Webデザイナーやクリエイターとして成長するためには、Adobe製品への理解が必須です。なぜなら、Adobe製品にはPhotoshopやIllustrator、Premiere Proなど、世界的にメジャーな画像編集・デザインソフトが含まれているからです。これらAdobe製品の知識・スキルを高める方法として資格取得が挙げられます。
特に「アドビ認定プロフェッショナル」は、Webデザインやサイト制作の場で必要とされる基礎的な知識の習得に適しています。ここでは、デザイナー・クリエイターを目指している方に向けて、アドビ認定プロフェッショナルを始めとしたWebデザイナー、クリエイター向けの資格について解説しています。
- アドビ認定プロフェッショナル(Adobe Certified Professional)とは
- アドビ認定プロフェッショナルの試験内容、メリット
- アドビ認定プロフェッショナルの取得が向いている人は?
- まとめ
アドビ認定プロフェッショナル(Adobe Certified Professional)とは
まず、デザイナー・クリエイター向け資格として、アドビ認定プロフェッショナルの概要から解説します。
デザイナー、クリエイターのスタンダードスキル「Adobe」
冒頭でも紹介したように、AdobeはWebデザイナー・クリエイターの基礎スキルともいえる製品群を持っています。以下は、Adobeの主要製品です。
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・Photoshop……主に写真編集(フォトレタッチ)に使用される画像編集ソフト
・Illustrator……ベクターイメージ(座標と色彩のデータ)編集、作成ソフト
・InDesign ……DTP(書籍や紙面などの編集をPCで行う出版作業)ソフトウェア
・Creative Cloud……Adobe製品群をサブスクリプションサービスとして提供するパッケージ
2022在、Adobeの製品は30種類以上にのぼり、中でも「Photoshop」や「Illustrator」はWebデザイナーおよびクリエイターの必須知識となっています。
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デザイナー、クリエイターの基礎力が問われるアドビ認定プロフェッショナル
「アドビ認定プロフェッショナル」は、これらAdobe製品に対して一定の知識を持つことを認定する資格試験です。開発元のアドビ株式会社が主催する資格試験であり、合格した暁には海外でも通用する国際的な資格が付与されます。また、ブラウザ上から受験する形式を採用しているため、気軽に受験しやすいことも特徴のひとつでしょう。
ちなみにアドビ認定プロフェッショナルは、「Creative Cloud」に対応した試験とされており、2022年時点では以下5つの科目を設けています。
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・Visual Design using Adobe Photoshop 2020(Photoshopに対応)
・Visual Design using Adobe Photoshop 2021(Photoshopに対応)
・Graphic Design & Illustration Using Adobe Illustrator 2020(Illustratorに対応)
・Graphic Design & Illustration Using Adobe Illustrator 2021(Illustratorに対応)
・Digital Video using Adobe Premiere Pro 2020(Premiere Proに対応)
上記のうち、合格した科目に対応する製品に対して認定が受けられる仕組みになっています。
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「アドビ認定アソシエイト」から名称が変わった
「アドビ認定プロフェッショナル」という名称は、2021年6月に「アドビ認定アソシエイト」から変更された名称です。Adobe Creative Cloud のバージョン2020を対象とした試験から「実際のアプリケーションを使用した試験形式」へと試験内容が変更されたことで、それに合わせて資格の名称も改められました。
またアドビ認定プロフェッショナルに変更されたことで、動画編集ソフトである「Premiere Pro」を対象とした「Digital Video using Adobe Premiere Pro 2020」の試験も開始しました。
試験科目のうちPhotoshopとIllustratorの2科目に合格すると「Adobe Certified Professional in Visual Design」と認定され、PhotoshopとPremiere Proの2科目に合格すると「Adobe Certified Professional in Video Design」に認定されます。
アドビ認定プロフェッショナルの試験内容、メリット
科目ごとにアドビ認定プロフェッショナルの試験内容を解説していきます。また、アドビ認定プロフェッショナル以外のクリエイター・デザイナー向け資格も併せて紹介するため、スキルアップの参考にしてみてください。
アドビ認定プロフェッショナルの試験概要
試験会場 | 東京・千葉・神奈川・京都・福岡 |
試験日時 | 試験会場によって異なり、自分が希望する日時で予約する |
試験時間 | 50分 |
試験形態 | パソコンを使って回答するCBT形式 |
出題形式 | ・選択形式 ・ドロップダウンリスト形式 ・クリック形式 ・ドラッグ&ドロップ形式 ・操作問題 |
問題数 | 約30問 |
受験料 | 一般価格:10780円 学割価格:8580円 |
受験資格 | 特になし ※学割価格で受験する場合は試験当日に学生証の提示が必要 |
再受験について | ・同じ科目を2回目に受験する場合は、前回の受験から1日待つ必要がある ・3回目以降の受験は、前回の受験から5日間待つ必要がある |
認定証 | Web上で確認できるデジタル認定証が発行される |
有効期限 | 有効期限はなし |
申し込みから受験の流れ
アドビ認定プロフェッショナルはインターネット上から申し込みできます。まず自分が受験したい試験会場を探して、試験の実施日を選択します。このとき受験者IDを所有していない場合は、受験者IDの登録を行います。
申し込みが済んだら、試験当日に「受験者ID」「受験票」「写真付きの身分証明書」「学生証(学割で申請した方のみ)」を持参して試験会場で受験します。試験が終わると、すぐに試験結果が判定される仕組みになっています。
Visual Design using Adobe Photoshop 2020、2021
まずはAdobe Photoshop CCのスキルを認定する試験から解説します。
試験概要
問題数は30問で、試験時間は50分、コンピュータ上で実施するCBT(Computer Based Testing)形式が採用されています。選択形式、ドロップダウンリスト形式、クリック形式、ドラッグ&ドロップ形式、実際の操作で回答していくことになります。
試験内容(出題範囲)
試験内容は「デザイン業界で働く」や「プロジェクト環境の設定とインターフェイス」「ドキュメントの整理」「視覚的要素の作成と変更」「デジタルメディアの公開」です。
Graphic Design & Illustration Using Adobe Illustrator 2020、2021
引き続き、Adobe Illustrator CCのスキルを認定する試験を解説します。
試験概要
Visual Design using Adobe Photoshop 2020、2021と同じく、問題数は30問、試験時間50分、コンピュータ上で実施するCBT(Computer Based Testing)形式です。選択形式、ドロップダウンリスト形式、クリック形式、ドラッグ&ドロップ形式、実際の操作で回答していくことになります。
試験内容(出題範囲)
試験内容もPhotoshopの試験と同様に「デザイン業界で働く」や「プロジェクト環境の設定とインターフェイス」「ドキュメントの整理」「視覚的要素の作成と変更」「デジタルメディアの公開」の5つです。
Digital Video using Adobe Premiere Pro 2020
アドビ認定プロフェッショナルに名称変更されてから追加された、Adobe Premiere Proのスキルを認定する試験を解説します。
試験概要
動画編集ソフトである、Premiere Proの基礎的な知識や操作スキルなどが出題されます。問題数は30問前後で、試験時間は50分、コンピュータ上で実施するCBT形式が採用されている点はほかの試験と同様です。選択形式、ドロップダウンリスト形式、クリック形式、ドラッグ&ドロップ形式、実際の操作で回答します。
試験内容(出題範囲)
試験内容は「映像業界で働く」「プロジェクトの環境設定とインターフェース」「ビデオプロジェクトを整える」「視覚的要素の作成と変更」「デジタルメディアの公開」の5つです。
アドビ認定プロフェッショナルの難易度
アドビ認定プロフェッショナルは、新人クリエイターや学生といった初心者向けの試験です。実機環境とテキスト、公式サイトの模擬問題などの演習で合格レベルに達することができる程度の難しさです。プロではない学生が多数受験して合格していることからも、難易度はそれほど高くないといえるでしょう。
アドビ認定プロフェッショナルの勉強方法
アドビ認定プロフェッショナルは、難易度が低いといっても、しっかりと試験対策を行っておかなければ合格できないでしょう。ここでは合格するための勉強方法について解説します。
教材・参考書が充実しており独学でも勉強しやすい
アドビ認定プロフェッショナル試験対策を目的とした教材や参考書が充実しているため、それらの書籍を活用すれば、独学でも十分に勉強可能です。公式サイトでは「アドビ認定アソシエイト」のころに発刊された書籍が紹介されていますが、「アドビ認定プロフェッショナル」に内容を対応させるための差分のPDFファイルが公開されています。
独学が不安ならスクールや講座を受講する選択肢も
独学が不安な方や、プロから直接教わりたい方は、試験対策を実施しているスクールや講座を受講するのもおすすめです。カリキュラム通りに学習を進められるため、独学ではモチベーションを維持しにくい方でもしっかりと学習を進められますし、質問したいこともすぐに講師に聞ける環境にあるので、効率的に学習を進められるでしょう。
アドビ認定プロフェッショナルの勉強時間
アドビ認定プロフェッショナルは初学者向けの資格ではありますが、アドビ製品の習熟度合いによって勉強時間は変わってきます。
エンジニア向け資格と比べると多くの時間はかからないと考えられますが、全くの初心者であれば約100時間は見積もっておくと良いでしょう。
アドビ認定プロフェッショナルの合格率
残念ながらアドビ認定プロフェッショナルの合格率は公開されていません。ただし、民間資格などの合格率を参考に考えれば、7割程度の正答率があれば合格できる可能性があります。
アドビ認定プロフェッショナルの教材
勉強のために必要な教材はアドビ公式で提供しているものがあります。
教材は名称変更前の試験名で販売されていますが、試験の違いに関する情報も公開されているため、特に問題ありません。
Photoshop CC
ACA アドビ認定アソシエイト対応 Photoshop CC 試験対策
Illustrator CC
ACA アドビ認定アソシエイト対応 Illustrator CC 試験対策
Premiere Pro CC
改訂2版 知識ゼロからはじめるPremiere Proの教科書 CC対応
アドビ認定プロフェッショナルの過去問
試験内容を学習したら、試験対策として過去問を解いていくことで合格に近づきます。
アドビ公式ページにてサンプル問題が用意されているので、解いてみましょう。
アドビ認定プロフェッショナルを取得するメリット
アドビ認定プロフェッショナルを取得することで、以下の2つのメリットが得られます。
デザイン制作の現場で活かせる基礎知識を学べる
アドビ認定プロフェッショナルの資格取得を通じて、PhotoshopやIllustratorなどのデザイン制作で現場で生かせる基礎知識を学べます。試験対策を通じ体系的に学ぶことで、作業時間を短縮させたり、デザインの質を向上させたりすることで、自信を身につけることもできます。
転職・就職活動時の履歴書に書ける
アドビ認定プロフェッショナルは、転職や就職活動時の履歴書に書ける立派な資格です。特に実務経験を持たない方は、アドビ認定プロフェッショナルを取得して、履歴書に書いたり面接時にアピールすることで、ある程度のスキルの保持者であることを証明できるでしょう。
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Adobe製品に関する他のおすすめ資格
アドビ認定プロフェッショナル以外のデザイナー・クリエイター向けの資格試験としては、サーティファイが主催する認定試験があります。
Photoshop®クリエイター能力認定試験
Photoshop®クリエイター能力認定試験は、スタンダード、エキスパートの2グレードで構成されるPhotoshop®クリエイター向けの試験です。実際にPhotoshopを操作して回答する実技試験が課せられており、より実践的なスキルが求められます。全国の試験会場で受験できる随時試験と、自宅などでリモートWebテストで受験できる公開試験の2種類が実施されています。
出題内容は「フィルターの応用」「画像の入出力」「Web用画像の作成」「アクションと自動処理」「カラーマネジメント」「DTP/Webデザインの基本知識」など、実務でよく使うタスクについての知識などです。
公式テキストや問題集が公開されているので、それらを活用して学習すると良いでしょう。合格するとデジタル署名されたオープンバッジとデジタル認定証明書を受け取ることができます。
関連記事:Photoshop資格「Photoshopクリエイター能力試験」とは?
Illustrator®クリエイター能力認定検定
Illustrator®クリエイター能力認定検定も、スタンダード、エキスパートの2グレードが存在するIllustratorクリエイター向けの試験です。Illustratorを用いた実践的な試験内容で、1つのコンテンツを制作するうえでの基本的な操作や問題解決能力が問われます。こちらも随時試験か公開試験のどちらかで受験可能です。
出題内容は「基本機能」から「オブジェクトの基本操作」「パスの描画と編集」「グラフ」「アクションと自動処理」など、こちらも実務でよく使われるタスクを中心に出題されます。
Photoshop®クリエイター能力認定試験と同様に、公式テキストと問題集を活用して試験対策を進めるとよいでしょう。合格するとオープンバッジとデジタル認定証明書を受け取れます。
難易度はアドビ認定プロフェッショナルよりもやや高い
サーティファイが主催するこれら2つの試験は、どちらもエキスパート側の出題範囲が広く、実務家向けの内容であることが特徴です。難易度もアドビ認定プロフェッショナルに比べるとやや高いと言えるでしょう。合格率は7割弱でIT系資格の中ではそれほど高難易度とはいえないものの、試験対策は入念に行う必要があります。
アドビ認定プロフェッショナルの取得が向いている人は?
最後に、アドビ認定プロフェッショナルの取得に向いている人を紹介します。
本格的にデザイナーを目指したい人
Webサイトのデザイン修正や画像編集の経験は持っているが、ゼロからサイト制作・デザインを行ったことが無い人材に向いています。経験者であれば、スキルの幅を拡げる意味で、2科目の短期合格を狙ってみても良いでしょう。
学生、新社会人でこれからデザイナーやクリエイターを目指す人
アドビ認定プロフェッショナルがターゲットとしている人材です。基礎知識の習得に適した試験ですから、座学とともに実機操作も併用し、PhotoshopとIllustratorに慣れることを目指してみてください。
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Webエンジニアでデザイナー能力も身に着けたい人
近年は、エンジニアにもUI・UXの視点が求められるようになっています。デザインはUI・UXにおいて欠かすことのできない要素です。デザイナーとしての視点を持つことで、顧客満足度の高いシステム構築のきっかけを得られるでしょう。
まとめ
Webデザイナーやクリエイターとしてのスキルを伸ばすためには、Adobe製品への理解が必須です。Adobe製品には、PhotoshopやIllustrator、Premiere Proなど世界的にメジャーな画像編集・デザインソフトが含まれているためです。
これらの製品に対する理解を深めるための方法として、資格取得があります。特にAdobeが開催している「アドビ認定プロフェッショナル」は、Webデザインやサイト制作の場で必要とされる基礎的な知識の習得に適している資格だと言えるでしょう。
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