ITコンサルタントに必要なスキル

最終更新日:2022年9月16日

ITコンサルタントには、ITスキルはもちろん、ビジネス知識やさまざまな業種の専門的な知識が求められます。また、多くの人と関わりながら業務を進めるため、相手の要望を正確に把握するためのヒアリング力や、相手を説得するためのプレゼン力など、高いコミュニケーション能力が求められます。

ITコンサルタントになる上で特定の資格は必要ありませんが、業務に関係する専門的な資格を所有しておくことで、自らのスキルを証明することができ、顧客の信頼も獲得しやすくなるでしょう。この記事では、ITコンサルタントになりたいと考えている未経験者、年収を上げたいと考えている現役ITコンサルタントに向け、必須スキルや年収アップのためのスキルについて解説します。

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ITコンサルタントに必要な基本的なスキル

 

ITの実用的なスキル

コンサルティングの対象となるITに関しては、全般的な知識が求められます。ITコンサルタントとして通用するITスキルを身につけるなら、まずSEとして要件定義や設計開発、テストといったシステム関連の知識を身につけるのが良いでしょう。

一口にITスキルと言っても範囲は非常に広く、クライアントごとに課題も異なるため、最低限の知識を身につけるだけでなく、専門性を深めたり、継続的に勉強していくことも大切です。

関連記事:ITコンサルタントに求められるプログラミングスキル

コンサルティングの基本スキル

論理的思考能力

ITコンサルタントは顧客が抱える課題を整理するとともに、具体的な解決策を提示し、顧客を納得させなければなりません。そのためには、論理的思考力が重要となってきます。論理的思考力とは、物事の因果関係を順序立てて考える力であり、複雑な事柄を分かりやすく説明する力です。

論理的思考力を高めるには、日頃から「なぜその結論に至ったのか?」を考え、理由を深掘りしていく癖をつけておきましょう。

コミュニケーションスキル

多くの人と関わるコンサルタントの仕事で重視されているのが、高度なコミュニケーションスキルです。コミュニケーションとは、単なる情報のやり取りではなく、感情のやり取りでもあります。話す内容が論理的に正しかったとしても、相手の気持ちを慮ることができなければ、相手とうまく信頼関係を築くことはできません。

相手に対して常に関心を持ち、話のテンポを相手に合わせたり、表情やしぐさなどから気持ちを読み取ったりすることも重要です。

プロジェクト管理、マネジメントスキル

ITコンサルタントの主な業務は、プロジェクト発足前のクライアントへの提案です。クライアントの要望を聞き出して最適な提案を行い、計画を策定するまでは主導権を持って行います。プロジェクトが成立すればプロジェクトが稼働されますが、その後ITコンサルタントがどこまで関わるかはケースバイケースです。

関りが大きい場合は、プロジェクト管理、マネジメントスキルが特に必要になります。ただし上流工程のクライアントに提案してプロジェクトを発足する段階でも関係各所とのやり取りがあるので、ある程度のマネジメントスキルは必要です。

ITコンサルタントに必要なマインド

ITコンサルタントはIT業界の業務の中でも業務範囲が広く、ITスキルを含めて幅広い知識が求められます。知識を活かして問題解決を図るということです。そして、そのために必要なのがマインドです。

プロフェッショナルとしての責任感

ITコンサルタントに求められるマインドの一つとして重要なのがプロフェッショナルとしての責任感です。どの仕事でもプロフェッショナルとしての責任感は求められますが、ITコンサルタントは責任が大きいです。

なぜなら、ITコンサルタントの判断によって多くの人が動くからです。当然大きなお金も動きます。世の中には内容がどうあれとにかく説得さえして契約を成立させれば後のことは知らない、といったスタンスのITコンサルタントもいるでしょう。

しかしそのようなことを繰り返していると評判が悪くなり、最終的に自分の首を絞めることになります。プロフェッショナルとしての責任感を持ち、プロジェクト結果にも責任を持ったうえで提案できるITコンサルタントが求められています。

レジリエンス

レジリエンスとは、適応能力などの意味合いで使われる言葉です。状況に対応する臨機応変さや、ストレス耐性なども含まれます。ITコンサルタントは変化の激しい現場で適切な提案を行い、問題解決を図っていく必要があります。

その過程では正解が見えずに判断に迷ってしまう場面や、対人トラブルなどからストレス下に置かれてしまう場面もあるでしょう。これらの対応し、自分自身成長し続けることが求められます。

領域別のITコンサルタントに必要なスキル

ITコンサルタントは、活躍する場所や業務内容によって必要なスキルが少し異なる場合があります。ここでは、各領域の概要と必要なスキルの一例をご紹介します。

SCMコンサルタント

SCMはサプライチェーンマネジメントの略で、サプライチェーンとは、材料調達や生産管理、物流、販売に至るまでのビジネスプロセスのことを指します。SCMコンサルタントの役割は、この一連の流れを分析し効率化を図ることで、経営の成果を高めることです。そのため、SCMコンサルタントはITコンサルタントに必要な基本的スキルに加え、サプライチェーンにおける業務知識が求められます。

また、日系企業のグローバル進出は加速している傾向にあるため、英語や中国語などの語学力も重視されるでしょう。

ERPコンサルタント

ERPは、Enterprise Resources Planningの略です。日本語では経営資産計画と訳され、経営を行う上で基本となる要素(人や物、お金など)を適切な形で有効活用するための考え方を指します。しかし、一般的にERPというと「企業内の各業務を効率化するためのシステム」を指すことが多いようです。

ERPコンサルタントの役割としては、経営課題の明確化、企業内の業務プロセスの把握、ERP導入のための分析などが挙げられます。また、設計や実装などにも関わるので、ERPコンサルタントになるためには、ITコンサルタントの基本的スキルに加え、ERPの導入経験が必要となるでしょう。

PMOコンサルタント

PMOとは、プロジェクトマネジメントオフィスの略で、企業内の各プロジェクトを一元管理する部署のことです。各プロジェクトにはPMがいますが、プロジェクトの規模などによっては、PM一人にマネジメントを委ねるのが難しいケースがあります。そこで、PMOがPMをサポートし、プロジェクトを成功へ導きます。

PMOは、各プロジェクトのマネジメント方式の標準化や、プロジェクト間でのコスト・リソース調整、PMの人材育成といった役割もあるため、ITコンサルタントの基本的スキルのほか、PMとしての経験が不可欠であると言えます。

ハイレベルなITコンサルタントを目指す上で役立つ資格


ITコンサルタントに特定の資格は必要ありませんが、「さらなるスキルアップのために資格を取得したい」と考えている人もいるでしょう。そこで、ITコンサルタントに関連する資格には、どんなものがあるのかご紹介します。

ITコーディネータ

IT知識だけでなく、マネジメントや経営といったビジネス知識を認定する民間資格です。

中小企業診断士

企業経営のコンサルティングであることを証明する資格で、IT知識や運営管理、マーケティングの知識があることを証明できます。

プロジェクトマネージャー試験

プロジェクト全体を管理、運営するための、組織運営やシステムなどの理解や実践能力を証明できます。

PMP(Project Management Professional)

プロジェクトマネジメントの経験と35時間の研修を受講していないと受験ができないため、この資格を持っているだけで、プロジェクトマネジメントの実務経験が証明できます。

関連記事:【2021年最新版】ITコンサルタント転職に役立つ資格6選

ITコンサルタントに求められるその他のスキル

ここまでITコンサルタントに必要なスキルについてご紹介してきましたが、その他にも業務上求められるスキルは多くあります。

語学力

近年ではグローバル化が進んでおり、海外企業のプロジェクトや、海外プログラマーと連携した作業を行う機会が増えています。TOEICの点数が昇進するための条件に含まれている企業もあるなど、英語力が必須条件になりつつあるため、日常英会話だけでなく専門用語なども習得しておくとよいでしょう。

専門的な知識

携わっている業務によっては、特定の業界や業種について、より専門性の高い知識を学ぶ必要があります。ネットや書籍で知識を身につけるのはもちろん、資格の取得を目指すなど、自分に合ったやり方で継続的に勉強をするとよいでしょう。

体力、精神力

時間や能力に制限がある中で、顧客のさまざまな要望に応えられる体力・精神力が必要です。また、さまざまな人々と関わりながら業務に携わることから、人間関係などの問題に直面することもあるでしょう。そういった場面でもプロジェクトを成功させるための対応が求められます。

スピード感のある対応能力

業務量が膨大になりがちなITコンサルタントは、タスクの優先順位を考えて効率的に動いたり、他の人にうまく仕事を振ったりして、作業スピードを上げる必要があります。また、プロジェクトに順応するスピード、未経験の領域でのキャッチアップのスピード、理解のスピードなども重要となるので、常に広い視野を持ち、学びの姿勢を持って仕事に取り組むことが大切です。

未経験からITコンサルタントになるには

 

ITコンサルタントとしての経験がない状態からITコンサルタントになるには、どのような経験、知識が必要になるのか解説していきます。

あると転職に有利になる経験・知識

未経験からITコンサルタントに転職する際に、あれば有利になる経験と知識について具体的に挙げます。

他業界でのコンサルティング

IT業界でなくても、他業界でのコンサルティング経験があればITコンサルタントとして転職しやすいです。ITコンサルタントにはITの知識も求められますが、コンサルタントとしての問題解決能力やコミュニケーション能力も重要です。

他業界でのコンサルティング経験があればコンサルタントとしての能力は身についているので有利になるということです。ただしIT業界からの転職希望者に比べるとIT関連の知識は不足している可能性が高いので、転職前に勉強し、転職してからも勉強し続ける必要があります。

IT系プロジェクトのマネジメント

IT系のプロジェクトマネジメントの経験があれば、ITコンサルタントにはかなり転職しやすいはずです。プロジェクトによって詳細は異なるのであくまでもイメージですが、ITコンサルタントが契約し、発足したプロジェクトをプロジェクトマネージャーがそのままマネジメントするケースは多いです。

つまり、工程で言うとプロジェクトマネージャーはITコンサルタントのすぐ下に位置し、業務上コミュニケーションを取る機会も多いです。プロジェクトマネージャーからITコンサルタントに転職するケースは多く、一般的なルートと言えるでしょう。

財務会計や人事など経営に近い領域の専門知識

クライアント企業の担当者は、経営者や技術責任者になる場合が多いです。そのため、経営的な観点からシステム開発のコストパフォーマンス等を検討します。ITコンサルタントはIT的な観点、経営的な観点の両方から提案を行う必要があるということです。

プロジェクトを円滑に進めるという観点からIT知識は必須ですが、クライアント企業はむしろプロジェクトによる経営的なメリット、デメリットを知りたいと考えています。技術面だけでなく、財務会計、人事、など経営者の疑問を解消するための専門知識が必要ということです。

関連記事:
未経験からITコンサルタントを目指す方法
ITコンサルタントになるには?必要なスキルや知識、おすすめキャリアパスを解説

ITコンサルタントとは

ここまでITコンサルタントについて解説してきたので、ITコンサルタントがどのような職業なのか大まかにはつかめているかと思います。では、ITコンサルタントに比較的近いIT業界の他の職種とはどのような違いがあるのでしょうか。

関連記事:ITコンサルタントの仕事内容とは?周辺職種との違いも解説

ITコンサルタントとSIerの違い

ITコンサルタントはコンサルティングファームに所属し、クライアント企業に対して経営的な観点から提案を行うなど、最上流工程を担当します。一方で、SIerとはクライアントの要望に従ってシステムを開発する業態の企業のことです。

開発だけでなく、保守運用も行います。コンサルティングファームとSIerではクライアント企業が重複する場合もあり、その場合はどちらもが開発に携わることになります。その場合、ITコンサルタントは上流工程でクライアントとのやり取りや開発現場への橋渡しがメイン業務で、SIer側は開発に集中することになります。

ITコンサルタントとSEの違い

ITコンサルタントはクライアントに対してシステムの提案を行うポジションで、SEはこれらを開発するポジションです。厳密に言えばSEは設計がメイン業務で、プログラミング業務はPG(プログラマー)が行い、テストはテスターが行う場合もあります。

ただしこれはプロジェクトによって異なるので、SEは開発側を担っていると考えるとわかりやすいでしょう。工程で言えば、ITコンサルタントが上流工程、SEが下流工程ということになります。ちなみに工程とは、クライアントに提案するところから開発、テストまでの流れのことで、上から下に流れていくイメージで上流工程、下流工程、などと表現されています。

ITコンサルタントの年収相場

レバテックキャリアのITコンサルタント求人では、年収の下限平均は約450万円、上限平均は約740万円で、最も年収が高い求人では2000万円を超えています。下限平均だけをみても、ITコンサルタントは他職種に比べ高年収です。

ITコンサルタントは上流工程を担う立場であり、責任が大きく、また業務的にも忙しいことが多いです。その分年収が高いということです。

関連記事:ITコンサルタント転職で知っておきたいこと|転職先別の求める人物像を解説

まとめ

ITコンサルタントはIT業界でコンサル業務を行うポジションです。ITスキルはもちろん、幅広いスキル、知識が求められます。現時点でのスキルはもちろん、今後変化の激しいIT業界で学び続けるプロ意識も必須と言えるでしょう。

ITコンサルタントは業務上難しさや大変さがありますが、その分年収は高くなっています。ITコンサルタントを目指すルートは複数ありますが、他業界のコンサルタントや、IT業界のプロジェクトマネージャーを経てITコンサルタントになるケースが多いです。

これらの経験がない場合も、逆算すると具体的にどのようなスキルがあればITコンサルタントを目指しやすいかがわかるでしょう。今回ご紹介した方法にくわえ、今後リサーチを行う際の参考にされてください。

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