- 社内SEが簿記の資格を取得するメリット
- 簿記資格は書類審査で力を発揮する
- 社内SEが簿記の資格を取得する場合何級を目指せば良い?
- 社内SEの簿記の勉強方法
- 簿記を活かせる社内SE
- 簿記以外で社内SEの仕事に役立つ資格
- 社内SEに関するよくある質問
- まとめ
社内SEが簿記の資格を取得するメリット
社内SEを目指す方に、おすすめのIT系以外の資格は簿記です。簿記の資格を取得することで、さまざまなメリットがあります。
企業によって、社内SEの業務範囲は異なります。情報システム部門をひとりで担う「ひとり情シス」に近い企業もあります。社内ITのトラブル対応やシステム管理などの役割だけでなく、経営や会計関連の基幹システム構築・運用・保守に関わるケースもあります。そのため、会計に関する知識があると、これらの業務に役立ちます。
ITパスポートの試験内容に、会計の知識が問われるなど、業務を進めるには簿記は必要な知識といえます。もちろん業務内容によっては、簿記の知識がいらないケースもあります。しかし、簿記の知識があることで、仕事の幅が広がります。
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自社のビジネス理解が深まる
簿記の資格を取得することで、自社のビジネス理解が深まります。なぜなら、ビジネスの仕組みの根幹には簿記があるからです。たとえば、仕入れ、売上、利益などの考え方はすべて簿記に基づいています。言い換えれば簿記の学習経験がまったくない人でも、ある程度の簿記の概念は理解できているということです。さらに簿記の理解を深めれば、お金の動きがより理解できます。
また自社のビジネスが理解できないと、クライアントや社内の他部署とのコミュニケーションがうまく進まないこともあります。社内SEとして、自社のビジネスが理解できれば、何が必要なのか要望を見抜くことも可能でしょう。
基幹システムを理解する際に簿記の知識が役立つ
基幹システムとは、企業が業務の核として使用するシステムのことです。そのため、企業ごとに基幹システムの内容は異なります。しかし、企業は営利目的で活動しているため、基幹システムにも当然営利が絡んできます。
つまりどの企業の基幹システムでも簿記の知識が役立つということです。基幹システムは簿記に基づいて処理を行うので、簿記の知識があると基幹システムの設計に関して正しい理解、提案がしやすいでしょう。
会計システムの構築や運用がスムーズになる
会計システムの構築や運用がスムーズになることも、簿記を学ぶメリットです。簿記検定では、仕訳から決算書作成までの会計の知識が問われます。経理の業務範囲の知識を得ることで、経理が会計システムに求める要件定義が的確に理解できます。その結果、会計システムの構築や運用がスムーズになります。
コスト意識が変わる
簿記の資格を取得することで、コスト意識が変わるメリットもあります。原価計算や管理会計といった会計知識を身につけることで、コスト計算に基づいたシステムの開発・構築プロジェクトなどの提案が可能になります。コスト意識が変わることで、コスト削減の検討や予算の要求などにも役立ちます。
経営層とのコミュニケーションが円滑になる
経営層とのコミュニケーションが円滑になることも、簿記の資格を取得するメリットです。社内SEは、社内システムの改善など提案する際に、経営層とコミュニケーションを取る場面があります。そのような場面では、経営層から売上と利益に対して、どのような影響があるか尋ねられることがあります。会計・財務が理解できれば、経営層にわかりやすく説明することも可能です。
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転職時に有利になる
転職時に有利になることも、簿記の資格を取得するメリットです。転職サイトや転職エージェントに登録した際に、簿記の資格があることで、オファーが増える可能性があります。また、簿記2級を取得することで、収入アップも期待できます。
簿記資格は書類審査で力を発揮する
前述したように、社内SEが会計関連のシステムに関わる可能性はあります。そのため、履歴書の資格欄に「簿記」の記載があると、面接時のアピール材料になります。企業によっては、初級のIT系資格や経験より重視されることもあります。
簿記3級レベルなら1〜2ヶ月ほどで、資格を取得できる可能性はあります。簿記の資格を取得している社内SEは、まだまだ少数なのが現状です。簿記は、他の転職希望者に差をつけるだけでなく、仕事のさまざまなシーンで役立つ資格です。社内SEを目指す方は、簿記の資格取得に挑戦してみるといいでしょう。
関連記事:社内SEの志望動機の書き方は?ポイントと例文も紹介
会計知識が有利になりやすいケース(転職先)
転職先によって、会計知識が有利になるケースは以下のような例かあります。
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・中小・ベンチャー企業の社内SE・会計システムに強いSIerのエンジニア
・ITコンサルタント
ここでは、これらの例について解説していきます。
関連記事:社内SEになるには?求められるスキルや資格を解説
中小・ベンチャー企業の社内SE
中小・ベンチャー企業の社内SEは、業務範囲が広くなる傾向があります。そのため、企業内の会計・財務システムの開発や導入を、社内SEが担当することもあるでしょう。社内SEが会計知識を持つことで、システムの設計や分析、問題把握などの提案も効果的に可能になります。
会計システムに強いSIerのエンジニア
会計システムに強いSIerのエンジニアも、会計知識が有利になりやすいケースです。会計システムに強いSIerでは、クライアントの経営管理に関するプロジェクトを担います。具体的には、会計システム導入や顧客への提案、構想策定などが当てはまります。この際に、簿記の管理会計や部門別損益管理・原価計算などの知識があると、要件定義や顧客への説明などに活かせます。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは費用対効果を考えて企業に対して提案を行う必要があります。ITシステムの導入や業務効率の効果を説明する際に、会計・財務の知識が求められます。クライアント企業のIR資料が理解できないと、適切な改善提案が行えません。そのため、ITコンサルタントには、簿記はおすすめの資格といえます。
ITコンサルタントの場合は会計や経理のシステムでなくても簿記の考え方は必要ですが、対象システム会計、経理システムなら簿記の知識は必須と言っても過言ではないでしょう。システムの提案でも、顧客企業がシステムを導入する費用対効果を検討するうえでも簿記の考え方が重要だからです。
関連記事:
社内SEの将来性は?仕事内容や平均年収とキャリアパスも紹介
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社内SEが簿記の資格を取得する場合何級を目指せば良い?
社内SEが簿記の資格を取得する場合、実務的には日商簿記2級で必要十分です。日商簿記1級は難関資格のうえに、社内SEの業務で日商簿記1級レベルの知識が、必要となるケースは限られます。
日商簿記3級は比較的取得が平易ですが、2級と比較すると実務面でカバーできる範囲が狭くなります。また3級は取得者も多いため、まずは2級を目標に目指すことをおすすめします。
関連記事:社内SEとは?仕事内容、必要なスキル、役立つ資格も解説
基礎知識だけなら3級でも十分
日商簿記2級の取得を推奨しましたが、会計の基礎知識だけなら3級でも十分です。簿記を学ぶことで、ビジネスの基礎知識が身につきます。営業やマーケティング担当なら、普段の業務からビジネスを理解する場面は多くあります。社内SEは、そのような機会が少ないため、簿記でビジネスの基礎を理解することが重要です。
関連記事:社内SEに必要なスキル|SEとの違いや役立つ資格も解説
履歴書で差をつけたいなら2級は欲しい
社内SEをこれから目指す方であれば、日商簿記2級の取得をおすすめします。日商簿記2級は、原価計算など工業簿記が出題範囲になります。日商簿記2級を取得することで、ビジネスや会計システムの理解だけでなく、コスト意識を養えるメリットがあります。
これらの知識を履歴書でアピールするためにも、日商簿記2級の取得をおすすめします。
1級は難易度は高いが大きな強みになる
日商簿記1級は、難易度が非常に高く、取得に時間がかかります。簿記1級を学ぶことで、会計の本質的な考え方が身につきます。企業の財務諸表から見える問題点や改善点が理解できることは、企業内外の評価を高めることができるでしょう。また日商簿記1級を取得することで、将来のキャリアアップのスケール拡大も期待できます。
社内SEの簿記の勉強方法
社内SEが簿記の資格を取得するには、体系的に簿記の知識を学ぶことが重要です。体系的に学ぶには、書籍やスクールを活用するといいでしょう。ここでは、簿記の勉強方法について解説します。
書籍を使って独学する
簿記は人気の資格なので、書籍が充実しています。そのため、市販の書籍を使って独学が可能です。プログラミング学習は最近スクールが一般的になっていますが、簿記に関しては独学の方が主流でしょう。簿記1級は独学では難しい場合もありますが、3級や2級は独学で合格可能な人が多いです。
スクールを利用して学ぶ
簿記2級までは独学で十分合格可能ですが、独学での勉強が不安な場合はスクールを利用して学ぶ方法もあります。スクールは学習効率の良いカリキュラムが用意されていて、またわからないところを講師に直接質問できるメリットもあります。
ただしスクールの場合は費用面や勉強時間を完全に自分の好きにできないといったデメリットがあります。オンラインスクールを利用すればスクールのデメリット部分をある程度カバーできます。
簿記を活かせる社内SE
社内SEの業務は、企業によって異なります。簿記の知識が活かせる社内SEは、以下のような社内SEが当てはまります。
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・社内SEのマネジメント層・会計・経理システム担当する社内SE
ここでは、これらの簿記を活かせる社内SEについて解説します。
関連記事:社内SEへの転職は難しい?仕事内容や求められるスキルを解説
社内SEのマネジメント層
社内SEのマネジメント層は、自社のITシステムに関する企画・計画などを担います。そのためには、売上や財務の状況を理解することが必須です。貸借対照表(P/L)や損益計算書(B/S)が読めるだけでなく、キャッシュフローを考慮することも重要になります。また新規のITシステムの導入では、正味現在価値法(NPV)などを使い、将来的な収入や支出、価値などを検討する必要もあります。
このように、社内SEのマネジメント層は、簿記の知識が求められる場面が多くなっています。
会計・経理システム担当する社内SE
会計・経理システムを担当する社内SEは、経理や財務の部門とコミュニケーションをとる場面が多くあります。スムーズに業務を進めるためには、簿記の知識が必須になります。また設計では業務知識が必須ですが、会計・経理システムにおける業務知識は簿記です。
簿記取得までの知識は必須ではありませんが、少なくとも会計・経理業務の流れを理解していないと設計ができません。簿記を取得していると会計・経理全般の流れを理解できるため、幅広いシステム設計に対応可能です。そのため、体系的に簿記を学び、理解を深めることをおすすめします。
簿記以外で社内SEの仕事に役立つ資格
簿記以外で社内SEの仕事に役立つ資格として以下が挙げられます。
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・基本情報技術者試験・応用情報技術者試験
・システムアーキテクト試験
・プロジェクトマネージャ試験
・ネットワークスペシャリスト試験
他にも、民間のIT資格や中小企業診断士などのIT以外の資格を取得する選択肢もあります。
関連記事:社内SEの仕事・転職に役立つおすすめ資格16選
社内SEに関するよくある質問
社内SEに関するよくある質問と回答を紹介します。
Q1. 社内SEと情シスの違いは何ですか?
社内SEは職種で、情シスは企業内の部署です。そして情シスに所属している社内SEは多いです。情シスは企業の他の部署を支える間接部門なので、社内SEは社内の他の部署を支えるために働いています。
Q2. 社内SEの仕事内容を教えてください。
社内SEの仕事内容は、自社のシステム構築や他の社員のITサポートなどです。ただし本格的なシステム開発では自分で手を動かすことは少なく、外部のベンダー企業との連携役などになることが多いでしょう。
Q3. 社内SEの平均年収はいくらですか?
レバテックキャリアで社内SEの検索上位10社の求人から平均年収を調べると、下限が309万円、上限が800万円になっています。他のエンジニア職種と比較すると年収の幅は狭めですが平均的に年収は高めで、また1,000万円を超える求人もあります。
まとめ
この記事では、社内SEを目指す方に向けて、社内SEが簿記の資格を取得するメリットについて解説しました。簿記の資格を取得することで、自社のビジネス理解が深まり、会計システムの構築や運用がスムーズになるメリットがあります。
またコスト意識が変わることで、コスト計算に基づいたシステムの開発・構築プロジェクトなどの提案も可能になります。簿記の知識は、経営層とのコミュニケーションにも役立ちます。
転職の際にも、日商簿記2級を取得していれば、履歴書で会計の知識があることをアピールできます。このように社内SEを目指す方には、簿記の資格を取得するメリットは多くあります。この記事を参考に、社内SEへの転職を目指す方は、簿記の資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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