組み込みエンジニアとは?仕事内容や年収、資格、将来性などを解説

最終更新日:2024年4月19日

組み込みエンジニアとは、車載器や家電内のマイクロコンピュータ、工場設備やロボットなどに向けて、ソフトウェアを機器に組み込んで正常に作動させるITエンジニアのことを指します。組み込み分野のソフトウェアには、限られたリソースの中で高速に動作し、不具合のないことが求められるため、ソフトウェアとハードウェアに関する知見や開発スキルが問われるエンジニア職種です。

本記事では、組み込みエンジニアをキャリアパスの選択肢として検討するエンジニアに向けて、仕事内容や求められるスキル、役立つ資格、年収事情、需要、人材不足の現状などを紹介します。組み込みエンジニアについての知識を深め、参考にお役立てください。

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この記事のまとめ

  • 組み込みエンジニアは車載器や家電、工業ロボットなどに搭載する組み込みシステム/ソフトウェアを開発するエンジニア職種
  • 主な仕事内容は、組み込みシステムの要件定義、設計や開発、テストなどの一連の工程
  • IoTや自動運転などの分野において需要が増えることが予想されており、組み込みエンジニアの将来性は高い

組み込みエンジニアとは?

組み込みエンジニアとは、車載器や家電、工業用ロボットなどを制御する組み込みシステム・アプリケーションを開発するエンジニア職種です。ハードウェアとソフトウェアの両分野にわたる知識やスキルが求められますが、IoTや自動運転技術などの分野で注目を集めており、将来性の高い仕事です。

組み込みエンジニアとシステムエンジニアとの違い

組み込みエンジニアは、組み込みシステムやデバイスの開発に特化しており、マイクロコントローラやマイクロプロセッサなどのハードウェアに直接組み込まれるソフトウェアの開発に従事します。

組み込み開発の典型的な例は、エアコンやテレビ、洗濯機などの家電製品の制御です。エアコンの場合、例えば設定された室温を保つために、センサーが温度の上昇を感知すると冷却能力を高めて温度を一定に調整します。また、リモコンからの指示を受け取り、エアコンのオン/オフや温度設定なども組み込まれた小型コンピュータによって制御されます。

一方、システムエンジニアは、ソフトウェアシステム全体の設計と開発に携わります。組み込みエンジニアと違い、開発対象のソフトウェアに特定の専門分野を持たないことが多いです。特にSIerの場合には、顧客の要求に答えることが目的のため、技術的な選択は顧客の要望に答えるために最適という点が観点となります。

ソフトウェアのアーキテクチャやコンポーネントの選定、ネットワーキング、データベース設計など、システム全体の要素を考慮します。システムエンジニアは、ソフトウェア開発ライフサイクル全体にわたるプロセスに関与し、要件定義、設計、テスト、デプロイメントなどを担当します。

組み込みエンジニアの仕事内容

組み込みエンジニアの仕事内容は、組み込みシステムの設計や開発、テストなどの一連の工程であり、全体の流れはほかのシステムエンジニアの仕事とそれほど変わりません。

しかしハードウェアの制御を目的としたソフトウェアの開発であるため、CPUやOS、メモリの制御や、ハードウェアの回路図の設計、ドライバの設計など特有の知識と技術が求められます。

要件定義

要件定義は、システムや製品に必要な機能や性能、制約条件を明確にし、開発の指針を定める作業です。顧客の要望や仕様書をヒアリングし、設計書やプログラム仕様書などのドキュメントを作成することが多いです。

また、要件の洗い出しや設計の改善提案なども行います。要件定義がしっかりできていないと、開発が進んでも顧客のニーズに合わせた製品ができず、無駄なコストがかかってしまうため、組み込みエンジニアにとって非常に重要な仕事のひとつです。

ハードウェア・ソフトウェアの設計

組み込みエンジニアにとって、機能や性能に応じたハードウェアとソフトウェアの設計も重要な仕事です。

ハードウェアの設計では、必要な部品や回路を選定し、回路図や基板設計を行い、動作確認を行います。ソフトウェアの設計では、システムやアプリケーションの要件を定義し、アルゴリズムや制御システムを設計してプログラムを作成します。

また、ハードウェアとソフトウェアを密接に連携させることが求められる場合もあります。このように、組み込みエンジニアはハードウェアとソフトウェアの設計に精通し、高度な技術力を持っていることが求められます。

開発(プログラミング)

組み込みエンジニアの仕事内容には、マイコンやマイコン周辺のハードウェアに組み込まれるソフトウェアの開発が含まれています。ソフトウェアの開発とは、プログラミング言語を用いてプログラムを作成することです。

プログラミング言語としては、C言語やアセンブリ言語がよく使われます。開発対象となるシステムに応じて、低レイヤーのハードウェア制御から高度な制御処理や通信処理まで、多様なレベルのプログラミング技術が必要です。

また、組み込みシステムのための開発環境やデバッグツールにも精通する必要があります。

テスト

テストは、設計やプログラミングにおいて発生した問題点を特定するために重要な作業です。単体テストや結合テスト、システムテスト、受け入れテストなどがあり、それぞれ異なる目的を持っています。

組み込みエンジニアが行う単体テストは、個々のコンポーネントが期待通りに機能するかを確認するテストであり、結合テストは、複数のコンポーネントが協調して動作するかを確認するテストです。

単体テストは主に自動化され、コードが想定通りに機能していることを迅速に確認できます。一方、結合テストは手動または自動化されることがあり、システム全体の相互作用を確認するために必要です。

結合テストは、複数のコンポーネントの間でデータの受け渡しがうまくいくか、さまざまな部分が適切に動作しているかなど、システムの問題を特定するのに役立ちます。

テストは自動化することで作業効率を上げることができます。また、テスト結果に基づいて問題点を修正し、製品やシステムの品質を向上させることもテストの重要な目的です。

組み込みエンジニアがきつい/やめとけと言われる理由

組み込みエンジニアがきついと言われる理由は、高い技術力が要求されることや、製品開発サイクルの長さ、細かい仕様の詳細な確認や変更に対応する必要があること、そしてデバッグが難しく時間がかかることなどが挙げられます。

組み込みシステムの開発にはハードウェアとソフトウェアの両方に詳しい知識が必要とされ、組み合わせが複雑になることもストレスの原因になります。

さらに、組み込みシステムが搭載される製品には、高い品質が要求されることが多いため、エラーの許容範囲が少なく、テストのための詳細な設計や実装が必要とされます。

これらの事情が、さらにプロジェクトの進捗管理を難しくし、納期を厳しく感じることにも繋がるでしょう。

加えて、組み込みシステムはそれぞれの組み込み先により動作環境が異なり、デバッグが困難な場合もあります。このことを原因として、エラーを見つけ出すのに時間がかかり、ストレスに感じるポイントにあげるエンジニアも少なくありません。

これらの難しい、きついといわれる理由をカバーして業務を行うため、組み込みエンジニアの仕事では綿密な計画と設計のもと、着実な作業と忍耐力が求められます。しかしながら、これは技術者として高いレベルの仕事を求められ、その成果が製品に反映されることも意味しており、やりがいに感じるエンジニアが多いポイントでもあります。

また、昨今の国内の人材不足、特にIT業界の人材不足は組み込みエンジニアの現場でも起きている問題です。組み込みエンジニアは幅広い経験と知識が求められることから人材育成に時間がかかりがちで、人手不足が加速して勤務時間が長くなるというケースもあります。

組み込みエンジニア特有の難しさ

組み込みエンジニアは、ハードウェアとソフトウェアの特徴を踏まえて開発をする必要のある専門性の高い職種です。以下では、その特有の難しさについて、より詳しく解説します。

関連記事:組み込みエンジニアは難しい?なぜ人材不足なのか

知識やスキルの習得難易度が高い

組み込みエンジニアは、一般的なIT業界のエンジニアとは異なる特別な知識とスキルを求められます。たとえば、「RTOS(リアルタイムオペレーティングシステム。リアルタイムタスク処理に特化したOS)を操作するスキル」と「電子回路に関する知識」などが挙げられます。

組み込みエンジニアの多くは、対象となるハードウェアの回路図を参考にしながら仕様を理解し、ソフトウェアの仕様を確定させます。しかしながら、必ずしもハードウェアの仕様書や設計書が完全に備わっているわけではありません。

設計書や仕様書の不足を補完しながら開発を進めるためには、電子回路などのハードウェアに関する知識が不可欠です。ハードウェアの理解には、科学技術系の背景や基礎知識が重要であり、これが参入のハードルを高めている要因と言えます。

ハードの制限が厳しい中で機能を実現しなければならない

もう1つの難しさは、厳しいハードウェアの制限の中で機能を実現しなければならないことです。組み込みシステムは、リソースが限られており、メモリやプロセッサの処理能力などに制約があります。

この制約の中で、要求された機能を実現するためには、効率的で最適化されたコードの開発が求められます。リアルタイム性や低消費電力などの要件も考慮しながら、最小限のリソースで最大の性能を引き出す必要があります。

また、ハードウェアの制約に合わせて、ハードウェアとのインタフェースを設計する必要もあります。センサーやアクチュエータとの連携、通信プロトコルの選定など、ハードウェアとのシームレスな統合を実現するための工夫が必要です。

さらに、組み込みシステムにおいて、外部の環境変化や異常な状況への対応、信頼性や安全性の確保も重要な要素です。予測不能な事態に対処し、堅牢な動作を確保するためには、詳細なテストとデバッグが欠かせません。

組み込みエンジニアは、これらの難しさに直面しながら、限られたリソースと制約の中で優れた技術と創造力を駆使し、高度なシステムを実現しています。

組み込みエンジニアの年収

組み込みエンジニアの年収は、経験年数やスキル、勤務地、企業規模などによって異なります。

一般的に、新卒の場合は350万円〜500万円程度、3年目で500万円〜700万円程度、10年目で700万円〜1000万円程度、さらに経験を積むと1000万円以上というレベルの年収を得ることも可能です。

ただし、業界によっても異なりますので、詳しい情報は就職サイトや業界情報誌、求人情報などを参考にすることをおすすめします。また、勤務条件によっては、年収以外にもボーナスや福利厚生が充実している企業もあります。

具体的な年収を知るため、2024年3月14日時点でレバテックキャリアの公開中の組込・制御エンジニアの求人・転職情報から30件を抽出し想定される年収を算出してみました。年収の最小値と最大値の中間値の平均から、組み込みエンジニアの平均年収は607万円と試算することができます。


組込・制御エンジニアの求人・転職情報>

関連記事:組み込みエンジニアの年収は?求人例や年収を上げる方法も解説

組み込みエンジニアの求人例

レバテックキャリアに公開されている募集中の「組込・制御エンジニア」の求人・転職情報より求人例を紹介します。スキルや責任範囲、開発対象など求人・転職情報により大きく幅があるため、自分のスキルや意向とマッチする案件を探すことが重要です。

組込・制御エンジニアの求人・転職情報>

【組込・制御エンジニア】マネージャー候補/技術指導・設計サポート

【業界】
家電・IT

【想定年収】
720~1,050万円

【業務内容】
<具体的な業務内容>
組込みソフトウェア開発全般の技術責任者としての業務
・ソフトウェア設計チームメンバーの技術指導、設計サポート
・各種ドキュメント類の審査、承認
・メンバー間での認識の統一
・部門のリソース(人/物/予算)管理
・外注/取引先とのやりとり、管理、チームメンバー業務のフォロー/モチベーション維持

【求められるスキル・経験】
<経験>
・組込みソフトウェア開発の一連業務
※要件定義、基本/詳細設計、実装、評価設計/実行、リリース管理など
・マイコンのデータシート、ユーザーマニュアルの読解
・品質担保への取り組み
※FTA/FMEAの導入、設計プロセス改善など
・EMSベンダー、部品サプライヤとの折衝など
・C/C++言語を使ったプログラミング、コードレビュアー
・マネージャー業務(リソース管理)
<マインド>
・前向きに物事に対応できる方
・人の感性に触れる仕事がしたい方
・誠実な対応ができる方
・環境変化に柔軟な方
・言葉を大事にする方
・遊び心がある方
・ソフトウェア設計をしたい方
・自身の手でバルミューダ製品における+@の価値を提供したい方
・人の感性や感覚に触れる機能開発を通して、ユーザに喜んでもらえる製品を作りたい方

【組込・制御エンジニア】モビリティ技術支援/Webシステム開発

【業界】
製造業向けIT受託・派遣

【想定年収】
360~600万円

【業務内容】
自動運転車両開発企業と連携したモビリティ技術支援
・H/W製品開発/評価/検証
・車両改造に関わる設計から構築
・自動運転に必要とされるS/Wの検証
・将来的に「自動運転によるモビリティサービス」の導入支援

Webシステム開発
・自治体向けのWebシステムへのサービスの企画/運営
・Webサイトの構築、改修

【求められるスキル・経験】
<経験>
・組込み開発
・シュミレーションツール使用

【組込・制御エンジニア】産業用ロボットのモータ制御ソフトウェア開発/パラメーター調整

【業界】
IT・通信事業

【想定年収】
500~1,000万円

【業務内容】
・ロボットを駆動するモータの制御ソフトウェアの開発
・モータの制御パラメータの調整
・ロボットに搭載するモータの選定

【求められるスキル・経験】
<経験>
・C/C++での開発
・組込みソフトウェアの開発

<知見・経験>
・モータの制御理論

<マインド>
・特定のベンダーの製品やサービスに依存せずに、顧客にとって最適なアーキテクチャを策定したいと考えている方
・技術に対するモチベーションの高いメンバーに囲まれて仕事をしたいと考えている方
・技術に関する熱い議論を戦わせることでスキルアップしたい方
・尊敬できる仲間と切磋琢磨したい方
・技術が好きで最新技術やサービスを日々学んでいる方
・自分の書いたコードを自らの作品と捉えるような方
・ソフトウェア開発を良くしていきたい方
・定型的な作業を繰り返すよりも、自動化する苦労をすることで楽をしたい方

未経験から組み込みエンジニアになるには

未経験から組み込みエンジニアになるには、まずはC言語によるプログラミング言語の習得からスタートすることがおすすめです。C言語によるプログラミング学習は、スクールなどの利用や独学などが選択肢となります。

関連記事:組み込みエンジニアになるために必要な勉強

C言語をはじめとするプログラミング言語を習得しておくと有利

C言語をはじめとするプログラミング言語を習得することで、未経験から組み込みエンジニアへの第一歩となります。インターネット上では無料で使えるC言語の開発環境が多数公開されています。Web上の解説サイトを活用したり、書籍を参考にしたりしてC言語の開発環境を整えてC言語プログラミングの学習を始めましょう。

ただし、組み込みエンジニアの仕事はプログラムを使ったハードウェアの制御です。実際にハードウェアを準備して、制御するためのプログラムを開発するのは、独学では少々難しいかもしれません。そのため、組み込みエンジニアになるための学習の効率化を目的として、スクールや専門学校に通って学ぶのも一つの方法です。

スクールや専門学校に通って学ぶ

組み込みエンジニアになるためのスクールや専門学校に通って学ぶことで、独学では構築しづらい開発環境の整備や、プロの講師から直接教えてもらえる機会が得られます。スクールや専門学校には多額のコストが必要ですが、独学するより短時間で学習を進められるでしょう。

スクールや専門学校における組み込みエンジニアのコースは難易度が高いため、全く未経験の方は、まずC言語のプログラミングの学習ができるコースを受講しましょう。C言語のスキルがある程度身に付いてから組み込みエンジニアの学習をスタートした方が、理解しやすいためです。

独学する

スクールや専門学校に通う時間やお金がない場合は、低コストで自分のペースで学べる独学もおすすめです。特にC言語は歴史のあるプログラミング言語であるため、書店ではC言語のさまざまな入門書が販売されています。

インターネット上にはC言語の解説サイトなども公開されていますし、動画で学べる解説サイトもあります。それらのWebサイトを賢く使うことで、独学でのC言語の学習もはかどるでしょう。

組み込みエンジニアに求められるスキル

組み込みエンジニアの仕事は、ソフトウェアを機器に組み込んで正常に作動させるためのエンジニアリングを行うことです。主な使用言語はアセンブリ、C、C++、Java、アセンブラなどで、言語への理解を深めて自由に活用できるスキルが求められます。

また、計画的にプロジェクトを管理する能力や、スムーズなやり取りができるコミュニケーション能力も必要です。ETECやJSTQBなどの資格を有していると、自身がどれほどのスキルをもっているかを証明することができます。

関連記事:
組み込みエンジニアに必要なスキルは?需要状況や役立つ資格も紹介
組み込みエンジニアの転職市場|評価されるスキルや経験も解説

ハードウェア・ソフトウェアに関する基礎知識

組み込みエンジニアにはハードウェアとソフトウェアの両方に関する基礎知識が必要です。

多くのエンジニアはソフトウェアの知識に長けていますが、組み込みエンジニアには、それに加えてハードウェアの知識が必要です。具体的にはCPUやメモリの制御に関する知識です。実務ではハードウェアの詳細な仕様書や設計書がないこともあり、その場合、組み込みエンジニア自身がハードウェアの回路図面を見て仕様を把握したり設計したりすることもあります。そのため回路図面が読み解ける程度のハードウェアの知識があると、組み込みエンジニアとしてスムーズに仕事ができるでしょう。

組み込みの知識

ハードウェアを構成している電気回路の知識、さらに電気や電子基板などの知識を身に付けると、組み込みエンジニアとしての活躍の舞台が広がるでしょう。電圧や電気、抵抗などの電気工学的な組み込みの知識があれば、組み込みエンジニアの業務の強い武器となります。

コミュニケーションスキル

組み込みエンジニアには円滑にプロジェクトを進めるためのコミュニケーションスキルが欠かせません。複数人での開発の現場では、ほかの開発者とコミュニケーションを取る場面が多々あります。例えばプログラミングの作業分担や、システムの仕様策定や設計などを行うときです。

英語力

組み込みエンジニアには必要最低限の英語力も求められます。オフショアなどのフィールドにも活躍を広げられること、IT関連の情報収集に役立つことがその理由です。

英語を使えることで得られるメリット

近年の製造業はオフショア開発が進んでおり、東南アジアを中心に海外へのアウトソーシングに力を入れています。開発拠点を海外へ移す企業もあるため、キャリアアップや上流工程を目指したい方は英語力を身につけておくと良いでしょう。

英語を使えることのメリットとしては、英語で記述されているIT情報を読み解くことができるので情報収集に役立てられること。また、英語を身につけることでコードや変数を書くスキルも上達しやすくなります。

関連記事:組み込みエンジニアが英語を使えることで得られるメリット

組み込みエンジニアに役立つ資格

組み込みエンジニアとして仕事をする上で役立つ資格についてご紹介します。組み込みソフトウェア開発に関するスキル・知識を示すことができる資格や、業務上関連深いテストに関わる資格、その他には品質保証に関する資格などが有用です。

関連記事:組み込みエンジニアに役立つおすすめ資格6選|参考書籍や求められるスキルも解説

エンベデッドシステムスペシャリスト試験

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の資格は、組み込みソフトウェア開発に関する知識や技術を持ち、実践的な経験を有することを証明する資格です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営し、経済産業省が認定する国家資格「情報処理技術者試験」の一区分で、ITSSスキルレベル4に該当する高度な資格に分類されます。

試験は、多岐選択式の午前Ⅰ・Ⅱ部と、記述式の午後Ⅰ、論述式の午後Ⅱの4部構成です。IoTを含む組込みシステムの開発に関係する高度IT人材としての知識やスキルが問われます。

取得することで、組み込みシステム分野でのキャリアアップが期待できます。

ETEC(組み込み技術者試験制度)

ETEC(組み込み技術者試験)は、組み込みシステム分野の技術者の能力を客観的かつ中立的に測定することを目的とした資格制度です。一般社団法人組込みシステム技術協会が運営しています。

ETECはクラス2とクラス1の二つのクラスで構成されています。クラス2は詳細設計、実装、実装の検証にあたるエンジニアを対象としており、クラス1は要求の定義からシステム検証までより幅広い組込みの工程に関する知識とスキルの必要な上位資格です。

クラス2では「組込みソフトウェア開発に関するある一定以上の知識があること」が問われます。また、クラス1では中級技術者として、「要求、設計工程、それに対応するテスト工程における知識から分析能力までの総合力」、「現場リーダとして不可欠な、実装、QCD等の知識・能力」、「実装の実務能力」を問う内容です。

ETECの合格者は、組み込みシステム開発において必要な知識・技術を有していることが証明され、就職やスキルアップに役立つ資格となっています。

JSTQB認定テスト技術者資格

組み込みエンジニアの業務においても、ソフトウェアテストによる品質の確保は重要な意味を持ちます。このため、テストに関する技術と知識を示せる資格も、組み込みエンジニアに役立つ資格といえます。

JSTQB認定テスト技術者資格は、ソフトウェアテスト技術者向けの資格試験です。世界的なテスト技術者向けの認定組織ISTQBに加盟する日本のソフトウェアテスト技術者資格認定組織(JSTQB)が認定し、一般財団法人日本科学技術連盟が試験を実施しています。

Core Foundation、Core Advanced、Specialistの3つのレベルで構成され、Advanced以降ではテストマネージャ・テストアナリスト・テクニカルテストアナリストといった職種、AIテスティング・自動車ソフトウェアテスト担当者・アジャイルテクニカルテスト担当者などの専門領域により試験が細分化されています。組み込みエンジニアの場合は、自身の開発対象などに合わせて資格を取得することで、スキルと知識の保有を示せます。

組み込みエンジニアの将来性

組み込みエンジニアの将来性は高いといえます。

現代社会において、様々な製品やシステムにはコンピュータやマイコンが内蔵されており、それらを制御するソフトウェアやハードウェアの設計や開発には組み込みエンジニアが不可欠です。今後もIoTや自動運転などの分野において需要が増えることが予想され、組み込みエンジニアの求人数も増加しています。

また、技術の進歩によって、より高度な機能を持った製品やシステムが求められるようになっています。例えば、医療機器や自動車に搭載されるシステムでは高い信頼性と安全性が求められ、そのための設計や開発に組み込みエンジニアの専門知識が必要とされます。

さらに、人工知能(AI)やディープラーニング(Deep Learning)の分野においても、組み込みエンジニアの役割が注目されています。組み込みシステムやアプリケーションにAIを搭載することにより、イノベーションが生まれることが期待されているためです。組み込みエンジニアは、これらの新しい技術に対応するために、常に新しい知識やスキルを習得し、改善に取り組む必要があります。

そのため、組み込みエンジニアに求められる専門性は高く、その分高い報酬が期待できます。
将来的には、AIやIoTの急速な発展に伴って、組み込みエンジニアの需要が拡大することが予想され、将来性が高い職種のひとつと言えるでしょう。

関連記事:組み込みエンジニアの需要と将来性について

組み込みエンジニアに関するよくある質問

組み込みエンジニアに関するよくある質問と回答を紹介します。組み込みエンジニアをキャリアパスとして検討しているエンジニアの方は、概要を知る意味でもご一読ください。

Q1. 組み込みエンジニアは何をする職種ですか?

組み込みエンジニアの役割は、組み込みシステムの設計、開発、テストなどの一連の業務であり、他のシステムエンジニアとは大きくは異なりません。

ただし、組み込みエンジニアの仕事では、ハードウェアの制御に焦点を当てたソフトウェア開発が中心となります。CPUやOS、メモリの制御、ハードウェアの回路図設計、ドライバの開発など、特有の知識と技術が必要とされます。

Q2. 組み込み系エンジニアの難易度は?

組み込みエンジニアには特有の難しさがあります。

まず、特別な知識とスキルが求められます。例えば、RTOSや電子回路の知識が必要です。他にも、組み込みシステムはリソースに制約があるため、効率的なコード開発やハードウェアとのインタフェース設計が必要です。

組み込みエンジニアは、限られたリソースと制約の中で優れた技術と創造力を駆使して高度なシステムを実現する必要があるため、難易度の高い職業といえます。

Q3.組み込みエンジニアに将来性はありますか?

組み込みエンジニアは将来性が高いエンジニア職種です。

将来性の高い理由の一つは、自動車、家電、医療などの様々な分野で今後も需要が存在することです。また、IoTやAIと組み合わせた開発にもニーズが存在しており、これらを扱える組み込みエンジニアとなることで長期間の活躍と収入が望めるでしょう。

まとめ

組み込みエンジニアは、車載器、家電、工業用機器、ロボットなどに向けた組み込みシステムを開発するITエンジニア職種です。ソフトウェアに関する知識とスキルに加え、電子回路などのハードウェアに関する知識も求められるため、専門性の高い職種といえます。

組み込みエンジニアは限られたリソースの中で、必要とされる機能を、高品質で実現することを求められる職種です。その分、スキルが身につけば市場価値の高い人材になることができます。

今後についても、IoTやAIなどと組み合わせた需要が予測されるため、将来性も高いです。

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