- IT系の資格の種類は大きく3種類
- 【分野別】ITエンジニアにおすすめの資格30選
- ITエンジニアが資格を取得するメリットと重要性
- ITエンジニアに関する資格の勉強方法
- 転職したい人が効率的にIT資格の勉強をするポイント
- 学習モチベーションを保つ3つの工夫
- ITエンジニアが資格を取る際の注意点
- ITエンジニアの資格に関するよくある質問
- まとめ
IT系の資格の種類は大きく3種類
IT系の資格は、大きく分けて以下3種類になります。
-
・国家資格・ベンダー資格
・ベンダーニュートラル資格
ベンダー資格とベンダーニュートラル資格は民間資格です。
国家資格
国家資格は、経済産業省が所管するIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する資格です。国家資格は認知度が高いため能力証明につながりやすく、有効期限が設けられておらず受験料が安めというメリットもあります。
ベンダー資格
ハードウェア、OS、ソフトウェアなどの製品を提供している企業(ベンダー)が認定しているのがベンダー資格です。ベンダー資格はベンダーの提供する製品の仕様に沿った知識やスキルが問われ、製品に関しての詳細にわたったスキルを示すことができます。一方で、製品を提供するベンダーに技術的に依存する形となるため、別のベンダーの製品を使っている現場では役に立たない場合もあります。
ベンダーニュートラル資格
ベンダーニュートラル資格は、民間でありながら特定のベンダーが認定しているわけではない資格です。そのため、特定のOSやソフトウェアに特化する内容ではありません。ベンダーニュートラル資格の主催は、NPO法人などです。ベンダー資格と比べると特定の製品に依存しないので汎用性が高いですが、逆に言えばベンダー資格の方が特定の製品に特化したスキルが身に付けられるとも言えます。
【分野別】ITエンジニアにおすすめの資格30選
ITエンジニアが転職前に取得すべきおすすめの資格を、網羅的に紹介していきます。ここで紹介する資格は主に「独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する国家資格の情報処理技術者試験」や「大手ベンダー・コミュニティが主催する資格」です。分野別に資格の概要、レベル感について記載するため、資格取得時の参考にしてみてください。
また多くの資格について、スキルレベルおよび難易度の基準として「ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ」を参照しています。
参考:特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格の関係(ISV Map Ver11r3)」
※資格種類については、ベンダーニュートラルな国家資格は「国家資格」、ベンダーニュートラルな非国家資格は「VN資格」、ベンダー資格を「ベンダー資格」と表記しています。
資格試験名 | 資格種類※ | 分野 | 難易度 |
---|---|---|---|
基本情報技術者試験 | 国家資格 | 開発者 | ITSSレベル2 |
応用情報技術者試験 | 国家資格 | 開発者 | ITSSレベル3 |
システムアーキテクト試験 | 国家資格 | 開発者 | ITSSレベル4 |
ITパスポート試験 | 国家資格 | 開発者 | ITSSレベル1 |
C言語プログラミング能力認定試験 | VN資格 | 開発者 | ITSSレベル3 |
ITサービスマネージャ試験 | 国家資格 | 運用・保守 | ITSSレベル4 |
ITIL® 認定資格 | VN資格 | 運用・保守 | ITSSレベル1~ |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | 国家資格 | 開発者 | ITSSレベル4 |
ネットワークスペシャリスト試験 | 国家資格 | ネットワーク | ITSSレベル4 |
CCNA | ベンダー資格 | ネットワーク | ITSSレベル2 |
CCNP Enterprise | ベンダー資格 | ネットワーク | ITSSレベル3 |
LPIC | VN資格 | ネットワーク | ITSSレベル2~3 |
データベーススペシャリスト試験 | 国家資格 | データベース | ITSSレベル4 |
ORACLE MASTER Gold DBA | ベンダー資格 | データベース | ITSSレベル3 データベース管理者 |
ITストラテジスト試験 | 国家資格 | PM、ITコンサル | ITSSレベル4 |
プロジェクトマネージャ試験 | 国家資格 | PM、ITコンサル | ITSSレベル4 実務10年以上 |
PMP | VN資格 | PM、ITコンサル | ITSSレベル3 最短3年で4500時間の実務歴 |
システム監査技術者試験 | 国家資格 | セキュリティ | ITSSレベル4 |
公認情報システム監査人 | VN資格 | セキュリティ | ITSSレベル2 |
情報処理安全確保支援士試験 | 国家資格 | セキュリティ | ITSSレベル4 |
情報セキュリティマネジメント試験 | 国家資格 | セキュリティ | ITSSレベル4 |
CISSP | VN資格 | セキュリティ | 英国のマスター・修士号の 学位基準 |
AWS認定資格 | ベンダー資格 | クラウド | AWSを利用した実務歴 基礎:6カ月 アソシエイト:1年 プロフェッショナル:3年 |
Google Cloud認定資格 | ベンダー資格 | クラウド | Google Cloudを利用した実務歴 基礎:無し アソシエイト:6カ月 プロフェッショナル:3年 |
Microsoft認定資格(Azure) | ベンダー資格 | クラウド | 初期、中級、上級のレベルで複数の試験が存在する。 未経験からプロフェッショナル向けまで。 |
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS) | ベンダー資格 | クラウド | ITSSレベル1程度 |
Python 3 エンジニア認定基礎試験 | ベンダー資格 | 開発者 | ITSSレベル2~3 |
G検定 | VN資格 | 運用・保守 | ITSSレベル1 |
E資格 | VN資格 | 開発者 | ITSSレベル2 |
Ruby技術者認定試験 | VN資格 | 開発者 | Silber:ITSSレベル1 Gold:ITSSレベル2 |
開発関連の資格試験・難易度
ITシステムやアプリケーションの設計・開発を行うITエンジニア向けの関連資格について、その概要や難易度などを解説します。
1. 基本情報技術者
基本情報技術者試験はIPAの運営する情報処理技術者試験の中でも、最も基礎的なITエンジニアの登竜門に位置づけられる資格試験です。ITエンジニアとしてエントリレベルの知識、スキルが問われる試験となっています。企業によっては新人ITエンジニアに取得を推奨することの多い資格でもあります。
「基本」と名前にはついているものの、ハードウェアからソフトウェア、プログラミング、プロジェクト管理、IT戦略など幅広い分野をカバーした試験範囲のため、参考書や過去問題集を利用した試験対策が必要となります。令和5年度よりCBT方式での試験提供が開始されるため、受験しやすくなります。
2. 応用情報技術者試験
応用情報技術者試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つで、基本情報技術者の上位資格にあたります。経験3~7年程度のITエンジニアが対象の試験です。ソフトウェア開発・ネットワーク構築・DB構築など、情報システムの開発全般に関する知識や、運用面の知識が試験範囲となります。難易度はITSSレベル3相当でミドルレベルにマッピングされています。試験は午前と午後に分かれており、特に午後試験は、記述問題が出題されるため、スクールや教材を活用した勉強がおすすめです。
3. システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の内、高度な知識・技能を示す試験の一つです。「システム開発の上流工程を主導する立場で、豊富な業務知識に基づいて的確な分析を行い、業務ニーズに適した情報システムのグランドデザインを設計し完成に導く、上級エンジニア」向けの資格となります。IT戦略に基づいて情報システム、組み込みシステム、IoTシステムの要件定義を行い、アーキテクチャを設計するエンジニアが対象とされます。ITSSレベル4にマッピングされており、難易度も高い試験です。
4. ITパスポート試験
ITパスポート試験は、社会人が備えるべきIT基礎知識を証明するもので、取得することでITを正しく理解し、業務で効果的にITを活用する"IT力"が身につきます。
情報技術に関わる仕事に就きたい人におすすめの資格で、IT資格取得の第一歩として受験するとよいでしょう。試験はCBT方式で行われ、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3つの分野に分かれています。
5. C言語プログラミング能力認定試験
C言語プログラミング能力認定試験は、C言語を用いたプログラミング能力を評価する試験で、主にプログラマを目指す人が受験します。企業でも信頼される資格であり、3級~1級に分かれており、各等級ごとにC言語プログラミングスキルを証明できます。
C言語は処理速度が速く、さまざまなシステムやゲームの開発に用いられます。高度なスキルを習得したい場合は、1級取得を目指して学習を進めると良いでしょう。
運用・保守業務従事者に適した資格試験・難易度
運用・保守業務向けの資格は、実用性の高いものが多い傾向にあります。特にITILは運用・保守業務のスタンダードとして広く認知されているため、ぜひ取得を検討してみてください。
6. ITサービスマネージャ試験
ITサービスマネージャ試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の内、高度な知識・技能を示す試験の一つです。対象者像は「高度IT人材として確立した専門分野をもち、サービスの要求事項を満たし、サービスの計画立案、設計、移行、提供及び改善のための組織の活動及び資源を、指揮し、管理する者」とされており、サービスの運用・保守の管理者としての高いスキルを示すことができる資格です。ITSSレベル4にあたります。
7. ITIL® 4資格制度
ITIL®とは、IT対応サービスを管理・運用するためのベストプラクティスを体系化したフレームワークがまとめられた書籍のことを指します。2023年4月10日時点では、最新バージョンは4となっており、ITサービスマネジメントに関するスキルを証明するためのITIL®認定資格が階層型で存在しています。
まずは初級レベルとされる「ITIL® Foundation」の認定を受ける必要がありますが、ITSSレベル1に相当するとされており、難易度としては低い部類に入ります。ITIL® Foundationの認定を受けると、中級相当である。
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・ITIL®スペシャリスト「作成・提供・サポート(Create, Deliver and Support)」(略称CDS)
・ITIL®スペシャリスト「利害関係者の価値を主導(Drive Stakeholder Value)」(略称DSV)
・ITIL®スペシャリスト「ハイベロシティIT(High Velocity IT)」(略称HVIT)
・ITIL®ストラテジスト「指示・計画・改善(Direct, Plan, Improve)」(略称DPI)
の4つのモジュールについて認定試験を受けることができるようになります。(「ITIL®マスター」などさらに上級相当の認定資格もあります)
組み込みエンジニア向けの資格試験・難易度
家電や車載器、設備などに搭載される小型のコンピュータ向けのプログラムを作成する組み込みエンジニアに向けた資格です。
8. エンベデッドシステムスペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の内、高度な知識・技能を示す試験の一つです。IoTを含む組み込みシステムの開発スペシャリストとしてのスキルと知識が問われます。ITSSレベル4にマッピングされており、専門家としての高いスキルが示せる資格です。
ネットワークエンジニア向けの資格試験・難易度
ネットワークエンジニア向けの資格は、情報処理技術者試験のネットワークスペシャリスト試験と大手ITベンダーであるCisco社のベンダー資格が知名度の高い試験です。
9. ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の内、高度な知識・技能を示す試験の一つです。ネットワークの専門家として大規模で堅牢なネットワークを構築するためのスキルと知識が問われます。ITSSではレベル4に該当します。セキュリティも含んだネットワーク技術に関して、要件定義から設計、構築、運用・保守に至る幅広い工程が試験対象範囲です。午前と午後に分かれており、午後には記述式の問題もあります。
10. CCNA(シスコ技術者認定)
CCNAは世界最大手のネットワーク・スイッチ機器ベンダー「Cisco」社が主催する、インフラ・ネットワークエンジニア向けの資格です。Ciscoの認定資格の中では5段階の下から2番目の資格であり、シスコ製品のみならず、ネットワークの基礎知識も求められます。ITベンダーが主催するアソシエイトレベルの資格の中では難易度が高めで、ITSSレベル2に相当しています。1年以上のシスコソリューションの実装および管理経験が前提条件となっています。
11. CCNP Enterprise
CCNP EnterpriseはCCNAの上位資格です。5段階の上から2番目の資格で、ITSSではレベル3に相当します。認定資格取得にはコア試験とコンセントレーション試験の2種類に合格する必要があります。コア試験はコアエンタープライズ技術、コンセントレーション試験は選択式で専門の技術分野が試験範囲となります。
12. LPIC(Linux技術者認定試験)
LPICはLinuxのスキルを問う資格試験です。難易度は3段階あり、インフラ業界ではCCNAに並んで知名度、評価の高い資格です。具体的な試験内容としては、OSコマンドの実践問題や、タスク管理やセキュリティといった知識系の問題が出題されます。
データベースエンジニア向けの資格試験・難易度
データベースエンジニア向けの資格は、情報処理技術者試験のデータベーススペシャリスト試験と、Oracleデータベースを提供するオラクル社のORACLE MASTERが知名度の高い資格です。
13. データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つで、DBエンジニア向けの高難易度試験です。難易度はITSSレベル4に該当します。午前、午後で計4部構成となっており、午後には記述式の問題もあります。データ分析基盤を構築するエンジニアは、ビッグデータやデータサイエンス領域での需要が高まっている分野です。
14. ORACLE MASTER Gold DBA
ORACLE MASTER Gold DBAはオラクル社の提供するOracleDatabeseを用いたデータベースの構築・運用・チューニングについての知識が問われる資格です。Oracleはエンタープライズ向けのデータベース製品として高いシェアを持ち、Gold DBAの取得までには下位資格(ブロンズ、シルバー)の取得と認定コースの受講が必要となります。ITSSレベル3に相当します。
2019年よりORACLE MASTER 2019資格が新資格体系として開始しており、2023年4月12日時点ではさらに上位のPlutinum DBAについては詳細未定とされています。
PM、コンサル志向のエンジニア向けの資格試験・難易度
PM、コンサル志向の資格では情報処理技術者試験のITストラテジスト試験、プロジェクトマネージャ試験、ITサービスマネージャ試験およびPMIの認定するPMPが広く認知されています。
15. ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つです。情報処理技術者試験の中でも、IPAの公開する統計情報から合格率が非常に低いことが読み取れ、最も難しい試験ともいわれます。ITSSではレベル4に相当します。午後試験には論文試験があり、合格には対策が必要とされます。経営戦略からIT戦略を導きだし、ビジネスを成功に導くCIO、CTO、ITコンサルタントなどを対象とした試験です。
関連記事:ITストラテジスト合格に必要な勉強時間は?学習法やポイントも解説
16. プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つで、システム開発プロジェクトの現場の最高責任者となるプロジェクトマネージャ向けの高難易度資格です。ITSSではレベル4に該当します。ITエンジニアの中でも、10年程度の従事経験を持つエキスパートが前提とされており、プロジェクト化の構想から、プロジェクト推進のための知識、プロジェクトマネジメントスキルなどが問われます。
17. PMP
PMPは世界最大のプロジェクトマネジメント協会であるPMI(Project Management Institute)が認定するプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。プロジェクトマネジメントのデファクトスタンダードとしてIT業界内外から認知されています。ITSSではレベル3にマッピングされていますが、最短3年で4500時間以上のプロジェクト経験が前提条件となる実務経験も問われる試験です。
セキュリティ分野を目指すエンジニア向けの資格試験・難易度
セキュリティ関連の資格は、情報処理技術者試験のシステム監査技術者試験、情報処理安全確保支援士試験の知名度が高いです。ただし、CISSPのように国際的な資格も注目されており、どちらを取得すべきであるかはケースバイケースとなります。
18. システム監査技術者試験
システム監査技術者試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つで、セキュリティ担当者・システム管理者向けの高難易度資格です。IoTの普及に伴い、組み込み関連システムの監査で需要が高まっています。他のITSSレベル4資格と同様に論文試験があり、難易度が高い試験です。
19. 公認情報システム監査人(CISA)
CISAは情報システムの監査、セキュリティ、コントロールに関する知識が問われる資格です。具体的な内容としては、システムの知識よりはシステムについての考え方が問われます。国際的に評価されている資格です。
20. 情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つで、セキュリティ担当者向けの高難易度資格です。国内のサイバーセキュリティ人材向け試験としては最高峰に位置します。また、合格者は「登録セキスぺ」として一般公開される名簿に氏名を登録することができます。日本国内のIT系資格では初の「士業」です。ITSSではレベル4に相当します。論文試験はありません。
※2016年まで実施されていた「情報セキュリティスペシャリスト試験」をベースに登録者制度などが加えられた資格試験となります。
21. 情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、IPAが主催する国家資格のうちの一つです。セキュリティ計画、運用、評価、改善などについて知識を問われます。国家資格であることと、今後よりセキュリティの重要度が増す可能性が高いことから、高い評価を得ている資格です。
22. CISSP
CISSP(Certified Information Systems Security Professional)は(ISC)²により認定の行われている情報セキュリティ・プロフェッショナル認定資格です。
世界最大のITセキュリティ組織といわれる(ISC)² (International Information Systems Security Certification Consortium)は、サイバーセキュリティの専門家向けのトレーニングと認定を専門とする非営利団体です。セキュリティ分野におけるグローバルレベルの共通知識、ベストプラクティスを網羅したものを(ISC)² CBKとしてまとめており、CISSPはこれをベースとした試験です。
2022年11月18日時点では日本語と英語の併記による受験が可能とされています。また、試験時間は6時間で250問の4択式の問題の7割正答が合格ラインとされています。試験内容は公表されておらず、出題の対象範囲が広いこと、日本語の資料が少ないこと、実務レベルの問題が出題されることなどから難易度は高いとされています。
参考として、(ISC)² の公式ブログによると「英国のマスター・修士号の学位基準」と独立系ベンチマーク機関に承認されたことを発表しています。
クラウド分野への転職で役立つ資格試験・難易度
インフラ分野をはじめとして欠かせない技術となったクラウドに関しては、クラウドベンダーによる認定資格試験が提供されています。転職時に利用する場合には、転職先環境にあわせた資格を受験することをおすすめします。
23. AWS認定資格
AWS認定試験はAmazonの提供するクラウドプラットフォームAWS(Amazon Web Services)に関する認定資格です。AWS認定は基礎、アソシエイト、プロフェッショナルの3つのコースと専門分野の知識に関する認定があります。各コースはそれぞれ6か月、1年、3年のAWSの使用と関連知識に値する経験が目安となります。
24. Google Cloud認定資格
Googleのクラウドサービスに関する認定資格としてGoogle Cloud認定資格があります。基礎、アソシエイト、プロフェッショナルの3段階が提供されています。それぞれ、未経験、6か月以上の実務経験、3年以上の実務経験が目安となる難易度です。
25. Microsoft認定資格
Microsoft認定資格プログラムはMicrosoft社の提供する各種のソフトウェアやサービスに関するスキル・知識を認定する資格です。その中でもMicrosoft社の提供するクラウドプラットフォームAzureに関する試験が存在しており、クラウド関連のスキルを示すのに有効な資格です。Fundamental、Associate、Expertの三つのレベルがあり、スキルのレベルに合わせてターゲットとする試験を選択可能です。
26. マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
MOSはMicrosoft社が実施している資格試験で、Microsoft Officeソフトの操作技能を問う内容です。試験では実際にMicrosoft Officeソフトを操作します。試験核目はWord、Excel、PowerPoint、Access、Outlookの5種類で、WordとExcelの一般レベルとエキスパートレベルに分けられています。
いずれも難易度は低めで、ITパスポートと同程度かそれよりも簡単です。IT関連資格の中では難易度が低いということですが、Microsoft Officeソフトは利用されることの多いツールのため資格の実用性が高く、難易度の割には評価されやすいコストパフォーマンスに優れた資格と言えるでしょう。
AI分野への転職で役立つ資格試験・難易度
AI分野でも資格取得が転職に役立ちます。具体的に役立つ資格と、難易度をご紹介します。
27. Python 3 エンジニア認定基礎試験
Python 3 エンジニア認定基礎試験は、Python言語のスキル、知識を問う試験です。PythonはWebアプリケーションだけでなくAI開発でも使用されることの多い言語なので、PythonのスキルはAIのスキルに直結します。
28. G検定
G検定は日本ディープラーニング協会が主催する試験です。ディープラーニングに関する基礎的な知識、スキルが問われます。基礎的な内容なので難易度は低めです。合格率は6割を超えるくらいの難易度になります。
29. E資格
E資格はG検定同様に日本ディープラーニング協会が主催する試験です。G検定と比較すると難易度はやや高いですが、合格率は同様に6割を超えるくらいです。G検定の対象は幅広いですが、E資格の対象はエンジニアです。
Web分野への転職で役立つ資格試験・難易度
WebシステムやWebアプリケーションの設計・開発を行うITエンジニア向けの関連資格について、その概要や難易度などを解説します。
30. Ruby技術者認定試験
RubyはWeb開発を含む幅広い用途で使われる汎用性の高いプログラミング言語です。Webエンジニアを目指す場合、Rubyの学習が役立ちます。
Ruby技術者認定試験はRuby言語の普及・発展を目指す非営利団体である『Ruby Association』が主催しています。SilverとGoldの2つの等級があり、構文やライブラリの使用方法、オブジェクト指向プログラミングのスキルが問われます。
ITエンジニアが資格を取得するメリットと重要性
IT業界では「ITエンジニアの世界では資格はいらない」という意見もあります。実際に資格取得に意義を見出せないと考えている現役エンジニアも多数います。しかし、「実務を経験しているからこそ、資格を取得すべき」と考えるエンジニアもいます。
そこで、まずは資格取得の効果を整理していきましょう。
関連記事:IT技術者(ITエンジニア)に必要なスキルとは?
能力を客観的に証明でき転職先の幅が広がる
ITエンジニアが資格を取得する大きなメリットとして、スキルや知識を資格の認定団体によって証明できることがあります。スキルの保有は目に見えるものではなく、すぐに証明するのは難しいものです。認定団体により資格を認定されていることは、客観的に見て一定のスキルを保有することを簡単に証明できる方法となります。
企業からの報酬・評価に影響する場合がある
資格の保有は、所属企業以外の人間に対し、スキル・知識を証明する効果が見込めます。日本国内では企業によって業務の進め方が異なる場合が多いため、「自分の能力が、何を生み出し、どう役立つか」を説明することが難しいところがあります。資格は特定の分野における基礎的なスキル・知識を企業の垣根を超えて第三者機関が証明してくれるため、転職活動時のアピール材料として有用です。
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資格手当の対象を取得すれば年収が上がる
一部企業では資格に対し手当てが支給される制度をとっている場合があります。また、先述の通り企業内の成績評価においても、資格の取得は有効なアピールポイントです。成績評価において高く評価されれば、結果的に年収増にも繋がります。
一定のスキルと学習能力は評価対象となる
資格を取得することで、スキルや学習能力が評価されます。現職であっても評価につながり、年収アップや昇進につながる可能性があるでしょう。仮にこのような評価体制がなくても資格取得を通して自分自身の知識とスキルが高まるので、間接的に年収アップや昇進につながる可能性があります。
スキル向上やキャリア形成に役立つ
資格の取得と取得に向けた学習を行うことは、ITエンジニア自身のスキル向上およびキャリア形成においても役立ちます。
自分自身の知識とノウハウが体系化される
資格取得のための学習は、散逸しがちな知識・ノウハウを整理して体系化し、自分の中に根付かせる役割を持っています。また、知識・ノウハウの体系化により、さらに技術に対する理解が深まり、応用力の強化にもつながります。応用力は現場での対応力につながるため、資格取得への学習は自身の付加価値を向上させる絶好の機会となります。
ITエンジニアに関する資格の勉強方法
本稿で紹介してきたIT資格については、難易度が高いものが多く、合格には効率的な学習が必要となります。資格の取得につながる学習方法について紹介します。ただしどの方法でないと合格できないといった制約はありません。自分に合う方法で着実に勉強を進めれば、合格できるでしょう。
参考書や問題集などの本で試験対策をする
該当の試験向けの参考書や問題集があるかどうかを確認して、ある場合には活用しましょう。試験によっては過去の問題と重複する傾向の多いものもあり、合格に向けた効率的な学習として利用できます。電子書籍形式も存在する場合があるため、好みによって探してみてください。
オンラインセミナーや動画サービスを活用する
Web上のオンラインセミナーや動画による学習コンテンツを利用することも、学習の選択肢の一つです。オンラインセミナーや動画では、視覚的に情報を得ることができるため、理解を深めるのに役立ちます。各試験の運営元のサイトや外部のサービスにより、試験の過去問が配布されている場合もあるため、確認してみましょう。
転職実績があるITスクールで効率的に資格の勉強をする
資格試験をサポートし、転職実績があるITスクールを利用して資格のための学習をすることも選択肢の一つです。IT資格の問題の中には難易度が高く、テキストを読んでも理解できないような場合もありますが、ITスクールでは講師などに質問して解決できるため、学習のつまづきを防げます。
転職したい人が効率的にIT資格の勉強をするポイント
転職に向けてIT資格を勉強する際のポイントについて記載します。働きながら時間がない中で勉強しなければならない人が多いはずなので、特に時間の使い方が重要です。勉強はまとまった時間が取れるときに集中的にやるべきもの、という考え方だといつまでも勉強に着手できない可能性もあるでしょう。
通勤時間や休憩中などのスキマ時間を利用する
転職を検討している場合には、普段の業務を行いながら資格取得のための学習を行う必要があります。まとまった勉強時間をプライベートの時間の中で確保することは難しいため、スキマ時間を活用した学習を行うことが有効です。書籍やスマートフォン、タブレットなどを活用し、通勤、業務の休憩などを利用して学習の時間を確保しましょう。
会社の研修制度があれば活用する
所属している会社が研修制度を用意している場合には、活用しましょう。自身のスキルアップはひいては会社の利益につながるため、利用に関して遠慮する必要はありません。研修制度では学習内容や講師の手配なども会社側でしてくれるため、効率的な学習の場となります。
学習モチベーションを保つ3つの工夫
転職に向けた資格取得のための学習では、モチベーションの維持が課題となります。会社の同僚などには打ち明けづらく、一緒に学習する仲間がいないためモチベーションが維持しづらいといえます。下記の方法などを参考にし、学習へのモチベーションを維持しましょう。
SNSや交流会などで仲間を見つける
解決策の一つはSNSなどのコミュニティで仲間を探すことです。一緒に学習を進める仲間がいることは、モチベーションの維持に繋がります。他者と一緒に学習を行っていることで、張り合いや連帯感が生まれ、学習途中の挫折による脱落を防ぐことにつながります。
勉強場所を変える
仕事場や家とは環境を変えて学習することも学習モチベーションの維持に有効です。日常的なシーンと切り離すことで、学習の妨げを排除することにつながります。コワーキングスペースや長時間利用可能でWifiが完備されたカフェ、公共の学習スペースなどが選択肢となります。
適度に休憩を入れる
学習における集中力には限界があります。これは業務と同様で、集中力の低下はミスや誤りにもつながります。例えば、1時間の学習が続いたら5分休憩するといったルールを定めて取り組むとよいでしょう。
ITエンジニアが資格を取る際の注意点
転職に際して資格取得を検討しているITエンジニアは、本項で記載する点に注意することをおすすめします。資格取得の際には資格の勉強に集中してしまいがちですが、そもそもどの資格を取得するかの選定や、その資格を取得することでどのようなメリットがあるのかを考えることも重要です。取得対象の資格や取得メリットが明確になったら勉強に集中した方が良いですが、広い視点で考える必要があるという点では、学生時代の勉強とは違いがあるでしょう。
無作為ではなく将来のキャリアを描いて希望職種に合う資格を選ぶ
ITエンジニア向けの資格は非常に数が多く、それぞれの領域に特化しています。これらを無作為に取得することは非効率的です。また、ITエンジニア向けといっても分野が違う資格および知識は利用の機会がありません。さらには、転職活動時にもどの様な理由で資格を取得するに至ったかが説明できないでしょう。
資格を選択する際には、自分のキャリアパスを想定して、希望する職種に必要とされる資格を選択しましょう。せっかく様々なコストを払って資格を取得するのですから、自身に一番大きな恩恵が得られる選択をするべきです。
マイナーな資格や初級レベルはメリットが少ない
転職先が知らないようなマイナーな資格や、知名度はあっても初級レベルと捉えられてしまう資格では、取得のメリットが少ないということも認識しておきましょう。転職をターゲットとした資格の取得においては、マイナーな資格や初級レベルの資格では転職先へのアピールとして大きな効果が得られません。基礎知識を学習することを目的として資格の取得を利用する場合には問題ありません。
面接では資格をアピールするだけでなく取得理由も伝える
面接において資格の保有を示す場合には、保有していることだけでなく、取得に至った理由も伝えるようにしましょう。目的意識を持ち、計画的に資格を取得、自身のキャリア構成に役立てるという明確なビジョンを持っていることを伝えます。
ITエンジニアの資格に関するよくある質問
ITエンジニアの資格に関してよくある質問と回答をまとめています。ITエンジニアに関連する資格は複数あるので、どの資格を優先的に取得すべきか迷う場合も多いでしょう。そこで、ITエンジニアにおすすめの資格やおすすめの取得順について把握しておくと参考になるはずです。
Q1. ITエンジニア初心者におすすめの資格はありますか?
学習ハードルが低くなおかつ知名度の高い資格として「ITパスポート」や「MOS」があります。また、やや難易度があがるものの認知度の高い資格としては「基本情報技術者試験」がおすすめです。
ただし、本稿で記載している通り、ITエンジニアとしての転職において強いアピールとなるレベルの資格ではありません。次の資格取得への基礎固めのステップとして利用するとよいでしょう。
Q2. IT系資格を取る順番におすすめはありますか?
基本的には難易度の低いものから取得することとなります。スキルレベルと合致した資格から取得していきましょう。また、自分の目指すキャリアパスに必要となる資格というのも重要な視点です。
例えば、開発を行うエンジニアからプロジェクトマネジメントを行う立場を目指す場合には、「応用情報技術者試験」を取得してから「プロジェクトマネージャ試験」の取得という順序となります。難易度とキャリアパスの2つを組み合わせてご自分にあった取得順序を検討することをおすすめします。
まとめ
本記事では、ITエンジニアがスキルアップし、キャリアアップに役立てられる資格についてご紹介しました。ITエンジニア向けの資格は専門とする領域ごとに多くの種類があります。取得に関しては、ご自身のキャリアパスをしっかりと想定し、そこで必要となる資格・スキルを選定しましょう。
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