IoTエンジニアは、IoTデバイス内で動作するプログラムなどを設計・開発する職種です。近年、デジタルデバイスにセンサーやネットワーク機能を付与するなど、「IoT化」が急速に進んでいます。これに伴い、IoTエンジニアの需要も増加傾向にあります。しかしIoTエンジニアは、プログラミング言語のみならずハードウェアの知識も必要とされることから、未経験からの転職は他のエンジニア職と比較すると難しい職種です。ただし、IoTエンジニアに求められる知識やスキルを習得できれば未経験からでも目指すことができます。
ここでは、IoTエンジニアの仕事内容や必須スキル、未経験からの転職などについて解説します。
- 1. IoTエンジニアとは?
- 2. IoTエンジニアに求められるスキル・経験
- 3. 未経験からIoTエンジニアに転職する方法は?
- 4. IoTエンジニアの将来性
- 5. IoTエンジニアの求人例をチェック
- 6. まとめ
1. IoTエンジニアとは?
まず、IoTエンジニアの概要と仕事内容について解説します。
IoTエンジニアの概要
IoTエンジニアは、家電や自動車、その他デジタルデバイスにIoT機能を実装する職種です。企業によっては「組み込みエンジニア」とほぼ同一の職種として扱われることもあります。一方、センシング対応や無線通信機能の実装、シングルボードコンピュータ上での開発など、従来の組み込みエンジニアとは若干異なるスキルを重視される点が特徴です。
IoTエンジニアの仕事内容
IoTエンジニアの仕事は、簡単に言えば「デジタルデバイスにIoT機能を実装すること」です。また、主な仕事に「コーディング」が含まれるという点では、他分野のエンジニアと共通しています。ただし、IoT機能の実装は、コーディングだけを行うわけではありません。具体的には、次のような仕事を担当します。
組み込みプログラミング
IoTエンジニアは、C言語やC++、Javaを用いてさまざまなデジタルデバイス内で動作するプログラムを実装します。組み込みプログラミングは、「制限されたリソースをいかに有効に使いきるか」がポイントです。IoTデバイスの大半は、小型のデジタルデバイスであり、使用できるハードウェアリソースには限りがあります。そのため、限りあるハードウェアリソースをいかに効率よく、無駄なく使うかが腕の見せ所といえるでしょう。
回路設計、製作
IoTエンジニアは、コーディングだけではなく回路設計や製作を担当することもあります。こちらは実際に物理的な回路を制作するため、電子回路の知識が必要です。最近では、「Arduino」や「Raspberry Pi」など、シングルボードコンピュータ(あらかじめコンピュータに必要な部品が組み込まれた超小型の基盤)上で回路設計を行うこともあるため、こうした先端デバイスの知識も求められます。
センサー、デバイス、インターネットの連携部分開発
IoT機能の大半は、温度や加速度を計測するセンサーや無線通信機能で構成されます。これらが外部のデバイスとデータのやり取りを円滑に行えるように、連携部分の開発を担うことも多いです。例えば、IoTデバイスで取得した温度情報を無線通信でスマートフォンへ送信する、という仕組みでは、IoTデバイス側にデータ送信機能やネットワーク通信機能を実装していきます。
2. IoTエンジニアに求められるスキル・経験
次に、IoTエンジニアに求められるスキル・経験について解説します。
電子回路の知識
IoTエンジニアは、デジタルデバイスに搭載される制御用基板の設計・開発を行うことがあります。また、制御用基板上で動作するプログラムを実装するには、電子回路の知識も必要です。したがって、マイクロプロセッサや電子回路の基礎は必ず押さえておくようにしましょう。
リアルタイムOSを扱った経験
リアルタイムOS(以下、RTOS)とは、組み込み業界で使用される特殊なOSのことです。Windowsなどの一般的なPC用のOSなどとは異なり、決められた時間内に規定の処理を確実に実行するため「リアルタイム性」を重視した造りであることが特徴です。代表的なRTOSとしては、「ITRON」「VxWorks」などがあります。こうしたRTOSを扱った経験があれば、未経験でも評価を得られやすくなるでしょう。
C言語、C++、C#、アセンブリ言語のスキル
組み込みエンジニアと同様に、IoTエンジニアにはC言語やアセンブリ言語のスキルが求められます。特にC言語は必須スキルであり、中途採用ならば必ず備えておきたいところです。アセンブリ言語は、以前に比べると重要度は低下しているものの、既存ロジックの処理最適化や高速化のために使われることもあります。
マイコンボード、シングルボードコンピュータの操作スキル
マイコンボードやシングルボードコンピュータは、手のひらよりも小さな基盤上に、一般的なPCと同じような構成(CPU、メモリ、ネットワークインターフェースなど)を配置したハードウェアです。IoT化では、こうした超小型基盤・コンピュータ内に複数の機能を実装し、デジタルデバイスを操作します。ただし、超小型であるゆえに制限も多く、特にメモリ使用量を意識したコーディングが求められます。
3. 未経験からIoTエンジニアに転職する方法は?
では、未経験からIoTエンジニアに転職するための方法について紹介します。結論から述べると「エンジニア未経験かつ理工系出身者でない場合」を除けば、未経験からでもIoTエンジニアへの転職は可能です。ただし、「未経験」がどのような状態を指すかでアプローチの方法が異なるため、いくつかのケースに分けて解説します。
20代のエンジニア未経験の場合(理工系出身者)
このケースでは、いわゆる「ポテンシャル採用」で転職できる可能性が十分にあります。IoT(≒組み込み)エンジニアは常に人手不足であり、若手の参入もそれほど多くありません。したがって、理工系の下地を持った20代は歓迎される傾向にあります。
特に、大手よりも人手不足が深刻な中小・独立系企業はポテンシャル採用枠を設けている可能性が高いため、中小および独立系の組み込み開発企業の求人を中心に転職活動を続けてみてください。ただし、志向や適性をアピールするために、独学でC言語・C++・C#やマイコンボード、シングルボードコンピュータなどの知識はつけておくべきでしょう。
IT業界のポテンシャル採用事情について気になる方は、ぜひこちらの記事も合わせてお役立ちください。
関連記事:ポテンシャル採用とは?プロが語る内定獲得の4つポイントを公開
エンジニア経験ありの場合(文理問わず)
IoT・組み込み以外の業界でエンジニア経験がある場合は、すでにプログラミングスキルは実用レベルに達しているはずです。一方、ハードウェア・電子回路・RTOSといった特殊なスキルは備えていない可能性が高いでしょう。したがって、これらの補強が必要です。ただし、独学では習得が難しい分野であるため、スクール活用も視野に入れておくべきです。特に、実機を用いて演習を行うコースを設けているスクールが望ましいでしょう。
エンジニア未経験かつ理工系出身者ではない場合
エンジニア経験・理工系の下地のどちらも持たない場合は、転職のハードルが非常に高くなります。したがって、スクールや専門学校などでゼロから組み込み系の知識を学ぶか、他分野で1~3年のエンジニアの経験を積むことが先決です。
4. IoTエンジニアの将来性
最後に、IoTエンジニアの将来性について解説します。
「離れたモノ同士をネットワークで接続、通信する」ことが主題であるIoT化は、人口減少が続く日本において、重要な施策のひとつです。今後は、交通・医療・教育・農業など、生活の隅々までIoTが浸透すると予想されます。したがって、IoT業界はますます拡大していくと予測されます。
一方、IoTエンジニアの数は慢性的に不足しています。総務省が発表した「令和3年版 情報通信白書」によれば、AIやIoTの導入などデジタルトランスフォーメーションを進めるにあたり「人材不足が課題である」と答えた企業が、全体の50%以上に上ると記されています。米国(27.2%)やドイツ(31.7%)など諸外国と比べても特に日本では先端IT人材が不足しているという状況です。
また、ハードウェアや電子回路の知識が必要なことから、新規参入のハードルが高く、人材の世代交代が進みにくいという実態もあるようです。つまり、しっかりとスキルを身に付ければ希少価値の高い人材と見なされ、安定したキャリア構築が可能になると言えます。
5. IoTエンジニアの求人例をチェック
最後に、IoTエンジニアの求人例を紹介します。
【業界】
◆IT・通信
◆コンサルティング
【業務内容】
■アプリケーションの開発 医療
・福祉分野に展開しているアプリケーションの開発に従事していただきます。
<具体的な業務内容>
・UI/UXチームとの連携によるクライアントサイド開発
・機械学習エンジニアとの連携によるBtoBプロダクトのバックエンド開発
・アプリケーションのインフラ開発
・応答システムの構築
・自然言語処理システムのプログラミング、拡張
<主なアプリケーション>
・介護業務改善支援アプリケーション
・メンタルヘルス支援アプリケーション
・社会保障費低減に向けたAIソリューション
【求められるスキル・経験】
・Swift、Kotlin、Java、C#などのモバイルアプリケーション開発言語の使用経験
・Python、C++ または C# 言語のプログラミング経験
・モバイルアプリケーション開発経験
・新しい技術を学ぶことに意欲的な方
・課題解決に向けた行動を積極的にとれる方
【想定年収】
450~1,500万円
【福利厚生】
健康保険/厚生年金/雇用保険/労災保険/通勤手当/残業手当/慶弔休暇/年末年始/夏季休暇/有給休暇/社内イベント
【勤務地】
東京都
6. まとめ
IoTエンジニアは、ソフトウェア開発に関する知識やスキルだけでなく、ハードウェアに関する知識やスキルも求められます。そのため、学習するべき内容は他の職種と比べても多く、就職した後も専門性を高めるために継続的に学び続けることが求められます。ですが、今後さらに世の中にIoTが普及していく中で需要は拡大し、活躍できるチャンスも増えていくでしょう。転職活動の際には、スキルの証明のために資格の活用なども検討してみてください。
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