クラウド化によってネットワークエンジニアの仕事は減るって本当?求められるスキルの取得方法もご紹介ネットワークエンジニアが習得すべきクラウドスキルとは?

最終更新日:2020年12月25日

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ネットワークエンジニアは、コンピューターネットワークの設計、構築、運用・保守などを通じて、企業のITインフラを支える職種です。

現在、企業のクラウド利用の広まりに合わせて、ネットワークエンジニアに求められる役割も変わりつつあります。クラウド時代にはネットワークエンジニアが不要になるという意見もありますが、ネットワークエンジニアの将来性はどうなるのでしょうか。

この記事ではクラウド時代のネットワークエンジニアの将来性と、クラウドに対応するために必要なスキル、そのスキルを学ぶ方法について詳しく解説します。

1. クラウド時代のネットワークエンジニアの将来性

Google Cloud PlatformやAWS、Azureなど、世界の大手IT企業がクラウドを基盤としたサービスを展開している環境下、ネットワークエンジニアに求められる役割も変わりつつあります。そんななかで、「今後はネットワークエンジニアが不要になる」と主張する人もいます。実際のところクラウド時代のネットワークエンジニアの将来性はどうなるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

なぜクラウド時代にネットワークエンジニアが不要になると言われるのか

これまでのネットワークエンジニアの業務は、物理的なネットワーク機器の調達や設定などが主な仕事でした。ネットワークトラブル発生時には、現場にかけつけて問題点を特定し、早期に復旧するなどの業務を経験した人もいるでしょう。これらの業務には、ネットワークに関する専門的なスキルに加えて、導入するネットワーク機器に関する知識が必要でした。

しかし大手IT企業がクラウドサービスを展開しており、ITシステムもオンプレミスからクラウドへの移行が進んでいます。ITシステムがクラウドになったことで、システムが利用するネットワーク環境も大きく変わりました。社内にあったデータセンターが不要になったり、物理的なネットワーク機器ではなく、クラウド上のネットワークのコードによる設定が必要になったりなどです。

つまりクラウド時代になったことで、ネットワークエンジニアとしての役割も変わってきているのです。クラウド時代にネットワークエンジニアが不要になるという主張は、このような技術や環境の変化に対応できないネットワークエンジニアに対して向けられた言葉だと言えます。

市場価値の高いネットワークエンジニアで居続けるためには

市場価値の高いネットワークエンジニアで居続けるためには、まずIT技術の動向を見極め、ネットワークエンジニアの市場需要をつかむ必要があります。例えばIT系の転職エージェントのWebサイトにて、ネットワークに関する仕事の求人内容を見ると、どのようなスキルを持つ人材が求められているのか、客観的に知ることができます。

また既にサービスが提供されているクラウドですが、IT技術としては比較的新しく、これからも大きく進化していくことが予想されます。そのためクラウドに精通しているネットワークエンジニアの需要は今後も増していくでしょう。

ネットワークエンジニアとしては、実務経験を積んでスキルを磨くだけでなく、クラウドサービスを含めた新技術に関する情報を積極的に取り入れて、スキルアップを続けることが市場価値の高いネットワークエンジニアになる方法です。

2. ネットワークエンジニアにクラウド対応スキルが求められる理由

2020年現在、様々なIT企業がクラウドサービスを提供しています。「令和2年版 情報通信白書」(※1)によると、クラウドを事業の一部もしくは全部に導入している企業の割合は、全体の6割に達しており、クラウド利用率は5年連続で増加しています。

情報通信白書ではさらに、企業がクラウドサービスを利用する理由の1位に「資産、保守体制を持つ必要がないから」をあげています。以下、2位に「場所、機器を選ばずに利用できるから」、3位に「安定運用、可用性が高くなるから」という理由が続きます。この結果からもクラウドサービスは利便性だけでなく、運用保守面でも優れていることがわかります。

また一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会による「企業IT動向調査2020」(※2)においても、パブリッククラウドをSaaSとして導入済みの企業が6割を超え、さらにIaaSやPaaSとしてのパブリッククラウドも5割弱の企業が導入済みとなっています。

これらの結果からクラウドサービスは実用段階であり、すでに多くの企業が導入していることがわかります。

従来のネットワークエンジニアは、企業内あるいはオンプレミス環境におけるネットワーク機器の設定や保守が主な業務内容でした。しかしクラウドサービスにおけるネットワークエンジニアには、これまでとは異なるクラウド対応スキルが求められます。ネットワークエンジニアにとってのクラウド対応スキルとはどのようなものでしょうか。次から紹介していきます。

※1 総務省「令和2年版 情報通信白書」(2020年12月16日アクセス)
※2 一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2020」(2020年12月16日アクセス)

3. ネットワークエンジニアに求められるクラウド対応スキルとは?

この章では、ネットワークエンジニアに求められるクラウド対応スキルについて個別に解説します。

ネットワーク仮想化の知識

ネットワーク仮想化とは、ネットワーク機器などのハードウェアで構築されていたネットワークを、ソフトウェアによるネットワークに置き換える技術の事です。ネットワークを仮想化することで、複数の物理的ネットワークを1つ仮想化されたネットワークに統合することも、1つの物理的ネットワークを複数の仮想化されたネットワークに分割することもできます。ハードウェアによるネットワークよりも柔軟なカスタマイズが可能です。

ネットワーク仮想化の知識としては、SDN(Software Defined Networking)やSDNを実現するための技術であるOpenFlowというネットワーク規格があります。物理的なネットワーク機器の制御から、ソフトウェアによるネットワーク制御へと、ネットワークエンジニアにはこのような仮想化の知識が求められています。

ネットワーク仮想化に対応できるプログラミングスキル(Ruby、Java、Pythonなど)

ネットワーク仮想化に対応できるプログラミング言語として、Ruby、Java、Pythonの3つを紹介します。

RubyはWebアプリケーションの開発で使われることの多い言語ですが、SDNの実装にも多く使用されています。例えばオープンソースのフレームワークTremaでは、OpenFlowコントローラーとOpenFlowスイッチの両方がシミュレートできます。

JavaはWebアプリケーションやスマートフォンアプリなど様々な分野で使われている言語です。JavaによるSDNの実装例として、OpenDaylight、Brocade Vyatta Controller、Floodlight Open SDN Controller、ONOSなどのフレームワークがあります。

Pythonは機械学習やデータ分析で使われている言語です。PythonではRyu SDN FrameworkやPOX SDN ControllerなどのフレームワークによりSDNが実装可能です。

ここで紹介したプログラミング言語はネットワーク仮想化だけでなく、アプリケーションの開発においても需要の高い言語です。ネットワーク仮想化のスキル取得に合わせて、Webアプリケーション開発のスキルも身につけられれば、ほかのネットワークエンジニアとの差別化も可能です。

仮想化技術を考慮したネットワーク設計スキル

仮想化されたネットワークの設計には、物理的なネットワークの設計とは異なるスキルが求められます。仮想化されたネットワークでは、物理的なネットワーク機器やLANケーブルをどのように繋ぐのかという視点でのネットワーク構成は行いません。

SDNのように仮想化されたネットワークの場合、一度物理的な構成を作ったら、原則として変更することはありません。ネットワークの構成や通信経路の制御などはソフトウェアによって行われるからです。そのような制御のためにOpenFlowのような標準規格も登場しました。仮想化されたネットワークの設計には、物理的なネットワークの設計とは異なるスキルが要求されるのです。

クラウドサービス全般の知識(SaaS 、PaaS、IaaSなど)

SaaS、PaaS、IaaSなどのクラウドサービス全般の知識もネットワークエンジニアには必要です。それぞれ、「ソフトウェア(Software)」、「プラットフォーム(Platform)」、「インフラストラクチャー(Infrastructure)」をクラウドで提供するサービスです。

ネットワークエンジニアに近いのはIaaSでしょう。IaaSにはネットワークに加えて、サーバーやストレージなどのインフラが含まれます。

クラウドを活用したシステム開発では、複数のエンジニアと共同で作業することもあります。ネットワーク以外の分野であって、ほかのエンジニアと意思疎通ができるレベルのクラウド全般の知識は身につけるべきでしょう。

AWSなど大手クラウドサービスに関するスキル・知識

3大クラウドと呼ばれている「Amazon Web Services(AWS)」、「Google Cloud Platform(GCP)」、「Microsoft Azure」に関するスキル・知識もネットワークエンジニア求められます。それぞれ似たような機能を提供していますが、特徴や使い方は異なります。実務などで操作して覚えるのも一つの方法ですが、それぞれのクラウドに関する資格があるので、試験勉強を通じて体系的に学ぶのもおすすめです。

セキュリティに関するスキル

クラウドサービスはインターネットを使って利用するサービスであるため、セキュリティ対策は必要不可欠です。特にSSLなどによる通信の暗号化、ユーザ認証やアクセス制限の方法、セキュアなアプリケーションの開発などオンプレミス環境と同様のセキュリティ対策が欠かせません。さらにクラウドのカスタマイズ設定などのクラウド特有のセキュリティ対策も必要です。ネットワークエンジニアとしては特に、ネットワークに関するセキュリティのスキルは最低限身につけておくべきです。

4. クラウド対応スキルを習得する方法

クラウド対応スキルを習得する方法として、書籍による独学と、クラウドベンダーの学習プログラムによる方法の2つを紹介します。

おすすめ書籍

おすすめ書籍として次の2冊を紹介します。
 

サーバー、ネットワークまでを含めた仮想化技術全般に関する知識を解説している書籍です。既存の仮想化技術(VPN、VLAN)からSDNまで網羅しているため、クラウド対応スキルの基礎力養成に役立つでしょう。
 

SDNやNFVといったネットワーク仮想化技術の応用動向や企業事例、技術解説を網羅した解説書です。応用動向として、通信事業者の戦略や一般企業の導入事例、ベンダーの最新ソリューションを紹介しており、具体的な事例からクラウド時代のスキルを学ぶことができます。

AWSなど大手クラウドサービスの学習プログラム

大手のクラウドサービスには学習プログラムがあり、インターネットで学べます。

例えばAWS(Amazon Web Service)には「AWS トレーニングと認定」(※3)という学習プログラムがあります。無料のデジタルトレーニングによる学習に加えて、有償のクラスルームトレーニングによるディスカッション、さらにAWS認定資格に向けたトレーニングも利用できます。

GCP(Google Cloud Platform)には「Google Cloud 認定トレーニング」(※4)という学習プログラムがあります。これはGoogleが認定した特定のパートナーが提供しており、Googleが作成したカリキュラムに従って学習できるプログラムです。

Microsoft Azureには「Microsoft Learn」(※5)という学習プログラムがあります。自分にあったスケジュールで学習でき、Microsoft認定資格である「MCP」の取得に向けた体系的な学習も可能です。

クラウドと一言で言っても、様々な機能が提供されています。ここで紹介した学習プログラムの内容は膨大ですが、自分の業務に必要なクラウドサービスをピックアップして効率的に学習しましょう。

※3 Amazon「トレーニングと認定」(2020年12月17日アクセス)
※4 Cloud Ace「Google Cloudの認定トレーニング」(2020年12月17日アクセス)
※5 Microsoft「Microsoft Learn」(2020年12月17日アクセス)

5. まとめ

この記事では、ネットワークエンジニアがクラウド時代に習得すべきスキルについて解説してきました。クラウド利用が当たり前になるにつれ、ネットワークエンジニアに求められるスキルは大きく変わっていくでしょう。したがって、クラウド対応を含めた新たなスキルセットを構築できれば、希少価値の高い人材として評価される可能性が高まります。この記事を参考にしながら、クラウド対応スキルを高めてみて下さい。

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