス・ワークライフバランスなど、一人ひとりの希望に寄り添いながら転職活動をサポートします。一般公開されていない大手企業や優良企業の非公開求人も多数保有していますので、まずは一度カウンセリングにお越しください。
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