ITコンサルタントになるために必要な資格はない
ITコンサルタントに必須の資格は特にありません。IT業界では一般的に資格よりも能力が重視され、ITコンサルタントにおいては顧客のビジネス課題をITで解決できる実践的なスキルが求められています。
具体的には、ITコンサルタントには主に以下の4つのスキルや知識が必要です。
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・コミュニケーション能力:顧客のニーズを正確に把握するヒアリング力
・提案力:最適なソリューションを提案する力
・幅広いIT知識:クラウドやセキュリティ、AIなどさまざまな技術領域の理解
・業界、業務知識:顧客の業界や業務プロセスに関する深い理解
資格は必須ではありませんが、これらのスキルや知識に関連する資格を取得することで、ITコンサルタントに必要な能力を体系的に習得し、客観的に証明できます。また、就職活動やキャリアアップにおいても有利に働く場合が多いです。
次章からは、ITコンサルタントのスキル向上を目指す方と、新たにITコンサルタントへの転職を検討している方それぞれに、おすすめの資格を詳細に解説します。ぜひ自分に合った資格選びの参考にしてください。
ITコンサルタントのスキルアップに役立つおすすめ資格

すでにITコンサルタントとして活躍している方が、さらにスキルアップしたい場合におすすめの資格を紹介します。
| 資格名 | 難易度 | 分野 | 概要 |
|---|---|---|---|
| 応用情報技術者試験 | ★★★☆☆ | IT全般 | 基本情報技術者試験の上位試験 |
| AWS Certified Solutions Architect - Professional | ★★★★☆ | クラウド(AWS) | AWS Certified Solutions Architect - Associateの上位資格 |
| PMP® | ★★★★☆ | プロジェクト管理 | プロジェクト管理の実践的資格 |
| ITストラテジスト試験 | ★★★★★ | IT戦略・経営 | IT×経営の総合資格 |
| 中小企業診断士 | ★★★★★ | 経営・ コンサル |
経営コンサルタントとしての 総合力を証明する資格 |
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
また、ネットワークやクラウド、セキュリティなど、専門分野に特化した資格については、以下の記事で紹介しているのであわせてご覧ください。
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クラウドの資格17選!初心者向けの難易度解説や取得の利点
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応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、IPAが実施する国家試験で、基本情報技術者試験の上位試験に位置づけられます。
応用情報技術者試験の概要は以下の表のとおりです。
| 試験概要 | ソフトウェア開発やIT基盤構築、 プロジェクト管理など幅広い知識を評価 |
| 開催時期 | 年2回(4月、10月)※令和8年度(2026年度) からはCBT方式で、一定期間内に複数日実施予定 |
| 難易度 | ★★★☆☆(ITSSレベル3) |
| 受験料 | 7,500円 |
| 合格率 | 22.1%(2025年度春期) |
この試験の特徴は、ITの技術的な側面だけでなく、経営戦略やマネジメント、法務など多岐にわたる知識を問う点です。そのため、ITコンサルタントに求められる「ITと経営の橋渡し役」としての素養を証明するのに適しています。
また、国家試験であるため社会的な認知度も高く、ITコンサルタントとしての総合力を証明する有効な手段といえます。
AWS Certified Solutions Architect - Professional
AWS Certified Solutions Architect - Professional(略称:SAP-C02)は、クラウドサービス大手のAWSが提供する認定資格です。アソシエイトレベルの上位に位置し、高度なクラウドアーキテクチャの設計能力が問われます。
SAP-C02の概要は以下の表のとおりです。
| 試験概要 | 複雑なクラウドソリューションの 設計、実装能力を評価 |
| 開催時期 | 通年 |
| 難易度 | ★★★★☆(ITSSレベル4) |
| 受験料 | 40,000円 ※為替レートにより変動あり |
| 合格率 | 非公開 |
SAP-C02の学習を通じて、セキュリティやコスト最適化、スケーラビリティなどを考慮した包括的なクラウドソリューションを設計する力が身につきます。ITコンサルタントがSAPを取得することで、クラウド移行や最適化というニーズの高い分野において、専門的な知見に基づく提案が可能になります。
PMP®
PMP®(Project Management Professional)は、米国PMI(Project Management Institute)が認定する国際的なプロジェクトマネジメント資格です。プロジェクトマネジメント分野における権威ある資格の1つで、PMBOKガイドに基づいた知識と高い実践能力を証明できます。
PMP®の概要は以下の表のとおりです。
| 試験概要 | プロジェクト管理の知識と 実践スキルを包括的に評価 |
| 開催時期 | 通年 |
| 難易度 | ★★★★☆ (ITSSレベル4) |
| 受験料 | PMI会員:$405 非会員:$655 |
| 合格率 | 非公開 |
ITプロジェクトは複雑でステークホルダーも多いため、体系的なプロジェクト管理手法が不可欠です。PMP®の学習を通して、大規模なプロジェクトの計画や進行、管理を主導できる能力が身につきます。ITコンサルタントとして、より高度な戦略的提案とプロジェクト支援が可能になり、顧客からの信頼獲得につながります。
ただし、受験の前提条件として、学歴に応じた期間のプロジェクト管理経験と、35時間以上のプロジェクトマネジメント教育の受講が必要なことに注意が必要です。受験要件は、PMIの公式サイトをご確認ください。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、IPAが実施する情報処理技術者試験の中で最高難度クラスに位置する試験です。
ITストラテジスト試験の概要は以下の表のとおりです。
| 試験概要 | 経営戦略に基づくIT戦略の立案・ 実行能力を評価 |
| 開催時期 | 年1回(4月) ※令和8年度(2026年度)からは CBT方式で、一定期間内に複数日実施予定 |
| 難易度 | ★★★★★(ITSSレベル4) |
| 受験料 | 7,500円 |
| 合格率 | 15.0%(2025年春期) |
ITストラテジスト試験の学習を通して、経営戦略とIT戦略を結び付け、企業の中長期的なIT計画を立案、推進する力を高められます。事業戦略とITの整合性を図る高度な視点を持つITコンサルタントとして、顧客に付加価値を提供できるようになるでしょう。特に、CIO(最高情報責任者)やITコンサルタントのリーダーとしてのキャリアを目指す方に役立つ可能性が高いです。
中小企業診断士
中小企業診断士は、経済産業省が認定する経営コンサルタントの国家資格です。
中小企業診断士の概要は以下の表のとおりです。
| 試験概要 | 企業経営に関する総合的な知識と診断・ コンサルティング能力を評価 |
| 開催時期 | 一次試験:8月 二次試験(筆記):10月 二次試験(口述):翌年1月 |
| 難易度 | ★★★★★ |
| 受験料 | 一次試験:14,500円 二次試験:17,800円 |
| 合格率 | 一次試験:27.5%(令和6年度) 二次試験:18.7%(令和6年度) |
中小企業診断士の特徴は、経営全般にわたる知識を問われる点です。試験科目には「経済学・経済政策」「財務・会計」「経営法務」などが含まれ、幅広い知識の習得が求められます。近年はIT戦略やDXをテーマにした出題も増加しており、ITと経営の両面からコンサルティングを行うITコンサルタントにとって、価値の高い資格といえます。
中小企業診断士は「経営コンサルタント」としての国家資格であるため、取得することでクライアントからの信頼獲得にもつながるでしょう。特に、中小企業支援や経営改革を伴うDXプロジェクトに携わりたいITコンサルタントにとって、強力な武器となり得ます。
ITコンサルタントへの転職に役立つおすすめ資格
これからITコンサルタントへの転職を目指す方にとって、適切な資格取得は強力な武器になります。特に、未経験からの転職では、専門性と意欲を示す指標として重要です。ここでは、ITコンサルタントへの転職に特に役立つおすすめの資格を紹介します。
| 資格名 | 難易度 | 分野 | 概要 |
|---|---|---|---|
| ITIL®ファンデーション | ★☆☆☆☆ | ITサービス運用 | 実務で使えるIT運用管理の基礎 |
| 基本情報技術者試験 | ★★☆☆☆ | IT基礎 | IT業界の登竜門 |
| AWS Certified Solutions Architect - Associate | ★★☆☆☆ | クラウド(AWS) | クラウド設計の基礎知識を証明 |
| ITプランニングセールス | ★★☆☆☆ | IT営業、提案 | 実務寄りの企画・提案力を証明 |
| ITコーディネータ | ★★★☆☆ | IT×経営 | 経営視点からIT導入を支援する資格 |
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
また、ITコンサルタントになるための方法については、以下の記事で紹介しているのであわせてご覧ください。
関連記事:
ITコンサルタントになるには?役立つ資格や向いている人の特徴
未経験からITコンサルタントになるには?転職のポイントも解説
ITIL®ファンデーション
ITIL®ファンデーションは、ITサービスマネジメントの国際的なフレームワークであるITIL®の基礎知識を証明する資格です。この資格を通じて、運用改善提案やITサービスの品質向上に関する知識を身につけられます。
ITIL®ファンデーションの概要は以下の表のとおりです。
| 試験概要 | ITIL®の基本概念や用語、プロセス、 機能、役割を理解しているかを評価 |
| 開催時期 | 通年 |
| 難易度 | ★☆☆☆☆(ITSSレベル1) |
| 受験料 | 67,793円 ※為替レートにより変動あり |
| 合格率 | 非公開 |
ITサービスの設計、移行、運用、改善など、ITサービスのライフサイクル全体を管理するための方法論を学べます。多くの企業でITIL®の考え方が取り入れられているため、この資格を持っていることで顧客のIT運用プロセスを理解しやすくなります。
難易度も比較的低く、短期間で取得できるため、ITコンサルタントを目指す第一歩としておすすめです。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、IPAが実施する国家試験で、IT業界の登竜門的な位置づけです。プログラミングやネットワーク、データベースなど、ITエンジニアとしての基礎知識が幅広く問われます。基本情報技術者試験はIT業界ではよく知られており、合格することで「IT技術の基礎を理解している」と認識されます。
基本情報技術者試験の概要は以下の表のとおりです。
| 試験概要 | IT技術全般の基礎知識と プログラミングスキルを評価 |
| 開催時期 | 通年 |
| 難易度 | ★★☆☆☆(ITSSレベル2) |
| 受験料 | 7,500円 |
| 合格率 | 39.8%前後(令和7年度10月) |
この試験の学習を通して、顧客との会話における技術的な背景を理解できるようになり、ITエンジニアとの橋渡しがスムーズになります。ITコンサルタントとして必要な基礎知識を体系的に習得できる点が魅力です。特に、非IT系からITコンサルタントを目指す方にとっては、最初のステップとして適しているでしょう。
AWS Certified Solutions Architect - Associate
AWS Certified Solutions Architect - Associate(略称:SAA-C03)は、AWSの基本設計スキルを証明する資格です。クラウドサービスの設計、実装、運用に関する実践的な知識が問われます。
SAA-C03の概要は以下の表のとおりです。※
| 試験概要 | AWSの基本的なクラウド設計スキルを評価 |
| 開催時期 | 通年 |
| 難易度 | ★★☆☆☆(ITSSレベル2) |
| 受験料 | 20,000円 ※為替レートにより変動あり |
| 合格率 | 非公開 |
SAA-C03の学習過程ではクラウドインフラの基礎コンポーネントについて体系的に学べます。特に、コスト効率や耐障害性、パフォーマンス効率という観点から最適なアーキテクチャを設計する考え方は、ITコンサルタントに求められる重要なスキルです。
クラウド化が進む近年、AWS認定資格の取得は転職市場における強みとなり得ます。特に、非IT系からITコンサルタントを目指す方にとっては、AWSの体系的な知識の習得している証明として有効でしょう。
ITプランニングセールス
ITプランニングセールスは、IT業界での営業職向けの資格です。顧客の課題を理解し、最適なITソリューションを企画、提案する力が評価されます。知名度は低いですが、提案プロセスの理解を示すには有効です。
ITプランニングセールスの概要は以下の表のとおりです。
| 試験概要 | IT提案に必要な知識とスキル、 顧客課題解決能力を評価 |
| 開催時期 | 通年 |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |
| 受験料 | 26,400円 |
| 合格率 | 非公開 |
ITプランニングセールスの特徴は、技術だけでなく、顧客に対する提案プロセス全体をカバーしている点です。要件定義のヒアリング方法や提案書の作成方法、プレゼンテーション技術など、ITコンサルタントの実務に直結するスキルを学べます。
また、IT技術と営業・提案スキルの両方をカバーしているため、技術と顧客の架け橋となるITコンサルタントの役割に適した資格といえます。特に、未経験からITコンサルタントを目指す方が、自身のコミュニケーション能力や提案力をアピールする材料として活用できる資格です。
ITコーディネータ
ITコーディネータは、経済産業省が推進する民間認定資格です。企業の経営課題をITで解決するための提案スキルが問われます。
ITコーディネータの概要は以下の表のとおりです。
| 試験概要 | 経営戦略策定からIT導入・ 活用までの一連のプロセスを評価 |
| 開催時期 | 年2回程度 |
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 受験料 | 試験受験料:19,800円 ケース研修受講料:220,000円 認定登録料:22,000円 |
| 合格率 | 64.7%(令和3年) |
| 備考 | 合格にはケーススタディ 研修の受講が必須 |
ITコーディネータ資格を取得するには、ITコーディネータ試験の合格とケース研修の受講修了が必要です。ITコーディネータ試験は、年間2回(各期間50日程度)CBT方式で実施しています。
ITコーディネータの取得により、経営とITの両面から企業の課題を分析し、最適なIT戦略を提案する能力を証明できます。ITコンサルタントとして必要な「経営視点」と「IT視点」の両方を持っていることをアピールできる点が魅力です。
特に、中小企業向けのITコンサルティングを行いたい方や、経営的な視点からITソリューションを提案したい方にとって、価値がある資格といえます。
しかし、ITコンサルタントへの転職を目指すのに「資格取得だけで十分なのか」「ほかには何を準備したら良いのか」と不安に感じる方もいるでしょう。ITコンサルタントへの転職活動を自信をもって、効率的に進めるには、まずはキャリアアドバイザーへの相談がおすすめです。
レバテックキャリアはIT特化型の転職エージェントです。専任のキャリアアドバイザーが相談に乗り、転職活動の不安の解消や求人紹介、書類添削、面接対策など、転職活動を全面的にフォローします。ITコンサルタントへの転職を具体的に考えている方は、まずはキャリアアドバイザーへの無料相談をご検討ください。
ITコンサルタントに関するよくある質問
ITコンサルタントに関するよくある質問と回答を紹介します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
Q1. ITコンサルタントの平均年収はいくらですか?
レバテックキャリアの「ITコンサルタントの平均年収・給料の統計」によると、ITコンサルタントの平均年収は532万円です。エンジニア全体の平均年収504万円と比較すると、ITコンサルタントの平均年収532万円は、28万円高い水準にあります。
Q2. ITコンサルタントがやめとけと言われる理由はなんですか?
ITコンサルタントがやめとけと言われる主な理由は、残業の多さやプレッシャーなどの労働環境の厳しさです。また、ドキュメンテーションスキルやコミュニケーションスキル、専門スキルなどが高いレベルで求められることも理由の1つとして挙げられます。
詳細は「ITコンサルがやめとけと言われる5つの理由や後悔した例・向いてる人を紹介」をご覧ください。
まとめ
この記事では、ITコンサルタントに関する資格について詳しく紹介しました。ITコンサルタントになるために絶対に必要な資格はないものの、適切な資格取得は専門性の証明やスキルアップに役立ちます。
スキルアップを目指す方には以下のような上位資格がおすすめです。
-
・応用情報技術者試験
・AWS Certified Solutions Architect - Professional
・PMP®
・ITストラテジスト試験
・中小企業診断士
一方、転職を目指す方には、以下のような基礎固めとなる資格をおすすめします。
-
・ITIL®ファンデーション
・基本情報技術者試験
・AWS Certified Solutions Architect - Associate
・ITプランニングセールス
・ITコーディネータ
資格取得は目的ではなく手段です。自分のキャリア目標や現在のスキルレベルを踏まえて、どの資格が自分に最適かを見極め、計画的に取得を進めてください。そして、資格で得た知識を実践に活かすことで、ITコンサルタントとしての価値を高めていけるでしょう。
※本記事は2025年11月時点の情報を基に執筆しております