ITコンサルタントになるには?役立つ資格や向いている人の特徴とは

最終更新日:2024年3月26日

ITコンサルタントとは、ITに関する専門知識に加え、経営的な視点を用いて顧客の課題を解決する職種です。一般的には、SE経験を経てから目指す職種ですが、企業によっては、IT業界未経験者にも門戸が開かれています。そのため、各企業が求めるスキルや経験を理解した上で、自身の強みが活かせる求人に応募する必要があります。

この記事では、ITコンサルタントを目指している方に向けて、ITコンサルタントを目指す上で求められるスキル・知識・経験やキャリアパス、スキルアップにつながる資格、年収、求人例などを解説します。

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この記事のまとめ

  • ITコンサルタントになるには、学歴よりもITの深く幅広い専門知識とスキル、経験が求められる
  • 未経験者がITコンサルタントになるためのキャリアパスは、技術営業として経験を積むことがおすすめ
  • ITコンサルタントは顧客にスケジュールを左右されたり、最新の知見を学び続ける必要があるため、激務といわれることがある

ITコンサルタントとは

ITコンサルタントは、ITと経営の両方の知識を持ち、クライアント企業の課題を解決する職種です。ITの知識がベースとなるため、SEからステップアップしてITコンサルタントの仕事に就いた方も数多くいます。

SEとITコンサルタントは、ITのスキルが必要な点は共通ですが、仕事内容は大きく異なります。そこでまずは、ITコンサルタントの仕事内容から見ていきましょう。

主な仕事内容

ITコンサルタントは、クライアント企業の経営者などから、その企業が抱える問題を丁寧にヒアリングし、ITを活用してその問題を解決するのが主な仕事です。

クライアント企業が抱える問題は企業ごとに異なります。ITコンサルタントはITの専門家ですが、問題の解決に必要な知識はITにとどまりません。経営、財務、人事、生産などの一般的な知識に加えて、クライアント企業の業務に関する知識も必要です。

問題を丁寧にヒアリングした後、IT戦略の策定やソリューションの提案、そしてシステムの要件定義などの役割を担います。システムエンジニアがシステム開発の実装面に近い仕事であるのに対し、ITコンサルタントはシステム開発の上流工程や、クライアント企業に近い立場での仕事が主な業務です。

そのため、よりクライアント企業に近い視点で問題を捉え、その問題を解決するためのITプロジェクトを推進する必要があります。

関連記事:ITコンサルタントの仕事内容を解説|必要なスキルや年収も紹介

他の職種との違い

ITコンサルタントは、さまざまな種類のコンサルタントやITエンジニアと比較されます。具体的には、 経営コンサルタントや戦略コンサルタント、 財務・人事・労務コンサルタント、SE(システムエンジニア)、SIerなどです。ここでは、ITコンサルタントとよく比較される他のコンサルタントや、IT業界の職種との違いについて解説します。

SE(システムエンジニア)

SE(システムエンジニア)は、システムの設計や開発、改修を行う職種です。クライアントからヒアリングし、要望に沿ったシステムの設計・開発を行います。あらかじめ決められた予算や納期に合わせて、システムを開発することが重要です。

経営コンサルタント

経営コンサルタントは、企業の経営戦略を中心に、財務、人事、ITなどの経営全般を幅広くコンサルティングします。クライアント企業の担当者から外部の専門家まで、多くの専門家を巻き込んで仕事するのが一般的で、優れたコミュニケーション能力が求められます。

戦略コンサルタント

戦略コンサルタントは、経営戦略に特化したコンサルタントです。特に大企業のクライアントが多く、事業承継なども含めて経営トップ層の問題解決が主な業務です。クライアントの経営方針全体から、会計や人事など専門分野まで幅広く対応します。戦略コンサルタントには、幅広い視点で課題を捉え、最適な提案をする能力が求められます。

財務・人事・労務コンサルタント

財務、人事、労務などの経営戦略以外の業務を担当するコンサルタントもいます。こうした業務の豊富な経験を持つ方が、財務、人事、労務などを専門とするコンサルタントになることが一般的です。例えば、財務コンサルタントであれば、会計士や税理士資格の保有者がなることが多く、人事、労務コンサルタントは社会保険労務士資格の有資格者などが活躍しています。

SIer

SIerとは、顧客から開発を請け負い、システム開発や保守運用を行う企業を指します。システム規模が大きく、プロジェクトに在籍する人員の数も多いという特徴があります。SIerは多重請負などが問題になるケースも多く、あまりよくないイメージがあるかもしれません。

しかし、SIerで経験を積むことでITを含む幅広いスキルを身につけ、そこからITコンサルタントに転職する人も多いです。またITコンサルタントが最上流工程でプロジェクトを発足させ、開発をSIerが行うプロジェクトも多々あります。

ITコンサルタントの種類

ITコンサルタントは、課題解決方法や導入支援に関わるITツールなどによって、職種が細分化されています。具体的には、SAPコンサルタントやERPコンサルタント、SCMコンサルタント、CRMコンサルタントが当てはまります。ここでは、これらのITコンサルタントの種類と仕事内容について、具体的に解説します。

SAPコンサルタント

SAPコンサルタントは、ドイツのソフトウェア企業であるSAP社のERPパッケージ専門のITコンサルタントです。SAPの専門知識を活かして、クライアント企業の経営効率化を目指します。多くの大手企業が経営効率化のためにSAPを導入しており、SAPコンサルタントの需要も増加しています。

ERPコンサルタント

ERPコンサルタントは、ERPパッケージの導入支援を行うITコンサルタントです。Oracleなどベンダー各社が開発したERPパッケージの専門家として、クライアント企業の経営課題の解決のために最適なERPパッケージを提案します。ERPコンサルタントには、経営や税務、法務、コスト管理などの知識も求められます。

SCMコンサルタント

SCM(Supply Chain Management)コンサルタントは、サプライチェーンの分野から企業の経営課題の解決やコスト削減を提案するITコンサルタントです。サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、販売、消費までのプロセスを指します。SCMコンサルタントは、サプライチェーンを管理するシステムの効果予測や調査分析をして、システムの選定や導入、運用までの提案を行います。

CRMコンサルタント

CRM(Customer Relationship Management)コンサルタントは、顧客管理システムや顧客管理ツールを専門とするITコンサルタントです。CRMコンサルタントは、クライアント企業に最適な顧客管理システムの選定や導入、運用までの提案を行います。CRMコンサルタントには、マーケティングやITトレンド、セールスに関する知識も求められます。

主要な就職先

ITコンサルタントの主要な就職先として一般的には、コンサルティングファームが挙げられます。コンサルティングファームと一口で言っても、得意とする業務や業種は異なります。また仕事の進め方や待遇も企業により大きく違ってくるので、就職する際には、十分に応募先企業の研究を行いましょう。他にはどのような就職先があるのでしょうか。

大手企業

ITコンサルタントは、コンサルティングファームだけでなく、一般的な大手企業にも在籍することがあります。たとえば、前述したSIerに在籍することもあります。業務プロジェクトを得意とするITコンサルタントは、SIerプロジェクトの最上流工程を担当することが多く、SIerに在籍することで業務の流れがスムーズになります。また、ITとは無縁のように見える業界のIT部門にも在籍することがあります。

ベンチャー企業

ベンチャー企業は業務内容が多岐にわたるため、在籍しているメンバーの職種も多種多様です。IT系のベンチャー企業であれば、ITコンサルタントが多く在籍しています。たとえば、自社開発したサービスを他社に売り込む際、ITコンサルタントがいると顧客企業とのやり取りがスムーズになります。IT系のベンチャー企業でなくても、ITは重要なツールとなっているため、ITコンサルタントが在籍している場合があります。

スタートアップ企業

スタートアップ企業にITコンサルタントが在籍するケースもあります。この場合、ITコンサルタントの役割は自社のIT環境の整備などです。つまり、自社に対してITコンサルを行うイメージです。社員として在籍している場合もあれば、外部の顧問コンサルタントのような形で契約している場合も多いでしょう。

ITコンサルタントになるには

ITコンサルタントになるためのキャリアパスについて解説します。最近では、人材の多様化が進み、ITコンサルタントになるための方法もひとつではありません。ハードルは高くなりますが、IT業界未経験でも、ITコンサルタントを目指すことは可能です。本章では、ITコンサルタントになるための方法を解説します。

関連記事:ITコンサルタントのキャリアパスとは?キャリアプラン・キャリアアップの具体例

ITコンサルタントがいる企業に就職・転職する

ITコンサルタントになるためには、ITコンサルタントがいる企業に就職・転職することが近道です。ITコンサルタントになるには、大規模なITプロジェクトの経験が欠かせません。ITコンサルタントがいる企業は、コンサルティングファームやIT系の大手ベンダー、SIerなどがあります。このような企業で、経験を積むのもよいでしょう。

SEから目指す場合のキャリアパス

SEの経験を持っている人が、ITコンサルタントを目指す場合、まずはプロジェクトマネージャなどになってシステム開発の上流工程を経験し、その後転職することが多いでしょう。SEとして3〜5年程度の要件定義や基本設計などの経験があれば、ITコンサルタントになることは決して難しいことではありません。しかし、上流工程の経験がない場合は、ITコンサルタントへのキャリアアップは現実的ではありません。

また、転職せずに社内公募や昇進によってITコンサルタントになることもできます。この場合、資格取得による知識やスキルの証明や、社内での優れた成績が重要です。

IT未経験から目指す場合のキャリアパス

IT未経験の場合は、技術営業からITコンサルタントを目指す方法もあります。技術営業は、ITの専門知識を活かして顧客へ営業活動をする職種です。ITの知識をもとにして、顧客に最適な提案を行う部分に関しては、ITコンサルタントの仕事と重なります。

未経験から技術営業になるには、システム開発などの業務を理解できるレベルの知識や経験が必要になります。また、技術営業はハードウェアやソフトウェア、OS、プログラミング、インフラ環境などの幅広い知識が求められます。

関連記事:未経験からITコンサルタントになるには?書類選考・面接対策も解説

異業種からの転職も可能

ITコンサルタントへの転職は、専門分野の知識があれば異業種からでも可能です。例えば、医療関係のクライアントが多いコンサルティングファームであれば、医療関係者など医療現場の知識があると重宝されます。医療現場の知識があれば、医療現場の業務課題やIT活用の提案ができます。

また、金融サービス業界で、金融サービスとIT技術を結びつけたフィンテックに関わった経験がある方も、ITコンサルタントへの転職が可能です。顧客資産を預かるオンラインバンキングやキャッシュレス決済などは、セキュリティ対策が必須になります。その経験を活かして、ITを活用したセキュリティの提案ができるITコンサルタントを目指せます。

ITコンサルタントに必要なスキル・知識・経験

クライアントの経営課題を見つけ出し、ITを用いた経営課題の解決を提案するITコンサルタントには、さまざまな「スキル」「知識」「経験」が求められます。これらのスキルや知識、経験を得るためには、長期間に及ぶ自己研磨や業務経験が必要になります。ここでは、 ITコンサルタントに必要なスキル・知識・経験について紹介していきます。

関連記事:ITコンサルタントに必要なスキルを基礎・領域別に紹介

必要なスキル

ITコンサルタントになるためには、さまざまなスキルが求められます。具体的には、IT戦略立案力や課題解決力、マネジメント力、コミュニケーション力、英語力などといった幅広い分野のスキルが必要になります。ここでは、ITコンサルタントに必要なIT戦略立案力や課題解決力、マネジメント力などのスキルを解説していきます。

関連記事:ITコンサルタントに必要なスキル

論理的思考力

ITコンサルタントは、クライアントの経営課題を整理し、解決策を提示して納得させる役割を担います。この過程で、論理的思考力が非常に重要です。論理的思考力とは、因果関係を順序立てて考え、複雑な内容をわかりやすく説明する能力です。論理的思考力を養うには、日常から理由を深く掘り下げて考える習慣が効果的です。

IT戦略立案力

IT戦略とは、情報システムを活用して経営ビジョンを実現するための方針です。IT戦略の立案は、ITコンサルタントとして最も重要な仕事のひとつです。企業にとって、IT導入は「投資」と考えられることが多く、場合によっては膨大な費用がかかります。しかしその費用が投資と見合った成果をもたらすとは限りません。

そのため、IT導入に際しては経営レベルでの戦略が必要となります。戦略を立てないIT導入は、費用の無駄遣いとなることがあります。しかし、企業内に十分なスキルを持つIT人材がいるとは限りません。そのため、企業はIT導入時に経営とITの双方に強いITコンサルタントを活用して、IT戦略立案支援を依頼します。

課題解決力

経営には様々な課題が付きものですが、自社の人材や資源だけで全てを解決することは困難です。多くの課題は複雑であり、中には解決の糸口すら見つけられないこともあります。そのような解決困難な課題への対応として、ITコンサルタントが活用されています。

企業が抱える課題は、企業によって様々ですが、課題によっては複数の企業で共通点を持つものもあります。しかし、ある企業が持つ課題と、別の企業が持つ類似する課題であったとしても、同じような手法で解決できるとは限りません。ITコンサルタントは企業ごとに課題の本質を見極め、解決のためのシナリオを作成して、課題を解決するスキルが求められます。

マネジメント力

ITコンサルタントの業務はプロジェクトとして進行することが多く、プロジェクトを円滑に進めるためのマネジメント力が必要です。ときにはクライアントとなる経営者を含めて、多くの利害関係者を巻き込んでプロジェクトを成功させるために動いてもらわなければいけません。そのためには人材の配置やスケジュール管理など、プロジェクト全体を滞りなく進められるマネジメント力が必要不可欠です。

コミュニケーション力

ITコンサルタントは、経営の中枢を担う経営者から企業内で働いている一般社員まで、さまざまな立場の方と接する機会があります。それぞれ社内での立場は異なりますが、ITコンサルタントは課題を解決するために、さまざまな立場の方と適切なコミュニケーションを取るスキルが求められます。

英語力

英語が必要になるかは、コンサルティングファームによって異なります。ほとんどの求人募集では、募集要項に英語が入ることは少ないです。しかし、大手コンサルティングファームでは、海外進出やグローバルな案件もあるため、英語が必須になります。将来的にも活躍できるITコンサルタントになるためにも、英語力を身につけておくべきスキルです。

必要な知識

ITコンサルタントには、クライアントの経営課題を解決するための豊富な専門知識が必要になります。ITコンサルタントに必要な知識で代表的なものは、 ITに関する知識や経営・業務に関する知識などです。もちろん、これらの知識以外にも携わる業界・業種によって、習得するべき知識は多くあります。ここでは、ITコンサルタントに必要な知識について解説します。

IT知識

ITコンサルタントはITの専門家として豊富なIT知識が必要です。例えばシステム開発であれば、上流工程から下流工程まで全体を俯瞰できるIT知識が必要であり、それに加えてIT業界で話題となっている新技術やサービスなどの情報を敏感に察知して取り入れるための知識も必須です。

関連記事:ITコンサルタントにプログラミングスキルは必要?具体例から解説

経営・業務知識

ITコンサルタントには経営やクライアント企業の業務知識も必要です。ITコンサルタントがITに詳しいのは当然であり、それに加えて経営者と話ができる程度の経営知識や、クライアント企業の業務知識がなければ、クライアント企業の課題を解決することはできません。

経営の知識として具体的には、財務会計、人事管理、販売管理、資産管理などがあげられます。またクライアント企業についても、専門家レベルほどに至らなくても、課題を解決に導ける程度の業務知識を身につける努力が求められます。

必要な経験

ITコンサルタントにはIT業界での経験があれば有利ですが、たとえIT業界の経験がなくても、マネジメント経験や、これまで関わってきた業種におけるIT投資などの専門的な知識があれば、ITコンサルタントとして採用してもらえる企業もあります。

具体的な経験としては、システム開発プロジェクトのリーダーとしての経験や、金融や物流、公共事業など特定の分野での業務、顧客折衝やマネジメント経験などです。

ITコンサルタントになるのに必須の学歴はない

ITコンサルタントになるためには、有名大学出身など学歴が必須と思われがちですが、実際は必須の学歴はありません。ITコンサルタントに求められるのは、学歴よりも、深く幅広い専門知識とスキル、経験です。

ITコンサルタントに学歴が重視されない理由としては、IT業界の人材の流動性の高さが関係しています。IT業界は人材不足が顕著であり、多くの企業はIT人材の不足に頭を悩ませています。そのため、学歴を重視するよりも、深く幅広い専門知識とスキル、経験がある人材を即戦力として採用しています。

大学で学ぶと有利な分野はある

ITコンサルタントへの転職では、大学で学ぶと有利な分野はあります。分野としてはコンピュータサイエンスや情報技術、経営に関する分野の学位があると有利です。また、情報マネジメントや分析・解析、プログラミングなどの履修も重要です。これらの分野の修士号を取得できれば、ITコンサルタントへの転職はさらに有利になります。学歴のほかにも、ITコンサルタントの仕事に役立つ資格の取得もアピール材料に使えます。

ITコンサルタントになるために役立つ資格

ITコンサルタントに必須の資格はありませんが、スキルアップにつながる資格はいくつかあります。これらの必須の資格には、国家資格である情報処理技術者試験とその他の分野に関する資格があります。資格を取得することで、所属する企業やクライアントに対して、専門知識があることの証明が可能になります。ここでは、 ITコンサルタントのスキルアップにつながる資格について解説します。

関連記事:ITコンサルタントの資格16選をスキル別に紹介します

国家資格

ITコンサルタントのスキルアップにつながる国家資格としては、情報処理技術者試験の ITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験の取得がおすすめです。ITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験は、共に難易度の高い試験ですが、取得することでITを扱う高度人材としてのスキルを証明できます。以下では、この2つの試験について解説します。

ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験は、IPAが実施している情報処理技術者試験のひとつです。ITコンサルタント育成を主眼としており、経営戦略に基づいたIT戦略策定や、事業革新・業務改革へのIT利活用方法などを学ぶことができます。合格率は15%程度と難易度の高い資格です。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験も、IPAが実施している情報処理技術者試験の一つです。システム開発におけるプロジェクトマネージャとしてのスキルを評価する資格です。システム開発に必要な、人員、予算、スケジュール、品質などを計画に基づいてマネジメントできる人材の育成を目的としています。合格率は10%前後とこちらも難易度の高い資格です。

その他の資格

ITコンサルタントのスキルアップにつながる資格のなかで、情報処理技術者試験以外の資格でおすすめの資格は、ITコーディネータやITIL®認定資格、中小企業診断士、経営士があります。主に経営に関する資格が中心になりますが、これらの資格で得る知識は、ITコンサルタントとしてスキルアップするためには重要になります。以下で、その他の資格の詳細を解説します。

ITコーディネータ

ITコーディネータは、ITを経営に役立てるために、経営者の立場での助言や支援ができる人材を評価する資格です。SaaSやクラウドなどの最新技術を取り入れ、製造業や小売業、サービス業を始めとしたさまざまな業種で活躍できる人材を育成することを目的としています。合格率は60%程度と比較的易しいのですが、毎年の更新手続きが必要となります。

ITIL®認定資格

ITIL®認定資格は、イギリス政府がまとめたITサービスマネジメントのベストプラクティス集であるITIL®をベースとしたITサービスマネジメントに関するスキルを証明する資格です。資格には全国のピアソンVUE試験会場、あるいはプロメトリック試験会場で受験できます。試験の合格率は非公開であり、資格の更新制度はありません。

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業が抱える経営課題に対し、診断・助言を行う「経営コンサルタント」養成を目的とした資格です。経営戦略や会計、人事労務、物流、生産などIT以外の知識・スキルを幅広く習得することができます。合格率はわずか3%程度となっています。

経営士

経営士は、中小企業診断士と共に、経営コンサルタントとしての知識を習得できる資格です。また、経営コンサルティングに関する資格として長い歴史を持ち、習得できる知識レベルとしては中小企業診断士と同等の存在です。合格率は70%程度と比較的高く、受験するには5年以上の経営管理実務経験が必要です。

ITコンサルタントに向いている人

ITコンサルタントに向いている人は、社会に役立つ活動にやりがいを感じる方や課題解決時に達成感を感じる方などが当てはまります。課題解決のためには、クライアントから必要な情報を正確に聞き取り、総合的に検討して判断する能力が求められます。

その一方で、課題解決には多くのタスクがあるため、ハードな仕事になります。また、売上目標などがあるコンサルティングファームの場合では、数字に対するプレッシャーもあります。ですが、数字に対するプレッシャーに慣れている方にとっては、向いている職種でもあります。

ITコンサルタントになるための転職準備

ITコンサルタントへの転職を目指している方にとっては、どのような転職準備をしたらいいのか悩む方も多くいるでしょう。ITコンサルタントになるために必要な転職準備は、業界情報の収集やITコンサルタントとしてのキャリアプランを立てる、 必要なスキルを身につける、志望動機と自己PR、転職サービスに登録などの流れになります。ここでは、ITコンサルタントになるために必要な転職準備について解説します。

関連記事:ITコンサルタントからの転職|転職先例や面接のポイント

業界情報を収集する

ITコンサルタントになるためには、まずIT業界に関する情報を収集することが重要です。例えば、話題になっているITサービスや新技術は、ITコンサルタントとしての業務を進める上でのヒントになるかもしれません。2020年代にはAIやビッグデータ、データサイエンスなどのトピックが注目されていますので、これらについては説明できるレベルまで理解しておくことが望ましいでしょう。

ITコンサルタントとしてのキャリアプランを立てる

ITコンサルタントになった後には、キャリアプランを立て、自分自身の成長を追求することが大切です。ITコンサルタントには、「アナリスト」「コンサルタント」「マネージャー」「パートナー」という4つのスキルレベルがあります。自分自身がどこまでのスキルレベルに成長し、何年で到達したいのか、明確に計画を立てることが大切です。

また、定年まで同じ会社に勤める必要はありません。自分自身の成長に合わせて、他の企業への転職を繰り返すこともできます。特にコンサルティング業界では終身雇用の概念が薄く、定年までにいくつかの会社を渡り歩くことが一般的です。

必要なスキルを身につける

ITコンサルタントは、ITや経営に関する深い知識が求められる仕事です。クライアントの経営課題を解決するためには、論理的思考力や課題解決力、マネジメント力などの、ITコンサルタントに仕事に必要なスキルや知識を身につけることが重要になります。さらに、いままでの業務経験から、ITコンサルタントの仕事に役立つことがないか見直すことも大切です。

ITコンサルタント求人向けの志望動機と自己PRを作成する

ITコンサルタントへの転職には、転職先企業の採用担当者が納得できる志望動機と、自分のやる気や能力を上手く伝えられる自己PRの作成が必要です。具体的には、転職先の企業を選んだ理由やITコンサルタントを志した理由、そして転職後に活かせる知識や経験をアピールします

コンサルタントには論理的思考力が求められるため、志望理由や自己PRの作成には、事実を支える裏付けをしっかりと書いて、ロジカルでわかりやすい文章にすることを心がけましょう。

関連記事:ITコンサルタントの志望動機の書き方|経歴や業界別の例文も紹介

ITコンサルタント求人がある転職サービスに登録する

転職サービスに登録する際は、ITコンサルタント求人がある転職サービスを選ぶことが重要です。一般的な転職サービスでも、ITコンサルタントの求人情報は掲載されていますが、その件数は少ない可能性があります。そのため、その他の求人情報に埋もれて見落としてしまうリスクもあります。

しかし、エンジニア専門の転職サービスであれば、ITコンサルタントの求人情報が多く掲載されているため、見逃すことはないでしょう。また、転職サービスのキャリアアドバイザーからは、転職活動に役立つ情報やノウハウなどのアドバイスを受けることができます。そのため、ITコンサルタントを目指す場合は、ITコンサルタント求人がある転職サービスに登録することをおすすめします。

ITコンサルタントの求人例

企業のIT化が進むことで需要が高まっているITコンサルタントですが、実際の求人状況はどのようになっているのでしょうか。ITコンサルタントは、年収に幅のある職種ですが、マネージャー職経験やプロジェクトマネジメント経験が豊富なほど年収が高くなる傾向にあります。ここでは、 ITコンサルタントの求人例を紹介していきます。

第二新卒

第二新卒に対してITコンサルタントの求人が出されている場合もあります。ITコンサルタントは基本的に経験者の求人が多いのですが、たとえば外資系のコンサルティング会社では間口を広げています。そのため、未経験でもやる気があれば採用され、成果を残せばそれに見合った高収入を得られます。

中途入社

中途入社の場合、ITコンサルタントの経験があるかどうかで採用枠が変わってきます。ITコンサルタントの経験がある場合、選択肢は豊富です。またIT業界の別の職種の経験がある場合は、同業種でITコンサルタントを目指すと採用されやすいでしょう。

独立系コンサルティングファーム

レバテックキャリアに掲載されている求人情報から、独立系コンサルティングファームの求人例を紹介します。

【具体的な業務内容】
・情報戦略/IT戦略/デジタル戦略の策定・実行支援
・DX推進/IT運営機能・組織(情報子会社を含む)の変革支援
・デジタル人材戦略立案・育成計画・実行支援
・デジタル/IT投資・コスト管理手法の構築支援
・統合リスクマネジメント態勢の構築支援

【求められる経験や知識】
・企業のデジタル変革(DX)や情報システム部門運営改革プロジェクトをリーダーとして完遂した経験
・情報戦略や情報化に関する中長期計画の立案にて中核的な役割を果たした経験
・デジタルビジネスやデジタルサービスの企画・開発にて中核的な役割を果たした経験
・顧客の問題と課題を見極め、解決策を提案し、実行を推進できる能力
・顧客内の多様なステークホルダーを調整・合意形成し、共にビジネスを推進するコミュニケーション能力

【年収】
600~1,400万円

【勤務地】
東京都

大手自動車メーカーや金融・損害保険子会社

大手自動車メーカーや金融・損害保険子会社の求人例を紹介します。

【具体的な業務内容】
・複数プロジェクト間の調整
・個別プロジェクトのモニタリング
・プロジェクトマネージャー支援など

【求められる経験や知識】
・開発プロセスを把握してマネジメントする必要があるため、システム開発の経験を有する方
・もしくはSIer、ITコンサルティングファームでのPM経験者
・ビジネスレベルの英語力

【年収】
500~800万円

【勤務地】
東京都

ITコンサルタントの年収

ITコンサルタントの平均年収は厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag(日本版O-NET)」(※1)によると660.4万円でした(出典:令和4年賃金構造基本統計調査)。所属する企業や専門分野・領域にもよりますが、ITコンサルタントの年収は他のITエンジニアと比較すると高い傾向にあります。

フリーランスのITコンサルタントの場合、クライアントの規模や専門分野によりますが、実力次第で年収1000万を超える方もいます。特にSAPコンサルタントやERPコンサルタントは年収が高い傾向です。

※1 引用:『jobtag(日本版O-NET)』厚生労働省(2023年12月14日アクセス)

関連記事:ITコンサルタントの年収が高い理由や転職活動のポイントを徹底解説

ITコンサルはやめとけ?激務といわれる理由

ITコンサルタントへの転職は、激務だからやめとけというコメントを聞くことがあります。よく言われるコメントとしては、最新の知見を学び続ける必要があることや、顧客にスケジュールを左右されるために激務になってしまうなどがあります。ここでは、ITコンサルタントの仕事はやめとけ?激務といわれる理由について解説します。

最新の知見を学び続ける必要がある

IT業界は日々進化しており、最新の技術やトレンドも目まぐるしく変わります。また、社会情勢も激しく変化しており、企業のビジネスもそれに対応すべく変化をし続けています。このような動きに対応できないITコンサルタントは、時流から乗り遅れて淘汰されてしまいます。そのため、ITコンサルタントは最新の知見を学び続ける必要があります。この学び続けることに対して、激務と感じてしまう方も少なくありません。

顧客にスケジュールを左右される

ITコンサルタントは、クライアントからのさまざまな要望に柔軟に応える必要があります。クライアント都合のスケジュール変更にも対応するため、自分のペースで仕事が進むことは少ないでしょう。自分のペースで仕事を進めたい人や、スケジュール変更にストレスを感じる人にとっては、ITコンサルタントの仕事は苦痛になるかもしれません。

ITコンサルタントに関するよくある質問

ITコンサルタントへの転職を目指す方には、 ITコンサルタントに関するさまざまな質問があるでしょう。 ITコンサルタントに関するよくある質問としては、「大学の何学部で学べばいい?」「将来性はある?」「仕事内容は?」「ITコンサルタントとコンサルタントの違いは?」などがあります。以下では、このようなITコンサルタントに関するよくある質問を紹介します。

Q1. ITコンサルタントになるには大学の何学部で学べば良いですか?

ITコンサルタントになるためには、情報学、数学、物理学などの学部を卒業することが望ましい傾向にありますが、IT関連の知識やプログラミングスキルがあれば、学部や専攻などは問われません。従って、ITコンサルタントになるには、ITの知識やプログラミングスキルの習得が重要です。

Q2. ITコンサルタントに将来性はありますか?

ITコンサルタントの将来性は、明るい状況にあると予測されています。ITコンサルタントは、DX化が進む多くの企業において、問題解決のために必要な専門家として需要が高まっています。業界によって需要は異なりますが、全体的に将来性が期待されています。今後もDX化の流れは継続すると予測され、さらにITコンサルタントの活躍が期待されています。

関連記事:ITコンサルタントの将来性とは?仕事内容や年収も紹介

Q3. ITコンサルタントの仕事内容を教えてください

ITコンサルタントは、クライアント企業が抱える問題をヒアリングし、ITを活用して解決へ導く職種です。主な仕事内容は、IT戦略の策定やソリューションの提案、そしてシステムの要件定義などがあります。ITコンサルタントには、クライアント企業の課題解決のために、経営、財務、人事、生産などの一般的な知識に加え、クライアント企業の業務に関する知識が必要になります。

Q4. ITコンサルタントとコンサルタントの違いは何ですか?

ITコンサルタントは、ITの知識を駆使しながらクライアントの経営課題の解決に導く提案をする職種です。営業や経理、人事、製造などの業務の効率化を、IT技術を用いて提供します。一方で、コンサルタントは経営全般に関わるコンサルティングや支援などが主な業務です。ITコンサルタントは、ITの専門知識を用いたコンサルティングに対し、コンサルタントは経営の全体面をコンサルティングします。

まとめ

この記事では、ITコンサルタントを目指している方に向けて、ITコンサルタントを目指す上で求められるスキル・知識・経験やキャリアパス、スキルアップにつながる資格、年収、求人例などを解説しました。

ITコンサルタントは、ITと経営の両方の知識を持ち、クライアント企業の経営課題を解決する職種です。深いIT知識が必要となるため、SEなどITエンジニアからステップアップしてITコンサルタントに転職した方も多くいます。ITコンサルタントになるためには必須の学歴はなく、学歴よりもITの深く幅広い専門知識とスキル、経験が求められます。ITコンサルタントに興味がある方は、この記事を参考にITコンサルタントへの転職を目指してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修

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