Unityは、ゲームエンジンであると同時に、VR/AR開発用のプラットフォームでもあります。近年は医療や建築などのゲーム以外の分野でも活用が進んでおり、将来的に、VR/AR系の汎用的なスキルになる可能性もあります。そこで、Unityの知識・スキルの証明としてUnity認定資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。ここでは、Unity認定資格と試験対策の方法などについて解説しています。
Unity認定の資格試験とは
まず、Unity自体について簡単におさらいしておきましょう。Unityは、C++で作成されたゲームエンジンです。3Dゲームの開発を効率化できることが強みであり、現在ではVRやARなど「xR系」と呼ばれる分野のコンテンツ制作で活用されています。
Unityの知識・スキルを身に着ける方法としては、独学での開発や資格取得が考えられます。特に資格取得は対外的に知識とスキルを証明できるため、経験の浅い人材におすすめです。
Unityでは、Unity認定の資格試験制度を設けており、複数の資格の中からキャリアパスに応じた試験を受けられるようになっています。
Unity認定試験の区分(難易度別)
Unity認定資格には習熟度や分野別に4つのランクが設けられています。また、最上位の「エキスパート」はさらに3つの試験が含まれ、専門性を高められるよう工夫されています。
以下は、Unity認定資格の一覧です。各試験の範囲や内容、難易度などにも触れていますので、受験時の参考にしてみてください。
認定アソシエイト
これからUnityを使ってゲーム開発を始めようとしている初学者向けの認定試験です。16のトピックから100問が出題され、試験時間は90分です。出題範囲は「アニメーション」「アセット管理」「マテリアルとエフェクト」「プログラミング」といった技術的なものから、「ゲームアートの原則」「ゲームデザインの原則」「業界知識」などクリエイターとしての心構えにつながるものなど、多岐にわたります。
Unity認定資格の中では最も難易度が低いため、初学者でも合格しやすいでしょう。
認定プログラマー試験
Unityの基本的な操作を理解している初級~中級レベルのプログラマーを対象とした試験です。出題数は40〜70問で、試験時間は105分です。Unityを使用した3D開発のプログラミング経験や、C#の実務経験が2年程度ある人材が主要なターゲットになります。
試験内容は「インタラクション」「アートパイプライン」「アプリケーション開発」「シーント環境デザインのためのプログラミング」などが含まれます。基礎知識ではなく、実際の開発現場で頻繁に使われる技術を学ぶ試験と言って良いでしょう。
難易度は、試験対策さえしていれば合格は難しくない、といったレベルです。ただし、C#に関する分野は難問が出題されることがあるようです。特にAPI仕様に関する部分は、重点的に学習しておくべきでしょう。
認定3Dアーティスト試験
Unityを使って3Dオブジェクトのデザインやアニメーションを作成する人材に向けた試験です。認定プログラマーと同じく、出題数は40~70問で、試験時間は105分です。「アーティスト」と銘打っていることから、視覚効果やデザインを担当するクリエイター向けの試験と考えたほうが良さそうです。
試験内容には「3Dオブジェクトのレンダリング」「ライティングオブジェクトと環境」「パーティクルの使用と効果」「2Dアセットの使用」「アニメーションの使用」などが含まれます。
こちらも実務経験者向けの試験であることから、公式サイトの情報を参考にしながら実際に手を動かしつつ、試験対策を進めたいところです。
認定エキスパート
認定エキスパートは、実務経験5年以上の人材を対象とした熟練者向けの試験です。主に以下3つの分野で構成されています。
ゲームプレイプログラマー
5年以上の実務経験を持つ熟練ゲームプログラマーを対象とした試験です。出題数は40~70問で試験時間は165分と、かなりの長丁場となっています。
実際の開発現場で使われる知識を、開発シナリオに当てはめて応用する力が問われます。また、開発プロジェクトの進め方やコーディングの品質保証、設計、プロジェクトワークフローといった「リーダークラス」「マネージャークラス」の知識も問われます。
この試験に合格すると、ゲームコンセプトの設計やUI設計、オブジェクト実装など、開発工程のすべてに対する知見を持つことの証明になります。上級レベルの試験だけあって、現役エンジニアからの評価も高いようです。
エキスパートテクニカルアーティスト:リギング&アニメーション
アニメーションとプログラミングをつなぐテクニカルアーティストを対象とした試験です。「技術と表現をつなぐ人材」を対象としているため、C++・C#・Python・MaxScriptなどプログラミング言語の知識に加え、キャラクターセットアップなど表現領域の知識も問われます。さらに、Adobe Creative Suiteなどデザイン系のツールに対する知識も必要になるでしょう。出題数は40〜70問で、試験時間は165分です。
プログラミングとデザインという2つの領域をカバーしなくてはならないため、試験の難易度は高めです。
エキスパートテクニカルアーティスト:シェーディング&エフェクト
シェーディングやエフェクトなど、視覚効果を担当するテクニカルアーティストを対象とした試験です。デザインや表現領域の深い知識が問われます。出題数は40〜70問で、試験時間は165分です。
Unity認定資格試験の勉強方法は?
次にUnity認定資格の試験対策について解説します。Unity認定資格試験は、主に以下2つの方法で対策が可能です。
コースウェア
コースウェアとは、Unity公式サイトに設置されているオンライン動画教材です。公式の学習サイトなので、Unityに関する情報が非常に充実しています。情報量が他の解説サイトと比べても多いです。初心者向けの基本的な知識を解説するコンテンツから上級者向けのものまで、非常に多くの講座が用意されています。
コースウェアに沿って学習を進めることにより、ひと通りの試験対策が完了するように作られています。コースウェアは20時間以上に及ぶものもあるため、学習計画をしっかりと立てて進めていく必要があります。
Unityマニュアルと公式チュートリアルを用いた学習
コースウェアとは別に、Unityマニュアルを読み込む方法もおすすめです。また、Unityマニュアルを読みつつ、公式チュートリアルで実際の開発をイメージしながら学習を進めることができます。
初心者の方は「Unityを使用する」セクションにある初心者向けのドキュメントから読み進めるのが良いでしょう。
UnityマニュアルはUnityについての情報を網羅しているので、コースウェアで学習を進めつつ、リファレンスとしてUnityマニュアルを参照することもできます。
おすすめの本
公式の資料の他にも一般に市販されてる書籍で学習する方法もあります。書籍の場合は体系的に必要な知識を網羅するように書かれているため、資格取得の学習には向いています。
スマートフォンの普及にともなって手軽に作ったゲームを発表する場が増えたことで、ゲーム制作を始めてみようという人が増えています。そのため、最近では日本国内向けにUnityの解説書も数多く出版されています。
ここでは、初級者から中級者向けの書籍を紹介します。
Unityの教科書 Unity 2020完全対応版 2D&3Dスマートフォンゲーム入門講座
Unity初心者・入門者向けの本です。
親しみやすいイラストとわかりやすい説明で、Unityを使ったゲームの作り方を解説しています。C#を用いたプログラムの書き方についても基礎から解説しているので、プログラミング初心者でも大丈夫です。
ゲーム制作でよく使う処理(キャラクターの動作、当たり判定、得点表示など)を分かり易く解説しています。
Unityの機能だけではなく、ゲームの企画や設計についても学くことができます。ゲームをさらに面白くするためのアイディアについても解説しています。例えばレベルデザインやゲームバランスの調整などはプレーヤーを飽きさせない工夫として重要です。
作って学べる Unity本格入門 [Unity 2022対応版] (作って学べる開発入門)
Unityの基礎を理解している中級者向けの本です。
一つのゲームを作っていく流れを通して、Unityの操作を学んでいきます。
本格的なゲームを実際につくりながらUnityの使い方を学んでいくので、楽しみながら実践的な技術を身に付けることができます。武器や食べ物を調達しながら冒険し、最後には怪物と闘うという3Dゲームをつくりながらキャラクターの動かし方などを学びます。
タイトルは『入門』となっていますが、基礎よりも応用的な内容が中心になっています。
ゲームの企画についての章もあり、ゲーム企画の基本について学ぶことができます。
エラーのチェック、ログの出力、Debugモードなどトラブルシューティングについても解説があるので、ゲーム開発の実務に役立ちます。
[Unity 2022対応版]と銘打っているように最新のUIにも対応しています。これからUnityの最新版をインストールしてゲーム制作を始める人にはおすすめです。
Unity認定資格試験の受験方法は?
実際にUnity認定資格試験を受験するにはどのようにすればよいのか、受験方法を確認しておきましょう。
日程
Unity認定資格試験を受験するには、まずUnity公式サイトでバウチャーを購入します。その後で、ピアソンVUEのWebサイトで受験場所や日程を決めます。
Unity認定資格試験の試験日程は自由に設定することが可能になっています。試験会場はテストセンターの他、自宅や職場からオンラインで受験することができます。自分の都合に合わせて無理なく受験できる会場を選びましょう。
合否判定については、受験した当日に分かります。試験が終わった数分後に試験結果が届きます。
試験に合格していた場合デジタルバッチと印刷されたデジタル証明書が届きます。
不合格だった場合、同じ種類の試験をもう一度受験するには15日間以上の待機時間が必要です。
もし、2回目の受験でも不合格だった場合は、同一試験を再受験するには90日以上の待機時間が必要になります。
受験料
Unity認定資格試験の受験料は、下記のようになっています。
Unity 認定アソシエイト試験 34,055円
Unity 認定プログラマー試験 34,055円
Unity 認定3Dアーティスト試験登録 34,055円
エキスパート ゲームプレイプログラマー 45,845円
エキスパート テクニカルアーティスト:リギング&アニメーション 45,845円
エキスパート テクニカルアーティスト:シェーディング&エフェクト 45,845円
いずれも非常に高額になっています。受験するなら必ず合格できるようにしっかり対策したいものです。
Unity認定資格のメリット
Unity認定資格を取得するメリットについて解説します。
Unityの専門家としての信頼を得られる
Unity認定資格を取得することで、社会的にUnityの専門家として認められます。Unity認定資格はUnityとゲーム開発についての知識がしっかりと身に付いていることの証明になります。特に認定エキスパートの場合は、実務経験5年以上の熟練者を対象としているので高い知見があることを示すことができます。
Unity認定試験に合格するとUnity認定のデジタルバッジを受け取ることができます。デジタルバッチはメールの署名やSNSで使用することができます。
就職活動で有利になる
Unity認定資格はその難易度の高さからスキルやキャリアの証明として一定の効力があります。採用する立場からすればスキルの確認がしやすいので選考をスムーズに進めることができます。自分のスキルをアピールする際のアイテムの一つとして活用できます。
Unityはゲーム業界では特に注目度の高いスキルとなっています。今後もUnityエンジニアの需要は高まっていくと予想されますので、Unity認定資格はゲーム業界への就職・転職にプラスに働くでしょう。
Unity認定試験の取得に向いている人は?
最後にUnity認定資格の取得に向いている人を整理してみましょう。
VR/AR関連のスキルを高めたい現役エンジニア
すでに3Dオブジェクトを用いたVR/AR関連の開発経験があるエンジニアならば、認定プログラマー以上の資格を目指すことで、知識が体系化されていきます。普段の仕事では使わない知識を学ぶことで、応用力が増していくでしょう。また、これまでの実務経験に認定資格が加わるため、有利な条件で転職できる可能性が高まります。
ゲーム業界への参入を目指すエンジニア
ゲーム業界以外で、C#やJavaScriptの経験があるエンジニアならば、キャリアパスの選択肢を増やせるかもしれません。コアとなるプログラミングのスキルにUnityの知識が加われば、比較的短い時間で中級以上のゲームクリエイターを目指せるでしょう。
Unity 認定インストラクターを目指すクリエイター
Unity 認定インストラクターとは、Unity利用における優れた指導者であることを認定する資格です。
Unityについて豊富な知識を持ち、その知識やスキルを他の人に正しく指導できる能力があることを証明します。
Unityを使える人材の需要は高く、したがってそのような人材を育成できるUnity 認定インストラクターは貴重な存在です。
認定インストラクターを取得するための条件として、Unity 認定プログラマーか Unity 認定 3D アーティストの資格が必要です。Unity 認定インストラクターを目指すには手始めにこちらの資格を取得するのが良いでしょう。
まとめ
Unityは、ゲーム開発だけでなく医療や建設の現場でも活用され始めています。将来的に、UnityのスキルはVR/AR系の開発エンジニアとして汎用的なものとなる可能性が高いといえるでしょう。自身のスキル・知識の客観的な証明として、Unity認定資格を取得することがおすすめです。
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