IT業界におけるキャリア・年収向上は、スキル・経験など「実力評価」によるケースが一般的です。そのため、「資格さえ取得すれば必ず年収があがる」とは言い難いのですが、実力評価の一環として重視される資格は存在します。
特に転職時は実務経験と資格を併せてアピールすることで、採用担当者に採用の根拠を形成する効果が見込めます。また、資格取得にはそれまで蓄積してきた知識・経験を体系的に整理・定着させる効果もあるため、継続的な成長の土台作りにも有効です。
本記事では、年収やキャリアアップを目指すITエンジニアがキャリア形成に向けて取得を検討すべき資格を分野別に紹介します。
- 1. IT系の資格の種類は大きく2種類
- 2. 分野別 - ITエンジニアおすすめの資格20選
- 3. 職種別 - ITエンジニアおすすめの資格
- 4. 「ITエンジニアの世界では資格はいらない」という説について
- 5. ITエンジニアが資格を取る際の注意点
- 6. 転職に役立つIT資格の勉強方法
- 7. 転職したい人が効率的にIT資格の勉強をするポイント
- 8. ITエンジニアの資格に関するよくある質問
- 9. まとめ
1. IT系の資格の種類は大きく2種類
IT系の資格は数多く存在します。大きく分けた場合の2種類と国家資格について説明します。
ベンダーニュートラルな資格
大きな分類の一つがベンダーニュートラルな資格です。特定のベンダーに依存せず、ITに関する一般的に普及している内容についてスキルや知識を示すことができます。ベンダーニュートラルな資格には国家資格や非営利団体、一般社団法人などによって運営、認定される資格が存在します。
国家資格
ベンダーニュートラルな資格の中でも、国によって認定される国家資格は最も裏付けの強い資格となります。転職時にも相手が認識している可能性が高く、アピールしやすいメリットがあります。日本国内のITに関する国家資格では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営し経済産業省の認定する情報処理技術者試験が著名です。
ベンダー資格
ハードウェア、OS、ソフトウェアなどの製品を提供している企業(ベンダー)が認定しているのがベンダー資格です。ベンダー資格はベンダーの提供する製品の仕様に沿った知識やスキルが問われ、製品に関してのスキルを示すことができます。一方で、製品を提供するベンダーに技術的に依存する形となるため、別のベンダーの製品を使っている現場では役に立たない場合もあります。
2. 分野別 - ITエンジニアおすすめの資格20選
ITエンジニアが転職前に取得すべきおすすめの資格を、網羅的に紹介していきます。ここで紹介する資格は主に「独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する国家資格の情報処理技術者試験」や「大手ベンダー・コミュニティが主催する資格」です。分野別に資格の概要、レベル感について記載するため、資格取得時の参考にしてみてください。
また多くの資格について、スキルレベルおよび難易度の基準として「ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ」を参照しています。
参考:特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格の関係(ISV Map Ver11r3)」
※資格種類については、ベンダーニュートラルな国家資格は「国家資格」、ベンダーニュートラルな非国家資格は「VN資格」、ベンダー資格を「ベンダー資格」と表記しています。
資格試験名 | 資格種類※ | 分野 | 難易度 |
---|---|---|---|
応用情報技術者試験 | 資格種類※国家資格 | 分野開発者 | 難易度ITSSレベル3 ITエンジニア歴3年~ |
システムアーキテクト試験 | 資格種類※国家資格 | 開発者 | ITSSレベル4 |
ITサービスマネージャ試験 | 資格種類※国家資格 | 運用・保守 | ITSSレベル4 |
ITIL® 認定資格 | VN資格 | 運用・保守 | ITSSレベル1~ |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | 国家資格 | 組み込み | ITSSレベル4 |
ネットワークスペシャリスト試験 | 国家資格 | ネットワーク | ITSSレベル4 |
CCNA | ベンダー資格 | ネットワーク | ITSSレベル2 シスコ歴1年 |
CCNP Enterprise | ベンダー資格 | ネットワーク | ITSSレベル3 |
データベーススペシャリスト試験 | 国家資格 | データベース | ITSSレベル4 |
ORACLE MASTER Gold DBA | ベンダー資格 | データベース | ITSSレベル3 データベース管理者 |
ITストラテジスト試験 | 国家資格 | PM、ITコンサル | ITSSレベル4 |
プロジェクトマネージャ試験 | 国家資格 | PM、ITコンサル |
ITSSレベル4 実務10 |
PMP | VN資格 | PM、ITコンサル | ITSSレベル3 最短3年で4500時間の実務歴 |
システム監査技術者試験 | 国家資格 | セキュリティ | ITSSレベル4 |
情報処理安全確保支援士試験 | 国家資格 | セキュリティ | ITSSレベル4 |
CISSP | VN資格 | セキュリティ | 英国のマスター・修士号の学位基準 |
AWS認定資格 | ベンダー資格 | クラウド | AWSを利用した実務歴 基礎:6カ月 アソシエイト:1年 プロフェッショナル:3年 |
Google Cloud認定資格 | ベンダー資格 | クラウド | Google Cloudを利用した実務歴 基礎:無し アソシエイト:6カ月 プロフェッショナル:3年 |
Microsoft認定資格(Azure) | ベンダー資格 | クラウド | 初期、中級、上級のレベルで複数の試験が存在する。 未経験からプロフェッショナル向けまで。 |
開発関連の資格試験・難易度
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つで、基本情報技術者の上位資格にあたります。経験3~7年程度のITエンジニアが対象の試験です。ソフトウェア開発・ネットワーク構築・DB構築など、情報システムの開発全般に関する知識や、運用面の知識が試験範囲となります。難易度はITSSレベル3相当でミドルレベルにマッピングされています。試験は午前と午後に分かれており、特に午後試験は、記述問題が出題されるため、スクールや教材を活用した勉強がおすすめです。
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の内、高度な知識・技能を示す試験の一つです。「システム開発の上流工程を主導する立場で、豊富な業務知識に基づいて的確な分析を行い、業務ニーズに適した情報システムのグランドデザインを設計し完成に導く、上級エンジニア」向けの資格となります。IT戦略に基づいて情報システム、組み込みシステム、IoTシステムの要件定義を行い、アーキテクチャを設計するエンジニアが対象とされます。ITSSレベル4にマッピングされており、難易度も高い試験です。
運用・保守業務従事者に適した資格試験・難易度
運用・保守業務向けの資格は、実用性の高いものが多い傾向にあります。特にITILは運用・保守業務のスタンダードとして広く認知されているため、ぜひ取得を検討してみてください。
ITサービスマネージャ試験
ITサービスマネージャ試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の内、高度な知識・技能を示す試験の一つです。対象者像は「高度IT人材として確立した専門分野をもち、サービスの要求事項を満たし、サービスの計画立案、設計、移行、提供及び改善のための組織の活動及び資源を、指揮し、管理する者」とされており、サービスの運用・保守の管理者としての高いスキルを示すことができる資格です。ITSSレベル4にあたります。
ITIL® 4認定資格
ITIL®とは、IT対応サービスを管理・運用するためのベストプラクティスを体系化したフレームワークがまとめられた書籍のことを指します。2022年3月現在の最新バージョンは3となっており、ITサービスマネジメントに関するスキルを証明するためのITIL®認定資格が階層型で存在しています。
まずは初級レベルとされる「ITIL® Foundation」の認定を受ける必要がありますが、ITSSレベル1に相当するとされており、難易度としては低い部類に入ります。ITIL® Foundationの認定を受けると、中級相当である
・ITIL®スペシャリスト「作成・提供・サポート(Create, Deliver and Support)」(略称CDS)
・ITIL®スペシャリスト「利害関係者の価値を主導(Drive Stakeholder Value)」(略称DSV)
・ITIL®スペシャリスト「ハイベロシティIT(High Velocity IT)」(略称HVIT)
・ITIL®ストラテジスト「指示・計画・改善(Direct, Plan, Improve)」(略称DPI)
の4つのモジュールについて認定試験を受けることができるようになります。(「ITIL®マスター」などさらに上級相当の認定資格もあります)
組み込みエンジニア向けの資格試験・難易度
家電や車載器、設備などに搭載される小型のコンピュータ向けのプログラムを作成する組み込みエンジニアに向けた資格です。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の内、高度な知識・技能を示す試験の一つです。IoTを含む組み込みシステムの開発スペシャリストとしてのスキルと知識が問われます。ITSSレベル4にマッピングされており、専門家としての高いスキルが示せる資格です。
ネットワークエンジニア向けの資格試験・難易度
ネットワークエンジニア向けの資格は、情報処理技術者試験のネットワークスペシャリスト試験と大手ITベンダーであるCisco社のベンダー資格が知名度の高い試験です。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の内、高度な知識・技能を示す試験の一つです。ネットワークの専門家として大規模で堅牢なネットワークを構築するためのスキルと知識が問われます。ITSSではレベル4に該当します。セキュリティも含んだネットワーク技術に関して、要件定義から設計、構築、運用・保守に至る幅広い工程が試験対象範囲です。午前と午後に分かれており、午後には記述式の問題もあります。
CCNA
CCNAは世界最大手のネットワーク・スイッチ機器ベンダー「Cisco」社が主催する、インフラ・ネットワークエンジニア向けの資格です。Ciscoの認定資格の中では5段階の下から2番目の資格であり、シスコ製品のみならず、ネットワークの基礎知識も求められます。ITベンダーが主催するアソシエイトレベルの資格の中では難易度が高めで、ITSSレベル2に相当しています。1年以上のシスコソリューションの実装および管理経験が前提条件となっています。
CCNP Enterprise
CCNP EnterpriseはCCNAの上位資格です。5段階の上から2番目の資格で、ITSSではレベル3に相当します。認定資格取得にはコア試験とコンセントレーション試験の2種類に合格する必要があります。コア試験はコアエンタープライズ技術、コンセントレーション試験は選択式で専門の技術分野が試験範囲となります。
データベースエンジニア向けの資格試験・難易度
データベースエンジニア向けの資格は、情報処理技術者試験のデータベーススペシャリスト試験と、Oracleデータベースを提供する「オラクル社の認定資格」が知名度の高い資格です。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つで、DBエンジニア向けの高難易度試験です。難易度はITSSレベル4に該当します。午前、午後で計4部構成となっており、午後には記述式の問題もあります。データ分析基盤を構築するエンジニアは、ビッグデータやデータサイエンス領域での需要が高まっている分野です。
ORACLE MASTER Gold DBA
ORACLE MASTER Gold DBAはオラクル社の提供するOracleDatabeseを用いたデータベースの構築・運用・チューニングについての知識が問われる資格です。Oracleはエンタープライズ向けのデータベース製品として高いシェアを持ち、Gold DBAの取得までには下位資格(ブロンズ、シルバー)の取得と認定コースの受講が必要となります。ITSSレベル3に相当します。
2019年よりORACLE MASTER 2019資格が新資格体系として開始しており、2022年3月24日時点ではさらに上位のPlutinum DBAについては詳細未定とされています。
PM、コンサル志向のエンジニア向けの資格試験・難易度
PM、コンサル志向の資格では情報処理技術者試験のITストラテジスト試験、プロジェクトマネージャ試験、ITサービスマネージャ試験およびPMIの認定するPMPが広く認知されています。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つです。情報処理技術者試験の中でも、IPAの公開する統計情報から合格率が非常に低いことが読み取れ、最も難しい試験ともいわれます。ITSSではレベル4に相当します。午後試験には論文試験があり、合格には対策が必要とされます。経営戦略からIT戦略を導きだし、ビジネスを成功に導くCIO、CTO、ITコンサルタントなどを対象とした試験です。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つで、システム開発プロジェクトの現場の最高責任者となるプロジェクトマネージャ向けの高難易度資格です。ITSSではレベル4に該当します。ITエンジニアの中でも、10年程度の従事経験を持つエキスパートが前提とされており、プロジェクト化の構想から、プロジェクト推進のための知識、プロジェクトマネジメントスキルなどが問われます。
PMP
PMPは世界最大のプロジェクトマネジメント協会であるPMI(Project Management Institute)により認定されるプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。プロジェクトマネジメントのデファクトスタンダードとしてIT業界内外から認知されています。ITSSではレベル3にマッピングされていますが、最短3年で4500時間以上のプロジェクト経験が前提条件となる実務経験も問われる試験です。
セキュリティ分野への転職を目指すエンジニア向けの資格試験・難易度
セキュリティ関連の資格は、情報処理技術者試験のシステム監査技術者試験、情報処理安全確保支援士試験の知名度が高いです。ただし、CISSPのように国際的な資格も注目されており、どちらを取得すべきであるかはケースバイケースとなります。
システム監査技術者試験
システム監査技術者試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つで、セキュリティ担当者・システム管理者向けの高難易度資格です。IoTの普及に伴い、組み込み関連システムの監査で需要が高まっています。他のITSSレベル4資格と同様に論文試験があり、難易度が高い試験です。
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験はIPAの主催する情報処理技術者試験の一つで、セキュリティ担当者向けの高難易度資格です。国内のサイバーセキュリティ人材向け試験としては最高峰に位置します。また、合格者は「登録セキスぺ」として一般公開される名簿に氏名を登録することができます。日本国内のIT系資格では初の「士業」です。ITSSではレベル4に相当します。論文試験はありません。
CISSP
CISSP(Certified Information Systems Security Professional)は(ISC)²により認定の行われている情報セキュリティ・プロフェッショナル認定資格です。
世界最大のITセキュリティ組織といわれる(ISC)² (International Information Systems Security Certification Consortium)は、サイバーセキュリティの専門家向けのトレーニングと認定を専門とする非営利団体です。セキュリティ分野におけるグローバルレベルの共通知識、ベストプラクティスを網羅したものを(ISC)² CBKとしてまとめており、CISSPはこれをベースとした試験です。
2022年3月24日時点では日本語と英語の併記による受験が可能とされています。また、試験時間は6時間で250問の4択式の問題の7割正答が合格ラインとされています。
試験内容は公表されておらず、出題の対象範囲が広いこと、日本語の資料が少ないこと、実務レベルの問題が出題されることなどから難易度は高いとされています。
参考として、(ISC)² の公式ブログによると「英国のマスター・修士号の学位基準」と独立系ベンチマーク機関に承認されたことを発表しています。
クラウド分野への転職で役立つ資格試験・難易度
インフラ分野をはじめとして欠かせない技術となったクラウドに関しては、クラウドベンダーによる認定資格試験が提供されています。転職時に利用する場合には、転職先環境にあわせた資格を受験することをおすすめします。
AWS認定資格
AWS認定試験はAmazonの提供するクラウドプラットフォームAWS(Amazon Web Services)に関する認定資格です。AWS認定は基礎、アソシエイト、プロフェッショナルの3つのコースと専門分野の知識に関する認定があります。各コースはそれぞれ6か月、1年、3年のAWSの使用と関連知識に値する経験が目安となります。
Google Cloud認定資格
Googleのクラウドサービスに関する認定資格としてGoogle Cloud認定資格があります。基礎、アソシエイト、プロフェッショナルの3段階が提供されています。それぞれ、未経験、6か月以上の実務経験、3年以上の実務経験が目安となる難易度です。
Microsoft認定資格
Microsoft認定資格プログラムはMicrosoft社の提供する各種のソフトウェアやサービスに関するスキル・知識を認定する資格です。その中でもMicrosoft社の提供するクラウドプラットフォームAzureに関する試験が存在しており、クラウド関連のスキルを示すのに有効な資格です。Fundamental、Associate、Expertの三つのレベルがあり、スキルのレベルに合わせてターゲットとする試験を選択可能です。
まとめ - ITエンジニアおすすめ資格一覧
本項ではITエンジニアに向けてのおすすめ資格を紹介しました。目指すキャリアパスと難易度を考慮して資格取得に挑みましょう。
参考:特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格の関係(ISV Map Ver11r3)」
※資格種類については、ベンダーニュートラルな国家資格は「国家資格」、ベンダーニュートラルな非国家資格は「VN資格」、ベンダー資格を「ベンダー資格」と表記しています。
資格試験名 | 資格種類※ | 分野 | 難易度 |
---|---|---|---|
応用情報技術者試験 | 資格種類※国家資格 | 分野開発者 | 難易度ITSSレベル3 ITエンジニア歴3年~ |
システムアーキテクト試験 | 資格種類※国家資格 | 開発者 | ITSSレベル4 |
ITサービスマネージャ試験 | 資格種類※国家資格 | 運用・保守 | ITSSレベル4 |
ITIL® 認定資格 | VN資格 | 運用・保守 | ITSSレベル1~ |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | 国家資格 | 組み込み | ITSSレベル4 |
ネットワークスペシャリスト試験 | 国家資格 | ネットワーク | ITSSレベル4 |
CCNA | ベンダー資格 | ネットワーク | ITSSレベル2 シスコ歴1年 |
CCNP Enterprise | ベンダー資格 | ネットワーク | ITSSレベル3 |
データベーススペシャリスト試験 | 国家資格 | データベース | ITSSレベル4 |
ORACLE MASTER Gold DBA | ベンダー資格 | データベース | ITSSレベル3 データベース管理者 |
ITストラテジスト試験 | 国家資格 | PM、ITコンサル | ITSSレベル4 |
プロジェクトマネージャ試験 | 国家資格 | PM、ITコンサル |
ITSSレベル4 実務10 |
PMP | VN資格 | PM、ITコンサル | ITSSレベル3 最短3年で4500時間の実務歴 |
システム監査技術者試験 | 国家資格 | セキュリティ | ITSSレベル4 |
情報処理安全確保支援士試験 | 国家資格 | セキュリティ | ITSSレベル4 |
CISSP | VN資格 | セキュリティ | 英国のマスター・修士号の学位基準 |
AWS認定資格 | ベンダー資格 | クラウド | AWSを利用した実務歴 基礎:6カ月 アソシエイト:1年 プロフェッショナル:3年 |
Google Cloud認定資格 | ベンダー資格 | クラウド | Google Cloudを利用した実務歴 基礎:無し アソシエイト:6カ月 プロフェッショナル:3年 |
Microsoft認定資格(Azure) | ベンダー資格 | クラウド | 初期、中級、上級のレベルで複数の試験が存在する。 未経験からプロフェッショナル向けまで。 |
3. 職種別 - ITエンジニアおすすめの資格
本記事ではITエンジニア向けの資格について紹介していますが、職種によって有効な資格は変わってきます。前項であげた資格より、SEとインフラエンジニアにおすすめのものをピックアップしています。
SE(システムエンジニア)
SEの中でもアプリケーション開発をメインとする場合には、下記の資格がスキルアップに繋がります。
-
・応用情報技術者試験
・システムアーキテクト試験
運用保守をメインとするSEの場合には、ITILを取得することによりサービス管理に関する理解を深めることが可能です。
-
・ITIL® 4 Managing Professional
・ITIL® Strategic Leader
また、SEがキャリア向上を図る場合には、マネジメントスキルの習得が必要となります。下記の試験に向けた学習によりマネジメントスキルを習得し、示すことが可能です。
-
・プロジェクトマネージャ試験
・PMP
関連記事:システムエンジニアに役立つ資格13選|取得メリットも解説
インフラエンジニア
インフラエンジニアの場合には、専門領域にあった資格の取得が有用です。どこでも通用するスキルが必要な場合には、ベンダーニュートラルな資格を取得するとよいでしょう。
-
・ネットワークスペシャリスト試験
・データベーススペシャリスト試験
また、現場で利用する技術が定まっている場合には、ベンダー資格を取得することでより深い知識を示すことができます。
-
・ORACLE MASTER Gold
・AWS認定資格
・Google Cloud認定資格
・Microsoft認定資格(Azure)
インフラエンジニアもキャリアアップを図る際には、マネジメントスキルが必要となります。SEと同様に下記の資格の習得で体系的な知識と対外的な証明を得ることができます。
-
・プロジェクトマネージャ試験
・PMP
関連記事:インフラエンジニアに役立つ資格9選
4. 「ITエンジニアの世界では資格はいらない」という説について
実際に資格取得に意義を見出せないと考えている現役エンジニアも多数います。しかし、「実務を経験しているからこそ、資格を取得すべき」と考えるエンジニアもいます。そこで、まずは資格取得の効果を整理していきましょう。
IT業界では基本的に資格よりも実力が重視される
確かに、ITエンジニアの保有するスキルは資格だけでは測れません。資格試験対策が上手なだけで、取得したスキルが実務に活かせないのであれば、実務上はあまり意味がありません。
一方で目的を持って学習し、資格取得というマイルストーンを設定して取り組めていることは評価の対象の一つとすることができます。スキルを重要視し、そのために資格取得に関わる学習を行っていることが伝えられれば、ポジティブな評価に繋がります。
資格が絶対に必要な職種はほとんどない
ITエンジニアの仕事では基本的に免許制度が取られていることはありません(電気工事等を伴う作業を除く)。このため、一般的に資格が必須な職種ではありません。
企業によっては特定の職種になるのに資格の取得を義務付けているケースもあります。
ITエンジニアが転職前に資格を取得するメリット
ITエンジニアとして数年の経験を積むと、実務で必要な知識が徐々に蓄積されていきます。しかし、忙しい現役エンジニアほど、こうした知識をその場限りの知見として放置してしまいがちです。現役ITエンジニアが資格を取得するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
資格手当など今の職場で年収が上がる可能性がある
一部企業では資格に対し手当てが支給される制度をとっている場合があります。
自分自身の知識とノウハウが体系化される
資格取得のための学習は、散逸しがちな知識・ノウハウを整理して体系化し、自分の中に根付かせる役割を持っています。また、知識・ノウハウの体系化により、さらに技術に対する理解が深まり、応用力の強化にもつながります。応用力は現場での対応力につながるため、資格取得への学習は自身の付加価値を向上させる絶好の機会とすることができます。
対外的なスキル証明になり転職先の幅が広がる
資格の保有は、所属企業以外の人間に対し、スキル・知識を証明する効果が見込めます。日本国内では企業によって業務の進め方が異なる場合が多いため、「自分の能力が、何を生み出し、どう役立つか」を説明することが難しいのです。資格は特定の分野における基礎的なスキル・知識を証明するため、転職活動時のアピール材料として有用です。
特に未経験の分野・職種への転職には資格取得がおすすめ
ITに関連する資格の取得は、特に未経験の分野・職種への転職を目指す場合におすすめできます。
ITエンジニアは未経験の分野・職種への転職においても、スキルの保有が問われるケースが多くあります。しかし、未経験では業務経歴書などからそのスキルは判断しようがありません。企業としても人材のアンマッチは避けたいと考えています。
そんな場合に特に役立つのが資格の保有です。未経験でも該当の分野に対して一定のスキルと学習した実績が第三者から証明されるため、スキルアンマッチのリスクが抑えられ転職者を雇いやすくなります。
5. ITエンジニアが資格を取る際の注意点
転職に際して資格取得を検討しているITエンジニアは、本項で記載する点に注意することをおすすめします。
無作為に資格を取りまくるのは非推奨
ITエンジニア向けの資格は非常に数が多く、それぞれの領域に特化しています。これらを無作為に取得することは非効率的です。また、ITエンジニア向けといっても分野が違う資格および知識は利用の機会がありません。
マイナーな資格や初級レベルはメリットが少ない
転職先が知らないようなマイナーな資格や、知名度はあっても初級レベルと捉えられてしまう資格では、取得のメリットが少ないということも認識しておきましょう。転職をターゲットとした資格の取得においては、マイナーな資格や初級レベルの資格では転職先へのアピールとして大きな効果が得られません。基礎知識を学習することを目的として資格の取得を利用する場合には問題ありません。
面接では資格をアピールするだけでなく取得理由も伝える
面接において資格の保有を示す場合には、保有していることだけでなく、取得に至った理由も伝えるようにしましょう。目的意識を持ち、計画的に資格を取得、自身のキャリア構成に役立てるという明確なビジョンを持っていることを伝えます。
まずは将来のキャリアを思い描き、希望職種に合った資格を選ぶ
資格を選択する際には、自分のキャリアパスを想定して、希望する職種に必要とされる資格を選択しましょう。せっかく様々なコストを払って資格を取得するのですから、自身に一番大きな恩恵が得られる選択をするべきです。
6. 転職に役立つIT資格の勉強方法
本稿で紹介してきたIT資格については、難易度が高いものが多く、合格には効率的な学習が必要となります。資格の取得につながる学習方法について紹介します。
参考書や問題集などの本で試験対策をする
該当の試験向けの参考書や問題集があるかどうかを確認して、ある場合にはこれを活用しましょう。試験によっては過去の問題と重複する傾向の多いものもあり、合格に向けた効率的な学習として利用できます。電子書籍形式も存在する場合があるため、好みによって探してみてください。
休日を活用しハンズオン学習を行う
ITに関する学習、特に特定ソフトウェアやプログラミングに関するものでは、手を動かして学習するのが一番の学習方法となります。環境の構築を伴うことが多いため、休日などのまとまった時間を利用して学習すると効率的です。AWSなどではハンズオンのコースが無料で提供されている場合もあるため、積極的に利用しましょう。
転職実績があるITスクールで効率的に資格の勉強をする
資格試験をサポートし、転職実績があるITスクールを利用した資格のための学習も選択肢の一つです。IT資格の問題の中には難易度が高く、テキストを読んでも理解できないような場合もありますが、ITスクールでは講師などに質問して解決できるため、学習のつまづきを防げます。
オンラインセミナーや動画サービスを活用する
Web上のオンラインセミナーや動画による学習コンテンツを利用することも、学習の選択肢の一つです。オンラインセミナーや動画では、視覚的に情報を得ることができるため、理解を深めるのに役立ちます。
7. 転職したい人が効率的にIT資格の勉強をするポイント
転職に向けてIT資格を勉強する際のポイントについて記載します。
通勤時間や休憩中などのスキマ時間を利用する
転職を検討している場合には、普段の業務を行いながら資格取得のための学習を行う必要があります。まとまった勉強時間をプライベートの時間の中で確保することは難しいため、スキマ時間を活用した学習を行うことが有効です。書籍やスマートフォン、タブレットなどを活用し、通勤、業務の休憩などを利用して学習の時間を確保しましょう。
会社の研修制度があれば活用する
所属している会社が研修制度を用意している場合には、活用しましょう。自身のスキルアップはひいては会社の利益につながるため、利用に関して遠慮する必要はありません。研修制度では学習内容や講師の手配なども会社側でしてくれるため、効率的な学習の場となります。
学習モチベーションを保つ3つの工夫
転職に向けた資格取得のための学習では、モチベーションの維持が課題となります。会社の同僚などには打ち明けづらく、一緒に学習する仲間がいないことも多いです。
SNSで仲間を見つける
解決策の一つはSNSなどのコミュニティで仲間を探すことです。一緒に学習を進める仲間がいることは、モチベーションの維持に繋がります。他者と一緒に学習を行っていることで、張り合いや連帯感が生まれ、学習途中の挫折による脱落を防ぐことにつながります。
勉強場所を変える
仕事場や家とは環境を変えて学習することも学習モチベーションの維持に有効です。日常的なシーンと切り離すことで、学習の妨げを排除することにつながります。コワーキングスペースや長時間利用可能でWifiが完備されたカフェ、公共の学習スペースなどが選択肢となります。
適度に休憩を入れる
学習における集中力には限界があります。これは業務と同様で、集中力の低下はミスや誤りにもつながります。例えば1時間の学習が続いたら5分休憩するといったルールを定めて取り組むとよいです。
8. ITエンジニアの資格に関するよくある質問
ITエンジニアの資格に関してよくある質問と回答をまとめています。
Q1. IT初心者におすすめの資格はありますか?
学習ハードルが低くなおかつ知名度の高い資格として「ITパスポート」や「MOS」があります。また、やや難易度があがるものの認知度の高い資格としては「基本情報技術者試験」がおすすめです。
ただし、本稿で記載している通り、ITエンジニアとしての転職において強いアピールとなるレベルの資格ではありません。次の資格取得への基礎固めのステップとして利用するとよいでしょう。
Q2. IT系資格を取る順番におすすめはありますか?
基本的には難易度の低いものから取得することとなります。スキルレベルと合致した資格から取得していきましょう。
また、自分の目指すキャリアパスに必要となる資格というのも重要な視点です。例えば、開発を行うエンジニアからプロジェクトマネジメントを行う立場を目指す場合には、「応用情報技術者試験」を取得してから「プロジェクトマネージャ試験」の取得という順序となります。この2つを組み合わせてご自分にあった取得順序を検討することをおすすめします。
9. まとめ
ITエンジニアがスキルアップ、キャリアアップを図ることのできる資格についてご紹介しました。ITエンジニア向けの資格は専門とする領域ごとに多くの種類があります。取得に関しては、ご自身のキャリアパスをしっかりと想定し、そこで必要となる資格・スキルを選定しましょう。
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