Photoshopは、Webデザイン・サイト制作・画像編集のスタンダードとも言える製品です。デザイナー・クリエイターを目指す場合はPhotoshopの操作スキルが必須になるでしょう。ただし、Photoshopの機能は非常に豊富であることから、基礎的な操作スキルの習得には相応の時間を要します。そこで、基礎スキルを効率よく身に着けられる資格の取得を検討してみてください。
ここでは、デザイナー・クリエイターを目指していてPhotoshopに関連した資格の概要や試験範囲、勉強方法を知りたい方や、Photoshopのスキルを高めてキャリアアップ・年収アップしたい方に向けて、Photoshopに関連した資格の概要や試験範囲、勉強方法などを解説しています。
- 履歴書にも書けるPhotoshopの資格は主に2つ
- Photoshop®クリエイター能力認定試験の試験内容、対策ポイント
- Photoshop®クリエイター能力認定試験の取得に向いている人は?
- そのほかのWeb系デザイナー・クリエイター向けおすすめ資格
- Photoshop®クリエイター能力認定試験に関するよくある質問
- まとめ
履歴書にも書けるPhotoshopの資格は主に2つ
まず、Photoshopに関する資格について解説します。2022年現在、日本国内で受験可能なPhotoshopに関する資格は、以下の2つです。
Photoshop®クリエイター能力認定試験
Photoshop®クリエイター能力認定試験は、日本の試験制作企業「サーティファイ」が主催する資格試験です。Photoshop®クリエイター能力認定試験では、動画編集の基礎知識が問われるとともに、テーマに沿ったコンテンツ制作スキルについても出題があります。難易度別に「スタンダード」「エキスパート」の2グレードが用意されており、それぞれ試験範囲が異なります。
Photoshop®クリエイター能力認定試験の特徴は、実技試験を伴うことでしょう。受験勉強の際は、座学のみならず実際にソフトを使いながらの演習がおすすめです。
アドビ認定プロフェッショナル
アドビ認定プロフェッショナルは、Photoshopの開発元である「アドビシステムズ」が主催する資格試験です。デジタル画像編集プロジェクトにおける設計・開発スキルの基礎が問われる内容となっています。2022年10月現在「Visual Design using Adobe Photoshop 2020」と「Visual Design using Adobe Photoshop 2021」の2つのバージョンの試験が実施されています。
本試験が対象とするのは「デザインを学び始めた学生」や「実務未経験者」「新人レベルのクリエイター」などです。ちなみに、試験はブラウザ上から受験する形式です。この資格はグローバルで提供されている資格です。見事合格を果たした学生は世界大会への出場権が与えられるため、資格取得がスキルを高めるきっかけにもなるでしょう。
本格的にスキルを高めるには?
前述した2つの資格試験は、どちらも一定の知名度を誇ります。ただし、国内で即戦力を目指すのであれば「Photoshop®クリエイター能力認定試験」の取得が望ましいでしょう。アドビ認定プロフェッショナルがエントリーレベルのみを提供しているのに対し、Photoshop®クリエイター能力認定試験は実務経験者を想定した「エキスパートレベル」が存在するためです。
Photoshop®クリエイター能力認定試験の試験内容、対策ポイント
では、日本国内で特に有効だと考えられるPhotoshop®クリエイター能力認定試験について詳しく解説します。
Photoshop®クリエイター能力認定試験の日程・会場について
Photoshop®クリエイター能力認定試験は、全国の試験会場で随時開催される「随時試験」と、試験事務局が定めた日程で年2回実施される「公開試験」の2パターンで実施されます。2022年10月時点での公開試験は、2023年1月29日(日)です。現在はリモートWebテストで実施されているため、受験者の自宅にて試験を受験できます。
Photoshop®クリエイター能力認定試験の出題範囲
前述のように、Photoshop®クリエイター能力試験には2つのグレードが存在し、それぞれ試験内容が異なります。
スタンダードの試験範囲
スタンダードの試験範囲は主に以下のようなものが含まれます。
「ファイル操作」「カラーの選択、変更」「環境設定」「選択ツール」「選択範囲の保存・編集・複雑な形状の選択範囲の作成」「画像解像度とサイズ変更」「画像の移動と変形」「カラーモード」「色調補正」「ペイント系ツール」「レタッチ系ツール」「ペイント系コマンド」「レイヤーパネル」「レイヤーの応用」「パスの作成と編集」「シェイプ」「文字ツール」「文字パネル」「段落パネル」「テキストレイヤー」「基本的な修正や加工」「プリントスキャナー」「画像の最適化」「アクション」「DTP」など
エキスパートの試験範囲
エキスパートの試験範囲はスタンダードの試験範囲に加えて、「フィルターの応用」「画像の入出力」「スライスの書き出し」「自動処理」「DTP/Webデザインの基本知識」などが出題されます。これらはスタンダードの試験範囲でもありますが、エキスパートではより深い内容が出題されるようです。特に、カラーマネジメントやDTP、Webデザインの基本知識などは、実務に近い内容だと考えて良いでしょう。
難易度について
スタンダード、エキスパートともに合格率は7割弱となっています。IT系資格の中ではそれほど難しいレベルではありません。単純比較はできないものの、ITSSに照らせばレベル1と同等、もしくはやや易しい程度だと推測できます。ただし、毎年3割以上は不合格となるため、対策は必須と言えるでしょう。
試験時間、合格ライン、受験料について
スタンダードおよびエキスパートの試験時間、合格ライン、受験料は以下の通りです。
・スタンダード
試験時間…第一部(実技)40分、第二部(実践)90分
合格ライン…実技問題の得点率65% 以上で、かつ実践問題の得点率70% 以上
受験料…7600円
・エキスパート
試験時間…第一部(知識と実技)50分、第二部(実践)90分
合格ライン…知識問題・実技問題の得点率65% 以上で、かつ実践問題の得点率70%以上
受験料…8600円
Photoshop®クリエイター能力認定試験の概要まとめ
項目 | スタンダード | エキスパート |
---|---|---|
認定基準 | Photoshopを活用して指示通りの作業を正確かつ合理的に行うことができるスキルを認定する。 | Photoshopを活用してクライアントのニーズに対応した創造性の高いコンテンツ制作ができるスキルを認定する。 |
試験時間 | 第一部(実技)40分 第二部(実践)90分 | 第一部(知識と実技)50分 第二部(実践)90分 |
合格ライン | 実技問題の得点率65% 以上で、かつ実践問題の得点率70% 以上 | 知識問題・実技問題の得点率65% 以上で、かつ実践問題の得点率70%以上 |
受験料 | 7,600円 | 8,600円 |
勉強方法と対策ポイント
どちらのグレードも実技・実践問題があるため、参考書による座学だけでなく実機演習を併用するようにしましょう。
独学による勉強方法
まず、公式問題集を中心に問題を解いていき、出題傾向を把握しながら基礎知識を身に付けてください。実技試験ではツール操作が伴うため、Photoshopがインストールされた実機があると良いでしょう。
ただしPhotoshopは非常に高額なソフトであるため、購入費用の捻出が難しいという方も少なくありません。もしPhotoshopを使える環境が確保できない場合は、7日間の無料体験版などを使用しながら学習をすすめてみてください。無料体験版はアドビシステムズ公式サイトからダウンロード可能です。
また、Photoshop単体で月額2728円(税込)のサブスクリプション型サービスも提供されていますので、資格取得の必要経費と割り切って購入しても良いでしょう。
実機を用いた学習では、動画共有サイトの動画を参考にする方法もおすすめです。操作の手本を見ながら学習を進められるため、テキスト情報のみの場合にくらべて知識がスムーズに定着していくでしょう。前述の合格ラインを見てもわかるように、Photoshop®クリエイター能力認定試験は知識と実技のバランスが重要な試験です。参考書と実機を併用しながら、効率よく学習を進めてみてください。
問題集を活用し練習問題を解いてみる
サーティファイから、試験対策のための公式テキスト・問題集が販売されているため、それらを活用して練習問題を繰り返し解くのも試験対策におすすめです。また公式サイトからサンプル問題をダウンロードできますので、まずはどのような問題が出題されるのか、学習を開始する前に確認しておくのも良いでしょう。
過去問による勉強方法
Photoshop®クリエイター能力認定試験は公式のテキスト・問題集が販売されていますが、過去問単体での販売はありません。また、Amazonや楽天市場でも販売されていないので入手はできません。そのため、独学の場合は基本的にテキストと問題集で学習し、過去問が入手できる場合は過去問も見ておくか解いておくとより良いです。
スクールを活用して勉強する
Photoshop®クリエイター能力認定試験用の講座を用意しているオンラインスクールもあります。受講料として数万円はかかりますが、独学が難しい場合はスクールを利用するのも一つの選択肢です。
Photoshop®クリエイター能力認定試験の取得に向いている人は?
Photoshop®クリエイター能力認定試験の取得に向いている人を紹介します。
本格的にデザイナーを目指したい人
小規模なWebサイトのデザイン修正などの経験があり、今後は本格的にWebデザイナーとして活躍したいのであれば、エキスパートレベルの受験を検討してみてください。エキスパートレベルは「単独でDTP、Webデザインを行える人材」を想定しているため、スキルアップに役立つはずです。
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Webデザイナーに必要なスキル・スキルマップとは
学生、新社会人でこれからデザイナーやクリエイターを目指す人
実務経験がない場合は、スタンダードレベルの合格を目指しましょう。基礎知識の習得を優先し、実機を操作しながらPhotoshopの操作に慣れることを目指してください。
Web系エンジニアでデザイナー能力も身に着けたい人
すでにエンジニア経験がある場合は、一気にエキスパートレベルの合格を目指しましょう。このレベルの人材ならば、スタンダードレベルの操作は独学でも習得できるはずです。より実務に近い応用レベルの知識習得をおすすめします。
そのほかのWeb系デザイナー・クリエイター向けおすすめ資格
Photoshop®クリエイター能力認定試験のほかのWeb系デザイナー・クリエイター向けのおすすめ資格を紹介します。
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、Webデザインに関する唯一の国家資格です。3級から1級まで実施されており、2級と1級には実務経験などの受験資格が必要です。試験は学科と実技に分かれて実施されています。デザインだけでなくHTMLやCSSのコーディングの知識も要求されるため、幅広いスキルを身につけられるでしょう。
Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験は、Photoshop®クリエイター能力認定試験と同様にサーティファイが実施している民間資格です。スタンダードとエキスパートの2つのレベルが実施されていますが、どちらも受験資格は不要です。
Illustrator®クリエイター能力認定試験
Illustrator®クリエイター能力認定試験は、Photoshop®クリエイター能力認定試験と同様にサーティファイが実施している試験です。スタンダードとエキスパートの両レベルがあり、試験時間・合格ライン・受験料などはPhotoshop®クリエイター能力認定試験と同じです。
Photoshop®クリエイター能力認定試験に関するよくある質問
Photoshop®クリエイター能力認定試験に関するよくある質問と回答を紹介します。
Q1.有効期限はありますか?
資格の有効期限はありません。
Q2.勉強時間はどれくらい必要ですか?
スタンダードとエキスパートともに、20時間前後の勉強時間が目安となります。全くの素人の状態からスタンダードに挑戦する場合、Photoshopの基本的な知識や操作方法を一から学ぶ必要がありますが、ある程度Photoshopの素養がある方でしたら、エキスパートの合格に必要な時間はそれほどかからないと思われます。
Q3.就職する際に資格は強みになりますか?
すでにスキルや実績がある場合、ポートフォリオを提出すれば実力を証明できます。しかし、まだ実績がない場合、資格を取得することで一定のスキル証明になります。資格が必須というわけではありませんが、資格を取得していることでスキルとやる気もアピールできます。評価にもつながるでしょう。
まとめ
Photoshopは、Webデザインやサイト制作の場でスタンダードとも言える画像編集ソフトです。デザイナー・クリエイターを目指す場合はPhotoshopの操作スキルが必須と言っても過言ではありません。ただし、Photoshopは機能が非常に豊富であることから、基礎スキルを効率的に身につけるために資格を活用することをおすすめします。
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