- インフラエンジニアにプログラミングが必要な理由
- 市場価値の高いインフラエンジニアになるために必要なプログラミング言語
- クラウド時代のインフラエンジニアに求められるスキル
- インフラエンジニアにおすすめの資格
- まとめ
インフラエンジニアにプログラミングが必要な理由
インフラエンジニアにプログラミングが必要な理由として、以下の2つが挙げられます。
それぞれ解説します。
クラウドサービスとIaCの考えが普及したため
インフラエンジニアにプログラミングが必要な理由の1つ目は、クラウドサービスとIaC(Infrastructure as Code)の考えが普及したためです。従来の手動設定からプログラムによる自動化へと業務が変化しており、インフラの構成をコードで管理する手法のIaCが普及しています。
AWSやMicrosoft Azureなどのクラウドサービスでは、APIを通じてリソースの作成や設定を行います。たとえば、TerraformやAWS CloudFormationといったツールを使用して、サーバーやネットワークの構成をコードで記述し、自動的にインフラを構築することが一般的になりました。
IaCは、プログラミング言語に似た記述方法で、インフラの変更履歴の管理や再現性の向上、運用の効率化を実現できるのが特徴です。このような効率化の観点から、企業の採用でも重視されるため、インフラエンジニアでもプログラミング言語の習得が必要と言われているのです。
開発領域まで踏み込めるフルスタック志向のエンジニアの需要が高まっているため
インフラエンジニアにプログラミングが必要な理由の2つ目は、インフラ領域にとどまらずアプリケーション側の知識も持つ「フルスタック志向」の人材需要が高まっているためです。
近年の開発現場では、DevOpsの考え方が浸透し、開発チームとインフラチームの境界があいまいなケースが増えています。単にサーバーを立てるだけでなく、アプリケーションが「いかに速く、安定して動くか」という視点が不可欠です。
たとえば、PythonやGoを用いて運用ツールを自作したり、Terraformなどのコードでインフラを管理(IaC)したりする場面では、プログラミングスキルが必須となります。
アプリケーションの挙動を理解し、コードベースでインフラを制御できるエンジニアは、開発効率を劇的に向上させるキーマンとなります。結果として、SRE(Site Reliability Engineering) などの高単価なポジションへのキャリアアップにも繋がります。
市場価値の高いインフラエンジニアになるために必要なプログラミング言語

市場価値の高いインフラエンジニアになるために必要なプログラミング言語として、以下の4つが挙げられます。
一つずつ紹介します。
Shell(シェルスクリプト)
Shellは、LinuxやUnix系OSにおけるインフラエンジニアの基本スキルです。コマンドラインでの操作を自動化し、日常的な運用業務を効率化するために欠かせない技術です。
Shellの主な用途として、サーバーの定期メンテナンスやログローテーション、バックアップ処理、システム監視などの自動化が挙げられます。たとえば、ディスク使用量の監視やプロセスの状態確認、ファイルの一括処理などを、bashやzshを使って効率的に実行できます。
また、cronと組み合わせることで、定期的な処理の自動実行も可能です。CI/CDパイプラインにおいても、ビルドやデプロイの各段階でShellが活用されることが多いです。
Linuxサーバーを扱うインフラエンジニアにとって、Shellは「読み書きできて当たり前」とされる必須スキルです。プログラミング未経験の方は、まずShellスクリプトの基本から学習を始めるのが最も実用的で、挫折しにくいルートといえます。
関連記事:shell(シェル)とは?概要や特徴、使用例、できることを解説
Python
Pythonは、インフラエンジニアにとって重要なプログラミング言語の1つです。その理由は、インフラ運用に必要なライブラリが豊富に用意されているためです。
Pythonの主な活用場面として、AWS SDKやAzure SDKを使用したクラウドリソースの自動管理、Ansibleを使った構成管理の自動化、監視データの収集・分析などが挙げられます。
たとえば、定期的なサーバーの状態チェック、ログファイルの解析、アラート通知の自動化などを、Pythonスクリプトで効率的に実装できます。また、機械学習ライブラリを活用して、システムの異常検知や予測保守などの高度な運用業務も可能です。
関連記事:Pythonとは?特徴や学習ロードマップ、将来性を解説
Go言語
Go言語は、インフラエンジニアにとって重要度が高まっているプログラミング言語です。なぜなら、高いパフォーマンスとシンプルな文法を持ち、クラウドネイティブな環境に最適化されているためです。
Go言語の主な活用場面として、Docker・Kubernetes・Terraformなどの主要インフラツールのカスタマイズや拡張、マイクロサービスにおけるAPI開発などが挙げられます。
たとえば、Kubernetesの独自コントローラーを作成したり、Terraformのプラグインを自作したりする際に、Go言語は必須レベルで活用されます。
このように、クラウド時代のインフラ運用・開発を担う上で、Go言語は有用なスキルです。ただし習得難易度はやや高いため、まずはPythonなどで基礎を固めてから挑戦すると効率的です。
PowerShell
PowerShellは、Microsoftが開発したコマンドラインシェルおよびスクリプト言語で、Windows環境でのインフラ運用に特化した強力なツールです。Windows Serverの管理や、Microsoft製品との連携において、PowerShellのスキルは必須です。
PowerShellの主な特徴として、.NET Frameworkをベースとしており、オブジェクト指向のアプローチでシステム管理ができることが挙げられます。たとえば、Active Directoryの管理、Exchange Serverの運用、Azure リソースの操作、Office 365の管理などを、PowerShellコマンドレットを使って効率的に実行可能です。
また、Windows Management Instrumentation(WMI)との連携により、ハードウェア情報の取得やシステム設定の変更も可能です。近年では、PowerShell CoreとしてLinuxやmacOSでも動作するようになり、クロスプラットフォーム対応が進んでいます。
Microsoft Azureとの親和性も高く、Azure PowerShell モジュールを使用してクラウドリソースの管理も行えます。Windows環境を扱うインフラエンジニアにとって、PowerShellは業務効率を劇的に向上させるツールです。
クラウド時代のインフラエンジニアに求められるスキル
クラウド時代のインフラエンジニアに求められるスキルは、以下のとおりです。
それぞれ解説します。
オンプレとクラウドを横断して設計できる基礎力
クラウド時代のインフラエンジニアには、オンプレミスとクラウドを横断して設計できる基礎力が必要です。多くの企業がハイブリッドクラウド環境を採用しており、両方の環境を理解した上で最適なアーキテクチャを提案できる能力が求められています。
オンプレミス環境では、サーバーの選定やネットワーク機器の設定、ストレージの構成などの知識が必要です。一方、クラウド環境では、仮想化技術やコンテナ技術、サーバーレスアーキテクチャなどの理解が重要です。
たとえば、既存のオンプレミスシステムをクラウドに移行する際には、パフォーマンス要件やセキュリティ要件、コスト要件を満たしながら、最適な移行戦略を立案する必要があります。
また、ネットワークやセキュリティの基礎知識は、どちらの環境でも共通して重要です。TCP/IPやDNS、ロードバランサー、ファイアウォールなどの仕組みを深く理解していることで、環境に関係なく安定したインフラを構築できます。
AWS・Azureなどの主要クラウドを運用できるスキル
現代のインフラエンジニアには、AWS・Microsoft Azure・Google Cloud Platformなどの主要クラウドサービスを運用できるスキルが必須です。これらのクラウドプラットフォームは、それぞれ独自の特徴とサービス体系を持っており、企業のニーズに応じて使い分けられているため、これらを横断的に扱えるスキルが重要です。
AWSでは、EC2やS3、RDSといった基本サービスから、LambdaやECSなどの高度なサービスまで幅広い理解が必要です。たとえば、Auto Scalingを活用した自動スケーリングやCloudWatchによる監視設定、IAMを使ったセキュリティ管理などの実装スキルが求められます。
Azureでは、Virtual MachinesやApp Service、Azure SQL Databaseなどのサービスに加えて、Active Directoryとの連携やHybrid Cloud構成の知識が重要です。複数のクラウドサービスを組み合わせたマルチクラウド戦略を提案できれば、さらに市場価値の高いエンジニアとして評価されます。
TerraformやAnsibleで構成を自動化するスキル
インフラの構成管理を自動化するスキルは、現代のインフラエンジニアにとって欠かせない能力です。TerraformやAnsibleなどのツールを活用することで、手動作業によるミスを防ぎ、環境の一貫性と再現性を確保できます。
Terraformは、Infrastructure as Code(IaC)の代表的なツールで、宣言的な記述によりインフラリソースを管理します。たとえば、AWS上でVPCやEC2インスタンス、セキュリティグループなどを組み合わせたインフラ環境を、HCL(HashiCorp Configuration Language)で記述し、一括で構築・更新・削除が可能です。
バージョン管理システムと組み合わせることで、インフラの変更履歴を追跡し、問題発生時の迅速な復旧も実現できます。
Ansibleは、構成管理とアプリケーションデプロイの自動化に特化したツールです。YAMLファイルでPlaybookを記述し、複数のサーバーに対して同時に設定変更やソフトウェアのインストールを実行できます。エージェントレスな仕組みのため、管理対象サーバーへの導入が容易で、既存環境への影響を最小限に抑えられます。
これらのツールを習得することで、運用業務の効率化と品質向上を同時に実現でき、DevOpsエンジニアとしてのキャリアパスも可能です。
チームや顧客とのコミュニケーション力
技術スキルと同様に重要なのが、チームメンバーや顧客とのコミュニケーション力です。インフラエンジニアは、開発チームや運用チーム、経営陣など、さまざまな立場の人々と連携しながら業務を進める必要があります。
効果的なコミュニケーションには、技術的な内容を相手のレベルに合わせて説明する能力が求められます。たとえば、経営陣に対してはコストやビジネスへの影響を中心に説明し、開発チームに対しては技術的な詳細や制約事項を明確に伝えることが必要です。
関連記事:クラウド時代のインフラエンジニアに求められるスキルや資格
インフラエンジニアにおすすめの資格
インフラエンジニアにおすすめの資格は、以下のとおりです。
それぞれ解説します。
Python 3 エンジニア認定基礎試験
Python 3 エンジニア認定基礎試験は、Pythonの基礎知識を証明する資格で、自動化スキルを身につけたいインフラエンジニアにおすすめです。一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が主催しており、Pythonの文法や基本的なプログラミング概念を問う内容となっています。
試験では、変数やデータ型、制御構文、関数、クラスなどのPythonの基本的な文法知識が問われます。たとえば、ファイルの読み書きやモジュールのインポートなど、実際の業務で頻繁に使用する機能についての理解度が評価されます。
また、Pythonらしいコードの書き方や、効率的なプログラミング手法についても出題されるため、実践的なスキル向上にもつながります。
この資格を取得することで、インフラの自動化やクラウド管理において必要なPythonスキルの基礎が身につきます。オンラインでの受験も可能なため、取得しやすい資格です。
HashiCorp Certified: Terraform Associate
HashiCorp Certified: Terraform Associateは、Infrastructure as Code(IaC)ツールであるTerraformの知識とスキルを証明する資格です。現代はインフラの自動化が重要視されるため、高い市場価値を証明できる資格の一つです。
試験では、Terraformの基本概念やHCL(HashiCorp Configuration Language)の文法、プロバイダーの設定、リソースの管理などが出題されます。また、リモート状態管理やワークスペースの概念、セキュリティベストプラクティスについても問われます。
この資格を取得することで、AWSやAzure、Google Cloud Platformなどの主要クラウドプラットフォームでのインフラ構築を自動化できるスキルの証明が可能です。
AWS認定クラウドプラクティショナー
AWS認定クラウドプラクティショナーは、AWSクラウドの基礎知識を証明するエントリーレベルの資格です。クラウドサービスの理解を深めたいインフラエンジニアにとって、最初に取得すべき資格として位置づけられています。
試験では、AWSクラウドの基本概念や主要サービスの概要、セキュリティとコンプライアンス、料金とサポートプランなどが出題されます。たとえば、EC2やS3、RDSといった代表的なサービスの用途や特徴、AWSの責任共有モデル、IAMによるアクセス制御の基本概念などの理解が必要です。
この資格を取得することで、AWSクラウドサービスの全体像を把握でき、より高度なAWS認定資格への足がかりとなります。インフラエンジニアとしてクラウド分野でのキャリアを積みたい場合、AWS認定クラウドプラクティショナーから始めることで体系的な知識を身につけられます。
関連記事:AWS認定クラウドプラクティショナーとは?概要や試験内容、勉強方法を紹介
LinuC
LinuCは、LPI-Japanが主催するLinuxシステムの技術者認定資格で、日本国内でのLinux技術者の標準的な資格として位置づけられています。インフラエンジニアにとって、Linuxの知識は基盤となる重要なスキルであり、資格を取得することで能力を証明できます。
LinuCはレベル1からレベル3まで段階的に設定されています。
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・レベル1:基本的なLinuxシステムの操作や管理
・レベル2:ネットワーク設定やセキュリティ管理
・レベル3:高度なシステム設計や運用
上記のようにレベルごとに問われる知識は異なります。
LinuCを取得することで、サーバー運用の基礎から応用まで幅広いLinuxスキルの証明が可能です。また、クラウド環境でもLinuxサーバーは広く使用されているため、オンプレミスからクラウドまで対応できる汎用的なスキルとして評価されます。
LPIC
LPICは、Linuxシステムの管理・運用に関する技術力を証明する国際的な認定資格で、世界中で広く認知されています。
LPICは難易度に応じて3つのレベルに分かれています。
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・LPIC-1:Linuxの基本的なシステム管理
・LPIC-2:高度なシステム管理とネットワーク管理
・LPIC-3:専門分野(セキュリティ、仮想化、高可用性など)に特化した知識
たとえば、LPIC-1では、ファイルシステムの管理やプロセス管理、パッケージ管理、基本的なネットワーク設定などの実務で頻繁に使用される技術が出題範囲です。また、LPIC-2では、DNSサーバーやWebサーバーの構築、ファイアウォールの設定、システム監視など、より実践的なスキルが評価されます。
LPIC-3では、企業環境における大規模Linuxシステムの設計やアイデンティティ管理、暗号化、仮想化基盤の構築などが試験範囲になります。
関連記事:Linuxのおすすめ資格LinuC・LPICとは?違いや難易度を解説
まとめ
クラウドの普及やIaCの浸透、そしてDevOps文化の広がりにより、インフラエンジニアとして活躍するにはプログラミングスキルが求められる時代になりました。Python・Go・Shell・PowerShellといった言語は、インフラ運用の効率化や自動化、クラウド環境の最適化に欠かせない武器となります。
さらに、主要クラウドの運用スキルや構成管理ツールの理解、そしてコミュニケーション能力まで含めて、求められるスキルセットは確実に広がっています。
裏を返せば、これらを習得できれば市場価値は大幅に向上し、キャリアの選択肢も増えるということです。これからインフラエンジニアとしてキャリアを磨いていきたい方は、まずは今回紹介したスキルや言語の習得から一つずつ取り組んでみてください。
※本記事は2025年12月時点の情報を基に執筆しております