ネットワークエンジニアの構築業務とは?流れや必要なスキル・資格を解説

最終更新日:2024年7月10日

ネットワークエンジニアは、ITインフラの一つであるネットワークの要件定義、設計、構築、運用保守を行う職種です。コンピュータ間を繋ぐ通信は企業や組織の業務上欠かせず、ネットワーク構築は組織の根幹を支える仕事といえます。

ネットワークエンジニアはスキルが重要な専門職です。一般的に、スキル向上に伴い運用保守担当から設計・構築担当へステップアップするキャリアパスとなります。

この記事は、ネットワーク構築のスキル習得を検討するエンジニアに向け、ネットワークの構築フェーズの仕事内容や求められるスキルと身につけ方などを紹介します。ネットワークエンジニアを目指す方、現職でキャリアアップを図る方はお役立てください。

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この記事のまとめ

  • ネットワークエンジニアの仕事は、上流工程から順に要件定義、設計、構築、運用保守にわけられる
  • ネットワーク構築は要件定義や設計で定めたネットワークを実際に作り上げる工程
  • ネットワークエンジニアにとっても、クラウド環境の活用とセキュリティの重要性が高まっている

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ネットワークエンジニアの仕事における構築フェーズの位置づけ

ネットワークエンジニアの仕事の流れ

ネットワークエンジニアの仕事は、基本的に要件定義、設計、構築、運用保守というフェーズ(工程)に分けられます。設計フェーズを基本設計と詳細設計に分けたり、構築フェーズを構築とテストに分ける場合もありますが、要件定義、設計、構築、運用保守の順に実施される流れであることに変わりはありません。

その流れの中で、構築は設計の次のフェーズです。構築フェーズでは、設計をもとにネットワークを構築し、構築したネットワークのテストを行います。そして、テストに合格したらユーザーが利用を開始し、ネットワークエンジニアサイドでは運用保守フェーズに移ります。構築フェーズは、要件定義や設計で構想されたネットワークを具体化するフェーズといえるでしょう。

関連記事:ネットワークエンジニアとは|役割や仕事内容、未経験から目指す方法

ネットワーク構築とは

ネットワークはコンピュータ間を繋ぎ、通信ができるインフラです。このネットワークというインフラはハードウェアとソフトウェアを組み合わせて多層的に構成されます。

物理的な層を考えると、通信を行うためにはコンピュータや機器をケーブルなどで接続することが必要となります。また、ネットワーク上に接続された機器には設定項目があり、その一つ一つによりネットワークの挙動が変わるため、設計段階で定めた値を設定しなければなりません。相手によって通信の可否を制御する場合にはそのための仕組みが必要となるため、専用の機器やソフトウェアを導入する必要があるでしょう。

これらの、ハードウェアやソフトウェアの組み合わせを利用できる状態に実際に組み立てることがネットワークの構築にあたります。仮想化やクラウド環境を利用してネットワークを構成する場合には、これらの設定を行い利用できる状態にするまでが構築に含まれます。

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ネットワークエンジニアが行う構築フェーズの流れ

構築フェーズでは、設計をもとにネットワークを構築し、ユーザーがネットワークを利用できる状態になるまで業務が行われます。ネットワークの構築は主に次のような流れで実施されます。なお、クラウドサービス上への仮想ネットワーク構築などの場合には、ハードウェアの手配に変わりクラウドサービスの手配などが必要となります。

・現状調査

・ハードウェアやソフトウェアの手配

・ハードウェアやソフトウェアの導入、接続、設定

・テスト仕様の作成

・テスト実施

・テスト結果の分析、評価

また、顧客の要望に伴い構築フェーズで「保守・運用マニュアル」を作成する場合もあります。

いずれの業務も、要件や設計をもとに行われます。ここでは、それぞれの業務内容を具体的に解説します。

現状調査

ネットワークを構築するにあたって、最初に現状調査を行う必要があります。現状とは、ネットワークを構築する現場の環境のことです。具体的には、ネットワーク機器の台数、運用状況といった物理的なこと、通信が遅い、セキュリティが甘いといった課題などです。構築フェーズより事前の工程で実施する場合もあります。

関連記事:ネットワークエンジニアの監視業務とは?仕事内容や役立つ資格を紹介

ハードウェアやソフトウェアの手配

ネットワークを構築するためのハードウェアやソフトウェアを手配します。ハードウェアは、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器を指します。ソフトウェアは、ネットワーク構築のためのソフトウェアはもちろん、ネットワークの自動化やセキュリティなどのために必要なソフトウェアです。設計をもとにネットワーク機器やソフトウェアを手配します。

また、ネットワーク構築のために工事が必要となる場合があります。工事の手配をするにあたってスケジュールの調整も必要になるでしょう。

ハードウェアやソフトウェアの導入、接続、設定

手配したハードウェアやソフトウェアを導入し、接続や設定を行います。ハードウェア同士をケーブルでつないだり、コマンドや設定ファイルによる設定を実施します。接続や設定が正常に反映されているかどうかを確認しながら作業を進めます。

テスト仕様の作成

接続や設定を行ったら、出来上がったネットワークのテストを行うための仕様を作ります。テストは主に次のようなものがあります。


  • ・結合テスト

    ・性能テスト

    ・総合テスト


結合テストでは、出来上がったネットワークが正常に動作するかを確認します。性能テストでは、トラフィック量や同時接続数などを調整し、負荷に耐えられるか、遅延が大きくないかなどを確認します。

総合テストでは、ネットワークをサーバーや端末に接続し、実環境でネットワークが動くかを確認します。テスト仕様では、これらのテストをどのように実施するのか具体的に決めます。

なお、これらのテスト仕様作成は、要件定義や設計を満たしていることを確認するためのものです。よって、要件定義や設計工程の中でテスト仕様が作成される場合もあります。

テスト実施

仕様をもとにテストを実行します。テストによって問題が見つかった場合、原因を突き止め、修正を行います。修正を行ったら、ほかのテスト項目に問題がないかを確認する必要があり、テストを最初から行うことがあります。テストを繰り返し、全てのテストに合格したら、実際の運用が始まります。

テスト結果の分析、評価

テストが完了した段階で、テストの結果をまとめ、分析と評価を行います。例えば、想定したよりも多くの問題が発生したのであれば、どの工程が原因で問題が発生したか、特定の担当者による作業が原因となっていないか、一部機能に問題が集中していないかといった傾向を把握することでネットワークの潜在的な問題の予知などにつながります。もし将来的な問題発生が予測される場合には、追加の設定や機器の導入などの対策とそのテストの実施が必要となります。

保守・運用マニュアルの作成

ネットワークの保守・運用は属人性をなくすことが重要です。つまり、ネットワークを構築したエンジニア以外のエンジニアが現場に配属されても対応できなければなりません。そのためには、保守・運用のマニュアルを作成すると効率的です。日々の作業をマニュアル化することはもちろん、トラブル発生時の対応もマニュアル化しておくと対応が迅速になります。

関連記事:ネットワークエンジニアの運用・保守業務とは?必要なスキルも解説

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ネットワーク構築に必要な機器

ネットワークの構築ではハードウェアによる物理的な層の構築も実施します。その際に利用する機器について紹介します。なお、ネットワーク仮想化によりソフトウェアによって置き換えられる場合もあります。

必須の機器

どのような企業や組織のネットワーク構築でも必要となる機器には下記があげられます。


  • ・ネットワークケーブル

    ・スイッチ

    ・サーバー

    ・ルーター

ネットワークケーブル

ネットワークケーブルとは、コンピュータや機器の間を接続するための線です。銅や光ファイバーを軸にしており、その上を様々な素材でコーティングした製品があります。LANケーブルとも呼ばれているものです。

ネットワークケーブルには、通信速度や耐久性などが異なる製品が多数存在しています。構築するネットワークに適したケーブルの選択が必要です。

スイッチ

スイッチとはネットワークを構成する機器を接続するための装置です。ネットワークは様々な機器を利用して構成するため、それぞれをネットワークケーブルで接続する必要があり、ケーブルを分岐させる部分にスイッチを利用します。

スイッチと近似するハードウェアとして、スイッチングハブやハブ、LANスイッチなどがあり、これらと組み合わせることでネットワークを構成します。

サーバー

サーバーとは、各種の機能を提供するソフトウェアまたはソフトウェアが稼働するコンピュータのことを指します。性能の高いコンピュータを利用することも多く、近年では仮想サーバーやクラウドサーバーなど物理的な筐体を持たないサービスも含みます。

ネットワークを制御するためのソフトウェアを動かすために、ネットワーク構築においてもサーバーが必要となります。例えば、ネットワークアドレスの変換を行うNATやWebアプリケーションの保護を目的としたWAFなどのソフトウェアを稼働させます。

ルーター

ルーターは、異なるネットワーク間を接続する際にその中継を行うための機器です。外部と通信する際のルーティングなどを行います。企業や組織のネットワークからインターネットなどの外部ネットワークに接続する際に必要となります。

ネットワークの要件によっては必要となる機器

必須の機器に加えて、ネットワークの要件によっては必要となる機器として下記があげられます。


  • ・VPN装置

    ・UPS

VPN装置

VPNとは、Virtual Private Networkの略で仮想的な専用回線を実現する技術です。リモートワークなどで一般家庭からインターネットを経由して企業内のネットワークに接続する際などに用いられ、通常のインターネット回線を利用した通信に比べてセキュリティ性能を高めることができます。

この技術を利用するためにはVPNルーター、VPNゲートウェイといったVPN装置が必要となります。ネットワークを設置する要件に、VPNの利用が含まれる場合に必要となります。

UPS(無停電電源装置)

UPSとは、予期していない停電や入力電源に異常が発生した場合にも、一定時間電力を供給し安定した稼働を実現する装置です。落雷などによる電圧異常から機器を守る役割も果たします。

ネットワーク機器も電気を利用して稼働するため、電源の供給が必要です。ネットワークの要件に、24時間365日の稼働が必要とされる場合にはUPS導入などの対策が取られます。

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ネットワーク構築時の注意点

ネットワーク構築時に注意すべきポイントをご紹介します。

適切なネットワークの種類を選ぶ

コンピュータネットワークはLANとWANの大きく2つの種類にわけることができます。

LANはLocal Area Networkの略で限られた範囲内で利用するネットワークです。企業における社内LANや家庭内LANといった範囲を対象とします。一般的には利用者も限定したネットワークとします。もし、インターネットなどの外部ネットワークと接続したい場合には、インターネットプロバイダーと契約して外部との通信経路を作る必要があります。

一方のWANはWide Area Networkの略で、LANより大きな範囲のだれでも利用できるネットワークです。インターネットもWANの一つで、様々なLANから接続されて利用されます。

ネットワーク構築の際には、用途が異なるためどちらのネットワークを構築するかは非常に基本的な設計事項となります。

また、ネットワーク構築の多くを占めるLANの構築では、有線/無線のいずれかの接続方式の選択も重要です。有線には接続の安定性、無線にはユーザーの利便性というメリットがあるため、利用シーンに合わせた方式を選択します。必要に応じて両方を組み合わせてネットワーク構築を行う場合もあります。

拠点数の確認

企業や組織のネットワークを構築する場合、接続する拠点の数はネットワーク構成に大きな影響を与える要素となります。必要となるキャパシティやポートなどが変わるため、後から拡張する場合には大きなコスト負担につながることもあります。ネットワーク構築の早い段階で確認し、将来的な拡張余力として設計に反映させたいところです。

セキュリティ

ネットワークからのセキュリティ事故を防ぐため、対策が必要になります。具体的には、ファイアウォールの設置やウイルス対策ソフトの設定などソフト面での対策、入退室管理システムや監視カメラなどの物理的な対策が挙げられます。これらの対策を行うことで、情報漏洩やデータ改ざんなどのセキュリティ事故を防止します

通信量や外部からのアクセス

通信量や外部からのアクセスが増え、その結果ネットワークの速度低下や障害が発生する可能性があります。こういった事態を防ぐためには、想定される通信量を上回ってもネットワークに問題が生じないように構築する必要があります。また現在のネットワーク状況を把握するために、通信量等は可視化しておくと良いです。

また、従量性の契約を必要とするクラウドサービスを利用してのネットワーク構築の場合、将来的なトラフィック量の予測までが必要です。トラフィック量の変動により運用コストに大きな影響がでる恐れがあります。

IPアドレス設定

IPアドレスを設定しておくことで、指定されたIPアドレス以外のアクセスを制限します。これにより想定外の機器からのアクセスがなくなり、ネットワークのアクセストラブルを防止できます。同時にセキュリティ強化にもつながります。

関連記事:ネットワークエンジニアになるには?必要なスキルや資格も紹介

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構築フェーズを担当するために身につけるべきスキル

構築フェーズでは、主にネットワーク機器の接続や設定を行うスキルや知識が必要になります。ネットワーク機器の接続や設定をする手順だけでなく、接続や設定をするとどのようにネットワークが動作するかについても知っておく必要があります。他にも、セキュリティやサーバーに関するスキルも重要です。ここからは、構築フェーズを担当するために身につけるべきスキルを整理していきます。

ネットワーク機器の接続や設定を行うスキル・知識

ネットワークエンジニアはソフトウェアのエンジニアと異なり、物理的な機器に触れる機会が多いです。そのため、ネットワーク機器の接続、設定といった物理的な機器を扱うスキル、知識が必須になります。物理的に扱えることはもちろん、機器を接続、設定するとどのように動くか、どのような役割を担っているのかなども正確に把握している必要があります。

TCP/IPのプロトコルの知識

TCP/IPプロトコルとは、コンピューターネットワークの一般的な通信規格のことです。ネットワークエンジニアの仕事は通信環境を作ることなので、通信規格に関する知識は必須になります。具体的には、ネットワークのレイヤーやポートの概念は基本なので最初に身につけるべき知識と言えるでしょう。

セキュリティに関する知識

セキュリティの重要性は年々増しています。そしてネットワークエンジニアはシステムにおいて重要なネットワークを作る役割を担っていて、当然セキュリティ面での責任も重大です。設定に穴があるとそこからセキュリティ事故が発生する可能性があります。そのため、ファイアウォール、IDS、IPSなどセキュリティに関する知識は必須です。

サーバーに関する知識

ネットワークエンジニアと類似のエンジニアとしてサーバーエンジニアという職種があります。ネットワークエンジニアがネットワークを対象とするのに対し、サーバーエンジニアはサーバーを対象にするという違いがあります。

しかし、ネットワークとサーバーはセットと言っても過言ではなく、実際ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアの業務内容は大部分が重複しています。そのためネットワークエンジニアはサーバー構築や設定に関する知識を身につける必要があります。

IT全般の知識

システムの小型化、クラウド化などにより、ネットワーク構築のハードルは年々下がっています。その結果、ソフトウェア側のエンジニアもネットワーク構築ができたり、IT全般の知識を広く浅く身につけることでマルチに活動するエンジニアが増えていたりといったことがあります。

ネットワークエンジニアもネットワークだけに特化していると淘汰される可能性があります。専門スキルが高いことは強みになりますが、それと同時に知識を広げていくことも重要です。

関連記事:ネットワークエンジニアが習得すべきプログラミングスキルは?おすすめ言語や学習法も解説

コミュニケーション能力

ネットワークエンジニアだけでなく、ITエンジニアは基本的にチームで動くのでコミュニケーション能力は必須です。また顧客とのやり取りもあるので、その点でもコミュニケーションは避けられません。

またコミュニケーション能力が高いエンジニアは、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントといったより上流工程の職種にも転身しやすいです。

論理的思考力

ネットワークエンジニアはコンピューターを相手にしているので、感情やニュアンスは伝わりません。すべて論理的に構築していく必要があります。また対人業務であっても課題や解決策を論理的に説明する必要があります。エンジニア全般にとって、論理的思考力は必須と言えるでしょう

ヒアリング力

ネットワークエンジニアは、顧客や上流工程担当者の要望に基づいて作業を進めていきます。そのため、ヒアリング力が欠けていると要望と異なるものを作ってしまう可能性があります。またプロジェクトメンバー内でも随時コミュニケーションを行い、作業を軌道修正していきます。その際にもヒアリング力がないとチームでの協働は不可能なので、ヒアリング力は必須です。

提案力

ネットワークエンジニアとして一定のキャリアを積むと、現場から提案を行う、もしくは上流工程にキャリアアップして提案を行う、といった機会が増えていきます。そのためネットワークに関する知識を身につけると同時に、それを人に説明するスキルも磨くと良いです。特に相手がネットワークに詳しい場合もあればそうでない場合もあるので、相手の知識や理解に合わせて説明するとより良いでしょう。

関連記事:ネットワークエンジニアのキャリアパス|キャリアアップするためのポイントも解説

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構築フェーズを担当するスキルの身につけ方

ネットワーク構築に関するスキルや知識を身につけるには、主に次のような方法があります。


  • ・書籍でスキルや知識を身につける

    ・Webサイトでスキルや知識を身につける

    ・実践してスキルや知識を身につける


ここからは、おすすめの書籍、おすすめのWebサイト、実践方法をご紹介します。

おすすめの書籍

ネットワークに関する書籍は数多く存在します。自分のレベルに合ったものを選ぶことが大切ですが、ここでは、構築フェーズを担当するなら読んでおきたい書籍をご紹介します。

『マスタリングTCP/IP―入門編―(第6版)』(著:井上 直也、 村山 公保、竹下 隆史、荒井 透、苅田 幸雄、出版:オーム社)
「マスタリングTCP/IP―入門編―(第6版)」は、ネットワークの書籍のベストセラーであるマスタリングTCP/IP―入門編―の第6版です。主にインターネットを中心としたネットワークのプロトコルについて網羅的に書かれています。ネットワーク機器の接続や設定などに直接関わる内容ではありませんが、ネットワーク構築の前提となる知識が得られるでしょう。

『インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門 第2版』(著:みやたひろし、出版:SBクリエイティブ)
「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門 第2版」は、ネットワークの基本設計について書かれている書籍です。ネットワーク構築において必要な技術やポイントがまとめられています。ネットワーク機器をどのように配置するかという物理的なことから、セキュリティや可用性などをいかに実現するかというネットワークの要件の実現方法まで書かれています。

おすすめのWebサイト

ここでは、ネットワーク構築の学習に役立つWebサイトをご紹介します。

ネットワークエンジニアとして(運営:ネットワークエンジニアとしての管理人)
「ネットワークエンジニアとして」は、ネットワークとは何かから始まり、具体的なコマンドの入力方法まで解説されているサイトです。実際に構築フェーズを担当するときにも参考になるサイトです。

ネットワーク入門サイト(運営:のびきよ)
「ネットワーク入門サイト」は、ネットワークに関する基礎知識から、Cisco製品の使い方、トラブルの対処法まで解説されているサイトです。こちらも構築フェーズを担当する際にも役立ちます。

ネットワークのおべんきょしませんか?(運営:有限会社オフィス・エヌ・スタディ)
「ネットワークのおべんきょしませんか?」は、ネットワークの仕組みを深く理解するためにネットワーク技術を解説したサイトです。ネットワークの基本から、Cisco製品を扱うための知識が解説されています。

実際に構築してみる

書籍やサイトで学んだ知識を、実際にネットワークを構築することで、理解を深め、スキルの定着が図れます

実際にネットワークを構築して学ぶ方法は、主に2つの方法があります。

1つは、ネットワーク機器を買って、実機で行う方法です。もう1つは、仮想環境で行う方法です。それぞれ、実施方法やメリット・デメリットを解説します。

実機でネットワークを構築する

実機でネットワークを構築するためには、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器やLANケーブルなどを用意します。場合によってはラックなど収納するための家具も必要になります。必要なものを用意したら、実際にネットワークを構築するのです。

実機でネットワークを構築するメリットとしては、仕事でネットワーク構築を行う環境に近く、実践的な練習になるということです。また、ネットワークエンジニアとして働くうえで実験できる環境があるのは大きな強みになるでしょう。

デメリットとしては、お金がかかることやネットワーク機器が場所をとることなどが挙げられます。

仮想環境でネットワークを構築する

実機でネットワークを構築する以外には、仮想環境でネットワークを構築する方法があります。Cisco Packet TracerやGNS3などのネットワークシミュレーターを使って、ネットワークの構築を体験するのです。また、クラウドサービスを用いてネットワーク構築を行うことも選択肢となります。

仮想環境でネットワークを構築するメリットとしては、無料でできることや短時間で構成の変更などを試せることが挙げられます。デメリットとしては、ネットワーク機器を実際に接続するなどの物理的な体験ができないことでしょう。

関連記事:
ネットワークエンジニアに転職するには?キャリアパスも紹介
ネットワークエンジニアに必要な勉強内容とその学習方法

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ネットワークエンジニアの構築の仕事に役立つ資格

ネットワークエンジニアは、ソフトウェアエンジニアに比べると資格が優遇される傾向にあります。なぜなら、資格試験の内容がそのまま実務に直結しやすいからです。ではどのような資格がネットワークエンジニアの構築の仕事に役立つのか、紹介していきます。

CCNA

CCNAはシスコシステムズ社が主催しているベンダー資格です。シスコシステムズ社はルーターやスイッチなどの機器を製造販売している企業で、世界最大のシェアを誇っています。シェアが大きいとはいえ一企業の資格だから国家資格には劣るのでは?と思われた方もいるかもしれません。

しかし、ネットワークエンジニアの保有資格としては、国家資格よりもCCNAはおすすめできます。ネットワークエンジニアだけでなく、サーバーエンジニアやインフラエンジニアなどのエンジニアもCCNAは最初に取得を推奨されるでしょう。

CCNAはシスコ社の認定制度の内のアソシエイトレベルに該当します。シスコ認定はエントリ、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパートの4段階で構成されており、テクノロジーごとにも分類されています。スキルやキャリアパスにあわせて取得することが可能です。

LPIC

LPICはLinux技術者認定試験とも呼ばれ、Linuxのスキルを問う試験です。Linuxはサーバーで使われることの多いOSです。ネットワークエンジニアはLinuxサーバーに触れる機会も多いので、LPICの内容が直接業務に役立ちます。

LPICの試験内容は主にOSコマンドなので、ソフトウェア側のエンジニアのスキルとしても役立ちます。今後ソフトウェアも視野に入れている人にとって、汎用性の高い資格と言えます。

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は国家試験です。IT系の国家資格の中では上位に位置します。位置づけとしては、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験の上位資格となっています。資格取得の難易度は高いので、キャリアを長期的に考えて取得しておきたい資格と言えます。

また応用情報技術者試験に合格しているとネットワークスペシャリスト試験の一部が免除されるので、先に応用情報技術者試験に合格するのがおすすめです。

関連記事:ネットワークスペシャリストを目指す人向け|年収やキャリアプランを徹底解説

情報処理安全確保支援士試験

情報処理安全確保支援士試験は、IPAが主催する情報処理技術者試験の一つで、国家資格です。レベルは4に該当し、スペシャリスト資格の一種になります。情報セキュリティスペシャリストの後継として誕生しました。

他のスペシャリスト資格同様に難易度は高く、合格率は例年20%以下です。受験者の多くは応用情報技術者資格を所有していて、またIT業界の経験者が中心です。その中でも合格率は低いので、それだけ難易度が高いということがわかります。

試験の内容としては、情報セキュリティスペシャリストの後継なのでセキュリティに関する内容が中心です。

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ネットワークエンジニアの構築の仕事のやりがいと大変さ

ネットワークエンジニアの構築の仕事には、やりがいもあれば大変さもあります。それぞれ紹介していきます。

ネットワークエンジニアの構築の仕事のやりがい

まずはネットワークエンジニアの構築の仕事のやりがいについてです。以下のようなやりがいが挙げられるでしょう。


  • ・クライアントの通信を支えられる

    ・検証作業のなかで新たな気付きを得られる

クライアントの通信を支えられる

ほとんどの企業にとって、通信環境はなくてはならないものです。通信環境にトラブルがあると、業務がストップしてしまいます。つまり、ネットワークエンジニアの構築の仕事はクライアント業務の土台を支えていると言っても過言ではないのです

多くの企業の縁の下の力持ちになれるので、その点でネットワークエンジニアの構築の仕事はやりがいがあります。

検証作業のなかで新たな気付きを得られる

ネットワークのトラブルを避けるため、日々検証を行います。システムができあがれば検証作業がルーティン化する場合も多いですが、それまではバッチを作成して処理を実行し、ネットワークの確認を行うようなこともあります。

確認がうまくいけば構築に成功した達成感があり、失敗した場合も試行錯誤を重ねながらスキルアップができます。ものづくり特有の面白さがあるでしょう。

ネットワークエンジニアの構築の仕事の大変さ

一方で、ネットワークエンジニアの構築の仕事には大変さもあります。具体的には以下が挙げられます。


  • ・ネットワークに繋がるのが当たり前だと考えられがち

    ・土日や時間外に作業を行う場合もある

    ・技術の発展に対応し続けなければならない

ネットワークに繋がるのが当たり前だと考えられがち

ネットワークは、繋がっていて当たり前と考えられることが多いです。ソフトウェアであれば不具合があっても高度なものなのである程度は仕方がないと考えられることが多いですが、ネットワークの場合はたとえ高度であっても、通信トラブルで切断されることが許容されにくいです。

ネットワークが遮断されるとクレームなどが発生することも多くなります。ソフトウェアに比べるとネットワークのトラブルは業務に与える影響も大きいので、利用者のストレスも溜まりやすいでしょう

土日や時間外に作業を行う場合もある

前述したようにネットワークは繋がるのが当たり前と考えられることが多く、遮断されるとクライアント業務がストップします。その結果、トラブルが発生した際には早急な復旧が求められます。土日や時間外に急な作業が発生することもあるでしょう。

また、トラブルがなくてもネットワークは定期的にメンテナンスする必要があります。ネットワークのメンテナンス中はクライアント業務をストップさせる必要があるので、クライアントが業務を行っていないタイミングでメンテナンスすることも多いです。

これらの事情から土日や深夜に作業しなければならないケースが多いことも、ネットワークエンジニアの大変さと言えます

関連記事:
ネットワークエンジニアの残業時間や休日事情について
ネットワークエンジニアの夜勤について|手当や辛いところを紹介

技術の発展に対応し続けなければならない

ITの進歩は現在も止むことはなく今後も続くでしょう。ネットワークの分野だけでも、仮想化やクラウド環境といった技術への対応が近年進んでいますし、機器やソリューションも次々と新たなバージョンが登場しています。

ネットワークエンジニアとして働く場合、刻々と変化するトレンドを追いながら新たな技術を習得して業務に活用することが求められます。ネットワークエンジニアに限ったことではありませんが、継続的に学習を続けなければいけないことに大変さを感じる方もいます。

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ネットワーク構築に関するよくある質問

ネットワークの構築業務に関して、よくある質問と回答をまとめました。ネットワーク構築への理解を深める参考として下さい。

Q1. ネットワークの構築とは何ですか?

コンピュータやプリンタなどの機器、インターネットや企業の各拠点などの間で、通信ができる環境を作り上げることがネットワークの構築です。ネットワークには企業や家庭など利用範囲を限定したLANと、インターネットも含めて様々なLANを繋げたWANが存在しており、ネットワークの構築における作業にも差異があります。

Q2. ネットワークの構築に必要なものは何ですか?

ネットワーク構築には各種のソフトウェアとハードウェアが必要となります。代表的なハードウェアとしては下記があげられます。


  • ・ネットワークケーブル

    ・スイッチ

    ・サーバー

    ・ルーター


これ以外にも、安定した稼働やセキュリティ確保に向けて、要件に沿って機器やソフトウェアを導入します。

Q3. ネットワーク構築の手順を教えてください。

ネットワーク構築を行う場合、一般的には下記の順序で工程を進めることが一般的です。


  • ・要件定義

    ・設計

    ・構築


要件定義では求めるネットワーク像を定めます。設計は、要件の実現に向けて機器やソフトウェアの組み合わせと設定を具体的に定めます。構築では設計で定めた構成を、実際に利用できる状態に組み上げ、正しく動作するかテストも実施します。

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まとめ

ネットワークエンジニアの構築フェーズの仕事内容や求められるスキル、スキルの身につけ方、ネットワーク構築時の注意点、おすすめの資格などをご紹介しました。

構築フェーズは、要件定義や設計で構想されたネットワークを具体化するフェーズです。そこで求められるスキルは、ネットワーク機器の使い方、ネットワークの動作や構成に関するスキルや知識です。これらのスキルや知識を得るために、書籍やWebから学んだり、実際にネットワークを構築したりして学びます。自分にあった学習方法で学び、ネットワークの構築の仕事に挑戦してみてはいかがでしょうか。

関連記事:
ネットワークエンジニアの志望動機の書き方は?例文も交えて解説
ネットワークエンジニアの年収相場は?クラウド時代に起こる変化

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