- 社内SEの将来性について
- 経験3年以上の社内SEに多い仕事内容
- これからの社内SEに求められるスキル
- 対外的にスキル・知識を示すには資格取得もおすすめ
- 社内SEの平均年収
- 年収アップが見込める社内SEのキャリアパス
- 社内SEの将来性に関するよくある質問
- まとめ
社内SEの将来性について
企業の業務のIT化が進み、社内でIT機器やシステム、インターネットなどが活用されています。これらのIT環境の利用促進や導入、開発、運用保守をする社内SEは、今後も需要が高くなる職種だと予測されています。社内SEの将来性について、いくつかの項目をあげて紹介します。
担当領域の幅広さが重宝される
社内SEの仕事は特定の技術に特化した働きよりも、幅広く知識や技術、経験を活かして、社内のIT活用を促進するゼネラリスト的な働き方が求められます。これはクラウドや仮想化技術、AI、セキュリティなど最新の技術を自社の事業に取り入れ、経営や事業、業務の改善に導くような役割です。
自社に最先端のIT技術を取り入れることは、業務の効率化や他社との差別化につながります。広い担当領域を持ち、自分の知識や経験のアップデートを積み重ねることで、社内SEとしての将来性が保証されるといえるでしょう。
関連記事:社内SEに必要なスキル|SEとの違いや役立つ資格も解説
リモートワークの需要が継続している
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がリモートワークを導入しました。
厚生労働省の「テレワークを巡る現状について」の資料によると、雇用型テレワーカーの人口割合は、平成28年は7.7%でしたが、令和2年には15.4%に増加しています。テレワークを導入した企業の割合も、平成24年の11.5%から、令和2年には34.5%と飛躍的に増加しています。
2023年1月に公益財団法人日本生産性本部がまとめたテレワーク実施状況の資料によると、テレワークが増加した令和2年の状況から令和5年に入っても減少はあまり見られません。自宅勤務は変わらず継続し、サテライトオフィスなどでの勤務はやや減少、モバイルワーク(一般的な場所を利用した勤務)は微増するなどリモートワークの方法も多様です。
これまで比較的従業員規模の大きい企業ほどテレワークの実施が目立つ印象でしたが、令和5年時点では従業員規模にかかわらず実施されていることがわかります。
テレワークの導入には、セキュリティ対策やクラウドの活用など、テレワークに適したIT環境の整備が必要です。特に社内の業務システムは、情報漏洩やノウハウの流出などのリスクから外注化が難しい状況といえるでしょう。
そのため、自社で業務システムを開発する傾向があり、テレワークを推進するには社内の業務やシステムに精通している社内SEの存在が不可欠になるのです。
業務のDX化を進める企業が増えている
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という考えです。
経済産業省は令和3年に「DXレポート2.1」を公表して、DX変革に向けた施策の方向性やユーザー企業とベンダー企業の現状と変革に向けたジレンマについて明らかにしました。
情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2023(第2部 国内産業におけるDXの取組状況の概観 P44)」によると、DXに取り組む企業は従業員規模にかかわらず増加中。特に従業員規模1,000人以上の大企業だと半数以上がDXへの取り組みを進めていることがわかります。
DXに取り組んでいる企業の業務システム開発は内製化する傾向があり、社内SEの存在は必要不可欠です。社内SEの需要が高まる大きな理由になります。
大手企業を中心に内製化を進めている傾向にある
DXで例えたように、大手企業を中心にこれまで外注していた業務を自社内で完結させる、社内システムの内製化が進んでいます。
大手企業では人的にも経営的にもリソースが豊富なため、中小企業と比較して社内システムの内製化が進めやすい環境です。社内システムの内製化は外部への情報流出リスクを抑えられるだけでなく、自社の開発力の強化にもつながります。
ただ会社によっては、「社内SEが所属する部署は売上に貢献しないためにコストがかかる」など評価が低いこともあるようです。企業によって、社内SEの役割や評価が異なるのが現状といえるでしょう。
社内SEとしてより良い環境で活躍するためには、社内システムの内製化に積極的で社内SEを評価している企業を選ぶのも一つの大切なポイントになります。
役割の変化により求人・年収が増加する可能性も
自社で使うシステムやアプリケーションを外注すると
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・開発期間の長期化や高コスト化・外部とのやり取りや資料作成などに労力がかかる
といった問題がありました。これらを解決するために、社内SEに内製化を依頼することを考える企業も増えています。
社内SEはIT技術が得意なうえに自社の業務にも詳しいため、IT化に積極的な企業では大きく活躍できることが期待できます。社内SEが開発したシステムやアプリケーションにより自社の業務効率の改善に貢献できれば、収入のアップなど優遇される可能性が高まるでしょう。
このように社内で使われるシステムやアプリケーションの内製化の増加傾向により、求人数が増加する可能性もあり、転職による年収増加も期待できます。
社内SEはやめとけといわれる理由とは?
社内SEの将来性が明るいといわれる反面、「社内SEはやめとけ」などと世間で評価されることもあります。ここでは、どうして「社内SEはやめとけ」といわれてしまうのか、社内SEの持つ課題とあわせて理由を紹介します。
関連記事:社内SEが「人気・勝ち組の職種」と呼ばれる7つの理由
企業によっては開発に携われない場合がある
システムの企画・開発は社内SEの仕事にも含まれますが、実際の開発作業は外注化する企業も多くあります。プロジェクト管理がメインの仕事になると、現場で開発がしたいと思う人には不満かもしれません。
企業によって、システム開発のスタンスは異なります。自分の開発スキルを高めたいと思う人は、社内SEにも開発業務に携われる企業を目指すといいでしょう。
関連記事:社内SEのメリット・デメリット - 院内SEも含めて解説
社内調整がストレスになる人もいる
社内SEは自社のITシステム関連に幅広く関わります。そのため多くの関係者とのコミュニケーションが必要です。
上司や同僚、他の部門の社員と関係を築いたり、部下に適切に指示やアドバイスをするなどのヒューマンスキルも求められます。そのため、コミュニケーションが苦手な方には開発だけに専念できずストレスになるかもしれません。
またIT企業でない事業会社の場合、関連する他部門の社員がITの知識が乏しく、理解がなかなか進まないことが多くあります。
社内SEの存在の理解が得られないと社内SEがいる部署はコストがかかる部署と思われ、業務を進めることに苦労が増えています。
関連記事:社内SEが「楽な職種」と言われる5つの理由
経験3年以上の社内SEに多い仕事内容
社内SEの仕事内容はITに関連する業務と多岐にわたりますが、ITエンジニアの多くは「3年の実務経験」が大きなターニングポイントです。転職の際に前職の3年間の実務経験を問う企業も多く、いかに重視されるかがわかります。
そこで社内SEの仕事内容の中でも、経験3年以上に求められる役割や内容について解説します。
関連記事:社内SEとヘルプデスクの違い
これからの社内SEに求められる役割
社内SEの役割は、勤務している会社の業務内容や規模、技術力などによって異なります。社内SEの役割の種類は大きくシステムの開発とシステムの運用の2つに分類できます。
システム開発
システム開発は、自社で使用するシステムの開発を担う仕事です。システム開発の流れは、おおよそ次のようになります。
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1.業務の問題点を見つけ出し整理する2.開発するシステムに求められる機能や性能などの方向性を決定する
3.社内でシステムの提案。承認後に開発を進める
システムによっては海外のベンダーやサービスを使うこともあり、選定のためのコンペなどを実施することもあります。予算やスケジュールを管理しながらシステム開発を進め、完成したら社内に導入するまでがシステム開発の仕事分野です。導入後は、システムの周知や教育・管理をします。
システム運用
システム運用は、自社で使用されるシステムをスムーズに運用するための仕事です。障害が起きたときは、不具合の対応やデータの復旧、サーバーの再起動などを迅速に対応します。またシステム障害が起きないか、システムの監視をします。
また、外部からの不正アクセスや社内PCへのマルウェア感染などのサイバー攻撃が起きたときは、応急処置から経営層への報告まで対応します。自社の能力だけで対応ができない場合は外部の専門家に協力を依頼し、問題解決後は報告や改善案や対策案の立案をします。
このように社内SEに求められる役割はさまざまです。企業によっては、これらの業務を分業してヘルプデスクが作業の一部を担当することがあります。
これからの社内SEに求められるスキル
社内SEは社内のさまざまな業務に関わるため、それらに対応できる幅広いスキルが必要です。ITに関連する知識や技術はもちろん、社内で仕事を進めていく上での社会性やエンジニアにとっての大切な問題解決力も求められるでしょう。そんな社内SEに求められる代表的な3つのスキルを紹介します。
関連記事:社内SEへの希望者必見!志望動機の書き方のポイントを例文付きで解説
幅広いIT技術・知識
社内SEは自社のITシステムに適切に対応できるように、幅広いIT技術と知識が必要になります。社内システムの不具合やトラブルシューティング、サーバーの増強や社内ネットワークの構造変更など、社内SEの業務は多岐にわたります。業務をこなすには幅広いIT技術と知識が必須です。主に二つのIT知識が必要となるため、詳しくチェックしていきましょう。
ソフトウェアやハードウェアに関する知識
ソフトウェアやハードウェアに関する知識は、社内システムの構造や仕様、設計の意味を理解するために必要になります。これらが理解できないと、システム改修や新たな開発要件に対応できなくなります。社内システムは企業によって使われるソフトウェアやハードウェアが異なるため、社内システムの不具合やトラブル対応をするにはより幅広い知識が必要です。
サーバーやインフラに関する知識
サーバーやインフラに関する知識も社内SEには必要です。社内SEの業務では、サーバーの増強や社内ネットワークの構造変更などの業務を任せられることがあります。またサーバー機器、ネットワーク機器のリプレースも社内SEの仕事範囲です。新たなネットワークインフラの構築をするときも、サーバーのスペックを検討できる知識が必要になります。
課題解決力
社内SEは課題解決力も求められるスキルです。課題解決力は、社内システムにトラブルが発生したときに、その原因を突き止めて解決するために必要になります。自分の力では問題を解決できないときは、他の社員や外部の専門家に依頼することもあるでしょう。
社内システムのトラブルに的確に対処できるように、トラブルシューティングの経験を積み重ねることで、課題解決力も磨かれます。
関連記事:社内SEが簿記を取得するメリットは?勉強方法なども紹介
コミュニケーションスキル
社内SEはITの知識や技術だけでなく、社員や関係者と良好な関係を築くコミュニケーションスキルも必要です。社員からのシステムの問い合わせなど、社内SEは社員と接する機会が多くあります。また経営層とも、ITシステムの相談や導入提案を求められることもあります。このような場面で、コミュニケーションスキルがあると物事が円滑に進みやすいです。
対外的にスキル・知識を示すには資格取得もおすすめ
社内SEになるための必須資格はありません。ただし、社内SEの業務に関連性がある資格はいくつかあり、これらの資格を取得することで転職の際には技術の裏付けをアピールできるでしょう。現在のキャリアアップのために資格取得を目指す人もいます。おすすめの社内SEが持っておくとよい資格をいくつか紹介します。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、情報処理推進機構(IPA)が運営する国家試験です。ITエンジニアとしてのキャリアをスタートするためのおすすめの試験であり、応用的な知識よりも基礎を身につけることを目的にしています。
その後の応用力の幅が格段に広がるため、例えば異業種からの社内SE転職を考えている場合には「基礎知識がある」という証明になるでしょう。
システム監査技術者
システム監査技術者試験は情報処理推進機構(IPA)が運営する、情報システムを監査するための知識を問う国家試験です。この資格があることで、ITガバナンスの向上やコンプライアンス確保ができる人材であることをアピールできます。
プロジェクトマネージャー試験
プロジェクトマネージャー試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験です。プロジェクトの責任者として現場を統括し、計画、実行、管理する能力を身につけたい人がこの試験の対象になります。この試験ではプロジェクトマネージャーとして必要な予算・スケジュール・品質管理などに関する知識を体系的に学習することができます。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験です。この試験は情報処理技術者試験の区分の中でも最高難度に位置します。ITストラテジストとは、「ITを活用して経営戦略を実現するための人材」です。難易度が高いITストラテジスト試験に合格することで、社内SEの転職で高い能力をアピールできるほか、キャリアアップへの足がかりとしても使えるでしょう。
関連記事:社内SEの仕事・転職に役立つおすすめ資格12選
社内SEの平均年収
レバテックキャリアに登録されている社内SEの転職求人情報によると、社内SEの年収は同一企業の求人でも下限が570万円、上限が1,200万円と年収に幅があります。日本の平均年収と比較すると高い傾向であることがわかります。
また、給与幅が広いために、経験豊富でスキルが高ければ社内SEとして高収入が得られる可能性もあるでしょう。
社内SEの求人例
こちらではレバテックキャリアに実際登録されている社内SEの求人例を紹介します。
【業務内容】
自社およびグループ会社の基幹システムのリプレイス
【求められるスキル・経験】
・Java(Web)での開発経験1年以上、もしくは同等の知識
・周囲のメンバーとの協調性を重視できる人
・他者の意見に対して、否定的な意見を強めることのない人
【想定年収】
400~500万円
関連記事:社内SEへの転職は難しい?仕事内容や求められるスキルを解説
年収アップが見込める社内SEのキャリアパス
社内SEとして年収アップを目指すにはいくつかの方法があります。
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・管理職に昇進する・他の職種のエンジニアに転職する
以上のようにキャリアパスを築き、年収アップさせる方法が一般的でしょう。
社内SEのキャリアパスと社内SEとして他の企業に転職する際の注意点を解説します。
関連記事:社内SEのキャリアパス・キャリアプラン例について
自社でリーダー職以上となり収入アップを目指す
社内のシステム部門でリーダー職以上にキャリアアップすることは、一般的な社内SEのキャリアパスです。この場合、自社内に数人以上の社内SEが在籍していることが条件です。
リーダー以上の職種になると、社内SEとしての知識や経験だけでなくリーダーシップやマネジメント能力も要求されます。年収は500万円〜1,000万円程度と企業によって幅がありますが、大企業のシステム部門リーダーなら1,000万円以上の年収も期待できるでしょう。
関連記事:社内SE(情シス)とSEの違い
ほかのエンジニア職やITコンサルタントへ転職する
社内SEは、業務改善プロジェクトやベンダーの選定、要件定義、基本設計など上流設計に携わる機会が多くあります。
予算管理やプロジェクトマネジメントなどの業務は、ITコンサルタントと業務領域が重なる部分が出てくるでしょう。このような経験を活かして、ITコンサルタントに転職するキャリアパスも考えられます。
システムエンジニアなど他のITエンジニア職に転職することは、社内SEの一般的なキャリアパスです。社内SEは幅広い知識とスキルを求められますが、他のITエンジニア職は特定領域の深い知識とスキルが重要になります。そのため、他のITエンジニア職に転職するには、必要な知識やスキルを補填してキャリアアップを目指しましょう。
社内SEとして他企業へ転職する際は業務内容に注意
社内SEとして他企業に転職する際には、転職先の企業の業務や規模で、求められるスキルや業務内容が異なる可能性があることに注意しましょう。ミスマッチを起こさないためにも、転職先の業務内容や求人内容のチェックは大切です。
求人内容だけでは不明瞭な場合、面接時に業務内容や求められる人材像を詳しく尋ねてみることも、最終的な決定をする際に役立ちます。
関連記事:社内SEになるには?求められるスキルや資格を解説
社内SEの将来性に関するよくある質問
社内SEは需要の高い職業ですが、特に将来性について疑問を感じる人は多いです。社内SEの立場も企業によってさまざまで、特に不安視する声は多いでしょう。社内SEの将来性に関する二つの質問に答えることで、本記事をまとめます。
Q1. 社内SEの平均年収はいくらですか?
社内SEの年収は企業や業務内容によって異なります。平均するとおよそ500万円が年収相場となり、これは日本の平均年収が400万円台と考えると高い傾向にあるといえるでしょう。
Q2. 社内SEの年収は低いですか?
全職業の平均年収と比較すると、社内SEの年収は低くありません。ただし業務内容が多岐にわたり幅広い知識を求められる上、企業によって社内SEの立場は異なります。業務や社風によっては年収と業務量にアンバランスさを感じる人もいるため、社内SEの将来性を不安視する見方もあるでしょう。
結論からいうと社内SEは将来的に重要なポジションの職業です。キャリアパスも描きやすい職種なので求められるスキルを正しく理解し経験を積むと、年収アップも十分にあり得ます。
関連記事:未経験から社内SEになるための6つのポイントとは
まとめ
社内SEは企業のDX化の推進やシステムの内製化、リモートワークの増加などの影響で、その需要は今後も増えていきます。ただし、企業によって仕事内容や人事制度、年収が変わるのが特徴です。
社内SEとしてより良いキャリアを築くには、働く企業の業務内容などを見定めることと必要な知識とスキルを磨き続けることが大切です。この記事を参考にして、社内SEへの転職やキャリアアップを目指してみましょう。
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