ITコンサルタントにプログラミングスキルは必要?具体例から解説

最終更新日:2024年7月26日

ITコンサルタントは、企業の経営課題に対してITを活用した解決策を提案し、改善に導く職種です。IT戦略の立案、CRM・SCMの導入・構築支援、開発プロジェクトにおけるマネジメントなど、仕事内容は幅広いです。

ITコンサルタントは上流工程の業務が多く、プログラミング言語に触れる機会は少ないといわれますが、一方でプログラミングスキルが役立つという声もあります。

本記事では、ITコンサルタントへの転職を考えているエンジニアに向けて、ITコンサルタントにおけるプログラミングスキルの必要性や活用される分野、役立つプログラミング言語などについて解説します。

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この記事のまとめ

  • ITコンサルタントにはプログラミングスキルが必須ではないが、技術力があると業務効率と市場価値が高まる
  • ITコンサルタントのプログラミングスキルは、設計工程や先端技術を用いたプロジェクト、プロジェクトマネジメントなどの場面で役立つ
  • ITコンサルタントに求められるプログラミングスキルは業務内容により変わるため、適切なプログラミングスキルの習得が重要
  • ITコンサルタントのプログラミングスキルは、エキスパートレベルでなくても、システムの理解や見積もりなどで役立つ

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ITコンサルタントにおけるプログラミングスキルの必要性

結論からいうと、ITコンサルタントの業務にプログラミングスキルは必須ではありません。プログラミングスキルがなくても、ITコンサルタントとして業務を全うすること自体は可能です。

しかし、プログラミングスキルを持っていて無駄になることはなく、業務にプラスに働くでしょう。また、仕事の内容によってはプログラミングスキルが必要な場面もあります

逆にいえば、プログラミングスキルのないITコンサルタントは、プログラミングが必要な場面や、プログラミングに関する深いやり取りをしなければならない場では、活躍しにくいです。

関連記事:ITコンサルタントに必要なスキルを基礎・領域別に紹介

ITコンサルタントにプログラミングスキルが必要になるケース

ITコンサルタントは基本業務を遂行する上では、プログラミングスキルがなくても問題はありません。しかし、ITコンサルタントとしての業務範囲を広げ、市場価値を高めるためには、プログラミングスキルを持っておいたほうが良いでしょう。

プログラミングスキルがあれば、以下で紹介するようなシチュエーションでITコンサルタントとして活躍可能です。

提案や設計にUMLを用いる場合

UML(Unified Modeling Language)とは、統一モデリング言語とも呼ばれ、言語という名前ですが、システムの簡易的な設計図のようなものです。設計図の書き方を統一しておくことで、認識のズレが生じないというメリットがあります。

UMLはプログラミングと直接的な関係はありませんが、プログラミングの概念を理解した上で設計すると、分かりやすいUMLを作成できます。特定のプログラミング言語に精通するというよりは、オブジェクト指向やデータベースの仕組みを理解しておくと良いでしょう。

また、UMLは図式的な表現のため世界中で共通認識が可能です。海外に向けたビジネスを行う場合には、有効なスキルとなります。

関連記事:ITコンサルタントとSEの違いは?仕事内容や役割、スキルまで解説

AIなどの先端技術を用いる開発のコンサルティング時に必要

AIやビッグデータなどの先端技術はさまざまな方面で利用が進み、今後も用途が広がると考えられています。これらの先端技術を用いて顧客の課題解決を提案する場合には、プログラミングスキルが役立ちます。

たとえば、AIを用いる開発でのコンサルティングでは、より深い技術提案が必要です。なぜなら、AI自体が新しい分野で、既存のパッケージなどが少なく、顧客企業の業務に合わせてツールをプログラミングする場合が多いからです。

パッケージ商品の導入コンサルなどでは、ITコンサルタントがツール内部のプログラムまでは理解していなくても、表面的な機能が分かっていればコンサルティングできます。しかし、導入先の企業の業務に合わせてAI開発を行う提案では、ITコンサルタント自身がプログラミングスキルを身につけていないと適切な提案は難しいでしょう。

ビッグデータやIoTなどの領域でも同様で、適切な提案をするためにはプログラミングスキルが必要です。先端技術を用いたシステムの導入を求める企業は多いため、ITコンサルタントとしての価値にも繋がっています。

関連記事:ITコンサルタントの将来性とは?仕事内容や年収も紹介

チーム全体の仕事を理解するため知っておくと良い

ITコンサルタントがプログラミングスキルを持っていると、実際に開発に携わるエンジニアとの意思疎通がしやすくなります

ITコンサルタントがシステム開発に関するコンサルティングを行い、実際に受注すると、提案したシステムなどを開発するプロジェクト・チームが構成されます。システム開発チームに在籍するメンバーの多くはエンジニアです。

チーム全体の仕事を理解し、チームのエンジニアと深く意思疎通するためには、ITコンサルタントがプログラミングスキルを持っておくと非常に役立ちます。ITコンサルタント自身がプログラミングスキルを身につけておけば、開発プロジェクトの推進について見通しがつき、エンジニアとも強固な協力体制を取れるでしょう。

反対に、ITコンサルタントがプログラミングを理解していないとエンジニアとの認識にズレが生じ、開発に悪影響を及ぼす可能性さえあります。

IoTを扱うプロジェクトではSAS言語のスキルが役立つ

IoTとはInternet of Thingsの略で、ものをインターネットにつなげる技術です。たとえば、外出中に家のエアコンを操作したり、ドアの開閉を検知したりするのもIoTが活用されています。

IoTはAIやビッグデータと同様に先端技術の一つで、発展途上です。つまり、多くのプロジェクトで、確立した技術を使いまわすのではなく、模索しながら開発が進むため、深い技術知識のあるITコンサルタントが求められます。

具体的には、SAS言語の知識があるとIoTを扱うプロジェクトでの提案やエンジニアとのコミュニケーションがスムーズです。SAS言語は、米SASインスティテュート社が開発・販売するパッケージ製品群SAS(Statistical Analysis System)で利用できるプログラミング言語です。データ読み込み、整形、解析、出力などに使われます。

SASではIoTに向けた製品も提供しており、IoTを用いたソリューションで利用されるケースが増えています。エンジニアにとってもあまり馴染みのない言語ですが、IoT分野では役立ちます。

基礎的なプログラミングスキルだけでも業務に役立つ

ITコンサルタントにとって、深いプログラミングの知識は必須ではありませんが、基礎的なプログラミングスキルは備えていると良いでしょう。実際のプログラム作成の機会は限られているものの、プログラミングの基礎を理解していると、システムの仕組みを把握しやすく、設計時に役立ちます。さらに、開発の工程や時間の見積もりもスムーズに行なえます。

システムの動き方を知ることで設計の際に役立つ

ITコンサルタントは、自分が提案するITを用いた課題解決について、仕組みを深く知っておくことが望ましいです。仕組みを知っていることで、細かな点まで配慮することができるため、ITコンサルタントとしての発想を広げる上でも、コンピューターとプログラムの仕組みの理解は役立ちます。

また場合によっては、ITコンサルタントはシステムの設計に携わることもあります。この場合にも、プログラミングに触れた経験を活かせるでしょう。

開発工程の見積もりを行う際の工数の目処をつけやすい

ITシステムの導入や構築を提案する際には、どれくらいの工数が必要となるか見積もり、スケジュールや金額を算出しなければなりません。この見積もりにおいて、プログラミングスキルが役に立ちます。

ITシステムやその機能を作る際に、どれほどの工数がかかるのかを見積もるには、作成対象のプログラムの洗い出しを行い、プログラミングの規模を想定して、作業量を算出します。作成対象の機能の洗い出しおよび規模の想定は、プログラミングスキルがなければ概算でしか分かりません。プログラミングを行った経験は、見積もりの精度向上に繋がります。

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ITコンサルタントに求められる具体的なプログラミングスキル

ITコンサルタントにはプログラミングスキルは必須ではないと説明しました。しかし、プログラミングのできるITコンサルタントとそうでない人材なら、プログラミングができる人に依頼がいきやすいでしょう。

実際、市場でもプログラミングスキルを持ったITコンサルタントに人気が集中する傾向が見られ、募集要項にプログラミングスキルが記載されているケースも多いです。

以下では、ITコンサルタントの業務に役立つプログラミングスキルについて詳しく解説します。

関連記事:ITコンサルタントに必要なスキル

データ分析・AI系言語は特にニーズが高い傾向

Python、R言語、SQLといったデータ分析、AI開発に使われる言語はニーズが高いです。データ分析やAIはIT業界でもトレンドの技術なのでニーズが高いのが主な理由です。また、新しい技術なので既存のパッケージでは対応できず、企業の業務に合わせて開発する必要性が高いという理由もあります。

ITコンサルタントは企業に対して開発の提案を行います。表面的な機能だけでなく、そもそも実現可能なのか、内部のロジックはどうなっているのか、ステップ数やそれに基づく予算はどのくらいになるのかなどを判断して提案しなければなりません。

そのため、データ分析やAI開発のコンサルティングを行う場合は、Python、R言語、SQLなどに関するより具体的な技術力が求められます。逆にいえばこれらの技術力を持つことで、ITコンサルタントとしての市場価値を高めることが可能です。

IT系ファームではオープン系言語のニーズも高い

IT系コンサルティングファームは、ほかのコンサルティング会社に比べてITに特化した提案が求められます。また携わるプロジェクトとしても、ITシステムの開発が中心になるでしょう。大規模な開発プロジェクトが多く、大手SIerの上流工程で案件参画するイメージです。

こういったプロジェクトではJavaなどのオープン系言語が使われている事例が多いため、オープン系言語のスキルがあればITコンサルタントとして市場価値が高まります。SIerなどで業務システムのエンジニアを経験した後にIT系ファームのコンサルタントに転職する事例は多く、その場合にはオープン系の言語スキルは転職に向けたアピールポイントとなります。

システム刷新を行うチームではCOBOLが求められることも

大手企業や官公庁では、古いシステムを少しずつ修正しながら使い続けていることが多いです。しかし、これはシステムのレガシー化を招きます。利便性の低さやエンジニアの高齢化、サポート切れなどの問題がDX推進の妨げになるため、システムの刷新が必要になります。このような案件の提案の際には古いシステムの理解が必要です。

COBOLのスキルがあるITコンサルタントは、古いシステムの刷新案件で重宝されます。エンジニアでもCOBOLを扱える若手は貴重な人材なので、ITコンサルタントでCOBOLが扱える人材はさらに貴重です。

ニッチな戦略ではありますが、差別化という観点ではCOBOLのスキルを高めるのも有効です。

関連記事:ITコンサルタントの年収が高い理由や転職活動のポイントを徹底解説

業務の効率と生産性を上げるためのExcelマクロも注目

ITコンサルタントは、プロジェクトの管理やデータ分析の際にExcelを使う機会があります。特にガントチャートを作成して進捗管理する際には、Excelの関数の知識が役立ちます。さらに、Excelの機能を最大限に活用するためには、VBAを用いたマクロの知識が不可欠です。

VBAはMicrosoft Officeの強力な拡張機能で、繁雑な計算やデータの自動収集、グラフ作成などの作業を自動化できます。そのため、ITコンサルタントがVBAやマクロの技術を習得することは非常に有益です。

関連記事:ITコンサルタントは残業が多い?メリットや向いている人も紹介

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プログラミングスキルを身につけるには

ITコンサルタントがプログラミングスキルを身につけるには、無料のオンライン講座を利用することがおすすめです。Web上には多数の無料オンライン講座が存在しており、その中から目的にあった講座を選ぶと良いでしょう。

また、体系的に学びたい場合はプログラミングの専門書籍が最適です。プログラミング言語に関する書籍は多種多様に存在しているため、自分の学びたい内容に合わせて選ぶことが大切です。書籍が苦手な方は、オンラインの学習プラットフォームを利用するのも良い選択肢となります。

関連記事:ITコンサルタントの資格16選をスキル別に紹介します

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ITコンサルタントの3つの職種と仕事内容

ITコンサルタントの職種は「アナリスト」「コンサルタント」「マネージャー」の3つに分けられます。ITコンサルタント1人がすべての作業を行うわけではなく、各分野のスペシャリストがチームとなり、協力してプロジェクトを成功へと導きます。ここでは、ITコンサルタントの3つの職種と仕事内容について解説します。

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アナリスト

アナリストは、設計における定義書の作成や、開発システムのプログラミング・テストなどの役割を担います。より具体的な業務は在籍する企業やプロジェクトによって異なりますが、データ解析やITを活用したマーケティング寄りの業務が含まれる場合もあります。

アナリストにプログラミングスキルは必須

アナリストはシステムを作る際の上流工程に携わり、システムのすべてを担うポジションです。そのため、プログラミングの仕組みや動作、どのように情報を処理しているのかを知っておくことが望ましいです。

コンサルタント

コンサルタントはプロジェクトの最上流工程での提案、要件定義、計画策定、進捗管理、アナリストが作成した資料の確認などを行います。クライアントや開発メンバーとコミュニケーションを取る機会が多く、進行役であると同時に調整役としての役割も求められます。

マネージャー

マネージャーは、アナリストやコンサルタントの作業内容、成果をチェックする役割を担います。ITコンサルタントの中の管理職のようなイメージです。プロジェクト全体を統括すると同時に、自身もクライアント対応、全体調整、トラブル対応などの業務を行います。

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人と人とのコミュニケーションがプロジェクト成功の鍵

ITコンサルタントは、クライアントやチームのメンバーなど、常に多くの人と関わる職業です。プロジェクトの成功は、良好な人間関係を築けるか否かにかかっているといっても過言ではありません。

最新のプログラミング言語に対する感度があれば、チームの中で重要な存在であるITエンジニアとのコミュニケーションも円滑に進むでしょう。ITコンサルタントがITエンジニアの話をしっかり理解し、ほかのメンバーに分かりやすく伝えていくことがプロジェクト成功の鍵となります。

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ITコンサルタントに関するよくある質問

ITコンサルタントの仕事や必要なプログラミングスキルに関心を持つ方は、さまざまな疑問を持っていることが多いです。具体的には、ITコンサルタントの仕事内容やITコンサルタントで成功する人物像、使用されるプログラミング言語などについての質問などがあります。

ここでは、これらのITコンサルタントに関するよくある質問と回答を紹介していきます。

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Q1. ITコンサルタントの仕事内容を教えてください。

ITコンサルタントの仕事は、顧客の経営課題をITを用いて解決することです。顧客へのヒアリングから始まり、問題を特定します。見つけた課題に対して、ITシステムに関わる改善策を提案し、承認されれば実行に移します。また、プロジェクトの進行状況と品質チェックもITコンサルタントの業務の一つです。

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Q2. ITコンサルタントに向いている人を教えてください。

ITコンサルタントに向いている人は、問題解決にやりがいを感じ、客観的に評価する能力を持っている人です。また、複雑な問題を論理的に解析するスキルと、継続的な学習意欲も不可欠です。さらに最新技術の変遷に敏感に対応する柔軟性やコミュニケーション能力も大切になります。

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Q3. ITコンサルタントが使うプログラミング言語は何ですか?

ITコンサルタントにとって、Python、R言語、SQLなどのデータ分析やAI開発向けの言語は非常に需要があります。また、IT系のコンサルティングファームでは、Javaのようなオープンソース言語の知識が求められる傾向です。ほかにも、COBOLやExcelマクロのスキルも注目されています。

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まとめ

ITコンサルタントにプログラミングスキルは必須ではありませんが、スキルがあると業務に役立ちます。また、プログラミングスキルを持つITコンサルタントは市場においてニーズが高いです。

ITコンサルタントとして活躍するためには、プログラミングを避けるのはあまり得策ではありません。プログラミングのすべてを理解する必要はないですが、大枠や仕組みなどプロジェクトに必要な部分を体系的に学習することをおすすめします。

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