shell(シェル)とは?概要や特徴、使用例、できることを解説

最終更新日:2024年6月21日

shell(シェル)とは、ユーザーとコンピューターをつなぐ仲介役を担う重要なプログラムの一種です。主にインフラエンジニアやサーバーサイドエンジニアが、バッチ処理の開発やスクリプト、ツールの作成などで利用します。

IT業界に入りシステム開発に携わっていると、shellという用語をよく耳にするのではないでしょうか。しかし、具体的にはshellがどのようなものなのかよく理解していない方も多いはずです。

本記事ではshellの概要や特徴、使用例や利用方法について詳しく解説します。インフラエンジニアやサーバーサイドエンジニアへの転職を目指している方はぜひ参考にしてください。

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この記事のまとめ

  • shellとは、ユーザーとコンピューターをつなぐ仲介役を担う重要なプログラムの一種
  • shellはカーネルに処理を伝達する仲介役のプログラムで、シェルスクリプトはshellの命令をスクリプトファイルにまとめたもの
  • shellには複数の種類があるため、これまでの経験や使用したい機能に合わせて選択することが重要
  • shellを扱う案件には、シェルスクリプトを使用したバッチ処理の開発や、スクリプト・ツールの作成など
  • shellを扱う案件においては、インフラの実務経験がある場合は高収入が期待できる

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shellとは

shellとは、ユーザーとコンピューターをつなぐ仲介役を担う重要なプログラムの一種です。コンピューターを操作するにあたって、OSはさまざまな指令を出す基本のソフトウェアです。shellは、ユーザーが望む動作(コマンド)を受けて、その指示をOSに伝達し、コンピューターの動作に繋げます

shellの特徴

shellの特徴は、カーネルリクエストを簡単に行える点です。カーネルとは、コンピュータの処理を切り替えるソフトウェアを指します。従来のプログラミングでは、システムアクセス用のプログラムコードを作成する必要がありましたが、shellでは追加の開発なしに、コマンドラインで必要な操作ができます。

また、シェルスクリプトというスクリプト言語に対応していることも特徴の一つです。shellは、作業の操作をコマンドラインに記述して実行します。シェルスクリプトでは、処理をまとめたものをコードとして作成することによって、バッチ処理や一括実行を簡単に行えます

shellを利用すると複数の作業を一括実行でき、作業品質の均一化が可能です。シェルスクリプト実行により、システムの運用管理の自動化もできます。

shellの役割

shellの役割は、ユーザーとカーネルの仲介役です。ユーザーが入力したコマンドを解釈してカーネルに処理を依頼し、その結果やメッセージなどを画面に表示します。ユーザーはコマンドプロンプトで操作したいコマンドを入力し、表示される結果を見て次のコマンド入力を行うというサイクルで、対話的な作業を行います。

UNIXやLinuxの中核にあるカーネルが管理している機能を用いて、ユーザーはさまざまな操作を実行しますが、カーネル自身はユーザーと対話する能力を持っていません。そこで仲介役となるのがshellです。shellはユーザーと対話する能力を持ち、カーネルに対して操作を指示します。ユーザーからみると、カーネルの周りを覆っている殻(shell)のように見えることから、シェルと呼ばれています。

shellとシェルスクリプトの違い

shellとシェルスクリプトは混同しやすい用語ですが、明確な違いがあります。shellは、カーネルに処理を伝達する仲介役のプログラムです。ユーザーの指令はshellを介して各ソフトウェアに伝達されます。一方でシェルスクリプトは、shellがカーネルに伝える指令をまとめたスクリプトファイルのことです。また、shell上で実行できるスクリプト言語のことを指す場合もあります。

shellは、シェルスクリプトに書かれているプログラムの上から下へ順番に処理していくため、サーバー管理のような単純な作業をまとめて自動化する際などに利用されます。

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シェルスクリプトの使用例やできること

シェルスクリプトを使用することで「アプリケーションの起動や停止」「データの抽出」などができます。シェルスクリプトにアプリケーションの起動処理や停止処理をまとめておくことで特定のアプリケーションを連続で起動したり、指定した時間に起動・停止できます。これを利用することで連続起動しなければならない操作や特定の時間に起動しなければいけない作業を自動化でき、作業の効率化に繋がります。また過去のログファイルから特定のデータを抽出する際に、本来であれば何度も処理を実行しなければならないところをシェルスクリプトを利用することで1回で抽出可能になります。
シェルスクリプトの使用例やできることについて解説します。本項ではシェルスクリプトについて記載しているため、shellによるOSコマンドの実行については省略しています。

アプリケーションの起動、停止操作

シェルスクリプトは、OS操作のコマンドだけではなく、ソフトウェアの起動や停止、再起動などでも利用されます

ITエンジニアが開発したJavaやRubyなどの言語で実装されたアプリケーションの起動は、ターミナルのコマンドラインからパスを指定して起動できます。しかし、アプリケーションの起動の際には環境変数の設定や連携するアプリケーションの起動を伴うことも多いです。また、連続して処理を行うことを前提とするアプリケーションも存在します。

このような場合には、シェルスクリプトにアプリケーションの起動に関連する処理をまとめるのが一般的です。特に、繰り返し実行する必要があるアプリケーションでは、起動に関する処理をまとめておきます。繰り返し行う行為はシェルスクリプトにまとめておくと業務を効率化することができます。

同様にアプリケーションの停止および再実行の際にも複数のコマンドが必要となる場合には、シェルスクリプトとしてまとめておきます。アプリケーションに限らず、ミドルウェアの起動停止の制御でも同様です。

業務効率化

アプリケーションの起動や停止コマンドをまとめておく以外にもシェルスクリプトのパイプ機能を利用すると、複数のコマンドを連携できます。こちらもエンジニアの業務を効率化する役割を果たします

例えばgrepは、テキスト文書の中から特定の文字列が含まれている箇所をすべて抽出してくれるコマンドです。抽出した上で最後の3つの結果だけを抽出したい場合に、grepコマンドとtailコマンドをパイプで繋げて記述します。

tailコマンドは、入力されたテキスト文書について、指定した行数分を末尾から読み取る機能を持ちます。両者を組み合わせることで、想定通りの結果を取得できます。このように、異なるコマンドを連携させてうまく使えば、業務の効率化に繋がるでしょう。

定例作業の自動化

ジョブ管理ツールcronと組み合わせると、時間・日・月・曜日単位で自動的に実行するプログラムを設定できます。例えば、「毎月1日に実行したい」「毎日18時に実行したい」といった繰り返しの定例作業を自動化することが可能です。cron(クーロン)とは、Unix系OSでスケジュールに従ってプログラムを自動実行するためのプログラムです。

また、組み合わせることができるツールやソフトに制限はありません。Google ChromeのようなGUIアプリや、Gitのような開発に欠かせないCLIツールなど、さまざまなツールやソフトをシェルスクリプト内で連携できます。さらに、自作ツールとの連携も可能です。

データ抽出作業

UnixやLinuxを操作する上では、ログファイルやデータの出力結果から必要な情報を抜き出すデータ抽出作業が多く発生します。その際、特定の文字を含む情報を出力するgrepコマンドを利用できますが、複雑な処理を実現するためには何度も入力しなければなりません。大量に記述されているログファイルの中から前日の情報かつ◯◯が含まれる情報を抽出したい場合、パイプなどでコマンドをつなぐ方法もありますが、シェルスクリプトに記載しておけば、1回の実行でデータ抽出を実施できます。

ソフトウェアの実行状態・ストレージの管理

shellにはソフトウェアの実行状態を管理するコマンドや、ハードウェアの状態を確認するためのコマンドも存在します。これらを組み合わせてシェルスクリプトを作成しておき、システム管理者の業務を効率化するツールとして活用することも定番の活用方法です。

起動されたソフトウェアはOS上でプロセスとして扱われます。shellではプロセスについての情報取得やプロセスの停止などを行うコマンドが提供されており、処理の実行時間を確認したり強制終了する際などに活用されます。

ほかにもshellにはストレージの利用状況やCPUの利用率などを確認するためのコマンドが用意されています。これらの情報確認もシステム管理者が行う業務の一つで、繰り返し行うためシェルスクリプトにまとめておくことも多いです。

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shellを利用するメリット

shellには「柔軟性が高いこと」「コンパイル不要であること」「自動化により作業効率向上」といったメリットが存在します。まずshellはアプリケーションの起動・停止やログ検索などのコマンド処理を組み合わせて、ひとまとめにできます。またひとまとめにしたshellを別のshellから呼び出せるため、さまざまな処理を自在に実行可能です。

またshellはコンパイル不要のため、実行時の手間を省けることや他の人のPCでの実行など環境が変わっても実行しやすい点もメリットです。さらにshellはコマンドを自在に組み合わせられることから定期的に実行する作業を自動化するなど、作業効率化にも繋がります。

この章では上記で紹介したshellを使用するメリットについて、さらに詳しく解説します。

柔軟性が高い

shellでは各種のコマンドやアプリケーションの起動が行え、更に組み合わせられます。柔軟に処理の組み立てができることはshell、シェルスクリプトの大きなメリットです。

一度作成したアプリケーションおよびシェルスクリプトは他のシェルスクリプトから呼び出し、さまざまな処理をまとめて効率化できます。作成済みのリソースが以降も活用できるため作業の効率やシェルスクリプトの構築が高まっていく点もメリットです。

コンパイル不要

shellはコマンドインタプリタの一つであり、実行にあたってコンパイルを行う必要がありません。シェルスクリプトも同様にコンパイルなしに実行可能です。

この特徴は、実行時の手間を省けるメリットをもたらします。また、コンパイルせずに実行できるため別のコンピュータに移行して利用しやすいメリットもあります。

自動化で作業効率が上がる

シェルスクリプトの実行例やできることでも取り上げたように、shellのコマンドを用意しておくことやシェルスクリプトとしてまとめておくことで、サーバー上の業務を効率化できます

サーバーサイドエンジニアやインフラエンジニア、システム管理者などの業務においてよく使うコマンド、処理などは決まっていることが多く、手順も同じである必要が多いです。 shellのコマンドやシェルスクリプトとしてまとめておくことで、繰り返し行う作業の効率を高められます。また、作業手順もスクリプトとしてまとまっていれば、知識がない人手も同じ手順を繰り返せるため業務の属人化を防ぐメリットもあります。

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shellの種類

一括りにshellといってもさまざまな種類があります。たとえば「bash」はUnix系のシステムで用いられるshellで、プログラミング言語と同様に変数や関数、演算処理など多くの機能があるため簡単なプログラムであればbashだけで記述可能です。また「tcsh」はユーザーインターフェース部分を中心に拡張されたshellで、ビデオ端末上での使用を前提とした使いやすいコマンドライン編集機能や、強力なヒストリ編集機能が搭載されています。「zsh」はcsh、bashなどの優れた機能を取り込み、作業効率を高める独自の機能を搭載しています。

この章では上記で紹介したshellに加えて、他にも存在するshellについても詳しく解説します。

bash

bashとは「Bourne Again shell」の略で、Unix系のシステムで用いられるshellのことです。Unix系でもLinuxだけではなく、MacやWindowsにも幅広く普及しています。bashはLinuxで標準採用されており、拡張子は「.sh」です。プログラミング同様に変数や関数、演算処理など多くの機能があり、簡単なプログラムのみであればbashだけで記述できます。

bashの大きな特徴は、対応しているOSが多いことです。OSによって、操作上の細かな注意点はありますが、基本的な操作は変わりません。

また、bashはコンパイルが不要という特徴もあります。bashのコマンドを記述する際にはテキストエディタを使用するため、コンパイルをしなくてもスクリプトの作成が可能です。

関連記事:UNIXとは?その特徴やLinuxとの違いを解説

sh

shは「Bourne shell」の略で、1972年にAT&Tベル研究所のスティーブン・ボーン氏によって開発され、その名が冠されています。Bシェルと呼ばれることもあります。

その後に開発される各種のshellの起源にあたりますが、現在では以降に登場した各種の優れたshellに置き換えられています。

csh・tcsh

chsはUnixユーザに馴染み深かったC言語に近い文法体系を持つshellです。C言語のような記述ができ、対話型の機能を改良する目的で作られました。Cシェルとも呼びます。

Cシェルは、Bourne shell(sh)が必要最低限の機能しか持たないことを踏まえて、ユーザーにとってより簡単に使用でき、理解しやすいshellを提供したいという思いで設計されました。

tcshは、Cシェルの派生型です。tschは、Cシェルのなかでも特にユーザーインターフェース部分を中心に拡張されたshellです。ビデオ端末上での使用を前提とした使いやすいコマンドライン編集機能や、強力なヒストリ編集機能が追加されています。

bashと同様にスクリプトにも対応しており、組み込み関数はC言語に似た様式で提供されます。そのため、C言語を習得している人にとっては比較的導入しやすいでしょう。

zsh

数あるshellのなかでも、万能と言われているのがzshです。ゼットシェルやジーシェル、ゼッシュなどと呼ばれます。shをベースとして、ksh、csh、bashの優れた機能を取り込み、作業効率を高める独自の機能を搭載していることが特徴です。またzshは、MacOSのCatalinaから標準シェルとして採用されています

zshの主な機能は以下のとおりです。


  • ・コマンドライン編集機能

    ・グロビング機能

    ・パス展開機能


上記以外にも多くの機能が搭載されています。

ksh

kshは「KornShell」の略で、作成者のデビット・コーン氏の名前が付けられたshellです。shの完全上位互換にあたり、Cシェルの機能の多くも取り入れて開発されました

shの上位互換であることから、shで作られたシェルスクリプトなどの資源がそのまま利用できることと、Cシェルに由来する機能を取り込み利便性を高めていることから人気の高いshellです。UNIXの標準規格であるPOSIXにも取り込まれています。

開発時にコーン氏はベル研究所に在籍しており、長らく商用版の権利はAT&T社が所有していましたが、後にオープンソース化されています。

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shellの利用方法

shellを利用するにはまずshellの操作方法とコマンドについて知る必要があります。コマンドが実際に実行される処理の中身になるため、どういったコマンドがあるのか把握しておきましょう。shellの操作方法とコマンドを一通り確認したら、次は実際にシェルスクリプトを作ってみましょう。シェルスクリプトにもプログラミング言語と同じように文法が存在するため、基本文法は抑えておきましょう。基本文法を抑えてシェルスクリプトを作成できたら、実際に実行してみましょう。実際に手を動かしてみることで、知識の定着にも繋がります。

この章ではshellを利用するために必要な知識・手順について詳しく解説します。

shellの操作方法

shellは、対話形式によるコマンドの実行や、シェルスクリプトファイルを読み込んで実行します。リダイレクト機能を用いれば、入出力先を変更できます。利用するシステムのログインシェルにBashが設定されている場合には、そのままBashのコマンド入力が可能です。シェルスクリプトの1行目のコメント行に実行プログラム名を”#!/bin/bash”のように指定すれば、明示的にBashを利用できるようになります。

shellのコマンド

shellで使用するコマンドは、オプションを付与することでより詳細な指示を出せます。以下は、よく使うコマンドとオプションの一覧です。
※オプションについては、shの種類により挙動が異なる可能性があります。

コマンド 説明 オプション
ls ディレクトリ情報を一覧表示する -a: 全て表示
-l: ファイル詳細表示
1: リストを縦にソート
-r: 逆順に表示
-t: 更新時間順にソート
-m: ファイル名をカンマ区切り表示
-h: 単位を読みやすい形式で表示
-k: キロバイト単位の表示
-i: ファイル名の左にi-node番号を表示
-S: ファイルサイズ順にソート
-X: ファイルを拡張仕事に集約
-R: ディレクトリ内容を再起的に表示
-F: 情報の付加
--full-time: タイムスタンプ詳細を表示
--help: ヘルプ表示
pwd 現在アクセスしているディレクトリ表示 -L: 論理的なディレクトリ名を表示
-P: 物理的なディレクトリ名を表示
cd ディレクトリ移動 -L: 論理的なディレクトリへ移動
-P: 移動さきがシンボリックリンクの場合、
物理的なディレクトリへ移動
mkdir フォルダ作成 -m: 作成するディレクトリのパーミッションを設定
-p: 必要に応じて親ディレクトリを作成
-v: 経過表示
cp ファイルのコピー -i:上書前に確認
-v:実行内容の表示
-n:存在するファイルの上書き制御
-f:強制的に上書き
-b:上書きファイルのバックアップ生成
-S 接尾辞:バックアップファイル生成時、
ファイル名末尾に付ける文字
mv ファイル削除 -f:存在しないファイルを無視
-i: 削除前に確認
-v:経過を表示
-d:unlinkでディレクトリを削除
-r:ディレクトリを再帰的に削除

シェルスクリプトの作成

スクリプトファイルはテキスト形式のため、emacsやviなどのテキストエディタを用いて作成します。シェルスクリプトでは環境変数に応じた処理の追加や、コマンド解釈で必要とされる引用ルールに応じた文字列を引数として渡せます。シェル組み込みコマンドや外部コマンドを組み合わせて、より大規模な処理の登録が可能です。

シェルスクリプトの実行

シェルスクリプトは、以下のようにコマンドを入力すれば実行できます。
bash ファイル名
ただし実務でシェルスクリプトを実行する場合は、そのファイルの実行権限を持っているかを事前に確認するケースが多いでしょう。以下では、権限の確認から実行までの方法を解説します。

まず、あらかじめ作成されているシェルスクリプトの権限を確認します。

ls -la ファイル名

上記コマンドを実行すると、対象ファイルに付与されている権限が以下のような形で表示されます。

//出力

rwxr-xr-x

「r」は読み出し許可、「w」は書き込み許可、「x」は実行許可、「-」は対象の権限が与えられていないことを示します。上記の出力結果では、「rwx」で所有者にすべての権限が許可されていること、真ん中の「r-x」はグループに対する読み出しと実行の権限、「r-x」はほかのユーザーに読み出しと実行の権限が与えられていることを表しています。

権限を与えるためには、次のようなコマンドで設定が可能です。

chmod 755 ファイル名

最初の「7」がユーザーの権限、中央と最後の「5」がグループと他のユーザーの権限を指定する値です。設定する値は、以下のような意味を持ち、それぞれ加算した値を入力します。

4 読み出し許可
2 書き込み許可
1 実行許可
0 許可なし

最後に、以下のコマンドを入力すれば、シェルスクリプトを実行できます。

bash ファイル名

シェルスクリプトの基本文法

シェルスクリプトで使用する基本的な文法について解説します。

変数への代入と参照

変数へ値を代入する場合は、変数名と値を「=」で繋ぐことで代入されます。文字列を代入する場合は、シングルクオーテーションかダブルクオーテーションで囲みます。ここでの注意点は、「=」の前後に空白を含めずに連続して記載することです。

//変数へ代入

str=’hello’ # 文字列を代入
num=1 # 数値を代入

 

//変数を参照

echo $str # 「1」が出力される
echo $num #「hello」が出力される

配列定義

配列は複数の要素を1つの変数に格納できます。配列は「()」で囲むことによって定義できます。

//配列定義

list=(val1 val2 val3)

//配列表示

echo ${list[@]} # 配列の中の全ての値を表示
echo ${list[0]} # 配列の中の0番目(val1)を表示
echo ${!list[@]} # インデックスを表示
echo ${#list[@]} # 配列の要素数を表示

//配列に要素を追加

list [3]=val4 # 配列の4番目に要素を追加

//配列から要素を削除

unset list[2] # 配列の3番目を削除

条件分岐:if文

条件に該当するか否かで処理を分岐する構文です。
注意点として、条件文で比較を行う場合は、演算子の前後にスペースを入れてください。

if [条件文]; then
処理
elif [条件文]; then
処理
else
処理
fi

条件分岐:case文

case文は、パターンを複数列挙して、該当した処理を実行します。

case $var in
パターン )
処理;;
パターン )
処理;;
esac

関数

関数を定義する方法と呼び出す方法です。

function 関数名(){
処理
}

//関数呼び出し
関数名 ‘引数’

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shellの学習方法

shellを学習する場合は書籍や学習サイトを活用してコマンドを覚え、その後シェルスクリプトを構築すると良いでしょう。書籍や学習サイトからコマンドなどを学ぶだけでなく、実際にサーバーなどでshell、シェルスクリプトを実行して理解を深めることがおすすめです。

クラウドサービスの普及から、Linuxサーバー環境にふれるためのハードルは下がっているため、ぜひとも実際に触れてみてください。

書籍で学ぶ

shellはUNIXやLinuxで長く利用されているため関連する書籍が多数存在しています。これらを利用してshellコマンドを覚えていくと良いでしょう。

注意点として、shellには複数の種類が存在します。どのshellを学ぶのかは意識しておく必要があります。

[改訂第4版]シェルスクリプト基本リファレンス ──#!/bin/shで、ここまでできる(出版:技術評論社、著:山森 丈範)
基本から丁寧に記載された書籍で、継続的に改訂も行われています。bashを中心に、シェルスクリプトの移植性なども重視した解説です。

ITエンジニア1年生のための まんがでわかるLinux コマンド&シェルスクリプト基礎編(出版:日経BP、著:Piro)
初心者が初めてLinuxでshellコマンドやシェルスクリプトを利用することを想定して書かれた書籍です。まんがを交えてかかれているため、初心者でも取り掛かりやすい一冊といえます。

マスタリングLinuxシェルスクリプト 第2版 ―Linuxコマンド、bashスクリプト、シェルプログラミング実践入門(出版:オライリージャパン、著:Mokhtar Ebrahim、Andrew Mallett、)
bashのシェルスクリプティングに焦点を当て、基礎から実践、応用レベルまでを体系的に解説しています。初級のシステム管理者から、中級の管理者、開発者まで利用できる一冊です。

学習サイトを活用する

shellはインフラエンジニアやサーバーサイドエンジニアにとって有用なスキルであり、多くの需要が存在することから学習サイトでもコンテンツが提供されています。以下のサイトなどを活用し、クラウドにコマンドを実行できる環境を用意して学習することがおすすめです。

ドットインストール
ドットインストールは動画でプログラミングを学習できるサービスです。シェルスクリプトやUNIX、に向けたコースも用意されています。2024年5月29日時点で「シェルスクリプト入門」の#1-#4が無料で公開中のため、試してみると良いでしょう。

Udemy
Udemyはオンラインのコースによる学習を提供するサービスです。幅広い範囲の学習が提供されており、Linuxコマンドラインのコースも2024年5月29日時点で83件登録されています。学習のレベルや価格、人気などを判断基準としてコースを選びましょう。

paizaラーニング
paizaラーニングはWebブラウザでプログラミングしながら学べるサービスです。動画を見ながらコーディングエリアにコードを書いて実行できるため、手を動かしつつ学習でき、より効率的に身に着けられます。shellの学習については「Linux入門編」で学習できます。「Linux入門編」ではLinuxについても学べるためおすすめです。

シェルスクリプト入門 書き方のまとめ
シェルスクリプト入門 書き方のまとめはシェルスクリプトについて基本的なことがまとめられているサイトです。1ページでまとめられているため、上から順に学習することで、シェルスクリプトとは何かということから基本的な文法まで身につけられます。

UNIX & Linux コマンド・シェルスクリプト リファレンス
UNIX & Linux コマンド・シェルスクリプト リファレンスはUNIX & Linux のコマンドおよびシェルスクリプト (bash) のリファレンスサイトです。「どういったコマンドがあるんだろう」や「こういうことがしたいけど、どう書けば良いかわからない」といった疑問点が出てきた場合にはこちらのサイトを利用することで、できることを調べられます。実際に学習を進めていく中で辞書的に利用するのがおすすめです。

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shellを扱うエンジニアの年収

本項で記載するshellを扱うエンジニアとは、主にCUIベースでshellやシェルスクリプトを扱うエンジニアを指します。エンジニア職種ではインフラエンジニア、サーバーエンジニア、サーバーサイドエンジニアなどが該当します。

2024年5月時点でレバテックキャリアに掲載されている公開中のキーワード「shell」の求人・転職情報よりshellを扱うエンジニアの平均年収を算出しました。30件を抽出し、年収の最大値と最小値の中間値の平均から、shellを扱うエンジニアの平均年収は約617万円と想定されます

shellを扱う案件としては、シェルスクリプトを使用したバッチ処理の開発やスクリプト、ツールの作成案件などが挙げられます。

shellエンジニアの求人・転職情報>

金融系、官公庁、通信系など、幅広い業界のクライアントが存在します。多くの場合、インフラ系の案件では、OSやクラウド、ネットワーク、仮想マシンなどの知識や実務経験が必要です。

3年以上の実務経験がある場合や、インフラの上流工程経験がある場合は、高い年収が期待できるでしょう。

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shellに関するよくある質問

この章ではshellに興味がある方に向けて「shellとはどういう意味か」「shellがどういうシーンで使用されるか」など出てきやすい質問とそれに対する回答を紹介します。こういった知識を身に着けておくことでshellについてのイメージを明瞭化させられ、shellについてさらに調べる際や学習を始める際によりスムーズに情報を取り入れられます。ぜひ見ておきましょう。

Q1. 「shell」とはどういう意味ですか?

shellとは、ユーザーとコンピューターをつなぐ仲介役を担う重要なプログラムの一種です。ユーザーが入力したコマンドを解釈してカーネルに処理を依頼し、その結果やメッセージなどを表示します。カーネルの周りを覆っている殻(shell)のように見えることから、シェルと呼ばれています。

Q2. shellはどういうシーンで使いますか?

shellは各種インフラエンジニアのサーバー操作やサーバーサイドエンジニアのサーバーでのアプリケーション起動などでよく利用します。OSのコマンドによる操作、サーバー上での定期的な処理の実施、アプリケーションの起動、ソフトウェアやハードウェアの状態管理などが活躍シーンです。

Q3. shellとシェルスクリプトの違いは何ですか?

shellはカーネルに処理を伝達する仲介役のプログラムです。一方でシェルスクリプトは、shellがカーネルに伝える指令をまとめたスクリプトファイルのことです。shellはシェルスクリプトに記載された指令を上から下へ順番に処理していくため、繰り返し行う操作をまとめて自動化する際などに利用されます。

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まとめ

shellはユーザーとコンピューターをつなぐ仲介役を担う重要なプログラムの一種です。shellはユーザーの入力(コマンド)を受けて、その指示をOSに伝達し、コンピューターの動作に繋げます

shellでの処理をまとめてスクリプトファイルとしたものがシェルスクリプトです。サーバー上の操作の中には、繰り返し行う手順も多く存在しており、シェルスクリプトにまとめておくことで、業務の効率化や自動化を図れます。

shellにはさまざまな種類が存在しており、代表的なものにはbash、sh、csh、tcsh、zsh、kshなどがあります。各shellで機能や記述に違いがあるため、学習の際には注意が必要です。

shellはサーバーでの操作で必要なため、多くのITエンジニアにとって有用です。特に各種のインフラエンジニアやサーバーサイドエンジニアは利用する機会が多くあります

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