独学でも未経験からネットワークエンジニアになれる!
ネットワークエンジニアとは、生活で利用するインターネットの通信環境を整える技術者を指します。ネットワーク技術の需要は以前から高いままで維持されており、変化の激しい環境であるため技術者の需要も高いです。
ネットワークエンジニアになるにはこうした世間のネットワークトレンドを押さえながら技術と知識を身につける必要がありますが、独学からでも未経験からネットワークエンジニアになることは可能です。IT業界ではエンジニア不足の課題があるために、学習意欲と学習方法を工夫すれば未経験からでも目指せます。
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ネットワークスキルを独学で身につけるメリット・デメリット
ネットワークスキルは独学でも習得できます。しかし、メリットとデメリットがあるためどのような学習方法になるのか、自分に合っているのかを見極めて始める必要があるでしょう。独学の良い点と気を付けるべき点の両方を解説します。
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メリット
独学の最大のメリットは、費用が抑えられるという点です。スクールに通うと数万円〜数十万円の費用が必要ですが、独学の場合は本の購入費や学習サイトの利用料のみで勉強できるため、かかる費用は数千円〜数万円程度です。自分の裁量で勉強する内容やスケジュールを決めるため、目標を定めて実行する力も身につくでしょう。
デメリット
デメリットとしては、ネットワークという専門的な内容を独学で勉強するのはハードルが高く、疑問が生じた時に一人で解決しづらいという点が挙げられます。近年では、エンジニア向けのQ&Aサイトなどもあり、以前より独学のための環境が整ってきてはいます。しかし、Q&Aサイトは回答が得られるまでに時間がかかる点、回答者が現れない場合もあるという点でスピード感のある解決手段にはなりづらいでしょう。
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独学でネットワークエンジニアを目指す際に必要な知識
ネットワークエンジニアになるためには、大まかにいうと「ネットワークに関連する知識」が必要です。このネットワークの知識を少し掘り下げて見ていきましょう。ここで解説する以外にも必要なものは多くありますが、具体的な概念を掴むためにまとめて紹介します。
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TCP/IPの知識
TCP/IPとは通信プロトコルのことです。インターネットを含む多数のコンピューターネットワークにおいて、世界標準として利用されています。
例えばWindowsとMacは異なるOSですが、通信は問題なく行われます。異なるOS間やハード間でも通信可能とするのはTCP/IPの働きによるものであるため、「なんとなくの知識」ではなくネットワークの基礎・基本知識として押さえておきましょう。
OSI参照モデルの知識
OSIとは「Open Systems Interconnection」の略称です。コンピューター同士を繋ぐネットワークではさまざまな種類のデータ通信が利用されていますが、これらに互換性を持たせるにはネットワーク構造の基本的な設計方針を定める必要があります。端的にいうと、この統一モデルがOSIです。
どんな通信技術でもOSI参照モデルに準拠しないと利用できないため、ネットワークエンジニアとしては必須の知識です。
ITインフラの知識
ITインフラの知識は主にインフラエンジニアが必要とするものですが、ネットワークエンジニアも知識があった方が良いでしょう。あくまでインフラ関連の基礎知識だけに留めておき、インフラエンジニアほどの専門知識は必要ありません。
プロトコルへの理解
プロトコルとはネットワーク上で利用されるさまざまな手順、規約や規則などを定めた規格のことです。OSI参照モデルを理解するとプロトコルの仕組みも分かるのですが、ネットワークエンジニアは的確に区別、整理してどのような順序で動作するのかを頭に入れておく必要があります。
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独学におすすめ!初心者向けのネットワーク学習本
次に、初心者が独学でネットワークエンジニアに必要な知識を学べる本を紹介します。技術領域別に体系的に情報がまとめられているものが多いため、自分に不足している領域を重点的に学習することができます。
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『マスタリングTCP/IP 入門編』(竹下 隆史・村山 公保・荒井 透・苅田 幸雄、オーム社)
TCP/IPはインターネットで使用される通信プロトコルの総称であり、ネットワークの基本概念の1つです。この書籍は、ネットワークの仕組みを初心者向けに丁寧に解説している1冊です。
『DNSがよくわかる教科書』(株式会社日本レジストリサービス(JPRS)・渡邉結衣・佐藤新太・藤原和典・森下泰宏、SBクリエイティブ)
DNSは、ドメイン名とIPアドレスを対応させるシステムで、インターネットを支える重要な基盤技術の1つです。DNSが稼働しているおかげで、数値の羅列であるIPアドレスを覚えることなく、Webサイトをドメイン名でリクエストすることができます。この書籍を読むことで、世界中のサイトがどのような仕組み(主にネットワークとサーバー間の仕組み)で成り立っているかを理解することができるでしょう。
『インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門』(みやたひろし、SBクリエイティブ)
オンプレミスでのネットワークの設計・構築について解説した書籍です。VLAN設計、アドレス設計、冗長化など、ネットワークの設計・構築に必要な知識を学ぶことができます。現在、多くのシステムがクラウドに移行していますが、オンプレミスで稼働するシステムも必要とされ続けています。そのため、ネットワークエンジニアはオンプレミスとクラウドの特徴を理解し、システムの特性に応じて両者を使い分けることが求められます。本書は、物理設計、論理設計、高可用性設計など豊富な構成例を元に実践的な内容を学ぶことができます。
『Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築 改訂版』(玉川憲・片山暁雄・今井雄太・大澤文孝、日経BP)
この書籍のコンセプトは「クラウド上にネットワークやサーバーを構築して、インフラスキルを習得する」というものです。本書は、知識を得るだけでなくAWS(Amazon Web Services)のVPCを使ってIPアドレスを割り振ったり、サブネットを作成したりすることで実践力を身につけられる構成になっています。
『IT Text ネットワークセキュリティ』(菊池 浩明・上原 哲太郎、オーム社)
ネットワークセキュリティに関する書籍で、ファイアウォール、マルウェア、認証技術など主要なセキュリティ技術について学ぶことができます。セキュリティはネットワークを構築する上で非常に重要な要素です。システムに脆弱性が存在していると攻撃者から標的にされ、甚大な被害を受ける危険性があります。セキュリティ技術は、ネットワークエンジニアに求められる必須スキルの1つといえるでしょう。
ネットワークスキルを独学で身につけられる学習サイト
ここでは、ネットワークに関するスキル・知識を身につけられる学習サイトを紹介します。学習サイトを活用する利点は、動画やイラストなどで視覚的に理解することができ、費用も抑えることができる点です。書籍と併用すると良いでしょう。
Udemy 「ネットワークとセキュリティコース」
Udemyはオンラインの教育プラットフォームで、ネットワークの基礎やセキュリティなどを動画で学ぶことができます。ネットワークベンダー大手のCisco製品に関する動画も多数ありますが、英語コンテンツが多いため、一定の英語力が求められます。
Schoo「ネットワーク入門 Cisco Networking Academy -CCNA ITN」
Schooは日本企業が運営するオンライン動画学習サービスであり、「ネットワーク入門」という基礎コンテンツを提供しています。他にも、「TCP/ITプロトコル入門」や「VPN/VLAN入門」といった初級のネットワークエンジニア向け講座も配信しています。
gacco「無線通信・IoT通信・センサネットワーク」
gaccoは、大学教授をはじめとした講師による講義を、無料で受けられるウェブサービスであり、ネットワークに関するコンテンツも提供されています。受講後に確認テストを受けることで、知識が定着するとともに修了証が発行されます。
手軽に勉強できる!独学におすすめの勉強アプリ
次に、ネットワークに関するスキル・知識を身につけられるアプリを紹介します。
アプリを使った勉強の利点は、本業が忙しくてなかなかまとまった時間が取れない場合にも、隙間時間に勉強を進めることができる点です。ただし、情報量はどうしても書籍などよりも劣ってしまうため、休日には書籍や学習サイトで勉強し、平日の通勤時間などの隙間時間はアプリを活用した勉強にするなど、他の勉強方法との併用をおすすめします。
ネットワークスペシャリスト | スキマ時間で効率学習
ネットワークスペシャリスト試験の過去問をLevel1、Level2、Level3の3つの難易度別に解くことができます。また、分野別の演習も可能なため、苦手分野に特化した試験対策も行うことができます。
ダウンロード自体は無料で、Level2とLevel3の問題を追加購入する際に課金が必要となります。
CCNA試験対策
シスコ技術者認定試験は通称CCNA試験(Cisco Certified Network Associate)と呼ばれており、この試験対策アプリです。CCNA検定問題1〜3があり、それぞれ75問の選択問題を解くことができます。
アプリは無料でダウンロード可能です。
基本情報技術者 | スキマ時間で合格率アップ!
ネットワークスペシャリストやCCNAはかなり専門的なネットワーク知識が求められるため、難しいと感じる場合には基本情報技術者試験の受験がおすすめです。このアプリでは基本技術者試験の過去問を解説付きで解くことができます。また、Level別や分野別にも問題を解くことができます。
応用情報技術者 | しっかり解説の資格試験問題集
基本情報技術者試験のアプリと同じシリーズの応用技術者試験版です。応用情報技術者試験の過去問を解説付きで解くことができます。応用技術者試験でもネットワークに関する知識が問われるため、ネットワークスペシャリストやCCNAの問題が難しいけど基本情報よりは応用的な内容が知りたいと感じる方は、こちらから勉強してみることをおすすめします。
独学でできるそのほかの学習方法
書籍やアプリ、サイトなどで独学も可能ですが、疑問点が出た場合に自分で解決していかなくてはならない、勉強の方向性やどの程度の習得を目指すのかなど課題を自分で設定していく必要があります。これらの独学方法が「自分に合わない」という場合は、ほかの学習方法を模索しましょう。
以下に比較的身につきやすい学習方法をまとめました。書籍などの方法ではなかなか知識が身につかない人は参考にしてください。
勉強会やセミナーに参加する
エンジニア向けのセミナーや勉強会は頻繁に開催されています。実際にネットワークエンジニアとして働いている人とも交流できるため、転職や就職のコツや具体的な知識のスキルを聞くことができるかもしれません。
セミナーや勉強会は自分の知識に対してフィードバックをもらえるため、方向性が定まりやすいです。自主学習に限界を感じている場合は、勉強会などの機会を利用するのがおすすめです。
実践して身につける
自宅でネットワークを構築し、実際に経験を積むのもおすすめです。実践の機会はスキルアップに効果的ですが、なかなか実践経験を作るのは難しいため無線LANの構築から始めてみると良いでしょう。セキュリティ対策などを考えてみるだけでも、実践的な力が身につくはずです。
ネットワークエンジニアの勉強に役立つ資格
最後に、ネットワークエンジニアを目指す上で取得しておくと役立つ資格について解説します。
シスコ技術者認定
ネットワークベンダー大手であるシスコシステムズ社が認定する民間資格です。シスコ製品はグローバルでシェアが高く、資格を取得していると国内外でスキルを証明することができます。
シスコ技術者認定には、エントリー、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパート、アーキテクトの5つのグレードがあり、スキルレベルに応じて受験することができます。合格率は非公開ですが、未経験者や初心者はまずエントリーの合格を目指すと良いでしょう。
ネットワークスペシャリスト試験
情報処理推進機構(IPA)が運営するネットワークに関する国家試験です。ネットワークシステムの要件定義、設計、構築、運用・保守などのスキルを証明することができます。合格率は2~5%程度と非常に難易度の高い資格ですが、ネットワークエンジニアに特化した国内唯一の国家資格です。
CompTIA Network+
CompTIA Network+は、 CompTIAが運営するベンダーに依存しないネットワークに関する国際資格です。この資格を取得することで、ネットワークに関する汎用的な知識を有し、ネットワークを構築したり、ネットワークに関するトラブルシューティングをすることができることを客観的に証明することができます。国際的な資格ではありますが、日本語での試験受験が可能です。
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ネットワークエンジニアに関するQ&A
ネットワークエンジニアの勉強に関するよくある質問をまとめました。勉強方法やネットワークエンジニアの仕事内容、習得の難易度について一つずつチェックしていきましょう。
Q1. ネットワークエンジニアになるには何から勉強すれば良いですか?
勉強するにあたっておすすめの資格は、この記事でも紹介しているシスコ技術者認定とネットワークスペシャリスト試験、そしてCompTIA Network+です。これらの資格試験の難易度が高すぎると感じる場合には、ITパスポートや基本情報処理技術者試験などの基礎的な資格習得を目指してみましょう。
関連記事:ネットワークエンジニアとは|役割や仕事内容、未経験から目指す方法
Q2. ネットワークエンジニアはどのような人ですか?
ネットワークエンジニアは、ユーザーと自社システムや、自社システムとデータセンターなどのネットワークを設計し、運用・保守するエンジニアです。
Q3. ネットワークの勉強は難しいですか?
専門用語が多く、初めは難しいと感じる方も多いようです。ただし、ネットワークの種類は数多くあるものの、考え方にはいくつかの共通したパターンがあるため、基礎を理解した後はスムーズに知識を習得することができることができます。
また、ネットワークは仕組みを理解することが重要なため、暗記をする必要はありません。暗記は苦手という人も安心して勉強を進めましょう。
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まとめ
この記事では、独学でネットワーク技術を学ぶ上でのメリット・デメリット、勉強に役立つ本、サイト、資格などについて解説しました。未経験の状態から、いきなり設計や構築などの上流工程を担当するネットワークエンジニアを目指すのは難しいですが、運用・保守などの下流工程であれば採用されやすい傾向にあります。まずは下流工程での経験を積みながら、書籍や学習サイト、資格取得を通して、徐々にスキルアップを目指すと良いでしょう。
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