SEとSIの違いをはじめ、求められるスキル・知識、SIerで働くメリット・デメリットなどを紹介SI事業での仕事内容|各工程ごとの業務をわかりやすく解説

最終更新日:2023年3月3日

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SI(システムインテグレーション)は、銀行システム、工場の生産管理システム、店舗の在庫管理システムなどさまざまなシステムの要件定義・設計・開発・運用を行うサービスです。SIサービスを提供している企業をSIer(エスアイヤー)またはシステムインテグレーターと呼び、SIerは顧客からシステム開発の依頼を受け、設計、開発、運用・保守までを請け負います。

この記事では、SIに興味を持っているエンジニアに向けて、SIの概要、仕事内容、求められる知識・スキルについて解説します。

SI(システムインテグレーション)とは

SIは、システムの要件定義から開発、運用まで請け負うサービスのことで、システムインテグレーション(System Integration)の略称です。社員数1万人以上の大企業から数人の中小企業までさまざまな規模のSI企業があります。

ハードウェアからソフトウェアまで、幅広い製品を持っているSI企業であれば1社でSIが完結してしまうこともありますが、多くの場合はハードウェアメーカー、ソフトウェア会社、通信キャリア、システム運用支援会社などさまざまな企業と協力して開発を行います。

SIer(システムインテグレーター/エスアイヤー)とは

SIerとは、SI事業を行う企業のことです。SIerは大きくわけると、メーカー系、ユーザー系、独立系があります。

メーカー系とは、日立製作所、富士通などのメーカーから派生したSIer。ユーザー系とは、金融機関などから派生して、親会社のシステム開発をメインに行うSIer。独立系とは、メーカー系にもユーザー系にも該当しないSIerです。これにプラスして外資系も含まれる場合があります。詳しくは後述します。

SIとSEの違い

SIと混同しやすい言葉として「SE」があります。SEはシステムエンジニア(System Engineer)の略称です。SIがサービスを指す言葉であるのに対し、SEは職種を指す言葉となっています。SEはシステム開発において、要件定義、設計、開発、運用・保守を担います。

関連記事:社内SEに必要なスキル|SEとの違いや役立つ資格も解説

SIの4つの分類

SIの分類について解説します。SIはメーカー系、ユーザー系、独立系、外資系と主に4つに分類されています。

1.メーカー系

メーカー系は、主に製造メーカーから派生したSIerです。ハードウェアの開発、ソフトウェア開発、システム開発まで幅広いサービスを提供しているSI企業をメーカー系と言います。代表的な企業として、日立、NEC、富士通などがあります。メーカー系は大企業が多く、1次請けした案件(プライム案件)を自社もしくは自社の子会社で開発するケースが多いです。系列企業の製品を使った開発が中心となります。

2.ユーザー系

ユーザー系は主に親会社のシステムを開発するために存在するSIerです。企業の情報システム部門が独立し、親会社からの案件だけでなく、時には他の企業からの案件も請け負う場合もあります。具体的な企業としては、NTTデータ、野村総合研究所などが該当します。ユーザー系も大企業が多いSI企業です。

3.独立系

独立系は、親会社を持たず独立してSI事業を行う形態のSI企業です。代表的な企業は、富士ソフトや大塚商会、日本ユニシスなどがあります。独立系は、関連企業の製品に縛られない開発が行える点に強みを持っています。そのため、独立系は幅広い案件を請け負っている傾向があります。

4.外資系

外資系はグローバルマーケットでSI事業を行う企業です。具体的な企業としては、マイクロソフト、IBM、オラクルなどが該当します。これらの企業のサービスを使って開発するにはライセンスが必要なケースが多くあり、ライセンスの取得・維持にはお金が掛かります。外資系SIerが直接システム開発を行うケースは少なく、多くの場合はライセンスを持つ企業が開発を担当します。

SI事業での仕事内容

システム開発において、要件定義、設計、開発、運用と工程をわけ、順を追って開発を進める手法を「ウォーターフォール型」と呼びます。ウォーターフォール型の前半で行う要件定義と設計工程を「上流工程」と呼び、後半で行う開発・運用工程を「下流工程」と呼びます。

上流工程は顧客のヒアリングを行って要件定義書や設計書を作成し、下流工程ではプログラミングやテスト、運用実務などを行います。SI業界では大手SIerが上流工程を担当し、下流工程を中小SIerに外注するケースが多く、企業規模によって仕事内容が異なります。

以下では、各工程について解説を行います。

要件定義

顧客がどのような目的でシステムを必要としているかヒアリングを行い、システムに必要な機能や性能などを定義する工程です。システム化の対象業務を洗い出し、業務処理の手順やシステムの操作、入出力要件などを整理して要件定義書としてまとめていきます。ウォーターフォール型の開発では後戻りすることが難しいため、非常に重要なフェーズです。経験豊富なSEやコンサルタントが主に担当します。

設計

要件定義書を元にシステムの設計を行う工程です。設計といっても幅広く、ハードウェア設計やデータベース設計、業務設計、プログラミング設計(詳細設計)などさまざまな設計を行います。SEが主に担当します。

開発

設計工程で作成した設計書をもとにプログラミングを行います。コーディング基準に従い、採用したプログラミング言語でコードを書きます。コードを書いた後はコードレビューを行い、必要に応じてデバッグを行います。主にプログラマーが担当する工程ですが、企業によっては設計者が開発も担当することがあります。

テスト

プログラムのバグを発見し、設計書通りに動作するか確認する工程です。テストには、プログラムコードを1行ずつテストする単体テスト、クラスやモジュールをつなげて行う結合テスト、UIからユーザーが利用するケースを実行して行う総合テスト、性能を検証するパフォーマンステストなどがあります。

テストを専門に行うテストエンジニアという職種がありますが、多くの場合はプログラマーとSEが担当します。案件によっては、性能やセキュリティ性のテストを専門会社に依頼するケースもあります。

運用・保守

顧客が問題なくシステムを利用できるよう、稼働状況の監視や利用状況に応じたチューニングを行う工程です。システムに問題が生じた場合には、応急対応・恒久対応を行います。システムリリース直後は開発会社が担当するケースが多いですが、安定稼動後はBPO企業が担うことも多くあります。

SI企業で働く際に求められる知識とスキル

SI企業で働く際に求められる知識とスキルについて解説します。

システム開発に関する知識・スキル

SIの業務を行うためには、要件定義から開発、運用・保守と幅広い工程の知識・スキルが必要です。要件定義では、顧客のヒアリングと提案を行うため、コミュニケーションスキルや提案力、顧客の業務に関する知識が必要です。

設計では、業務の流れを示すデータフロー図や、データベースの構造を示すER図などを作成するので、設計手法に精通している必要があります。開発・テスト工程では、プログラミング言語やフレームワークを使用するスキル、テストツールの利用、開発フローを構築するといったことが求められます。

運用・保守では、サーバーやネットワークに関する知識や、障害を検知してシステムを改善するスキルなどが必要になります。

このように幅広い知識とスキルが求められますが、基礎知識は国家資格である基本情報技術者試験が網羅していますので、この資格を通して習得すると良いでしょう。スキルは書籍やスクールでの学習 に加え、OJTで身につけるのが一般的です。

テクノロジーに関する知識・スキル

システムを開発するには、テクノロジー全般に関する知識が必要です。具体的にはメモリやプロセッサなどコンピューターに関する知識、OSやミドルウェアなどソフトウェアに関する知識が欠かせません。また、サーバーや、ネットワーク、データベース、セキュリティに関する知識とスキルも求められます。

これらすべてのスキルを求められることはありませんが、基礎知識は求められます。これらについても基本情報技術者試験で学習することができます。

プロジェクトマネジメントスキル

プロジェクトマネジメントとは、システム開発の各工程における作業を円滑に遂行するための管理手法です。スケジュール管理、予算管理、リソース管理、品質管理、リスク管理などさまざまな管理対象があります。プログラマーや若手エンジニアには必須のスキルではありませんが、リーダー職以上を目指すのであれば必須スキルと言えるでしょう。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルは表情や会話などを使って意思の疎通や情報の共有を円滑に行う能力のことです。ただ、話し好きであればいいというわけではなく、聞く力も求められます。
また、能力と行っても後天的に身につけることが可能です。

SI業務の中ではクライアントへの説明や進捗管理などで発揮されます。

論理的思考力

ビジネスでは必須と言われている論理的思考ですが、これは「物事を体系的に捉え、筋道を立てて考える力のこと」と言われています。システムや開発においては「どのような目的のためのシステムなのか」から論理的に考える必要があり、ここがズレてしまうとその後の開発に大きく影響してしまいます。

SI企業で働くメリット・デメリット

SI企業で働くことはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

関連記事:
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SIer・SESからWeb系企業への転職を成功させる7つの秘訣

メリット

SI企業で働くことで、以下にご紹介するようなメリットを得られます。

BtoBで安定して仕事がある場合が多い

SI業界は法人向けにビジネスをしている企業(BtoB企業)との取引が多く、1つのプロジェクトの規模が大きい特徴があります。規模が大きいプロジェクトを受注できる企業は売上も安定しているため、勤務していく上でも安定していると言えるでしょう。

IT系の業務以外の汎用性の高い業務スキルを磨ける

SIではIT系の業務はもちろんですが、進捗管理やトラブル対応、資料作成、マネジメントなども経験することができます。また、クライアントへのヒアリングなどの折衝があるためコミュニケーションスキルなどを身につけることも可能です。

多くの分野でのプロジェクトを経験できる

SI企業は分野にこだわらずにシステム開発することが多いため、様々な分野のしごとに携わることができます。官公庁や医療現場、学校など様々な業種の仕事を知ることができ、多くのことを学べるでしょう。

デメリット

次に、SI企業で働くことで発生するデメリットをご紹介します。

対応する業務範囲が狭く、同じ業務の繰り返しになる場合もある

プロジェクトの業務が細かく分担されているため、自分が担当する業務が決まってしまい、その業務をずっと続けることになりがちです。例えば、セキュリティ担当者はセキュリティのみを様々なプロジェクトを通して担当することになります。

関連記事:SIerから転職を希望する理由と問題点

プログラミングスキルを活かしにくい場合もある

SI企業では上流工程を担当し、プログラミングなどは外部に委託する場合が多いのが実情です。
そのため、プログラミングスキルを活かして活躍したいと思っても活かしにくい場合があります。
プログラミングよりもマネジメント業務がしたい人には向いているかもしれません。

関連記事:SIerの将来性を解説!今後SIerはなくなるという声は本当?

下流のSI事業だと給料が上がりにくいことがある

SI業界は問題視されることも多いです。多重請負自体が法律的にグレーゾーンなのですが、特に下流工程だと仲介で搾取されるためなかなか給料が上がらないというデメリットも生じます。お金は元請けに近い企業が取得し、仕事は下請けに流れていくという仕組みになっています。結果的に、下請け企業は激務薄給になりやすいです。

SI事業の将来性

SI事業には問題点もあるのが実情ですが、すぐにSI事業の需要がなくなるということはないでしょう。世の中の大規模システムを支えているのはSIerと言っても過言ではありません。ただし、上記で挙げたようなデメリットもあるので、Slerからさらにステップアップすることも視野に入れても良いでしょう。

まとめ

この記事では、SIの概要、仕事内容、求められる知識・スキルについて解説しました。ひとことにSI事業といっても、企業によって携わる工程や求められる知識・スキルは異なります。そのため、どのような業務に携わりたいか明確にした上で働く企業を選ぶことが重要です。

SI事業には幅広い知識とスキルが求められますが、資格制度やスクールを活用することで効率的に身につける事ができるでしょう。

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