SIerでの仕事がつまらないと感じる原因は?対策や転職先例も紹介

最終更新日:2023年10月23日

SIerは企業における情報システム開発で重要な役割を担っています。一方、SIerに勤めるエンジニアの中には、技術力が身につかない、保守的で挑戦しにくいなどの理由で、SIerでの仕事を「つまらない」と感じてしまう人もいます。

そのような不満を解消するには、別業界への転職を検討するのも一つの手です。SIerの仕事を通して身につけられるプロジェクト管理や上流工程のスキルは、別業界でも高く評価される可能性があります。本記事では、SIerが「つまらない」と言われる理由を考察した上で、別業界へ転職する際のポイントについて解説します。

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この記事のまとめ

  • SlerやIT系企業の割にプログラミングの機会が少なく、柔軟な働き方が難しいためつまらないと感じる方がいる
  • Slerではプロジェクト管理スキルや上流工程の経験など、貴重なスキルや体験を積める
  • Slerをつまらなく感じた場合は、会社を変えるなどアクションを起こして現状を打破する

SIerとは?

SIer(エスアイヤー)は、中〜大規模のITシステム開発案件を一括受注し、顧客の要望に添ったシステムを独自開発する業態です。金融業や製造業など、あらゆる業界の情報システムの開発でSIerは重要な役割を担っています。

大手SIerが要件定義や設計といった上流工程を担当し、開発作業はパートナー企業へ委託する場面が多く見られます。新規の開発だけではなく、構築したシステムが継続的に安定して稼働するよう運用・保守のフェーズも担当します。

大手SIerで働くエンジニアはプロジェクト管理を主として行い、開発全体を統括する役割を担います。業界独自の要件や、中〜大規模システムを構築するITスキルを磨くことに加え、様々なメンバーと協業していくためのコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力が求められます。

SIerでの仕事が「つまらない」と言われる理由

SIerでの働き方にやりがいを感じる人がいる一方で、「つまらない」と声を上げる人もいます。SIerの業界構造や働き方に起因して、エンジニアが期待する労働環境になっていないケースがあるからです。ここでは、SIerが「つまらない」と言われる主な理由について解説します。

プログラミングの機会が少ない

SIerの場合、大規模システムの開発に参加する多くのエンジニアは、要件定義や顧客との調整が主な仕事となります。仕様書を書く時間が長くなり、プログラミング自体をする機会が少なくなってしまう人も少なくありません。そのため、技術力が身につかないことを危惧するエンジニアが見受けられます。

受託開発の制約がある

SIerは顧客からの要望に従って開発を進めるため、その依頼に含まれない新しい機能や開発プロセスを提案する機会がほとんどありません。自分のアイデアを発揮して積極的に開発していきたいエンジニアにとっては、不満を抱きやすい環境になってしまうでしょう。また、要件追加や納期の変更といった顧客の依頼があったときに、自身の作業スケジュールへ影響してしまうことに不自由を感じるエンジニアも多く見られます。

新しい挑戦が難しい

(中見出し)既存システムを運用・保守する案件もSIerにとっては大きなビジネスです。このようなプロジェクトでは、安定した稼働を優先するため、古い技術であっても使い続けなければなりません。テスト自動化等の生産性を上げるツールが導入されず、エクセルを前提とした手作業が依然として使われている現場もあります。新しい技術に挑戦していきたいエンジニアの中には物足りないと感じる人もいるでしょう。

柔軟な働き方が難しい

受託開発を行うSIerでは、顧客のオフィスに常駐して作業するケースがあります。その場合、労働時間から服装・働き方まで客先に合わせなければなりません。社外から顧客のシステムに接続できなかったり、セキュリティの制限が強く必要なWebサービスやソフトウェアが使えなかったりと、窮屈さを感じるエンジニアもいます。

人月ベースの評価がなされる

SIerは、顧客のために価値を提供したエンジニアの作業時間に比例して売り上げを計上する、いわゆる「人月商売」のビジネスモデルを前提としています。業績への貢献の観点からは、プロジェクトに長い期間入っているエンジニアが、より多くの売り上げをもたらしていると判断される場合があるのです。仕事を早く終わらせても売り上げが伸びるわけではないため、生産性が評価につながらない恐れがあります。

技術力よりマネジメントスキルを重視される

SIerは顧客および自社の営業との調整力、チームをまとめるためのマネジメント力が大切です。そのため技術力よりもマネジメント力の育成に力を入れています。開発を担当することも少ないため、技術力を身に着けて開発を担当したい方にとってはつまらなく感じることも多いでしょう。

SIerでの仕事がつまらないと感じたときにやるべきこと

Slerの業務がつまらなく感じている場合、早めに対策することで仕事にやりがいを見出せる可能性があります。ここからは、Slerが業務をつまらないと感じている際にやるべきことを3つご紹介します。

ご紹介する解決案は以下の3つです。
 

  • ・会社を変えてみる

    ・自社開発へキャリアチェンジする

    ・会社内で愚痴を言わない


それぞれについて詳しく見ていきましょう。

会社を変えてみる

Slerがつまらないと感じた時は転職することで、新たな刺激を得られます。また、転職することで自分自身のスキルアップも可能です。新しい職場で新しい人と出会い、それまで気づかなかったスキルや強みに気付けるかもしれません。ただし、転職にはリスクも伴います。Sler企業の給与基準は高いため、転職を期に収入が減る可能性があります。また、新しい職場に合わなかったり、自分が求める環境と違ったりする可能性があるので、転職をする際は十分に検討した上で行いましょう。

さらに、転職理由が人間関係や働き方の場合、別のSlerに転職する手もあります。Sler企業を全てつまらないと決めつけてしまうと、選択肢が減ってしまうのでご注意ください。

自社開発へキャリアチェンジする

Slerは主に顧客から受注したプロジェクトを担当し、プロジェクトに沿ってシステム開発するのが一般的です。そのため、自社開発したシステムをリリース、運用するような企業に転職すると、一気に働き方が変わる可能性があります。自社開発企業に転職することで、自分達で構築したシステムを顧客に提供でき、どのように役に立ったのかを直接実感できます。また、自社開発システムに関するスキルも磨けるため、同程度のシステムと比べてより優れた提案ができるでしょう。

また、自社開発企業に転職すると、開発スピードや技術力を評価されやすくなります。技術に自信のある方やプログラミングが好きな方は自社開発企業への転職が向いているといえます。

スキルアップや上司への相談などで現状を変えられないか検討する

仕事がつまらないからといって職場で愚痴を言うと、職場の空気を悪くするだけで無く、人間関係の悪化などでよりモチベーションが下がります。そのため、どんなに仕事がつまらなくても会社で愚痴を言うのは避けましょう。

また、人間関係などで悩んでいる場合は、上司や同僚と会話して解決案を探ることも大切です。会社をやめる以外の選択肢を探り、改善案を探りましょう。

「仕事は仕事」と割り切る

仕事は面白いに越したことはありませんが、一方で退屈だとしても「大規模案件を安定的に受注できる」のはとても価値がある貴重な経験でもあります。仕事は仕事と割り切ることも大切です。この場合、知的好奇心は個人開発や副業で満たしていくのも良いでしょう。

会社内で愚痴を言わない

仕事がつまらないからといって職場で愚痴を言うと、職場の空気を悪くするだけで無く、人間関係の悪化などでよりモチベーションが下がります。そのため、どんなに仕事がつまらなくても会社で愚痴を言うのは避けましょう。

また、人間関係などで悩んでいる場合は、上司や同僚と会話して解決案を探ることも大切です。会社をやめる以外の選択肢を探り、改善案を探りましょう。

SIerでの仕事を面白く感じるようにする方法

SIerをつまらないと感じ始めてしまうと仕事に対するモチベーションはどんどん低下して、パフォーマンスも落ちてしまいます。そんなときに少しでも「SIer仕事が楽しい!」と思えるようになる方法を職種ごとに提案します。

営業の場合

営業で仕事をつまらなく感じている方は、より顧客とコミュニケーションをとり、より適切な提案を心がけると仕事を楽しく感じる可能性があります。なぜなら親密な関係になることで今まで聞けなかった悩みや他愛ない話からニーズを見つけられる可能性が上がるからです。より踏み込んだ提案は顧客満足度が上がり、社内からの評価に繋がります。まずは自分たちが提供しているサービスの理解を深め、より踏み込んだ提案を心がけましょう。

エンジニアの場合

エンジニアの仕事をつまらなく感じている方は、コードの勉強量を増やし知識を蓄えると良いでしょう。エンジニアは常に学び続けてスキルアップすることが求められます。勉強量を増やすことで、自身のスキルが上がるだけでなく、会社からの期待も増えるため、存在意義を感じやすくなるでしょう。

また、身に着けたスキルで簡単なサービスを作ってみることも楽しむコツの1つです。チームで開発していると自身の役割や成果が見えにくいですが、個人で開発すると全てが自分の成果ですので、やりがいを感じやすいでしょう。また、開発工程でスキルアップも期待できます。

プリセールスの場合

プリセールスの仕事をつまらなく感じている方は、お客さんの抱えている課題解決の手札を増やすために、新しい技術に挑戦すると良いでしょう。新たな価値の提供で自身の存在価値が上がるだけでなく、仕事のやりがいが増します。

また、開発力に特化しセールスを目指すのも手です。顧客から引き出したニーズを技術的な視点で開発担当にパスする人材は、非常に貴重です。会社での影響力や顧客・開発担当の双方からの信頼を獲得し、こちらも仕事のやりがいが増します。

SIerで得られるスキル

SIerの働き方に不満を覚える人もいる一方、SIerの仕事で多くのスキルを得られたことを実感している人も多いのではないでしょうか。SIerで得られたスキルは、別業界へ転職した際にも高く評価されることが期待できます。

プロジェクト管理スキル

中〜大規模のシステム開発を行っている中で、要求の厳しい顧客に対応し、品質・納期・コストを守って成果物を納品した経験は、幅広い業界で評価されます。多くの利害関係者と上手く連携して、プロジェクトを遂行したスキルの証明になるからです。経験を積んだエンジニアは、他のチームメンバーを指導しながら成果を上げることが期待されます。

開発プロセス全体の経験

大型案件の品質を保つため、多くのSIerは標準化された開発プロセスを採用しています。開発プロセスには、要件定義から設計・開発・テストといった手順を踏み、品質の高い製品を構築するノウハウが詰まっています。SIerで複数の案件に参画した経験は、様々な局面に応用できます。

大規模システムでの経験

大規模システムを安定して稼働させるためには、可用性や頑健性、セキュリティ等を考慮した設計がなされます。大手のSIerで働いていれば、このような高度な技術に触れる経験が蓄積されていくでしょう。また、特定の業界に関する業務要件やシステム要件に明るくなるといったメリットもあります。プロジェクト単位で多様な案件に参加してきた経験は、幅広い知識の習得へとつながるはずです。

上流工程の経験

大手のSIerでは、開発プロセスの中でも要件定義や設計といった上流工程を手掛ける機会が多いです。プログラミング自体は担当しなかったとしても、どのような手順で処理を組むのかを検討する経験は得られます。さらに顧客との折衝を通じて、システム要件について合意を得る経験は、別業界でも応用可能です。

SIerで得たスキルを活かすキャリア設計

SIerを「つまらない」と感じるのは、業界構造そのものに起因する場合があるため、別業界への転職によって不満を解消するのも有効な手段の一つです。別業界への転職を検討する際には、SIerで身についたスキルを活用できるキャリア設計が推奨されます。

事業会社

あらゆる業界でITの活用が競争力を左右するようになっており、事業会社のIT部門を強化するためのエンジニア採用があります。主体性を持ってIT戦略立案やIT企画に取り組みたい人に合っている選択肢です。システム開発の経験を持っているエンジニアは、事業会社のIT部門でも評価されやすい傾向があります。

Web系企業

ソーシャルメディアやEコマースサイトなど、Webサービスを運営する企業でも積極的なエンジニアの採用が見られます。技術力を活かした新機能開発やプロセス改善に興味がある人に向いています。SIerで標準化された開発プロセスに詳しく、コミュニケーション能力に秀でたエンジニアはWeb系企業にも求められるでしょう。

コンサルティングファーム

多くのコンサルティングファームではITを専門とする部門を有しています。経営戦略を形にするためのIT戦略や、業務プロセス分析などの上流工程の経験が積める環境です。SIerでシステム開発の経験を積んだエンジニアは、技術力を持ちながら上流工程を担当できるコンサルタントとして評価されます。

大手SIer

中小SIerに所属しているエンジニアで仕事が「つまらない」と感じていた人は、大手SIerに転職することで問題が解決する場合もあります。顧客から直接依頼を受ける一次受けとなり、プロジェクト管理や上流工程を担当できる機会が増えるからです。また、年収や待遇の改善も期待できます。

SIerで働くエンジニアが転職する際に準備するべきこと

SIerから別業界へ転職する場合、仕事の進め方や評価ポイントが異なるため、相応の準備が必要となります。

キャリア設計の優先順位を明確にする

SIerが「つまらない」と感じた理由を踏まえ、自身のキャリアで重要な要素を洗い出します。例えば、自分でプログラミングを担当し、技術を追求したいと感じるならばWeb系企業が向いている可能性が高いです。キャリア設計については面接でも聞かれやすい質問のため、うまく説明できるよう準備しておきましょう。

情報収集する

同じエンジニア職であったとしても、業界が異なれば働き方は異なります。転職先でも不満を感じることがないよう、事前に理解を深めておくべきです。転職サイトや転職エージェントを活用して、どのような働き方がなされているのか、メリット・デメリットは何かを確認しましょう。

持っているスキルを棚卸しする

転職活動を進める前に、SIerで得られたスキルを振り返るようにします。前述した通り、プロジェクト管理や上流工程の経験を積んできたのかもしれません。異なる業界でもアピールできるスキルを洗い出すようにしましょう。

足りないスキルを身につける

希望の業界で求められるスキルに不安があれば、現在の仕事で習得できないか検討します。プログラミングに取り組みたいのであれば、実装まで手掛けられる案件への異動を希望する方法も考えられます。一方、SIerでの仕事以外にもスキルアップの手段はあります。オンラインスクールや学習サイトなどで、最新の技術を習得することもできます。

SIerに関するよくある質問

この章ではSIerに関するよくある質問について回答します。

Q1. SIerとSESはどちらが良いですか?

SIerとSESのどちらが良いかは人によって異なります。上流工程を担当したい場合にはSIerがおすすめで、未経験でエンジニアを目指したい場合やさまざまな経験を積みたい場合はSESが良いでしょう。

Q2. SIerでのエンジニアの仕事内容を教えてください

Slerのエンジニアの仕事内容は、主に以下6点が挙げられます。

一般的にエンジニアの仕事内容は業務要件定義から保守運用までありますが、 一気通貫で行うSlerはそう多くなく、「設計開発ののみ」「運用後の維持と保守のみ」といった形で、一部の工程を専門に担当するSlerが多いです。

Q3. SIerに向いている人の特徴を教えてください

SIerに向いている人の特徴は以下の3点が挙げられます
 

  • ・マネジメントスキルが高い人

    ・論理的思考力がある人

    ・ITスキルを身に着けている人

Q4. 大手SIerとは何ですか?

大手SIerとは、SIerの中でも売上が高く従業員数が多いSIerを指します。中小SIerと比較すると、中小SIerが担当するシステムよりも大規模なシステムを担当する場合が多いです。また仕事内容においても、大手SIerは上流工程やプロジェクト全体の管理・統括がメインで、詳細な開発やテストなどの作業を中小SIerに再委託する場合もあります。

まとめ

SIerはマネジメントスキルを身に付けられたり、上流工程を経験できるなど得られるスキルが多々あります。一方でプログラミングの機会がなかったり新しい挑戦が難しいといったことから「つまらない」と感じてしまう人も多いです。どんな人でも仕事の「合う」「合わない」はあります。そのためSIerで働いていて「つまらない」と感じたときには、上司に相談してプロジェクトを変えたり、キャリアチェンジをするなど新しい風を入れてみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修

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