クラウドの資格一覧!初心者向けの難易度解説や取得の利点

最終更新日:2022年9月30日

近年、企業や組織の業務はIT基盤上で業務システムを活用する前提となっている場合がほとんどです。そして、そのIT基盤の構築において第一の選択肢となっているのは、クラウドサービス上のサーバでシステムを稼働させる形態となっています。もはやITインフラの構築は「クラウドファースト」を前提とすることが一般的です。

クラウド環境の活用が進む状況下、クラウドエンジニアの需要は年々拡大しています。今後将来性の高いクラウドエンジニアはキャリアパスの選択肢として大いに検討すべき職種です。

クラウドエンジニアにはクラウドに関連した知識・スキルの習得が必要です。クラウドエンジニアを目指す場合には、資格取得とそのための体系的な学習がおすすめです。知識・スキルを習得し、転職活動において能力を証明できるため、クラウドエンジニアになるための効率的な取り組みとなります。

本記事ではクラウドエンジニアを目指す方に向けて、未経験者がまず目指すべき資格を紹介します。いわゆる「3大クラウドプラットフォーム」に関連した資格、ネットワーク、Linux、データベース、仮想化技術などの関連資格は、クラウドエンジニアを目指す場合に有用です。

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クラウドエンジニアとは

クラウドエンジニアはITインフラの設計、構築、運用・保守に携わるインフラエンジニアの一種です。インフラの構築においてクラウドサーバ、クラウドサービスを活用することに特化したエンジニアといえます。

ただし、各種のインフラエンジニアの間で明確な職種の区別があるわけではありません。サーバーやネットワークの構築においてもクラウドの活用は有力な選択肢の一つとなってきているため、サーバーエンジニアやネットワークエンジニアといった他のインフラエンジニアとの垣根は薄くなってきています。

クラウドエンジニアの特色として、クラウドサービスを活用して各種の機能、処理を構築する業務を含む場合があります。他のインフラエンジニアよりアプリケーション寄りの領域とも関連が強い傾向です。

クラウドエンジニアに必要とされる知識・スキルの中心となるのは、インフラの基礎知識とクラウドサービスに関する知識、活用スキルです。

一つ目のインフラ領域の基礎知識を具体的にあげると、サーバー、ネットワーク、OS、仮想化、データベースなどのミドルウェアが対象となります。クラウドエンジニアのメインミッションはクラウドを活用してITインフラの構築を行うことです。まずは構築するインフラについて知っていなければなりません。

それに加えて、二つ目に必要となるのがクラウドに関する知識・スキルです。クラウドベンダーとサービスを知り、その中から要件に合った最適なサービス選定をできることが求められます。また数多あるクラウドサービスを組み合わせて、要件に沿った機能、処理を検討、構築するスキルも必要とされます。

代表的なクラウドサービス

国内で人気のある代表的なクラウドサービスとしてAmazon、Google、Microsoftの提供する各サービス・概要を紹介します。

AWS(Amazon Web Services)

Amazon Web Services(AWS)はEC最大手Amazonによるクラウドサービスです。調査会社ガートナーによる2021年のIaaS世界市場調査では、AWSは38.9%とトップシェアを持っているという結果でした。業界のデファクトスタンダードに位置しており、全方位で高水準のサービスを提供しています。

代表的なサービスとしては仮想実行環境を提供する「Amazon EC2」やDockerコンテナサービスの「ECS」などが挙げられ、実績と使いやすさが評価されています。

GCP(Google Cloud Platform)

Google Cloud Platform(GCP)は、Google社の提供するクラウドコンピューティングサービスです。他のGoogleが提供するサービスと同様に、高水準の速度、安定性、セキュリティを誇ります。GmailなどのGoogle製品との連携機能が充実していることも一つの特徴です。AIや機械学習など先端ITの分野で強みを持っています。

GoogleはGCPの提供に向けて日本国内にもデータセンターを設置しています。Googleが独自に開発したネットワーク機器を用い、急激なトラフィック増減に対して高い耐久性を持ち、安定性や可用性の面でも評価されています。

Azure(Microsoft Azure)

Microsoft Azureは、PC向けOSとして最大のシェアを持つWindowsを提供しているMicrosoftによるクラウドサービスです。Azureの特徴は「オンプレミス環境との親和性の高さ」にあります。「Officeシリーズ」のクラウド版である「Office365シリーズ」や、Active Directoryのクラウド版「Azure AD(Azure Active Directory)」によって、オンプレミス環境のスムーズなクラウド移行が可能な点が強みです。

クラウド関連資格を取得するメリット

クラウドに関する知識・スキルを示す方法として、資格の取得があります。クラウド関連資格の取得について、メリットを確認しておきましょう。

広範な知識を体系的に身につけられる

クラウドは仮想化、コンテナ、DevOpsなどの比較的新しい技術と相性が良く、組み合わせて利用されます。その実現には、既存インフラの知識に加えてクラウドの基礎的な知識を持ち、さらにはクラウド上での技術利用の知識を積み重ねる広範な技術的知見が必要とされます。

クラウド関連資格は、これらの知識・スキルを網羅的かつ体系的に学習でき、高い技術的知見を示せます。また、資格取得のための学習はクラウドエンジニアとしての基礎力を高めることにつながります。

就職・転職時に知識、スキルを対外的に証明できる

クラウド関連資格には、初級者もしくは実務未経験者向けの資格も用意されています。こうした資格を取得することで、アピール材料を持たない実務未経験者が、対外的に知識・スキルを証明することが可能です。

メジャーなプラットフォームの案件に参画するきっかけになる

AWS、GCP、Azureは国内外で頻繁に用いられるクラウドプラットフォームです。クラウド移行を進めている企業は、3つのうちいずれかを導入していると言っても過言ではないでしょう。それぞれのベンダー資格を取得できれば、クラウド関連プロジェクトに参画する足掛かりになります。

クラウドエンジニアへ近づくためのおすすめ資格一覧

本項では、クラウドエンジニアに近づくためのおすすめ資格を紹介します。「AWS(Amazon Web Service)」「GCP(Google Cloud Platform)」「Azure(Microsoft Azure)」の3製品に関する資格や周辺領域の技術者向け資格です。

情報処理技術者試験

情報処理技術者試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営するITエンジニア向けの資格試験です。経済産業省により認定される国家資格でもあります。

本資格の保有によりエンジニアとしてエントリレベルのスキルを示すことが可能です。試験の対象範囲は広く、ハードウェア、ソフトウェア、システム開発技法、プログラミングなどITに関する幅広く基礎的な知識が必要とされます。

クラウドを扱うエンジニアにとっても、IT知識・スキルのベースを示せる資格となっています。

AWS認定

AWSには「AWS認定」と呼ばれる資格群があり、グレード・分野などで分類されています。AWS認定公式サイトによると、2022年8月時点で12種類のAWS認定資格が設けられています。日本国内でクラウドエンジニアとして活躍する場合の取り掛かりとしては、以下2つの資格取得がおすすめです。

関連記事: AWSの勉強手順を公開|クラウド初心者なら知っておきたい!

AWS認定ソリューションアーキテクト(アソシエイト)

対象:クラウドエンジニア 初級

試験の概要
AWS認定ソリューションアーキテクト(アソシエイト)は「AWSを用いたシステムの設計や提案を行う、1年以上の実務経験を持つ人材」を想定した試験です。合格のためには、クラウドとAWSの基礎知識・SSHによるサーバー操作・最適なデータベースを選択するための知識などが必要になります。ポジションとしては上流工程から実装まで幅広く担当するSEなどが該当するでしょう。AWSの認定資格の中では初級レベルに該当し、AWSを扱ったことが無い人材が基礎知識を固めたり、実務経験を持つ人材が体系的に知識をまとめたりすることに役立ちます。

AWS認定ソリューションアーキテクト(プロフェッショナル)

対象:クラウドエンジニア 中級

試験の概要
AWS認定ソリューションアーキテクト(プロフェッショナル)は2年以上のクラウドシステム設計・実装経験を持つ人材を想定しており、AWS認定ソリューションアーキテクト(アソシエイト)の上位資格にあたります。クラウドシステムの設計・移行・コスト管理・改善など管理者レベルの人材向けの問題が、ユースケース形式で出題されます。

難易度は、「経験2年程度の人材が100時間前後の学習を経て合格できるレベル」とされています。

Google Cloud認定資格

GCPに関する技術的な知識・スキルを認定する試験としてGoogle Cloud認定資格が提供されています。これからクラウドエンジニアを目指す場合には、下記の3つがおすすめです。

Associate Cloud Engineer(日本語可)

対象:開発者 初級

試験の概要
Associate Cloud Engineer(日本語可)はGCPを用いたアプリケーションの配置、モニタリング、その他機能の管理を担う人材を想定した試験です。GCPもしくはクラウドソリューションに関する業務を6カ月以上経験した人材が対象で、管理側の業務に関する内容が多い傾向にあります。

クラウド関連業務の経験があれば、それほど難しいと感じることはないでしょう。15時間~30時間程度の学習で合格することが可能です。

Professional Cloud Architect(日本語可)

対象:クラウドエンジニア 中級

試験の概要
Professional Cloud Architect(日本語可)はGCPを組織にフィットさせるための設計・開発・管理を行う人材を想定した試験です。受験対象者は1年以上の設計・管理業務を含む3年以上の実務経験が推奨されており、スケーラビリティやパフォーマンス、コストなどについても知見が必要になります。

分野ごとの難易度はそれほど高くないものの、GCPの製品について広範な知識を求められるため、合格レベルに達するには2~3カ月の学習が必要になるでしょう。

Professional Cloud Developer

対象:クラウドエンジニア 中級

試験の概要
Professional Cloud DeveloperはGCP上でアプリケーション開発を行うエンジニア向けの試験です。受験対象者は1年以上の設計・管理業務を含む3年以上の実務経験が推奨されています。主にクラウド上に配置されるアプリケーションのビルドとテスト、パフォーマンス管理に関する内容が出題されます。

Microsoft認定資格

Microsoft社の提供する技術について、そのスキルを認定しているのがMicrosoft認定資格です。Azureについても多くの認定資格が提供されており、クラウドエンジニアを目指す場合におすすめの資格を紹介します。

関連記事: Microsoft Azure関連13認定資格を紹介 - クラウドエンジニアの転職Tips

Azure Fundamentals

対象:管理者 初級

試験の概要
Azure Fundamentalsはクラウドシステムに初めて触れる、もしくは経験の浅い人材を対象とした試験です。試験内容には、クラウドの概念やAzureの基礎的な機能・クラウドセキュリティ・プライバシーとコンプライアンスなどが含まれます。GoogleやAmazonが運営する初級資格よりも難易度は低いと言われています。合格までの勉強時間は20~30時間程度と考えて良いでしょう。

Azure Developer Associate

対象:開発者 中級

試験の概要
Azure Developer Associateは開発者を想定した試験で、API活用・CLIやSDKを用いた実装・ストレージ活用やセキュリティ・C#に関する内容などが出題されます。C#が含まれるため、合格のためには一定以上のプログラミングスキルが必要となります。

CompTIA認定

ITに関する規格の標準化団体「CompTIA」が認定するクラウド関連の資格です。CompTIAは2000社以上の企業・3000以上の教育機関とパートナーシップを締結しており、グローバルに影響力を持つ団体です。CompTIA認定はベンダーニュートラルなスタンスをとっていることから、汎用的な知識とスキルの証明になりうるでしょう。

CompTIA Cloud Essentials+

対象:クラウドエンジニア 初級

試験の概要
CompTIA Cloud Essentials+はクラウド関連業務の経験がない人材、もしくは着任して間もない人材がターゲットとなる試験です。クラウドに関する基礎的な概念・ビジネス的な原則・管理とオペレーションといった内容が出題され、技術的な知識はあまり問われません。実際に対策問題集を使い、数時間の勉強で合格したとの報告もあることから、初学者でも合格を目指しやすい資格といえます。

CompTIA Cloud+

対象:クラウドエンジニア 中級

試験の概要
CompTIA Cloud+は組織におけるクラウドシステムの組込み・管理・運用を担う人材を対象とした試験です。ネットワーク・ストレージ・仮想化など技術的な内容に加え、実装のベストプラクティスなど実務寄りの内容も出題されます。クラウドやネットワーク関連の実務経験があれば、問題演習のみでの合格も難しくありません。

CCSP認定

CCSP認定(Certified Cloud Security Proffecional)は(ISC)²により運営されているクラウドに関するセキュリティ技術者のための試験です。次の6つの分野に対するスキルの保有が評価されます。

  • ・クラウドの概念、アーキテクチャ、および設計

    ・クラウドデータセキュリティ

    ・クラウドプラットフォーム、およびインフラストラクチャのセキュリティ

    ・クラウドアプリケーションセキュリティ

    ・クラウドセキュリティオペレーション

    ・法律、リスク、およびコンプライアンス


情報技術分野において最低5年の実務経験、うち3年は情報セキュリティ分野での実務経験者向けの試験であり、難易度は高めです。その分、世界で通用する資格でもあり、クラウドエンジニアの中でもセキュリティ領域に特化していることから転職では大きなアピールポイントとすることができます。

Linux技術者認定

LinuCはLPI-JapanによるLinux技術者のスキルを認定する資格です。3段階のレベルに分かれているのですが、最も優しいレベル1からクラウドに関わる内容についても出題されます。
クラウドエンジニアとしてLinuxサーバーを扱う業務で役立てることが可能です。

VMware認定

VMWare認定は仮想化ソフトウェアであるVMware ソリューションに関する技術保有を示す世界共通の資格です。クラウドと仮想化ソフトウェア技術には密接な関係があり、クラウドエンジニアとして仮想化についての技術力が示せることは有意なポイントとなります。

シスコ技術者認定

シスコ技術者認定はネットワークエンジニア向けのベンダー試験です。大きくはエントリー、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパートの4段階にレベル分けされており、それぞれのレベルで対象領域ごとの資格試験が用意されています。ネットワークのスキルにあわせて、クラウドとの関連分野を探して資格取得を図るとよいでしょう。

Oracle認定

ORACLE MASTERはイフラ領域の中でもミドルウェアであるデータベースに関するスキルを示す認定資格です。商用データベースとしてシェア1位を誇るOracle製品の、クラウド環境での活用についての知識・スキルを習得することができます。クラウドエンジニアの中でも、データベース系のサービスに従事するエンジニアに役立つ資格です。

ネットワースペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって運営される高度技術者向けの国家資格試験です。ネットワークエンジニアとしての高いスキルを示すことができます。今日ではネットワーク領域でも仮想化技術を用い、クラウド環境と連携するネットワークを構築するシーンも増えています。

クラウドエンジニアでなおかつネットワーク領域において活躍したい場合には、大きなアピールポイントになります。

初心者が目指す資格を比較するときのポイント

これからクラウドエンジニアを目指す場合に、習得する資格選定方針として二つが考えられます。

一つは長期的に活用できる汎用性の高い資格を基礎から学習し、地道に知識とスキルを高める方法です。もう一つは、需要が高まるトレンドの技術を身に着け、直近のエンジニア転職を目指す方法となります。

難易度が低く汎用的な資格から取得する

クラウド技術の中でもベーシックな内容を基礎から学習し、資格を取得していきましょう。高いスキルを示せる資格ではなくとも、知識の集積が望め、以降の学習や実務に役立っていきます。段階的にレベルアップすることで、徐々にスキルを高めることが可能です。また、選択的に特定のベンダーではなくクラウド全般に関わる資格を習得することで、汎用的な知識として役立てることができます。

トレンドの技術を学べる資格を選ぶ

クラウドエンジニアとして将来的なフィールドを定めている場合には、そこで活躍するための資格をターゲットとして取得することも良い方法です。クラウドベンダーや技術領域などを絞ることで、よりレベルの高い試験に挑むことが可能となります。その領域でトレンドとなっている技術スキルを持っていれば、転職時にアピールポイントとすることが可能です。

まとめ

クラウドエンジニアを目指す際には、いわゆる3大クラウドプラットフォームと呼ばれるAWS、GCP、Azureについての認定資格の取得がおすすめです。実務未経験者からエキスパートレベルまでさまざまな資格が用意されているため、自分の実力に見合った資格を取得することが可能です。転職活動においても優位に利用できます。

また、このほかにもクラウドエンジニアとしての知識・スキルの証明に成り得る資格が存在するため、キャリアプランとともに取得を検討してみて下さい。

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