- データサイエンティストになるには?
- データサイエンティストになるにはどんなスキルが必要?
- データサイエンティストに役立つ資格
- データサイエンティストになるための学校・スクール・講座
- データサイエンティストの需要と将来性
- データサイエンティストについてのQ&Aはこちら
- まとめ
データサイエンティストになるには?
データサイエンティストになる方法としてはいくつかの可能性があります。1つずつご紹介していきます。
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データサイエンティストの仕事内容|必要なスキルと知識、学習方法も解説
データアナリストとデータサイエンティストの違いは?
専門の学部が開設されている理系大学等を卒業後に就職する
国公立大学にはデータサイエンス系に特化した専門の学部が開設されるようになり、代表的な例としては、滋賀大学と横浜市立大学の「データサイエンス学部」(※1、2)、東京大学の「数理・データサイエンス教育プログラム」(※3)が挙げられます。
さらに専門職大学もあり、そのうち専門科が開設されている大学の1つとして、情報経営イノベーション専門職大学があります。同大学の情報経営イノベーション学科のカリキュラムでは、プログラミング・AI・ビッグデータなど、幅広いICTスキル教育を展開しています
※1 滋賀大学「データサイエンス学部/データサイエンス研究科」(2022年10月21日アクセス)
※2 横浜市立大学「データサイエンス学部」(2022年10月21日アクセス)
※3 東京大学「学部横断型プログラム:数理・データサイエンス教育プログラム」(2022年10月21日アクセス)
文系大学出身でIT業界未経験から目指すのは難しい
データサイエンティストは専門知識やスキルが必要な職種であり、未経験からの就職は難しいです。そのため、未経験からいきなり目指すよりは、中途採用を目指すほうが、転職成功率が高いでしょう。その場合は、エンジニア職でのプログラミング経験やデータベースエンジニアとしてデータを扱う経験など、現場での実務経験を積んでおくことが重要です。
実務経験を積むのが難しいようであれば、プログラミングスキル・コンサルティング能力・データの取り扱う能力を証明出来る資格を取得しておくのも良いでしょう。
データサイエンティストに近いエンジニア職から転職する
データベースエンジニア、データマイニングエンジニア、Web系エンジニアなどを経てデータサイエンティストに転職する方法です。日常的に大量のデータを扱う機会が多いため、データサイエンティストとの距離が近い職種と言えます。とくに、前職でPythonを用いたアプリケーションの開発経験やライブラリを利用した機械学習や深層学習の利用経験など実務経験がある場合、転職市場での価値がより高いでしょう。
ただし、「ビジネス力」、「データサイエンス力」を補強する学習・スキル取得が必要になります。具体的には、統計学の基礎やビジネスモデル、マーケティング学の学習、統計解析手法(SPSS/SAS/R等)に対する理解を深める、といった方法が必要です。
マーケター・アナリストから転職する
マーケター・アナリストもエンジニア職と並んでデータサイエンティストとの距離が近い職種です。マーケターとはマーケティング理論や調査に専門的な知識を持つマーケティング戦略立案者のことを指しています。一方アナリストは、金融機関や投資会社に所属し、企業の経営状態から国際市場の全体動向まで、幅広いデータを使って分析する専門家です。
マーケター、アナリストとも日常的に市場調査やビジネス課題の抽出を行うため、データサイエンティストに求められる「ビジネス力」を備えていることが多いでしょう。
一方、「エンジニア力」については補強が必要かもしれません。例えば、RやPythonといったプログラミング言語や、AIのアルゴリズム(機械学習、自然言語、画像処理など)に対する知識・スキルは重点的に対策していく必要があります。
社内養成や公募を利用してキャリアチェンジする
企業によっては、社内でキャリアチェンジプログラムを用意し、データサイエンティストの育成に努める場合もあります。ただし、一般的なケースとは言い難く、仮にプログラムがあったとしても狭き門になる可能性が高いでしょう。
このように、データサイエンティストは相当な自己研鑽を積んでいかない限り、実務未経験からの転職が難しいという現実があります。また、社内での教育体制や業務内容が確立されてないケースも珍しくありません。そのため、入社後に自ら業務を作っていかなければならない場合もあるでしょう。
したがって、転職活動では「データサイエンティストに何を求めているか」、「データサイエンスを用いて解決したいことは何か」を具体的に確認しながら、企業と接していく必要があります。また、新しい職種で情報が少ないため、転職アドバイザーなどの支援を受けながら転職活動を行うことをおすすめします。
関連記事:
データサイエンティストの転職で知っておきたいこと
未経験からデータサイエンティストを目指すには?必要スキルを解説
データサイエンティストになるにはどんなスキルが必要?
データサイエンティストを目指すためのルートを確認してきました。専門性が高い職種が故に、求められるスキルも幅広いです。以下では、その代表的ないくつかをご紹介します。
関連記事: データサイエンティストを目指す上で必要な勉強
分析や統計学の知識
データを正しい形で解析するためには、数学の中でも統計学に関する知識が必要となります。データの種類によって分析手段も異なりますので、主要な分析手段については把握しておきましょう。
プログラミングスキル
データサイエンティストが用いるプログラミング言語は、Python・R言語が主流になっています。少なくともそのうちのどちらかのスキルを身に着けておくことが重要です。
関連記事: データサイエンティストに求められるプログラミング言語と学習方法
SQLや分析ツールの取り扱いスキル
大量のデータを取り扱うため、データ分析時には分析に特化したツールを活用するケースが多いです。SQLなど、データベース操作に必要な知識を習得しておく必要があるでしょう。
コミュニケーションスキル
他業務を担う担当者やクライアントに対して、データ分析に関する課題や要求事項などのヒアリングを行う機会も多いため、コミュニケーション力が欠かせません。データについて詳しくない相手にもわかりやすく説明し、納得してもらう能力が求められます。
データサイエンティストに求められるスキルについてもっと知りたい方は、ぜひ下記記事をご参照ください。
関連記事: データサイエンティストに求められるスキルとは?
さらに、データサイエンティストに必要なスキルとして参考となるのが、データサイエンティスト協会が定めている「スキルチェックリスト」です。スキルチェックに活用してもよいでしょう。
提案力
データサイエンティストは収集、分析したデータをもとに企業に提案を行います。提案して企業の課題を解決するというゴールがあるからです。課題解決の方向性から逆算して収集、分析するデータを決定することもあります。
提案力とは、提案の内容を精査する力と、わかりやすく伝える力のことです。提案の内容と伝え方の両方が重要です。
論理的思考力
論理的思考力とは、物事を筋道立てて考える力です。問題を整理し、結論を導き出すために使います。データサイエンティストはデータを活用して企業の問題を解決する職業なので、業務内容のすべてで論理的思考力が必須です。
逆に言えば、感覚的、直観的思考はそれほど使わないでしょう。これらは筋道立てずに五感で判断したり、今までの経験や勘から即座に結論を導き出す思考です。データサイエンティストはじっくり考えて筋道立てる思考が求められます。
データサイエンティストに役立つ資格
データサイエンティストになるにあたって、必須の資格はありませんが、取得することで実務にも役立つ資格はあります。ここでは資格の中でいくつかをご紹介します。
統計検定®
統計検定とは、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。一般財団法人 統計質保証推進協会が主催する資格試験で、統計学の基礎を学ぶことができます。1級~4級の5段階(準1級含む)と、2つの資格(統計調査士、専門統計調査士)で構成されており、習熟度に応じた選択が可能です。
ツールの発達によって、データ分析自体は年々簡単になっています。しかし、「分析結果から何が読み取れるのか」を理解できなければ、データサイエンティストになることは難しいでしょう。統計学は、データ分析結果とビジネス課題を結び付ける重要な知識です。統計に触れたことが無いエンジニア職には特におすすめできる資格です。
情報処理技術者試験(基本情報および応用情報)
情報処理技術者試験は、情報処理推進機構(IPA)が主催する、IT技術者向けの検定試験です。IT技術に対する理解が浅いマーケターやアナリストであれば、「基本情報技術者試験」「応用情報技術者」「データベーススペシャリスト試験」などを活用すると技術力を高めることができます。試験内容の中でデータサイエンティストに関連するものとしては、以下があります。
① システムの設計・開発・運用
② ソフトウェア開発
③ 情報システム、データベースなどの設計・開発・運用・保守における技術的問題の解決
アクチュアリー資格試験
アクチュアリー資格試験は、公益社団法人日本アクチュアリー会が開催している資格試験の一つです。
日本語で、「保険数理士」や「保険数理人」とも呼ばれるアクチュアリーは、保険業界の高度専門職です。アクチュアリー試験は、アクチュアリーの登竜門として有名で、第1次試験(基礎科目)の中に「数学(確率・統計・モデリング)」が含まれています。データサイエンティストの業務に関連が深いため、資格は取得せずとも学んでおきたい科目と言えます。
データスペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、情報処理技術者試験の中で上位に位置する資格試験です。データサイエンティストはデータベースの分析を行うため、データベースの知識、スキルが必須です。基本情報、応用情報の上位資格になります。
応用情報を取得していると午前試験が免除になるので、応用情報を取得した後にデータベーススペシャリスト試験の合格を目指すのがおすすめです。
オラクルマスター
オラクルマスター(ORACLE MASTER) は Oracle Database の管理スキルを証明する資格として広く知られている資格の一つです。ブロンズ/シルバー/ゴールド/プラチナの4種類がありますが、中でもゴールドとプラチナ資格は非常に評価が高い資格です。受験を通して、データベース技術者にとって必要なスキルを体系的に身に付けると良いでしょう。
OSS-DB技術者認定試験
OSS-DBは特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)が、オープンソースデータベースに関する技術力と知識を認定するIT技術者認定資格です。 試験には「PostgreSQL」を基準のRDBMS(リレーショナルデータベースマネジメントシステム)として採用しています。
データサイエンティストに必要なスキルについてもっと知りたい方は、ぜひ下記記事も合わせてご参照ください。
Python3 エンジニア認定データ分析試験
Python3 エンジニア認定データ分析試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が主催する試験です。Python3エンジニア認定基礎試験の上位試験に該当します。Pythonの基礎、数学の基礎に加えて、ライブラリによる分析実践などについての設問があり、Pythonを使ったデータ分析について問われます。データ分析試験は2020年から始まった新しい試験です。
G検定・E資格
G検定・E資格は、一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催する検定試験です。G検定を取得することで、ディープラーニングの知識をビジネスで活用する能力が身につけられます。E資格は、実装スキルを求めるエンジニア向けの資格です。
一般社団法人日本ディープラーニング協会では、G検定はジェネラリスト向け、E資格はエンジニア向けとされています。
データサイエンティストになるための学校・スクール・講座
前述したように、社会人でも学べる公的な教育機関が増えています。ここでは、データサイエンティストになるにあたって目指せる大学や活用できる横断育成プログラムをご紹介します。
滋賀大学データサイエンス学部/研究科
滋賀大学は国内ではいち早くデータサイエンス学部を設置し、社会人でも学べるコースを提供しています。2019年度入学者の8割が社会人(合格者24人中19人)という実績があります。ただし、大手企業や地方自治体から派遣された社会人が大半であるため、狭き門と言えそうです。
滋賀大学が公開している学科紹介によれば、1、2年次には統計学と情報工学の基礎的内容を身に付け、様々な応用分野におけるデータ分析の実例を学びます。それらの基礎をもとに、3、4年次では各種領域科学におけるデータ分析手法を学び、実際のデータを使った演習を通して価値創造の実践経験を積み重ねていきます。(※4)
※4 滋賀大学「データサイエンス学部/研究科学部研究科紹介」(2022年10月22日アクセス)
データ関連人材育成プログラム
データ関連人材育成プログラムは、文部科学省が主催する人材育成プログラムです。対象となる人材は博士課程学生・博士号取得者等の高度人材となっており、初学者には難易度が高いでしょう。また、コンソーシアム協定校に在籍する学生以外は有料となる点にも注意が必要です。
大学の博士号をすでに取得している人はこういったプログラムに応募してデータサイエンティストのスキルを実務レベルで取得してデータサイエンティストになっていく道があります。
数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアム
数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムは、文部科学省が認定した6大学で構成されるコンソーシアムで、協定校であれば社会人でも講義が受講できます。
データサイエンティストの需要と将来性
ビッグデータとAIの普及に伴い、現時点でのデータサイエンティストの需要は増加傾向にあるとみられています。しかし、AIを使いこなせる人材として期待されている反面、AIによる高度なデータ処理が実現されれば、一部の仕事内容が代替されるという懸念もあります。
したがって、これからの時代のデータサイエンティストには、より卓越した創造力や開発力が求められるでしょう。データ分析だけでなく、業界を俯瞰する視野を持ち、高い問題解決能力を身に着け、ビッグデータを実際にビジネスに応用する能力が肝になります。
下記記事では、データサイエンティストの将来性について詳しく解説しています。気になる方はぜひご参照ください。
関連記事: データサイエンティストの将来性について - 10年後はどうなる?
データサイエンティストについてのQ&Aはこちら
データサイエンティストに関する、よくある質問とその回答をご紹介します。
Q1. データサイエンティストの主な仕事内容は何?
データサイエンティストの仕事内容は、事業に使われるビッグデータの収集・加工・分析のみならず、分析結果をもとに、課題解決や状況改善のための施策・立案も行います。
Q2. データサイエンティストになるにはどんなスキルが必要?
データサイエンティストに必要なスキルは大きく分けて、ビジネススキル、データサイエンススキル、データエンジニアリングスキルの3つです。詳しい情報は「データサイエンティストを目指す上で必要な勉強」をご参照ください。
Q3. データサイエンティストになるにはどんな資格が必要?
統計検定®、情報処理技術者試験、アクチュアリー資格試験が挙げられます。また、データベース系の資格も取得したほうがいいでしょう。
Q4. 未経験の人もデータサイエンティストになれる?
未経験からデータサイエンティストを目指すのは難易度がかなり高いです。データ収集・分析で用いられるプログラミング言語の習得や、基礎数学に関する知識、統計解析用ツールの使い方の学習が必要になります。
Q5. データサイエンティストはどの業界で一番需要が高い?
ビッグデータや人工知能で注目されるデータサイエンティストは、特に自動運転や遠隔医療などの先端領域で、需要がこれから高まるといえるでしょう。
まとめ
この記事では、データサイエンティストの目指し方を解説しました。データサイエンティストは将来性が高い職種である一方、複数の専門知識が必要な高度専門職です。実務未経験者に対するハードルは決して低くありません。
データサイエンティストへの転職を実現するには、資格取得やスクール活用による自己研鑽と転職活動の両立が鍵を握るでしょう。転職アドバイザーなども活用しながら、自分自身のスキルや経験に沿ったキャリアパスの設計を心がけましょう。
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