AWS認定資格の難易度一覧
AWS認定資格は、難易度や試験範囲、対象となる職種などが異なる12種類の試験があります(2025年4月時点)。これらのAWS認定資格12種類の試験について、以下の表でまとめています。
なお、AWS認定資格の分類や種類について、2024年以降にもいくつかの変更があり随時アップデートが行われます。最新情報はAWS公式サイト、各試験ガイドを確認しておきましょう。
ファンデーション:初心者向け(未経験者・入門者向け)
クラウドの基礎知識を学びたい人や、IT業界未経験でもAWSに触れてみたい人
アソシエイト:中級者向け(IT実務経験がある人向け)
開発や運用の経験があり、実務でAWSを扱う機会がある、もしくは増やしたい人
プロフェッショナル:上級者向け(AWS実務経験2年以上)
AWS環境の設計・運用・最適化をリードする立場にある人や、技術的な意思決定を行う人
スペシャリティー:特定分野に特化
セキュリティ・ネットワーク・機械学習など、高度かつ専門的なスキルを証明したい人
試験区分 (レベル) |
難易度・ 対象者 |
資格名 |
---|---|---|
ファンデーション | 初心者向け (未経験含む) |
・AWS認定クラウドプラクティショナー ・AWS認定AIプラクティショナー |
アソシエイト | 中級者向け (IT実務経験がある人向け) |
・AWS認定ソリューション アーキテクトアソシエイト ・AWS認定SysOps アドミニスト レーターアソシエイト ・AWS認定デベロッパーアソシエイト ・AWS認定データエンジニアアソシエイト ・AWS認定マシーンラーニング エンジニアアソシエイト |
プロフェッショナル | 上級者向け (AWS実務経験2年以上) |
・AWS認定ソリューション アーキテクトプロフェッショナル ・AWS認定DevOpsエンジニア プロフェッショナル |
スペシャリティー | 特定分野に特化 | ・AWS認定アドバンスドネット ワーキングスペシャリティ ・AWS認定マシンラーニング スペシャリティ ・AWS認定セキュリティスペシャリティ |
基礎レベル(FOUNDATIONAL)のAWS資格2選
AWSの認定資格の中では最も簡単で、クラウドシステムに関与した経験がない(もしくは浅い)人材を対象とした資格試験です。AWSの基礎知識とともに、クラウド周辺の業界知識も学ぶことができます。
AWSとは何か基本を知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
関連記事:AWSとは?特徴やできること、代表的なサービスを分かりやすく解説
AWS認定クラウドプラクティショナー
入門レベルの認定資格で、AWSとクラウド全般の基礎知識を身につけたい個人を対象としています。試験範囲は「クラウドの概念」「セキュリティおよびコンプライアンス」「テクノロジー」「請求と料金」となっており、技術的な内容はそれほど多くありません。顧客に対してAWSの概要を説明する営業職やカスタマーサポート職に向けた試験といえそうです。
難易度は、AWSを含むクラウドシステムの開発・運用経験を持たない人材であっても、1ヶ月程度の独学で合格できるレベルです。なお、合格率は公式に公表されていませんが、出題傾向や他資格との比較からおおよそ50〜70%前後と予想されています。
IT系資格全体としてみても、簡単な部類に入るでしょう。
試験時間 | 90分 |
受験料 | 15,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(65問) |
合格ライン | 700点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | AWSやクラウドの基本概念を学びたい人、 IT未経験の初心者、営業・サポート・ 非エンジニア職の人など |
合格率 | おおよそ50〜70%前後 |
AWS認定AIプラクティショナー
AWS認定AIプラクティショナーは、AIや機械学習(ML)に関する基本的な概念を理解したい人向けの入門資格です。試験では「機械学習の基本原則」「モデルのライフサイクル」「AWS上でのMLサービスの選定・活用」などが問われます。
開発や分析の実務経験がなくても受験可能ですが、AIの基礎知識やAWSの概要を学んだ上で挑戦するのが理想的です。概要・基礎を知っていれば10〜20時間程度の学習で合格を目指せる難易度といわれています。たとえば、業務でAI導入の検討をしているビジネス職の人や、データ活用の方向性を理解したいマネジメント層にも適した資格です。
難易度としては入門~初級レベルで、AWS認定クラウドプラクティショナーと同じように独学でも合格可能です。合格率は公式に発表されていませんが、出題傾向や他資格との比較から見るとおおよそ60〜70%前後と予想できます。
試験時間 | 90分 |
受験料 | 15,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(65問) |
合格ライン | 700点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | AI・機械学習の基礎を知りたいビジネス職、 非エンジニアのマネジメント層、 クラウドAIに興味がある初学者 |
合格率 | おおよそ60〜70%前後 |
アソシエイトレベル(ASSOCIATE)のAWS資格5選
アソシエイトレベルは、AWSの利用経験が1年前後ある人を対象とした中級資格です。業務での基本的な運用・構築・トラブル対応といった実践的なスキルが問われ、実務に即した知識を証明できます。クラウド環境で自走できるエンジニアとしての第一歩ともいえるレベルです。
AWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイト
AWSを用いた1年以上の実務経験(設計や提案など)を持つ人材を想定した試験です。クラウドとAWSの基礎知識・SSHによるサーバー操作・最適なデータベースを選択するための知識などが出題されます。AWSの認定資格の中では中級レベルに該当し、配属間もない新人エンジニアや経験の浅いSEなどが対象となるでしょう。
こちらも難易度は高くないものの、経験の浅い新人エンジニアが無勉強で合格できるレベルではありません。概ね2〜3ヶ月程度、時間にして50〜100程度の学習が必要になるでしょう。
合格率は公表されていませんが、出題傾向や受験者の声から見ると60〜75%程度と予想されています。
試験時間 | 130分 |
受験料 | 20,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(65問) |
合格ライン | 720点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | AWSを使った設計経験が 1年以上あるインフラ/ クラウドエンジニア、 構成設計を担当するSE |
合格率 | おおよそ60〜75% |
AWS認定SysOps アドミニストレーターアソシエイト
AWSでの開発・管理・運用といった業務経験が1年以上ある運用担当者を対象とした試験です。試験範囲には「モニタリングとレポート」「高可用性」「配置とプロビジョニング」「ストレージとデータマネジメント」「セキュリティとコンプライアンス」「ネットワーク」「自動化と最適化」などが含まれます。
難易度はアソシエイトレベルの中ではやや易しめで、実務経験があれば独学でも合格を目指しやすい試験です。試験範囲は広いものの運用に直結した内容が多く、理解しやすいのが特徴です。
学習時間は50〜100時間前後が目安とされており、運用経験のある人なら短期間での対策も可能になります。合格率は非公開ですが、受験者の傾向から65〜75%前後と予想されます。
試験時間 | 130分 |
受験料 | 20,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(65問) |
合格ライン | 720点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | AWSの運用・管理経験がある インフラ担当者、モニタリング や可用性向上などの実務経験がある人 |
合格率 | おおよそ65〜75%前後 |
AWS認定デベロッパーアソシエイト
AWSをベースとしたアプリケーション開発・保守経験を1年以上持つ人材を対象にしています。開発担当者向けの試験であり、試験範囲には「展開(デプロイ)」「セキュリティ」「AWSサービスを使用した開発」「リファクタリング」「モニタリングとトラブルシューティング」が含まれます。「サーバーレスアプリケーションのコード記述」「APIやSDKを用いたAWSサービスとのやりとり」など、クラウドならでは内容も出題されるため、事前対策は必須です。
ソリューションアーキテクトアソシエイトに合格できるレベルの知識を持っている場合は、50時間程度の学習で合格が見えてきます。ただし、全く知識がない状態から始めた場合は、100時間前後の学習が必要になるでしょう。合格率は公式に発表されていませんが、他のアソシエイト試験と比較して60〜70%程度と推測されます。
設計・開発経験の有無で難易度が大きく変わる試験といえそうです。
試験時間 | 130分 |
受験料 | 20,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(65問) |
合格ライン | 720点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | AWS SDKやAPIを使った開発経験がある アプリケーションエンジニア、 LambdaやDynamoDBの実務経験者 |
合格率 | おおよそ60〜70%前後 |
AWS認定データエンジニアアソシエイト
比較的新しく設定された試験で、2〜3年のデータエンジニアリングまたはアーキテクチャの経験と、1〜2年以上のAWSサービスの実践経験がある人材を対象にしています。データエンジニアやアナリストなど、データ関連の職種に就いている人にとって、スキルアップや市場価値の向上に役立つ資格といえるでしょう。
試験範囲には「データの取り込みと変換」「データストアの管理」「データ運用とサポート」「データセキュリティとガバナンス」が含まれます。ソリューションアーキテクトアソシエイトに合格できるだけの知識があれば、20〜50時間程度の学習で合格が狙えます。「しっかり準備すれば合格を狙えるが、初学者にはやや難しめ」な試験であり、出題傾向や他資格との比較からみると、合格率はおおよそ60〜70%前後と予想されています。
試験時間 | 130分 |
受験料 | 20,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(65問) |
合格ライン | 720点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | データ処理・ETL基盤の構築経験がある人、 AWS GlueやAthenaなどの利用経験 があるエンジニア |
合格率 | おおよそ60〜70%前後 |
AWS認定マシーンラーニングエンジニアアソシエイト
AWS環境での機械学習モデルの構築や運用に関する知識とスキルを評価する資格です。試験では、データの前処理からモデルのトレーニング、デプロイ、運用後のモニタリングまで、機械学習の一連のプロセスに関する理解が求められます。
対象となるのは、AWSサービス(とくにAmazon SageMaker)を使った機械学習の実務経験がある人や、MLシステムに携わるエンジニアです。Pythonの基礎的な知識やMLに関する一般的な理解があると、試験対策がスムーズに進みます。
学習時間の目安は70〜100時間ほどで、難易度はアソシエイトレベルの中でもやや高めです。合格率は公表されていませんが、他のアソシエイト資格と比較すると50〜65%前後と推測されます。
試験時間 | 130分 |
受験料 | 20,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(65問) |
合格ライン | 720点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | SageMakerなどを使った機械学習 モデルの開発・運用経験がある人、 MLパイプラインの基礎を 理解している人 |
合格率 | おおよそ50〜65%前後 |
プロフェッショナルレベル(PROFESSIONAL)のAWS資格2選
プロフェッショナルレベルは、AWSに関する実務経験を2年以上持つエンジニアを対象とした上級資格です。クラウドアーキテクチャの設計や高度な運用管理、トラブルシューティングまで、幅広い分野の知識と実践力が問われます。
試験範囲が広く、出題レベルも高いため、計画的な学習が不可欠です。中〜上級者がさらなるスキル証明やキャリアアップを目指す際に選ばれるレベルといえるでしょう。
AWS認定ソリューションアーキテクトプロフェッショナル
2年以上のクラウドシステム設計・実装経験を持つ人材を対象とした資格試験です。ソリューションアーキテクトアソシエイトの上位資格で、実務レベルの知識が出題されます。クラウドシステムの設計・移行・コスト管理・改善などについてユースケースを用いた問題が出題されるため、単純な暗記だけでの合格は難しいでしょう。
難易度は、2〜3年程度の実務経験を持つ人材が50〜100時間前後の学習で合格できるレベルと想定されます。合格率は公式には公表されていませんが、試験の難易度や受験者の声から、おおよそ50〜60%前後と推定されています。
試験時間 | 180分 |
受験料 | 40,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(75問) |
合格ライン | 750点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | クラウド設計・移行・運用の実務経験が 2年以上あるアーキテクト、マルチ アカウント構成に関わる人 |
合格率 | おおよそ50〜60%前後 |
AWS認定DevOpsエンジニアプロフェッショナル
AWSを採用したシステムでの開発・運用経験が2〜3年程度ある人材に向けた資格試験です。DevOpsエンジニアは定義が難しい職種ですが、開発・運用双方の経験があれば対象になります。試験範囲は「SDLCの自動化」「構成管理およびInfrastructure as Code」「監視とロギング」「ポリシーと標準の自動化」「インシデントおよびイベントへの対応」「可用性、フォールトトレランス、ディザスタリカバリ」などです。
難易度は、ソリューションアーキテクトプロフェッショナルよりも少し易しい程度といわれており、合格までの勉強時間は50〜80時間程度が目安です。プロフェッショナル資格の中では取りやすいといわれていますが、合格率はおおよそ60~65%前後と推定され入念な準備が必要になります。
試験時間 | 180分 |
受験料 | 40,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(75問) |
合格ライン | 750点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | CI/CD、運用自動化、IaC(Infrastructure as Code)などの実務経験が2年以上 あるDevOps担当者 |
合格率 | おおよそ60~65%前後 |
専門知識(SPECIALTY)のAWS資格3選
スペシャリティレベルは、特定の分野で豊富な実務経験を持つエンジニア向けの上級資格です。セキュリティやネットワーク、機械学習など、専門領域に特化した深い知識とAWS活用スキルが問われます。
試験の難易度はプロフェッショナルレベルと同等以上とされており、専門分野での実務経験が2〜5年以上ある人が対象です。セキュリティ運用を強化したい人は「セキュリティスペシャリティ」、ネットワーク設計に携わる人は「アドバンストネットワークスペシャリティ」など、担当業務に直結する資格を選ぶと実務に活かしやすくなります。
AWS認定アドバンスドネットワーキングスペシャリティ
AWS上でのネットワーク設計・運用に関する高度な専門知識を問う資格です。試験では、大規模なハイブリッドネットワークの構築や、AWSサービスとの連携、セキュリティ設計、タスクの自動化、最適化やトラブルシューティングなどが出題範囲に含まれます。
対象となるのは、AWS環境でのネットワーク設計や運用を2年以上経験しているエンジニアです。一般的なネットワークの知識に加えて、VPC・Direct Connect・Transit Gatewayなど、AWS特有の設計思想への理解が求められます。
難易度は高く、プロフェッショナルレベルと同等かそれ以上の難易度です。合格に向けた学習時間の目安は100~120時間程度で、合格率はおおよそ50~60%前後と推測されます。
試験時間 | 170分 |
受験料 | 40,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(65問) |
合格ライン | 750点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | VPC、ハイブリッド接続、VPN、Direct Connectなどの設計・構築経験が あるネットワークエンジニア |
合格率 | おおよそ50〜60%前後 |
AWS認定マシンラーニングスペシャリティ
AWS上での機械学習(ML)ワークフロー全体を設計・実装・運用できる人材を対象とした専門資格です。試験では、「データエンジニアリング」「探索的データ解析(EDA)」「モデルのトレーニングとチューニング」「本番環境へのデプロイと運用」など、実務に沿った知識と応用力が問われます。
受験者はAWS環境におけるML活用の実務経験が2年以上あり、SageMakerやPython、scikit-learnなどのMLツールを使った開発経験がある人が想定されています。MLの基本的な理論に加え、AWSサービスへの適用力も求められる点が特徴です。
試験の難易度はスペシャリティの中でも高めで、学習時間の目安は100~120時間程度です。合格率は非公開ですが、他のスペシャリティ資格と同程度の50~60%前後と予想されます。
出題の抽象度が高いため、実務に即した対策が有効です。
試験時間 | 170分 |
受験料 | 40,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(65問) |
合格ライン | 750点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | モデル選定・学習・デプロイの全工程を 理解し、AWS上でMLシステムを運用した 経験がある人(3年程度推奨) |
合格率 | おおよそ50〜60%前後 |
AWS認定セキュリティスペシャリティ
AWS環境における高度なセキュリティ管理スキルを証明できる専門資格です。試験では、「インシデント対応」「ログとモニタリング」「インフラの保護」「IDとアクセス管理(IAM)」「データ保護と暗号化」など、セキュリティ設計から運用までの幅広い知識が問われます。
対象者は、AWSのセキュリティ関連業務に2年以上携わっている実務者です。たとえばセキュリティチームのメンバーや、クラウドインフラのセキュリティ対策を担うエンジニアが挙げられます。AWSにおけるベストプラクティスを理解し、具体的なリスク対応ができるスキルが求められます。
難易度はスペシャリティ資格の中でも高めで、出題は実務に即したシナリオ型が中心です。合格率は50~60%前後と予想されており、学習時間の目安は80~120時間程度が求められます。
セキュリティ分野に強い興味があり、継続的にキャッチアップできる人に向いている資格です。
試験時間 | 170分 |
受験料 | 40,000 円(為替レート によって異なる) |
試験方式 | 複数選択・複数応答 のいずれか(65問) |
合格ライン | 750点以上 |
実施形式 | Pearson VUE テスト センターまたはオンライン |
対象者 | セキュリティ設計やガバナンス、 インシデント対応の実務経験が ある人、クラウドセキュリティ の専門家 |
合格率 | おおよそ50〜60%前後 |
AWS認定資格の注意点
AWS認定資格の取得を目指す際には、いくつかの注意点を理解する必要があります。主な注意点としては、「更新制度」「価格の見直し・値上げ」です。
これらの注意点について、詳しく解説します。
AWS認定資格を取得することによる市場価値や給与の変化は、以下の記事でその背景をまとめています。参考にしてください。
関連記事:AWS認定資格で年収は上がる?試験概要や市場価値、難易度を紹介
有効期限があり更新が必要
AWS認定資格を取得しても、その資格は永久に有効ではありません。AWS認定資格の有効期限は3年間と定められており、3年ごとに再認定試験に合格する必要があります。
そのため、再認定試験に合格しなければ、資格は失効してしまいます。クラウド技術は日進月歩で進化を続けているため、3年ごとの更新は、最新の知識やスキルを身につける良い機会といえるでしょう。
試験料の値上げ
2024年4月より、AWS認定資格の試験料が最大で1万円値上げになりました。また為替レートの更新を反映し、少なくとも毎年1回、5月に試験料は更新されます。インターネット上には古い情報が多く存在するため、値上げ前の価格が掲載されている可能性も高いです。
最新の試験料を確認するには、必ずAWS公式サイトを参照するようにしましょう。公式サイトでのチェックを怠ると、予想外の出費になりかねません。AWS認定資格の取得を検討している方は、料金変更にご注意ください。
AWS資格取得に向けたロードマップ
多くの種類があるAWSの資格ですが、どの資格をどういった順番で取得していけば良いのか、迷う方も多いでしょう。以下では、おすすめのAWS資格取得に向けた資格取得順序と勉強方法について紹介します。
まずは自分の身につけたい専門性に従って資格取得の順序を考えるのが1番ですが、資格ごとに必要な知識レベルにも差があります。難易度に合わせて資格を順番にとっていくことで、スムーズに資格に合格することができ、かつAWSに関する内容の理解を深めることが期待できます。
おすすめの資格取得順序
AWS資格取得の資格取得順序は、知識レベルに応じて以下の順序がおすすめです。
【おすすめの資格取得順序】
-
1. AWS認定クラウドプラクティショナー:最も基礎的な内容で、AWSの入門に最適
2. AWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイト:AWSのサービス全体を広く理解するのに適しており、上位資格の基礎にもなる
3. AWS認定SysOps アドミニストレーターアソシエイト:システムの開発/管理/運用担当者向け、一部範囲がAWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイトと重複
4. AWS認定ソリューションアーキテクトプロフェッショナル:アソシエイトの上位資格で、より広く深い知識が求められる
資格取得の難易度と範囲を考慮し、段階的に学習することが効果的です。
おすすめの勉強方法
AWS認定資格のおすすめの勉強方法としては、参考書を使って独学することや問題集や模擬試験を解くことが一般的です。また、AWSを実際に触りながら理解を深めることも効果的な勉強方法になります。さらに、AWS公式サイトの情報を活用することも重要です。本章では、これらのおすすめの勉強方法について解説します。
参考書を使って独学する
AWSの資格取得を目指すのであれば、参考書を使って独学する方法がおすすめです。参考書を1冊選び、内容を完全に理解するまで継続的に学習すると良いでしょう。
書籍は情報が体系的に整理されているため、初めての受験者には特に効果的です。また、AWS公認の書籍も多数出版されており、活用すれば正確かつ効率的な学習ができます。
AWSを活用するエンジニアについて、以下の記事で詳しい業務内容をチェックしておくとより実践的な知識が理解できるようになります。
関連記事:未経験でAWSエンジニアになるには?学習手順や認定資格などを解説
問題集や模擬試験を解く
AWSの資格試験には、以前の試験で出題された問題が出題されるケースがあります。そのため、合格を目指す方は問題集や模擬試験の活用が効果的です。
基本的な知識を身につけた後に、模擬試験を解くことで試験の雰囲気を事前に体験できます。また、AWSの公式サイトから各試験のサンプル問題をダウンロードできます。受験予定の試験のサンプル問題は、必ず確認するようにしましょう。
AWSを実際に触りながら理解を深める
資格合格に加えて、業務で使えるような実践的なAWSの知識を身につけたいのであれば、AWSを実際に触りながら理解を深める方法もおすすめです。書籍でサービスの概要を知っていたとしても、実際に業務に使えるとは限りません。
AWSには年間で使える無料枠が設定されているため、その無料枠を使ってAWSのサービスを試してみることができます。こうして自分の手を動かして環境を構築したり、AWSの設定を変更してみたりすることによって各サービスのつながりが理解できたり、各サービスで実現できることを把握することができます。
AWSの公式ページにも、初心者向けのハンズオン資料などが公開されてるため、利用してみるのも良いでしょう。
AWS公式サイトの情報を活用する
AWS公式サイトには、AWS認定資格の受験に役立つ情報も多く掲載されています。AWSはサービスの更新頻度が早く、常に最新の情報を入手することが重要です。
公式サイトでは、AWSクラウドサービス活用資料集やAWS Skill Builder、AWSホワイトペーパーなど、受験に役立つ資料が豊富に提供されています。AWS公式サイトを活用し、最新の知識を吸収することで、合格への道が大きく開けるでしょう。
AWS認定資格を取得するメリットは?
AWS認定資格を取得することで、スキルの証明だけでなく、キャリアアップや実務への応用にもつながります。ここでは、AWS認定の主なメリットを具体的に紹介します。
クラウドテクノロジーのトレンドに敏感になる
AWS認定を取得するメリットのひとつが、クラウドテクノロジーの最新トレンドに自然と触れられることです。
クラウドは今や成長著しい分野であり、新しいサービスや仕組みが次々と登場しています。コスト削減や開発効率向上に直結するサービスも多く、企業にとって導入メリットは大きいため、関心の高い領域といえます。
資格取得を目指す中でこうした新技術を学ぶことは、技術トレンドへの感度を高め将来的なキャリア形成にもプラスに働くでしょう。
日本国内で「大企業」「新規システム構築」に携われる
AWS認定を取得することは、大企業のクラウドプロジェクトに関わるチャンスが広がるメリットにもつながります。
たとえば、MM総研の調査結果によると、IaaS導入企業の過半数がAWSを採用しており、国内のクラウド採用企業(従業員1,000人以上)では87.2%がAWSを利用しているというデータもあります。
こうした大規模な企業では、セキュリティ要件や運用負荷の高さから、クラウド環境の構築・移行を担える技術者へのニーズが高まっています。AWS認定を取得しておくことで、こうした現場で求められるスキルの証明となり、新規システムの導入や刷新といった中核業務に携わる可能性も広がるでしょう。
AWSのサービスを網羅的に把握することができる
AWSのサービスは現在も続々と更新されており、それらを網羅的に把握できるのも大きなメリットです。AWSには2024年5月時点で240種類を超えるサービスが提供されています。こうした膨大なサービス群を業務で活用するには、あらかじめ全体像を理解しておくことが欠かせません。
AWS認定資格では、サービスの概要やユースケースが体系的に問われるため、主要サービスをバランスよく学ぶことができます。その結果、「知らないから使えない」という状況を減らし、より的確な選択ができるようになります。
このように、AWSサービスの全体像を把握できることは、AWS認定資格を取得する大きなメリットの一つです。
AWSの知識を持っている証明になる
AWS認定資格を取得することで、自分のAWSスキルや知識を客観的に証明できるのも大きなメリットです。IT分野では実務経験や知識の有無を言葉だけで伝えるのが難しい場面も多く、資格はそれを裏付ける信頼材料として機能します。
とくにAWSは多くの企業で導入が進んでいるため、資格保有者は転職活動や社内評価の場でも高く評価されやすくなります。「AWSを扱える」という言葉だけでなく、具体的なスキルとして可視化できる点が強みです。
このように、AWS認定資格は自身の専門性を客観的にアピールできる有効な手段といえます。
AWS認定資格に関するよくある質問
AWS認定資格に関心がある人の中には「どんな種類があるのか?」「どれくらい勉強すればいい?」と疑問を感じることも多いのではないでしょうか。
ここでは、AWS認定資格に関してよく寄せられる質問をまとめて解説します。
Q1. AWS認定資格とは何ですか?
AWS認定資格は、Amazon Web Servicesの専門知識を証明する資格です。多くのWebサービスやシステムがAWSを使用しており、AWSの知識やスキルを持つ人材の需要が増加しています。この資格は、AWS関連の業務に携わるエンジニアにとって知識やスキルを持つことの証明になります。
Q2. AWS認定資格は何種類ありますか?
AWS認定資格は単一の資格ではなく、全12種類に分類されます。これらの資格は、3つのレベル(基礎、アソシエイト、プロフェッショナル)と特定の専門知識に基づいて区分されています。各レベルは受験者の知識や経験に応じて作成されています。
また、AWS認定資格は随時アップデートされるのが特徴です。最新情報は必ずAWS認定公式サイトを確認しましょう。
Q3. AWSが人気な理由は何ですか?
AWSが高い人気を誇る理由は、クラウドサービスの先駆者として市場をけん引し、圧倒的なシェアと信頼性を築いてきた点にあります。
他社に先駆けてパブリッククラウドを展開し、企業のニーズに応じてサービスを拡充してきたAWSは、スケーラビリティやセキュリティ、サポート体制の高さも高評価です。
これらの強みから、AWSは現在もクラウド業界のリーディングカンパニーとして多くの企業に選ばれています。
Q4. AWS認定資格の目安勉強時間はどれくらいですか?
AWS認定資格の勉強時間は、資格のレベルや受験者の経験によって異なります。目安としては、以下のように考えられています。
-
・基礎レベル(クラウドプラクティショナーなど):10〜20時間程度
・アソシエイトレベル:50〜100時間程度
・プロフェッショナル・スペシャリティレベル:80〜150時間程度
IT経験がある場合は短期間での合格も目指せますが、未経験者の場合は基礎から学習することがポイントです。自分のレベルや得意分野に合わせて、余裕を持ったスケジュールを立てるのがおすすめです。
まとめ
AWS認定資格は、クラウドに関する知識やスキルを体系的に学べるうえ、習得度を客観的に証明できる資格制度です。全12種類の資格はレベルや分野ごとに分かれており、初心者から上級者まで、自分の経験や目的に応じて選べるのが大きな特徴です。
だからこそ「何を学びたいか」「どんな働き方を目指したいか」に合わせて、最適な資格を選べる選択肢の広さも魅力となります。
取得すれば転職やスキルアップに役立つだけでなく、AWSへの理解が深まり、業務効率の向上にもつながります。この記事を参考に、自分に合った資格を見つけて、キャリア形成にぜひ活かしてみてください。